JP2017177451A - 高周波接着用の木材強化シート - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で強固な接着力が得られ、かつ施工性に優れる高周波接着用の木材強化シートを提供すること。【解決手段】補強用繊維と樹脂とからなる基体層と、木質系シートとからなる木材強化シートであって、木質系シートが基体層の両側に配置され、木質系シートがスライスされた木材及び/または木質パルプと、熱硬化性樹脂とからなり、熱硬化性樹脂の硬化度が40〜90%の範囲である木材強化シートである。さらには、木質系シートを構成する熱硬化性樹脂がフェノール系樹脂であることや、基体層を構成する樹脂がエポキシ樹脂であること、が好ましい。および、上記の本発明の木材強化シートを木材表面に貼付し、高周波プレスにより接着する繊維強化木材の製造方法である。【選択図】図1
Description
本発明は高周波接着用の木材強化シートに関し、さらには短時間で強固な接着力が得られる木材強化シートに関する。
従来、単一木材や、木材の繊維方向に長く切削加工したひき板あるいは小角材を、その繊維方向を互いに平行にして接着剤をもちいて張り合わせた集成材は、主に建築における柱、梁のような骨組材として、あるいは木橋や大型のドーム等に使われている。
特に、集成材は、ひき板、小角材を集成するため寸法、形状の自由度が高く、製品強度のばらつきや干割れ、狂いなどが小さい上に、曲がり材を容易に製造できるなどの優れた特性を持っている。
特に、集成材は、ひき板、小角材を集成するため寸法、形状の自由度が高く、製品強度のばらつきや干割れ、狂いなどが小さい上に、曲がり材を容易に製造できるなどの優れた特性を持っている。
ところが、これらの集成材を大型建築物や構造物に用いる場合、集成材の剛性や強度を高くする必要があるため集成材の厚みを大きくしなければならず、その結果、建築物や構造物の天井が低くなったり、過剰な厚み設計が必要になったりする。このような課題を解決すべく、剛性と強度の高い強化繊維を、接着剤を介して接着した強化単一木材や強化集成材を用いることが提案されている。
例えば特許文献1では、炭素繊維プリプレグの両面に、熱硬化樹脂を含浸させた木質系シートを貼り付け一体化した複合シートと木材とを接着させる方法が提案されている。本手法により、木材接着性と取扱い性、加工性に優れたシートによる木材補強が可能となった。
例えば特許文献1では、炭素繊維プリプレグの両面に、熱硬化樹脂を含浸させた木質系シートを貼り付け一体化した複合シートと木材とを接着させる方法が提案されている。本手法により、木材接着性と取扱い性、加工性に優れたシートによる木材補強が可能となった。
しかし、このシートはその接着性を施工時まで保つために、揮発分を乾燥させる程度の低温乾燥を行っており、またこのシートを接着して木材と一体化するためには、積層後常温〜120℃の温度にて5〜24時間加熱処理することが必要であった(特許文献1、第[0027]、[0032]、[0035]項等)。さらにこのシートは厚さが数mmと薄く、高い補強効果を得るためには何枚もシートを積層して処理する必要があった。
本発明は、短時間で強固な接着力が得られ、かつ施工性に優れる高周波接着用の木材強化シートを提供することにある。
本発明の木材強化シートは、補強用繊維と樹脂とからなる基体層と、木質系シートとからなる木材強化シートであって、木質系シートが基体層の両側に配置され、木質系シートがスライスされた木材及び/または木質パルプと、熱硬化性樹脂とからなり、熱硬化性樹脂の硬化度が40〜90%の範囲であることを特徴とする。
さらには、木質系シートを構成する熱硬化性樹脂がフェノール系樹脂であることや、基体層を構成する樹脂がエポキシ樹脂であること、が好ましい。
またもう一つの本発明の繊維強化木材の製造方法は、上記の本発明の木材強化シートを木材表面に貼付し、高周波プレスにより接着することを特徴とする。
さらには、木質系シートを構成する熱硬化性樹脂がフェノール系樹脂であることや、基体層を構成する樹脂がエポキシ樹脂であること、が好ましい。
またもう一つの本発明の繊維強化木材の製造方法は、上記の本発明の木材強化シートを木材表面に貼付し、高周波プレスにより接着することを特徴とする。
本発明によれば、短時間で強固な接着力が得られ、かつ施工性に優れる高周波接着用の木材強化シートが提供される。
本発明の高周波接着用の木材強化シートは、補強用繊維と樹脂とからなる基体層と、木質系シートとからなる木材を強化するためのシート状物である。そして、木質系シートが基体層の両側に配置され、木質系シートがスライスされた木材及び/または木質パルプと、熱硬化性樹脂とからなり、熱硬化性樹脂の硬化度が40〜90%の範囲であることを特徴とする。
ここで本発明に用いられる補強用繊維と樹脂とからなる基体層は、いわゆる通常プリプレグと言われるものを含み、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等と補強用の強化繊維からなるものであることが好ましい。また高い成形性や接着強度を得るためには、未硬化のプリプレグであることが好ましい。
補強用繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、四フッ化エチレン繊維、ガラス繊維などが例示でき、これらを単独または2種類以上を複合して用いてもよい。また、繊維の形態としては、一方向に繊維を引き揃えたUD基材やその2方向以上の組合せ、織物、不織布など様々な形態が採用可能であって、必要とする強度に応じて設計することができる。但し実際の性能とコストとのバランスを加味した場合、一方向に引き揃えたUD基材を用いることが特に好ましい。
強化繊維の中でも、本発明においては炭素繊維を用いることが最も好ましい。中でもポリアクリロニトリル系繊維から得られる窒素含有量が0.1〜15重量%、引張り強度が2500〜7000MPa、弾性率が150〜700GPaである炭素繊維が好ましい。特には、窒素含有量3〜10重量%を有する3500MPa以上の引張り強度と200〜350GPaの弾性率を有する直径5から9ミクロンの炭素繊維であることが、接着性の観点からも最適である。さらにこのような炭素繊維表面におけるESCA表面分析装置(島津製作所製)による表面の酸素/炭素が、0.1/1〜0.3/1、特に0.15/1〜0.25/1の範囲であることが、樹脂との接着強度を高く確保する点からも好ましい。
本発明では、このような強化繊維の繊維直径が5〜9ミクロン、構成本数は1000〜300000本からなる繊維束(ストランド)であることが好ましく、これらの繊維束を所望分集束し、または、シート状に拡幅して使用することが好ましい。
一方、基体層に用いるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であることが好ましく、中でもフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などを好ましくは挙げることができる。中でも物性のバランスの観点からはエポキシ樹脂が、木質系シートや最終的な木材との接着性や耐熱性の観点からはフェノール樹脂であることが好ましい。
そしてこのような基体層としては、特には、引張強度や引張弾性率が高く、かつ耐熱性が高い炭素繊維を一方向に引き揃えたUD基材を用いることが好ましい。
一方、基体層に用いるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であることが好ましく、中でもフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などを好ましくは挙げることができる。中でも物性のバランスの観点からはエポキシ樹脂が、木質系シートや最終的な木材との接着性や耐熱性の観点からはフェノール樹脂であることが好ましい。
そしてこのような基体層としては、特には、引張強度や引張弾性率が高く、かつ耐熱性が高い炭素繊維を一方向に引き揃えたUD基材を用いることが好ましい。
本発明で用いる基体層における繊維と樹脂の体積分率としては40/60〜60/40の範囲であることが好ましい。
さて本発明の木材強化シートは、このような基体層とその基体層の両側に配置された木質系シートからなるものである。ここで木質系シートとは、スライスされた木材及び/または木質パルプを必須成分として含み、さらに熱硬化性樹脂を含むものである。
本発明にて用いられる木質系シートとしては、特に多孔質構造を有するシートを選択することが好ましい。接着剤が孔内に浸透し、アンカー効果が発揮されやすくなり、接着性能が向上するからである。
さて本発明の木材強化シートは、このような基体層とその基体層の両側に配置された木質系シートからなるものである。ここで木質系シートとは、スライスされた木材及び/または木質パルプを必須成分として含み、さらに熱硬化性樹脂を含むものである。
本発明にて用いられる木質系シートとしては、特に多孔質構造を有するシートを選択することが好ましい。接着剤が孔内に浸透し、アンカー効果が発揮されやすくなり、接着性能が向上するからである。
このような木質系シートには、より具体的には、ダオ、ナラ、パーチ、ビーチ、檜、杉、桜、メープル、チークなどの公知の天然木材をスライサーを用いて公知の手段で造られるもの、および木質系のパルプを用いた公知の紙、不織布などの薄板、あるいは繊維シートであることが好ましい。木質系シートの厚みは0.01〜0.3mmが好ましい。厚みが0.01mm以下の場合は最終的に得られる木材強化シートの幅方向のシート性が乏しくなって取扱いが困難になる傾向にある。一方、0.3mm以上の場合は柔軟性が低下するため後加工性が悪くなる傾向にある。
また本発明の基体層の両側に配置された木質系シートは、上記の木材やパルプに加えて、熱硬化性樹脂を含有する。
また本発明の基体層の両側に配置された木質系シートは、上記の木材やパルプに加えて、熱硬化性樹脂を含有する。
そして本発明の木質系シートに含まれる熱硬化性の樹脂としては、具体的にはフェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、クロルフェノール、ブロモフェノールの如きフェノール水酸基を1個有するフェノール類あるいはオリゴマーおよびレゾルシン、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールなどフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール類と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンの如きアルデヒド類とをフェノール類/アルデヒド類=2/1〜1/3、好ましくは5/4〜2/5のモル比で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムの如きアルカリ触媒の存在下でメチロール化して得られる公知のレゾール型フェノール樹脂(フェノールホルムアルデヒド類初期付加縮合樹脂)およびレゾルシノール樹脂であることが好ましい。
さらに好ましくは、高速液体クロマトグラフ(HPLC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が120〜2000のものが好ましく、特には150〜500のものが好ましい。また、25℃における粘度が3〜150ポイズに調整した樹脂であることが好ましい。
さらに熱硬化性樹脂と共に用いる硬化剤としては、レゾルシノール樹脂、レゾール型系フェノール樹脂などの硬化剤として用いられている公知のもののうち、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、トリオキサン、の如く当該樹脂と混合しペースト状あるいは液状なるものであることが好ましい。さらに硬化触媒として、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸などの当該樹脂と混合して液状に溶解するものを用いることが好ましい。
そして本発明の木材強化シートは、その表面に存在する木質系シート中の熱硬化性樹脂の硬化度が40〜90%の範囲にあることが必要である。木材との接着時に、木質系シート中の熱硬化性樹脂の硬化度をこの範囲内に制御することにより、高周波接着に適した木材強化シートとなるのである。シート中の熱硬化性樹脂の硬化度が90%を超えると、木材用接着剤との反応による化学結合が形成されにくく、木材―木質系シート界面の接着力が低下する。一方、硬化度が40%を下回るとシート自体の強度が弱くなり、木質系シート部分が破れ、被着体の木材と木材強化シートが乖離する懸念が生じる。
このような本発明の木材強化シートは、基体層の樹脂と木質系シート中の樹脂が同一の場合には、特に以下のような方法により製造することが可能である。
すなわち、樹脂の1種以上と硬化剤または硬化触媒と、必要ならば無機充填剤などを混合した液状混合樹脂中に強化繊維のストランドを連続的にディップして強化繊維に対して当該樹脂が30〜80重量%になるように含浸させ、必要ならば揮発分を乾燥した後、予めドラムに巻き付ける等した木質系シートを樹脂含浸後の強化繊維ストランドの片面あるいは両面に導入し、必要ならば加圧・加熱し、ついでドラムの幅方向に切断することによって作製する。
すなわち、樹脂の1種以上と硬化剤または硬化触媒と、必要ならば無機充填剤などを混合した液状混合樹脂中に強化繊維のストランドを連続的にディップして強化繊維に対して当該樹脂が30〜80重量%になるように含浸させ、必要ならば揮発分を乾燥した後、予めドラムに巻き付ける等した木質系シートを樹脂含浸後の強化繊維ストランドの片面あるいは両面に導入し、必要ならば加圧・加熱し、ついでドラムの幅方向に切断することによって作製する。
このような製造方法を採用する場合、当該混合樹脂は均一な溶液であることが強化繊維に均一に含浸させ、均一な硬化を行うために好ましい。不均一の場合には、樹脂が硬化不良になり、接着性が低下する傾向にある。
また、本発明の木材強化シートとしては、樹脂量が低すぎると木材との接着性に劣り、高すぎると強化繊維から樹脂が落下するなど、取扱性が低下する傾向にある。その観点からは樹脂量は30〜90重量%、特には40〜60重量%の範囲が好ましい。
また、本発明の木材強化シートとしては、樹脂量が低すぎると木材との接着性に劣り、高すぎると強化繊維から樹脂が落下するなど、取扱性が低下する傾向にある。その観点からは樹脂量は30〜90重量%、特には40〜60重量%の範囲が好ましい。
また、使用する樹脂が、25℃における粘度が3〜150ポイズの範囲であることが好ましい。粘度が低すぎる場合は強化繊維から樹脂が落下し易く、逆に高すぎる場合は、強化繊維への樹脂の含浸性が劣る傾向にある。このような樹脂の粘度の調整方法としては、水を添加して粘度を下げることも可能である。
そしてこのようにして得られる本発明の木材強化シートは、木質系シートを繊維強化樹脂層(基体層)の最表面に配置することで、高周波加熱時に発生し得る強化繊維、特に強化繊維として炭素繊維のような導電性繊維を用いた場合に特に、シート部分でのスパークを抑制する。そのため、高周波加熱による短時間での木材接着プロセスが実施可能となるのである。
そしてこのようにして得られる本発明の木材強化シートは、木質系シートを繊維強化樹脂層(基体層)の最表面に配置することで、高周波加熱時に発生し得る強化繊維、特に強化繊維として炭素繊維のような導電性繊維を用いた場合に特に、シート部分でのスパークを抑制する。そのため、高周波加熱による短時間での木材接着プロセスが実施可能となるのである。
さらに、本発明の木材強化シートは、補強効果を担う強化繊維含有樹脂層(基体層)の最表面にのみ木質系シートを配置し、一体化した3層構造であって、木材との強固な接着力を達成しつつも維強化樹脂による補強効率が極めて高いシートとなる。さらに必要な補強効果発現のために繊維強化樹脂層の厚みを予め設計して3層構造体を作製することが容易となり、効果的に木材の強度を向上できるものである。薄い繊維複合木質シートを用いた場合のような、シート同士の積層接着工程が不要となり、接着界面の減少や、木材とのプレス接着工程の簡素化が可能となる。加えて、木質系シート使用率低減により、補強層厚みの低減及び材料コスト低減が達成可能となるものである。
またもう一つの本発明の繊維強化木材の製造方法は、上記記載の本発明の木材強化シートを木材表面に貼付し、高周波プレスにより接着することを特徴とする製造方法である。
ここで木材強化シートを接着させる木材としては、従来用いられている単一木材および集成材等の、通常の木材であれば特に限定されるものではない。より具体的には、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ等の建築物に用いられる公知の木材や、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールなどの合板などに用いられる公知の木材がいずれも使用できる。
ここで木材強化シートを接着させる木材としては、従来用いられている単一木材および集成材等の、通常の木材であれば特に限定されるものではない。より具体的には、スギ、ヒノキ、カラマツ、ベイマツ、トウヒ等の建築物に用いられる公知の木材や、ナラ、キリ、ケヤキ、カエデ、トチ、ホオ、サクラ、チーク、ラワン、スピナールなどの合板などに用いられる公知の木材がいずれも使用できる。
図1は、本発明の木材強化シートの積層状態を示し、特に繊維強化樹脂層2(基体層)の両面に木質系シート1、3を貼付した繊維強化樹脂を貼付した木材強化シートである。
図2は、単一木材5および集成材6に対して、木材強化シートを貼付けした、繊維強化木材の断面図である。
図2は、単一木材5および集成材6に対して、木材強化シートを貼付けした、繊維強化木材の断面図である。
本発明の木材強化シートと単一木材および集成材との接着は、次のように行い一体化することが好ましい。すなわち、単一木材、集成材の表面および集成材用薄板の表面に、必要ならば本発明で用いる樹脂および硬化剤あるいは硬化触媒として無機酸あるいは有機酸とを混合した樹脂、特に好ましくは繊維強化樹脂用に用いた当該混合樹脂を木材表面に塗布した後、当該木材強化シートを強化繊維の方向を被木材の繊維方向と平行になるように貼付し、集成材用薄板の場合はこの木材強化シートと他の数枚の集成材用薄板とを公知の方法で接着剤を介して積層したのち、高周波プレスにより接着層を80〜100℃程度の温度まで選択的に加熱し、短時間での剤硬化による接着を実施する。
木材表面への木材強化シートの接着位置については、特に限定されないが、構造材の加工性を考慮し、当該木材強化シートの木材表面との接着箇所を、部分的に設計することも可能である。例えば、木材幅の30%程度の幅寸法である木材強化シートを木材表面にレール状に接着することで、同寸法木材対比曲げ剛性や曲げ強度を向上させつつも、幅方向における木材中央部にスリットや穴あけ加工など種々機械的加工を簡便に施すことが可能となる。
そしてこのような本発明の木材強化シートにて補強された木材および集成材は、通常の木材および集成材として使用される用途に適用できるが、特に、学校、体育館、講堂、各種室内球技場やドームなどの大型建築物、3階以上の住宅、木橋の骨材として好適である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記実施例に限定されるものではない。尚、炭素繊維樹脂複合材料の曲げ特性はJISK7074に準じて測定し、木材―繊維強化樹脂貼付の木材強化シート間の接着力評価(ブロックせん断試験、浸漬剥離試験、煮沸剥離試験)については、構造用集成材JAS規格に準拠し測定した。さらに、木材および集成材および繊維強化木材およびその集成材の曲げ弾性率および曲げ強度はJAS Z2101に準じて測定した。
(実施例1)
エポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維UDプリプレグ(東邦テナックス株式会社製、繊維種:炭素繊維「HTS40」3K、樹脂種:130℃硬化タイプエポキシ樹脂「Q111E 1940」)を3枚積層し、木質系シート(フェノール樹脂含浸紙、目付280g/m2、厚み0.3mm、樹脂含浸率:50−60wt%)で挟み込んでホットプレス(プレス圧5kgf/cm2で常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で30分間プレス)により一体化した。
プレス後の木質系シート片を採取し、DSC測定により木質系シート中の樹脂硬化度を算出した。尚、樹脂硬化度は以下式(数式1)にて算出した。
エポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維UDプリプレグ(東邦テナックス株式会社製、繊維種:炭素繊維「HTS40」3K、樹脂種:130℃硬化タイプエポキシ樹脂「Q111E 1940」)を3枚積層し、木質系シート(フェノール樹脂含浸紙、目付280g/m2、厚み0.3mm、樹脂含浸率:50−60wt%)で挟み込んでホットプレス(プレス圧5kgf/cm2で常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で30分間プレス)により一体化した。
プレス後の木質系シート片を採取し、DSC測定により木質系シート中の樹脂硬化度を算出した。尚、樹脂硬化度は以下式(数式1)にて算出した。
スギ木材表面にレゾルシノール系接着剤(オーシカ化学株式会社製、D300/DL880を100:30重量部で混合したもの)を塗布量125g/m2の条件にて塗布し、木材強化シートの被着体として準備した。そして作製した木材強化シートを、準備したスギ木材の表面に貼りあわせ、高周波プレス(プレス圧7.5kgf/cm2、プレス時間5分間)により木材と木材強化シートとを接着した。
構造用集成材のJAS規格に基づき、ブロックせん断試験、浸漬剥離試験、煮沸剥離試験をそれぞれ実施し、木材―木材強化シートとの接着力を評価した。
構造用集成材のJAS規格に基づき、ブロックせん断試験、浸漬剥離試験、煮沸剥離試験をそれぞれ実施し、木材―木材強化シートとの接着力を評価した。
尚、各試験の合格基準は
ブロックせん断試験:せん断接着力5.4MPa以上かつ木部破断によるせん断破壊
浸漬/煮沸剥離試験:剥離率≦5%、かつ剥離長さ≦接着層周囲の長さの25%
とした。また、剥離率以下式(数式2)により算出した。剥離長さは、接着層周囲の剥離長さの合計(cm)、として算出した。
ブロックせん断試験:せん断接着力5.4MPa以上かつ木部破断によるせん断破壊
浸漬/煮沸剥離試験:剥離率≦5%、かつ剥離長さ≦接着層周囲の長さの25%
とした。また、剥離率以下式(数式2)により算出した。剥離長さは、接着層周囲の剥離長さの合計(cm)、として算出した。
結果、この実施例1の木材強化シート表面の樹脂硬化度は85%であり、上記の接着試験において、良好な結果が得られた。
さらに本発明の木材強化シートによる木材補強効果を確認するために、繊維強化木材の4点曲げ試験を実施した。上記接着方法にて幅:54mm 厚み:58mm 長さ:1000mmの炭素繊維強化木材を作製した(炭素繊維樹脂層厚み:上下ともに0.45mmずつ)。木材強化シートは木材最表面から5mm内側に位置する木材積層面内にそれぞれ1枚ずつ接着した。
さらに本発明の木材強化シートによる木材補強効果を確認するために、繊維強化木材の4点曲げ試験を実施した。上記接着方法にて幅:54mm 厚み:58mm 長さ:1000mmの炭素繊維強化木材を作製した(炭素繊維樹脂層厚み:上下ともに0.45mmずつ)。木材強化シートは木材最表面から5mm内側に位置する木材積層面内にそれぞれ1枚ずつ接着した。
結果として、同寸法断面の木材対比曲げ強度2.5倍及び曲げ弾性率1.6倍の補強効果が示された。特に、曲げ弾性率においては、断面計算により算出される理論値の90%以上の発現率を有することから、本発明の木材強化シート(炭素繊維複合木質シート)にて補強した炭素繊維強化木材は、計算による剛性設計が可能であることを確認した。結果を表1に示した。
なお、前述した理論曲げ弾性率は、以下式(数式3)にて計算したものである。
なお、前述した理論曲げ弾性率は、以下式(数式3)にて計算したものである。
(比較例1)
木材強化シート作製時のホットプレス条件を変更(プレス時間を常温〜110℃昇温までとする)した以外は実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、本木材強化シート表面の樹脂硬化度は20%であり、木材とのブロックせん断試験時に木質系シートの破断によるせん断破壊が発生し、良好な接着力が発現しなかった。また、4点曲げ試験においては、早期に木材強化シート/木材間の剥離が発生し、実施例1対比曲げ強度補強効果が低下した。結果を表1に併せて示した。
木材強化シート作製時のホットプレス条件を変更(プレス時間を常温〜110℃昇温までとする)した以外は実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、本木材強化シート表面の樹脂硬化度は20%であり、木材とのブロックせん断試験時に木質系シートの破断によるせん断破壊が発生し、良好な接着力が発現しなかった。また、4点曲げ試験においては、早期に木材強化シート/木材間の剥離が発生し、実施例1対比曲げ強度補強効果が低下した。結果を表1に併せて示した。
(比較例2)
木材強化シート作製時のホットプレス条件を変更(プレス時間を常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で90分間プレス)した以外は実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、本木材強化シート表面の樹脂硬化度は98%であり、木材とのブロックせん断試験時に木質系シート木材間の剥離が発生し、良好な接着力が発現しなかった。また、4点曲げ試験においては、早期に木材強化シート/木材間の剥離が発生し、実施例1対比曲げ強度補強効果が低下した。結果を表1に併せて示した。
木材強化シート作製時のホットプレス条件を変更(プレス時間を常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で90分間プレス)した以外は実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、本木材強化シート表面の樹脂硬化度は98%であり、木材とのブロックせん断試験時に木質系シート木材間の剥離が発生し、良好な接着力が発現しなかった。また、4点曲げ試験においては、早期に木材強化シート/木材間の剥離が発生し、実施例1対比曲げ強度補強効果が低下した。結果を表1に併せて示した。
(比較例3)
木質系シートを使用せずに炭素繊維プリプレグをホットプレス(プレス時間を常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で90分間プレス)で硬化し、炭素繊維強化樹脂板を作製した。
作製板の表面をやすりで粗した後、実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、浸漬及び煮沸剥離試験にて炭素繊維強化樹脂板―木材間の剥離が起こり、十分な木材接着性が発現しなかった。
また、高周波加熱中に炭素繊維部分でのスパークがしばしば発生したため、高周波プレスによる木材接着プロセスの実施ができなかった。
木質系シートを使用せずに炭素繊維プリプレグをホットプレス(プレス時間を常温〜110℃まで昇温し、その後110℃で90分間プレス)で硬化し、炭素繊維強化樹脂板を作製した。
作製板の表面をやすりで粗した後、実施例1同様の手順にてサンプルを作製した。結果、浸漬及び煮沸剥離試験にて炭素繊維強化樹脂板―木材間の剥離が起こり、十分な木材接着性が発現しなかった。
また、高周波加熱中に炭素繊維部分でのスパークがしばしば発生したため、高周波プレスによる木材接着プロセスの実施ができなかった。
(比較例4)
実施例1同様の手順にてスギ木材同士を接着し、種々物性を測定した。
実施例1同様の手順にてスギ木材同士を接着し、種々物性を測定した。
1 木質系シート
2 基体層
3 木質系シート
4 木材強化シート
5 木材 or 集成材
6 木材 or 集成材
2 基体層
3 木質系シート
4 木材強化シート
5 木材 or 集成材
6 木材 or 集成材
Claims (4)
- 補強用繊維と樹脂とからなる基体層と、木質系シートとからなる木材強化シートであって、木質系シートが基体層の両側に配置され、木質系シートがスライスされた木材及び/または木質パルプと、熱硬化性樹脂とからなり、熱硬化性樹脂の硬化度が40〜90%の範囲であることを特徴とする高周波接着用の木材強化シート。
- 木質系シートを構成する熱硬化性樹脂がフェノール系樹脂である請求項1記載の木材強化シート。
- プリプレグを構成する樹脂がエポキシ樹脂である請求項1または2記載の木材強化シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の木材強化シートを木材表面に貼付し、高周波プレスにより接着することを特徴とする繊維強化木材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016065988A JP2017177451A (ja) | 2016-03-29 | 2016-03-29 | 高周波接着用の木材強化シート |
Applications Claiming Priority (1)
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