JP2011132092A - フッ化物結晶、真空紫外発光素子及び真空紫外発光シンチレーター - Google Patents

フッ化物結晶、真空紫外発光素子及び真空紫外発光シンチレーター Download PDF

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Abstract

【課題】真空紫外領域で高輝度発光するフッ化物を提供する。また、該フッ化物からなり、フォトリソグラフィー、半導体や液晶の基板洗浄、殺菌、次世代大容量光ディスク、及び医療(眼科治療、DNA切断)等に好適に使用できる新規な真空紫外発光素子、及び低バックグラウンドノイズのダイヤモンド受光素子やAlGaN受光素子を、従来の光電子増倍管の代替として組み込んだ小型の放射線検出器に好適に使用できる真空紫外発光シンチレーターを提供する。
【解決手段】化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されるフッ化物結晶を、坩堝5の底部に設けた穴より原料融液を引き出して製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規なフッ化物結晶に関する。該フッ化物結晶はフォトリソグラフィー、半導体や液晶の基板洗浄、殺菌、次世代大容量光ディスク、及び医療(眼科治療、DNA切断)等に用いられる真空紫外発光素子、及びPETによる癌診断やX線CTに用いられる放射線検出器用真空紫外発光シンチレーターとして好適に使用できる。
高輝度紫外発光素子は、半導体分野、情報分野、医療分野等における先端技術を支える材料であり、近年では、記録媒体への記録密度の向上を始めとする多くの需要に応えるべく、より短波長で発光する紫外発光素子の開発が進められている。短波長で発光する紫外発光素子としては、GaN等の紫外発光材料による発光波長約360nmのLEDが市販されている。
より短波長の発光波長200nm以下の真空紫外発光材料は、真空紫外発光素子として、フォトリソグラフィー、半導体や液晶の基板洗浄、殺菌等にも好適に使用できるため、開発が望まれているが、かかる真空紫外発光素子を得ることは容易ではなく、わずかな例しか知られていないのが現状である。
また、放射線の照射によって発光するものはシンチレーターとしても用いることができる。
PETによる癌診断やX線CTに用いられる放射線検出器は、シンチレーターという放射線が照射された際に発光する材料と、光電子増倍管や半導体受光素子などの微弱光検出器を組み合わせて構成される。
微弱光検出器には光電子増倍管やSi受光素子を用いるのが主流であるが、近年、ダイヤモンドやAlGaNを受光面に用いた真空紫外光受光素子が開発されており、これらの受光素子は従来のSi半導体受光素子に比べ、真空紫外光よりもエネルギーの低い可視光には感応しないため、低バックグラウンドノイズが実現可能で、放射線検出器に組み込むのに有望な受光素子である。そのため、これらの受光素子に好適な新しい真空紫外発光シンチレーターの開発が求められている。
従来は可視光受光素子が用いられてきたことから、可視光発光を示すシンチレーター結晶が主に開発されてきており、真空紫外発光シンチレーターは十分に検討されていない。
一例として、Ndを添加したフッ化ランタン結晶があるが(非特許文献1参照)、既に実用化されているLYSOやLSO(発光波長約400nmのCe添加Lu系酸化物)と比べ、175nmの短波長発光を実現しているものの、Lu(原子番号Z=71)より原子番号が低いLa(Z=57)を母材として主に含有している。Laの原子番号は全元素中では比較的高く、Ndを添加したフッ化ランタン結晶のガンマ線阻止能は良好な特性を有するものの、LYSOやLSOに比べると十分ではない。
真空紫外発光材料の開発が困難である要因としては、真空紫外線は多くの物質に吸収されてしまうため、自己吸収を起こさない物質が限られる点が挙げられる。
さらに、真空紫外領域における発光特性は、材料中の不純物の影響を受けやすく、また、たとえ真空紫外領域に発光のエネルギー準位を有する材料であっても、より低いエネルギー準位に基づく長波長の発光が支配的であったり、非輻射遷移による損失が甚大であったりする等の理由により、所望の真空紫外発光を得られない場合が多い。
したがって、真空紫外領域における発光特性を予め予測することは極めて困難であり、このことが真空紫外発光素子の開発における大きな障壁となっている。
P.SHOTAUS et al.、"DETECTION OF LaF3:Nd3+ SCINTILLATION LIGHT IN A PHOTOSENSITIVE MULTIWIRE CHAMBER" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A272,913−916(1988).
本発明は、真空紫外領域で高輝度発光するフッ化物結晶を提供することを目的とする。また、該フッ化物結晶からなり、フォトリソグラフィー、半導体や液晶の基板洗浄、殺菌、次世代大容量光ディスク、及び医療(眼科治療、DNA切断)等に好適に使用できる新たな真空紫外発光素子及び、PETによる癌診断やX線CTに使用する放射線検出器用の真空紫外発光シンチレーターを提供することを目的とする。
本発明者等は、真空紫外領域で発光する材料を探索し、種々検討した結果、KLuFのKの一部をNaに置き換え、KとNaの合計の原子数とLuの原子数の比率を変えた組成で作製したフッ化物結晶を放射線で励起することにより、真空紫外領域の波長で高輝度発光することを見出した。また、KLuFは潮解性を有するが、Kの一部をNaに置換することで潮解性の少ないものとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されることを特徴とするフッ化物結晶、該フッ化物結晶からなること特徴とする真空紫外発光素子及び真空紫外発光シンチレーターである。
本発明の化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されるフッ化物結晶によれば、放射線の照射により真空紫外領域における高輝度な発光を得ることができる。該結晶からなる真空紫外発光素は、フォトリソグラフィー、半導体や液晶の基板洗浄、殺菌、次世代大容量光ディスク、及び医療(眼科治療、DNA切断)等に好適に使用することができる。また、ダイヤモンド受光素子やAlGaN受光素子等の真空紫外用の微弱光検出器に対するシンチレーターとして好適に使用できる。
また、本発明のフッ化物結晶は潮解性が少なく、大気中で取り扱うことが可能である。そのため、特別に湿度管理された乾燥設備内でなくとも作製・加工できる利点がある。
本図は、マイクロ引き下げ法による結晶製造装置の概略図である。 本図は、実施例1〜5、比較例1、2の粉末X線回折パターンである。 本図は、実施例1、6〜8、比較例3、4の粉末X線回折パターンである。 本図は、X線励起発光スペクトルの測定装置の概略図である。 本図は、実施例1、9のX線励起発光スペクトルである。 本図は、実施例2〜8のX線励起発光スペクトルである。
以下、本発明の化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されるフッ化物結晶について説明する。本発明において真空紫外発光とは200nm以下の波長の発光のことを言う。
本発明のフッ化物結晶は、KLuFのKの一部をNaに置き換え、KとNaの合計の原子数とLuの原子数の比率を変えた組成としたものであり、式中のXは、KとNaの合計の原子数に対するNaの割合を示し、YはKとNaの合計の原子数に対するLuの原子数の割合を示す。
XもしくはYが定められた範囲外の値となる該化学式で表される結晶(例えばK1.5Na1.5LuF、KNaLu0.54.5など)は通常、得ることができない。
そのような原子数の比率で原料粉末を秤量して育成した結晶において、本発明の結晶と類似の粉末X線回折パターンが確認できる場合は、X及びYが定められた範囲内の値の該化学式で表される本発明の結晶が生成し、異相として本発明の結晶とは異なる結晶構造を持つ結晶が混合している。例えば、X=1.3を目標として原料粉末を秤量した場合、本発明の結晶と同様の結晶構造を持つ結晶と異相との混合物となり、X=1.3の結晶は得られない。
さらに、Xが0.7以下もしくはYが0.85以下であると、過剰なKFが異相として含まれることがある。一般にKFは強い潮解性を有することが知られており、KFが異相として含まれた混合物には潮解性が生じる。
本発明の化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されるフッ化物結晶は、化学式KNaYFで表されるフッ化物結晶に類似の結晶構造を持つ。
本発明のフッ化物結晶は、不純物として、その結晶構造とは異なる結晶相が生じない範囲であれば、微量(5%以下)の金属イオン(Li、Rb、Cs、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどからなる少なくとも一種)を結晶構造中に含有していてもよい。
本発明の結晶は単結晶、多結晶、あるいは結晶粉末のいずれの状態でもよく、いずれの状態であっても真空紫外発光を起こすことができるが、単結晶の場合は一般的に光の透過性が高く、大きなサイズの固体サンプルであっても内部からの発光を減衰させずに取り出しやすいため、真空紫外発光素子、真空紫外発光シンチレーターのいずれの用途にも好適である。
製造方法は特に限定されないが、チョクラルスキー法やマイクロ引き下げ法に代表される一般的な融液成長法によって製造することができる。
マイクロ引き下げ法とは、図1に示すような装置を用いて、坩堝5の底部に設けた穴より原料融液を引き出して結晶を製造する方法である。
以下、マイクロ引き下げ法によって本発明のフッ化物結晶を製造する際の、一般的な方法について説明する。
まず、所定量の原料を、底部に孔を設けた坩堝5に充填する。坩堝底部に設ける孔の形状は、特に限定されないが、直径が0.5〜4mm、長さが0〜2mmの円柱状とすることが好ましい。
本発明において原料は特に限定されないが、純度がそれぞれ99.99%以上のKF、NaF、LuF粉末を混合した混合原料を用いることが好ましい。かかる混合原料を用いることにより、結晶の純度を高めることができ、発光強度等の特性が向上する。混合原料は、混合後に焼結或いは溶融固化させてから用いても良い。
上記混合原料における原料粉末の混合比は、通常の結晶育成条件では、化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表される原子数の比率をそのまま用いることができる。ただし、結晶育成条件によっては(例えば融点に比べ著しく高温であるなどした場合)、それぞれの原料粉末の育成中の揮発量に差が生じることがある。その場合は揮発しやすい粉末を該化学式で定める組成比より多く秤量する必要がある。
次いで、上記原料を充填した坩堝5、アフターヒーター1、ヒーター2、断熱材3、及びステージ4を図1に示すようにセットする。真空排気装置を用いて、チャンバー6内を1.0×10−3Pa以下まで真空排気した後、高純度アルゴン等の不活性ガスをチャンバー6内に導入してガス置換を行う。ガス置換後のチャンバー内の圧力は特に限定されないが、大気圧が一般的である。
該ガス置換操作によって、原料或いはチャンバー内に付着した水分を除去することができ、かかる水分に由来する結晶の劣化を妨げることができる。上記ガス置換操作によっても除去できない水分による影響を避けるため、フッ化亜鉛等の固体スカベンジャー或いは四フッ化メタン等の気体スカベンジャーを用いることが好ましい。固体スカベンジャーを用いる場合には原料中に予め混合しておく方法が好適であり、気体スカベンジャーを用いる場合には上記不活性ガスに混合してチャンバー内に導入する方法が好適である。
ガス置換操作を行った後、高周波コイル7で原料を加熱して溶融せしめ、溶融した原料融液を坩堝底部の孔から引き出して、結晶の育成を開始する。
ここで、金属ワイヤーを引き下げロッドの先端に設け、該金属ワイヤーを坩堝底部の孔から坩堝内部に挿入し、該金属ワイヤーに原料融液を付着せしめた後、原料融液を金属ワイヤーと共に引き下げることによって結晶の育成が可能となる。
即ち、高周波の出力を調整し、原料の温度を徐々に上げながら、該金属ワイヤーを坩堝底部の孔に挿入し、引き出しを行う。この操作を、原料融液が金属ワイヤーと共に引き出されるまで繰り返して、結晶の育成を開始する。該金属ワイヤーの材質は、原料融液と実質的に反応しない材質であれば制限無く使用できるが、W−Re合金等の高温における耐食性に優れた材質が好適である。
上記金属ワイヤーによる原料融液の引き出しを行った後、一定の引き下げ速度で連続的に引き下げることにより、結晶を得ることができる。
該引き下げ速度は、特に限定されないが、速過ぎると結晶性が悪くなりやすく、遅過ぎると、結晶性は良くなるものの、結晶育成に必要な時間が膨大になってしまうため、0.5〜10mm/hrの範囲とすることが好ましい。
本発明のフッ化物結晶の製造において、熱歪に起因する結晶欠陥を除去する目的で、結晶の製造後にアニール操作を行っても良い。
得られた結晶は、良好な加工性を有しており、所望の形状に加工して用いることが容易である。加工に際しては、公知のブレードソー、ワイヤーソー等の切断機、研削機、或いは研磨盤を何ら制限無く用いることができる。また、本発明の結晶は潮解性が少ないため、特別に湿度管理された乾燥設備内でなくとも加工することが可能である。
本発明の結晶は良好な真空紫外発光特性を有しており、X線、ガンマ線、ベータ線などの放射線によって励起して発光させることが可能である。
本発明のフッ化物結晶は所望の形状に加工して本発明の真空紫外発光素子、及び真空紫外発光シンチレーターとすることができる。
本発明のフッ化物結晶からなる真空紫外発光素子は、励起源である放射線源と組み合わせることにより、真空紫外光発生装置とすることができる。かかる真空紫外光発生装置は、フォトリソグラフィー、殺菌、次世代大容量光ディスク、及び医療(眼科治療、DNA切断)等の分野において、好適に使用される。また、本発明のシンチレーターは、ダイヤモンド受光素子やAlGaN受光素子等の真空紫外用の微弱光検出器と組み合わせて、低バックグラウンドノイズの放射線検出器として好適に使用できる。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜4、参考例1
(フッ化物結晶の製造)
図1に示す結晶製造装置を用いて、実施例1〜9及び比較例1〜4、参考例1の結晶を製造した。以下、実施例1について、作製した方法を詳述するが、実施例2〜9及び比較例1〜4、参考例1についても表1に示すように各原料の秤量値が異なることを除いて、同様の方法で作製した。
原料としては、純度が99.99%のKF、NaF、LuFを用いた。アフターヒーター1、ヒーター2、断熱材3、ステージ4、及び坩堝5は、高純度カーボン製のものを使用し、坩堝底部に設けた孔の形状は直径2mm、長さ0.5mmの円柱状とした。
まず、各原料を表1に示すとおりそれぞれ秤量し、よく混合した後に坩堝5に充填した。
原料を充填した坩堝5を、アフターヒーター1の上部にセットし、その周囲にヒーター2、及び断熱材3を順次セットした。次いで、油回転ポンプ及び油拡散ポンプからなる真空排気装置を用いて、チャンバー6内を1.0×10−4Paまで真空排気した後、アルゴン90%−四フッ化メタン10%混合ガスをチャンバー6内に導入してガス置換を行った。
ガス置換後のチャンバー6内の圧力は大気圧とした後、高周波コイル7で原料を約400度まで加熱したが、原料融液の坩堝5底部の孔からの滲出は認められなかった。そこで、高周波の出力を調整して原料融液の温度を徐々に上げながら、引き下げロッド8の先端に設けたW−Reワイヤーを、上記孔に挿入し、引き下げる操作を繰り返したところ、原料の融液を上記孔より引き出すことができた。
この時点の温度が保たれるように高周波の出力を固定し、原料の融液を引き下げ、結晶化を開始した。6mm/hrの速度で連続的に12時間引き下げ、最終的に直径2mm、長さ約70mmの結晶を得た。
実施例1〜9及び参考例1の結晶は無色透明であったが、比較例1〜4は白濁した結晶が得られた。
Figure 2011132092
(結晶相の同定)
実施例1〜8、比較例1〜4で得られたフッ化物結晶の結晶相の同定を下記の方法で行った。
得られた結晶の一部を粉砕して粉末にして、粉末X線回折測定を行った。測定装置にはBruker AXS社製、D8 DISCOVERを用いた。粉末X線回折法による回折パターンを図2〜3に示す。粉末X線回折法によって得られた回折パターンを解析した結果から、実施例1〜8の結晶は、KNaYFと類似の粉末X線回折パターンの結晶であることが分かった。
図2、3より、Xが0.7以下、Xが1.3以上、Yが0.85以下、もしくはYが1.1以上を目標として秤量し、作製した比較例1〜4については単相では得られず、異相が確認され、目標とする組成のフッ化物結晶は得られなかった。
また、単相で得られた本発明のフッ化物結晶の回折ピークは、組成に応じたピークシフトが見られた。一般にイオン半径の大きい元素で小さい元素のサイトを置換した場合は格子定数が大きくなり、回折ピークは低角度側にシフトするとされている。逆にイオン半径の小さい元素で大きい元素のサイトを置換した場合は、格子定数が小さくなり、回折ピークは高角側にシフトするとされている。イオン半径の大きな順に構成元素を並べると、K>Na>Luである。
図2より、Naに対してKを増加させた場合、回折ピークは低角側にシフトする傾向にあるため、格子定数は大きくなっており、Kは価数が同じでイオン半径の小さいNaのサイトを置換しているものと考えられる。
図3より、KとNaの合計の原子数に対し、Luを増加させた場合、回折ピークは高角側にシフトする傾向にあるため、格子定数は小さくなっていると考えられる。Luはイオン半径の大きいKもしくはNaのサイトを置換しているものと推定されるが、価数が異なるため、いかなる様態で結晶中に存在しているのか定かではない。
これらのことより、異なる組成で単相の結晶が得られた場合は、一部元素が置換した類似構造が生成しているものと考えられる。
(発光特性の評価)
得られた実施例1〜9の結晶を、ワイヤーソーによって約10mmの長さに切断し、側面を研削して長さ10mm、幅約2mm、厚さ1mmの形状に加工した後、長さ10mm、幅約2mmの面の両面を鏡面研磨して発光特性測定用の試料を作製した。
加工した結晶の室温のX線励起による真空紫外発光特性を、図4に示す測定装置を用いて以下のようにして測定した。
測定装置内の所定の位置に本発明の試料9をセットし、装置内部全体を窒素ガスで置換した。励起源であるX線発生器10(RIGAKU SA−HFM3用X線発生装置)からのX線を60kV、35mAの出力で試料9に照射し、試料9からの発光を発光分光器11(分光計器製、KV201型極紫外分光器)で分光した。発光分光器11による分光の波長を100〜280nmの範囲で掃引し、各発光波長における発光強度を光電子増倍管12で記録した。
線励起発光スペクトルを図5、図6に示した。図5及び図6より、実施例1〜9の全ての結晶で波長約140〜200nmの真空紫外領域の波長において発光を確認した。このことから、本発明の結晶が200nm以下の波長において充分な強度で発光し、真空紫外発光素子として動作することが確認された。
実施例1〜9のうち図5の実施例9で最も高い発光強度が得られた。本発明はKNaYFの類似構造であるが、高強度の真空紫外発光を得るには必ずしもKNaLuFの化学式(X=1、Y=1)で表される組成を目標として作製する必要はなく実施例9のようなKの割合が多い(X、Yの値が低い)結晶においても高い発光強度が得られることがわかる。
また、放射線により励起されて真空紫外発光することから、シンチレーターとして動作することも確認された。
(潮解性の評価)
本発明のフッ化物結晶とするためにKの一部をNaに置き換える前のKLuFの結晶(参考例1)と実施例1〜9の結晶の潮解性を比較した。
潮解は固体が雰囲気中の水分を取り込んで水溶液となる現象であるため、実施例1〜9及び参考例1の結晶(1×2×10mmに研削、研磨した固体)を気温約25℃、湿度約70%の大気中で、同じ場所に同時に約1時間放置して、比較した。実施例1〜9は変化が見られなかったのに対し、参考例1は結晶表面に水分の付着が確認された。
次に、より明確に結晶への水分の影響を調べるため、純水約100mlの入った瓶を2本用意し、それぞれの瓶に実施例1の結晶と、参考例1の結晶を投入した。
ここで、瓶をよく振ってかき混ぜたところ実施例1の結晶は変化が見られなかったのに対し、参考例1の結晶は一部溶解して形状が崩れ、十分な時間かき混ぜると粉々になった。このことから本発明のフッ化物結晶は参考例1の結晶に比べ水分の影響が少ないことがわかる。
1 アフターヒーター
2 ヒーター
3 断熱材
4 ステージ
5 坩堝
6 チャンバー
7 高周波コイル
8 引き下げロッド
9 試料
10 X線発生器
11 発光分光器
12 光電子増倍管

Claims (3)

  1. 化学式K3−XNaLu3+3Y(式中、0.7<X<1.3、0.85<Y<1.1である)で表されることを特徴とするフッ化物結晶。
  2. 請求項1に記載のフッ化物結晶からなることを特徴とする真空紫外発光素子。
  3. 請求項1に記載のフッ化物結晶からなることを特徴とする真空紫外発光シンチレーター。
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