JP7014496B2 - 硫化リチウム、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化リチウム、及びその製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。該電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付け及び短絡防止を考慮した構造、材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層にかえて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。更に、このような固体電解質層に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。
硫化物固体電解質の原料として、硫化リチウムが用いられる。この硫化リチウムの製造方法として、例えば、水酸化リチウムを用いた方法として、溶媒又は水溶液を用いる方法(例えば、特許文献1~3、5及び6)、溶媒を用いずに硫化水素と反応させる方法(例えば、特許文献4)等が知られている。
特開2010-163356号公報 国際公開第2005/040039号パンフレット 特開2011-084438号公報 特開平9-278423号公報 国際公開第2015/075925号パンフレット 特開2011-136889号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載の方法は、反応槽の体積効率が低い、また溶媒及び水を蒸留除去もしくは回収する工程が必要となり、生産効率が低いという問題がある。また、溶媒及び水の蒸留除去、回収の工程を行っても、得られる硫化リチウムには溶媒及び水が残存してしまい、これを原料として用いた場合、得られる硫化物固体電解質の電池性能の低下を生じることになる。
特許文献4に記載の方法は、溶媒を用いないため、溶媒の蒸留除去、回収の工程が不要であるが、得られる硫化リチウムの結晶化が進行してしまい、溶媒中で反応等により得られる硫化リチウムとは異なる場合があることを、本発明者は見出した。結晶化が進行した硫化リチウムを原料として硫化物固体電解質を得ようとすると、他の原料との反応性が異なる可能性がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、溶媒を含まず、かつ結晶化の進行を抑えた硫化リチウム、及び硫化リチウムを溶媒を用いずに生産効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、下記の構成を有する発明により、上記課題を解決できることを見出した。
[1]溶媒を含まず、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=44.8°±0.5°にピークを有し、かつ該ピークの半値幅が0.09°以上である硫化リチウム。
[2]水酸化リチウムを含む、上記[1]に記載の硫化リチウム。
[3]水酸化リチウムの含有量が、0.01質量%以上0.5質量%以下である上記[2]に記載の硫化リチウム。
[4]平均粒径が、0.01mm以上3mm以下である上記[1]~[3]のいずれか1に記載の硫化リチウム。
[5]ディスクドライヤーにおいて、溶媒を用いずに、水酸化リチウムと硫化水素とを反応させることを含む、硫化リチウムの製造方法。
[6]硫化水素を、水酸化リチウム1kgに対して、50N-L/h以上300N-L/h以下の流量で供給する上記[5]に記載の硫化リチウムの製造方法。
[7]反応温度が、140℃以上230℃以下である上記[5]又は[6]のいずれか1に記載の硫化リチウムの製造方法。
[8]反応時間が、1時間以上60時間以下である上記[5]~[7]のいずれか1に記載の硫化リチウムの製造方法。
[9]前記反応において、水の発生が確認できなくなった後、更に0.5時間以上10時間以内で反応を行う上記[4]~[8]のいずれか1に記載の硫化リチウムの製造方法。
[10]ディスクドライヤー内の容量が、5L以上である上記[5]~[9]のいずれか1に記載の硫化リチウムの製造方法。
[11]ディスクドライヤーが、ディスクを備えたシャフトを2本以上有するものである上記[5]~[10]のいずれか1に記載の硫化リチウムの製造方法。
本発明によれば、溶媒を含まず、かつ結晶化の進行を抑えた硫化リチウム、及び硫化リチウムを溶媒を用いずに生産効率よく製造する方法を提供することができる。
ディスクドライヤーの構造を示す模式的な平面図である。 ディスクドライヤーのシャフトのディスクが設けられる部分の、該シャフトに対して垂直に切断した断面図である。 実施例1で得られた硫化リチウムのX線回折スペクトルである。 比較例1で得られた硫化リチウムのX線回折スペクトルである。 比較例2で得られた硫化リチウムのX線回折スペクトルである。 製造例で得られた粉体のX線回折スペクトルである。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」「以下」の上限及び下限の数値は任意に組み合わせできる数値であり、実施例における数値を該上限及び下限とすることができる。
〔硫化リチウム〕
本実施形態の硫化リチウムは、溶媒を含まず、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=44.8°±0.5°にピークを有し、かつ該ピークの半値幅が0.09°以上である、というものである。
本実施形態の硫化リチウムは、水酸化リチウムを含んでもよいものである。水酸化リチウムは、主に原料に由来するものであり、その含有量は、少ない方が好ましく、具体的には、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。また、下限値としては、0.01質量%以上が好ましく、例えば0.03質量%以上、0.05質量%以上である。水酸化リチウムの含有量が上記範囲内であれば、イオン伝導度、電池性能の低下をより抑えることができるので、より性能に優れた固体電解質が得られる。本明細書において、水酸化リチウムの含有量は、電位差滴定法により測定される値である。
本実施形態の硫化リチウムは、溶媒を含まない。従来、硫化リチウムの製造には、溶媒が用いられており、蒸留除去等を行っても、硫化リチウムに溶媒が残存することがあった。本実施形態の硫化リチウムは、このような製造過程に起因する、硫化リチウムの製造において用い得る溶媒、例えば、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素溶媒;ヘキセン、シクロヘキセン等の不飽和炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;エタノール、ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒等の溶媒を含まない。
ここで、「溶媒を含まない」とは実質的に含まないことを意味し、硫化リチウム中の溶媒の含有量が0質量%である態様、また、0質量%超、かつ0.08質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、である態様も含む概念である。溶媒の含有量は、硫化リチウムをメタノールに溶解して、ガスクロマトグラフィーにより溶媒量を定量することで測定することができる。
本実施形態の硫化リチウムは、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=44.8°±0.5°にピークを有し、かつ該ピークの半値幅が0.09°以上である。
半値幅は、所定のピークについて、該ピークの強度値の半分の強度値における回折角度の幅のことである、すなわち、2θ=44.8°±0.5°の硫化リチウムに起因するピークについて、ピークの強度値の半分の強度値における回折角度の幅のことである。この半値幅は結晶性の高低を指標するものであり、半値幅が大きいと、ピークがブロードであり、結晶性が低いことを意味する。ここで、結晶性は粒子を構成する結晶子の大きさで示されるものであり、結晶子が小さいほど結晶性が低いことを意味する。本実施形態において、CuKα線を用いたX線回折測定は市販のX線回折装置を用いて常法に基づき行えばよく、また半値幅は具体的には実施例に記載の方法により測定された数値とする。
本実施形態において、半値幅は0.10°以上が好ましく、0.11°以上がより好ましい。また、半値幅の上限に特に制限はないが、例えば、0.40°以下、0.30°以下、0.20°以下であればよい。半値幅が上記範囲内であると、結晶性が十分に低く、硫化物固体電解質の原料としてより好適に用いることができる。
本実施形態の硫化リチウムの純度は、例えば、97質量%以上、98質量%以上、98.6質量%以上、99質量%以上である。本明細書において、硫化リチウムの純度は、電位差滴定法により測定される値である。
また、本実施形態の硫化リチウムには、水分が含まれることがある。硫化リチウム中の水分量は、例えば、1.5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下である。硫化リチウムを固体電解質の原料として用いる場合、水によるイオン伝導度の低下、電池性能の低下を抑制することができるので、より性能に優れた固体電解質が得られる。本明細書において、硫化リチウム中の水分量は、カールフィッシャー水分計を用いて、気化法、280℃の条件で測定した値である。
本実施形態の硫化リチウムの平均粒径は、特に制限はないが、製造時及び製造後の取扱の容易性、硫化物固体電解質の原料として用いる場合等を考慮すると、例えば、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上であり、また3mm以下、2mm以下、1.5mm以下である。本明細書において、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、マスターサイザー2000(Malvern Instruments Ltd製)等)を用いて測定される値である。
本実施形態の硫化リチウムの比表面積は、特に制限ないが、硫化物固体電解質の原料として用いる場合等を考慮すると、例えば、1.0m/g以上、1.2m/g以上、1.5m/g以上である。本明細書において、比表面積は、BET法(気体吸着法)により測定される値であり、気体として窒素を用いてもよいし(窒素法)、クリプトンを用いてもよい(クリプトン法)。なお、比表面積が小さい場合はクリプトン法により測定される。比表面積は、例えば、ガス吸着量測定装置(例えば、AUTOSORB6(シスメックス(株)製)等)を用いて測定することができる。
硫化リチウムの細孔容積は、特に制限はないが、硫化物固体電解質の原料として用いる場合等を考慮すると、0.002ml/g以上、0.003ml/g以上である。細孔容積は、比表面積の測定に用いる装置と同じものを用いて測定することができ、相対圧P/P0が0.99以上の測定点から、0.99に内挿して求めた数値とすればよい。装置の測定下限値は、0.001ml/gである。
このように本実施形態の硫化リチウムは、溶媒を含まず、結晶性が低いことから、硫化物固体電解質の原料として好適に用いることができる。得られる硫化物固体電解質は、リチウムイオン二次電池等に、より具体的には全固体リチウムイオン二次電池の固体電解層に、また正極、負極合材に混合する固体電解質等として好適に用いられる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に固体電解質からなる層を設けることで、全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
〔硫化リチウムの製造方法〕
本実施形態の硫化リチウムの製造方法は、ディスクドライヤーにおいて、溶媒を用いずに、水酸化リチウムと硫化水素とを反応させることを含む、ものである。
ディスクドライヤーは、反応熱を補うため熱媒体で間接的に加熱する間接加熱式の反応装置であり、ディスクを回転させることにより、原料となる水酸化リチウムの加熱とともに、硫化水素との接触を促進し、反応させることができる。
ディスクドライヤーについて、より具体的に、図1及び2を用いて説明する。図1は、ディスクドライヤーの構造を示す模式的な平面図であり、図2はシャフトのディスクが設けられる部分の、該シャフトに対して垂直に切断した断面図である。
図1には、ディスク104を備えたシャフト102、熱媒体等の供給口103a及び排出口103b、不活性ガス及び硫化水素の供給口105a及び排出口105b、水酸化リチウム水和物の供給口106a及び加熱対象物の排出口106bを備えたディスクドライヤー101が示されている。
図1に示されるように、不活性ガスは、より効率的に加熱及び水分の排出を行う観点から、加熱対象物の排出口106bの側から供給し、水酸化リチウム水和物の供給口106aの側から排出することが好ましい。
図1に示されるディスクドライヤー101は、ディスク104を備えたシャフト102を2本有しているが、ディスクを備えたシャフトは、2本以上有していることが好ましい。
また、ディスク104は、図1に示されるようにオーバーラップするように設けることが好ましい。このような構成とすることにより、ディスク104同士の相互作用により、水酸化リチウムを撹拌し、水酸化リチウムを効率的に加熱し、かつ水酸化リチウムと硫化水素との接触を促進させ、効率よく反応させることができる。
熱媒体としては、オイル、水蒸気等が挙げられ、加熱温度等に応じて適宜選択すればよい。少なくともシャフト102は中空構造となっており、熱媒体の供給口103aから供給された熱媒体は、該中空構造内を通過し、水酸化リチウム、硫化水素を間接的に加熱した後、排出口bより排出される。この中空構造は、シャフト102だけでなく、ディスク104も有していることが好ましい。これにより、シャフト102、ディスク104を介して熱媒体の熱により間接的に水酸化リチウム及び硫化水素を加熱することができ、より効率的に反応を促進することができる。
また、ディスクドライヤー101は、オイル、水蒸気等の熱媒体を使用した加熱ジャケット(図示せず)を備えていてもよい。加熱ジャケットを有する場合、熱媒体は、熱媒体の供給口103a及び排出口103bを共用し、設備を簡略化する観点から、上記シャフト102内に供給する熱媒体と同じものとしてもよいし、また加熱する箇所の違いに応じて加熱温度が異なる場合は、エネルギー効率の観点から、所望の加熱温度に応じた、異なる熱媒体を用いてもよい。
ディスクドライヤー101は、例えば、以下のように運転し、水酸化リチウムと硫化水素とを反応させて、硫化リチウムを製造することができる。まず、2本のシャフト102を一定の回転数で回転させて、次いで、所定の温度に加熱した熱媒体等を供給口103aから供給し、シャフト102、及びディスク104の加熱を開始する。シャフト102、及びディスク104を加熱した熱媒体等は排出口103bから排出される。
ディスクドライヤー101内は、予め、例えば窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いて置換しておくことが好ましく、置換は該不活性ガスを供給口105aから供給を開始し、排出口105bから排出して行う。
ディスクドライヤー101の準備が整ったところで、原料供給口106aから水酸化リチウムの供給を開始し、不活性ガスを硫化水素に切り替えて、供給口105aから硫化水素の供給を開始する。
供給された水酸化リチウムは、ディスク104の回転に伴って加熱されながら移動し、反対側から供給されたディスクドライヤー101内で加熱された硫化水素と接触し、反応し、硫化リチウムが得られる。このように、水酸化リチウムはディスク104の回転に伴って加熱されながら移動するため、ディスクドライヤー101の内壁、ディスク104等に付着することなく、またディスク104の回転の作用により硫化水素と効率的に接触するため、溶媒等を用いることなく、効率よく硫化リチウムを得ることが可能となる。
水酸化リチウムと硫化水素との反応の際に副生成物として発生する水分は、水蒸気として硫化水素に同伴され、排出口105bから排出される。排出された硫化水素と水蒸気との混合物は、水蒸気を除去した後、硫化水素としてディスクドライヤー101にリサイクルすることができる。
水酸化リチウムと硫化水素との反応により得られた硫化リチウムは、排出口106bから排出される。排出口106bから排出されたものは、必要に応じて、再び供給口106aから供給し、硫化水素と接触させて、反応を行うことも可能である。
反応を終了させる場合は、ディスクドライヤー101内の温度を反応温度程度に保持した状態で、硫化水素を窒素等の不活性ガスに切り替えて、1時間以上10時間以下程度で通気し、ディスクドライヤー101内の硫化水素を不活性ガスで置換するとよい。このような置換を行うことで、ディスクドライヤー101内の硫化水素、水蒸気を確実に除去することが、安全管理上、また硫化リチウムの品質保持の観点から好ましい。そして、窒素を流通させた状態で熱媒体の供給をとめて、ディスクドライヤー101内の温度を下げて、生成物である、硫化リチウムを回収することができる。
ディスクドライヤーは、該ディスクドライヤー内の容量が、5L以上、10L以上、30L以上であってもよい。このような大きい容量を有するものであっても、ディスク104を備えるシャフト102による作用により、該容量に対して60~90%程度の充満率で水酸化リチウムを供給することができ、一度に多量の硫化リチウムを製造することが可能となる。
ディスク104の回転数は、特に限定されないが、10rpm以上200rpm以下が好ましく、20rpm以上150rpm以下がより好ましく、30rpm以上100rpm以下が更に好ましい。
本実施形態で用い得るディスクドライヤーのより具体的な例としては、例えば、CDドライヤー((株)栗本鐡工所製)、インクラインドディスクドライヤー(月島機械(株)製)、ミクロンサーモプロセッサ(ホソカワミクロン(株)製)、パドルドライヤー((株)奈良機械製作所製)等が挙げられる。
本実施形態の製造方法によれば、ディスクドライヤーを用いるため、水酸化リチウムと硫化水素との効率的な反応が可能となるため、溶媒、例えば、本実施形態の硫化リチウムの説明において含まないものとして記載した、硫化リチウムの製造において従来用いられてきた溶媒、等を用いることなく、反応を行うことができる。
原料となる水酸化リチウムは、水酸化リチウム無水物であってもよいし、水酸化リチウム一水和物のような水和物であってもよい。本実施形態においては、ディスクドライヤー101を用いるため、水和物であっても加熱により水分は排出口106bより排出される。排出口106bより排出された硫化水素を再びディスクドライヤーにリサイクルする場合、水分除去のための負担を軽減する観点から、水酸化リチウム無水物を用いることが好ましい。
水酸化リチウム無水物の場合、水分量は、通常5質量%以下、3質量%以下、あるいは1.5質量%以下のものである。ここで、水酸化リチウム中の水分量は、上記硫化リチウム中の水分量と同じく、質量減少量による測定、質量減少量によって測定が難しい場合は、カールフィッシャー水分計を用いて測定した値である。
水酸化リチウムの平均粒径は、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、また、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。水酸化リチウムの平均粒径が上記範囲内であると、硫化水素と反応しやすく、また得られる硫化リチウムを固体電解質の原料として使用しやすくなる。
硫化水素は、例えば、工業的に市販されているものをそのまま用いることができる。
硫化水素は、脱水してもよく、脱水しなくてもよいが、反応への影響をより低減する観点から、水分量は少ないことが好ましく、例えば、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましい。水分量の下限値は、特に限定されず、通常0.1質量ppm以上である。また、水分量は0質量ppm(含まれない)でもよい。
硫化水素の供給量は、効率的に反応をより促進する観点から、水酸化リチウム1kgに対して、50N-L/h以上が好ましく、75N-L/h以上がより好ましく、100N-L/h以上が更に好ましい。また、300N-L/h以下が好ましく、275N-L/h以下がより好ましく、250N-L/g以下が更に好ましい。
水酸化リチウムと硫化水素との反応温度は、140℃以上230℃以下が好ましく、150℃以上215℃以下がより好ましく、160℃以上220℃以下が更に好ましい。反応温度が上記範囲内であると、熱化学的な観点から反応をより促進させることができるだけでなく、水酸化リチウム粒子同士の凝集が生じにくくなり、硫化水素を水酸化リチウム粒子のより内部まで拡散させることができることからも、反応をより促進させることができ、残留する水酸化リチウム量が低減された高純度の硫化リチウムが得られる。また、ディスクドライヤーを用いることで、硫化水素を水酸化リチウム粒子のより内部まで拡散することができるため、工業的に市販される無水水酸化リチウムをそのまま用いることができ、予め粉砕、分級等を行い微粒化しなくても、原料として用いることができる。
また、反応温度が上記範囲内であると、反応容器を備える反応装置を用いる場合に、その選定においても利点がある。例えば、腐食性が低減するため、反応装置に用い得る材質の制限が少なくなり、炭素鋼、ステンレス鋼等の汎用材料を用いることができる。また、反応装置に用いられる各種ゴム部材の耐熱温度の範囲内となるため、例えば、軸封の設計が容易になるといった利点があり、加熱手段の選択肢が増えるため設計が容易となる。
水酸化リチウムと硫化水素との反応時間は、1時間以上60時間以下が好ましく、2時間以上30時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下が好ましい。本明細書において、反応時間は、硫化水素を水酸化リチウムに接触させて反応させる時間、より具体的には、硫化水素を供給開始した時から供給停止した時までの時間を意味する。
水酸化リチウムと硫化水素との反応により、反応系から水酸化リチウムが消失すると、反応による水の発生は終了するが、その後、反応系内(例えば、反応容器内)には水が存在している。本実施形態においては、水の発生が確認できなくなった後、反応系内の水が蒸発して乾燥状態となるまで、硫化水素の供給を続け、反応を行うことが好ましい。硫化水素の供給を続け、反応を行うことにより、硫化リチウムの加水分解による水酸化リチウムの発生をより低減し、硫化リチウムの純度を向上させることができる。
硫化水素の供給を続け、反応を行う時間としては、0.5時間以上10時間以内が好ましく、1時間以上4時間以下がより好ましく、1.5時間以上3時間以下が更に好ましい。硫化水素の供給を続ける場合の、硫化水素の流量は、水の発生が生じているときの流量と同じでもよいし、また、例えば水の発生が生じているときの流量の30%以上80%以下程度の少ない流量であってもよい。
本実施形態の硫化リチウムの製造方法により、溶媒を含まず、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=44.8°±0.5°にピークを有し、かつ該ピークの半値幅が0.09°以上である硫化リチウム、すなわち本実施形態の硫化リチウムが得られる。また、本実施形態の硫化リチウムの製造方法により得られる硫化リチウムは、水酸化リチウムを含み得るものである。
本実施形態の硫化リチウムの製造方法により得られる硫化リチウムは、溶媒を用いずに製造するにも関わらず、溶媒を用いて製造した硫化リチウムと同じように結晶性が低いものとなり、また溶媒を用いずに製造することから溶媒を含まないものである。
本実施形態の製造方法により得られる硫化リチウムは、溶媒を含まず、結晶性が低いことから、硫化物固体電解質の原料として好適に用いることができる。得られる硫化物固体電解質は、リチウムイオン二次電池等に、より具体的には全固体リチウムイオン二次電池の固体電解層に、また正極、負極合材に混合する固体電解質等として好適に用いられる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に固体電解質からなる層を設けることで、全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(硫化リチウムの半値幅の測定)
まず、硫化リチウムのCuKα線を用いたX線回折測定を行った。具体的には、粉末試料を直径10mmの円柱ペレットに成型し、グローブボックス内でPMMA製のドーム型気密ホルダーに封じて作製し、これをX線回折装置(粉末X線回折測定装置「SmartLab」(商品名)、株式会社リガク製)にて測定した。なお、測定条件は以下の通りである。
管電圧:45kV
管電流:200mA
X線波長:CuKα線(1.5418Å)
光学系:平行ビーム法
スリット構成:ソーラースリット5°
入射スリット:1mm
受光スリット:1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:2θ=10-60°
ステップ幅、スキャンスピード:0.02°、1°/分
上記測定により得られたデータの硫化リチウム(220)回折面のピーク(2θ=44.8±0.5°)に対して、粉末X線解析パターン総合解析ソフトウェア(「JADE 6.0」(商品名)、MDI社製)を用いて、半値幅を決定した。2θ=38°~50°の範囲のデータに対して、データの両端を結ぶ直線ベースラインを引き、(220)回折面のピークをPseudo-Voigt関数を用いてガウス関数とローレンツ関数の混合比率も変数とし、対称ピークとしてフィッティングを行い、ピークの測定上の半値幅βを算出した。更に、装置線幅を求めるための標準試料として分析用標準物質(「NIST SRM 640d(型番)」、シリコン粉末、アメリカ国立標準技術研究所製)について、(111)回折面に対して上記と同じ方法で標準試料の半値幅βを算出した。粉末試料の半値幅β試料は、β試料=β-βとして算出した。
(硫化リチウムの純度、水酸化リチウムの含有量の測定)
硫化リチウムの純度、及び該硫化リチウム中の水酸化リチウムの含有量は、塩酸滴定、及び硝酸銀滴定により分析し、測定した。具体的には、製造例で得られた硫化リチウム粉末を、グローブボックス(露点:-100℃程度、窒素雰囲気)内で秤量後、水に溶解し、電位差滴定装置(「COM-980(型番)」、平沼産業(株)製)を用いて測定し、算出した。
(溶媒の含有量の測定)
硫化リチウム中の溶媒の有無、及びその含有量は、硫化リチウムをメタノールに溶解して、ガスクロマトグラフィーにより確認し、定量して求めた。
(無水水酸化リチウム中の水分量の測定)
無水水酸化リチウム中の水分量は、カールフィッシャー水分計を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例1)
ディスクドライヤー(「二軸パドルドライヤーNPD-1.6W-45L」、(株)奈良機械製作所製)に、水酸化リチウム無水物(本荘ケミカル株式会社製、粒径範囲:0.1mm以上1.5mm以下、水分量:1質量%以下)を23.6kg仕込んだ。シャフトの回転数を60rpmとして撹拌しながら、窒素気流下にて昇温し、熱媒油をドライヤーに通油し、内部温度(粉体)を200℃に保持した。これと同時に、ドライヤー上部をスチームで100℃以上に保温した。窒素ガスを硫化水素ガス(住友精化(株)製)に切り替え、5.8kg/h(3,823N-L/h)の流量にし、撹拌しながら水酸化リチウム無水物と硫化水素との反応を行った。
反応によって発生した水分はコンデンサーにより凝縮して回収した。反応を4.5時間行った時点で水が回収されなくなった。更に硫化水素を5.8kg/h(3,823N-L/h)の流量で保持して供給して、2時間反応を継続したが、水の発生は見られなかった。また、反応生成物等のドライヤー内壁等への付着等は見られなかった。
次いで、温度を200℃に保持した状態で、硫化水素ガスを窒素ガスに切り替え、5時間窒素ガスを通気し、ドライヤー内の硫化水素ガスを窒素ガスに置換した。窒素ガスを流通した状態で内温を下げ、生成物を回収した。
回収した生成物について、硫化リチウムの純度の測定、硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定、及びCuKα線を用いたXRD測定を行った。硫化リチウムの純度の測定、及び硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定は電位差滴定により算出した。測定の結果、硫化リチウム純度は99.4質量%、水酸化リチウム量は0.1質量%、水分量は250ppmであった。また、XRD測定の結果、図3に示されるように、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°におけるピークが確認できた。このXRD測定により、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°のピークについて半値幅を測定したところ、半値幅2θ=0.11°であった。なお、水酸化リチウム量の検出限界は0.1質量%である。また、後述の比較例2とは異なり、実施例1で得られた硫化リチウム中には、トルエンは確認されなかった。
原料の水酸化リチウム23.6kgから得られる計算上の硫化リチウムの生成量は22.6kgであるが、実際に回収できた硫化リチウムの生成量は17.9kgであった。これはドライヤー内の四隅に粉が残留し、ドライヤー中央部の排出口まで流れてこなかったためである。なお、残留する硫化リチウムは、適宜掻き出してドライヤー内から容易に除去することができる。
(実施例2)
実施例1において、内部温度(粉体)を180℃とした以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。
回収した生成物について、硫化リチウムの純度の測定、硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定、硫化リチウム中の水分量の測定、及びCuKα線を用いたXRD測定を行った。硫化リチウムの純度の測定、及び硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定は電位差滴定により算出した。測定の結果、硫化リチウム純度は99.2質量%、水酸化リチウム量は0.1質量%、水分量は110ppmであった。また、XRD測定の結果、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°におけるピークが確認できた。このXRD測定により、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°のピークについて半値幅を測定したところ、半値幅2θ=0.13°であった。なお、水酸化リチウム量の検出限界は0.1質量%である。また、後述の比較例2とは異なり、実施例1で得られた硫化リチウム中には、トルエンは確認されなかった。
(比較例1)
アンカー撹拌翼を装備した500mLセパラブルフラスコに、不活性ガス(窒素)下で、水酸化リチウム無水物(本荘ケミカル(株)製、粒径範囲:0.1mm以上1.5mm以下、水分量:1質量%以下)を200gを仕込んだ。アンカー撹拌翼を回転数200rpmで作動させて、水酸化リチウム無水物を撹拌し、窒素気流下でオイルバスを用いて内部温度(水酸化リチウムの温度)を200℃に保持した。また同時に、セパラブルフラスコの上部(固体相と気相間の界面より上部)をリボンヒーターで100℃に保持した。次いで、窒素を硫化水素(住友精化(株)製)に切り替え、500N-mL/分の流量とし、アンカー撹拌翼で撹拌(回転数:100rpm)しながら、水酸化リチウム水和物と硫化水素との反応を、反応温度200℃で行った。
反応によって発生した水分はコンデンサーにより凝縮して回収した。反応を6時間行った時点で、144mLの水が回収された。更に硫化水素を500N-mL/分の流量で保持して供給して、3時間反応を継続したが、水の発生は見られなかった。なお、水酸化リチウム及び生成物の凝集、固着の発生、セパラブルフラスコ等への付着等は見られなかった。
次いで、温度を200℃に保持した状態で、硫化水素を窒素に切り替え、20分間窒素を通気し、フラスコ内の硫化水素を窒素に置換した。窒素を流通した状態で内温を下げ、反応生成物を回収した。
回収した生成物について、硫化リチウムの純度の測定、硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定、及びCuKα線を用いたXRD測定を行った。硫化リチウムの純度の測定、及び硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定は電位差滴定により算出した。測定の結果、硫化リチウム純度は98.4質量%、水酸化リチウム量は0.1質量%であった。また、XRD測定の結果、図4に示されるように、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°におけるピークが確認できた。このXRD測定により、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°のピークについて半値幅を測定したところ、半値幅2θ=0.08°であった。
(比較例2)
ツインスター撹拌翼を装備した500Lのステンレス製反応釜に、不活性ガス(窒素)下で、水酸化リチウム無水物(本荘ケミカル(株)製、粒径範囲:0.1mm以上1.5mm以下、水分量:1質量%以下)を33.8kg、トルエン(住友商事(株)製)303.8kgを仕込んだ。ツインスター撹拌翼を回転数131rpmで作動させて、水酸化リチウム無水物とトルエンとを撹拌し、窒素気流下でオイルバスを用いて内部温度(水酸化リチウムとトルエンとのスラリー温度)を95℃に保持した。水酸化リチウムとトルエンとのスラリー中に、硫化水素(住友精化(株)製)を100N-L/分の流量で吹き込みながら、107℃まで昇温した。反応釜からは、水とトルエンとの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、反応釜の外部に設けたコンデンサーで凝集し、脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に反応釜に供給し、該反応釜内の反応液(スラリー)の液レベルを一定に保持した。
コンデンサーにおける凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後24時間で水の留出は認められなくなった。なお、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態にあり、トルエンから分層した水分は確認されなかった。
硫化水素を40N-L/分で供給しながら、50℃、常圧で20時間、撹拌を継続し、次いで、硫化水素を40N-L/分で供給しながら、70℃、常圧で10時間、撹拌を継続し、反応釜のジャケット温度を120℃まで昇温し、硫化水素を窒素に切り替えて16時間の加熱処理を行った。その後、窒素を供給しながら反応釜内温度を降温し、硫化リチウムを回収し、100℃で真空乾燥を行い、硫化リチウムを得た。
真空乾燥後の硫化リチウムについて、硫化リチウムの純度の測定、硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定、及びCuKα線を用いたXRD測定を行った。硫化リチウムの純度の測定、及び硫化リチウム中の水酸化リチウム量の測定は電位差滴定により算出した。測定の結果、硫化リチウム純度は98.5質量%、水酸化リチウム量は0.1質量%であった。また、XRD測定の結果、図5に示されるように、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°におけるピークが確認できた。このXRD測定により、硫化リチウムに対応する2θ=44.8°のピークについて半値幅を測定したところ、半値幅2θ=0.13°であった。また、比較例2で得られた硫化リチウムには、トルエンが含まれていることが確認できた。
製造例1
窒素雰囲気下のグローブボックス(露点:-100℃程度、窒素雰囲気)内において、硫化リチウム(半値幅:0.13°)0.380gと五硫化二リン(Thermophos社製)0.620と直径10mmのジルコニア製ボール10個とを遊星型ボールミル(「P-7」(型番)、フリッチュ社製)用ジルコニアポット(容積:45mL)に投入し、内部を窒素雰囲気としたまま密閉した。このジルコニアポットを遊星型ボールミルで10分間運転(回転数:100rpm)し、硫化リチウムと五硫化二リンとをよく混合した。その後、更に遊星型ボールミルを20時間運転(回転数:370rpm)して、メカニカルミリング処理を行い、白黄色の粉体1を得た。
製造例2
製造例1において、硫化リチウム(半値幅:0.13°)を硫化リチウム(半値幅:0.08°)とした以外は、製造例1と同じ操作を行い、白黄色の粉体2を得た。
製造例1及び2で得られた白黄色の粉体1及び2を、上記(硫化リチウムの半値幅の測定)のCuKα線を用いたX線回折測定と同じ方法によりX線回折測定を行った。粉体1及び2のX線回折スペクトルを図6に示す。図6に示されるように、半値幅が0.08°の硫化リチウムを用いた粉体2のX線回折スペクトルに比べて、半値幅が0.13°の硫化リチウムを用いた粉体1のX線回折スペクトルの方が、硫化リチウムに由来するピーク面積が小さく、硫化リチウムの反応がより進行していることが確認された。製造例の結果から、本発明の硫化リチウムを用いて得られる固体電解質は、硫化リチウムの反応がより進行したものであり、本発明の硫化リチウムは、硫化物系固体電解質の原料として好適に用いることができることが確認された。
本実施形態の硫化リチウムは、溶媒を含まず、結晶化の進行が抑えられ、結晶性が低いことから、硫化物固体電解質の原料として好適に用いることができる。得られる硫化物固体電解質は、リチウムイオン二次電池等に、より具体的には全固体リチウムイオン二次電池の固体電解層に、また正極、負極合材に混合する固体電解質等として好適に用いられる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に固体電解質からなる層を設けることで、全固体リチウムイオン二次電池が得られる。
101.ディスクドライヤー
102.シャフト
103a、105a、106a.供給口
103b、105b、106b.排出口
104.ディスク

Claims (16)

  1. 溶媒を含まず、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=44.8°±0.5°にピークを有し、かつ該ピークの半値幅が0.09°以上0.40°以下である硫化リチウム。
  2. 前記半値幅が、0.30°以下である請求項1に記載の硫化リチウム。
  3. 水酸化リチウムを含む、請求項1又は2に記載の硫化リチウム。
  4. 水酸化リチウムの含有量が、0.01質量%以上0.5質量%以下である請求項3に記載の硫化リチウム。
  5. 有機溶媒の含有量が、0質量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の硫化リチウム。
  6. 純度が98.6質量%以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の硫化リチウム。
  7. 平均粒径が、0.01mm以上3mm以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の硫化リチウム。
  8. 硫化物固体電解質の原料として用いられる請求項1~7のいずれか1項に記載の硫化リチウム。
  9. ディスクドライヤーにおいて、溶媒を用いずに、水酸化リチウムと硫化水素とを反応させることを含む、硫化リチウムの製造方法。
  10. 前記ディスクドライヤーが、
    ディスクを備えたシャフトを有し、前記シャフトは中空構造を有しており、
    熱媒体が前記中空構造内を通過するように供給され、
    前記ディスクドライヤーの前記熱媒体の排出口側に前記水酸化リチウムを供給する供給口を有し、前記ディスクドライヤーの前記熱媒体の供給口側に硫化リチウムを排出する排出口を有し、
    前記硫化水素を供給する供給口が前記ディスクドライヤーの前記硫化リチウムを排出する排出口側に設けられ、かつ前記硫化水素を排出する排出口が前記ディスクドライヤーの前記水酸化リチウムを供給する供給口側に設けられるものである、
    請求項に記載の硫化リチウムの製造方法。
  11. 硫化水素を、水酸化リチウム1kgに対して、50N-L/h以上300N-L/h以下の流量で供給する請求項9又は10に記載の硫化リチウムの製造方法。
  12. 反応温度が、140℃以上230℃以下である請求項9~11のいずれか1項に記載の硫化リチウムの製造方法。
  13. 反応時間が、1時間以上60時間以下である請求項9~12のいずれか1項に記載の硫化リチウムの製造方法。
  14. 前記反応において、水の発生が確認できなくなった後、更に0.5時間以上10時間以内で反応を行う請求項9~13のいずれか1項に記載の硫化リチウムの製造方法。
  15. ディスクドライヤー内の容量が、5L以上である請求項9~14のいずれか1項に記載の硫化リチウムの製造方法。
  16. ディスクドライヤーが、ディスクを備えたシャフトを2本以上有するものである請求項9~15のいずれか1項に記載の硫化リチウムの製造方法。
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