JP2018070769A - シンチレータ結晶、シンチレータ結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光出力が高く、蛍光減衰時間を十分に低減することができ、且つインゴットの白濁を低減することができるシンチレータ結晶及びその製造方法の提供。【解決手段】Ce、A元素、及びM元素をドープした式(1)に示される希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であって、該A元素はSc、2族及び13族から選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmから選ばれる少なくとも1つの元素であり、該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶。LutLmvSiO5(1)(LmはGd及び/又はY;1.6<t<2.0;0<v≦0.38;1.6<t+v≦2)【選択図】図1
Description
本発明は、医学診断用ポジトロンCT(PET)用、宇宙線観察用、地下資源探索用等の放射線医学、物理学、生理学、化学、鉱物学、更に石油探査等の分野で、ガンマ線等の放射線に対する単結晶シンチレーション検知器(シンチレータ)に用いられるシンチレータ結晶、シンチレータ結晶を製造するための熱処理方法、及びシンチレータ結晶の製造方法に関するものである。更に詳細には、セリウム付活オルト珪酸塩化合物を含むシンチレータ結晶、シンチレータ結晶を製造するための熱処理方法及びシンチレータ結晶の製造方法に関する。
セリウムを付活剤としたオルト珪酸ガドリニウム化合物のシンチレータは、蛍光減衰時間が短く、放射線吸収係数も大きいことから、ポジトロンCT(以下、PETという。)等の放射線検出器として実用化されている。しかし、このようなシンチレータは、蛍光出力がBGOシンチレータよりは大きいものの、NaI(Tl)シンチレータの20%程度しかなく、その改善が望まれている。
一般式Lu2(1−x)Ce2xSiO5で表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムの単結晶を用いたシンチレータ(例えば、特許文献1、2参照)、一般式Gd2−(x+y)LnxCeySiO5(LnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムガドリニウム単結晶を用いたシンチレータ(例えば、特許文献3、4参照)及び一般式Ce2x(Lu1−yYy)SiO5、Ce2x(Lu1−yYy)2(1−x)SiO5で表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムイットリウムの単結晶を用いたシンチレータ(例えば、特許文献5、6参照)が知られている。これらのシンチレータでは、結晶の密度が向上しているだけでなく、セリウム付活オルト珪酸塩化合物の単結晶の蛍光出力が向上し、蛍光減衰時間も短くできることが知られている。
さらに、Ln2−(x+y)LuxCeySiO5(LnはYを含み、Sc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムの単結晶は、付活剤のセリウム濃度を変えることにより、蛍光減衰時間の異なるシンチレータが得られることが知られている。
さらに、Ln2−(x+y)LuxCeySiO5(LnはYを含み、Sc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるセリウム付活オルト珪酸ルテチウムの単結晶は、付活剤のセリウム濃度を変えることにより、蛍光減衰時間の異なるシンチレータが得られることが知られている。
一方で近年、PETの開発が進むにつれ、蛍光減衰時間の短いシンチレータを用いた次世代高性能PETの開発が期待されており、より蛍光出力が高く、蛍光減衰時間の短いシンチレータが要求されている。
蛍光減衰時間の観点からは、添加元素としてCaを入れることで、蛍光減衰時間の短いシンチレータを得ることができることが知られており、例えば特許文献7では、LYSO:Ce+Ca+ZnOの組成式で表されるシンチレータ結晶、特許文献8では、LSO:Ce+Caの組成式で表されるシンチレータ結晶、特許文献9では、LSO:Ce+Ca,Tmの組成式で表されるシンチレータ結晶が開示されている。
さらに特許文献10では、LSO:Ce+Tmが開示されており、蛍光減衰時間の短いシンチレータが得られことが開示されている。
さらに特許文献10では、LSO:Ce+Tmが開示されており、蛍光減衰時間の短いシンチレータが得られことが開示されている。
蛍光減衰時間の短いシンチレータを得るにはCa濃度を高める必要があった。しかしながら、本発明者らが検討した結果、Ca濃度を高めると結晶インゴットが固化の早い段階から白濁する。白濁は、シンチレータの蛍光が光検出器に到達することを妨げ、検出器から得られる蛍光出力が大幅に低下する。その結果インゴットは、著しく収率が低下し生産性が悪いことが明らかとなった。
なお、特許文献7、8では、インゴットの白濁については何ら記載がない。
また、特許文献9では、蛍光減衰時間の短時間化とインゴットの白濁との両立を実現する具体的な方法について記載されていない。
また特許文献10では、蛍光減衰時間が短くなるが、それと共に、蛍光出力が低下する。また、インゴットの白濁については何ら記載がない。
なお、特許文献7、8では、インゴットの白濁については何ら記載がない。
また、特許文献9では、蛍光減衰時間の短時間化とインゴットの白濁との両立を実現する具体的な方法について記載されていない。
また特許文献10では、蛍光減衰時間が短くなるが、それと共に、蛍光出力が低下する。また、インゴットの白濁については何ら記載がない。
第1の発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、蛍光出力が高く、蛍光減衰時間を十分に短くすることができ、且つインゴットの白濁を低減することができるシンチレータ結晶を提供することを目的とする。
第2の発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、シンチレータの蛍光減衰時間を十分に短くすることができ、且つインゴットの白濁を低減し、且つ蛍光出力を改善するためのシンチレータ結晶の製造方法、特にはシンチレータ結晶の熱処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の組成からなる希土類オキシオルトシリケートに対し、特定の元素を添加することで、Caの添加濃度が少なくても蛍光減衰時間を短くすることができることが分かった。また、インゴットの白濁も抑制できることが分かった。
第1の発明は、Ce、A元素及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であって、該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶。
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。)
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。)
また、本発明者らは、特定の元素を添加した、特定の組成からなる希土類オキシオルトシリケートに対し、単結晶育成後に熱処理することで蛍光出力を大幅に改善できることが
分かった。
第2の発明は、Ce、A元素及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法であって、
該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、
該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であり、
該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、熱処理方法。
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。)
分かった。
第2の発明は、Ce、A元素及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法であって、
該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、
該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であり、
該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、熱処理方法。
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。)
第1の発明によれば、蛍光出力が高く、蛍光減衰時間を十分に短くすることができ、且つインゴットの白濁を低減することができるシンチレータ結晶及びその製造方法を提供することができる。
第2の発明によれば、シンチレータの蛍光減衰時間を十分に低減することができ、且つインゴットの白濁を低減し、且つ蛍光出力を改善するためのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の記載中、第1の発明の好適な実施形態の一つを「第1の実施形態」、第2の発明の好適な実施形態の一つを「第2の実施形態」と呼ぶ。
第1の実施形態及び第2の実施形態におけるシンチレータ結晶は、Ce、A元素及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であって、該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶である。
LutLmvSiO5 (1)
LutLmvSiO5 (1)
式(1)中、LmはGd及び/又はYである。
また、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。
また、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。
一般式(1)において、tの値はLuの含有量を表し、できるだけ大きいほうが、結晶が高密度化し、かつ室温で高い蛍光出力が得られる。そのため、tの値は、1.6を超え2.0未満であることが必要であり、1.7以上2.0未満であることが好ましく、1.8以上2.0未満であることがより好ましく、1.85以上2.0未満であることが更に
好ましい。
好ましい。
一般式(1)において、vの値はGd及び/又はYの含有量を表し、0を超え0.38以下であることが必要であり、0.0001以上で0.3以下であることがより好ましく、0.0001以上で0.2以下であることが更に好ましく、0.0002以上で0.15以下であることが最も好ましい。vが0であると結晶内特性のバラつきが大きくなり、また、0.38を超えると結晶が割れやすくなる。
一般式(1)において、t+vの値は、Lu含有量とGd及び/又はYの含有量の合計を表し、1.6を超え2以下であることが必要であり、1.8以上2以下であることがより好ましい。t+vの値が1.6以下であると希土類オキシパイロシリケートやオキシアパタイト型希土類ケイ酸塩などの異相が生じ、2以上であると結晶が着色したり割れやすくなる。
一般式(1)において、t+vの値は、Lu含有量とGd及び/又はYの含有量の合計を表し、1.6を超え2以下であることが必要であり、1.8以上2以下であることがより好ましい。t+vの値が1.6以下であると希土類オキシパイロシリケートやオキシアパタイト型希土類ケイ酸塩などの異相が生じ、2以上であると結晶が着色したり割れやすくなる。
本実施形態のシンチレータ結晶はCeをドープしたものであり、その含有量は0より多く3wt%以下であることが必要であり、0.00005wt%以上1.5wt%以下が好ましく、0.0001wt%以上0.5wt%以下が更に好ましく、0.001wt%以上0.2wt%以下が最も好ましい。Ce含有量が0であると十分な蛍光出力を得ることができず、また、3wt%を超えると蛍光出力が逆に低減することになる。
本実施形態のシンチレータ結晶はA元素をドープしたものであり、その含有量は0より多く1wt%以下であることが必要であり、0.00005wt%以上0.5wt%以下が好ましく、0.0001wt%以上0.2wt%以下が更に好ましく、0.001wt%以上0.1wt%以下が最も好ましい。A元素の含有量が0であると蛍光減衰時間を十分に低減することができず、また、1wt%を超えると結晶の白濁や結晶の歪によるクラック発生が問題になる。
本実施形態のシンチレータ結晶はM元素をドープしたものであり、その含有量は0より多く4wt%以下であることが必要であり、0.00005wt%以上2wt%以下が好ましく、0.0001wt%以上1wt%以下が更に好ましく、0.001wt%以上0.1wt%以下が最も好ましい。M元素の含有量が0であると蛍光減衰時間を充分に低減することができず、また、4wt%を超えると蛍光出力が低減することになる。
上記一般式(1)において、Lmとしては、Gd及び/又はYが選ばれる。
A元素としては、Sc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する。これにより、蛍光減衰時間を低減することができる。A元素としては、上記の効果がより十分に得られることから、Sc、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、B、Al、Ga、In、Tlから選択されることが好ましく、Sc、Mg、Ca、Sr、Al、Gaから選択されることがより好ましく、2族に属する元素の中でもCa、Mgから選ばれる1種以上の元素が更に好ましい。
M元素としては、Pr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する。これにより、A元素の添加量を減らしつつ蛍光減衰時間を短くすることができる。この結果、インゴットの白濁を低減しつつ、蛍光減衰時間を短くすることが可能となる。
M元素としては、Ln4+になりやすい元素であるPr、Tb、もしくはLn2+になりやすい元素であるYb、Tm、Eu、Smから選ばれる。これらの中でも、電子トラップ効果の観点から、Ln2+になりやすい元素であるYb、Tm、Eu、Smが更に好ましく、特に好ましくはTmである。
M元素としては、Ln4+になりやすい元素であるPr、Tb、もしくはLn2+になりやすい元素であるYb、Tm、Eu、Smから選ばれる。これらの中でも、電子トラップ効果の観点から、Ln2+になりやすい元素であるYb、Tm、Eu、Smが更に好ましく、特に好ましくはTmである。
A元素とM元素の含有量は、重量比でA元素/M元素が、通常0.01〜100、好ましくは0.01〜30、より好ましくは0.05〜15である。上記範囲内であれば、蛍光減衰時間を十分に低減しつつ、インゴットの着色やクラックを抑制できる傾向がある。
次に、第1の実施形態のシンチレータ結晶の製造方法の一例について説明する。なお、製造されるシンチレータ結晶は単結晶であることが好ましい。
第1の実施形態のシンチレータ結晶の製造方法においては、まず、一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートの原料を所定の量論組成となるように混合し、るつぼに投入する。この結晶を製造する場合の出発原料としては、一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートの構成元素であるLu、Lm、Siの単独酸化物及び/又は複合酸化物が好適に用いられる。市販のものとしては、信越化学社製、スタンフォードマテリアル社製、多摩化学社製、日本イットリウム社製等の純度の高いものを用いることが好ましい。
第1の実施形態のシンチレータ結晶の製造方法においては、まず、一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートの原料を所定の量論組成となるように混合し、るつぼに投入する。この結晶を製造する場合の出発原料としては、一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートの構成元素であるLu、Lm、Siの単独酸化物及び/又は複合酸化物が好適に用いられる。市販のものとしては、信越化学社製、スタンフォードマテリアル社製、多摩化学社製、日本イットリウム社製等の純度の高いものを用いることが好ましい。
また、Ce、A元素、M元素を添加するタイミングとしては、結晶の育成前であれば特に限定されない。例えば、原料の秤量時にCe、A元素、M元素を添加混合してもよく、るつぼに原料を投入する際にCe、A元素、M元素を混合してもよい。また、Ce、A元素、M元素は、育成された結晶中に含まれていれば添加時の態様は特に限定されず、例えば酸化物や炭酸塩の状態で原料中に添加してもよい。
次に、上記の原料が充填されたるつぼを加熱して原料を溶融させ(溶融工程)、続いて溶融液を冷却固化させて(冷却固化工程)、好ましくは単結晶インゴットを得る。
ここで、上記の溶融工程における溶融法はチョクラルスキー法を採用してもよく、他の方法を採用してもよい。チョクラルスキー法により溶融工程を行う場合、図1に示す構成を有する引き上げ装置10を用いて溶融工程及び冷却固化工程における作業を行なうことが好ましい。
図1は、第1の実施形態に係るシンチレータ結晶を製造方法において、単結晶を育成するための育成装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。図1に示す引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉14を有している。この高周波誘導加熱炉14は先に述べた溶融工程及び冷却固化工程における作業を連続的に行うためのものである。
この高周波誘導加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキー法に基づく単結晶育成に使用されるものと同様である。この高周波誘導加熱炉14の底部の該側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、高周波誘導加熱炉14の内部の底面上には、るつぼ17(例えば、Ir製のるつぼ)が配置されている。このるつぼ17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、るつぼ17中に、単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、るつぼ17が加熱され、単結晶の構成材料からなる溶融液18(融液)が得られる。
また、高周波誘導加熱炉14の底部中央には、高周波誘導加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。そして、この開口部を通じて、高周波誘導加熱炉14の外部からるつぼ支持棒16が挿入されており、るつぼ支持棒16の先端はるつぼ17の底部に接続されている。このるつぼ支持棒16を回転させることにより、高周波誘導加熱炉14中において、るつぼ17を回転させることができる。開口部とるつぼ支持棒16との間には、パッキン等によりシールされている。
次に、引き上げ装置10を用いたより具体的な製造方法について説明する。
まず、溶融工程では、るつぼ17中に、単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、単結晶の構成材料からなる溶融液18(融液)を得る。
まず、溶融工程では、るつぼ17中に、単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、単結晶の構成材料からなる溶融液18(融液)を得る。
次に、冷却固化工程において溶融液を冷却固化させることにより、円柱状の単結晶インゴット1を得る。より具体的には、後述する結晶育成工程と、冷却工程の2つの工程に分けて作業が進行する。
まず、結晶育成工程では、高周波誘導加熱炉14の上部から、種子結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を溶融液18中に投入し、次いで、引き上げ棒12を引き上げながら、単結晶インゴット1を形成する。このとき、結晶育成工程では、ヒータ13の加熱出力を調節し、溶融液18から引き上げられる単結晶インゴット1を、その断面が所定の直径となるまで育成する。
次に、冷却工程ではヒータの加熱出力を調節し、結晶育成工程後に得られる育成後の単結晶インゴットを冷却する。
第1及び第2の実施形態に係る製造方法においては、結晶育成の雰囲気が0〜0.6体積%の範囲の酸素を含むことが好ましい。酸素濃度が0.6体積%を超える場合、着色等によって蛍光出力が低下することがある。また、イリジウムるつぼを用いた場合、イリジウムるつぼの酸化による蒸発ロスが問題となる。
また、第1の実施形態のシンチレータ結晶は、上記一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、特定の条件で加熱する工程(以下、「熱処理工程」という。)を経て製造されたものであることが好ましい。
すなわち第2の実施形態は、Ce、A元素及びM元素をドープした一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法であって、該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、熱処理方法である。
すなわち第2の実施形態は、Ce、A元素及びM元素をドープした一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法であって、該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、熱処理方法である。
酸素を含む雰囲気は、酸素濃度が1体積%以上100体積%以下であり、窒素若しくは不活性ガスを含む雰囲気(例えば大気雰囲気)であることが好ましい。
第2の実施形態の熱処理工程における単結晶体の加熱温度は、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下であり、好ましくは1050℃以上、より好ましくは1200℃以上、更に好ましくは1350℃以上であり、好ましくは1900℃以下、より好ましくは1800℃以下、更に好ましくは1700℃以下である。加熱温度が1000℃未満では第1の実施形態による上記効果が得られ難くなる傾向にあり、単結晶体の融点−100℃より高いと単結晶が着色し、蛍光出力を低下させてしまう。
一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体に、上述した熱処理方法を適用することで、酸素欠損の発生を極力抑制し、最大限に蛍光出力、エネルギー分解能の向上を図ることが可能である。
一般式(1)で表される希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶は、医学診断用ポジトロンCT(PET)用、宇宙線観察用、地下資源探索用等の放射線医学、物理学、生理学、化学、鉱物学、更に石油探査等の分野でガンマ線等の放射線に対する単結晶
シンチレーション検知器(シンチレータ)に用いられるシンチレータ用単結晶として非常に有用であり、特に、減衰時間の短いシンチレータを用いる次世代高性能PETに効果的である。
シンチレーション検知器(シンチレータ)に用いられるシンチレータ用単結晶として非常に有用であり、特に、減衰時間の短いシンチレータを用いる次世代高性能PETに効果的である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<単結晶の作製>
単結晶LGSOはチョクラルスキー法によって作製した。出発原料として酸化ルテチウム(Lu2O3、純度99.99質量%)、二酸化珪素(SiO2、純度99.9999質量%)、酸化セリウム(CeO2、純度99.99質量%)、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.999質量%)、酸化イットリウム(Y2O3、純度99.9999質量%)を用いて、特開2011−026547号公報の方法にて得られるLGSOに実施例1〜3、比較例1〜2の濃度となるように炭酸カルシウム(CaCO3、純度99.99質量%)、酸化ツリウム(Tm2O3)を加え、シンチレータ結晶を得た。
<単結晶の作製>
単結晶LGSOはチョクラルスキー法によって作製した。出発原料として酸化ルテチウム(Lu2O3、純度99.99質量%)、二酸化珪素(SiO2、純度99.9999質量%)、酸化セリウム(CeO2、純度99.99質量%)、酸化ガドリニウム(Gd2O3、純度99.999質量%)、酸化イットリウム(Y2O3、純度99.9999質量%)を用いて、特開2011−026547号公報の方法にて得られるLGSOに実施例1〜3、比較例1〜2の濃度となるように炭酸カルシウム(CaCO3、純度99.99質量%)、酸化ツリウム(Tm2O3)を加え、シンチレータ結晶を得た。
[実施例1]
前記単結晶の作製において、LGSOのCe量が0.0931wt%、Ca量が0.0071wt%、Tm量が0.0374wt%となるように出発原料に炭酸カルシウム(CaCO3、純度99.99質量%)、酸化ツリウム(Tm2O3、純度99.9質量%)を加え、結晶重量が14000gの単結晶インゴットを得た。
このインゴットは、固化の始まりから途中までは透明だが、途中から白濁が発生し、固化の終端まで白濁が続いた。透明部と白濁部の重量比は87%と13%だった。
前記単結晶の作製において、LGSOのCe量が0.0931wt%、Ca量が0.0071wt%、Tm量が0.0374wt%となるように出発原料に炭酸カルシウム(CaCO3、純度99.99質量%)、酸化ツリウム(Tm2O3、純度99.9質量%)を加え、結晶重量が14000gの単結晶インゴットを得た。
このインゴットは、固化の始まりから途中までは透明だが、途中から白濁が発生し、固化の終端まで白濁が続いた。透明部と白濁部の重量比は87%と13%だった。
こうして得られた単結晶インゴットの上部から、4×4×12mmのサンプルを数個切り出し、1つのサンプルをグロー放電質量分析(GDMS)を行ったところ、Ceが0.018wt%、Caが0.0013wt%、Tmが0.033wt%含まれていた。
もう一つの4×4×12mmのサンプルを、白金板の上にのせ、電気炉に投入した。大気雰囲気中で、100℃/時間のレートで電気炉内を昇温し、1350℃で24時間保持した後、100℃/時間のレートで室温まで冷却した。次に、上記結晶サンプルにリン酸を用いてケミカルエッチングを施し、結晶サンプルの全面を鏡面化した。これにより、実施例1のシンチレータ結晶を得た。
もう一つの4×4×12mmのサンプルを、白金板の上にのせ、電気炉に投入した。大気雰囲気中で、100℃/時間のレートで電気炉内を昇温し、1350℃で24時間保持した後、100℃/時間のレートで室温まで冷却した。次に、上記結晶サンプルにリン酸を用いてケミカルエッチングを施し、結晶サンプルの全面を鏡面化した。これにより、実施例1のシンチレータ結晶を得た。
<蛍光特性の測定>
4×4×12mmのシンチレータ結晶(各サンプル)の6つの面のうちの4mm×4mmの大きさを有する面を光電子増倍管(浜松ホトニクス社製、商品名「H7195」)のフォトマル面(光電変換面)に光学グリースを用いて固定した。次に、外径40mm、内径25mm、高さ30mm、深さ26mmのPTFE製のキャップ状の蓋をサンプルが中心になるようにかぶせ、キャップの上に直径25mmのコイン状Cs−137γ線源を置き、662keVのガンマ線をサンプルに照射した、その状態でサンプルのエネルギースペクトルを測定し、各サンプルの蛍光出力を評価した。エネルギースペクトルは光電子増倍管に−1.4kVの電圧を印加した状態で、ダイノードからの信号を増幅器(SPECTECH社製、商品名「UCS30」)で測定した。また、蛍光減衰時間は、光電子増倍管のアノードからの信号をデジタルオシロスコープ(Tektronix社製、商品名「TDS3052B」)に入力し、信号を512回の平均をすることにより得られる蛍光減衰曲線から算出した。表1に、本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を示した。
4×4×12mmのシンチレータ結晶(各サンプル)の6つの面のうちの4mm×4mmの大きさを有する面を光電子増倍管(浜松ホトニクス社製、商品名「H7195」)のフォトマル面(光電変換面)に光学グリースを用いて固定した。次に、外径40mm、内径25mm、高さ30mm、深さ26mmのPTFE製のキャップ状の蓋をサンプルが中心になるようにかぶせ、キャップの上に直径25mmのコイン状Cs−137γ線源を置き、662keVのガンマ線をサンプルに照射した、その状態でサンプルのエネルギースペクトルを測定し、各サンプルの蛍光出力を評価した。エネルギースペクトルは光電子増倍管に−1.4kVの電圧を印加した状態で、ダイノードからの信号を増幅器(SPECTECH社製、商品名「UCS30」)で測定した。また、蛍光減衰時間は、光電子増倍管のアノードからの信号をデジタルオシロスコープ(Tektronix社製、商品名「TDS3052B」)に入力し、信号を512回の平均をすることにより得られる蛍光減衰曲線から算出した。表1に、本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を示した。
[実施例2]
出発原料の炭酸カルシウムのドープ量を変え、LGSOのCa量が0.0213wt%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のシンチレータ用単結晶を作製した。インゴットの透明部と白濁部の重量比は78%と22%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.027wt%、Ca0.0038wt%、Tm0.0390wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
出発原料の炭酸カルシウムのドープ量を変え、LGSOのCa量が0.0213wt%となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のシンチレータ用単結晶を作製した。インゴットの透明部と白濁部の重量比は78%と22%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.027wt%、Ca0.0038wt%、Tm0.0390wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
[比較例1]
出発原料に炭酸カルシウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のシンチレータ用単結晶を作製した。白濁は殆ど発生していなかった。インゴットの透明部と白濁部の重量比は100%と0%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.025wt%、Ca0wt%、Tm0.034wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
出発原料に炭酸カルシウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のシンチレータ用単結晶を作製した。白濁は殆ど発生していなかった。インゴットの透明部と白濁部の重量比は100%と0%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.025wt%、Ca0wt%、Tm0.034wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの仕込み組成と結晶中の濃度および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
[比較例2]
出発原料に酸化ツリウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のシンチレータ用単結晶を作製した。インゴットの透明部と白濁部の重量比は74%と26%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.024wt%、Ca0.0009wt%、Tm0wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの出発原料のドープ量と結晶中の含有量および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
出発原料に酸化ツリウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のシンチレータ用単結晶を作製した。インゴットの透明部と白濁部の重量比は74%と26%だった。
実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.024wt%、Ca0.0009wt%、Tm0wt%含まれていた。
また、得られたシンチレータ用単結晶について、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。本実施例のCe、Ca、Tmの出発原料のドープ量と結晶中の含有量および蛍光特性の測定結果を表1に示した。
表1の結果より、CaとTmが特定量含まれる実施例1と2は、Caを含まないもの比較例1と比べ、蛍光出力と蛍光減衰時間が改善した。
また、Tmを含まない比較例2と比べても、蛍光出力と蛍光減衰時間が改善しつつ、白濁部割合が小さくなった。
この結果より、CaとTmを特定量含むことにより、蛍光出力が高く、蛍光減衰時間が短く、歩留りが高いシンチレータ結晶を得ることができる。
また、Tmを含まない比較例2と比べても、蛍光出力と蛍光減衰時間が改善しつつ、白濁部割合が小さくなった。
この結果より、CaとTmを特定量含むことにより、蛍光出力が高く、蛍光減衰時間が短く、歩留りが高いシンチレータ結晶を得ることができる。
[実施例3]
出発原料の炭酸カルシウムのドープ量を変え、LGSOのCa量が0.0444wt%
となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、インゴットを作成した。実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.027wt%、Ca0.0047wt%、Tm0.0310wt%含まれていた。インゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、白金板の上にのせ、電気炉に投入した。大気雰囲気中で、100℃/時間のレートで電気炉内を昇温し、1350℃で24時間保持した後、100℃/時間のレートで室温まで冷却した。次に、上記結晶サンプルにリン酸を用いてケミカルエッチングを施し、結晶サンプルの全面を鏡面化した。これにより、実施例3のシンチレータ結晶を得た。実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った結果、蛍光減衰時間は31nsであった。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
出発原料の炭酸カルシウムのドープ量を変え、LGSOのCa量が0.0444wt%
となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして、インゴットを作成した。実施例1と同様にGDMS分析を行ったところ、Ce0.027wt%、Ca0.0047wt%、Tm0.0310wt%含まれていた。インゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、白金板の上にのせ、電気炉に投入した。大気雰囲気中で、100℃/時間のレートで電気炉内を昇温し、1350℃で24時間保持した後、100℃/時間のレートで室温まで冷却した。次に、上記結晶サンプルにリン酸を用いてケミカルエッチングを施し、結晶サンプルの全面を鏡面化した。これにより、実施例3のシンチレータ結晶を得た。実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った結果、蛍光減衰時間は31nsであった。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[実施例4]
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[実施例5]
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[実施例6]
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[実施例7]
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[実施例8]
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1650℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例8のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
実施例3のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1650℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例8のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[比較例3]
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温
度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温
度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[比較例4]
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例4のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例4のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[比較例5]
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例5のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例5のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[比較例6]
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例6のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例6のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
[比較例7]
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1650℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例7のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
比較例2のインゴットから取り出した4×4×12mmのシンチレータ結晶サンプルを、電気炉内での保持温度を1650℃とした以外は、実施例1と同様にして、比較例7のシンチレータ用単結晶を作製し、実施例1と同様の手順で蛍光特性の測定を行った。保持温度900℃の時の蛍光出力を100%として各保持温度の結果を比較した表を表2に示した。
TmとCaを特定量含む実施例は、Tmを含まずCaを特定量含む比較例と比べ、1000℃以上における蛍光出力の改善効果が高いことがわかった。
1…単結晶、2…種子結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、13…ヒータ、14…高周波誘導加熱炉、15…高周波誘導コイル、16…るつぼ支持棒、17…るつぼ、18…溶融液(融液)
Claims (8)
- Ce、A元素、及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶であって、該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有する、希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶。
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。) - A元素/M元素が重量比で、0.01〜100である請求項1に記載のシンチレータ結晶。
- M元素が、Tmである請求項1または2に記載のシンチレータ結晶。
- A元素が、Ca及び/又はMgである請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータ結晶。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータ結晶の製造方法であって、
該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を準備する準備工程、および
チョクラルスキー法によって単結晶体を育成する育成工程を備える、シンチレータ結晶の製造方法。 - 更に、前記単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程を備える、請求項5に記載のシンチレータ結晶の製造方法。
- Ce、A元素、及びM元素をドープした下記一般式(1)に示す希土類オキシオルトシリケートのシンチレータ結晶を製造するための熱処理方法であって、
該A元素はSc、2族及び13族からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、該M元素はPr、Tb、Yb、Tm、Eu及びSmからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、
該シンチレータ結晶はCeを0より多く、3wt%以下、A元素を0より多く、1wt%以下、及びM元素を0より多く、4wt%以下含有し、
該シンチレータ結晶の構成元素を含有する原料を用いて育成した単結晶体を、1000℃以上、単結晶体の融点−100℃以下の温度で熱処理する工程、を備える、熱処理方法。
LutLmvSiO5 (1)
(式(1)中、LmはGd及び/又はYであり、t、vはそれぞれ1.6<t<2.0、0<v≦0.38、1.6<t+v≦2を満たす。) - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータ結晶を含む、PET装置。
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