JP7021959B2 - 液圧緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、液圧緩衝器に関する。
車両用に供される液圧緩衝器には、減衰力を可変にするものがあり、構造としてはたとえば、シリンダと、シリンダ内にピストンで区画したロッド側室とピストン側室と、リザーバと、伸側室と圧側室とを連通する通路と、通路に設けた減衰力可変弁とを備えている。
減衰力可変弁は、通路に設けられて通路を開閉する主弁と、途中に絞りを備えて通路の上流の圧力を減圧して主弁を閉方向へ附勢する背圧として導くパイロット通路と、パイロット通路の絞りよりも下流に設けられて背圧を制御する圧力制御弁と圧力制御弁に一体化されてパイロット通路を開閉する開閉弁とを有して単一のソレノイドによって制御される電磁弁とを備えて構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
この液圧緩衝器によれば、単一の減衰力可変弁によって減衰力を調整でき、主弁の開弁圧を調節するので、電流に応じて伸側室と圧側室の差圧を制御して、所望の減衰力が得られる。
特開2015-59573公報
前記液圧緩衝器では、減衰力可変弁が伸側室と圧側室とを連通するパイロット通路を備えているので、パイロット通路を通じても伸側室と圧側室とが連通されている。
よって、液圧緩衝器の伸縮速度が低い状態では、流量が少なく、主弁が開かずとも、液体がパイロット通路を通過して伸側室と圧側室とを行き来するので、図5に示すように、液圧緩衝器は、主弁の開弁圧を如何に調整しても液圧緩衝器が発生する減衰力(発生力)を出力できない領域U1,U2が存在する。
この領域での発生力調整が可能となれば、伸縮速度が低い状態でも発生力調整が可能となり、車両における乗り心地の向上に貢献できる。
そこで、本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、伸縮速度が低くとも発生力調整が可能で車両における乗り心地を向上できる液圧緩衝器の提供である。
前記目的を達成するために、本発明の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、伸側室と圧側室とを連通する通路と、通路に設けられて伸側室と圧側室とを連通するパイロット通路内の圧力の調整により開弁圧を調整可能な電磁圧力調整弁と、ポンプと、ポンプを駆動するモータを備え、ポンプが吐出した液体を伸側室と圧側室の一方を選択して供給可能としている。このように、本発明の液圧緩衝器が電磁圧力調整弁に加えてポンプを備えているので、伸縮速度が低くとも発生力調整が可能で車両における乗り心地を向上できる。さらに、液圧緩衝器は、伸側室と圧側室の目標圧力に基づいて電磁圧力調整弁の開弁圧を制御するとともにモータへ供給する電流を制御して、伸側室と圧側室の差圧力を制御するコントローラを備えている。このように液圧緩衝器を構成すると、圧力指令から電流指令を求めるので、電磁圧力調整弁およびモータの制御を別々の指令から別々に求める必要がなく、液圧緩衝器の発生力を非常に簡単に制御できる。
また、液圧緩衝器は、ポンプによって蓄圧されるアキュムレータと、ポンプおよびアキュムレータを伸側室と圧側室の一方を選択して連通可能であって、ポンプおよびアキュムレータを伸側室と圧側室から遮断可能な切換弁とを備えて構成されてもよい。このように液圧緩衝器が構成されると、ポンプやこれを駆動するモータの慣性による応答遅れを解消して、伸側室と圧側室の差圧力を狙い通りに制御でき、ポンプの駆動初期の発生力の落ち込みを生じさせないので、接地荷重がより安定し車両における乗り心地をより一層向上できる。
そして、液圧緩衝器は、リザーバと、圧側室からリザーバへ向かう液体の流れのみを許容するとともに液体の流れに抵抗を与えるベースバルブと、リザーバから圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路とを備えていてもよい。このように液圧緩衝器を構成すると、ピストンロッドが伸側室内にのみ挿通される片ロッド型の緩衝器においても、ピストンロッドのシリンダ内へ進退する際の体積を補償しつつ、電磁圧力調整弁による発生力調整とポンプによる発生力調整を行える。
また、液圧緩衝器は、車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装され、
モータにばね上部材の上下方向速度に比例するトルクを発生させるように構成されてもよい。このように構成された液圧緩衝器では、スカイフック制御によってばね上部材の振動を抑制できる。
さらに、液圧緩衝器は、車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装され、モータがばね上部材の上下方向速度の絶対値に比例するトルクを発生するよう制御され、切換弁がばね上部材の上下方向速度の方向によって切換制御されるように構成されてもよい。このように構成された液圧緩衝器では、スカイフック制御によってばね上部材の振動を抑制できる。
また、液圧緩衝器は、通路が伸側通路と圧側通路を有し、電磁圧力調整弁が伸側通路に設けた伸側減衰弁と、圧側通路に設けた圧側減衰弁と、伸側室と圧側室とを連通するパイロット通路と、パイロット通路に設けられた電磁弁とを備え、パイロット通路の電磁弁より上流の圧力が伸側減衰弁および圧側減衰弁を閉方向へ附勢するパイロット圧として導かれており、電磁弁で圧力を調整して伸側減衰弁および圧側減衰弁の開弁圧を調整するように構成されてもよい。このように液圧緩衝器が構成されると、伸長時の発生力を制御する電磁減衰弁と収縮時の発生力を制御する電磁減衰弁の二つの電磁減衰弁を必要とせず、一つの電磁弁で伸縮両側の発生力を制御できるようになる。よって、この液圧緩衝器によれば、電磁弁とモータの制御で伸長側の発生力と収縮側の発生力を制御できるので、コストを低減できる。
そして、液圧緩衝器は、電磁弁へ供給する電流量が大きい程、伸側減衰弁および圧側減衰弁の開弁圧が大きくなるよう設定され、伸縮方向と発生したい力の方向が同一である場合、電磁弁の電流量を指示する目標電流を最大とするように構成されてもよい。このように構成された液圧緩衝器は、アクチュエータとして機能する際に、省エネルギとなる。
以上より、本発明の液圧緩衝器によれば、伸縮速度が低くとも発生力調整が可能で車両における乗り心地を向上できる。
第一の実施の形態における液圧緩衝器の構成図である。 液圧緩衝器の伸長速度と発生力の特性を示したグラフである。 コントローラの構成図である。 第二の実施の形態における液圧緩衝器の構成図である。 従来の液圧緩衝器の伸長速度と発生力の特性を示したグラフである。
以下、図に示した各実施の形態に基づき、本発明を説明する。なお、各実施の形態の液圧緩衝器D1,D2の説明にあたり、いくつかの実施の形態で共通する部材については同じ符号を付し、説明が重複するので、一つの実施の形態において説明した部材については他の実施の形態での説明は省略する。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態における液圧緩衝器D1は、図1に示すように、この例では、シリンダ1と、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、ピストン2に連結されてシリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド3と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路としての伸側通路EPと圧側通路CPと、電磁圧力調整弁EVと、ポンプPと、ポンプPを駆動するモータ4と、電磁圧力調整弁EVおよびモータ4を制御するコントローラCとを備えて構成されており、図示しない車両におけるばね上部材である車体とばね下部材である車輪との間に介装されて使用される。
以下、液圧緩衝器D1について詳細に説明する。液圧緩衝器D1は、本例では、図1に示すように、前記構成に加えて、圧側室R2に排出通路DPおよび吸込通路SPを介して連通されるリザーバRと、排出通路DPに設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう液体の流れのみを許容するとともに液体の流れに抵抗を与えるベースバルブBVと、吸込通路SPに設けられてリザーバRから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する逆止弁CVを備えている。
なお、シリンダ1内には、作動油等の液体が充填されており、リザーバRには、液体の他、気体が充填されている。なお、液圧緩衝器D1に利用する液体としては、前記した作動油の他、水や水溶液等も利用できる。
電磁圧力調整弁EVは、本例では、伸側通路EPに設けた伸側減衰弁10と、圧側通路CPに設けた圧側減衰弁11と、伸側室R1と圧側室R2とを連通するパイロット通路12と、パイロット通路12に設けられた電磁弁13とを備えている。
パイロット通路12は、伸側室R1と圧側室R2に連通されており、具体的には、伸側室R1および圧側室R2のうち圧力が高い方の室からの液体の流入を許容する上流通路14と、伸側室R1および圧側室R2のうち圧力が低い方の室へ液体を流入させる下流通路15と、上流通路14と下流通路15を接続するパイロット圧制御通路16とを備えている。
上流通路14は、伸側室R1と圧側室R2に通じており、途中に、それぞれ伸側室R1および圧側室R2を上流とするように互いに逆向きにして設置される一対の逆止弁17,18を備えている。
下流通路15は、伸側室R1と圧側室R2に通じており、途中に、それぞれ伸側室R1および圧側室R2を下流とするように互いに逆向きにして設置される一対の逆止弁19,20を備えている。
そして、パイロット圧制御通路16は、上流通路14の逆止弁17,18間と下流通路15の逆止弁19,20間を接続している。伸側室R1の圧力が圧側室R2の圧力より高い場合、伸側室R1の液体は、逆止弁17を押し開いて上流通路14内へ進入し、パイロット圧制御通路16を通過して下流通路15の逆止弁20を開いて圧側室R2へ流れる。反対に、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力より高い場合、圧側室R2の液体は、逆止弁18を押し開いて上流通路14内へ進入し、パイロット圧制御通路16を通過して下流通路15の逆止弁19を開いて伸側室R1へ流れる。このようにパイロット通路12が構成されるので、パイロット圧制御通路16を流れる液体は、常に、上流通路14側から下流通路15側へ向かって流れる。
パイロット圧制御通路16の途中には、絞り21と、電磁弁13が直列に配置されて設けられている。電磁弁13は、供給される電流量に応じて、開弁圧を調節できる。よって、電磁弁13に与える電流量の調節により、パイロット圧制御通路16の絞り21の下流であって電磁弁13の上流の圧力を電磁弁13の開弁圧によって制御でき、電流量が大きければ大きい程、電磁弁13の開弁圧が大きくなるよう設定されている。
伸側減衰弁10は、伸側通路EPの途中に設けられており、伸側室R1の圧力が開弁方向に作用し、パイロット圧制御通路16の絞り21と電磁弁13との間の圧力がパイロット圧として閉弁方向に作用し、さらには、ばねによる附勢力が閉弁方向に作用している。よって、伸側減衰弁10は、伸側室R1の上流側の圧力による伸側減衰弁10を開弁させる力が、パイロット圧およびばねの作用によって伸側減衰弁10を閉弁させる力を上回ると開弁して、通過する液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
このように、伸側減衰弁10では、パイロット圧によって閉弁方向に附勢されているので、パイロット圧の調整で、開弁圧が変化する。そして、パイロット圧は、前述の通り、電磁弁13によって制御されるので、電磁弁13へ供給する電流量によって伸側減衰弁10の開弁圧を調整できる。
圧側減衰弁11は、圧側通路CPの途中に設けられており、圧側室R2の圧力が開弁方向に作用し、パイロット圧制御通路16の絞り21と電磁弁13との間の圧力がパイロット圧として閉弁方向に作用し、さらには、ばねによる附勢力が閉弁方向に作用している。よって、圧側減衰弁11は、圧側室R2の上流側の圧力による圧側減衰弁11を開弁させる力が、パイロット圧およびばねの作用によって圧側減衰弁11を閉弁させる力を上回ると開弁して、通過する液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
このように、圧側減衰弁11では、パイロット圧によって閉弁方向に附勢されているので、パイロット圧の調整で、開弁圧が変化する。そして、パイロット圧は、前述の通り、電磁弁13によって制御されるので、電磁弁13へ供給する電流量によって圧側減衰弁11の開弁圧を調整できる。よって、本例の電磁圧力調整弁EVでは、電磁弁13へ供給する電流量に応じて、伸側減衰弁10と圧側減衰弁11の開弁圧を調整できる。なお、電磁弁13へ供給する電流量が大きくなればなる程、伸側減衰弁10と圧側減衰弁11の開弁圧が大きくなる。
つづいて、ポンプPは、本例では、モータ4によって駆動される双方向吐出型のギアポンプやベーンポンプ、もしくは、これらに類する可逆的なポンプモータとされており、伸側室R1と圧側室R2とを連通するポンプ通路22の途中に設けられている。モータ4へ通電してポンプPを正転させるとポンプPは圧側室R2から液体を吸込んで伸側室R1へ送り込み、ポンプPを逆転させるとポンプPは伸側室R1から液体を吸込んで圧側室R2へ送り込む。つまり、本例の液圧緩衝器Dは、ポンプPが吐出した液体を伸側室R1と圧側室R2の一方を選択して供給可能である。
ポンプPを正転させると圧側室R2から伸側室R1へ液体が供給されるので、液圧緩衝器D1を積極的に収縮作動でき、ポンプPを逆転させると伸側室R1から圧側室R2へ液体が供給されるので、液圧緩衝器D1を積極的に伸長作動できる。このことから、液圧緩衝器D1は、ポンプPの駆動によってアクチュエータとして機能できる。
つづいて、ポンプPを停止した際の液圧緩衝器D1の作動を説明する。液圧緩衝器D1は、ポンプPの停止時において、外力によってシリンダ1に対してピストン2が図1中上方へ移動する伸長作動を呈すると、液体が圧縮される伸側室R1から伸側通路EPを通過して圧側室R2へ移動する。また、ピストンロッド3がシリンダ1内から退出する体積分の液体がリザーバRから吸込通路SPを通じてシリンダ1内に供給される。
この液圧緩衝器D1の伸長作動の際に、伸側通路EPを通過する液体の流れに対して伸側減衰弁10が開弁し、伸側室R1内の圧力は、伸側減衰弁10の開弁圧に制御される。よって、液圧緩衝器D1は、図2中の伸縮速度と発生力の特性グラフの第一象限で伸長に対してピストン2を押し下げる方向の発生力を出力する。なお、液圧緩衝器D1の伸長速度が速くなると、液体が伸側減衰弁10を通過する際に圧力損失が生じるため、図2中の第一象限に示すように、伸長速度の増加に伴い伸側室R1内の圧力が開弁圧よりも大きくなる圧力オーバーライド特性が現れる。また、電磁弁13によって伸側減衰弁10の開弁圧を調整できるので、図2中のグラフの第一象限で、電磁弁13への供給電流量に応じて液圧緩衝器D1が発生する発生力を線G1から線G2の範囲で調整できる。また、伸側減衰弁10が閉弁していても、液体は、伸側室R1から圧側室R2へパイロット通路12を介して移動できるため、図2中の第一象限において、伸長速度が極低速域において、ポンプPが停止した状態では液圧緩衝器D1が力を発生できない領域Z1(図2中網掛けした範囲)が存在する。
液圧緩衝器D1は、ポンプPの停止時において、外力によってシリンダ1に対してピストン2が図1中下方へ移動する収縮作動を呈すると、液体が圧縮される圧側室R2から圧側通路CPを通過して伸側室R1へ移動する。また、ピストンロッド3がシリンダ1内へ侵入する体積分の液体が圧側室R2からリザーバRへ排出通路DPを通じてリザーバRへ排出される。
この液圧緩衝器D1の収縮作動の際に、圧側通路CPを通過する液体の流れに対して圧側減衰弁11が開弁し、圧側室R2内の圧力は、圧側減衰弁11の開弁圧に制御される。よって、液圧緩衝器D1は、図2中の第三象限で収縮に対してピストン2を押し上げる方向の発生力を出力する。なお、液圧緩衝器D1の収縮速度が速くなると、液体が圧側減衰弁11を通過する際に圧力損失が生じるため、図2中の第三象限に示すように、収縮速度の増加に伴い圧側室R2内の圧力が開弁圧よりも大きくなる圧力オーバーライド特性が現れる。また、電磁弁13によって圧側減衰弁11の開弁圧を調整できるので、図2中のグラフの第三象限で、電磁弁13への供給電流量に応じて液圧緩衝器D1が発生する発生力を線G3から線G4の範囲で調整できる。また、圧側減衰弁11が閉弁していても、液体は、圧側室R2から伸側室R1へパイロット通路12を介して移動できるため、図2中の第三象限において、伸長速度が極低速域において、ポンプPが停止した状態では液圧緩衝器D1が力を発生できない領域Z2(図2中網掛けした範囲)が存在する。
次に、ポンプPを駆動して液圧緩衝器D1をアクチュエータとして機能させる際の作動を説明する。液圧緩衝器D1は、ポンプPを正転させた場合、ポンプPによって圧側室R2から液体が吸い上げられて伸側室R1へ液体が供給されて、収縮作動を呈してピストン2を押し下げる方向の発生力を出力する。液圧緩衝器D1の収縮作動によって、ピストンロッド3がシリンダ1内に進入するので、シリンダ1内で余剰となった液体は排出通路DPを介してリザーバRへ排出される。モータ4に供給する電流量でポンプPの吐出圧力を調整できるので、モータ4へ供給する電流量で液圧緩衝器D1の収縮側の発生力を制御できる。なお、伸側減衰弁10の開弁圧は、ポンプPによって制御される伸側室R1の圧力よりも高くしておけばよい。この場合、ポンプPは、パイロット通路12を介して伸側室R1から圧側室R2へ移動する流量と、液圧緩衝器D1を収縮させるのに必要な流量を吐出する。なお、本例では、伸側減衰弁10の開弁圧を最大とするため、電磁弁13へ供給する電流量を指示する目標電流を最大とする。
ポンプPの吐出流量には限界があり、伸側減衰弁10の開弁圧の設定にも限界があるため、液圧緩衝器D1がアクチュエータとして機能し収縮する場合、図2中の第二象限のX軸、Y軸、線A1および線A2で囲んだ範囲内で発生力を発揮可能である。なお、線A1は、伸側減衰弁10の設定による限界を示しており、線A2は、ポンプPの流量限界によって発生力を発揮できなくなる限界を示している。
液圧緩衝器D1は、ポンプPを逆転させた場合、ポンプPによって伸側室R1から液体が吸い上げられて圧側室R2へ液体が供給されて、伸長作動を呈してピストン2を押し上げる方向の発生力を出力する。液圧緩衝器D1の伸長作動によって、ピストンロッド3がシリンダ1内から退出するので、シリンダ1内で不足する液体は吸込通路SPを介してリザーバRから供給される。モータ4に供給する電流量でポンプPの吐出圧力を調整できるので、モータ4へ供給する電流量で液圧緩衝器D1の伸長側の発生力を制御できる。なお、圧側減衰弁11の開弁圧は、ポンプPによって制御される圧側室R2の圧力よりも高くしておけばよい。この場合、ポンプPは、パイロット通路12を介して圧側室R2から伸側室R1へ移動する流量と、液圧緩衝器D1を伸長させるのに必要な流量を吐出する。なお、本例では、圧側減衰弁11の開弁圧を最大とするため、電磁弁13へ供給する電流量を指示する目標電流を最大とする。
ポンプPの吐出流量には限界があり、圧側減衰弁11の開弁圧の設定にも限界があるため、液圧緩衝器D1がアクチュエータとして機能し収縮する場合、図2中の第四象限のX軸、Y軸、線A3および線A4で囲んだ範囲内で発生力を発揮可能である。なお、線A3は、圧側減衰弁11の設定による限界を示しており、線A4は、ポンプPの流量限界によって発生力を発揮できなくなる限界を示している。
さらに、液圧緩衝器D1が外力によって伸縮している際に、ポンプPを駆動する場合の作動について説明する。液圧緩衝器D1が外力によって伸長する場合、ポンプPを正転させて、圧側室R2から伸側室R1へ液体を送り込むようにすると、ポンプPで伸側室R1内の圧力を制御できるようになる。すると、ポンプ停止時には液圧緩衝器D1の伸長速度が低速である際に発生力を出力できない領域Z1内であっても、ポンプPを正転させれば液圧緩衝器D1は発生力を出力できるようになる。
また、伸側減衰弁10が液体の流れに抵抗を与えるため、圧力オーバーライド特性が現れるが、ポンプPを逆転させて、伸側室R1から圧側室R2へポンプPを介して液体を移動させるようにすれば、伸側室R1の圧力を低下させ得る。よって、電磁圧力調整弁EVによる圧力制御のみでは、圧力オーバーライド特性が現れるが、液圧緩衝器D1が外力で伸長する際にポンプPの逆転によって、オーバーライド分をカットでき、伸側室R1内の圧力を狙った圧力に近づけることができるようになる。この時、ポンプPは、指定圧力のブレーキを発生させているか逆転駆動している。ポンプPがブレーキになるか逆転駆動になるかはモータ自体のトルク制御によって決まる。
さらに、液圧緩衝器D1が外力によって収縮する場合、ポンプPを逆転させて、伸側室R1から圧側室R2へ液体を送り込むようにすると、ポンプPで圧側室R2内の圧力を制御できるようになる。すると、ポンプ停止時には液圧緩衝器D1の収縮速度が低速である際に発生力を出力できない領域Z2内であっても、ポンプPを逆転させれば、液圧緩衝器D1は発生力を出力できるようになる。
また、圧側減衰弁11が液体の流れに抵抗を与えるため、圧力オーバーライド特性が現れるが、ポンプPを正転させて、圧側室R2から伸側室R1へポンプPを介して液体を移動させるようにすれば、圧側室R2の圧力を低下させ得る。よって、電磁圧力調整弁EVによる圧力制御のみでは、圧力オーバーライド特性が現れるが、液圧緩衝器D1が外力で収縮する際にポンプPの正転によって、オーバーライド分をカットでき、圧側室R2内の圧力を狙った圧力に近づけることができるようになる。このとき、ポンプPは、指定圧力のブレーキを発生させているか、正転駆動している。ポンプPがブレーキになるか正転駆動となるかは、モータ自体のトルク制御によって決まる。
なお、液圧緩衝器D1の伸縮による液体の流れによってポンプPが回転する場合、モータ4がポンプPによって回転駆動すると、モータ4が発電機としても機能する。液圧緩衝器D1が図2中で第一象限および第三象限の領域で作動する場合、モータ4の回生電流をチョッピングするなどして制御すれば、ポンプPが液体の流れに与える抵抗を調節でき、ポンプPを利用して伸側室R1と圧側室R2の圧力を制御できる。前述したとおり、電磁圧力調整弁EVでもポンプPでも伸側室R1と圧側室R2の圧力を制御でき、電磁圧力調整弁EVとポンプPの双方で圧力制御できる。しかし、電磁圧力調整弁EVの開弁圧とポンプPの吐出圧力を等しくすると、原理的には、両者が釣り合ってポンプPおよびモータ4が停止する状況がありうる。実際には、電磁圧力調整弁EVには圧力オーバーライドがあるので、そのような事態とはならないが、念のため、電磁圧力調整弁EVの開弁圧とポンプPの吐出圧力を少しずらしておくとよい。また、電磁圧力調整弁EVの設定圧力を高くすると、モータ4が回転しやすくなるため、回生電流を効率的に発生させられる。
つづいて、コントローラCは、図3に示すように、電磁圧力調整弁EVにおける電磁弁13とモータ4の電流を制御できるようになっている。コントローラCは、電磁弁13とモータ4に流れる電流量を検出する電流センサS1,S2と液圧緩衝器D1のストロークを検出するストロークセンサS3とを備えており、電流フィードバックによって電磁弁13とモータ4に流れる電流を制御する。コントローラCは、液圧緩衝器D1に要求される発生力から伸側室R1と圧側室R2内の差圧力を指示する圧力指令を求め、この圧力指令から電磁弁13とモータ4の電流量を指示する電流指令を求める。そして、コントローラCは、電磁弁13とモータ4に流れる電流量を電流指令通りになるように電流を供給する。本例では、コントローラCは、スカイフック制御を実現するため、前記した液圧緩衝器D1に要求される発生力を車体の上下方向速度の情報を外部から得て、この車体の上下方向速度にスカイフック減衰係数を乗じて発生力を求める。発生力は、液圧緩衝器D1の伸側室R1と圧側室R2との差圧力に応じて発生されるので、発生力から一義的に伸側室R1と圧側室R2の差圧力が求まる。なお、コントローラCは、自身で車体の上下方向速度の情報を得られるように、車体の上下方向加速度を検出する加速度センサを備えていてもよい。
コントローラCは、ストロークセンサS3が検出した液圧緩衝器D1のストロークからストローク速度を得て、このストローク速度と前記発生力とに基づいて圧力指令を求める。圧力指令が指示する差圧力は、電磁圧力調整弁EVおよびモータ4へ与える電流量に応じて変化するため、圧力指令から電流量を指示する電流指令を求められる。よって、コントローラCは、圧力指令から電磁弁13およびモータ4へ与える電流量を指示する電流指令を求める。
液圧緩衝器D1の伸縮方向と同方向の発生力が必要な場合や、前記発生力が領域Z1,Z2にある場合には、ポンプPの駆動が必要となる。コントローラCは、ポンプPを駆動するモータ4についてはトルク制御を行い、目標トルクは車体の上下方向速度にスカイフック減衰係数を乗じた値に比例する。このようにすれば、コントローラCは、液圧緩衝器D1でスカイフック制御を実現して車体の振動を抑制できる。よって、ポンプPの駆動、制動(ブレーキ)に関しては、たとえば、コントローラCに専用のマイクロコンピュータを設けてモータ4のトルク制御で電流を制御すればよい。本例では、第1象限から第4象限のどの状態にあるかを判断し、電磁圧力調整弁EVと連携するためには、液圧緩衝器D1のストローク速度の情報が必要となる。そこで、本例では、コントローラCは、ストロークセンサS3を備えている。コントローラCは、ストロークセンサS3から得られるストローク速度を利用して液圧緩衝器D1の伸縮状況が図2中のどの象限にあるかを判断する。
そして、液圧緩衝器D1に出力させるべき発生力が図2中の第二象限および第四象限にある場合、コントローラCは、電磁弁13へ供給する電流量を指示する目標電流を最大として電流供給しつつ、モータ4を車体の上下方向速度に応じてトルク制御して液圧緩衝器D1をアクチュエータとして機能させて車体の動きを抑制する。このようにすれば、伸側減衰弁10および圧側減衰弁11を液体が通過しなくなり、モータ4のトルクで液圧緩衝器D1が発生する力を制御でき、省エネルギとなる。
また、液圧緩衝器D1に出力させるべき発生力が図2中の第一象限および第三象限にあって領域Z1および領域Z2になく、電磁圧力調整弁EVによる圧力制御のみで発生力の出力が可能な場合には、コントローラCは、モータ4へは電流供給しないがモータ4で発生する逆起電力をモータ4を回生する回路で制御し、電磁圧力調整弁EVによるオーバーライドを無くするように圧力制御目標値に相当する実効電流をモータ4の電源側へ回生する。
このように、コントローラCは、液圧緩衝器D1に出力させるべき要求される発生力と液圧緩衝器D1のストローク速度の情報を得て、圧力指令を求め、圧力指令に基づいてモータ4と電磁弁13へ与える電流量を調節すれば、図2中の各象現で液圧緩衝器D1に発生力を発生させ得る。このように、圧力指令から電流指令を求めるので、電磁圧力調整弁EVおよびモータ4の制御を別々の指令から別々に求める必要がなく、液圧緩衝器D1の発生力を非常に簡単に制御できる。
本発明の液圧緩衝器D1は、シリンダ1と、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路EP,CPと、通路EP,CPに設けられて伸側室R1と圧側室R2とを連通するパイロット通路12内の圧力の調整により開弁圧を調整可能な電磁圧力調整弁EVと、ポンプPと、ポンプPを駆動するモータ4を備え、ポンプPが吐出した液体を伸側室R1と圧側室R2の一方を選択して液体を供給可能としている。このように、本発明の液圧緩衝器D1が電磁圧力調整弁EVに加えてポンプPを備えているので、伸縮速度が低くとも発生力調整が可能で車両における乗り心地を向上できる。
また、本発明の液圧緩衝器D1よれば、受動的な緩衝器だけでなく能動的なアクチュエータとしても機能できる。よって、車両走行中に車輪が穴に落ち込むような場合、液圧緩衝器D1を伸長させれば車輪が路面に接地でき、車輪が障害物に乗り上げるような場合、液圧緩衝器D1を収縮させれば車体の跳ね上げを抑制できるので、障害物に乗り上げた車輪以外の他の車輪が路面に接地できる。以上より、本発明の液圧緩衝器D1によれば、車輪の接地荷重の抜けを防止でき、車体姿勢が安定する。
さらに、本発明の液圧緩衝器D1よれば、電磁圧力調整弁EVに加えてポンプPを備える構成とされているため、ポンプPを利用せずとも受動的には緩衝器として機能して発生力の調整も可能であり、ポンプPおよびモータ4には小型なものを利用すれば足りる。
スカイフック制御によって車体の振動が十分に抑制される場合、液圧緩衝器D1の伸縮速度も低くなる場合があるが、本発明の液圧緩衝器D1では、伸縮速度が低い場合においても発生力の調整幅が確保されるので、スカイフック制御による車体の制振効果が高い。換言すれば、液圧緩衝器D1の伸縮速度が低い場合にも大きな発生力を発生できるので、スカイフック減衰係数を高く設定して、車体の制振効果をより高められるのである。
また、本例の液圧緩衝器D1では、伸側室R1と圧側室R2の目標圧力に基づいて電磁圧力調整弁EVとモータ4へ供給する電流を制御するコントローラCを備えている。このように液圧緩衝器D1を構成すると、圧力指令から電流指令を求めるので、電磁圧力調整弁EVおよびモータ4の制御を別々の指令から別々に求める必要がなく、液圧緩衝器D1の発生力を非常に簡単に制御できる。
さらに、本例の液圧緩衝器D1では、リザーバRと、圧側室R2からリザーバRへ向かう液体の流れのみを許容するとともに液体の流れに抵抗を与えるベースバルブBVと、リザーバRから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路SPとを備えている。このように液圧緩衝器D1を構成すると、ピストンロッド3が伸側室R1内にのみ挿通される片ロッド型の緩衝器においても、ピストンロッド3のシリンダ1内へ進退する際の体積を補償しつつ、電磁圧力調整弁EVによる発生力調整とポンプPによる発生力調整を行える。なお、ピストンロッド3が伸側室R1のみならず圧側室R2にも挿通される、所謂、両ロッド型の緩衝器として液圧緩衝器D1が構成される場合、液体の温度変化による体積変化を補償する温度補償用アキュムレータを伸側室R1或いは圧側室R2に接続すればよく、その場合、リザーバR、排出通路DP、ベースバルブBV、吸込通路SPおよび逆止弁CVを廃止できる。
また、本例の液圧緩衝器D1では、通路が伸側通路EPと圧側通路CPを有し、電磁圧力調整弁EVが伸側通路EPに設けた伸側減衰弁10と、圧側通路CPに設けた圧側減衰弁11と、伸側室R1と圧側室R2とを連通するパイロット通路12と、パイロット通路12に設けられた電磁弁13とを備え、パイロット通路12の電磁弁13より上流の圧力が伸側減衰弁10および圧側減衰弁11を閉方向へ附勢するパイロット圧として導かれており、電磁弁13で圧力を調整して伸側減衰弁10および圧側減衰弁11の開弁圧を調整するように構成されている。このように液圧緩衝器D1が構成されると、伸長時の発生力を制御する電磁減衰弁と収縮時の発生力を制御する電磁減衰弁の二つの電磁減衰弁を必要とせず、一つの電磁弁13で伸縮両側の発生力を制御できるようになる。よって、本例の液圧緩衝器D1によれば、電磁弁13とモータ4の制御で伸長側の発生力と収縮側の発生力を制御できるので、製造コストを低減できる。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態における液圧緩衝器D2は、図4に示すように、この例では、シリンダ1と、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、ピストン2に連結されてシリンダ1内に移動自在に挿入されるピストンロッド3と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する通路としての伸側通路EPと圧側通路CPと、電磁圧力調整弁EVと、ポンプP1と、ポンプP1を駆動するモータ4と、ポンプP1によって蓄圧されるアキュムレータACCと、ポンプP1およびアキュムレータACCと伸側室R1と圧側室R2の間に設けた切換弁SVと、電磁圧力調整弁EV、切換弁SVおよびモータ4を制御するコントローラCとを備えて構成されており、図示しない車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装されて使用される。
本例では、ポンプP1は、圧側室R2をリザーバRに連通する排出通路DPのベースバルブBVの下流であって吸込通路SPの逆止弁CVよりも上流とアキュムレータACCとを接続するチャージ通路30の途中に設けられている。よって、ポンプP1は、モータ4によって駆動されるとリザーバRから液体を吸込んでアキュムレータACCへ液体を供給して、アキュムレータACCに蓄圧できるようになっている。なお、第一の実施の形態の液圧緩衝器D1に設けていたポンプ通路22は、本例では廃止されている。
切換弁SVは、電磁方向切換弁とされており、コントローラCによって切換制御される。コントローラCからの切換弁SVのソレノイドへの通電状況によって、切換弁SVは、圧側連通ポジション、伸側連通ポジションおよび遮断ポジションをとる。切換弁SVは、具体的には、供給ポートPoを圧側室R2へ連通される制御ポートAへ連通するとともに排出ポートTを伸側室R1へ連通される制御ポートBへ連通する圧側連通ポジションと、供給ポートPoと排出ポートTと制御ポートA,Bのいずれも連通させない遮断ポジションと、供給ポートPoを制御ポートBへ連通するとともに排出ポートTを制御ポートAへ連通する伸側連通ポジションのいずれか一つを採るようになっている。制御ポートAは、通路33を介して圧側室R2に連通され、制御ポートBは、通路34を介して伸側室R1へ連通されている。
そして、チャージ通路30のポンプP1とアキュムレータACCとの間は、供給路31を介して切換弁SVの供給ポートPoへ連通されている。また、圧側室R2をリザーバRに連通する排出通路DPのベースバルブBVの下流であって吸込通路SPの逆止弁CVよりも上流と排出ポートTとが戻し通路32を通じて連通されている。
したがって、切換弁SVが圧側連通ポジションを採る場合、アキュムレータACC内から液体が圧側室R2へ供給されて、伸側室R1がリザーバRに連通される。この状況では、ポンプP1がモータ4によって駆動する場合、ポンプP1が吐出した液体も圧側室R2へ供給される。このように、アキュムレータACC或いはポンプP1或いはこれらの両方から液体が圧側室R2に供給されると、液圧緩衝器D2は伸長作動し、圧縮される伸側室R1から排出された液体は、リザーバRにより吸収される。
他方、切換弁SVが伸側連通ポジションを採る場合、アキュムレータACC内から液体が伸側室R1へ供給されて、圧側室R2がリザーバRに連通される。この状況では、ポンプP1がモータ4によって駆動する場合、ポンプP1が吐出した液体も伸側室R1へ供給される。このように、アキュムレータACC或いはポンプP1或いはこれらの両方から液体が伸側室R1に供給されると、液圧緩衝器D2は収縮作動し、圧縮される圧側室R2から排出された液体は、リザーバRにより吸収される。
また、切換弁SVが遮断ポジションを採る場合、ポンプP1およびアキュムレータACCは、伸側室R1へも圧側室R2へも連通されず、遮断された状態となるので、ポンプP1を駆動するとリザーバRから液体を吸込んでアキュムレータACCへ液体を供給してアキュムレータACCを蓄圧できる。
本例の液圧緩衝器D2にあっても、切換弁SVが遮断ポジションを採る場合、電磁圧力調整弁EVによって伸側室R1と圧側室R2の差圧力を制御できるので、第一の実施の形態の液圧緩衝器D1と同様に、図2中の第一象限および第三象限における線G1から線G2の範囲および線G3から線G4の範囲で調整できる。
また、切換弁SVを伸側連通ポジションとして、ポンプP1から液体を伸側室R1へ供給する場合、圧側室R2からは液体がリザーバRへ排出されるので、液圧緩衝器D2は、収縮作動を呈してアクチュエータとして機能する。そして、この液圧緩衝器D2にあっても、ポンプP1の吐出圧力で伸側室R1の圧力を制御できるので、モータ4へ供給する電流量に応じて液圧緩衝器D2の収縮側の発生力を制御できる。なお、伸側減衰弁10の開弁圧は、ポンプP1によって制御される伸側室R1の圧力よりも高くしておけばよい。ポンプP1の吐出流量には限界があるため、液圧緩衝器D2がアクチュエータとして機能し収縮する場合、図2中の第二象限のX軸、Y軸、線A1および線A2で囲んだ範囲内で発生力を発揮可能である。なお、線A1は、伸側減衰弁10の設定圧力による限界を示しており、線A2は、ポンプP1の流量限界によって発生力を発揮できなくなる限界を示している。
さらに、切換弁SVを圧側連通ポジションとして、ポンプP1から液体を圧側室R2へ供給する場合、伸側室R1からは液体がリザーバRへ排出されるので、液圧緩衝器D2は、伸長作動を呈してアクチュエータとして機能する。そして、この液圧緩衝器D2にあっても、ポンプP1の吐出圧力で圧側室R2の圧力を制御できるので、モータ4へ供給する電流量に応じて液圧緩衝器D2の伸長側の発生力を制御できる。なお、圧側減衰弁11の開弁圧は、ポンプP1によって制御される圧側室R2の圧力よりも高くしておけばよい。ポンプP1の吐出流量には限界があるため、液圧緩衝器D2がアクチュエータとして機能し収縮する場合、図2中の第四象限のX軸、Y軸、線A3および線A4で囲んだ範囲内で発生力を発揮可能である。なお、線A3は、圧側減衰弁11の設定圧力による限界を示しており、線A4は、ポンプP1の流量限界によって発生力を発揮できなくなる限界を示している。
また、液圧緩衝器D2が外力によって伸縮している際に、ポンプP1を駆動すれば、伸側室R1へ、或いは、圧側室R2へ液体を送り込めるので、第一の実施の形態の液圧緩衝器D1と同様に前述の領域Z1,Z2内でも発生力を出力できる。また、伸側減衰弁10および圧側減衰弁11が液体の流れに抵抗を与えるために現れる圧力オーバーライド特性についても液圧緩衝器D2が外力で伸長する際に、ポンプP1およびモータ4を発電機として利用できるように切換弁SVを圧側もしくは伸側連通ポジションとして逆流方向で使用することによって、オーバーライド分をカットできる。なお、本例の液圧緩衝器D2では、液体をアキュムレータACCへ逆流させることもできるので、オーバーライド除去の応答性が液圧緩衝器D1よりも速くなる。
このように、切換弁SVがポンプP1およびアキュムレータACCを伸側室R1或いは圧側室R2へ連通するのは、液圧緩衝器D2をアクチュエータとして機能させる際、領域Z1,Z3において発生力を発生させる際、オーバーライド分をカットする際が考えらえる。なお、主にばね上部材である車体の上下方向速度が切換わる場合等に、切換弁SVが遮断ポジションとなり、伸側室R1或いは圧側室R2のうち液体がポンプP1から供給されていた方の圧力が急激に低下する場合があるが、その場合、伸側減衰弁10或いは圧側減衰弁11が開弁して伸側室R1と圧側室R2の圧力差が調整される。
ところで、本例では、ポンプP1とは別にアキュムレータACCを備えている。アキュムレータACCは、ポンプP1によって予め蓄圧しておけば、切換弁SVが遮断ポジションから伸側連通ポジション或いは圧側連通ポジションに切換わると、伸側室R1或いは圧側室R2へ瞬時に液体を供給できる。ポンプP1およびモータ4には慣性があるので、モータ4へ供給する電流量の変化に対してポンプP1の吐出圧力の応答にはある程度の時間がかかる。本案ではアキュムレータACCを備えているので、予め、アキュムレータACCに必要圧力を蓄圧してアキュムレータACCから液体をシリンダ1内へ供給するようにすれば、ポンプP1の吐出圧力の応答遅れがあっても、伸側室R1或いは圧側室R2の圧力を狙い通りの圧力に制御できる。
コントローラCは、スカイフック制御を実施するため、ポンプP1についてはトルク制御を行い、目標トルクは車体の上下方向速度の絶対値にスカイフック減衰係数を乗じた値に比例する。よって、ポンプP1の駆動、制動(ブレーキ)に関しては、第一の実施の形態と同様に、コントローラCに専用のマイクロコンピュータを設けてトルク制御で電流を制御すればよい。また、アキュムレータACCの内圧は、ポンプP1を駆動するモータ4のトルクに比例する。よって、モータ4のトルクとアキュムレータACCの内圧は、車体の上下方向速度に依存して、車体の動きが速くなると前記トルクも前記内圧も上昇し、車体の動きが遅くなると前記トルクも前記内圧も減少する。アキュムレータACCの内圧を増圧するときは、モータ4を駆動し、減圧するときはアキュムレータACCから排出される液体の流れでモータ4を駆動して回生できるので、エネルギ効率がよい。コントローラCは、切換弁SVについては、スカイフック制御を実施するため、車体の上下方向速度の方向に依存して伸側連通ポジションと圧側連通ポジションを切換制御する。このように制御すれば、ポンプP1と切換弁SVを液圧緩衝器D1におけるポンプPのように機能させてスカイフック制御を実現できる。
そして、本例の液圧緩衝器D2では、車体の動きが急激に切換わっても、切換弁SVのポジションを切換える速度で液圧緩衝器D2が発揮する力の方向を切換できるので、液圧緩衝器D1に比較して、力の方向の切換についての応答速度を向上できる。また、本例の液圧緩衝器D2では、車体の動きの方向が切換わらずとも急激に変化する場合、アキュムレータACCから液体をシリンダ1へ供給できるので、液圧緩衝器D1に比較して高応答で液圧緩衝器D2が発揮する力を変更できる。
このように、液圧緩衝器D2は、ポンプP1によって蓄圧されるアキュムレータACCと、ポンプP1およびアキュムレータACCを伸側室R1と圧側室R2の一方を選択して連通可能であって、ポンプP1およびアキュムレータACCを伸側室R1と圧側室R2から遮断可能な切換弁SVとを備えて構成されている。このように液圧緩衝器D2が構成されると、ポンプP1やこれを駆動するモータ4の慣性による応答遅れを解消して、伸側室R1と圧側室R2の差圧力を狙い通りに制御でき、ポンプP1の駆動初期の発生力の落ち込みを生じさせないので、接地荷重がより安定し車両における乗り心地をより一層向上できる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
1・・・シリンダ、2・・・ピストン、4・・・モータ、10・・・伸側減衰弁、11・・・圧側減衰弁、12・・・パイロット通路、ACC・・・アキュムレータ、BV・・・ベースバルブ、C・・・コントローラ、CP・・・圧側通路(通路)、D1,D2・・・液圧緩衝器、EP・・・伸側通路(通路)、EV・・・電磁圧力調整弁、P,P1・・・ポンプ、R・・・リザーバ、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、SP・・・吸込通路、SV・・・切換弁、

Claims (7)

  1. シリンダと、
    前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、
    前記伸側室と前記圧側室とを連通する通路と、
    前記通路に設けられて前記伸側室と前記圧側室とを連通するパイロット通路内の圧力の調整により開弁圧を調整可能な電磁圧力調整弁と、
    ポンプと、
    前記ポンプを駆動するモータと、
    前記伸側室と前記圧側室の差圧力を指示する圧力指令に基づいて前記電磁圧力調整弁の開弁圧を制御するとともに前記モータへ供給する電流を制御して、前記伸側室と前記圧側室の差圧力を制御するコントローラを備え、
    前記ポンプが吐出した液体を前記伸側室と前記圧側室の一方を選択して供給可能とした
    ことを特徴とする液圧緩衝器。
  2. 前記ポンプによって蓄圧されるアキュムレータと、
    前記ポンプおよび前記アキュムレータを前記伸側室と前記圧側室の一方を選択して連通可能であって、前記ポンプおよび前記アキュムレータを前記伸側室と前記圧側室から遮断可能な切換弁とを備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の液圧緩衝器。
  3. リザーバと、
    前記圧側室から前記リザーバへ向かう液体の流れのみを許容するとともに液体の流れに抵抗を与えるベースバルブと、
    前記リザーバから前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路とを備えた
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液圧緩衝器。
  4. 車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装され、
    前記モータに前記ばね上部材の上下方向速度に比例するトルクを発生させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の液圧緩衝器。
  5. 車両におけるばね上部材とばね下部材との間に介装され、
    前記モータは、前記ばね上部材の上下方向速度の絶対値に比例するトルクを発生するよう制御され、
    前記切換弁は、前記ばね上部材の上下方向速度の方向によって切換制御される
    ことを特徴とする請求項2に記載の液圧緩衝器。
  6. 前記通路は、伸側通路と圧側通路を有し、
    前記電磁圧力調整弁は、
    前記伸側通路に設けた伸側減衰弁と、
    前記圧側通路に設けた圧側減衰弁と、
    前記伸側室と前記圧側室とを連通するパイロット通路と、
    前記パイロット通路に設けられた電磁弁とを備え、
    前記パイロット通路の前記電磁弁より上流の圧力が前記伸側減衰弁および前記圧側減衰弁を閉方向へ附勢するパイロット圧として導かれており、
    前記電磁弁で前記パイロット圧を調整して前記伸側減衰弁および前記圧側減衰弁の開弁圧を調整する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液圧緩衝器。
  7. 前記電磁弁へ供給する電流量が大きい程、前記伸側減衰弁および前記圧側減衰弁の開弁圧が大きくなるよう設定され、
    伸縮方向と発生したい力の方向が同一である場合、前記電磁弁の電流量を指示する目標電流を最大とする
    ことを特徴とする請求項6に記載の液圧緩衝器。
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