JP7013627B2 - クレーン作業エリア登録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クレーン作業エリアにおける設備機器や建築物、取扱物などの位置、形状などの情報を作業開始前に予め計測して、クレーン運転時に衝突などの事故を防止する装置に関するものである。
従来、クレーン作業エリア登録装置として、クレーン上方からカメラでクレーン周辺領域を撮像し、作業開始前にクレーンの走行エリア全体を走行してステレオマッチング法などを用いて三次元マップを作成し、クレーンの荷役作業時では、クレーンの荷卸し場所を見渡せる撮像場所で、再度、カメラで撮影し、三次元マップを作成して対象場所に荷卸し可能なことを判断するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009-155056号公報
ところで、特許文献1において開示された技術では、図1に示すようにクレーン作業領域に背の高い物体15や物体16などが存在した場合は、カメラが見通せない場所の裏側は死角となり、図2に示すような形状の物体10として仮想的な大きさの判断となっていた。このため、図3のように物体15と物体16の間を荷物を吊った状態で搬送する搬送路として使用できるにも関わらず、迂回して運転しなければならず、効率的な運用を妨げていた。
また、荷卸し場所の付近において、荷卸し場所を見渡せる撮像場所で前後2回カメラ撮影し、三次元マップを作成して対象場所に荷卸し可能なことを判断しているが、走行経路に存在する物体との衝突回避については配慮されていなかった。
本発明は、上記従来のクレーン作業エリア登録装置の有する問題点に鑑み、クレーン作業エリアの三次元マップを作るときに、死角が発生しているか否か判断して、死角を補う位置で再度スキャニング動作を行い、死角のない三次元マップを作成する装置を提供することを目的とする。
また、併せて、クレーン走行中もクレーン下の状態を監視し、吊荷と床面の物体の衝突を防止する装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のクレーン作業エリア登録装置は、クレーンの作業エリアの情報を測域センサを用いて距離情報として取得し、測域センサのスキャン角度と距離データから、作業エリアの位置・高さ情報を変換することを特徴とする。
ここで、「測域センサ」(Laser Range Scanner 又は 3D Scanner)とは、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計をいう。
また、測域センサのデータの取り込みを横行番地と走行番地毎に行い、作業エリア全域の位置・高さ情報を把握できるようにすることができる。
また、スキャンした結果で隣り合うデータを比較し、規定値以上距離が離れている場合に、死角が発生していると判断して、再度死角補正運転を行うようにすることができる。
また、クレーン走行開始時、進行方向に吊荷位置より高い地上物体がないことを測域センサを用いて確認するようにすることができる。
また、クレーン走行時、進行方向に吊荷と地上物体とが衝突しない距離で測域センサを用いて進行方向における作業エリアの位置・高さ情報を検知するようにすることができる。
本発明のクレーン作業エリア登録装置によれば、クレーン作業エリアの三次元マップを作るときに、死角が発生しているか否か判断して、死角を補う位置で再度スキャニング動作を行い、死角のない三次元マップを作成することができる。
また、併せて、クレーン走行中もクレーン下の状態を監視し、吊荷と床面の物体の衝突を防止することができる。
本発明のクレーン作業エリア登録装置に用いる測域センサのスキャン状態のイメージ図である。 物体認識結果による大きさの算出図である。 天井クレーンと地上物体の関係図である。 本発明のクレーン作業エリア登録装置に用いる測域センサのスキャン位置の候補図である。 走行開始時のスキャン状態のイメージ図である。 走行移動時障害物検知状態のイメージ図である。 本発明のクレーン作業エリア登録装置の実施例におけるクレーン、地上物体及び測域センサの関係図である。 死角補正運転の位置関係図である。 本発明のクレーン作業エリア登録装置の実施例における全域スキャン状態のイメージ図である。 本発明のクレーン作業エリア登録装置の制御装置の構成図である。 無線機子機の押釦スイッチ配置の一例を示す説明図である。
以下、本発明のクレーン作業エリア登録装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
以下、本発明に係るクレーン作業エリア登録装置を適用した天井クレーンの一実施例を示す。
この天井クレーン01において、例えば、図7に示すように、物体15と物体16が床面に存在している場合について説明する。
床面状態を把握するために天井クレーン01上のクラブ02に床面の形状を測定する測域センサ23が設置されている。
天井クレーン01は移動動作として図9の走行方向、クラブ02が横行方向に移動できる。
ここで、クレーン作業エリア登録装置は、汎用の天井クレーンに適用することができ、天井クレーン01には、汎用の天井クレーンが備える、例えば、天井クレーン01の走行位置を把握するための走行レーザ距離計27、横行位置を把握するための横行レーザ距離計28等の機器を備えるようにしている。
天井クレーン01は3方向の動作が可能となっており、巻上下動作を行う巻上モータ32、巻上モータの速度制御を行う巻上インバータ31、横行動作を行う横行モータ34、横行モータの速度制御を行う横行インバータ33、走行動作を行う走行モータ36、走行モータの速度制御を行う走行インバータ35からなる。
床面形状検出を行う測域センサ23は、演算手段としての形状認識パソコン29に接続されている。
ここで、測域センサ23は、Laser Range Scanner 又は 3D Scannerとも呼ばれ、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計をいい、「光検出と測距」又は「レーザ画像検出と測距」とも呼ばれる「LIDAR」(Light Detection and Ranging 又は Laser Imaging Detection and Rangingの略語。光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の形状や性質を分析する装置。)、例えば、北陽電機社製の「UTM-30LX-EW」を好適に使用することができる。
この測域センサ23は、半円状に光を出して反射光が戻ってくるまでの時間を測定し、測域センサから対象までの各角度における距離を測定する。
そして、測域センサ23は、図1に示すように、モータコントローラ25によって制御されるステッピングモータ24を用いてスキャニングの角度が変えられるようになっている。
最初に床面の状況を把握し、地図を作成するため、天井クレーン01の作業エリア全域を測域センサ23を用いてスキャンする。
作業者13は、スキャンを開始するに際して、無線機親機37に操作信号を送信する、図11に示すような無線機子機38の(スキャン)押しボタンを押す。
無線機子機38の信号が無線で無線機親機37に送られ、その信号はクレーンコントローラ30に送られる。
クレーンコントローラ30は、横行インバータ33を経由して横行モータ34に駆動 指示を行い、横行1番地41にクラブ02を移動させる。横行1番地41の位置は、横行レーザ距離計28の測定情報に基づいて位置決めする。
横行1番地41にクラブ02が移動するとクレーンコントローラ30は、図9に示すように走行端部から反対側の端部まで天井クレーン01を走行させる。
これらの動作は無線機子機38のスキャンボタンを押しているときだけ運転可能で作業者13が止めたければ、押しボタンの押圧状態を解除することにより天井クレーン01は停止する。
無線機子機38を用いてこれらの作業を行ったが、操作は、図10に示すように、天井クレーン01上の運転士19が足踏みスイッチ40を操作したときに行うようにすることでも同様に可能である。
天井クレーン01が動作するとき、測域センサ23は、図7に示すように、下向きに半円状に光を発射して、床上の物体15などの距離を測定し、形状認識パソコン29に情報が送られる。
天井クレーン01が走行すると、走行レーザ距離計27から端点との距離情報が出力され、形状認識パソコン29に送られる。
形状認識パソコン29は、走行レーザ距離計27からの距離情報の、例えば、50mm毎に測域センサ23の情報を読み取る。形状認識パソコン29は、例えば、50mm毎に繰り返して読み取り、走行路端点までのデータを蓄積する。
天井クレーン01は走行端点まで移動すると、横行2番地42の位置へクラブ02を移動させる。移動動作は横行モータ34を使用して、横行レーザ距離計28からの距離データを確認して横行2番地42の位置に停止させる。
このとき、天井クレーン01は逆方向に走行する。
形状認識パソコン29は、横行1番地41の読み取りと同様に、走行レーザ距離計27からの距離情報の、例えば、50mm毎に測域センサ23の情報を読み取る。形状認識パソコン29は、例えば、50mm毎に繰り返して読み取り、走行出発端点までのデータを蓄積する。
天井クレーン01は走行出発端点まで移動すると、横行3番地43の位置へクラブ02を移動させる。移動動作は横行モータ34を使用して、横行レーザ距離計28からの距離データを確認して横行3番地43の位置に停止させる。
形状認識パソコン29は、横行1番地41の読み取りと同様に、走行レーザ距離計27からの距離情報の、例えば、50mm毎に測域センサ23の情報を読み取る。形状認識パソコン29は、例えば、50mm毎に繰り返して読み取り、走行端点までのデータを蓄積する。
形状認識パソコン29は、読み取ったデータを距離情報から位置・高さ情報に変換する。
図7で測域センサ23から原点位置0度で真下に投射された光は距離データ70を出力する。
同様に角度θa55においては、距離データ71が出力される。角度θb56においては距離データ72が出力される。
ここで、測域センサ23から床面までの距離51は既知である。
形状認識パソコン29は、物体15の原点位置0度での高さは、距離データ70が得られているため、「床面までの距離51-距離データ70」で得ることができる。
同様に、物体15の端点における距離データ72が得られている。距離データ72を得たときの測域センサ23の角度θb56が判っているので原点位置から端点までのX軸の距離53は、「sin(角度θb56)×距離データ72」で求めることができる。
端点の高さは、「床面までの距離51-cos(角度θb56)×距離データ72」で求められる。
このようにして形状認識パソコン29は、例えば、走行50mm毎に測域センサ23のスキャンデータを読み取り、距離情報を縦・横・高さの情報に変換していく。
走行の端点まで行って横行番地を移動し、横行3番地43動作まで繰り返し行う。
形状認識パソコン29は、図7において、測域センサ23の隣り合う距離データで、例えば、距離データ72と距離データ73の差分を取って、その結果が一定距離以上の場合は、物体間に隙間がある想定して、補正運転が必要と判断する。
形状認識パソコン29は、補正運転が必要と判断すると、クレーンコントローラ30に信号を送り、クレーンコントローラ30はその信号を受信すると補正運転ランプ60を点灯する。
これにより、作業者13もクレーンが補正運転を行うことを認識する。
形状認識パソコン29は、図8に示すように、横行端点から物体16の端点までのX軸の距離53を計測しているので、図4に示すように、通常の横行スキャン位置44とは異なる、前述の隣との「距離57の1/2の距離」を距離53に加算した、死角を補う補正位置、すなわち、横行補正スキャン位置45を算出する。
形状認識パソコン29はクレーンコントローラ30に信号を送り、クレーンコントローラ30は横行インバータ33、横行モータ34に駆動指示を与えてクラブ02を移動させる。
形状認識パソコン29は、横行レーザ距離計28の計測結果が横行補正スキャン位置58になったらクレーンコントローラ30に信号を送り、クレーンコントローラ30は横行インバータ33、横行モータ34に停止指示を与えてクラブ02を停止させる。
形状認識パソコン29は、通常のスキャン運転と同様に横行補正位置でのスキャン位置での計測を行う。
以上の一連の動作でクレーン作業エリアにおける床面の状態の登録が完了する。
操業に入って、図5に示すように、ワイヤロープ04に取り付けたフック05で取扱物09を吊って目的地まで移動する場合は、測域センサ23をステッピングモータ24を使用して走行方向を規定角度まで移動させる。
測域センサ23は規定角度に固定した状態で前方をスキャンする。
図6に示すように、走行を開始し、移動を開始して点線のような位置で測域センサ23は物体17を検知する。
移動を続けて、2点鎖線の位置で取扱物09の搬送位置より背の高い物体との判断を形状認識パソコン29は行い、クレーンコントローラ30に減速を指示する。
クレーンコントローラ30は走行インバータ35に減速を指示する。同時に衝突警報ランプ61を点灯させる。
更に移動が継続された場合は、形状認識パソコン29は、クレーンコントローラ30に停止指示を行う。
クレーンコントローラ30は走行インバータ35に停止を指示する。同時に停止ランプ62を点灯させる。
この衝突防止動作は、床面情報を登録したデータを併用しても効果がある。
このクレーン作業エリア登録装置によれば、クレーン作業エリアの三次元マップを作るときに、死角が発生しているか否か判断して、死角を補う補正位置、すなわち、横行補正スキャン位置45で再度スキャニング動作を行い、死角のない三次元マップを作成することができる。
また、併せて、クレーン走行中もクレーン下の状態を監視し、吊荷と床面の物体の衝突を防止することができる。
そして、建物や工場に条件を追加することなく、クレーンの安全運転を実現することができ、また、クレーンの運転手が居る場合、居ない場合にかかわらず安全確保ができるので効率的な運用を実現できる。
なお、この天井クレーン01には、作業エリア安全確認装置として、カメラ21と赤外線投光器22が、演算装置としての人検知パソコン26に接続されている。
以上、本発明のクレーン作業エリア登録装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のクレーン作業エリア登録装置は、クレーン作業エリアの三次元マップを作るときに、死角が発生しているか否か判断して、死角を補う位置で再度スキャニング動作を行い、死角のない三次元マップを作成することができ、また、併せて、クレーン走行中もクレーン下の状態を監視し、吊荷と床面の物体の衝突を防止することができることから、天井クレーンの用途に好適に用いることができるほか、例えば、クレーンを用いる建設機械等の用途にも用いることができる。
01 クレーン(天井クレーン)
02 クラブ
04 ワイヤロープ
05 フック
09 取扱物
10 認識結果による仮想的な物体
15 物体
16 物体
17 物体
19 運転士
21 カメラ
22 赤外線投光器
23 測域センサ
24 ステッピングモータ
25 モータコントローラ
26 演算装置(人検知パソコン)
27 走行レーザ距離計
28 横行レーザ距離計
29 演算装置(形状認識パソコン)
30 クレーンコントローラ
31 巻上インバータ
32 巻上モータ
33 横行インバータ
34 横行モータ
35 走行インバータ
36 走行モータ
37 無線機親機
38 無線機子機
40 足踏みスイッチ
41 横行1番地
42 横行2番地
43 横行3番地
44 横行スキャン位置
45 横行補正スキャン位置
51 測域センサから床面までの距離
52 物体15の高さ
53 物体16の横行端からのX軸の距離
55 距離データ71の角度θa
56 距離データ72の角度θb
57 物体15と物体16の隙間の距離
60 補正運転ランプ
61 衝突警報ランプ
62 停止ランプ
70 距離データ
71 距離データ
72 距離データ
73 距離データ

Claims (4)

  1. クレーンの作業エリアの情報を測域センサを用いて距離情報として取得し、測域センサのスキャン角度と距離データから、作業エリアの位置・高さ情報を変換するようにしたクレーン作業エリア登録装置において、スキャンした結果で隣り合うデータを比較し、規定値以上距離が離れている場合に、死角が発生していると判断し、横行端点から死角が発生している一方の物体の端点までのX軸の距離に、死角が発生している物体間の隙間の距離の1/2を加算することで横行補正スキャン位置を算出し、当該横行補正スキャン位置でクラブを停止させて、再度死角補正運転を行うようにしたことを特徴とするクレーン作業エリア登録装置。
  2. 測域センサのデータの取り込みを横行番地と走行番地毎に行い、作業エリア全域の位置・高さ情報を把握できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクレーン作業エリア登録装置。
  3. クレーン走行開始時、進行方向に吊荷位置より高い地上物体がないことを測域センサを用いて確認するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクレーン作業エリア登録装置。
  4. クレーン走行時、進行方向に吊荷と地上物体とが衝突しない距離で測域センサを用いて進行方向における作業エリアの位置・高さ情報を検知するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクレーン作業エリア登録装置。
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