JP6675923B2 - サスペンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、サスペンション装置に関する。
この種のサスペンション装置としては、たとえば、車両の車体と車軸との間に介装されるアクティブサスペンションとして機能するものがある。具体的には、シリンダとシリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内に圧力室を区画するピストンを備えたサスペンション本体と、油圧ポンプと、サスペンション本体内の圧力室と油圧ポンプとを接続する油路と、油路の途中に設けられて油路を開閉する電磁開閉弁と、圧力室の圧力を制御する電磁圧力制御弁とを備えて構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平9−240241号公報
前記したアクティブサスペンションとして機能するサスペンション装置にあっては、エネルギを消費するだけで振動エネルギを電気エネルギとして回収できない。
そこで、前記問題を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、エネルギ回生が可能なサスペンション装置の提供である。
前記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段におけるサスペンション装置は、ダンパと、ポンプと、ポンプの吸込側に接続されるリザーバと、ポンプの吐出側に接続される供給路と、リザーバに接続される排出路と、ダンパの伸側室に接続される伸側通路と、ダンパの圧側室に接続される圧側通路と、方向切換弁と、供給路と排出路との間に設けた電磁弁と、排出路に設けられる液圧モータと、液圧モータによって駆動される発電機とを備えて構成される。このように構成すると、液体の流れを利用して液圧モータを駆動して発電機を駆動でき、振動エネルギから電気エネルギが得られる。
請求項2のサスペンション装置では、電磁弁が供給路と排出路を接続する制御通路に設けられており、液圧モータが制御通路の電磁弁の下流に設けられている。このように構成すれば、電磁弁を通過する液体の流れを利用して液圧モータを駆動して発電機を駆動でき、振動エネルギから電気エネルギを得る回生が可能となる。
また、請求項3のサスペンション装置では、液圧モータが排出路に設けられており、供給路の圧力を検出する供給側圧力センサと、排出路の圧力を検出する排出側圧力センサと、排出路に設けられて液圧モータをバイパスするバイパス通路と、バイパス通路に設けられてリザーバ側から方向切換弁側へ向かう液体の流れのみを許容するバイパス通路側チェック弁とを備えている。このようにサスペンション装置を構成すれば、リザーバに液体が戻る状況となると必ず液圧モータが駆動されて発電機が発電するので、発電機会が多く効率よく振動エネルギを回生して電気エネルギが得られる。
さらに、請求項4のサスペンション装置では、伸側通路に設けられ伸側室から方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する伸側減衰要素と、圧側通路に設けられ圧側室から方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する圧側減衰要素と、供給路と排出路とを接続する吸込通路と、吸込通路の途中に設けられて排出路から供給路へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェック弁と、供給路の途中であって電磁弁とポンプとの間に設けられてポンプ側から電磁弁側へ向かう流れのみを許容する供給側チェック弁とを備えている。このように構成されたサスペンション装置によれば、ダンパを積極的に伸縮させてアクティブサスペンションとして機能させるだけでなく、セミアクティブサスペンションとしての推力の発揮が期待される場面では、ポンプの駆動が必須ではなくなる。よって、このサスペンション装置では、ポンプの駆動が必要なときのみ駆動すればよくなってエネルギ消費が非常に少なくなり、自動的に、セミアクティブサスペンションとして機能できる。
また、請求項5のサスペンション装置では、伸側減衰要素が伸側室から方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与える伸側減衰弁と、伸側減衰弁に並列されて方向切換弁から伸側室へ向かう流れのみを許容する伸側チェック弁とを有し、圧側減衰要素が圧側室から方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与える圧側減衰弁と、圧側減衰弁に並列されて方向切換弁から圧側室へ向かう流れのみを許容する圧側チェック弁とを有している。このようにすると、ポンプから伸側室或いは圧側室へ液体を供給する際に、伸側チェック弁或いは圧側チェック弁を介してほとんど抵抗なく液体を伸側室或いは圧側室へ供給できる。よって、このサスペンション装置では、ダンパの伸縮方向と発生させる推力の方向とが一致する際にポンプの負荷を軽減できる。また、伸側室或いは圧側室から液体が排出される場合には、伸側減衰弁或いは圧側減衰弁が通過する液体の流れに抵抗を与えるので、伸側室或いは圧側室の圧力を電磁弁の制御圧以上にして大きな推力が得られる。よって、電磁弁の推力を小さくしてもサスペンション装置に大きな推力を発生させ得て、電磁弁を小型化できるとともにコストを低減できる。
本発明のサスペンション装置によれば、エネルギ回生が可能となる。
第一の実施の形態におけるサスペンション装置を示した図である。 サスペンション装置を車両の車体と車輪との間に介装した図である。 サスペンション装置をアクティブサスペンションとして機能させた場合の推力の特性を示した図である。 サスペンション装置をセミアクティブサスペンションとして機能させた場合の推力の特性を示した図である。 サスペンション装置の失陥時における推力の特性を示した図である。 第二の実施の形態におけるサスペンション装置を示した図である。
以下、図に示した第一および第二の実施の形態に基づき、本発明を説明する。第一の実施の形態のサスペンション装置S1および第二の実施の形態のサスペンション装置S2において、共通の符号が付された部材、部品は、同一の構成を備えている。よって、説明の重複を避けるため、第一の実施の形態のサスペンション装置S1の説明中で詳細に説明し、第二の実施の形態のサスペンション装置S2の説明では詳しい説明を省略する。
<第一の実施形態>
第一の実施形態におけるサスペンション装置S1は、図1に示すように、ダンパDと、ポンプ4と、ポンプ4の吸込側に接続されるリザーバRと、ポンプ4の吐出側に接続される供給路5と、リザーバRに接続される排出路6と、ダンパDの伸側室R1に接続される伸側通路7と、ダンパDの圧側室R2に接続される圧側通路8と、方向切換弁9と、供給路5と排出路6との間に設けた電磁弁V1と、排出路6に設けられる液圧モータHmと、前記液圧モータHmによって駆動される発電機Gとを備えて構成されている。
このサスペンション装置S1にあっては、ダンパDは、シリンダ1と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるロッド3を備えている。このロッド3が伸側室R1内のみに挿通されていて、ダンパDは、所謂、片ロッド型のダンパとされている。なお、ダンパDは、伸側室R1および圧側室R2にロッド3が挿通される、所謂、両ロッド型のダンパとされてもよい。また、リザーバRは、本例では、ダンパDとは独立して設けられているが、ダンパDにおけるシリンダ1の外周側に配置される外筒を設けてシリンダ1と外筒との間の環状隙間でリザーバRを形成してもよい。
なお、サスペンション装置S1のダンパDは、図2に示すように、シリンダ1を車両のばね上部材Boとばね下部材Wのうち一方に連結し、ロッド3をばね上部材Boとばね下部材Wのうち他方に連結して、ばね上部材Boとばね下部材Wとの間に介装される。
そして、伸側室R1および圧側室R2には液体として、たとえば、作動油等が充満され、リザーバR内にも液体と気体が充填される。伸側室R1、圧側室R2およびリザーバR内に充填される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用できる。また、本発明では、伸長行程時に圧縮される室を伸側室R1とし、収縮行程時に圧縮される室を圧側室R2としてある。
ポンプ4は、吸込側から液体を吸い込んで吐出側から液体を吐出する一方向吐出型に設定され、モータ13によって駆動されるようになっている。モータ13には、直流、交流を問わず、種々の形式のモータ、たとえば、ブラシレスモータ、誘導モータ、同期モータ等を採用できる。
そして、ポンプ4の吸込側はポンプ通路14によってリザーバRに接続されており、吐出側は供給路5に接続されている。したがって、ポンプ4は、モータ13によって駆動されると、リザーバRから液体を吸い込んで供給路5へ液体を吐出する。なお、供給路5は、一端が前述したようにポンプ4に接続されるほか、他端が方向切換弁9に接続されている。
排出路6は、一端がリザーバRへ接続されるとともに、他端が方向切換弁9に接続されている。排出路6は、ダンパDから排出される液体、或いはポンプ4から吐出される液体のうち余剰分をリザーバRへ戻すほか、ダンパDで液体が不足する場合にリザーバRからダンパDへ液体を供給する機能も発揮する。
伸側通路7は、一端がダンパDの伸側室R1に接続されるとともに、他端が方向切換弁9に接続されている。本例では、伸側通路7の途中には、伸側室R1から方向切換弁9に向かう液体の流れに対し抵抗を与え、反対向きの液体の流れを許容する伸側減衰要素VEが設けられている。
伸側減衰要素VEは、伸側室R1から方向切換弁9に向かう液体の流れに対し抵抗を与える伸側減衰弁15と、当該伸側減衰弁15に並列されて方向切換弁9から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する伸側チェック弁16とを備えて構成されている。よって、伸側室R1から方向切換弁9へ向けて液体が流れる場合、伸側チェック弁16が閉じるため、液体は、伸側減衰弁15のみを通過して方向切換弁9側へ向かって流れる。反対に、方向切換弁9から伸側室R1へ向けて液体が流れる場合、伸側チェック弁16が開弁する。伸側チェック弁16は、伸側減衰弁15に比較して液体の流れに与える抵抗が小さいので、液体は、伸側チェック弁16を優先的に通過して伸側室R1側へ向かって流れる。伸側減衰弁15は、双方向流れを許容する絞り弁とされてもよいし、伸側室R1から方向切換弁9に向かう液体の流れのみを許容するリーフバルブやポペット弁といった減衰弁とされてもよい。
圧側通路8は、一端がダンパDの圧側室R2に接続されるとともに、他端が方向切換弁9に接続されている。本例では、圧側通路8の途中には、圧側室R2から方向切換弁9に向かう液体の流れに対し抵抗を与え、反対向きの液体の流れを許容する圧側減衰要素VCが設けられている。
圧側減衰要素VCは、圧側室R2から方向切換弁9に向かう液体の流れに対し抵抗を与える圧側減衰弁17と、当該圧側減衰弁17に並列されて方向切換弁9から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する圧側チェック弁18とを備えて構成されている。よって、圧側室R2から方向切換弁9へ向けて液体が流れる場合、圧側チェック弁18が閉じるため、液体は、圧側減衰弁17のみを通過して方向切換弁9側へ向かって流れる。反対に、方向切換弁9から圧側室R2へ向けて液体が流れる場合、圧側チェック弁18が開弁する。圧側チェック弁18は、圧側減衰弁17に比較して液体の流れに与える抵抗が小さいので、液体は、圧側チェック弁18を優先的に通過して圧側室R2側へ向かって流れる。圧側減衰弁17は、双方向流れを許容する絞り弁とされてもよいし、圧側室R2から方向切換弁9に向かう流れのみを許容するリーフバルブやポペット弁といった減衰弁とされてもよい。
方向切換弁9は、4ポート2位置の電磁切換弁とされている。具体的には、弁体9aと、弁体9aを附勢するばね9dと、前記ばね9dに対抗する推力を弁体9aに与えるソレノイド9eとを備えている。弁体9aは、ポートAとポートPとを連通するとともにポートBとポートTを連通する伸側供給ポジション9bと、ポートAとポートTとを連通するとともにポートBとポートPを連通する圧側供給ポジション9cとを備えて構成されている。そして、ソレノイド9eへ電力供給しない非通電時には、弁体9aは、ばね9dによって附勢されて伸側供給ポジション9bを採り、ソレノイド9eへ通電すると弁体9aはソレノイド9eからの推力で押されて、圧側供給ポジション9cを採るようになっている。
そして、方向切換弁9のポートPは、供給路5を介してポンプ4の吐出側へ接続され、ポートTは、排出路6を介してリザーバRへ接続され、ポートAは伸側通路7を介して伸側室R1へ接続され、ポートBは圧側通路8を介して圧側室R2へ接続されている。
したがって、方向切換弁9が伸側供給ポジション9bを採る場合、供給路5が伸側通路7を通じて伸側室R1に連通されるとともに、排出路6が圧側通路8を通じて圧側室R2に連通される。この状態でポンプ4を駆動すると伸側室R1に液体が供給されて圧側室R2からリザーバRへ液体が排出されるため、ダンパDに外力が作用しない場合、ダンパDは収縮する。他方、方向切換弁9が圧側供給ポジション9cを採る場合、供給路5が圧側通路8を通じて圧側室R2に連通されるとともに、排出路6が伸側通路7を通じて伸側室R1に連通される。この状態でポンプ4を駆動すると圧側室R2に液体が供給されて伸側室R1からリザーバRへ液体が排出されるため、ダンパDに外力が作用しない場合、ダンパDは伸長する。このように、方向切換弁9は、供給路5を伸側通路7と圧側通路8の一方に選択して連通させるとともに、排出路6を伸側通路7と圧側通路8の他方に連通する。
また、ポンプ4から供給路5へ液体が吐出されるが、本例では、サスペンション装置S1のダンパDが発生する推力の大きさを制御するために、電磁弁V1が設けられている。具体的には、電磁弁V1は、供給路5と排出路6を接続する制御通路19に設けられており、本例では、後述するように、弁開度の調節によって電磁弁V1の供給路5の圧力と排出路6の圧力の差(差圧力)を制御する。
電磁弁V1は、この例では、電磁絞り弁とされており、制御通路19の途中に設けられている。具体的には、電磁弁V1は、制御通路19を開閉する弁体20aと、開ポジション20bを採る方向へ弁体20aを附勢するばね20dと、ばね20dに対抗する推力を弁体20aに付与可能なソレノイド20eとを備えている。弁体20aは、制御通路19を開放する開ポジション20bと制御通路19を遮断する閉ポジション20cを有して構成されている。ソレノイド20eは、図示しないばねとコイルで構成されており、通電時には、弁体20aを附勢するばねに対抗する推力を発生して、弁体20aを閉ポジション20c側へ駆動して電磁弁V1における弁開度を小さくする。よって、ソレノイド20eへの通電量を調節すると電磁弁V1の弁開度を調節でき、前記差圧力を電磁弁V1の弁開度に応じた制御圧に制御できるようになっている。このように、電磁弁V1は、供給電流に応じて前記差圧力を調整可能となっているが、前記した電磁弁V1の具体的構成は一例であってこれに限定されるものではなく、電磁圧力制御弁とされてもよい。
この電磁弁V1にあっては、ソレノイド20eへ供給する電流量に比例した弁開度を得られるようになっており、電流量を大きくすればするほど弁開度が小さくなり、電磁弁V1が液体の流れに与える抵抗が大きくなる。他方、電磁弁V1に電流を供給しない場合には弁開度が最大になって、電磁弁V1が液体の流れに与える抵抗は最小になる。
この電磁弁V1で上流側の供給路5と下流側の排出路6の差圧力を制御するには、本例では、供給路5の圧力を検知する供給側圧力センサ31と排出路6の圧力を検知する排出側圧力センサ32を用いる。また、本例のサスペンション装置S1では、図1に示すように、コントローラCとドライバ装置Drとを備えていて、ダンパDが発揮する推力を制御するようになっている。具体的には、各圧力センサ31,32で供給路5と排出路6の圧力を検知し、コントローラCは、検知された各圧力の差である差圧力を求め、コントローラCで求める目標差圧力と検知された実際の差圧力の偏差からソレノイド20eへ供給する目標電流を求める。なお、コントローラCでは、ダンパDに発生させる目標推力から目標差圧力を求めるようにすればよい。
また、コントローラCには、前述の各圧力センサ31,32で検出した圧力の他、車両の振動抑制に適する制御則に必要な車両の振動状況を把握可能な車両の振動情報が入力される。なお、車両の振動情報は、たとえば、ばね上部材Boやばね下部材Wの上下方向の加速度、速度といった情報や、ダンパDの伸縮速度や伸縮加速度といった情報等とされる。サスペンション装置S1における推力の制御に用いる制御則については、車両に適するものを選択すればよく、たとえば、スカイフック制御等といった車両の振動抑制に優れる制御則を採用するとよい。コントローラCは、振動情報から前記制御則に則りダンパDの目標推力を求め、目標推力通りにダンパDに推力を発生させるべく、電磁弁V1に与える電流量、方向切換弁9のポジション9b,9cの選択およびモータ13へ与える電流量を決定する。
ドライバ装置Drは、たとえば、電磁弁V1および方向切換弁9におけるソレノイド20eおよびソレノイド9eをPWM駆動する駆動回路と、モータ13をPWM駆動する駆動回路を備えている。そして、ドライバ装置Drは、コントローラCからの指令を受けると、コントローラCで決定した通りにソレノイド9e,20eおよびモータ13へ電流を供給する。なお、ドライバ装置Drにおける各駆動回路は、PWM駆動を行う駆動回路以外の駆動回路であってもよい。そして、ダンパDに発生させる目標推力がダンパDの伸長方向では、コントローラCは方向切換弁9について圧側供給ポジション9cを選択する。また、ダンパDに発生させる目標推力がダンパDの収縮方向では、コントローラCは方向切換弁9について伸側供給ポジション9bを選択する。また、ドライバ装置Drは、方向切換弁9に前記のように選択されたポジションへ切換えるべく、ソレノイド9eへ電流の供給或いは停止する。具体的には、本例では、ダンパDを収縮作動させる場合には、伸側室R1へ液体を供給し圧側室R2から液体をリザーバRへ排出させる。そのために、方向切換弁9が伸側供給ポジション9bを採るように方向切換弁9には電流を供給せず非通電とする。反対に、ダンパDを伸長作動させる場合には、圧側室R2へ液体を供給し伸側室R1から液体をリザーバRへ排出させる。そのために、方向切換弁9が圧側供給ポジション9cを採るように方向切換弁9におけるソレノイド9eへ電流を供給する。なお、この場合、コントローラCとドライバ装置Drを別体として説明しているが、コントローラCとドライバ装置Drの機能を有する一つの制御装置でサスペンション装置S1を制御するようにしてもよい。また、コントローラCに入力する情報は、コントローラCで採用する制御則に適した情報であればよく、図示はしないが、当該情報についてはセンサ等で検知してコントローラCに入力すればよい。
このようにコントローラCが求めた目標電流が入力されるとドライバ装置Drは、目標電流通りにソレノイド20eに電流を供給し、電磁弁V1における弁開度が制御される。そして、供給路5と排出路6の差圧力が目標差圧力通りに制御されてダンパDの推力も狙い通りに制御される。電磁弁V1の制御にあたり、各圧力センサ31,32で供給路5と排出路6の圧力を検知するので、サスペンション装置S1が正常に機能しているかを監視できるメリットがある。本例において、電磁弁V1は、供給電流に応じて供給路5と排出路6の差圧力を調整できるものであれば、電磁圧力制御弁等といった種々の弁を電磁弁V1として利用できる。
さらに、供給路5と排出路6とを接続する吸込通路10が制御通路19に対して並列に設けられている。この吸込通路10の途中には、排出路6から供給路5へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェック弁11が設けられており、吸込通路10が排出路6から供給路5へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。
供給路5の途中であって電磁弁V1とポンプ4との間には供給側チェック弁12が設けられている。より詳しくは、供給側チェック弁12は、供給路5の途中であって、制御通路19および吸込通路10の接続点よりもポンプ4側に設けられており、ポンプ4側から電磁弁V1側へ向かう液体の流れのみを許容し、その反対の流れを阻止する。よって、ポンプ4の吐出圧より方向切換弁9側の圧力が高圧となっても、供給側チェック弁12が閉じるためにポンプ4側への液体の逆流が阻止される。
液圧モータHmは、排出路6の途中であって、制御通路19および吸込通路10の接続点とポンプ通路14の接続点との間に設けられている。液圧モータHmは、方向切換弁9側からリザーバR側へ向かう液体の流れによって回転駆動するようになっている。液圧モータHmの出力軸は、発電機Gの入力軸に接続されており、液圧モータHmが回転駆動されると発電機Gが駆動されて発電できるようになっている。
また、本例では、排出路6には、液圧モータHmの上流と下流をバイパスするバイパス通路Biが設けられている。具体的には、バイパス通路Biは、一端が排出路6の途中であって、制御通路19および吸込通路10の接続点と液圧モータHmとの間に、他端がポンプ通路14の接続点と液圧モータHmとの間に接続されていて、液圧モータHmを迂回するようになっている。さらに、バイパス通路Biには、リザーバR側から方向切換弁9側へ向かう液体の流れのみを許容するバイパス通路側チェック弁21が設けられている。
よって、本例では、排出路6を方向切換弁9側からリザーバR側へ液体が流れると液圧モータHmが回転駆動されて発電機Gが発電する。反対に、液体が排出路6をリザーバR側から方向切換弁9側へ向かう場合、バイパス通路側チェック弁21が開弁して液圧モータHmを迂回してバイパス通路Biを通過する。
サスペンション装置S1は、以上のように構成されており、続いて、その作動について説明する。まず、モータ13、ポンプ4、方向切換弁9および電磁弁V1を正常に動作できる通常時における作動を説明する。
基本的には、ポンプ4をモータ13によって駆動し、方向切換弁9によって伸側室R1と圧側室R2の一方を供給路5に接続してポンプ4に通じさせて液体を供給しつつ、排出路6を通じて他方の室をリザーバRに連通させると、ダンパDが伸長或いは収縮する。この場合には、ダンパDを積極的に伸長或いは収縮せしめて、ダンパDをアクチュエータとして機能させられる。ダンパDに発生させる推力がダンパDの伸長方向である場合には、方向切換弁9を圧側供給ポジション9cとして、圧側室R2を供給路5へ接続し伸側室R1をリザーバRへ接続する。反対に、ダンパDに発生させる推力がダンパDの収縮方向である場合には、方向切換弁9を伸側供給ポジション9bとして、伸側室R1を供給路5へ接続し圧側室R2をリザーバRへ接続する。そして、電磁弁V1によって供給路5と排出路6の差圧力を調節すると、ダンパD内の伸側室R1と圧側室R2の差圧力が制御され、ダンパDが発揮する伸長方向或いは収縮方向の推力の大きさを制御できる。
コントローラCは、振動情報から前記制御則に則りダンパDの目標推力を求め、目標推力通りにダンパDに推力を発生させるべく、電磁弁V1に与える電流量、方向切換弁9のポジション9b,9cの選択とモータ13へ与える電流量を決定する。
具体的には、ダンパDの収縮方向の力を正とした場合、目標推力をFとし、ピストン2の断面積をAとし、ロッド3の断面積をAとし、伸側室R1の圧力をPとし、圧側室R2の圧力をPとすると、目標差圧力P−Pは、Pの圧力によって、P−P=(F+A・P)/(A−A)で計算される。
コントローラCは、モータ13へドライバ装置Drを介して電流供給してポンプ4を制御し、ポンプ4の吐出圧力が変化してもポンプ4を所定の回転数に保つように制御する。その上で、コントローラCは、供給側圧力センサ31で検出する供給路5の圧力をPとし、排出側圧力センサ32で検出する排出路6の圧力Pとして、実際の差圧力P−Pが目標差圧力P−Pと等しくなるように電磁弁V1を制御する。具体的には、コントローラCは、目標推力Fと圧側室R2の圧力Pから求められる目標差圧力P−Pと実際の差圧力P−Pとの偏差がゼロになるように電磁弁V1へ供給する電流量を調節する。圧側室R2の圧力Pは、供給路5と排出路6のうち方向切換弁9を介して圧側室R2に接続される一方の圧力から把握できる。
目標推力Fがシリンダ1に対してピストン2を押し下げる方向の力の場合には、コントローラCは、方向切換弁9には通電せず、供給路5を伸側室R1に連通して、排出路6を圧側室R2に連通する。そして、コントローラCが前述のように、ポンプ4を制御しつつ、実際の差圧力P−Pが目標差圧力P−Pとなるように電磁弁V1の電流量を調節する。これにより、ダンパDは、目標推力F通りにシリンダ1に対してピストン2を押し下げる方向の推力を発揮する。
反対に、目標推力Fがシリンダ1に対してピストン2を押し上げる方向の力の場合には、コントローラCは、方向切換弁9に通電して、供給路5を圧側室R2に連通し、排出路6を伸側室R1に連通する。そして、コントローラCが前述のように、ポンプ4を制御しつつ、実際の差圧力P−Pが目標差圧力P−Pとなるように電磁弁V1の電流量を調節する。これにより、ダンパDは、目標推力F通りにシリンダ1に対してピストン2を押し上げる方向の推力を発揮する。
以上、ダンパDを積極的に伸縮させる場合の作動について説明したが、車両走行中には、ダンパDが路面の凹凸により外乱を受けて伸縮するので、以下に、ダンパDが外乱を受けて伸縮する点を踏まえた作動について説明する。
最初に、ポンプ4を駆動して供給路5へ液体を吐出している状態についての作動を説明する。ダンパDが外乱を受けて伸縮する場合、ダンパDが推力を発生する方向とダンパDの伸縮方向で場合分けすると、四つのケースが考えられる。
まず、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって伸長作動しているケースについて説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を下方に押し下げる方向であり、伸側室R1へ液体を供給する必要がある。そのため、コントローラCは、伸側供給ポジション9bを採るように方向切換弁9を切換えて、伸側室R1を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて圧側室R2をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが伸長作動しているときには、伸側室R1の容積が減少するため、減少分の液体は、伸側減衰弁15を通じて伸側室R1から排出され、さらに、供給路5を介して電磁弁V1を通過してリザーバRへ流れる。容積が増加する圧側室R2へは、伸側室R1から排出された液体が排出路6を経て流入するが、ロッド3のシリンダ1から退出した体積に見合った液体が圧側室R2内で不足するため、不足分はポンプ4が吐出した液体により排出路6を介して補充される。そして、ポンプ4から吐出された液体の流量のうち、圧側室R2で吸収できなかった余剰分は、排出路6を介してリザーバRへ戻されるが、その際に、液体が液圧モータHmを通過するので、発電機Gが駆動されて発電する。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、動的に供給路5の圧力がポンプ4の吐出圧よりも高くなってもポンプ4側に液体が逆流しない。
ダンパDの伸長速度が速く、ポンプ4の吐出流量ではシリンダ1内で不足する液体流量を賄えない場合、リザーバRから排出路6を介して液体がシリンダ1内に補充される。この場合、液体は、排出路6を通じてリザーバRからダンパDへ供給されるのみとなるために、液圧モータHmは駆動されず発電機Gによる発電は行われない。
供給路5の圧力と排出路6の圧力の差である差圧力は、電磁弁V1によって制御され、伸側室R1の圧力は、伸側室R1から排出される液体が伸側減衰弁15を通過する際に生じる圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなる。したがって、この場合、電磁弁V1が目標差圧力通りに実際の差圧力を制御しても、伸側減衰弁15の圧力損失分だけ、伸側室R1と圧側室R2の差圧力は、目標差圧力よりも大きくなり、ダンパDの発生推力もその分増大する。ここで、ダンパDの推力の関係は、ピストン2の伸側室R1に面する面積(ピストン2の面積からロッド3の断面積を引いた面積)を受圧面積として、ピストン2の受圧面積と伸側室R1の圧力との積となる。よって、縦軸にダンパDの推力の方向を採り、横軸にダンパDの伸縮速度を採った図3に示したグラフでは、電磁弁V1で差圧力を最大としたとき、つまり、電磁弁V1が制御圧を最大としたときのダンパDの推力は、図3中の線(1)で示す特性となる。
続いて、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって収縮作動しているケースについて説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を下方に押し下げる方向であるので、伸側室R1へ液体を供給する必要がある。この場合も伸側供給ポジション9bを採るように方向切換弁9を切換えて、伸側室R1を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて圧側室R2をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが収縮作動しているときには、伸側室R1の容積が増大する。ポンプ4の吐出流量が単位時間当たりの伸側室R1の容積増大量以上である場合、伸側室R1で必要となる流量よりポンプ4の吐出流量が多い。このような状況では、ポンプ4から吐出された液体は、伸側チェック弁16を通じて伸側室R1へ流入するとともに、ポンプ4の吐出流量のうち伸側室R1で吸収されずに余った液体が電磁弁V1を通じてリザーバRへ流れる。よって、伸側室R1の圧力は、供給路5の圧力と等圧に制御される。他方の容積が減少する圧側室R2には、圧側減衰弁17および排出路6を介して圧側室R2から容積減少分の液体がリザーバRへ排出される。よって、ポンプ4からの余剰流量分の液体流と圧側室R2から排出される液体流が合流し、液圧モータHmを介してリザーバRへ戻される。液圧モータHmが駆動されて発電機Gは発電する。
また、圧側室R2の圧力は、圧側室R2から排出される液体が圧側減衰弁17を通過する際に生じる圧力損失分だけ排出路6の圧力よりも高くなる。したがって、この場合、電磁弁V1が目標差圧力通りに実際の差圧力を制御しても、圧側減衰弁17の圧力損失分だけ、伸側室R1と圧側室R2の差圧力は、目標差圧力よりも小さくなり、ダンパDの発生推力もその分減少する。以上から、収縮方向の推力をダンパDに発揮させる際、ダンパDが外力で収縮作動し、ポンプ4の吐出流量が単位時間当たりの伸側室R1の容積増大量以上となると、電磁弁V1で差圧力を最大としたときのダンパDの推力は、図3中の線(2)で示す特性となる。
これに対して、ダンパDの収縮速度が高く、ポンプ4の吐出流量が単位時間当たりの伸側室R1の容積増大量を下回ると、ポンプ4からの液体供給が伸側室R1の単位時間当たりの容積増大量に追いつかなくなる。このように、ポンプ4から吐出される液体が全て伸側室R1で吸収されると、電磁弁V1には液体が流れなくなり、伸側室R1で不足する量の液体は、吸込チェック弁11が開いて、容積が減少する圧側室R2から排出路6および吸込通路10を介して供給される。減少する圧側室R2の容積は、増大する伸側室R1の容積よりもロッド3がシリンダ1内に侵入する体積分だけ多い。そのため、伸側室R1で不足する液体流量は、圧側室R2から排出される液体流量にて賄われ、ロッド3がシリンダ1内に侵入する体積分の液体が排出路6を通じてリザーバRへ移動する。よって、この場合も、液圧モータHmが回転駆動されて発電機Gは発電する。また、このような状況となると、圧側室R2の圧力は圧側減衰弁17による圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなる。そのため、ダンパDは、ピストン2を下方に押し下げる方向へは推力を発揮できなくなり、反対の方向へ、つまり、ピストン2を上方へ押し上げる方向へ推力を発揮する。よって、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させようとする際にダンパDが外力により収縮し、ポンプ4の吐出流量が伸側室R1の単位時間当たりの容積増大量未満となると、ダンパDは、ピストン2を下方に押し下げる方向へ推力を発揮できない。この場合、電磁弁V1で差圧力の制御ができず、ダンパDの推力は、図3中の線(3)で示す特性となる。したがって、電磁弁V1で差圧力を最大にする場合、ポンプ4の吐出流量が伸側室R1の単位時間当たりの容積増大量以上では図3中の線(2)の特性となり、ポンプ4の吐出流量が伸側室R1の単位時間当たりの容積増大量未満となると図3中の線(3)の特性へ変化する。
次に、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって収縮作動しているケースについて説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を上方に押し上げる方向であり、圧側室R2へ液体を供給する必要がある。よって、この場合、コントローラCは、圧側供給ポジション9cを採るように方向切換弁9を切換えて、圧側室R2を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて伸側室R1をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが収縮作動しているときには、圧側室R2の容積が減少するため、減少分の液体は、圧側減衰弁17を通じて圧側室R2から排出され、供給路5を介して電磁弁V1を通過して排出路6へ流れる。他方、容積が増大する伸側室R1には、排出路6を介して圧側室R2から容積拡大分に見合う液体が供給される。その際に、ロッド3がシリンダ1へ侵入する体積の液体が過剰となるので、この分の液体とポンプ4が吐出する液体は、液圧モータHmを通過してリザーバRへ流れる。よって、液圧モータHmが駆動されて発電機Gは発電する。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、動的に供給路5の圧力がポンプ4の吐出圧よりも高くなってもポンプ4側に液体が逆流しない。
そして、この場合、圧側室R2の圧力は、圧側室R2から排出される液体が圧側減衰弁17を通過する際に生じる圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなる。したがって、この場合、電磁弁V1が目標差圧力通りに実際の差圧力を制御しても、圧側減衰弁17の圧力損失分だけ、伸側室R1と圧側室R2の差圧力は、目標差圧力よりも大きくなり、ダンパDの発生推力もその分増大する。したがって、図3に示したグラフでは、電磁弁V1で差圧力を最大としたときのダンパDの推力は図3中の線(4)で示す特性となる。
さらに、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって伸長作動しているケースについて説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を上方に押し上げる方向であるので、圧側室R2へ液体を供給する必要がある。よって、この場合、コントローラCは、圧側供給ポジション9cを採るように方向切換弁9を切換えて、圧側室R2を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて伸側室R1をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが伸長作動しているときには、圧側室R2の容積が増大するが、ポンプ4の吐出流量がこの圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量以上である場合、圧側室R2で必要となる流量よりポンプ4の吐出流量が多い。そのため、ポンプ4から吐出された液体は、圧側チェック弁18を通じて圧側室R2へ流入するとともに、ポンプ4の吐出流量のうち圧側室R2で吸収されずに余った液体が電磁弁V1を通じて排出路6へ流れる。したがって、圧側室R2の圧力は、供給路5の圧力と等圧となる。他方の容積が減少する伸側室R1には、伸側減衰弁15および排出路6を介して伸側室R1から容積減少分の液体がリザーバRへ排出される。よって、ポンプ4からの余剰流量分の液体流と伸側室R1から排出される液体流が合流し、液圧モータHmを介してリザーバRへ戻され、液圧モータHmが駆動されて発電機Gは発電する。
また、伸側室R1の圧力は、伸側室R1から排出される液体が伸側減衰弁15を通過する際に生じる圧力損失分だけ排出路6の圧力よりも高くなる。したがって、この場合、電磁弁V1が目標差圧力通りに実際の差圧力を制御しても、伸側減衰弁15の圧力損失分だけ、伸側室R1と圧側室R2の差圧力は、目標差圧力よりも小さくなり、ダンパDの発生推力もその分減少する。以上から、伸長方向の推力をダンパDに発揮させる際に、ダンパDが外力で伸長作動し、ポンプ4の吐出流量が単位時間当たりの圧側室R2の容積増大量以上となると、電磁弁V1で差圧力を最大としたときのダンパDの推力は、図3中の線(5)で示す特性となる。
これに対して、ダンパDの伸長速度が高く、ポンプ4の吐出流量が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量を下回って、ポンプ4からの液体供給が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量に追いつかなくなる。このように、ポンプ4から吐出される液体が全て圧側室R2で吸収されると、電磁弁V1には液体が流れなくなり、圧側室R2で不足する量の液体は、吸込チェック弁11が開いて、伸側室R1から排出路6および吸込通路10を介して供給される。減少する伸側室R1の容積は、増大する圧側室R2の容積よりもロッド3がシリンダ1内に退出する体積分だけ少ない。圧側室R2で不足する液体流量をポンプ4の吐出流量と伸側室R1から排出される液体流量だけで賄える場合、ダンパDから排出路6を通じてリザーバRへ液体が流れる。よって、この場合も、液圧モータHmが駆動されて発電機Gは発電できる。他方、ダンパDの伸長速度が更に高くなり、圧側室R2で不足する液体流量をポンプ4の吐出流量と伸側室R1からの液体流量だけで賄えなくなると、バイパス通路側チェック弁21が開き、バイパス通路Biを介してリザーバRから圧側室R2へ液体が供給される。この場合、液圧モータHmを液体が通過しなくなり、発電機Gは発電しない。このように、ダンパDの伸長速度が高く、ポンプ4の吐出流量が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量を下回る状況となると、伸側室R1の圧力は伸側減衰弁15による圧力損失分だけ排出路6の圧力よりも高くなる。そのため、ダンパDは、ピストン2を上方に押し上げる方向へは推力を発揮できなくなり、反対の方向へ、つまり、ピストン2を下方へ押し下げる方向へ推力を発揮する。よって、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させようとする際にダンパDが外力により伸長し、ポンプ4の吐出流量が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量未満となると、ダンパDは、ピストン2を上方に押し上げる方向へ推力を発揮できない。この場合、電磁弁V1で差圧力を制御できず、ダンパDの推力は、図3中の線(6)で示す特性となる。したがって、電磁弁V1で差圧力を最大にする場合、ポンプ4の吐出流量が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量以上では図3中の線(5)の特性となり、ポンプ4の吐出流量が圧側室R2の単位時間当たりの容積増大量未満となると図3中の線(6)の特性へ変化する。
以上から、電磁弁V1の弁開度の調節により、図3中、線(1)から線(3)をつなげたラインから線(4)から線(6)までのつなげたラインまでの間の範囲でダンパDの推力を可変にできる。また、ポンプ4の駆動によって、ポンプ4の吐出流量を伸側室R1と圧側室R2のうち拡大する側の室へ供給する場合には、ポンプ4の吐出流量が拡大する室の容積増大量以上である場合には、ダンパDの伸縮方向と同方向に推力を発揮させ得る。
また、前述した各ケースにおいて、伸側減衰弁15および圧側減衰弁17によって伸縮速度に依存してダンパDが発生する推力が変化する特性は、ショックアブソーバとしての機能として作用する。よって、本サスペンション装置S1は、ばね上部材Boとばね下部材Wとの間にアクチュエータとパッシブなショックアブソーバを並列に介装したものと等価と看做せる。そして、本サスペンション装置S1によれば、このパッシブなショックアブソーバとしての機能を発揮して、ばね下部材Wの振動を抑制できる。
なお、ダンパDは、収縮側では図3中線(2)から線(3)へ推力が変化する特性を示し、伸長側では図3中線(5)から線(6)へ推力が変化する特性を示すが、特性の変化はごく瞬間的に生じるものであり、乗り心地に与える影響は軽微である。
引き続き、ポンプ4を駆動しない停止状態にした場合のサスペンション装置S1の作動を説明する。この場合についても、ダンパDが外乱を受けて伸縮する方向とダンパDが推力を発生する方向とで場合分けすると、四つのケースが考えられる。
まず、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって伸長作動しているケースについて説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を下方に押し下げる方向である。そこで、コントローラCは、伸側供給ポジション9bを採るように方向切換弁9を切換え、伸側室R1を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて圧側室R2をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが伸長作動しているときには、伸側室R1の容積が減少するため、減少分の液体は、伸側減衰弁15を通じて伸側室R1から排出され、供給路5を介して電磁弁V1を通過して排出路6へ流れる。他方、容積が増大する圧側室R2には、排出路6を介して伸側室R1およびリザーバRから容積拡大分に見合う液体が供給される。この場合、液体は、バイパス通路側チェック弁21が開弁してバイパス通路Biを通過するので、液圧モータHmが駆動されず発電機Gは停止して発電しない。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、ポンプ4側に液体が流れない。
供給路5と排出路6の差圧力は、電磁弁V1によって、目標差圧力に制御されるが、伸側室R1の圧力は、伸側室R1から排出される液体が伸側減衰弁15を通過する際に生じる圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなる。したがって、縦軸にダンパDの推力の方向を採り、横軸にダンパDの伸縮速度を採った図4に示したグラフでは、電磁弁V1で差圧力を最大としたときのダンパDの推力は図4中の線(7)で示す特性となる。
続いて、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって収縮作動している場合について説明する。ポンプ4が停止状態であってポンプ4から液体は供給されないが、ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を下方に押し下げる方向である。そのため、コントローラCは、伸側供給ポジション9bを採るように方向切換弁9を切換えて、伸側室R1を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて圧側室R2をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが収縮作動しているとき伸側室R1の容積が増大するが、ポンプ4が停止しているので、電磁弁V1には液体が流れなくなり、伸側室R1で不足する量の液体は、吸込チェック弁11が開いて、圧側室R2から排出路6と吸込通路10を介して供給される。この状況では、伸側室R1の圧力はほぼ供給路5の圧力に等しくなる。他方の容積が減少する圧側室R2から排出された液体は、圧側減衰弁17および排出路6を介して伸側室R1へ流れるほか、ロッド3がシリンダ1内に侵入する体積分の流量がリザーバRへ流れる。よって、この場合、液体が液圧モータHmを通過するため、発電機Gは発電する。また、圧側室R2の圧力は、圧側室R2から排出される液体が圧側減衰弁17を通過する際に生じる圧力損失分だけ排出路6の圧力よりも高くなる。そのため、ダンパDは、ピストン2を下方に押し下げる方向へは推力を発揮できず、反対の方向へ、つまり、ピストン2を上方へ押し上げる方向へ推力を発揮する。以上から、ピストン2を下方に押し下げる推力をダンパDに発揮させようとする場合で、ダンパDが外力によって収縮作動している場合にあって、ポンプ4が停止している場合、ピストン2を下方に押し下げる方向へ推力を発揮できない。そして、電磁弁V1で差圧力を制御できず、ダンパDの推力は、図4中の線(8)で示す特性となる。これは、減衰力可変ダンパにおいて、圧側減衰力を最も低い減衰力に制御しているのと同等の効果をもたらしている。
次に、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって収縮作動している場合について説明する。ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を上方に押し上げる方向である。そのため、コントローラCは、圧側供給ポジション9cを採るように方向切換弁9を切換えて、圧側室R2を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて伸側室R1をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが収縮作動しているときには、圧側室R2の容積が減少するため、減少分の液体は、圧側減衰弁17を通じて圧側室R2から排出され、供給路5を介して電磁弁V1を通過して排出路6へ流れる。他方、容積が増大する伸側室R1には、排出路6を介して圧側室R2から容積拡大分に見合う液体が供給される。この場合、シリンダ1内にロッド3が侵入するため、圧側室R2から排出される液体を伸側室R1だけでは吸収しきれず、余剰の液体は、液圧モータHmを通過してリザーバRへ流れる。よって、液圧モータHmが駆動されて、発電機Gは発電する。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、ポンプ4側に液体が流れない。
供給路5と排出路6の差圧力は、電磁弁V1によって目標差圧力に制御されるため、圧側室R2の圧力は、圧側室R2から排出される液体が圧側減衰弁17を通過する際に生じる圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなる。したがって、図4に示したグラフでは、電磁弁V1の制御圧を最大としたときのダンパDの推力は図4中の線(9)で示す特性となる。
続いて、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させる場合であって、ダンパDが外力によって伸長作動している場合について説明する。ポンプ4が停止状態であってポンプ4から液体は供給されないが、ダンパDに発生させる推力の方向は、ピストン2を上方に押し上げる方向である。そのため、コントローラCは、圧側供給ポジション9cを採るように方向切換弁9を切換えて、圧側室R2を供給路5へ接続するとともに、排出路6を通じて伸側室R1をリザーバRへ連通させる。
ダンパDが伸長作動しているとき圧側室R2の容積が増大するが、ポンプ4が停止しているので、電磁弁V1には液体が流れなくなり、圧側室R2で不足する量の液体は、吸込チェック弁11が開いて、伸側室R1から排出路6と吸込通路10を介して供給される。この状況では、圧側室R2の圧力はほぼ供給路5の圧力に等しくなる。他方の容積が減少する伸側室R1から排出される液体は、伸側減衰弁15および排出路6を介して圧側室R2へ流れる。圧側室R2では、ロッド3がシリンダ1から退出する体積分の液体が不足するため、リザーバRから供給路5を介して不足分の液体が圧側室R2へ供給される。よって、この場合、バイパス通路側チェック弁21が開弁して、リザーバRから圧側室R2へ向かう液体は、液圧モータHmを迂回して移動するため、液圧モータHmは駆動されず発電機Gは停止して発電しない。また、伸側室R1の圧力は、伸側室R1から排出される液体が伸側減衰弁15を通過する際に生じる圧力損失分だけ排出路6の圧力よりも高くなる。そのため、ダンパDは、ピストン2を上方に押し上げる方向へは推力を発揮できず、反対の方向へ、つまり、ピストン2を下方へ押し下げる方向へ推力を発揮する。以上から、ピストン2を上方に押し上げる推力をダンパDに発揮させようとする場合で、ダンパDが外力によって伸長作動している場合にあって、ポンプ4が停止している場合、ピストン2を上方に押し上げる方向へ推力を発揮できない。そして、電磁弁V1で差圧力を制御できず、ダンパDの推力は、図4中の線(10)で示す特性となる。これは、減衰力可変ダンパにおいて、伸側減衰力を最も低い減衰力に制御しているのと同等の効果をもたらしている。
そして、電磁弁V1で差圧力を調整すれば、ダンパDは、図4中の第一象限で線(7)から線(10)の範囲(伸側出力可能範囲)で伸側減衰力を調節でき、図4中の第三象限で線(8)から線(9)の範囲(圧側出力可能範囲)で圧側減衰力を調節できる。
通常、セミアクティブサスペンションにあっては、減衰力可変ダンパを用いてカルノップ則に従ってスカイフック制御を実行する。よって、伸側減衰力(ピストンを押し下げる方向の力)が必要である場合、伸長作動時には減衰力可変ダンパの減衰力が目標推力を得られる減衰力に制御され、収縮作動時には、伸側減衰力が得られないから圧側へ最も低い減衰力を発揮するように制御される。また、圧側減衰力(ピストンを押し上げる方向の力)が必要な場合、収縮作動時には減衰力可変ダンパの減衰力が目標推力を得られる減衰力に制御され、伸長作動時には、圧側減衰力が得られないから伸側へ最も低い減衰力を発揮するように制御される。これに対して、本発明のサスペンション装置S1では、ポンプ4の停止時にダンパDに収縮方向の推力を発揮させようとする場合、ダンパDは、伸長時に伸側出力可能範囲内で調節される推力を発揮し、収縮時には伸長方向の最も低い推力を発揮する。反対に、ポンプ4の停止時にダンパDに伸長方向の推力を発揮させようとする場合、ダンパDは、収縮時に伸側出力可能範囲内で調節される推力を発揮し、伸長時には収縮方向の最も低い推力を発揮する。したがって、本発明のサスペンション装置S1では、ポンプ4が停止中である場合、自動的に、セミアクティブサスペンションと同じ機能を発揮する。これは、ポンプ4が駆動中であってもポンプ4の吐出流量が拡大する伸側室R1或いは圧側室R2の容積増大量未満となると、自動的に、サスペンション装置S1がセミアクティブサスペンションとして機能するのを意味する。サスペンション装置S1が自動的にセミアクティブサスペンションとして機能するのは、供給側チェック弁12を設けて動的に供給路5の圧力がポンプ4の吐出圧よりも高くなってもポンプ4側に液体が逆流しないようにしたためである。
最後に、サスペンション装置S1のモータ13、方向切換弁9および電磁弁V1への通電が何らかの異常により通電不能な失陥時におけるサスペンション装置Sの作動について説明する。こうした失陥には、たとえば、モータ13、方向切換弁9および電磁弁V1への通電ができない場合のほか、コントローラCやドライバ装置Drに異常が見られた場合にモータ13、方向切換弁9および電磁弁V1への通電を停止する場合も含まれる。
失陥時には、モータ13、方向切換弁9および電磁弁V1への通電が停止されるか、或いは通電不能な状態であり、ポンプ4は停止し、電磁弁V1の制御圧が最小となり、方向切換弁9は、ばね9dに附勢されて伸側供給ポジション9bを採った状態となる。
この状態で、ダンパDが外力によって伸長作動する場合、伸側室R1の容積が減少するため、減少分の液体は、伸側減衰弁15を通じて伸側室R1から排出され、供給路5を介して電磁弁V1を通過してリザーバRへ流れる。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、ポンプ4側に液体が流れない。他方、容積が増大する圧側室R2には、排出路6を介してリザーバRから容積拡大分に見合う液体が供給される。
伸側室R1から排出された液体は電磁弁V1を通過するが、電磁弁V1が非通電時に通過する流れに対しほとんど抵抗を与えない特性になっているため、供給路5の圧力は、ほぼリザーバRの圧力と等圧となる。よって、伸側室R1の圧力は、伸側室R1から排出される液体が伸側減衰弁15を通過する際に生じる圧力損失分だけ供給路5の圧力よりも高くなるから、当該圧力損失分だけリザーバRの圧力よりも高くなる。
したがって、ダンパDの推力は、伸側減衰弁15による圧力損失に見合う圧力にピストン2の伸側室R1の受圧面積を乗じた力となり、図5に示したグラフでは、図5中の線(11)で示す特性となる。
反対に、ダンパDが外力によって収縮作動する場合、圧側室R2の容積が減少するため、減少分の液体は、圧側減衰弁17を通じて圧側室R2から排出され、リザーバRへ流れる。他方、容積が増大する伸側室R1には、排出路6を介してリザーバRから吸込通路10、吸込チェック弁11を通じて容積拡大分に見合う液体が供給される。なお、供給側チェック弁12が設けられているので、ポンプ4側に液体が流れない。
よって、圧側室R2の圧力は、圧側室R2から排出される液体が圧側減衰弁17を通過する際に生じる圧力損失分だけリザーバRの圧力よりも高くなる。したがって、ダンパDの推力は、圧側減衰弁17による圧力損失に見合う圧力にピストン2の圧側室R2の受圧面積を乗じた力となり、図5に示したグラフでは、図5中の線(12)で示す特性となる。
このようにサスペンション装置Sが失陥した状態では、ダンパDはパッシブなダンパとして機能して、ばね上部材Boおよびばね下部材Wの振動を抑制するので、失陥時にはフェールセーフ動作が確実に行われる。
本発明のサスペンション装置S1では、シリンダ1から排出される液体或いはポンプ4で吐出した液体流量のうち過剰分の液体の一方または両方がリザーバRへ戻される場合に、液圧モータHmを駆動して発電できる。この発電によって得られる電力は、図示はしないが、蓄電池に蓄えておき、必要に応じて、コントローラC、ドライバ装置Dr、モータ13、電磁弁V1、方向切換弁9或いは図外の外部機器へ供給してもよい。よって、本発明のサスペンション装置S1によれば、サスペンションの振動エネルギを回生して電気エネルギとして取り出せ、発電によって得られた電力をモータ13等のサスペンション装置S1における電力を消費部材へ供給できる。
以上より、本発明のサスペンション装置S1は、ダンパDと、ポンプ4と、ポンプ4の吸込側に接続されるリザーバRと、ポンプ4の吐出側に接続される供給路5と、リザーバRに接続される排出路6と、ダンパDの伸側室R1に接続される伸側通路7と、ダンパDの圧側室R2に接続される圧側通路8と、方向切換弁9と、供給路5と排出路6との間に設けた電磁弁V1と、排出路6に設けられる液圧モータHmと、前記液圧モータHmによって駆動される発電機Gとを備えて構成されている。このように構成すれば、リザーバRへ戻る液体の流れを利用して液圧モータHmを駆動して発電機Gを駆動でき、振動エネルギから電気エネルギを得る回生が可能となる。
また、本例のサスペンション装置S1は、液圧モータHmが前記排出路に設けられており、供給路5の圧力を検出する供給側圧力センサ31と、排出路6の圧力を検出する排出側圧力センサ32と、排出路6に設けられて液圧モータHmをバイパスするバイパス通路Biと、バイパス通路Biに設けられてリザーバR側から方向切換弁9側へ向かう液体の流れのみを許容するバイパス通路側チェック弁21とを備えている。本例のサスペンション装置S1では、供給側圧力センサ31、排出側圧力センサ32およびバイパス通路側チェック弁21の設置により、ダンパDが発生する推力の制御を可能としつつも液圧モータHmを排出路6に設置できる。このように構成された本例のサスペンション装置S1では、リザーバRに液体が戻る状況となると必ず液圧モータHmが駆動されて発電機Gが発電するので、発電機会が多く効率よく振動エネルギを回生して電気エネルギが得られる。
また、本例のサスペンション装置S1にあっては、伸側通路7に設けられ伸側室R1から方向切換弁9に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する伸側減衰要素VEと、圧側通路8に設けられ圧側室R2から方向切換弁9に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する圧側減衰要素VCと、供給路5と排出路6とを接続する吸込通路10と、吸込通路10の途中に設けられて排出路6から供給路5へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェック弁11と、供給路5の途中であって電磁弁V1とポンプ4との間に設けられてポンプ4側から電磁弁V1側へ向かう流れのみを許容する供給側チェック弁12とを備えている。このように構成されたサスペンション装置S1によれば、ダンパDを積極的に伸縮させてアクティブサスペンションとして機能させるだけでなく、セミアクティブサスペンションとしての推力の発揮が期待される場面では、ポンプ4の駆動が必須ではなくなる。よって、本例のサスペンション装置S1では、ポンプ4の駆動が必要なときのみ駆動すればよくなってエネルギ消費が非常に少なくなり、自動的に、セミアクティブサスペンションとして機能できる。
また、本例のサスペンション装置S1にあっては、伸側減衰要素VEが伸側室R1から方向切換弁9に向かう流れに対し抵抗を与える伸側減衰弁15と、伸側減衰弁15に並列されて方向切換弁9から伸側室R1へ向かう流れのみを許容する伸側チェック弁16とを有し、圧側減衰要素VCが圧側室R2から方向切換弁9に向かう流れに対し抵抗を与える圧側減衰弁17と、圧側減衰弁17に並列されて方向切換弁9から圧側室R2へ向かう流れのみを許容する圧側チェック弁18とを有している。このようにすると、ポンプ4から伸側室R1或いは圧側室R2へ液体を供給する際に、伸側チェック弁16或いは圧側チェック弁18を介してほとんど抵抗なく液体を伸側室R1或いは圧側室R2へ供給できる。よって、サスペンション装置S1では、ダンパDの伸縮方向と発生させる推力の方向とが一致する際にポンプ4の負荷を軽減できる。また、伸側室R1或いは圧側室R2から液体が排出される場合には、伸側減衰弁15或いは圧側減衰弁17が通過する液体の流れに抵抗を与えるので、伸側室R1或いは圧側室R2の圧力を電磁弁V1の制御圧以上にして大きな推力が得られる。よって、電磁弁V1におけるソレノイド20eの推力を小さくしてもサスペンション装置S1に大きな推力を発生させ得る。このことから、本例のサスペンション装置S1によれば、電磁弁V1を小型化できるとともにコストを低減できる。
なお、伸側減衰要素VEおよび圧側減衰要素VCが液体の流れる方向に関わりなく液体の流れに抵抗を与えてもよい。その場合、伸側減衰弁15および圧側減衰弁17が双方向流れを許容するものであれば伸側チェック弁16および圧側チェック弁18を省略可能である。その場合でも、サスペンション装置S1がセミアクティブサスペンションとしての推力の発揮が期待される場面ではポンプ4の駆動が必須ではないからエネルギ消費が少なくなる。
<第二の実施形態>
つづいて、第二の実施形態におけるサスペンション装置S2について説明する。第二の実施の形態のサスペンション装置S2は、図6に示すように、ダンパDと、ポンプ4と、ポンプ4の吸込側に接続されるリザーバRと、ポンプ4の吐出側に接続される供給路5と、リザーバRに接続される排出路6と、ダンパDの伸側室R1に接続される伸側通路7と、ダンパDの圧側室R2に接続される圧側通路8と、方向切換弁9と、供給路5と排出路6とを接続する制御通路19に設けた電磁弁V2と、制御通路19の電磁弁V2の下流に設けられる液圧モータHmと、前記液圧モータHmによって駆動される発電機Gとを備えて構成されている。
本例におけるサスペンション装置S2が第一の実施の形態のサスペンション装置S1と異なる点は、液圧モータHmが制御通路19の途中であって電磁弁V2の下流に設けられている点と、バイパス通路Bi、バイパス通路側チェック弁21および排出側圧力センサ32が廃止されている点で異なる。
このサスペンション装置S2にあっては、排出路6は、リザーバRに液圧モータHmを介さずに連通されており、常にリザーバ圧に維持される。このように、排出路6の圧力Pがリザーバ圧となるので、排出路6の圧力変化に応じて目標差圧力を補正する必要がない。よって、本例のサスペンション装置D2では、排出路6の圧力を検出する必要がなく供給路5の圧力Pのみを供給側圧力センサ31で検出すれば供給路5と排出路6の差圧力を把握でき、ダンパDの推力を前述したように制御できる。なお、本例のサスペンション装置S2にあっても、ダンパDに推力を発揮させる際の方向切換弁9のポジションの切換え、電磁弁V2の弁開度調節、ポンプ4の駆動についての各動作は、サスペンション装置S1と同じである。
本例のサスペンション装置S2では、液体が制御通路19を流れる場合に液圧モータHmが駆動されて発電機Gが発電する。つまり、液体が電磁弁V2を通過する状況では、発電が可能となる。ポンプ4が駆動中の場合では、シリンダ1内で不足する液体の流量をポンプ4の吐出流量で賄える状態では、電磁弁V2を液体が通過するので発電機Gは発電する。また、ポンプ4の停止中では、ダンパDの伸縮方向と推力の発揮の方向が異なる場合には、電磁弁V2を液体が通過するので発電機Gは発電する。
このように本例のサスペンション装置S2では、ダンパDと、ポンプ4と、ポンプ4の吸込側に接続されるリザーバRと、ポンプ4の吐出側に接続される供給路5と、リザーバRに接続される排出路6と、ダンパDの伸側室R1に接続される伸側通路7と、ダンパDの圧側室R2に接続される圧側通路8と、方向切換弁9と、供給路5と排出路6とを接続する制御通路19に設けた電磁弁V2と、制御通路19の電磁弁V2の下流に設けられる液圧モータHmと、前記液圧モータHmによって駆動される発電機Gとを備えて構成される。このように構成すれば、電磁弁V2を通過する液体の流れを利用して液圧モータHmを駆動して発電機Gを駆動でき、振動エネルギから電気エネルギを得る回生が可能となる。
また、本例のサスペンション装置S2では、バイパス通路Bi、バイパス通路側チェック弁21および排出側圧力センサ32を設けなくともよいので、部品点数が削減され、装置全体のコストが削減される。
なお、電磁弁V2は、電磁絞り弁とされており、供給路5の圧力を制御できるので、ダンパDの推力の制御に当たり供給側圧力センサのみの利用でよい。これに対して電磁弁V2を電磁圧力制御弁としてもよい。この場合、電磁弁V2は、上流と下流の差圧力を制御するものであり、液体が液圧モータHmを通過する際に圧力損失が生じるため、電磁弁V2と液圧モータHmとの間の圧力を検出する必要がある。電磁弁V2を電磁絞り弁とする場合、供給側圧力センサのみの利用でダンパDの推力を制御できるが、電磁圧力制御弁とする場合、バイパス通路Biとバイパス通路側チェック弁21を廃止できるがダンパDの推力の制御に当たり二つの圧力センサが必要となる。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
1・・・シリンダ、2・・・ピストン、4・・・ポンプ、5・・・供給路、6・・・排出路、7・・・伸側通路、8・・・圧側通路、9・・・方向切換弁、10・・・吸込通路、11・・・吸込チェック弁、12・・・供給側チェック弁、15・・・伸側減衰弁、16・・・伸側チェック弁、17・・・圧側減衰弁、18・・・圧側チェック弁、19・・・制御通路、21・・・バイパス通路側チェック弁、31・・・供給側圧力センサ、32・・・排出側圧力センサ、Bi・・・バイパス通路、D・・・ダンパ、G・・・発電機、Hm・・・液圧モータ、R・・・リザーバ、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、S1,S1・・・サスペンション装置、V1,V2・・・電磁弁、VC・・・圧側減衰要素、VE・・・伸側減衰要素

Claims (5)

  1. シリンダと、前記シリンダ内に移動自在に挿入されて前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンとを備えたダンパと、
    ポンプと、
    前記ポンプの吸込側に接続されるリザーバと、
    前記ポンプの吐出側に接続される供給路と、
    前記リザーバに接続される排出路と、
    前記伸側室に接続される伸側通路と、
    前記圧側室に接続される圧側通路と、
    前記伸側通路と前記圧側通路の一方を選択して前記供給路に接続するとともに前記伸側通路と前記圧側通路の他方を前記排出路に接続する方向切換弁と、
    前記供給路と前記排出路との間に設けた電磁弁と、
    前記電磁弁の下流或いは前記排出路に設けられる液圧モータと、
    前記液圧モータによって駆動される発電機とを備えた
    ことを特徴とするサスペンション装置。
  2. 前記電磁弁は、前記供給路と前記排出路を接続する制御通路に設けられており、
    前記液圧モータは、前記制御通路の前記電磁弁の下流に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
  3. 前記液圧モータが前記排出路に設けられており、
    前記供給路の圧力を検出する供給側圧力センサと、
    前記排出路の圧力を検出する排出側圧力センサと、
    前記排出路に設けられて前記液圧モータをバイパスするバイパス通路と、
    前記バイパス通路に設けられて前記リザーバ側から前記方向切換弁側へ向かう液体の流れのみを許容するバイパス通路側チェック弁とを備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
  4. 前記伸側通路に設けられ前記伸側室から前記方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する伸側減衰要素と、
    前記圧側通路に設けられ前記圧側室から前記方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する圧側減衰要素と、
    前記供給路と前記排出路とを接続する吸込通路と、
    前記吸込通路の途中に設けられて前記排出路から前記供給路へ向かう液体の流れのみを許容する吸込チェック弁と、
    前記供給路の途中であって前記電磁弁と前記ポンプとの間に設けられて前記ポンプ側から前記電磁弁側へ向かう流れのみを許容する供給側チェック弁とを備えた
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
  5. 前記伸側減衰要素は、前記伸側室から前記方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与える伸側減衰弁と、当該伸側減衰弁に並列されて前記方向切換弁から前記伸側室へ向かう流れのみを許容する伸側チェック弁とを有し
    前記圧側減衰要素は、前記圧側室から前記方向切換弁に向かう流れに対し抵抗を与える圧側減衰弁と、当該圧側減衰弁に並列されて前記方向切換弁から前記圧側室へ向かう流れのみを許容する圧側チェック弁とを有する
    ことを特徴とする請求項4に記載のサスペンション装置。
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