JP7021626B2 - 原料供給方法およびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

原料供給方法およびシリコン単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、原料供給方法およびシリコン単結晶の製造方法に関する。
従来、CZ(チョクラルスキー)法により複数のシリコン単結晶を連続して製造するに際し、2本目以降のシリコン単結晶を製造するための固形原料を坩堝内のシリコン融液にリチャージする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1の方法は、固形原料をシリコン融液に投下する前に、シリコン融液の表面を固化させる工程を備えている。当該固化させる工程は、シリコン融液の全表面の80%に相当する領域が固化するまでの時間と坩堝の内径とが、所定の関係を満たすように、坩堝を加熱するヒータのパワーを設定している。
特開2007-246356号公報
しかしながら、特許文献1のような方法では、シリコン融液の表面の固化が想定以上に進んでしまい、例えば固形原料を投下したときに当該固化部分が沈むことによって、石英坩堝を破損してしまうおそれがある。また、シリコン融液の表面の固化が想定以上に進まず、固化工程の時間が長くなるおそれがある。
本発明の目的は、石英坩堝を破損することなくチャージを適切に行える原料供給方法およびシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明の原料供給方法は、チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いてシリコン単結晶を製造するに際し、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液にチャージする原料供給方法であって、前記石英坩堝を加熱するヒータのパワーを調整して、前記シリコン融液の表面を固化する固化工程と、前記表面の固化部分に前記固形原料を投下する投下工程と、前記固化部分および前記固形原料を融解する融解工程とを備え、前記固化工程は、従前のシリコン単結晶の製造時において、種結晶を前記シリコン融液に着液させる着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする。
なお、「種結晶を前記シリコン融液に着液させる工程を実施したときの前記ヒータのパワー」とは、種結晶を着液後かつ引き上げる直前(例えば引き上げる1秒前)のパワーを意味するものであり、着液後、引き上げ前にパワーの調整を行った場合には、調整後のパワーを意味する。
本発明の原料供給方法において、前記投下工程は、従前のシリコン単結晶の製造時における着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該投下工程のヒータのパワーを調整することが好ましい。
本発明の原料供給方法において、前記融解工程は、従前のシリコン単結晶の製造時における着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該融解工程のヒータのパワーを調整することが好ましい。
本発明の原料供給方法において、前記固化工程は、前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーが着液工程基準値よりも大きい場合、前記固化工程のヒータのパワーを固化工程基準値よりも大きくすることが好ましい。
本発明の原料供給方法において、前記固化工程は、前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーが着液工程基準値よりも小さい場合、前記固化工程のヒータのパワーを固化工程基準値よりも小さくすることが好ましい。
本発明の原料供給方法において、前記固化工程は、以下の式(1)に基づいて、前記ヒータのパワーを調整することが好ましい。
A=B-α×(C-D) … (1)
A:調整後のヒータのパワー
B:固化工程基準値
C:着液工程基準値
D:前記着液工程を実施したときのヒータのパワー
α:調整用パラメータ
なお、固化工程基準値Bとは、シリコン融液表面の固化速度が目標値となるようなヒータのパワーの値である。また、着液工程基準値Cとは、シリコン融液表面の固化速度が目標値となる単結晶引き上げ装置における「種結晶をシリコン融液に着液させる工程を実施したときのヒータのパワー」であり、種結晶を着液後かつ引き上げる直前(例えば引き上げる1秒前)のパワーを意味するものである。着液後、引き上げ前にヒータパワーの調整を行った場合には、調整後のヒータパワーを意味する。すなわち、着液工程基準値Cは、固化速度が目標値となる単結晶引き上げ装置における着液工程を実施したときのヒータのパワーDに相当し、固化速度が目標値となる単結晶引き上げ装置においては、(D―C)=0となる。
また、調整用パラメータαは、1に近い正の値である。具体的には、0<α≦2の範囲内の値とすることができる。この調整用パラメータαを用いることにより、単結晶引き上げ装置毎の特性に応じたパワー調整をすることができる。
本発明の原料供給方法において、前記固化工程、前記投下工程、および、前記融解工程は、それぞれ2回以上の同じ回数だけ繰り返して実施され、前記固化工程基準値は、当該繰り返しの回数が増えるほど小さい値に設定されていることが好ましい。
本発明シリコン単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いて複数のシリコン単結晶を連続して製造するシリコン単結晶の製造方法であって、種結晶をシリコン融液に着液させる着液工程と、前記種結晶を引き上げてシリコン単結晶を育成する育成工程と、2本目以降のシリコン単結晶を製造するための固形原料を石英坩堝内のシリコン融液にリチャージするに際し、上述の原料供給方法を行うリチャージ工程とを備え、前記リチャージ工程における前記固化工程は、同じ石英坩堝を用いたいずれかのシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする。
本発明のシリコン単結晶の製造方法において、固形原料が収容された石英坩堝を加熱して、シリコン融液を生成する初期融液生成工程と、上述の原料供給方法を用いて、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液に追加チャージする追加チャージ工程とを備え、前記追加チャージ工程における前記固化工程は、他の石英坩堝を用いた直前のシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することが好ましい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いて1本のシリコン単結晶を製造するシリコン単結晶の製造方法であって、固形原料が収容された石英坩堝を加熱して、シリコン融液を生成する初期融液生成工程と、上述の原料供給方法を用いて、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液に追加チャージする追加チャージ工程と、種結晶をシリコン融液に着液させる着液工程と、前記種結晶を引き上げてシリコン単結晶を育成する育成工程とを備え、前記追加チャージ工程における前記固化工程は、他の石英坩堝を用いた直前のシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする。
本発明のシリコン単結晶の製造方法において、前記着液工程と前記育成工程との間に、前記シリコン融液の温度が所定温度となるように前記ヒータのパワーを調整する着液パワー調整工程を備えていることが好ましい。
以上の本発明によれば、石英坩堝を破損することなくチャージを適切に行える原料供給方法およびシリコン単結晶の製造方法を提供できる。
本発明の関連技術および一実施形態に係る単結晶引き上げ装置の模式図。 前記関連技術におけるシリコン単結晶の製造方法のフローチャート。 前記関連技術および第1実施形態におけるリチャージ並びに第2実施形態における追加チャージの様子を示す模式図であり、(A)は固化工程を示し、(B)は投下工程を示す。 本発明を導くために行った実験の結果であって、種結晶の着液時のヒータパワーの調整値とシリコン融液の固化速度との関係を示すグラフ。 前記第1実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法のフローチャート。 前記第2実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法のフローチャート。 本発明の実施例における比較例1および実施例1の固化速度のばらつきを示すグラフ。 前記実施例における比較例2および実施例2の固化速度のばらつきを示すグラフ。
[本発明の関連技術]
まず、本発明の関連技術を図面に基づいて説明する。
〔単結晶引き上げ装置の構成〕
図1に示すように、単結晶引き上げ装置1は、CZ法(Czochralski法)に用いられる装置であって、引き上げ装置本体2と、メモリ3と、制御部4とを備えている。
引き上げ装置本体2は、チャンバ21と、このチャンバ21内に配置された坩堝22と、この坩堝22を加熱するヒータ23と、引き上げ部24と、熱遮蔽体25と、断熱材26と、坩堝駆動部27とを備えている。
なお、単結晶引き上げ装置1は、二点鎖線で示すように、MCZ(Magnetic field applied Czochralski)法に用いられる装置であって、チャンバ21の外側において坩堝22を挟んで配置された一対の電磁コイル28を有していてもよい。
チャンバ21は、メインチャンバ211と、このメインチャンバ211の上部にゲートバルブ212を介して接続されたプルチャンバ213とを備えている。プルチャンバ213には、Arガスなどの不活性ガスをメインチャンバ211内に導入するガス導入口21Aが設けられている。メインチャンバ211の下部には、当該メインチャンバ211内の気体を排出するガス排気口21Bが設けられている。
坩堝22は、固形原料S(図3(B)参照)を融解してシリコン融液Mとするものである。坩堝22は、石英坩堝221と、この石英坩堝221を収容する黒鉛坩堝222とを備えている。石英坩堝221は、1本あるいは複数のシリコン単結晶SMを育成するごとに交換される。一方、黒鉛坩堝222は、シリコン単結晶SMを1本製造するごとには交換されず、石英坩堝221を適切に支持できなくなったと考えられた時点で交換される。
ヒータ23は、坩堝22の周囲に配置されており、坩堝22内のシリコンを融解する。なお、坩堝22の下方に、二点鎖線で示すようなボトムヒータ231をさらに設けてもよい。
引き上げ部24は、一端に種結晶SCが取り付けられるケーブル241と、このケーブル241を昇降および回転させる引き上げ駆動部242とを備えている。
熱遮蔽体25は、シリコン単結晶SMを囲むように設けられ、ヒータ23から上方に向かって放射される輻射熱を遮断する。
坩堝駆動部27は、黒鉛坩堝222を下方から支持する支持軸271を備え、坩堝22を所定の速度で回転および昇降させる。
なお、単結晶引き上げ装置1におけるホットゾーンは、チャンバ21、坩堝22、ヒータ23、ケーブル241、熱遮蔽体25、断熱材26、支持軸271、シリコン融液M、シリコン単結晶SMなどである。
メモリ3は、チャンバ21内のガス流量や炉内圧、ヒータ23に投入する電力、坩堝22やシリコン単結晶SMの回転数など、シリコン単結晶SMの製造に必要な各種情報を記憶している。
制御部4は、メモリ3に記憶された各種情報や、作業者の操作に基づいて、シリコン単結晶SMを製造する。
〔シリコン単結晶の製造方法〕
次に、マルチ引き上げ法によるシリコン単結晶SMの製造方法について説明する。マルチ引き上げ法とは、1個の石英坩堝221を用いて複数のシリコン単結晶SMを連続して製造する方法のことである。
まず、図2に示すように、坩堝22に収容されたシリコン融液Mに種結晶SCを着液する(ステップS1:着液工程)。
次に、制御部4は、種結晶SCを引き上げてシリコン単結晶SMを育成する(ステップS2:育成工程)。この育成工程は、種結晶SCを引き上げるとともに、坩堝22を回転させつつ上昇させる工程(引き上げ工程)と、シリコン単結晶SMのテール部をシリコン融液Mから切り離す工程(切り離し工程)と、シリコン融液Mから切り離されたシリコン単結晶SMを引き上げながら冷却する工程(冷却工程)と、冷却されたシリコン単結晶SMがプルチャンバ213に収容されたらゲートバルブ212を閉塞する工程(閉塞工程)と、プルチャンバ213からシリコン単結晶SMを取り出す工程(取り出し工程)とを備えている。
育成工程の終了後あるいは実施中に、制御部4は、次のシリコン単結晶SMの育成を行うか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3において、制御部4は、事前に設定された本数のシリコン単結晶SMの育成が終了し、次の育成を行わないと判断した場合、処理を終了する。一方、ステップS3において、事前に設定された本数のシリコン単結晶SMの育成が終了しておらず、次の育成を行うと判断した場合、制御部4は、ヒータ23のパワーを予め設定された固化工程基準値に設定し、シリコン融液Mの表面を固化させる(ステップS4:固化工程)。この固化工程によって、図3(A)に示すように、シリコン融液Mの表面全体が固化して、固化部分M1が形成される。固化速度の目標値としては、これまでの実験の結果、14mm/min以上20mm/min以下の値を例示でき、好ましい値として17mm/minを挙げることができる。
その後、制御部4は、図3(A)に実線で示すように、適切な直径および厚さの固化部分M1が形成されると、図3(B)に示すように、固化部分M1上に固形原料Sを投下する(ステップS5:投下工程)。この投下工程では、制御部4は、ヒータ23のパワーを固化工程基準値よりも大きい投下工程基準値に設定して固化を抑制した後、原料供給装置5を用いてチャンク管方式で固形原料Sを投下する。原料供給装置5は、固形原料Sを充填したチャンク管と称される円筒状の石英管51を、固化部分M1上まで下降させた後、石英管51の下端開口部に装着されている底蓋52を下方に移動させ、石英管51の下端開口部を開くことにより、固化部分M1に固形原料Sを投下する。
なお、固化工程から投下工程への移行は、作業者による目視確認結果や撮影手段の撮影結果に基づいて行ってもよい。
この後、固形原料Sの投下が終了すると、ヒータ23のパワーを投下工程基準値と同じ融解工程基準値に設定して、すなわちパワーを維持したまま、固形原料Sを融解する工程(ステップS6:融解工程)に移行する。
次に、制御部4は、固形原料Sの融解が終了すると、リチャージを終了するか否かを判断する(ステップS7)。
このステップS7において、制御部4は、事前に設定された回数の投下工程が実施され、リチャージを終了すると判断した場合、ステップS1に戻り、次のシリコン単結晶SMの製造を開始する。
一方、ステップS5において、事前に設定された回数の投下工程が実施されておらず、リチャージを継続すると判断した場合、ステップS4に戻る。
以上の処理によって、複数のシリコン単結晶SMが連続して製造される。
[本発明を導くに至った経緯]
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
単結晶引き上げ装置1の保温性は、ホットゾーンの構成要素の形状や配置の公差あるいは劣化などによって異なる場合がある。ホットゾーンの構成要素としては、チャンバ21、坩堝22、ヒータ23、ケーブル241、熱遮蔽体25、断熱材26、支持軸271、シリコン融液M、シリコン単結晶SMなどが例示できる。
本発明者は、このような単結晶引き上げ装置1の保温性の変化によって、シリコン融液M表面の固化の進行状態も変わってしまい、予期しない石英坩堝221の破損が発生したり、固化工程の時間が長くなる可能性があると推定した。
そこで、以下の実験を行った。
まず、上述の単結晶引き上げ装置1を用い、ヒータ23のパワーを着液工程基準値に設定してから、種結晶SCをシリコン融液Mに着液した。着液工程基準値としては、例えば、過去に実施した着液工程におけるパワーの平均値が例示できるが、他の基準で設定した値であってもよい。例えば、着液工程基準値として、後述する図4に示すような「種結晶SCの着液時のヒータパワーの調整値」と「シリコン融液Mの固化速度」との関係(近似線L)を把握しておき、固化速度が目標値となる場合の種結晶SCの着液時のヒータパワーを用いることができる。
そして、種結晶SC着液後の状態に基づいて、ヒータ23のパワーを調整した。この調整では、単結晶引き上げ装置1の保温性が低いためシリコン融液Mの温度が想定以上に低くなり、成長が早く進んでしまいそうな場合、パワーを大きくした。一方、単結晶引き上げ装置1の保温性が高いためシリコン融液Mの温度が想定以上に高くなり、種結晶SCがシリコン融液M内で溶けてしまいそうな場合、パワーを小さくした。さらに、単結晶引き上げ装置1の保温性が所定範囲内であり、育成工程が適切に行えそうな場合、パワーを維持した。
その後、図2に示すステップS3,S4,S5,S6,S7の処理を行い複数のシリコン単結晶SMを製造し、1本目のシリコン単結晶SM製造後の固化工程(以下、「1回目の固化工程」という場合がある)における固化速度を確認した。
この後、異なる単結晶引き上げ装置1で同様の実験を行い、着液時におけるパワーの調整値と、1回目の固化工程における固化速度との関係を確認した。全実験において、1回目の固化、投下工程、融解工程における固化、投下、融解工程基準値を同じ値に設定した。
着液時のパワーの調整値とシリコン融液Mの固化速度との関係を図4に示す。図4の横軸は、着液工程基準値を基準にしたパワーの調整値の比率を示す。
図4の近似線Lで示すように、着液時のパワーの調整値が大きくなるほど、シリコン融液Mの固化速度が速くなることが確認できた。この結果は、着液時のパワーの調整値が大きく、単結晶引き上げ装置1の保温性が低い場合には、固化工程における固化速度が速くなり、パワーの調整値が小さく、単結晶引き上げ装置1の保温性が高い場合には、固化速度が遅くなることを表していると考えられる。
以上のことから、着液時のヒータ23のパワー調整によって単結晶引き上げ装置1の保温性を推定でき、この推定結果に基づいて、固化、投下、融解工程時のヒータ23のパワーを調整することで、シリコン融液M表面の固化を適切に行うことができ、リチャージを適切に行えると考えられる。
例えば、着液時のパワーが着液工程基準値よりも大きい場合には、固化、投下、融解工程時のパワーを固化、投下、融解工程基準値よりも大きくする。
固化工程時のパワーを固化工程基準値よりも大きくすることで、固化速度を遅くすることができ、固化速度が速すぎることによる不具合、例えば固化が想定以上に進んでしまい、石英坩堝221を破損してしまうという不具合を抑制できると考えられる。
また、投下工程時のパワーを投下工程基準値よりも大きくすることで、固形原料Sを投下したときの固化部分M1の温度低下を抑制することができ、固化部分M1が大きくなったり厚くなったりしてしまい、石英坩堝221を破損してしまうという不具合を抑制できると考えられる。
さらに、融解工程時のパワーを融解工程基準値よりも大きくすることで、融解工程完了時の融液温度を高温化することができ、次の原料を投入する際の固化速度を目標値(例えば14mm/min以上)に調整することができる。
一方、着液時のパワーが着液工程基準値よりも小さい場合には、固化、投下、融解工程時のパワーを固化、投下、融解工程基準値よりも小さくする。固化工程時のパワーを固化工程基準値よりも小さくすることで、固化速度を速くすることができ、固化速度が遅すぎることによる不具合、例えば固化が想定以上に進まず、固化工程の時間が長くなるという不具合を抑制できると考えられる。
また、投下工程時のパワーを投下工程基準値よりも小さくすることで、固化部分M1の融解速度を遅くすることができ、固形原料Sが直接シリコン融液Mに投下されることを抑制でき、当該シリコン融液Mが飛散することを抑制できると考えられる。
さらに、融解工程時のパワーを融解工程基準値よりも小さくすることで、融解工程完了時の融液温度を低温化することができ、次の原料を投入する際の固化速度を目標値(例えば20mm/min以下)に調整することができる。
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係るマルチ引上げ法によるシリコン単結晶SMの製造方法について説明する。第1実施形態および後述する第2実施形態で説明する製造方法において、シリコン単結晶SMは、円筒研削後の直胴部の直径が200mm、300mm、450mmあるいは他の大きさであってもよい。また、抵抗率調整用のドーパントをシリコン融液Mに添加してもよいし、しなくてもよい。
なお、第1実施形態では、図2に示す上記関連技術の製造方法と異なる工程を詳細に説明し、同じ工程については同じ符号を付し、説明を簡略にする。また、以下の工程のうち、ステップS12,S4,S5,S6,S7が本発明の原料供給方法を用いたリチャージ工程に該当する。
まず、図5に示すように、シリコン融液Mに種結晶SCを着液する(ステップS1:着液工程)。この着液工程では、制御部4は、ヒータ23のパワーを着液工程基準値に設定してから、種結晶SCをシリコン融液Mに着液する。
この後、制御部4は、育成工程を適切に行うために、種結晶SC着液後の状態に基づいて、ヒータ23のパワーを調整する(ステップS11:着液パワー調整工程)。この着液パワー調整工程では、上述の本発明を導くに至った経緯で説明したように、種結晶SCの状態に基づいて、単結晶引き上げ装置1の保温性が低い場合、パワーを大きくし、保温性が高い場合、パワーを小さくし、保温性が所定範囲内の場合、パワーを維持する。この調整によって、引き上げ工程直前のシリコン融液Mの温度を所定温度にすることができる。
次に、制御部4は、種結晶SCを引き上げてシリコン単結晶SMを育成し(ステップS2:育成工程)、育成工程の終了後あるいは実施中に、制御部4は、次のシリコン単結晶SMの育成を行うか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3において、制御部4は、次の育成を行わないと判断した場合、処理を終了し、次の育成を行うと判断した場合、同じ石英坩堝221を用いてシリコン単結晶SMを育成したときの着液時のヒータ23のパワーに基づいて、ヒータ23のパワーを設定する(ステップS12:着液時パワーに基づく固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程)。
この固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程では、制御部4は、調整用パラメータαを1とした下式(1)に基づいて、設定後のヒータ23のパワーA(kW)を算出する。
A=B-α×(C-D)
=B-1×(C-D) … (1)
B:固化、投下、融解工程基準値(kW)
C:着液工程基準値(kW)
D:着液パワー調整工程における調整後のヒータ23のパワー(kW)
このとき、制御部4は、以下の表1に示す固化、投入、融解工程基準値をそれぞれ式(1)のBに代入して、固化工程、投下工程、融解工程のそれぞれのパワーAを算出する。表1の固化工程基準値は、シリコン融液Mの表面を固化させるために、投下工程基準値および融解工程基準値であるパワーP(kW)よりも小さい値(例えば、投下回数が1回目のときの固化工程基準値Bは、パワーPの0.5倍)に設定されている。また、固化工程基準値Bは、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数が増えるほど、小さくなるように設定されている。また、パワーPは、単結晶引き上げ装置1の保温性により異なるため、前記固化速度目標値である14mm/min以上20mm/min以下の値になるよう調整を行う。例えばある構造の単結晶引き上げ装置1に対して調整後のパワーPが100kWだった場合、投下回数1回目の固化工程基準値Bは50kW、投下、融解工程基準値Bは100kWとなる。
式(1)に基づき得られるパワーAは、単結晶引き上げ装置1の保温性が低く、着液パワー調整工程における調整後のヒータ23のパワーDが着液工程基準値Cよりも大きい場合、固化、投下、融解工程基準値Bよりも大きくなり、単結晶引き上げ装置1の保温性が高い場合、固化、投下、融解工程基準値Bよりも小さくなる。
Figure 0007021626000001
この後、制御部4は、ヒータ23のパワーを固化工程基準値に基づきステップS12で設定されたパワーAに調整し、シリコン融液Mの表面を固化させる(ステップS4:固化工程)ことによって、図3(A)に示すように、シリコン融液Mに固化部分M1を形成する。
このとき、単結晶引き上げ装置1の保温性が低く、固化速度が速くなりやすい条件の場合でも、固化工程基準値Bよりも大きいパワーAで固化工程を行うため、固化速度が速くなりすぎることを抑制できる。したがって、図3(A)に二点鎖線で示すように、固化部分M1が厚くなりすぎる前に、後述する投入工程に容易に移行することができる。その結果、厚くなった固化部分M1が固形原料Sの投下によって沈んでしまい、石英坩堝221を破損したり傷つけたりすることを抑制できる。
一方、単結晶引き上げ装置1の保温性が高く、固化速度が遅くなりやすい条件の場合でも、固化工程基準値Bよりも小さいパワーAで固化工程を行うため、固化速度が遅くなりすぎることを抑制できる。したがって、固化工程の時間が長くなりすぎることを抑制できる。
その後、制御部4は、適切な直径および厚さの固化部分M1が形成されると、ヒータ23のパワーを投下工程基準値に基づきステップS12で設定されたパワーAに調整し、固化部分M1上に固形原料Sを投下する(ステップS5:投下工程)。
このとき、単結晶引き上げ装置1の保温性が低く、固形原料を投下したときの固化部分の温度が低下しやすい条件の場合でも、投下工程基準値Bよりも大きいパワーAで投下工程を行うため、固化部分M1が大きくなったり厚くなったりしてしまい、石英坩堝221を破損したり傷つけたりすることを抑制できる。
一方、単結晶引き上げ装置1の保温性が高く、固化部分M1が融解しやすい条件の場合でも、投下工程基準値Bよりも小さいパワーAで投下工程を行うため、固化部分M1の融解に伴い固形原料Sが直接シリコン融液Mに投下されることを抑制でき、シリコン融液Mが飛散することを抑制できる。
なお、固化工程から投下工程への移行は、作業者による目視確認結果や撮影手段の撮影結果に基づいて行ってもよいが、式(1)に基づくパワーAの設定によって、単結晶引き上げ装置1の保温性に関係なく、固化工程におけるシリコン融液Mの温度のばらつきが小さくなり、固化部分M1が所望の厚さになるまでの時間のばらつきも小さくなるため、固化工程開始から予め設定された時間の経過後に行ってもよい。
この後、固形原料Sの投下が終了すると、ヒータ23のパワーを融解工程基準値に基づきステップS12で設定されたパワーAに調整し、すなわち、ヒータ23のパワーを維持したまま、固形原料Sを融解する工程(ステップS6:融解工程)に移行する。
このとき、単結晶引き上げ装置1の保温性が低く、固化部分M1が融解しにくい条件の場合でも、融解工程基準値Bよりも大きいパワーAで融解工程を行うため、融解工程の時間が長くなるという不具合を抑制できる。さらに、融解工程完了時の融液温度を高温化することができ、次の原料を投入する際の固化速度を目標値(例えば14mm/min以上)に調整することができる。
一方、単結晶引き上げ装置1の保温性が高く、固化部分M1が融解しやすい条件の場合でも、融解工程基準値Bよりも小さいパワーAで融解工程を行うため、融解工程完了時の融液温度を低温化することができ、次の原料を投入する際の固化速度を目標値(例えば20mm/min以下)に調整することができる。
次に、制御部4は、固形原料Sの融解が終了すると、リチャージを終了するか否かを判断し(ステップS7)、事前に設定された回数、本実施形態では4回の投下工程が実施され、リチャージを終了すると判断した場合、ステップS1に戻り、次のシリコン単結晶SMの製造を開始する。
一方、ステップS7において、リチャージを継続すると判断した場合、ステップS12に戻り、固化工程、投下工程、融解工程のヒータ23のパワーAを設定する。2回目以降のステップS12の処理において、制御部4は、表1の設定に基づいて、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数に応じた固化、投下、融解工程基準値Bを式(1)に代入し、パワーAを設定する。
ここで、固化工程基準値は、表1に示すように、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数が増えるほど小さくなることが好ましい。当該繰り返し回数に関係なく固化工程基準値を同じ値にすると、繰り返し回数が増えるほど、シリコン融液Mが増えて坩堝22の保温性が高くなり。その結果、式(1)に基づき得られるパワーが適切なパワーよりも大きくなり、固化速度が遅すぎることによる不具合が発生するおそれがある。本実施形態のように、繰り返し回数が増えるほど固化工程基準値を小さくすることで、式(1)に基づき得られたパワーを適切なパワーとほぼ同じにすることができ、固化速度が遅すぎることによる不具合を抑制できる。
なお、2回目以降のステップS12の処理において、式(1)に代入するヒータ23のパワーDとして、常に1本目のシリコン単結晶SM製造時における着液パワー調整工程で得られた値を用いてもよいし、直前や2本前あるいは3本前のシリコン単結晶SM製造時(例えば、5本目のシリコン単結晶SM製造においては4本目または3本目あるいは2本目のシリコン単結晶SM製造時)における着液パワー調整工程で得られた値を用いてもよい。石英坩堝221を交換しなければ、シリコン単結晶SMの連続生産中、単結晶引き上げ装置1の保温性はほとんど変化しないため、常に1本目のシリコン単結晶SM製造時の値を用いれば、容易にステップS12の処理を行うことができる。
[第1実施形態の作用効果]
上記第1実施形態によれば、同じ石英坩堝221を用いてシリコン単結晶SMを育成したときの着液時のヒータ23のパワー調整値によって、単結晶引き上げ装置1の保温性を推定でき、この推定結果に基づいて、固化工程時のヒータ23のパワーを調整することで、シリコン融液M表面の固化を適切に行うことができ、石英坩堝221を破損してしまうという不具合や、固化工程の時間が長くなるという不具合を抑制できる。
また、式(1)に各値を代入するだけの簡単な方法で、固化時のパワーを設定することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るシングル引上げ法によるシリコン単結晶SMの製造方法について説明する。シングル引き上げ法とは、1個の石英坩堝221を用いて1本のシリコン単結晶SMを製造する方法のことである。
なお、第2実施形態では、図5に示す第1実施形態の製造方法と異なる工程を詳細に説明し、同じ工程については同じ符号を付し、説明を簡略にする。また、以下の工程のうち、ステップS22,S4,S5,S6,S23が本発明の原料供給方法を用いた追加チャージ工程に該当する。
まず、図6に示すように、固形原料Sが収容された坩堝22を加熱して、シリコン融液Mを生成する(ステップS21:初期融液生成工程)。
この後、制御部4は、他の石英坩堝221を用いて直前にシリコン単結晶SMを育成したときの着液時のヒータ23のパワーに基づいて、ヒータ23のパワーを設定する(ステップS22:着液時パワーに基づく固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程)。
この固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程では、制御部4は、上述の式(1)に基づいて、設定後のヒータ23のパワーA(kW)を算出する。
このとき、制御部4は、上述の表1に示す固化、投下、融解工程基準値を式(1)のBにそれぞれ代入して、固化工程、投下工程、融解工程のそれぞれのパワーAを算出する。制御部4は、式(1)に代入するヒータ23のパワーDとして、他の石英坩堝221を用いた直前のシリコン単結晶SM育成時における、後述する着液パワー調整工程で得られた値を用いる。
なお、表1における投下回数や、固化、投下、融解工程基準値は、第1実施形態と全て同じであってもよいし、少なくとも1つが異なっていてもよい。しかし、固化工程基準値は、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数が増えるほど、小さくなるように設定されていることが好ましい。このような固化工程基準値の設定によって、式(1)に基づき得られたパワーを適切なパワーとほぼ同じにすることができ、固化速度が遅すぎることによる不具合を抑制できる。
この後、制御部4は、ヒータ23のパワーをステップS22で設定されたパワーAに調整し、シリコン融液Mの表面を固化させる(ステップS4:固化工程)。このようなヒータ23のパワー設定によって、単結晶引き上げ装置1の保温性に関係なく、石英坩堝221を破損したり傷つけたり、固化工程の時間が長くなりすぎることを抑制できる。
その後、制御部4は、固化部分M1上に固形原料Sを投下し(ステップS5:投下工程)、固形原料Sを融解する(ステップS6:融解工程)。この投下工程および融解工程では、制御部4は、ヒータ23のパワーをステップS22で設定されたパワーAに設定する。
次に、制御部4は、固形原料Sの融解が終了すると、追加チャージを終了するか否かを判断し(ステップS23)、事前に設定された回数の投下工程が実施されておらず、追加チャージを継続すると判断した場合、ステップS22に戻り、固化工程のヒータ23のパワーAを設定する。2回目以降のステップS22の処理において、制御部4は、表1の設定に基づいて、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数に応じた固化、投下、融解工程基準値Bを式(1)に代入し、パワーAを設定する。
一方、ステップS23において、追加チャージを終了すると判断した場合、シリコン単結晶SMの製造を開始する。
制御部4は、ヒータ23のパワーを着液工程基準値に設定してから、シリコン融液Mに種結晶SCを着液し(ステップS1:着液工程)、育成工程を適切に行うために、種結晶SC着液後の状態に基づいて、ヒータ23のパワーを調整する(ステップS11:着液パワー調整工程)。その後、制御部4は、種結晶SCを引き上げてシリコン単結晶SMを育成して(ステップS2:育成工程)、処理を終了する。
[第2実施形態の作用効果]
上記第2実施形態によれば、石英坩堝221の交換前後における単結晶引き上げ装置1の保温性はほとんど変化しないため、異なる石英坩堝221を用いて直前にシリコン単結晶SMを育成したときの着液時のヒータ23のパワー調整値によって、単結晶引き上げ装置1の保温性を推定でき、この推定結果に基づいて、固化工程時のヒータ23のパワーを調整することで、シリコン融液M表面の固化を適切に行うことができ、石英坩堝221を破損してしまうという不具合や、固化工程の時間が長くなるという不具合を抑制できる。
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
例えば、図1に二点鎖線で示すように、ヒータ23に代えて、上下に並ぶ複数の分割ヒータ232を用いてもよい。2つの分割ヒータ232を用いる場合、制御部4は、固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程において、調整用パラメータαを0.5とした下式(2)に基づいて、各分割ヒータ232のパワーA1(kW)を算出することが好ましく、上記実施形態と同様に、固化工程基準値B1を固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数が増えるほど小さくしてもよい。
A1=B1-α×(C1-D1)
=B1-0.5×(C1-D1) … (2)
B1:固化、投下、融解工程基準値(kW)
C1:着液工程基準値(kW)
D1:着液パワー調整工程における調整後の分割ヒータ232のパワー(kW)
引き上げ工程直前のシリコン融液Mの温度を所定温度にするためのヒータ23のパワーを、例えば従前の製造条件に基づき予め推定できる場合には、ステップS11の処理を行わなくてもよい。
投下工程および融解工程のうち少なくとも一方の工程において、式(1),(2)を用いた着液時パワーに基づくパワー設定工程を行わずに、投下、融解工程基準値にパワーを設定してもよい。
MCZ法の単結晶引き上げ装置1を用いる場合には、着液工程、引き上げ工程、融解工程においてシリコン融液Mに磁場を印加して、固化工程、投下工程において磁場を印加しないようにすればよい。
第1実施形態の1本目のシリコン単結晶SMの製造時に、第2実施形態の追加チャージを行ってもよい。
次に、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<比較例1>
図1に実線で示すヒータ23を有し、円筒研削後の直胴部の直径が300mmのシリコン単結晶SMを製造するための単結晶引き上げ装置1を準備した。
この単結晶引き上げ装置1を用いて、図5に示す上記実施形態のマルチ引き上げ法のうち、ステップS1,S11,S2,S3の処理を行った後、着液時パワーに基づく固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程(ステップS12)を行うことなく、固化工程(ステップS4)以降の処理を行い、複数のシリコン単結晶SMを製造し、1回目の固化工程におけるシリコン融液Mの固化速度を確認した。この比較例1では、固化、投下、融解工程時のヒータ23のパワーとして、表1に示す固化、投下、融解工程基準値を用いた。
その後、同じ単結晶引き上げ装置1の石英坩堝221を交換して同様の実験を行い、合計50回の実験を行った。
<実施例1>
比較例1と同じ単結晶引き上げ装置1を用い、上記実施形態のマルチ引き上げ法のうち、ステップS1,S11,S2,S3の処理を行った後、さらに、着液時パワーに基づく固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程(ステップS12)を行い、式(1)に基づきヒータ23のパワーを算出した。そして、この算出したパワーで固化工程(ステップS4)、投下工程(ステップS5)、融解工程(ステップS6)を行い、さらにステップS7以降の処理を行うことで複数のシリコン単結晶SMを製造し、1回目の固化工程におけるシリコン融液Mの固化速度を確認した。この実施例1では、式(1)に代入する固化、投下、融解工程基準値として、表1に示す値を用いた。
その後、同じ単結晶引き上げ装置1の石英坩堝221を交換して同様の実験を行い、合計34回の実験結果を得た。
<比較例2>
図1に二点鎖線で示す分割ヒータ232を有し、円筒研削後の直胴部の直径が300mmのシリコン単結晶SMを製造するための単結晶引き上げ装置1を準備した。
この単結晶引き上げ装置1を用いて、比較例1と同様の処理を実施し、1回目の固化工程におけるシリコン融液Mの固化速度を確認した。この比較例2では、固化工程時の分割ヒータ232のパワーとして、表1に示す固化工程基準値と同様に、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数が増えるほど、小さくなるように設定された値を用いた。また、投下工程および融解工程時の分割ヒータ232のパワーとして、表1に示す投下、融解工程基準値と同様に、固化工程から融解工程に至る工程の繰り返し回数に関係なく同じ値であり、かつ、固化工程基準値よりも大きい値を用いた。
その後、同じ単結晶引き上げ装置1の石英坩堝221を交換して同様の実験を行い、合計16回の実験を行った。
<実施例2>
比較例2と同じ単結晶引き上げ装置1を用い、実施例1と同様の処理を実施し、1回目の固化工程におけるシリコン融液Mの固化速度を確認した。なお、実施例2では、着液時パワーに基づく固化パワー、投下パワー、融解パワー設定工程において、式(2)に基づき分割ヒータ232のパワーを算出した。この実施例2では、式(2)に代入する固化、投下、融解工程基準値として、比較例2の各基準値と同じ値を用いた。
その後、同じ単結晶引き上げ装置1の石英坩堝221を交換して同様の実験を行い、合計12回の実験結果を得た。
<評価>
比較例1および実施例1の固化速度を図7に示し、比較例2および実施例2の固化速度を図8に示す。
図7および図8に示すように、実施例1,2の固化速度のばらつきは、比較例1,2のそれよりも小さくなることが確認できた。このことから、着液時パワーに基づく固化パワー設定工程を行うことで、シリコン融液M表面の固化速度のばらつきを抑制できることが確認できた。
特に、固化速度が速くなる方へのばらつきが抑制されており、固化が想定以上に進んでしまい、石英坩堝221を破損してしまうという不具合を抑制できることが確認できた。
23…ヒータ、221…石英坩堝、232…分割ヒータ(ヒータ)、M…シリコン融液、S…固形原料、SC…種結晶、SM…シリコン単結晶。

Claims (11)

  1. チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いてシリコン単結晶を製造するに際し、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液にチャージする原料供給方法であって、
    前記石英坩堝を加熱するヒータのパワーを調整して、前記シリコン融液の表面を固化する固化工程と、
    前記表面の固化部分に前記固形原料を投下する投下工程と、
    前記固化部分および前記固形原料を融解する融解工程とを備え、
    前記固化工程は、予め求めた、種結晶を前記シリコン融液に着液させる着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの調整と前記シリコン融液の固化速度との関係から得られる前記固化速度が目標値となる場合の前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーである着液工程基準値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする原料供給方法。
  2. 請求項1に記載の原料供給方法において、
    前記投下工程は、前記着液工程基準値に基づいて、当該投下工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする原料供給方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の原料供給方法において、
    前記融解工程は、前記着液工程基準値に基づいて、当該融解工程のヒータのパワーを調整することを特徴とする原料供給方法。
  4. 請求項1に記載の原料供給方法において、
    前記固化工程は、前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーが前記着液工程基準値よりも大きい場合、前記固化工程のヒータのパワーを固化工程基準値よりも大きくすることを特徴とする原料供給方法。
  5. 請求項1または請求項4に記載の原料供給方法において、
    前記固化工程は、前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーが前記着液工程基準値よりも小さい場合、前記固化工程のヒータのパワーを固化工程基準値よりも小さくすることを特徴とする原料供給方法。
  6. 請求項1に記載の原料供給方法において、
    前記固化工程は、以下の式(1)に基づいて、前記ヒータのパワーを調整することを特徴とする原料供給方法。
    A=B-α×(C-D) … (1)
    A:調整後のヒータのパワー
    B:固化工程基準値
    C:前記着液工程基準値
    D:前記着液工程を実施したときのヒータのパワー
    α:調整用パラメータ
  7. 請求項6に記載の原料供給方法において、
    前記固化工程、前記投下工程、および、前記融解工程は、それぞれ2回以上の同じ回数だけ繰り返して実施され、
    前記固化工程基準値は、当該繰り返しの回数が増えるほど小さい値に設定されていることを特徴とする原料供給方法。
  8. チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いて複数のシリコン単結晶を連続して製造するシリコン単結晶の製造方法であって、
    種結晶をシリコン融液に着液させる着液工程と、
    前記種結晶を引き上げてシリコン単結晶を育成する育成工程と、
    2本目以降のシリコン単結晶を製造するための固形原料を石英坩堝内のシリコン融液にリチャージするに際し、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の原料供給方法を行うリチャージ工程とを備え、
    前記リチャージ工程における前記固化工程は、同じ石英坩堝を用いたいずれかのシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  9. 請求項8に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
    固形原料が収容された石英坩堝を加熱して、シリコン融液を生成する初期融液生成工程と、
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の原料供給方法を用いて、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液に追加チャージする追加チャージ工程とを備え、
    前記追加チャージ工程における前記固化工程は、他の石英坩堝を用いた直前のシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  10. チョクラルスキー法により1個の石英坩堝を用いて1本のシリコン単結晶を製造するシリコン単結晶の製造方法であって、
    固形原料が収容された石英坩堝を加熱して、シリコン融液を生成する初期融液生成工程と、
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の原料供給方法を用いて、固形原料を前記石英坩堝内のシリコン融液に追加チャージする追加チャージ工程と、
    種結晶をシリコン融液に着液させる着液工程と、
    前記種結晶を引き上げてシリコン単結晶を育成する育成工程とを備え、
    前記追加チャージ工程における前記固化工程は、他の石英坩堝を用いた直前のシリコン単結晶の製造時において前記着液工程を実施したときの前記ヒータのパワーの値に基づいて、当該固化工程のヒータのパワーを調整することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
    前記着液工程と前記育成工程との間に、前記シリコン融液の温度が所定温度となるように前記ヒータのパワーを調整する着液パワー調整工程を備えていることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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