JP4389689B2 - 無機シンチレータ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機シンチレータ及びその製造方法に関するものである。
陽電子放出核種断層撮像装置(Positron Emission computed Tomography、以下、「PET」という。)では、これに搭載されるシンチレータの光学特性(波長変換特性等)が装置全体の撮像性能に与える影響が極めて大きいため、シンチレータの光学特性を向上させることが装置全体の撮像性能を向上させる上で最も重要なポイントの一つとなっている。そのため、優れた光学特性を有するシンチレータを構成可能なシンチレータ材料の探索や、そのシンチレータを実用化するための結晶育成技術等の製造技術の開発が精力的に進められている。
また、高エネルギー物理の分野では、宇宙から地球に飛来する微量な高エネルギー粒子を検出し、分析するため等の実験に使用するために、微量な高エネルギー粒子を効率よく検出できるシンチレータの実用化が求められている。
PETに搭載されるシンチレータとしては、蛍光出力が高いもの、蛍光減衰時間が短いもの、エネルギー分解能が高いもの等が求められている。特に、PETを用いた検査の対象となる被検体の負担を軽減する観点から、被検体当たりの検査時間を短くする必要があり、そのためには蛍光減衰時間の短いシンチレータが求められている。シンチレータに放射線パルスを入射した際に出力される蛍光パルスの強度は、典型的には図1で示すような経時変化をたどる。
蛍光減衰時間の短縮化を図ったシンチレータとしては、例えば、ランタノイドを含む複合金属酸化物からなる母体材料中に発光中心としてCe(セリウム)を含む構成を有する無機シンチレータが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この無機シンチレータとしては、例えば、一般式:CeαLn2−αSiO、又は、一般式:CeβLn2−βAlOで表される化学組成を有するシンチレータ等が知られている。ここで、0<α<0.1であり、0<β<0.1であり、Ln(ランタノイド)はSc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Gd(ガドリニウム)又はLu(ルテチウム)を示す。
特に、一般式:CeαLn2−αSiOで表される化学組成を有するシンチレータは、蛍光出力が高いため、広くPETに採用されている。そのような無機シンチレータの具体例としては、CeαGd2−αSiOを用いたPhilips Medical Systems社製の商品名ALLEGRO、CeαLu2−αSiOを用いたSiemens社製の商品名ECAT ACCEL等が挙げられる。
また、特許文献2においては、一般式:Ceα(LuγGd2−γ2−αSiOで表せられる単結晶シンチレータが開示されている。更に特許文献3では、Ceα(LuγGd2−γ2−αSiOで表せられる単結晶シンチレータに、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Ca(カルシウム)、F(フッ素)を含有させることにより、Luの含有割合の低下を試みている。
特公昭62−8472号公報 特公平7−78215号公報 特表2001−524163号公報 Journal of Crystal Growth 174(1997)p331−336
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1〜3に記載のものを始めとする従来の無機シンチレータについて詳細に検討を行ったところ、特許文献1に記載の無機シンチレータのうち、CeαGd2−αSiOからなるシンチレータは、放射線を吸収した際に該シンチレータから出力される蛍光(蛍光強度)の立ち上がりが遅いため、エネルギーの時間分解能が十分高くないことを見出した。また、CeαLu2−αSiOからなるシンチレータは、被検体からの荷電粒子等を入射した際に出力される蛍光について、ノイズが多量に発生することが明らかになった。かかるノイズは被検体からの荷電粒子等の検出精度を低減させる。
さらには、特許文献2に記載のCeα(LuγGd2−γ2−αSiOからなるシンチレータは、Luの含有割合が比較的高くなった場合に、Luの含有割合が比較的低い場合に比べて、シンチレータとしての機能の発揮が顕著に抑制される傾向にあることを、本発明者らは見出した。
さらに特許文献3に記載のシンチレータは、Ta、W、Ca、Fを含有させてもノイズの影響を十分に抑制することが困難であることが判明した。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、放射線を吸収した際に出力される蛍光の立ち上がりが十分に速く、しかも蛍光のノイズが十分に少ない無機シンチレータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、Lu、Gd、Ce及びSi(ケイ素)を含む金属酸化物からなる無機シンチレータ中のLuを所定の割合まで低減させ、さらに、その無機シンチレータの単結晶を、所定の空間群に属する結晶構造を有するように形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。
より詳しくは、本発明者らは、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなる結晶である無機シンチレータの結晶構造が空間群C2/cに属すると、空間群P2/cに属する場合と比較して、放射線を吸収した際の蛍光の立ち上がり時間が格段に短くなることを見出した。ここで、「蛍光の立ち上がり時間」とは、シンチレータが放射線を吸収した際に、出力される蛍光の強度がその極大値(Imax)の10%(0.1Imax)から90%(0.9Imax)まで立ち上がるのに要する時間(t)をいう(図1参照)。
また、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなる結晶である無機シンチレータ中のLuの含有割合が高いと、Luは放射性同位元素である176Luを自然存在比で約2.6%含むため、そのベータ崩壊による自然放射線がシンチレータに入射した場合に、該シンチレータから出力される蛍光のノイズの原因となる。本発明者らはこれらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明の無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、下記式(1A)で表される条件を満足し、かつ金属酸化物の組成が下記式(I)及び(II)で表される、ことを特徴とする。なお、本明細書において「金属酸化物」の「金属」はSiも含まれる概念である。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 ・・・(1A)
Ce α β Lu γ Gd 2−(α+β+γ) SiO ・・・(I)
α:β:γ:2−(α+β+γ)=A Ce :A :A Lu :A Gd ・・・(II)
式(1A)及び(II)中、 Ce は結晶中のCeの数を示し、A は結晶中のYの数を示し、Luは結晶中のLuの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示し、A は0以上である
本発明の無機シンチレータは、蛍光立ち上がり時間が2ナノ秒以下と非常に短くなり、上記課題を解決できるほか、P2/cに属する結晶であるシンチレータや、{ALu/(ALu+AGd)}が0.50以上であるシンチレータと比較して、その研磨中にクラックが生じ難い等、加工性に優れている傾向にある。
本発明の無機シンチレータは、下記式(2A)で表される条件を満足すると、蛍光の立ち上がり時間を一層短くすることができ、しかも蛍光のノイズをより少なくすることができるので好ましい。
0.10<{ALu/(ALu+AGd)}<0.40 …(2A)
本発明の無機シンチレータは、金属酸化物が更にYを含有し、かつ下記式(1B)で表される条件を満足していてもよい。
{(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.50 …(1B)
式(1B)中、ALuは結晶中のLuの数を示し、Aは結晶中のYの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示す。
この場合、その無機シンチレータが下記式(2B)で表される条件を満足すると、蛍光の立ち上がり時間を一層短くすることができ、しかも蛍光のノイズをより少なくすることができるので好ましい。
0.10<{(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.40 …(2B)
また、本発明の無機シンチレータは、その結晶状態が単結晶であると、優れたシンチレーション特性をより確実に得ることが可能となるので好ましい。
本発明の無機シンチレータの製造方法は、溶融法に基づき無機シンチレータの原料を溶融状態とした溶融液を得る溶融工程と、溶融液を冷却固化させることにより、単結晶インゴットを得る冷却固化工程と、単結晶インゴットを所望の形状及び大きさに切り出す切断工程とを有することを特徴とする。かかる製造方法を用いることにより、上述した無機シンチレータを作製可能となる。
本発明の無機シンチレータの製造方法において、上述の無機シンチレータをより確実に得る観点から、冷却固化工程において、溶融液の冷却固化前に、種結晶の少なくとも一部を溶融液に浸漬し、種結晶の所定の結晶面に沿って結晶を育成して単結晶インゴットを得ると好ましい。
同様の観点から、種結晶として、Lu、Gd及びSiを含有する金属酸化物からなり、かつ空間群C2/cの単斜晶に属する結晶を用いるとより好ましい。さらには、同様の観点から、種結晶が下記一般式(3A)で表される条件を満足すると更に好ましく、下記一般式(4A)で表される条件を満足すると特に好ましい。
{BLu/(BLu+BGd)}<0.50 …(3A)
0.10<{BLu/(BLu+BGd)}<0.40 …(4A)
式(3A)、(4A)中、BLuは種結晶中のLuの数を示し、BGdは種結晶中のGdの数を示す。
本発明の無機シンチレータの製造方法において、金属酸化物が更にYを含有し、かつ種結晶が下記一般式(3B)で表される条件を満足していてもよい。この場合、種結晶が下記一般式(4B)で表される条件を満足すると好ましい。
{(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.50 …(3B)
0.10<{(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.40 …(4B)
式(3B)、(4B)中、BLuは種結晶中のLuの数を示し、Bは種結晶中のYの数を示し、BGdは種結晶中のGdの数を示す。
本発明の無機シンチレータの製造方法において、種結晶として、Y及びSiを含有する金属酸化物、又はLu及びSiを含有しGdを含有しない金属酸化物からなり、かつ空間群C2/cの単斜晶に属する結晶を用いても、上述の本発明の無機シンチレータを得ることができる。
本発明によれば、放射線を吸収した際に出力される蛍光の立ち上がりが十分に速く、しかも蛍光のノイズが十分に少ない無機シンチレータ及びその製造方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明の好適な実施形態に係る無機シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり、下記式(1A)で表される条件を満足し、かつ金属酸化物の組成が下記式(I)及び(II)で表されるものである。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.50 ・・・(1A)
Ce α β Lu γ Gd 2−(α+β+γ) SiO ・・・(I)
α:β:γ:2−(α+β+γ)=A Ce :A :A Lu :A Gd ・・・(II)
ここで、式(1A)及び(II)中、ACeは結晶中のCeの数を示し、Aは結晶中のYの数を示し、ALuは結晶中のLuの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示し、Aは0以上である。
Luは放射性同位元素176Luを自然存在比で約2.6%含み、そのベータ崩壊による自然放射線がシンチレータとして使用する際のノイズになる。したがって、かかる観点からは、そのLuの無機シンチレータにおける含有割合は低いほど望ましい。被検体からの放射線に関する情報を精度よくかつ正確に検出するためには、結晶中のLuの数が上記式(1A)で表される条件を満足する必要があり、下記式(5)で表される条件を満足すると好ましい。
{ALu/(ALu+AGd)}<0.40 …(5)
一方、{ALu/(ALu+AGd)}が0.10未満になると、空間群C2/cに属する単結晶を得ることが困難となり、空間群P2/cに属する単結晶となりやすい。空間群P2/cに属する単結晶からなるシンチレータは、空間群C2/cに属する単結晶と比較して、放射線を吸収した際の蛍光の立ち上がり時間が2ナノ秒以下になり難く、時間分解能が著しく低下する傾向にある。
以上のことを考慮して、無機シンチレータの優れたシンチレーション特性をより確実に得るためには、下記式(2A)で表される条件を満足することが好ましい。
0.10<{ALu/(ALu+AGd)}<0.40 …(2A)
本実施形態の無機シンチレータは、上記金属酸化物がY(イットリウム)を含有していてもよい。この場合、結晶中のLu及びYの数が下記式(1B)で表される条件を満足すると好ましく、下記式(2B)で表される条件を満足するとより好ましい。かかる条件を満足することにより、時間分解能の低下を抑制し、無機シンチレータの優れたシンチレーション特性をより確実に得ることが可能となる。
{(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.50 …(1B)
0.10<{(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.40 …(2B)
ここで、式(1B)、(2B)中、ALuは結晶中のLuの数を示し、Aは結晶中のYの数を示し、AGdは結晶中のGdの数を示す。
なお、本明細書において、「放射線」とは、原子、分子をイオン化させるのに十分なエネルギーをもった粒子線(α線、β線、γ線、X線等)を示す。
本実施形態に係る無機シンチレータは、下記式(6)で表される条件を満足すると好ましい。
0.0001≦{ACe/(ALu+AGd)}≦0.05 …(6)
式中、ACeは結晶中のCeの数を示す。Ceは主に発行中心として機能するものであるが、Ceの含有割合を式(6)の範囲内に調整すると、そのシンチレータの発光量が更に増加する傾向にある。
次に、本発明の無機シンチレータの製造方法の好適な実施形態(金属酸化物の単結晶として希土類珪酸塩単結晶を得る場合の製造方法の一例)について説明する。
本実施形態の無機シンチレータの製造方法は、Lu、Gd、Ce及びSiを含有する希土類珪酸塩単結晶である無機シンチレータの製造方法であり、溶融法に基づき無機シンチレータの原料を溶融状態とした溶融液を得る溶融工程と、その溶融液に種結晶の少なくとも一部を浸漬し、種結晶を浸漬した溶融液を冷却固化させることにより、種結晶の所定の結晶面に沿って結晶を育成して単結晶インゴットを得る冷却固化工程と、単結晶インゴットを所望の形状及び大きさに切り出す切断工程とを有するものである。
本実施形態の無機シンチレータをより確実に得る観点から、上記溶融工程における溶融法はチョクラルスキー法であることが好ましい。更に、この場合、図2に示す構成を有する引き上げ装置10を用いて溶融工程及び冷却固化工程における作業を行なうことが好ましい。
図2は本実施形態の無機シンチレータを製造するための製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。
図2に示す引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)14を有している。この高周波誘導加熱炉14は先に述べた溶融工程及び冷却固化工程における作業を連続的に行うためのものである。
この高周波誘導加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキー法に基づく単結晶製造に使用されるものと同様である。この高周波誘導加熱炉14の底部の外側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、高周波誘導加熱炉14の内部の底面上には、るつぼ17(例えば、Ir(イリジウム)製のるつぼ)が配置されている。このるつぼ17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、るつぼ17中に、無機シンチレータの原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、るつぼ17が加熱され、無機シンチレータの構成材料からなる溶融液18(融液)が得られる。
また、高周波誘導加熱炉14の溶融液18に接触しない上部内壁面には、ヒータ13(抵抗加熱ヒータ)が更に配置されている。このヒータはその加熱出力を高周波誘導コイル15に対して独立に制御することが可能となっている。
高周波誘導加熱炉14の底部中央には、高周波誘導加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。そして、この開口部を通じて、高周波誘導加熱炉14の外部からるつぼ支持棒16が挿入されており、るつぼ支持棒16の先端はるつぼ17の底部に接続されている。このるつぼ支持棒16を回転させることにより、高周波誘導加熱炉14中において、るつぼ17を回転させることができる。開口部とるつぼ支持棒16との間には、パッキンなどによりシールされている。
次に、引き上げ装置10を用いたより具体的な製造方法について説明する。
まず、溶融工程では、るつぼ17中に、無機シンチレータの単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、無機シンチレータの構成材料からなる溶融液18(融液)を得る。単結晶の原料としては、例えば、単結晶を構成する希土類元素やSiの単独酸化物などを用いることができる。
次に、冷却固化工程において溶融液を冷却固化させることにより、円柱状の無機シンチレータの単結晶インゴット1を得る。より具体的には、後述する育成工程と、冷却工程の2つの工程に分けて作業が進行する。
まず、育成工程では、高周波誘導加熱炉14の上部から、種結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を溶融液18中に浸漬し、次いで、引き上げ棒12を引き上げながら、無機シンチレータの単結晶インゴット1を形成する。このとき、育成工程では、ヒータ13の加熱出力を調節し、溶融液18から引き上げられる無機シンチレータの単結晶インゴット1を、その断面が所定の直径となるまで育成する。
空間群C2/cに属する単結晶をより確実に得る観点から、単結晶インゴット1の核となる種結晶は、空間群C2/cに属する単結晶であると好ましい。具体的には、その単結晶が希土類珪酸塩単結晶であるとより好ましく、希土類元素としてLu、Gd及びYのいずれかを含有すると更に好ましい。したがって、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩、Yを含有する希土類珪酸塩、Luを含有しGdを本質的に含有しない(すなわち、不可避的不純物としてのGdを含有してもよい)希土類珪酸塩などを含むものを用いることができる。これらのなかでも、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩からなる単結晶を種結晶として用いると、上述の無機シンチレータを特に確実に作製可能となる。
種結晶として、Lu及びGdを含有する希土類珪酸塩の単結晶を用いる場合、極めて優れたシンチレーション特性を備えるシンチレータを得る観点から、その単結晶が下記式(3A)で表される条件を満足すると好ましく、下記式(4A)で表される条件を満足するとより好ましい。
{BLu/(BLu+BGd)}<0.50 …(3A)
0.10<{BLu/(BLu+BGd)}<0.40 …(4A)
式(3A)、(4A)中、BLuは種結晶中のLuの数を示し、BGdは種結晶中のGdの数を示す。
また、上述の種結晶が更にYを含有している単結晶であってもよい。この場合、その単結晶が下記式(3B)で表される条件を満足すると好ましく、下記式(4B)で表される条件を満足するとより好ましい。
{(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.50 …(3B)
0.10<{(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.40 …(4B)
式(3B)、(4B)中、BLuは種結晶中のLuの数を示し、Bは種結晶中のYの数を示し、BGdは種結晶中のGdの数を示す。
次に、冷却工程ではヒータの加熱出力を調節し、育成工程後に得られる育成後の単結晶インゴット(図示せず)を冷却する。
ここで、単結晶のクラックの発生を十分に防止して、無機シンチレータの単結晶をより確実に製造する観点から、上記溶融工程及び冷却固化工程の作業中に、高周波誘導加熱炉14内の気相を、下記式(7)で表される条件を満たす不活性ガスを主成分とする混合ガスで満たしておくことが好ましい。
100×{G/(E+G)}≦2.0(%)…(7)
式(7)中、Eは混合ガス中の不活性ガスの分圧を示し、Gは混合ガス中の酸素ガスの分圧を示す。なお、本発明において、「不活性ガス」とは、希ガス及び窒素ガスを示す。
{G/(E+G)}の値が2.0%を超えると、結晶に着色が発生し、シンチレータ性能が低下する傾向が大きくなる。なお、{G/(E+G)}の値が4.0%を超えると、るつぼの構成材料にIrを使用した場合には、この構成材料の蒸発が激しく進行するようになり、結晶の育成が困難になる。
次に、切断工程において、無機シンチレータの単結晶インゴット1を、所望の形状及び大きさに切り出し、無機シンチレータの単結晶を得る。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の無機シンチレータは、固体状態が多結晶であってもよい。本発明の無機シンチレータが多結晶である場合、従来の多結晶シンチレータと同様に、ゾル−ゲル法などの製造方法により得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)316.84g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)87.06g、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)65.73g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)0.38gを投入し、これらの混合物470.01gを得た。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:Ce0.002Lu0.4Gd1.598SiO)を得た(溶融工程)。
次に、種結晶を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。種結晶として、通常の結晶育成法で得られたCe0.002Lu0.4Gd1.598SiO単結晶を切り出したものを用いた。なお、この単結晶は結晶育成後、切り出し(切削)前に粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)により、結晶構造が空間群C2/cに属する単結晶であることが確認された。
次いで、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が25mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した(冷却固化工程)。
得られた単結晶インゴットは、結晶質量約308.13g、コーン部の長さ約10mm、直胴部の長さ約70mm、直胴部の直径が約25mmであった。
次に、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、以下「ICP」と表記する。)質量分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:「SPQ9000」)を用いて、得られた単結晶中のLu濃度(ALu/(ALu+AGd))、Gd濃度(AGd/(ALu+AGd))及びCe濃度(ACe/(ALu+AGd))を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0004389689
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。得られたX線回折パターンを図3に示す。このX線回折パターンから、上記単結晶は空間群C2/cに属する単結晶であり、格子定数a=14.492Å、b=10.528Å、c=6.766Å、γ=122.2°であることが分かった。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した(切断工程)。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定した。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。測定結果を、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとって示したグラフを図4に示す。測定の結果、蛍光の立ち上がり時間は1ナノ秒以下であった。
(実施例2)
図2に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)262.67g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)124.02g、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)62.42g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)0.89gを投入し、これらの混合物450.00gを得た。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:Ce0.005Lu0.6Gd1.395SiO)を得た(溶融工程)。
次に、種結晶を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。種結晶として、通常の結晶育成法で得られたCe0.005Lu0.6Gd1.395SiO単結晶を切り出したものを用いた。なお、この単結晶は結晶育成後、切り出し(切削)前に粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)により、結晶構造が空間群C2/cに属する単結晶であることが確認された。
次いで、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が23mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した(冷却固化工程)。
得られた単結晶インゴットは、結晶質量約230.90g、コーン部の長さ約10mm、直胴部の長さ約70mm、直胴部の直径が約23mmであった。
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。得られたX線回折パターンを図5に示す。このX線回折パターンから、上記単結晶は空間群C2/cに属する単結晶であり、格子定数a=14.459Å、b=10.469Å、c=6.748Å、γ=122.2°であることが分かった。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した(切断工程)。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定した。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。測定結果を、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとって示したグラフを図6に示す。測定の結果、蛍光の立ち上がり時間は1ナノ秒以下であった。
(実施例3)
図2に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)273.54g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)86.10g、酸化イットリウム(Y、純度99.99質量%)24.43g、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)65.00g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)0.93gを投入し、これらの混合物450.00gを得た。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:Ce0.0050.2Lu0.4Gd1.395SiO)を得た(溶融工程)。
次に、種結晶を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。種結晶として、通常の結晶育成法で得られたCe0.0050.2Lu0.4Gd1.395SiO単結晶を切り出したものを用いた。なお、この単結晶は結晶育成後、切り出し(切削)前に粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)により、結晶構造が空間群C2/cに属する単結晶であることが確認された。
次いで、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が23mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した(冷却固化工程)。
得られた単結晶インゴットは、結晶質量約287.10g、コーン部の長さ約10mm、直胴部の長さ約70mm、直胴部の直径が約23mmであった。
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。得られたX線回折パターンを図9に示す。このX線回折パターンから、上記単結晶は空間群C2/cに属する単結晶であり、格子定数a=14.479Å、b=10.512Å、c=6.760Å、γ=122.2°であることが分かった。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した(切断工程)。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定した。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。測定結果を、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとって示したグラフを図10に示す。測定の結果、蛍光の立ち上がり時間は1ナノ秒以下であった。
(比較例1)
図2に示すものと同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1.5mmのIr製るつぼの中に、原料として、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)344.34g、酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)42.02g、二酸化ケイ素(SiO、純度99.99質量%)63.45g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)0.18gを投入し、これらの混合物449.99gを得た。次に、高周波誘導加熱炉で1950℃以上に加熱し融解して溶融液(溶融液の化学組成:Ce0.001Lu0.2Gd1.799SiO)を得た。
次いで、イリジウム金属製の針金(1mmφ×200mm)を先端に固定した引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ種付けを行った。更に、融解液の温度を下げ、イリジウム金属製の針金表面に融解液を固化させ結晶化し、その結晶を種結晶として単結晶育成を開始した。
次に、引上げ速度3〜10mm/hの速度でネック径8mmφの単結晶インゴットを引き上げてネック部を形成した。その後、コーン部(直胴部)の引上げを行い、直径が25mmφになった時点より、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成した後、単結晶インゴットを融液から切り離し、冷却を開始した。冷却終了後、得られた単結晶を取り出した。
得られた単結晶インゴットは、結晶質量約290.37g、コーン部の長さ約10mm、直胴部の長さ約70mm、直胴部の直径が約25mmであった。
次いで、得られた単結晶底部を一部切り出し、粉末状に加工した。続いて、得られた粉末を、シリコン粉末標準サンプルと混合し、粉末X線回折装置(リガク社製、商品名:「RAD」)を用いて、結晶構造を同定した。得られたX線回折パターンを図7に示す。このX線回折パターンから、上記単結晶は空間群P2/cに属する単結晶であり、格子定数a=9.128Å、b=7.020Å、c=6.737Å、β=107.5°であることが分かった。
次に、得られた単結晶インゴットから、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のサンプル(無機シンチレータの単結晶)を切り出した(切断工程)。切り出しには内周刃切断機を用い、内周刃切断機の刃は、#325〜400の天然ダイヤモンドを電着したものを用いた。
上記サンプル(略直方体)の6つの面のうちの4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを被覆した。次に、そのサンプルを、PTFEテープを被覆していない上記放射線入射面を浜松ホトニクス社製光電子増倍管(H1949、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向させるようにして、光学グリースを用いて固定した。そして、そのサンプルに対して137Csを用いた611KeVの放射線を照射し、その蛍光出力の時間変化(経時変化)をテクトロニクス社製デジタルオシロスコープ(TDS3052、商品名)を用いて測定した。測定結果を、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとって示したグラフを図8に示す。測定の結果、蛍光の立ち上がり時間は25ナノ秒であった。
実施例1、2に示した結果から明らかなように、比較例1の無機シンチレータに比較して、実施例の無機シンチレータは、蛍光の立ち上がり時間が非常に短くなっていることが確認された。
本発明の無機シンチレータは、PETに搭載されるシンチレータ、高エネルギー物理研究用シンチレータなどとして利用することができる。
シンチレータから出力される蛍光パルスの強度の典型的な経時変化を模式的に示すグラフである。 本発明の無機シンチレータを製造するための製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施例に係る無機シンチレータのX線回折パターンである。 本発明の実施例に係る無機シンチレータから出力される蛍光パルス強度の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施例に係る無機シンチレータのX線回折パターンである。 本発明の実施例に係る無機シンチレータから出力される蛍光パルス強度の経時変化を示すグラフである。 比較例に係る無機シンチレータのX線回折パターンである。 比較例に係る無機シンチレータから出力される蛍光パルス強度の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施例に係る無機シンチレータのX線回折パターンである。 本発明の実施例に係る無機シンチレータから出力される蛍光パルス強度の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1…単結晶(無機シンチレータ)、2…種子結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、13…抵抗加熱ヒータ、14…高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)、15…高周波誘導コイル、16…るつぼ支持棒、17…るつぼ、18…溶融液(融液)。

Claims (14)

  1. 放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータであって、
    Lu、Gd、Ce及びSiを含有する金属酸化物からなり、
    空間群C2/cの単斜晶に属する結晶であり
    下記式(1A)で表される条件を満足し、かつ
    前記金属酸化物の組成が下記式(I)及び(II)で表される、無機シンチレータ。
    {ALu/(ALu+AGd)}<0.50 ・・・(1A)
    Ce α β Lu γ Gd 2−(α+β+γ) SiO ・・・(I)
    α:β:γ:2−(α+β+γ)=A Ce :A :A Lu :A Gd ・・・(II)
    (式(1A)及び(II)中、 Ce は前記結晶中のCeの数を示し、A は前記結晶中のYの数を示し、Luは前記結晶中のLuの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示し、A は0以上である。)
  2. 下記式(2A)で表される条件を満足する、請求項1記載の無機シンチレータ。
    0.10<{ALu/(ALu+AGd)}<0.40 …(2A)
  3. 前記金属酸化物が更にYを含有し、かつ
    下記式(1B)で表される条件を満足する、請求項1記載の無機シンチレータ。
    {(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.50 …(1B)
    (式(1B)中、ALuは前記結晶中のLuの数を示し、Aは前記結晶中のYの数を示し、AGdは前記結晶中のGdの数を示す。)
  4. 下記式(2B)で表される条件を満足する、請求項3記載の無機シンチレータ。
    0.10<{(ALu+A)/(ALu+A+AGd)}<0.40 …(2B)
  5. 単結晶である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機シンチレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の無機シンチレータの製造方法であって、
    溶融法に基づき前記無機シンチレータの原料を溶融状態とした溶融液を得る溶融工程と、
    前記溶融液を冷却固化させることにより、単結晶インゴットを得る冷却固化工程と、
    前記単結晶インゴットを所望の形状及び大きさに切り出す切断工程と、を有する、無機シンチレータの製造方法。
  7. 前記冷却固化工程において、前記溶融液の冷却固化前に、種結晶の少なくとも一部を前記溶融液に浸漬し、前記種結晶の所定の結晶面に沿って結晶を育成して前記単結晶インゴットを得る、請求項6記載の無機シンチレータの製造方法。
  8. 前記種結晶として、Lu、Gd及びSiを含有する金属酸化物からなり、かつ空間群C2/cの単斜晶に属する結晶を用いる、請求項7記載の無機シンチレータの製造方法。
  9. 前記種結晶が下記一般式(3A)で表される条件を満足する、請求項8記載の無機シンチレータの製造方法。
    {BLu/(BLu+BGd)}<0.50 …(3A)
    (式(3A)中、BLuは前記種結晶中のLuの数を示し、BGdは前記種結晶中のGdの数を示す。)
  10. 前記種結晶が下記一般式(4A)で表される条件を満足する、請求項9記載の無機シンチレータの製造方法。
    0.10<{BLu/(BLu+BGd)}<0.40 …(4A)
  11. 前記金属酸化物が更にYを含有し、かつ前記種結晶が下記一般式(3B)で表される条件を満足する、請求項9記載の無機シンチレータの製造方法。
    {(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.50 …(3B)
    (式(3B)中、BLuは前記種結晶中のLuの数を示し、Bは前記種結晶中のYの数を示し、BGdは前記種結晶中のGdの数を示す。)
  12. 前記種結晶が下記一般式(4B)で表される条件を満足する、請求項11記載の無機シンチレータの製造方法。
    0.10<{(BLu+B)/(BLu+B+BGd)}<0.40 …(4B)
  13. 前記種結晶として、Y及びSiを含有する金属酸化物からなり、かつ空間群C2/cの単斜晶に属する結晶を用いる、請求項7記載の無機シンチレータの製造方法。
  14. 前記種結晶として、Lu及びSiを含有しGdを含有しない金属酸化物からなり、かつ空間群C2/cの単斜晶に属する結晶を用いる、請求項7記載の無機シンチレータの製造方法。
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