JP7015632B2 - 集成材の製造方法 - Google Patents
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Description
特に、集成材は、ひき板、小角材を集成するため寸法、形状の自由度が高く、製品強度のばらつきや干割れ、狂いなどが小さい上に、曲がり材を容易に製造できるなどの優れた特性を持っている。
一方比較的繊維層が厚い例として特許文献2では、繊維含有量の多い炭素繊維プリプレグを用い、その両面に熱硬化樹脂を含浸させた木質系シートを貼り付け一体化し、複合シートとして用いる方法が開示されている。そしてこの発明では、その補強繊維を含有した複合シートを、さらに木材と接着させ、木材接着性と取扱い性、加工性に優れた木質集成材を開示している。
さらには補強用繊維が補強材の長さ方向に配向したものであることや、補強用繊維が連続繊維であること、補強用繊維が炭素繊維であることが好ましい。また、補強用繊維が補強材の周辺部に主に配置されたものであることや、補強材が矩形であること、補強材と木材とが幅方向に配置されていることが好ましい。さらには高周波加熱の方向が積層体の幅方向からであることが好ましい。
さらには補強材と木材とが幅方向に配置されている補強ラミナと、木材のみからなる木質ラミナとからなり、補強ラミナを構成する補強材が補強用繊維と樹脂であり、補強ラミナと木質ラミナとを幅方向と垂直な方向に積層して、高周波加熱により接着処理する繊維補強木質集成材の製造方法であることが好ましい。
そして本発明の接着方法としては、高周波で短時間に接着されるため、プロセスコストを大幅に低減することが可能となった。また、より接着効果を高めるために、補強繊維を含有する補強材の表面に凹凸をつけて、接着面積を高くしておくことも有用である。
さらにこのような製造方法にて得られる集成材に用いる材料については下記のようなものであることが好ましい。
本発明の製造方法にて得られる集成材は、補強材と木材とが幅方向に配置されている補強ラミナと、木材のみからなる木質ラミナとからなる、繊維補強された木質材料の集成材であることが好ましい。
さらに本発明で用いる補強材における繊維と樹脂の体積分率としては40/60~60/40の範囲であることが好ましい。また、補強用繊維の補強材における存在密度は、その長さ方向の断面において10,000~18,000本/mm2の範囲に有ることが好ましい。
本発明にて好ましく用いられる木質系シートについて、さらにその詳細を以下に述べる。ここで木質系シートとは、スライスされた木材及び/または木質パルプを必須成分として含み、さらに熱硬化性樹脂を含むものである。
補強ラミナの補強材以外を構成する木材や、木質ラミナを構成する木材としては、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ等の建築物に用いられる公知の木材や、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールなどの合板などに用いられる公知の木材がいずれも使用できる。
このように集成材断面の中心点から等距離に上下対象となるように配置することより、集成材の剛性をより向上させることができる。さらには断面二次モーメントの観点から極力集成材の上面と下面に近い位置に配置することが好ましく、より補強効果を向上させることができる。ことに集成材を梁として用いる場合に効果的である。
そしてこのような本発明の製造方法にて得られる集成材の大きさとしては、特に梁として用いる場合、その長さ方向が2,850~18,000mm、幅方向が105~240mm、厚さ方向が120~2,000mmの範囲であることが一般的である。
そしてこのような本発明の製造方法にて得られる集成材は、通常の木材および集成材として使用される用途に適用できるが、特に、学校、体育館、講堂、各種室内球技場やドームなどの大型建築物、3階以上の住宅、木橋の骨材として好適に用いられる。
繊維補強された補強材から、幅10mm、長さ50mm、厚さ3mmの測定用試料を切り出した。ステンレス製長さ2mm、幅4mmの圧縮端子を補強材の長さ方向に直交する向きで上から置き、圧縮速度0.5mm/分で圧縮し、試料が破壊された時の最大荷重(N)を測定した。
得られた集成材から、サンプルとして幅25mm、長さ30mm、厚み60mm(木質ラミナ―補強ラミナ各1層、計2層分)を切り出し、補強ラミナ側を固定し木質ラミナ側を木目方向に沿って小口面上から圧縮力を印加することで、主にサンプルの接着面をせん断破壊させた。せん断破壊時の荷重を接着面積(25mm×30mm)で除することでせん断接着応力度を算出した。
集成材の曲げ弾性率および曲げ強度は、JAS Z2101に準じて測定した。すなわち、支点間距離は梁成の18倍とし、支点間距離を3等分する箇所それぞれに荷重を印加する4点曲げ試験を実施した。
曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ以下式にて算出した。
P:最大荷重
L:支点間距離
L1:荷重点間距離
b:試験体幅
h:試験体厚み(梁成)
ΔF:最大荷重の10%-最大荷重の40%間の荷重増分
Δy:ΔFに対応するたわみ増分
である。
接合構造体梁部材の接合部の降伏耐力として、2本の柱及び1本の梁をH型に接合させた接合体を準備し、めり込み防止用のH鋼を介して梁部分に一定のひずみ速度(1.0mm/s)で荷重が最大荷重の80%未満に低下するまで圧縮荷重を印加し、得られた荷重―ひずみ曲線から接合部の降伏耐力(kN)を得た。
管状(中空パイプ形状)の補強材として、補強繊維に炭素繊維(東邦テナックス株式会社製、アクリルニトリル系炭素繊維「HTS40、24K」、直径7μm)を用いたマトリックス樹脂がビニルエステル樹脂(硬化温度110-150℃、硬化所要時間5-10min)である引抜成形材を作製した。この補強材における補強繊維とマトリックス樹脂の体積比率は60/40であり、断面における炭素繊維の存在密度は15000本/mm2の密度であった。さらに引抜成形時に、補強材表面の全面に木質シート(フェノール樹脂含浸紙、目付280g/m2、厚み0.3mm、樹脂含浸率:50-60wt%)を一体化した。そして木質シートの樹脂硬化度は85%になるように調整した。得られた補強材の断面形状は中空な正方形(矩形)であって、外寸は30mm×30mm、厚さは全辺均一で3mmとした(内径24mm角)。
すなわち上記の管状の補強材を断面が幅120mm×高さ210mmの集成材の上限面からラミナ1枚分(30mm)内側に、左右対称となるように2本(集成材の両側面から15mm内側)、計4本を配置した繊維補強木質集成材を得た。木材の種類としてはスギ(E65-F225)を用い、スギとスギおよびスギと補強材の接着は、レゾルシノール系接着剤(オーシカ化学株式会社製、D300/DL880を100:30重量部で混合したもの。レゾルシノール・フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物を45~60重量部、フェノールを5~10重量部、レゾルシノールを5~10重量部、非晶質シリカ含有量は0.8重量部以下)を使用した。接着剤の塗布量は125g/m2であった。
比較例1で用いた補強材の各辺の厚さを短辺(縦辺)2mm、長辺(横辺)を、集成材断面の中心に近い方を3mm、遠い方を5mmとしたこと以外は、比較例1と同様繊維補強木質集成材を作製した。作製した集成材の断面図を図2に、得られた物性を表1に併せて示す。なおスギと補強材の接着強度は6.1MPaであった。
比較例1で用いた補強ラミナの配置を、上、下面から各ラミナ1枚分(30mm)内側への配置から、上面からラミナ2枚分(60mm)内側と下側からラミナ1枚分(30mm)内側に変更した以外は、比較例1と同様繊維補強木質集成材を作製した。作製した集成材の断面図を図3に示す。なおスギと補強材の接着強度は6.3MPaであった。
補強材を使用せず、厚さ30mmの木質ラミナのみを用いて、幅120mm×高さ210mmの断面であるスギの集成材を得た。このスギとスギの接着強度は5.8MPaであった。得られた集成材の曲げ試験結果を表1に併せて示す。
実施例2で得られた繊維補強木質集成材を980mmの梁用の部材とした。そして梁部材の両側に120mm×120mmの断面で長さが750mmの柱を接合した。接合箇所は柱の長さ方向の中心部分であった。
接合方法としては、梁となる繊維補強木質集成材の断面にある中空部(内寸:24mm×24mm)4か所に相当する柱の部分に、23mm×23mmの角穴を4か所あけ、その角穴に鉄製(SS400)の棒状部材(断面は23mm×23mmである)を差し込んだ。棒状部材の長さは300mmであり、梁への差し込み長さは180mmであった。
作製したH型接合試験体の概要図と断面図を図3に示す。
得られた試験体の梁中心部分を加圧し、接合部のせん断強度を測定したところ、降伏点のせん断強度は83kNであった。
比較例1で用いた中空な正方形の繊維樹脂複合体を補強材(外寸は30mm角、内径は24mm角)として用いた。この補強材料の圧縮強度は3700N/mmであった。そして補強材と木材とからなる厚さ30mmの接着ラミナを用意した。この接着ラミナと同じく厚さ30mmの木質ラミナを用いて、幅120mm×梁成210mm、長さ982mm
の繊維補強木質集成材を得て、梁部材とした。補強繊維と樹脂からなる補強材は上下、左右が梁材の外側から30mmの位置の4隅に配置された。補強材間の距離は30mmであった(図4)。
繊維補強材料のマトリックス樹脂はビニルエステル系樹脂を用い、他の木質材料との接着には水性高分子-イソシアネート系接着剤(エチレン・酢酸ビニル共重合体を30~50重量部、スチレン・ブタジエン共重合体を5~15重量部含有する)を用いた繊維補強木質集成材であった。
接合金具として、柱側面に図4のような階段状の段差が存在し、梁側面に梁の中空部に対応する23mm角の角柱状の鉄鋼(長さ300mm)が4本突き出ているものを用意した。柱側面の階段状の段差は、高さ方向では幅の変わらない直方体であって、順に幅の小さい、しかし長さ同一の直方体が3段重なった物であった。
接合方法としては、柱部材に接合金具の階段状の段差と同じ穴を加工し、梁部材に接合金具を取り付け、その接合金具の梁と反対側の階段状の突起を、柱部材の穴に組み合わせた(図5参照)。
接合構造体の接合部材種数は1つ、接合構造体サンプル組立にかかる時間は30分/1セット、さらに梁部材の小口面プレカット加工は不要であって、非常に施工性に優れた材料であった。またこの接合構造体梁部材の降伏耐力(kN)は82.4kNであった。
32 鉄製の棒状部材
41 接合金具(梁側面)
42 接合金具(梁側面)
43 梁部材(集成材)
51 柱部材
Claims (8)
- 補強繊維を含有する補強材と木材とからなる補強ラミナと、木質材料のみからなる木質ラミナとからなる積層体を、高周波加熱により接着する集成材の製造方法であって、補強材の断面形状が中空矩形であることおよび高周波加熱が接着層を80~100℃の温度に加熱した状態で高周波効率(高周波出力/接着剤塗布面積)0.2~0.8W/cm2の条件で行われ、補強繊維がポリアクリロニトリル系繊維を焼成して得られるアクリルニトリル系の炭素繊維であり、補強材の圧縮強度が100N/mm以上5,000N/mm以下であり、中空矩形の補強材の壁の厚さにおいて少なくとも一方の長辺(横辺)の厚さが短辺(縦辺)や残りの長辺(横辺)のいずれかよりも厚く配置されていることを特徴とする集成材の製造方法。
- 補強用繊維が補強材の長さ方向に配向したものである請求項1記載の集成材の製造方法。
- 補強用繊維が連続繊維である請求項1または2記載の集成材の製造方法。
- 補強用繊維が炭素繊維である請求項1~3のいずれか1項である集成材の製造方法。
- 補強用繊維が補強材の周辺部に主に配置されたものである請求項1~4のいずれか1項である集成材の製造方法。
- 補強材が矩形である請求項1~5のいずれか1項である集成材の製造方法。
- 補強材と木材とが幅方向に配置されている請求項1~6のいずれか1項である集成材の製造方法。
- 高周波加熱の方向が積層体の幅方向からである請求項1~7のいずれか1項である集成材の製造方法。
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