JP7239339B2 - 木質建材 - Google Patents
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木質集成材は、木質材料片(ラミナ)を相互に接着剤で貼り合わせて構成された木質の材料であり、単一木材や、木材の繊維方向に長く切削加工した引き板または小角材を木質材料片(ラミナ)として用い、それらの木質材料片の繊維方向を互いに平行にして接着剤を用いて貼り合わせたものである。
管状補強材は、木質集成材を補強することができる強度や剛性を備える素材、すなわち、木質材料片(ラミナ)よりも強度や剛性で優れた素材からなる。例えば、鉄やアルミなどの金属、補強繊維と樹脂からなる繊維強化樹脂を用いることができる。木材との相性、例えば、熱膨張係数や熱伝導率、材料物性の異方性、重量などにおいて優れた効果を発揮できることから、管状補強材は、繊維強化樹脂からなることが好ましく、その長さ方向に補強繊維が配向し熱硬化性樹脂の硬化物で固着されたものであることが好ましい。
管状補強材が繊維強化樹脂からなる場合、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂を挙げることができる。中でも物性や加工性、最終的な木材との接着性の観点からビニルエステル樹脂が好ましい。
管状補強材が繊維強化樹脂からなる場合、補強繊維には木材の補強に適した強度を有する強化繊維を用いることができる。本発明の木質建材は、その用途が建物を成り立たせるための部材であるため、火災時においても強度低下が起こらないことが好ましい。このため、補強繊維は、融点またはガラス転移温度が200℃以上である有機繊維または無機繊維であることが好ましく、これらは連続繊維であることが好ましい。
管状補強材における補強繊維と樹脂の体積分率としては40/60~60/40の範囲であることが好ましい。また、補強繊維の管状補強材における存在密度は、その長さ方向の断面において10,000~18,000本/mm2の範囲に有ることが好ましい。
菅状補強材の形状は矩形であることも好ましい。これに対して例えば管状補強材の断面が円形であると、管状補強材の全体として形状は円柱状となり、周辺の木質材料片(ラミナ)との間に隙間ができやすく、接着力が低下する傾向にある。管状補強材の特に好ましい断面形状は正方形または長方形の矩形中空である。
木質集成材における管状補強材の配置の態様は、木質集成材の断面の中心から等距離の位置に管状補強材を複数本配置した態様か、木質集成材の中心に対して点対称に管状補強材を複数本配置した態様であることが好ましい。特に、木質集成材の断面の中心から等距離の位置に管状補強材を2本または4本配置した態様が好ましい。木質集成材の断面の中心から等距離の位置に配置することより、木質集成材の剛性を向上させることができる。さらに断面二次モーメントの観点から木質集成材における管状補強材の配置は、木質集成材の上面と下面に近い位置であることが好ましく、この配置は、殊に梁として用いる場合に好ましい。
管状補強材は、木質材料片(ラミナ)と一体化されることにより、補強ラミナを構成して用いることが好ましい。用いる接着剤はエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤など木材と樹脂を接着できるものであれば任意のものを用いることができる。木質集成材への一体化の観点からは、集成材の作製に使用される水溶性高分子-イソシアネート系接着剤やレゾルシノール系接着剤を使用することが、プロセスコストを低減するためにも好ましい。接着方法は、接着剤の反応に合わせて選定することが可能であり、常温でプレスしてもよいが、高周波で短時間に接着する方法が、プロセスコストを低減できる観点からは特に好ましい。また、より接着効果を高めるために、管状補強材の表面に凹凸をつけて、接着面積を高くしておくことも有用である。
本発明では、管状補強材を木質集成材の内部に配置するのみでなく、木質集成材に緊張材を用いてプレストレスをかけている。
(1)管状補強材の圧縮強度
繊維補強された管状補強材から、幅10mm、長さ50mm、厚さ3mmの測定用試料を切り出した。ステンレス製長さ2mm、幅4mmの圧縮端子を補強材の長さ方向に直交する向きで上から置き、圧縮速度0.5mm/分で圧縮し、試料が破壊された時の最大荷重(N)を測定した。
繊維補強された管状補強材から、幅25mm、長さ200mm、厚さ3mmの測定用試料を切り出した。つかみ部35mmとし、引張速度2mm/分で引張り、試料が破壊された時の最大荷重(N)を測定した。
集成材の曲げ弾性率および曲げ強度は、JAS Z2101に準じて測定した。すなわち、支点間距離は梁成の18倍とし、支点間距離を3等分する箇所それぞれに荷重を印加する4点曲げ試験を実施した。曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ以下式にて算出した。
p:最大荷重
L:支点間距離
L1:荷重点間距離
b:試験体幅
h:試験体厚み(梁成)
ΔF:最大荷重の10%-最大荷重の40%間の荷重増分
Δy:ΔFに対応するたわみ増分
である。
緊張材を固定する座金とナットの間に、圧縮センサーを配置し、座金-ナット間の圧力を測定することで緊張材の張力とした。
曲げ試験で使用する試験体中央部のひずみ計により、曲げ試験と逆の上方向へのひずみを計測し、湾曲量とした。
管状補強材として、補強繊維に炭素繊維(東邦テナックス株式会社製、アクリルニトリル系炭素繊維「HTS40、24K」、直径7μm)を用いたマトリックス樹脂がビニルエステル樹脂(硬化温度110~150℃、硬化所要時間5~10min)である引抜成形材を作製した。この管状補強材における補強繊維とマトリックス樹脂の体積比率は60/40であり、断面における炭素繊維の存在密度は15000本/mm2の密度であった。管状補強材の断面形状は中空な正方形(矩形)であって、外寸は30mm×30mm、厚さは全辺均一で3mmとした(内径24mm角)。管状補強材の引張強度は1,400MPaであり、圧縮強度は640MPaであった。
実施例1でPC鋼棒にかけた張力を、PC鋼棒1本につき、55kNとしたこと以外は実施例1と同様として木質建材を得た。この木質建材における木質集成材の上方への湾曲は12mmであった。曲げ試験の結果を表1に示す。
実施例1で管状補強材を用いなかったこと以外は実施例1と同様とした。この木質集成材の断面の模式図を図2に示す。この場合の木質集成材の上方への湾曲は32mmであり、この時点で木質集成材の端部に割れが見られた。曲げ試験の結果を表1に示す。
実施例1で得られた木質集成材を、プレストレスをかけることなく用いた。曲げ試験の結果を表1に示す。
実施例1で得られた木質集成材と同じ断面サイズの通常の集成材(スギE65-F225)を、プレストレスをかけることなく用いた。この木質集成材の断面の模式図を図3に示す。曲げ試験の結果を表1に示す。
12 木質集成材
21 中空部分(補強材無し)
22 木質集成材
31 木質集成材
41 木質集成材
42 座金
43 ナット
44 PC鋼棒
51 木質集成材
52 座金
53 ナット
54 PC鋼棒
Claims (8)
- 管状補強材によって補強された木質集成材からなり、管状補強材に通した緊張材に張力がかけられることにより木質集成材が湾曲した状態で固定されている木質建材であって、前記緊張材には10~300kNの張力がかけられ、
前記木質建材は、前記緊張材に張力をかけた際に座金を介して木質集成材の両端部から圧縮力をかけ、木質集成材の上方を凸として湾曲させられており、
前記管状補強材は、その長さ方向に補強繊維が配向し熱硬化性樹脂の硬化物で固着されたものであり、
前記補強繊維は連続繊維であり、かつ補強繊維は炭素繊維、ガラス繊維または芳香族ポリアミド繊維であり、
前記木質集成材において、管状補強材と木質材料片がそれぞれの繊維方向が平行となる向きに接着されていることを特徴とする木質建材。 - 管状補強材に通した緊張材が、木質集成材の断面の中心から外れた位置に通されている、請求項1に記載の木質建材。
- 建築物の梁として用いられる、請求項1または2に記載の木質建材。
- 管状補強材の断面が矩形中空である、請求項1乃至3のいずれかに記載の木質建材。
- 管状補強材が木質集成材の断面の中心から等距離の位置に複数本配置されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の木質建材。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の木質建材において、緊張材に10~300kNの張力がかけられ、木質集成材の長さ方向の中央部が直線状態を基準に上方を凸として5~30mmの高さをなして湾曲している状態で固定されている木質建材。
- 矩形中空の管状補強材が木質集成材の断面の上部と下部に配置されることで補強された木質集成材からなり、下部に配置された管状補強材に緊張材が通され、緊張材には10~300kNの張力がかけられ、木質集成材の長さ方向の中央部が直線状態を基準に上方を凸として5~30mmの高さをなして湾曲している状態で固定されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の木質建材。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の木質建材を梁として用い、該木質建材の木質集成材が上部を凸として湾曲した状態で固定されている建築物。
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