JP7006500B2 - 粉末状原料の充填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法に用いる単結晶育成装置の炉内にある坩堝に、粉末状原料を充填する方法に関するものである。
ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等の酸化物の単結晶の育成方法としては、一般的にチョクラルスキー法(Czochralski:以下、「Cz法」と略称する場合がある)が用いられる。Cz法は、例えば粉末状原料を金属製坩堝に入れて、ヒータによる高周波等で原料を加熱して原料融液とし、融点付近に保った原料融液に種結晶を回転させながらその先端を接触して(シーディング)、その後、種結晶を回転させながら徐々に引き上げることで、種結晶の下端から種結晶と同一の結晶構造を持つ単結晶を成長させて製造する単結晶育成方法である。
Cz法は、断熱材で覆われた育成炉を備える単結晶育成装置を用いることができる。単結晶育成装置での育成手順としては、例えば断熱材で構成される育成炉本体の一部を解体して、育成炉本体の上部にある断熱材を取り除き、育成炉本体内にある坩堝台へ坩堝を設置し、坩堝内に粉末状原料を充填する。そして、解体により取り除いた断熱材を再度設置して育成炉本体を組み上げ、その後、育成炉本体内にて原料の融解、シーディング、単結晶の引き上げを行う。これらの手順により、単結晶を育成することができる。単結晶を育成した後、育成炉本体の一部を解体して単結晶を取り出す。単結晶の育成を繰り返す場合には、取り出した単結晶と同じ重量の粉末状原料を坩堝内に追加充填して、単結晶の育成を開始する。
単結晶を育成するにあたり、単結晶の歩留まりを考慮して、原料融液の状態で坩堝に充填可能な最大量(内容積)の90%を目安に充填されるよう、原料は坩堝に充填される。ただし、粉末状原料の場合には、坩堝の内容積の90%付近まで坩堝に原料を投入しても、かさ比重と真比重に開きがあるために、原料を融解すると坩堝の内容積の70%程度まで融液の液面が下がってしまう。
すなわち、粉末状原料の場合には、1回の投入で坩堝に充填可能な最大量の90%まで原料融液の液面が到達するように、原料を充填することができない。そのため、粉末状原料を坩堝へ1回投入した後に、育成炉本体を組み上げてからヒータを作動し、粉末状原料を完全に融解させて融液とする。その後、原料を冷却してから、育成炉本体の上部を解体し、さらに粉末状原料を坩堝へ投入して育成炉本体を組み直し、再度ヒータを作動させて融解させる必要がある。このような粉末状原料の投入と育成炉本体の組み上げ、融解、そして育成炉本体の解体という操作を繰り返し、坩堝の内容積の90%を目安として原料を充填する操作が一般的に行われてきた。
つまり、従来技術では、1回の充填操作により単結晶の育成に十分な量の原料を坩堝に充填することができないため、原料の融解および冷却や、育成炉本体の組み上げおよび解体を複数回行うことにより、単結晶の育成に十分な量の原料を坩堝に充填する必要があった。
原料を坩堝へ充填する技術としては、例えば特許文献1では、粉末状原料をエタノールや水等の分散剤と撹拌混合してスラリー化し、このスラリーを坩堝に充填した後に分散剤を蒸発させて原料凝集体を得る操作を複数回行うことで、坩堝に原料を充填する方法がとられている。この方法により、20時間程度の充填操作で、坩堝への充填率を容量の70%程度にしている。
また、特許文献2では、粉末状原料を焼結することで、原料のかさ密度を上げる試みが提案されている。具体的には、炭酸リチウムと五酸化タンタルを所定の割合で混ぜた粉末状原料を、約800kg/cmの圧力でプレスしてペレット化し、そのペレットを1580℃で焼結した焼結体ペレットを原料に用いることが紹介されており、1回の充填で単結晶の育成に十分な量の原料を坩堝に充填できる旨が記載されている。
特開2015-24928号公報 特開昭53-109900号公報
上記した従来技術では、単結晶の育成にとって不利なことがある。第1に、育成炉本体中の坩堝より上部にある耐火物を頻繁に解体することになるため、耐火物の損傷に繋がる。第2に、育成炉本体を解体するたびに、育成炉内の環境が変化して原料の融解温度に差が出やすく、単結晶の育成が困難になりやすい。第3に、原料融液の密度と粉末状原料のかさ密度に差があるため、原料の充填を数回にわけておこなう必要があるため、充填操作に時間がかかる。第4に、白金等の貴金属性坩堝を使用した場合、単結晶の育成のみならず原料の充填による加熱および冷却により坩堝が変形してしまい、単結晶の育成が困難になるため、坩堝の寿命が短くなる。このように、従来技術の充填方法では、極めて非効率、非経済的である。
上記の問題に対して、特許文献1に記載の方法は、充填操作そのものにかかる時間を短縮することができるものの、充填操作を繰り返し行う必要がある。また、スラリー化したことで原料濃度が低くなってしまうため、坩堝の容量の90%まで原料を充填することはできず、70%程度が目安となる。さらに、スラリー化工程という新たな準備工程が充填前に必要であり、また、最終的には蒸発させてしまう分散剤に対するコストがかかることとなる。
一方、特許文献2に記載の方法は、充填操作そのものは1回で済むかもしれないものの、ペレット化および焼結という新たな準備工程が充填前に必要であり、かつこれらの準備工程には多くの時間を要するだけでなく、育成炉本体内の坩堝中の粉末状原料に対し、直接ペレット化および焼結処理を行うことはできないため、単結晶育成装置が設置された場所とは別の場所で、これらの準備工程を行う必要がある。
本発明は、このような事情に鑑み、原料の融解および冷却や、育成炉本体の組み上げおよび解体を複数回行うことなく、一連の工程を1回行えば、単結晶育成装置の炉内にある坩堝に粉末状原料を充填することのできる、粉末状原料の充填方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明の粉末状原料の充填方法は、チョクラルスキー法に用いる単結晶育成装置の炉内にある坩堝に、粉末状原料を充填する方法において、前記坩堝に有り姿の前記粉末状原料を導入する第1導入段階と、前記坩堝に導入した前記粉末状原料を押圧して押し固める第1押圧段階と、を繰り返すことにより、前記坩堝の内容積の90%~100%まで押圧された前記粉末状原料を前記坩堝へ充填する第1充填工程と、前記第1充填工程後、前記坩堝へ充填された前記粉末状原料の上に筒を載せ、当該筒に前記粉末状原料と同種の有り姿の粉末状原料を導入する第2導入段階と、前記筒に導入した前記粉末状原料を押圧して押し固める第2押圧段階と、を繰り返すことにより、押圧された前記粉末状原料を前記筒へ充填する第2充填工程と、を含む。
本発明の粉末状原料の充填方法によれば、原料の融解および冷却や、育成炉本体の組み上げおよび解体を複数回行うことなく、一連の工程を1回行えば、単結晶育成装置の炉内にある坩堝に粉末状原料を充填することができる。
坩堝に粉末状原料を充填した状態の単結晶育成装置の概略断面図である。 押圧工程に用いることのできる押し棒の概略側面図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる粉末状原料の充填方法について、図1を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の粉末状原料の充填方法は、Cz法に用いる単結晶育成装置の炉内にある坩堝に、粉末状原料を充填する方法である。単結晶育成装置としては、例えば図1に概略断面図を示す装置を用いることができる。
[単結晶育成装置]
単結晶育成装置1000は、坩堝10、坩堝台20、坩堝軸30、架台40、下段ヒータ70、上段ヒータ90、シード棒150を備える。上段ヒータ90および下段ヒータ70の外周は、底部断熱材50、下部側面断熱材60、中央部断熱材80、上部側面断熱材100、および天井部断熱材120で覆われている。さらに、これらの断熱材の外周を外壁110で覆うことにより、架台40の上に育成炉が構成される。
坩堝10は、粉末状原料140もしくはこれを融解させた原料融液を保持するための容器である。例えば、円形の底部と、その底部の外縁部から立設した円筒形の側壁部とを有し、上部が開口したいわゆるカップ形状のものを用いることができる。坩堝10は、例えば、耐熱性のある白金、イリジウムまたはこれらの合金等の金属で作製される。
坩堝台20は、坩堝10を載せる台である。坩堝台20は、例えばジルコニアやアルミナ等の耐熱性のセラミックス製であり、坩堝台20やこれを支える坩堝軸30と共に、載置した坩堝10を上下動させるための駆動機構と組み合わせてもよい。
上段ヒータ90、下段ヒータ70は、例えばカーボン、ニクロムまたは二硅化モリブデン製等の電気抵抗を利用する抵抗加熱方式の発熱体を用いたヒータであり、不図示の外部の電源に接続されている。これらのヒータによって、粉末状原料140および坩堝10を加熱し、原料融液や育成中の単結晶の温度を制御する。なお、抵抗加熱方式のヒータに替えて、誘導コイルを用いた高周波誘導加熱方式のヒータを用いてもよい。
底部断熱材50、下部側面断熱材60、中央部断熱材80、上部側面断熱材100、および天井部断熱材120は、外部への熱の放出を抑制する部材であり、例えばジルコニアやアルミナ等の耐熱性のセラミックスまたはフェルトを用いている。
上部側面断熱材100は、上段ヒータ90の径方向外方を囲む円筒状の形状を有している。また、天井部断熱材120は、上段ヒータ90および上部側面断熱材100の上部を覆う円環状の形状を有しており、蓋の役割を果たす。なお、天井部断熱材120には、シード棒150が上下移動できるように、また、育成炉内にシード棒150を挿通できるよう、開口部121を有している。開口部121は、シード棒150の断面よりも大きく形成され、育成される単結晶の断面よりも小さく形成されている。
中央部断熱材80は、坩堝10の上端部分を囲む円盤状に形成され、上部への熱の放出を抑制する断熱部材であり、上段ヒータ90による上部加熱空間A1と下段ヒータ70による下部加熱空間A2を分離している。下部側面断熱材60は、外部への熱の放出を抑制する部材であり、下段ヒータ70の径方向外方を囲む円筒状に形成されている。底部断熱材50は、単結晶育成装置1000の下方から外部への熱の放出を抑制する部材であり、架台40に載置されて単結晶育成装置1000の下部全体を覆うように構成されている。
上記にて説明した底部断熱材50、下部側面断熱材60、中央部断熱材80、上部側面断熱材100、および天井部断熱材120が、育成炉の炉壁と天井部を構成し、炉壁と天井部に囲まれた領域が炉内Sとなる。
シード棒150は、坩堝10に入れられて融解した原料融液の表面に種結晶160を接触させ、単結晶を回転させながら引き上げて育成するために用いられるものである。シード棒150は、例えば、白金等の材料を用いて構成され、シード棒150の下端に種結晶160を保持する保持部151を有する棒状の部材を用いることができる。シード棒150は、単結晶の育成に伴って、種結晶160とともに、単結晶を吊り下げて保持することができる。
また、単結晶育成装置1000においては、単結晶160の引き上げおよび回転を、シード棒150の引き上げおよびシード棒150の軸を中心とした回転により行う。シード棒150の上下移動および回転を行うため、例えば、不図示のモータを備えたシード棒駆動手段が設けられていてもよい。また、シード棒150の回転速度および引き上げ速度は、形成する単結晶の径の大きさや、直胴部の長さ等により適宜設定することができる。
不図示の制御手段は、結晶育成プロセスを含めた単結晶育成装置1000全体の制御を行うための手段である。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備えている。また、制御手段は、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特定の用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路から構成されてもよい。
[粉末状原料の充填方法]
次に、単結晶育成装置1000の育成炉内にある坩堝10に、粉末状原料130、140を充填する方法について説明する。
〈第1充填工程〉
第1充填工程は、以下の第1導入段階と第1押圧段階とを繰り返すことにより、坩堝10の内容積の90%~100%まで、押圧された粉末状原料140を坩堝10へ充填する工程である。後工程である第2充填工程を考慮すると、粉末状原料140の充填量が坩堝10の内容積の100%を超える場合には、第2押圧段階による押圧により、粉末状原料140があふれて坩堝10から坩堝台20へこぼれてしまうことで、原料のロスとなるおそれがあるため、好ましくない。また、前記充填量が前記内容積の90%未満の場合、坩堝10に原料を充填できる許容量が残っているため、単結晶の育成の歩留まりが低下するおそれがある。原料のロスおよび育成の歩留まりを考慮すると、坩堝10の内容積の90%~100%まで、押圧された粉末状原料140を充填することが、最も効率的である。
(第1導入段階)
第1導入段階では、坩堝10に有り姿の粉末状原料140を導入する。例えば、薬さじや漏斗等を用いて、粉末状原料140を坩堝10へ導入することができる。
(第1押圧段階)
第1押圧段階では、第1導入段階で坩堝10に導入した粉末状原料140を押圧して押し固める。粉末状原料140を押圧する方法は特に限定されないが、坩堝10は、単結晶育成装置1000の育成炉内の坩堝台20に載置されている。そのため、例えばタップ密度を得るように、坩堝10を一定高さより一定速度で繰り返し落下させて粉末状原料140を圧密することは困難である。そこで、坩堝10の上方から下方へ向かう圧力を粉末状原料140にかけて、押圧することにより押し固めることが好ましい。
粉末状原料140に圧力をかける方法は特に限定されないが、例えば、図2に示すポリ塩化ビニル製等の樹脂製の押し棒200を用いて、押し固めることができる。押し棒200は、直径30mmで長さ120mmの棒状部210の端部211に、押し面221を有する直径60mmで厚さ30mmの円柱状部220を備える。棒状部210を持って粉末状原料140の上部へ押し面221を下方へ押しつけることで、粉末状原料140を押し固めることができる。
例えば、1度の第1導入段階で大量の粉末状原料140を坩堝10に導入してしまうと、その後に押圧しても坩堝10の底部付近の粉末状原料140を十分に押し固めることができず、十分な量の粉末状原料140を坩堝10へ充填することができない場合がある。そこで、第1導入段階と第1押圧段階とを繰り返すことにより、坩堝10への粉末状原料140の充填量を増加させることができる。例えば、坩堝10へ粉末状原料140を7kg充填する場合には、1kgの有り姿の粉末状原料140を坩堝10へ導入し(第1導入段階)、導入した粉末状原料を押圧する(第1押圧段階)ことを7回繰り返すことにより、粉末状原料140を十分に押し固めることができる。
〈第2充填工程〉
第2充填工程は、前記第1充填工程後、以下の第2導入段階と第2押圧段階とを繰り返すことにより、押圧された粉末状原料130を前記筒へ充填する工程である。
(第2導入段階)
第2導入段階では、坩堝10へ充填された粉末状原料140の上に筒を載せ、当該筒に粉末状原料140と同種の有り姿の粉末状原料130を導入する。単結晶を育成するにあたり、歩留まりを考慮すると、原料融液の状態で坩堝10の内容積の90%以上充填されるように、粉末状原料130を充填することを要する。ただし、前記第1充填工程のみではこれを満たすことができないため、充填したい粉末状原料の残量を粉末状原料130として充填できるよう、筒を用いて坩堝10の見かけ上の内容積を増加させる。
筒の形状は、残量の粉末状原料130を十分に充填可能な容積を有しており、また、坩堝10内の押し固められた粉末状原料140の上に載置できるよう、坩堝10の直径よりも小さい直径を有するものであれば、特に限定されない。また、押し棒200と同様に、ポリ塩化ビニル製等の樹脂製の筒を使用することができる。なお、筒への粉末状原料130の導入には、例えば、薬さじや漏斗等を用いることができる。
(第2押圧段階)
第2押圧段階では、前記筒に導入した粉末状原料130を押圧して押し固める。粉末状原料130を押圧する方法は特に限定されないが、第1押圧段階の場合と同様に、坩堝10は単結晶育成装置1000の育成炉内の坩堝台20に載置されている。そのため、タップ密度を得るように圧密することは困難であり、坩堝10の上方から下方へ向かう圧力を粉末状原料130にかけて、押圧することにより押し固めることが好ましい。例えば、第1押圧段階と同様に、押し棒200を用いて、筒内の粉末状原料130を押し固めることができる。
第1充填工程の場合と同様に、例えば、1度の第2導入段階で大量の粉末状原料130を筒に導入してしまうと、その後に押圧しても筒の底部付近の粉末状原料130を十分に押し固めることができず、十分な量の粉末状原料130を筒へ充填することができない場合がある。そこで、第2導入段階と第2押圧段階とを繰り返すことにより、筒への粉末状原料130の充填量を増加させることができる。例えば、筒へ粉末状原料130を3kg充填する場合には、1kgの有り姿の粉末状原料130を筒へ導入し(第2導入段階)、導入した粉末状原料を押圧する(第2押圧段階)ことを3回繰り返すことにより、粉末状原料130を十分に押し固めることができる。
(その他の工程)
本発明の粉末状原料の充填方法を実施するにあたり、他の工程を実施してもよい。例えば、育成炉内の坩堝10に粉末状原料130、140を充填するべく、第1導入段階の前に天井部断熱材120を取り外す工程や、第2押圧段階の後に坩堝10から筒を取り除いて天井部断熱材120を設置する工程、育成炉内に坩堝10が設置されていない場合には、坩堝10を設置する工程等が挙げられる。
粉末状原料130、140としては、かさ比重と真比重に開きがあるために、従来手法では複数回の充填と育成炉の解体および組み上げが必要であった原料を使用することができる。例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、およびCaMgZr置換型ガリウムガドリニウムガーネットのいずれかを粉末状原料とすることができる。
[単結晶の育成]
次に、単結晶の育成方法について説明する。
粉末状原料130、140を充填した後、坩堝10から筒を取り除き、天井部断熱材120を設置して育成炉を組み上げる。そして、上段ヒータ90と下段ヒータ70に電力を供給して、坩堝10を加熱し、粉末状原料130、140を融解させて原料融液を得る。
次に、原料融液の表面温度が単結晶となるのに好適な温度に調整し、シード棒150にセットした種結晶160を原料融液の表面に接触させ(シーディング)、単結晶となるのに好適な回転数および引上げ速度で単結晶を徐々に上方へ引き上げる。そして、温度、回転数および引き上げ速度等を好適に制御し、単結晶の肩部および直胴部を育成する。これを育成工程という。その後、単結晶が所定の長さになったところで、シード棒150の引き上げ速度等を制御し、原料の融液表面と育成した単結晶の下端とを切り離す。その後、切り離した単結晶を冷却して育成を完了させる。これを冷却工程という。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
(実施例1)
粉末状原料としてニオブ酸リチウム(以下、「LN」と略記する場合がある)粉末を用いて、LN単結晶の育成に十分な量(10kg)の原料を坩堝10に充填するべく、以下に示す工程に基づき単結晶育成装置1000の炉内の坩堝10に粉末状原料130、140を充填し、チョクラルスキー法によってLN単結晶を育成した。
内径230mm、厚み0.75mm、高さ75.75mm(坩堝内側の高さ75mm)の白金製坩堝10に有り姿のLN粉末を1kg導入し(第1導入段階)、押し棒200を用いて、坩堝10内のLN粉末を押圧して押し固めた(第1押圧段階)。これらの第1導入段階と第1押圧段階を7回繰り返して7kgのLN粉末を坩堝10へ充填し、さらに有り姿のLN粉末を0.5kg導入して(第1導入段階)、同様に押し固める(第1押圧段階)ことにより、白金製坩堝10の内容積の90%の体積まで、押圧されたLN粉末7.5kgを充填した(第1充填工程)。その後、押圧されたLN粉末の上にポリ塩化ビニル製の筒(内径132mm、厚み14mm、高さ148mm)を載せ、当該筒の中に有り姿のLN粉末を1kg導入し(第2導入段階)、押し棒200を用いて、筒内のLN粉末を押圧して押し固めた(第2押圧段階)。これらの第2導入段階と第2押圧段階を2回繰り返して2kgのLN粉末を筒へ充填し、さらに有り姿のLN粉末を0.5kg導入して(第2導入段階)、同様に押し固める(第2押圧段階)ことにより、筒内に押圧されたLN粉末2.5kgを充填した(第2充填工程)。これらの工程により、LN単結晶の育成に十分な量(10kg)の原料を坩堝10に充填することができた。第2充填工程後、筒をゆっくり上に引き抜き、LN粉末(粉末状原料140)の上に直径132mm、高さ80mmのLN粉末(粉末状原料130)を形成した。第1導入段階からここまでの工程に、1時間30分を要した。
育成炉の組み上げ等の単結晶の育成のための単化粧育成装置1000のセッティングを行った後(セッティングに1時間を要した)、上段ヒータ90と下段ヒータ70の電源を入れて、坩堝10内のLN粉末(粉末状原料140)を融解させた。LN粉末(粉末状原料140)が融解してくると、その上に載置されたLN粉末(粉末状原料130)が坩堝10にだんだんと沈んできて、これも融解した。ヒータ70、90の電源の投入から原料の完全融解まで16時間を要した。原料の融解が確認出来たら、シード棒150にセットした種結晶160を原料融液面に接触させ、LN単結晶の育成を行った。
(比較例1)
実施例1と同様のLN粉末および坩堝10を使用し、白金製坩堝10に有り姿のLN粉末を1kg導入し、押し棒200を用いて、坩堝10内のLN粉末を押圧して押し固めた。これらの操作を7回繰り返して7kgのLN粉末を坩堝10へ充填し、さらに有り姿のLN粉末を0.5kg導入して、同様に押し固めることにより、白金製坩堝10の内容積の90%の体積まで、押圧されたLN粉末7.5kgを充填した。そして、育成炉の組み上げ等の単結晶育成装置1000のセッティングを行った後(セッティングに0.5時間を要した)、上段ヒータ90と下段ヒータ70の電源を入れて坩堝10内のLN粉末を融解させた。ヒータ70、90の電源の投入から原料の完全融解まで16時間を要した。原料の融解が確認出来たら、原料を冷却して原料融液を固化させた。原料の固化に16時間を要した。これらの工程により、LN原料が粉末から焼結体となることでLN原料の密度が増し、焼結体の上端が粉末の状態時よりも下がって、原料の容積が坩堝10の内容積の70%程度まで下がった。
次に、育成炉の上部を解体し(解体に0.5時間を要した)、坩堝10にできたスペースに、有り姿のLN粉末を1kg導入し、押し棒200を用いて坩堝10内のLN粉末を押圧して押し固める操作を2回繰り返して、坩堝10の内容積の94%の体積まで、LN粉末2.0kgを充填した(この充填に0.5時間を要した)。そして、単結晶育成装置1000のセッティングを行った後(セッティングに0.5時間を要した)、上段ヒータ90と下段ヒータ70の電源を入れて坩堝10内のLN粉末を融解させた。ヒータ70、90の電源の投入から原料の完全融解まで16時間を要した。原料の融解が確認出来たら、原料を冷却して原料融液を固化させた。原料の固化に16時間を要した。これらの工程により、LN原料を2.0kg追加することができ、焼結体の上端が粉末の状態時よりも下がって、原料の容積が坩堝10の内容積の85%程度まで下がった。
さらに、育成炉の上部を解体し(解体に30分を要した)、坩堝10にできたスペースに、坩堝10の内容積の91%の体積まで、有り姿のLN粉末0.5kgを導入し、押し棒200を用いて坩堝10内のLN粉末を押圧して押し固めて充填した(この充填に20分を要した)。そして、単結晶育成装置1000のセッティングを行った後(セッティングに1時間を要した。)、上段ヒータ90と下段ヒータ70の電源を入れて坩堝10内のLN粉末を融解させた。ヒータ70、90の電源の投入から原料の完全融解まで16時間を要した。原料の融解が確認出来たら、シード棒150にセットした種結晶160を原料融液面に接触させ、LN単結晶の育成を行った。なお、LN粉末を融解することが目的であれば、炉内Sから過剰に熱が逃げない程度に断熱材を組み上げればよいため、30分程度の時間で単結晶育成装置1000をセッティングすることができる。その一方で、単結晶の育成のためには炉内Sの温度勾配を厳密に制御することが要求されるため、単結晶を育成するためには単結晶育成装置1000のセッティングに1時間を要した。
表1に、実施例1において単結晶の育成に必要な量のLN粉末を融解させるまでに要した工程および時間を示す。同様に、表2に、比較例1において単結晶の育成に必要な量のLN粉末を融解させるまでに要した工程および時間を示す。
Figure 0007006500000001
Figure 0007006500000002
実施例1の場合、LN原料の融解および冷却や、育成炉の組み上げおよび解体を複数回行うことなく、一連の工程を1回行えば、単結晶育成装置100の炉内にある坩堝10にLN粉末を充填することができた。単結晶の育成に必要な量のLN粉末を融解させるまでに要した時間は18時間30分であり(表1)、LN単結晶の育成を開始するまでに要する時間を大幅に短縮することができた。
一方で、比較例1の場合、単結晶の育成を開始するまでに、LN粉末を3回充填する必要があった。LN単結晶の育成に十分な量(10kg)の原料を坩堝10に充填するまでに約69時間(LN7.5KgおよびLN2.0Kgの小計時間に、LN0.5Kgの「LN粉末の充填」および「単結晶育成装置のセッティング」の工程に要した時間を足した時間)かかった。実施例1ではLN粉末を1時間30分で充填できたことから、比較例1では実施例1と比較してLN原料の充填に約34.5倍の時間がかかった。また、LN粉末の融解までは合計約85時間かかった。実施例1では18時間30分で足りたことから、LN単結晶の育成を行えるようになるまでに、比較例1は実施例1に比べて約4.6倍の時間が必要であった。
[まとめ]
以上説明したように、本発明であれば、単結晶育成装置の炉内にある坩堝に粉末状原料を充填するにあたり、原料の融解および冷却や、育成炉の組み上げおよび解体を複数回行うことを要しない。すなわち、育成炉を解体する回数が減ることで、第1に断熱材等の耐火物の損傷を防ぐことができる。また、第2に、育成炉の炉内温度が一定になることで、単結晶の育成がやりやすくなる。さらに、第3に、原料を坩堝へ充填するための時間を大幅に短縮することができ、第4に、貴金属性の坩堝の変形を抑制することができる。
10 坩堝
20 坩堝台
30 坩堝軸
40 架台
50 底部断熱材
60 下部側面断熱材
70 下段ヒータ
80 中央部断熱材
90 上段ヒータ
100 上部側面断熱材
110 外壁
120 天井部断熱材
121 開口部
130 粉末状原料
140 粉末状原料
150 シード棒
160 種結晶
200 押し棒
210 棒状部
211 端部
220 円柱状部
221 押し面
1000 単結晶育成装置
A1 上部加熱空間
A2 下部加熱空間
S 炉内

Claims (1)

  1. チョクラルスキー法に用いる単結晶育成装置の炉内にある坩堝に、粉末状原料を充填する方法において、
    前記坩堝に有り姿の前記粉末状原料を導入する第1導入段階と、前記坩堝に導入した前記粉末状原料を押圧して押し固める第1押圧段階と、を繰り返すことにより、前記坩堝の内容積の90%~100%まで押圧された前記粉末状原料を前記坩堝へ充填する第1充填工程と、
    前記第1充填工程後、前記坩堝へ充填された前記粉末状原料の上に筒を載せ、当該筒に前記粉末状原料と同種の有り姿の粉末状原料を導入する第2導入段階と、前記筒に導入した前記粉末状原料を押圧して押し固める第2押圧段階と、を繰り返すことにより、押圧された前記粉末状原料を前記筒へ充填する第2充填工程と、を含む、粉末状原料の充填方法。
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