JP7130901B2 - クレーンにおける衝突防止装置 - Google Patents
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Description
1.クレーン作業エリアの3次元マップを作るときに、死角が発生しているか否か判断して、死角を補う位置で再度スキャニング動作を行い、死角のない3次元マップを作成する装置(特許文献2参照。)。
2.簡易な設備構成で、外乱光対策を実施し、クレーンの作業環境に影響されることなく、作業者を確実に抽出することによって、クレーン作業エリアの安全を確認できる装置(特許文献3参照。)。
3.簡易な設備構成で、クレーンの取扱物の大きさを吊上時に把握し、その情報に応じて減速距離を変えて、作業者などの対象物との衝突を防止する装置(特許文献4参照。)。
ここで、「3次元測域センサ」(Laser Range Scanner 又は 3D Scanner)とは、空間の物理的な3次元の形状データを同時に出力することができる走査型の光波距離計をいう。
カメラ21と赤外線投光器22が、演算装置としての人・形状認識パソコン26に接続されている。クレーンコントローラ30から人・形状認識パソコン26にクレーン作業エリアの作業者13を検出するように指示が来ると、人・形状認識パソコン26は赤外線投光器22のON/OFFを行い、それに同期してカメラ21の撮影を行う。
天井クレーン01は3方向の動作が可能となっており、巻上下動作を行う巻上モータ32、巻上モータの速度制御を行う巻上インバータ31、横行動作を行う横行モータ34、横行モータの速度制御を行う横行インバータ33、走行動作を行う走行モータ36、走行モータの速度制御を行う走行インバータ35からなる。
ここで、測域センサ23は、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計をいい、ここでは、「光検出と測距」又は「レーザ画像検出と測距」とも呼ばれる「LIDAR」(Light Detection and Ranging 又は Laser Imaging Detection and Rangingの略語。光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の形状や性質を分析する装置。)、より具体的には、3次元LIDAR(以下、「3D-LIDAR」という。)、例えば、Velodyne Lidar, Inc.製の「Puck」や「Puck-Hi-Res」を使用するようにしている。
この測域センサ23としての3D-LIDARは、2次元(平面)状に光を照射して反射光が戻ってくるまでの時間を測定することで、取扱物09のように床面より高い物体について計測を行いその座標を求める。
測域センサ23の視野内にあるすべての高さを持つ物体、すなわち、取扱物09や対象物の計測を行い、その座標を算出する。
これにより、取扱物09や対象物に対して3次元の計測をリアルタイムで行い、立体的な形状の検出を行うようにする。
天井クレーン01は、クラブ02が図面の矢印方向に動作し、横行と直角方向に走行車輪06を備えた天井クレーン01が走行レール07上を走行して目的位置に移動する。
人・形状認識パソコン26は、取扱物09の形状を測域センサ23を使用して計測する。
測域センサ23は、2次元(平面)状に光を照射して反射光が戻ってくるまでの時間を測定し、測域センサ23から対象までの距離を測定する。
図7は、そのイメージ図で2次元(平面)状に光をスキャンし、取扱物09からの距離を測定する。
これにより、取扱物09に対して3次元の計測をリアルタイムで行い、人・形状認識パソコン26はその立体的な形状を求める。
なお、作業者13の検知は、このカメラ21を用いて行う方法と、測域センサ23を用いて行う方法とを併用して行うこともできる。
図5(a)は、赤外線投光器22がOFF時の画像例で、図5(b)は、赤外線投光器22がON時の画像例である。人・形状認識パソコン26はヘルメット11に付けられた再回帰性反射材からなるマーク12の映像をON/OFF時に分けてカメラ21から画像を取り込んで、ON時の画像からOFF時の画像の差を取ることにより図5(c)に示すようなマークを抽出した画像例を得ることができる。
ここで、再回帰性反射材には、従来公知のガラスビーズ等を用いたあらゆる方向から入射した光に対して常に入射した方向に光を反射させる、具体的には、入射した光が光源に向けて反射する特性を備えた素材を用いることができる。
作業者13の検出は、カメラ21、投光器22及び人・形状認識パソコン26を用いて行う。
具体的には、操業に入って、図9に示すように、天井クレーン01が、ワイヤロープ04に取り付けたフック05で取扱物09を吊って目的地まで移動する場合は、測域センサ23によって床面に置かれた物体17を検知するようにする。
移動を続けて、2点鎖線の位置で取扱物09の搬送位置より背の高い物体との判断を人・形状認識パソコン26は行い、クレーンコントローラ30に減速を指示する。
このとき、図8に示した場合と同様に、「空荷時の減速距離+取扱物09の大きさの1/2の長さ」の距離、すなわち、減速距離Lm、Lsで減速処理を行うようにする。
このとき、「空荷時の停止距離+取扱物09の大きさの1/2の長さ」の距離で停止処理を行うようにする。
具体的には、測域センサ23としての3D-LIDARにより計測した取扱物09の高さ方向の情報と水平方向の情報から、取扱物09を作業者13(オペレータを含む取扱物09の周囲に居る作業者)に当たらない2m巻き上げた場合に、カメラ21(21a、21b)から死角とならない範囲の算出を人・形状認識パソコン26を用いて行う。
以下、カメラ21の視野における取扱物09が床にある場合と2m巻き上げた場合の人検知範囲の具体的な事例について、図11~図13を用いて説明する。
1.カメラ視野(床面) 20000mm×高さ10000mm
2.取扱物サイズ 高さ2000mm×幅4000mm
3.人高さ 1700mm
4.クレーン走行定格速度 1m/s
5.クレーン走行減速時間 6s
6.クレーン停止距離 1/2×1×6=3m=3000mm
7.床に取扱物がある場合の死角とならない視野端(X1:取扱物の中心からの距離)は、相似の関係から、
2000:8000=X1:10000
X1=2500mm
となる。
8.取扱物を2m巻き上げた場合の死角とならない視野端(X2:取扱物の中心からの距離)は、相似の関係から、
2000:6000=X2:10000
X2=3333mm
となる。
9.人高さを1700mmとすると、カメラ視野端における人検知可能位置は、
10000-1700=8300mm
10.取扱物を運ぶ高さとして、2mまで巻き上げるとすると、取扱物の死角とならない位置とクレーンの走行定格速度から停止した場合、カメラ視野端の人を検知してから停止するまでの距離は、
8300-1/2×1000×6-3333
=1967mm>0
となる。
11.この場合、カメラ視野端で人を検知した場合、1967mm手前で取扱物が人にぶつからずに停止することが可能となる。
上記関係を一般的な数値とすると、3D-LIDARで取扱物の形状を検出した場合の取扱物の移動方向に対する幅の半分をW[mm]、取扱物の高さをH2[mm]、フック中心から床面までの距離をH1[mm]、フック中心からカメラ視野端までの距離の半分をL1[mm]、人高さを1700[mm]、取扱物を2m巻き上げた位置における取扱物から死角とならない人の位置をL2[mm]、クレーンの移動速度をV[m/s]、インバータの減速時間をt[s]、取扱物の振れに対する人までの距離の余裕をL3[mm]とすると、
(L1-1700)-L2-(1/2×V×t×1000)-L3>0
L1-L2-L3-1700>1/2×V×t×1000
(L1-L2-L3-1700)/500>V×t ・・・(1)
となる。
取扱物を2m巻き上げた場合に人が死角とならない位置L2は、フック位置H1との相似の関係から、
W:(H1-H2-2000)=L2:H1
(H1-H2-2000)×L2=(W×H1)
L2=(W×H1)/(H1-H2-2000) ・・・(2)
となる。
(2)を(1)に代入して、
(L1-{(W×H1)/(H1-H2-2000)}―L3-1700)/500>V×t
となる。
上記関係を満たすようにクレーンの移動速度と減速時間を制御することで、人と取扱物がぶつからない速度に制御可能となる。
1.床に取扱物がある場合の死角とならない視野端(X1:取扱物の中心からの距離)は、相似の関係から、
2000:8000=X1:10000
X1=2500mm
となる。
2.取扱物を4m巻き上げた場合の死角とならない視野端(X2:取扱物の中心からの距離)は、相似の関係から、
2000:4000=X2:10000
X2=5000mm
となる。
3.クレーン走行定格速度1m/s、減速時間6sの場合、停止距離が1/2×1×6=3m=3000mmのため、カメラ視野端から取扱物を4m巻き上げて死角とならない視野端は、3300mmしかなく、人を検知してから停止するまでの距離3000mmを引くと、300mmしかないため、巻き上げ過ぎた場合も安全を確保できない。
この走行及び横行の同時操作時において、本実施例の装置においては、走行速度と横行速度の合成速度に基づいて、さらに、走行と横行の速度比を変えずに天井クレーン01の運転を行うようにする。
(602+402)1/2≒72[m/min]
となり、走行若しくは横行の単独操作時よりも速度が上がってしまい、カメラ視野との関係で、取扱物と対象物との衝突事故を防止できないおそれがあった。
これに対処するために、走行速度と横行速度の合成速度に基づいて、さらに、走行と横行の速度比を変えずに天井クレーン01の運転を行うようにすることで、取扱物と対象物との衝突事故を防止するとともに、取扱物の軌跡を定格速度で移動した軌跡と合わせることが可能となる。
具体的には、取扱物と対象物とが衝突しないように、例えば、速度を60%に制限する場合は、走行速度を60×0.6=36[m/min]、横行速度を40×0.6=24[m/min]とすることで、合成速度は、
(362+242)1/2≒43[m/min]
となる。
02 クラブ
03 巻上装置
04 ワイヤロープ
05 フック
06 走行車輪
07 走行レール
09 取扱物
11 ヘルメット
12 再帰性反射材からなるマーク
13 作業者(対象物)
14 玉掛けワイヤ
17 物体(対象物)
21 カメラ
21a カメラ
21b カメラ
22 赤外線投光器
23 測域センサ
24 走行レーザ距離計
25 横行レーザ距離計
26 演算装置(人・形状認識パソコン)
30 クレーンコントローラ
31 巻上インバータ
32 巻上モータ
33 横行インバータ
34 横行モータ
35 走行インバータ
36 走行モータ
37 無線機親機
38 無線機子機
61 衝突警報ランプ
62 停止ランプ
63 音声ガイダンス装置
Lm 減速距離
Ls 減速距離
Claims (3)
- クレーンの運転時に、クレーンが荷役する取扱物とクレーンの周囲に存在する対象物との衝突事故を防止するクレーンにおける衝突防止装置において、クレーンのクラブに搭載した3次元測域センサを用いてクレーンが荷役する取扱物の荷姿情報及び対象物の情報をリアルタイムで取得し、取扱物と対象物の衝突を防止する減速距離を、空荷のときの減速距離に取扱物の大きさの1/2の長さを加えたものとして算出し、該減速距離に基づいてクレーンの停止処理運転を行うようにするとともに、前記取扱物の荷姿情報と、クレーンのクラブに搭載したカメラを用いてリアルタイムで取得した作業者の情報とを、人・形状認識パソコンに取り込んで、取扱物と作業者の衝突防止を図るに当たり、前記取扱物の荷姿情報に基づいて、該取扱物を所定の高さまで吊り上げたときに取扱物によって生じるカメラの死角に入る範囲を算出するようにしたことを特徴とするクレーンにおける衝突防止装置。
- 前記クレーンの停止処理時の速度を、走行及び横行の同時操作時においては、走行速度と横行速度の合成速度に基づいてクレーンの運転を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクレーンにおける衝突防止装置。
- 前記走行及び横行の同時操作時においては、走行と横行の速度比を変えずにクレーンの運転を行うようにしたことを特徴とする請求項2に記載のクレーンにおける衝突防止装置。
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