JP2011157239A - シリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶のインゴット - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン単結晶のインゴットにおいて、結晶成長軸方向の抵抗率分布の傾きを小さくすることが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決方法】チョクラルスキー法(CZ法)により、リンを添加した多結晶シリコンの融液12を原料として、インゴット1の引き上げが進むことに応じて結晶成長速度Vを増加させてインゴットを形成する工程を備える。また、フローティングゾーン法(FZ法)により、形成されたインゴット1の引き上げの終端A2から引き上げの初端A1に向かってゾーニングすることでインゴットを再結晶化させ、インゴット2を生成する工程を備える。
【選択図】図4

Description

本願は、シリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶のインゴットに関する。
特許文献1には、パワーデバイス等に用いられるN型シリコン結晶についての、比抵抗の制御方法の一つが開示されている。具体的には、まず、チョクラルスキー法(CZ法)によって、多結晶シリコン原料にリンを混ぜた原料を坩堝内で溶融し、その融液に種結晶を浸けて引き上げることでシリコン結晶棒を得る。次に、CZ法により製造されたシリコン結晶棒をシリコン原料棒とし、シリコン原料棒をフローティングゾーン法(FZ法)により再結晶化する。これにより、再結晶後のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率分布の傾きを、再結晶前のシリコン原料棒の軸方向の抵抗率分布よりも小さくする技術が開示されている。また、特許文献2ないし5にも、関連する技術が開示されている。
特開2005−281076 特開昭62−226890号公報 特開昭62−226897号公報 特開平5−43382 特開2007−314374
特許文献1の方法では、CZ法により製造されたシリコン原料棒において軸方向の抵抗率分布の傾きが大きい場合には、再結晶後のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率分布の傾きを十分に小さくすることができない。そのため、1本のシリコン単結晶のインゴットから取れる、所望の比抵抗値を有するウェハの数が限られるため、収率が悪くコストが高くなる課題があった。
本願の技術は、上記の問題を解決するために創案された。すなわち、本願は、シリコン単結晶のインゴットにおいて、結晶成長軸方向の抵抗率分布の傾きを小さくすることが可能な技術を提供する。
本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法(CZ法)により、不純物を添加した多結晶シリコンの融液を原料として、インゴットの引き上げが進むことに応じて結晶成長速度を増加させてインゴットを形成する工程を備える。また、フローティングゾーン法(FZ法)により、形成されたインゴットの引き上げの終端から引き上げの初端に向かってゾーニングすることで、インゴットを再結晶化させる工程を備える。
この製造方法では、結晶成長速度を制御することで、不純物の偏析係数を制御することができる。偏析係数とは、シリコン単結晶内に取り込まれる不純物の割合を表す係数である。偏析係数が高いほど不純物の取り込まれる量が増え、シリコン単結晶の比抵抗が低下する。一般的には偏析係数は1以下であるため、CZ法で引き上げを行い融液が減少していくと融液中の不純物濃度が上昇する。このため、引き上げが進むにつれてシリコン単結晶に取り込まれる不純物量が増加し、比抵抗が減少していく。これにより、インゴットの結晶成長軸方向に比抵抗が変動する。その結果、引き上げ初端から終端へ向かって、比抵抗が低下するインゴットができる。
この製造方法では、インゴットの引き上げ初期から終端にむけて、結晶成長速度を増加させる。結晶成長速度が増加すると不純物の見かけ上の偏析係数が減少するため、初端から終端にむけて不純物の偏析係数が減少する。その結果、シリコン単結晶に取り込まれる不純物の、初端から終端への増加傾きを小さくするように制御することができ、結晶成長軸方向の抵抗変化量を低減することができる。
また、この製造方法では、CZ法で作成したインゴットを原料として、FZ法で再結晶化させる。ゾーニングでは、加熱して融解した相(溶融帯)をインゴット中で動かす処理が行われる。そして、不純物の含有量の多いインゴットの終端部をFZ法の開始位置として、初端へ向かって溶融帯を移動させることで結晶成長を行う。これにより、終端側から初端側に不純物が偏析するため、再結晶後のシリコン単結晶において、結晶成長軸方向の抵抗変化量をさらに低減することができる。
この製造方法で製造されたシリコン単結晶では、結晶成長軸方向の抵抗変化量を低減することができるため、1本のシリコン単結晶のインゴットから取れる、所望の比抵抗値を有するウェハの数を増加させることができる。よって収率を高めることができるため、コスト低減を図ることが可能となる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、融液の温度を低下させるとしてもよい。
融液温度を低下させることで、結晶成長速度は増大するため、見かけ上の偏析係数を減少させることができる。これにより、シリコン単結晶の、結晶成長軸方向の抵抗変化量を低減することができる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、インゴットの引き上げ速度を低下させるとしてもよい。
インゴットの引き上げが進むことに応じて結晶成長速度を増大させると、結晶径が大きくなっていくため、放熱性が悪化する。また、放熱性は引き上げ速度を低下させることに応じて向上する。よって、インゴットの引き上げが進むことに応じて引き上げ速度を低下させることで、放熱性能を高い状態に維持することができる。なお、引き上げ速度を低下させることによっても、インゴットの結晶径が大きくなる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、融液を充填している坩堝とインゴットとの間の相対回転速度を大きくするとしてもよい。
相対回転速度を大きくすることで、見かけ上の偏析係数を減少させることができる。これにより、シリコン単結晶の、結晶成長軸方向の抵抗変化量を低減することができる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを形成する工程で形成されたインゴットの形状は、初端から終端に向けて径が増加する形状であるとしてもよい。
インゴットの引き上げが進むことに応じて融液の温度を低下させる場合には、結晶成長速度が増大していくため、初端から終端に向けて結晶径が増加する。また、インゴットの引き上げが進むことに応じてインゴットの引き上げ速度を低下させる場合にも、結晶成長速度が増大していくため、初端から終端に向けて結晶径が増加する。なお、インゴットの引き上げが進むことに応じて坩堝とインゴットとの間の相対回転速度を大きくする場合には、結晶成長速度は低下していく。しかし、融液の温度低下による結晶成長速度の上昇の影響の方が大きいため、この場合においても初端から終端に向けて結晶径が増加する。よって、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法を用いて製造したインゴットは、初端から終端に向けて径が増加する形状を備えることになる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを再結晶化させる工程は、ゾーニングを行う部分のインゴットの径が小さくなることに応じてゾーニングの速度を遅くするとしてもよい。
一定速度のゾーニングにおいて、インゴットの径が小さくなっていく場合には、融解状態のシリコンの量が減少していく。そこで、インゴットの径が小さくなることに応じてゾーニングの速度を遅くすることで、融解状態のシリコンの量を一定に維持することができる。これにより、再結晶後のシリコン単結晶において、結晶成長軸方向の径を一定にすることができるため、結晶径を揃える際の外周研磨の研磨量を減少させることができ、コスト低減を図ることが可能となる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、インゴットを再結晶化させる工程は、ゾーニングを行う部分のインゴットの径が小さくなることに応じて、インゴットのゾーニング部分に印加する総エネルギー量が減少すると共に、インゴットのゾーニング部分に印加される単位体積当りのエネルギー量が増加するようにエネルギーを印加するとしてもよい。なお、エネルギーの印加方法としては、高周波コイル、赤外線ランプ、カーボンヒータ等を用いる方法が挙げられる。
インゴットにエネルギーを印加することで、インゴットに溶融帯を形成することができる。エネルギーを印加するインゴットの径が小さくなると、エネルギーが印加される部分の体積の絶対量が減少すると共に、融解状態のシリコンの量も減少する。そこで、インゴットの径が小さくなることに応じて、総エネルギー量が減少すると共に、インゴットの単位体積当りのエネルギー量が増加するようにエネルギー量を調整することで、融解状態のシリコンの量を一定に維持することができる。これにより、再結晶後のシリコン単結晶において、結晶成長軸方向の径を一定にすることができるため、結晶径を揃える際の外周研磨の研磨量を減少させることができ、コスト低減を図ることが可能となる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法では、不純物はリンであるとしてもよい。これにより、N型のシリコン単結晶を形成することができる。
また、本願に開示されるシリコン単結晶のインゴットでは、不純物を添加した多結晶シリコンの融液を原料としてチョクラルスキー法(CZ法)で製造されるシリコン単結晶のインゴットであって、引き上げの初端から引き上げの終端に向かって径が増加する形状を有しているとしてもよい。
本願のインゴットの製造時には、引き上げ初端から終端にむけて結晶成長速度が増加する。結晶成長速度が増加すると不純物の見かけ上の偏析係数が減少するため、初端から終端にむけて不純物の偏析係数が減少する。このため、シリコン単結晶に取り込まれる不純物の、初端から終端への増加傾きを小さくすることができ、結晶成長軸方向の抵抗変化量を低減することができる。そして、引き上げ初端から終端にむけて結晶成長速度を増加させると、結晶径が大きくなっていく。よって、本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法を用いて製造したインゴットは、初端から終端に向けて径が増加する形状を備えることになる。
本願に開示されるシリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶のインゴットによれば、シリコン単結晶のインゴットにおいて、結晶成長軸方向の抵抗率分布の傾きを小さくすることが可能となる。
CZ法の工程を説明する図である。 インゴット1の模式図である。 比抵抗の分布を示すグラフ(その1)である。 FZ法の工程を説明する図(その1)である。 FZ法の工程を説明する図(その2)である。 比抵抗の分布を示すグラフ(その2)である。 インゴット2の模式図である。 インゴット1aの模式図である。 インゴット1bの模式図である。 インゴット1cの模式図である。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(特徴1)インゴット1aの製造工程では、引き上げ工程の前半において、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが一定とされ、結晶成長速度Vが一定とされる。
また、引き上げ工程の後半では、結晶成長速度Vが一定割合で増加するように、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが変更される。
(特徴2)インゴット1bの製造工程では、引き上げ工程の全般に渡って、結晶成長速度Vが非線形に上昇するように、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが制御される。
本願の実施例について図面を参照しながら説明する。まず、シリコン単結晶のインゴット1をチョクラルスキー法(CZ法)により製造する。インゴット1は、後述するフローティングゾーン法(FZ法)によるシリコン単結晶の製造に用いるシリコン原料棒となる。例として、導電型がN型のインゴット1を製造する場合を説明する。図1に示すように、石英製の坩堝10にシリコン多結晶を充填する。さらに所望の抵抗率となるように、所定量のリン(P)のN型のドーパントを坩堝10内に投入する。なお、N型のドーパントとしては、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)等を用いてもよい。また、導電型をP型とする場合には、ボロン(B)、ガリウム(Ga)等のP型のドーパントを用いればよい。
ヒータによりシリコン多結晶を加熱溶融し、融液12を生成する。そして、融液12に種結晶を浸し、種結晶および坩堝10を回転させながら結晶成長軸z1の正方向(図中上方向)へ引き上げる。これにより、図2に示すようなシリコン単結晶のインゴット1が製造される。インゴット1には、上側に引き上げの初端A1が形成され、下側に引き上げの終端A2が形成される。
本願のシリコン単結晶の製造方法で用いられるCZ法における、インゴット1を引き上げる際の引き上げ条件について説明する。引き上げ条件には、融液温度T、坩堝回転速度VR1、結晶回転速度VR2、引き上げ速度VPなどが存在する。融液温度Tは融液12の温度である。坩堝回転速度VR1は、坩堝10がインゴット1を回転軸として回転する際の回転速度である。結晶回転速度VR2は、インゴット1が結晶成長軸z1を回転軸として回転する際の回転速度である。引き上げ速度VPは、インゴット1を融液12から引き上げる際の速度である。
本願で用いられるCZ法では、引き上げ条件がインゴット1の製造中に変更される。具体的には、インゴット1の引き上げが進むことに応じて、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが低下するように変更される。また、インゴット1の引き上げが進むことに応じて、坩堝回転速度VR1と結晶回転速度VR2との間の相対回転速度が大きくされる。
本願において、引き上げ条件を変更する効果を説明する。BPS理論により、見かけの偏析係数である有効偏析係数Keffは、下式(1)により求められる。
Keff=K0/(K0+(1−K0)exp(−δ×V/D1))・・・式(1)
ここでK0は偏析係数、δは拡散境界層厚さ(mm)、Vは結晶成長速度(mm/min)、D1はメルト中の拡散係数(cm/s)、ηはメルト粘度(mPa・s)、dはメルト密度(g/cm)である。またωは、坩堝10の回転数とインゴット1の回転数との間の相対回転数(rpm)である。
また、拡散境界層厚さδは、下式(2)により求められる。
δ=1.6×D11/3×η1/6×ω−1/3×d−1/6・・・式(2)
そして結晶中の不純物濃度Cs(g)は、下式(3)により求められる。
Cs(g)=Keff×Cs(0)×(1−g)Keff−1・・・式(3)
ここでK0は偏析係数、Cs(0)は融液中の初期不純物濃度(cm−3)、gは固化率(%)である。
融液温度Tは、結晶成長速度Vに影響する。融液温度Tを下げることで、結晶成長速度Vは大きくなる。また式(1)より、結晶成長速度Vが大きくなると有効偏析係数Keffが減少する。よって、融液温度Tを下げると結晶成長速度Vが大きくなり、有効偏析係数Keffが減少する傾向があることが分かる。
また、融液温度Tは、メルト密度dおよびメルト粘度ηにも影響する。融液温度Tを下げることで、メルト密度dおよびメルト粘度ηはそれぞれ大きくなる。また式(1)および式(2)より、メルト密度dが大きくなると有効偏析係数Keffは減少し、メルト粘度ηが大きくなると有効偏析係数Keffは増加する。しかし、メルト粘度ηが有効偏析係数Keffに与える影響よりも、メルト密度dが有効偏析係数Keffに与える影響の方が大きい。よって、融液温度Tを下げるとメルト密度dが大きくなり、有効偏析係数Keffが減少する傾向があることが分かる。
また、坩堝回転速度VR1と結晶回転速度VR2との間の相対回転速度を大きくすると、回転数ωが大きくなる。また式(1)および式(2)より、回転数ωを大きくすると、有効偏析係数Keffは減少する。よって、回転数ωを大きくすると有効偏析係数Keffが減少する傾向があることが分かる。
以上より、インゴット1の引き上げが進むことに応じて、融液温度Tを低下させると共に回転数ωを大きくすることで、有効偏析係数Keffを小さくすることができる。
引き上げが進行することに応じて有効偏析係数Keffを小さくする制御の効果を説明する。有効偏析係数Keffとは、シリコン単結晶内に取り込まれる不純物の割合を表す係数である。有効偏析係数Keffが高いほど不純物の取り込まれる量が増え、シリコン単結晶の比抵抗が低下する。一般的には偏析係数は1以下である。例えばリンは0.3程度、ボロンは0.8程度の偏析係数を有する。よって、CZ法で引き上げが進行し融液12が減少していくと、融液12中のリン濃度が上昇する。このため、有効偏析係数Keffが一定に維持される場合には、引き上げが進行しリン濃度が上昇するにつれて、シリコン単結晶に取り込まれるリンの量が増加する。すると、図3の点線L1に示すように、結晶成長軸z1の初端A1から終端A2へ向かって、比抵抗が大きな減少傾きで減少することになる。
一方、本願のCZ法では、引き上げが進むことに応じて有効偏析係数Keffが小さくなる。よって、引き上げが進行しリン濃度が上昇しても、シリコン単結晶に取り込まれるリンの増加量を抑えることができる。これにより、図3の実線L2に示すように、結晶成長軸z1の初端A1から終端A2へ向かう方向での、比抵抗の減少傾きを小さくすることが可能となる。
また、本願のCZ方法で形成されたインゴット1の形状は、図2に示すように、初端A1から終端A2に向けて径が増加する、いわゆる釣鐘形状となる。径が増加する第1の理由は、インゴット1の引き上げが進むことに応じて融液温度Tを低下させるためである。融液温度Tを低下させると、結晶成長速度Vが増大するため、初端A1から終端A2に向けてインゴット1の結晶径が増加する形状となる。
また、径が増加する第2の理由は、インゴット1の引き上げが進むことに応じて引き上げ速度VPを低下させるためである。本願のCZ法では、インゴットの引き上げに応じて融液温度Tを低下させるため、結晶成長速度が増大し、結晶径が大きくなり、放熱性が悪化する。また、放熱性は、引き上げ速度VPを低下させることに応じて向上する。そこで、結晶径が大きくなることに応じて引き上げ速度VPを低下させることで、放熱性能を高い状態に維持することができる。また、引き上げ速度VPを低下させることで、結晶径が増加する。
なお、インゴット1の引き上げが進むことに応じて坩堝回転速度VR1と結晶回転速度VR2との間の相対回転速度(回転数ω)を大きくする場合には、結晶成長速度Vは低下していくため、結晶径は小さくなる傾向がある。しかし、回転数ωが結晶径に与える影響よりも、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが結晶径に与える影響の方が大きい。よって、本願のCZ方法で形成されたインゴット1の形状は、図2に示す釣鐘形状となる。
次に、本願のFZ法によるシリコン単結晶の製造方法を説明する。本願のFZ法では、前述のCZ法で作成されたインゴット1の終端A2側をゾーニングの開始位置として、結晶成長を行う。
図4に、FZ成長炉のチャンバー20にセットされたインゴット1の模式図を示す。なお図4は、インゴット1の中心軸を通る断面図である。インゴット1の周囲には、インゴット1を加熱するための高周波コイル21が設置されている。なお、インゴット1の加熱方法としては、上記した高周波コイル21を用いる方法の他に、赤外線ランプ、カーボンヒータ、レーザ、電子線等のビームを用いる方法等が挙げられる。
インゴット1がチャンバー20内に取り付けられ、チャンバー20内を真空排気し、アルゴンガスを導入した後、高周波発振器(不図示)によって高周波コイル21に高周波電力を供給する。この高周波電力によって、インゴット1が加熱され溶融帯22が形成される。
そして図5に示すように、インゴット1を引き下げ速度VDで結晶成長軸z2の負方向(図中下方向)へ下降させることで、溶融帯22をインゴット1の終端A2から初端A1へ向けて移動させてゾーニングする。これにより、FZ法によって溶融、再結晶化が行なわれ、単結晶シリコンのインゴット2(図7)が生成される。
本願のシリコン単結晶の製造方法において、CZ法で作成したインゴット1をFZ法で再結晶化させる効果を説明する。本願では、リンの含有量の多いインゴット1の終端A2側をFZ法の開始位置として、初端A1へ向かって溶融帯22を移動させることでインゴット2を製造する。これにより、インゴット2において、結晶成長軸z2の負方向(終端B2側から初端B1へ向かう方向)へのリンの含有量の増加傾きを小さくすることができる。よって、図6に示すように、インゴットの結晶成長軸方向における比抵抗の低下率を、FZ法の実行前(実線L2)に比して、FZ法の実行後(実線L3)において低減することができる。すなわち、FZ法による再結晶後のインゴット2では、再結晶前のインゴット1に比して、結晶成長軸方向の抵抗変化量をさらに低減することができる。よって、インゴット2のうち、所望の比抵抗範囲R1に入る領域が大きくなるため、領域R2の分だけ収率を増加させることができる。これにより、1本のインゴット2から取れる、所望の比抵抗値を有するウェハの数を増加させることができるため、コスト低減を図ることが可能となる。
また、本願のシリコン単結晶の製造方法で用いられるFZ法における、ゾーニング条件について説明する。ゾーニング条件には、引き下げ速度VD、エネルギー量Eなどが存在する。引き下げ速度VDは、インゴット1の引き下げ速度である。エネルギー量Eは、高周波コイル21に印加するエネルギーの量である。そして、本願で用いられるFZ法では、ゾーニングが進むことに応じて、引き下げ速度VDおよびエネルギー量Eが小さくなるように変更される。
引き下げ速度VDについて説明する。原料となるインゴット1が釣鐘形状を有しているため、ゾーニングが進むことに従い、ゾーニングを行う部分のインゴット1の径が小さくなる。インゴット1の径が小さくなっていく場合に、引き下げ速度VDが一定値であると、融解状態のシリコンの量が減少していくため、再結晶後のインゴット2の径が小さくなっていく傾向となってしまう。そこで本願のFZ法では、ゾーニングを行う部分の径が小さくなることに応じて、引き下げ速度VDが小さくされる。これにより、融解状態のシリコンの量を一定に維持することができる。よって、図7に示すように、再結晶後のインゴット2において、結晶成長軸z2方向の径を略一定にすることができる。
また、エネルギー量Eについて説明する。本願のFZ法では、ゾーニングが進んでゾーニングを行う部分のインゴット1の径が小さくなることに応じて、インゴット1のゾーニング部分に印加する総エネルギー量が減少すると共に、インゴット1のゾーニング部分に印加される単位体積当りのエネルギー量が増加するようにエネルギー量Eが変更される。
インゴット1にエネルギーを印加することで、インゴットに溶融帯22を形成することができる。エネルギーを印加するインゴット1の径が小さくなると、エネルギーが印加される部分の体積の絶対量が減少すると共に、融解状態のシリコンの量も減少するため、冷却されやすくなる。そこで、インゴット1の径が小さくなることに応じて、総エネルギー量が減少すると共に、インゴットの単位体積当りのエネルギー量が増加するようにエネルギー量を調整することで、融解状態のシリコンの量を一定に維持することができる。これにより、図7に示すように、再結晶後のシリコン単結晶のインゴット2において、結晶成長軸z2方向の径を略一定にすることができる。
以上より、インゴット2の結晶成長軸z2方向の径を略一定にすることができるため、インゴット2の外周研磨を行う際の必要研磨量を減少させることができ、コスト低減を図ることが可能となる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず特許請求の範囲を限定するものではない。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本願のCZ法で製造されるインゴットの形状は、図2のインゴット1の形状に限られず、各種の形状であってもよい。例えば、図8のインゴット1aに示すように、領域P1aでは結晶径が一定となり、領域P2aでは結晶径が一定で増加する形状であってもよい。インゴット1aの製造工程では、引き上げ工程の前半において、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが一定とされ、結晶成長速度Vが一定とされる。また、引き上げ工程の後半では、結晶成長速度Vが一定割合で増加するように、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが変更される。これにより、比抵抗が低下する引き上げ工程の後半において、結晶成長速度Vが一定割合で増加するため、比抵抗の結晶成長軸方向の減少傾きを小さくすることが可能となる。
また例えば、図9のインゴット1bに示すように、領域P1bにおいて結晶径が非線形で連続的に変化する形状であってもよい。インゴット1bの製造工程では、引き上げ工程の全般に渡って、結晶成長速度Vが非線形に上昇するように、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが制御される。これにより、初端A1bから終端A2bに向けて、結晶径が曲線状に広がることになる。そして図3の点線L1に示すように、比抵抗の減少曲線は非線形であるため、減少曲線のカーブに合わせて有効偏析係数Keffを減少させることで、比抵抗の結晶成長軸方向の減少傾きをさらに小さくすることが可能となる。
また例えば、図10のインゴット1cに示すように、領域P1cでは結晶径が一定となり、領域P2cでは結晶径が非線形で連続的に増加する形状であってもよい。インゴット1cの製造工程では、引き上げ工程の前半において、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが一定とされ、結晶成長速度Vが一定とされる。また、引き上げ工程の後半では、結晶成長速度Vが非線形に上昇するように、融液温度Tおよび引き上げ速度VPが制御される。
1、1a、1b、1c、2 インゴット
12 融液
A1 初端
A2 終端
T 融液温度
V 結晶成長速度
ω 回転数
VP 引き上げ速度
VD 引き下げ速度

Claims (9)

  1. シリコン単結晶の製造方法であって、
    チョクラルスキー法(CZ法)により、不純物を添加した多結晶シリコンの融液を原料として、インゴットの引き上げが進むことに応じて結晶成長速度を増加させてインゴットを形成する工程と、
    フローティングゾーン法(FZ法)により、形成されたインゴットの引き上げの終端から引き上げの初端に向かってゾーニングすることでインゴットを再結晶化させる工程と
    を備えることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、融液の温度を低下させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、インゴットの引き上げ速度を低下させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. インゴットを形成する工程は、インゴットの引き上げが進むことに応じて、融液を充填している坩堝とインゴットとの間の相対回転速度を大きくする
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. インゴットを形成する工程で形成されたインゴットの形状は、初端から終端に向けて径が増加する形状である
    ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. インゴットを再結晶化させる工程は、ゾーニングを行う部分のインゴットの径が小さくなることに応じてゾーニングの速度を遅くする
    ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  7. インゴットを再結晶化させる工程は、ゾーニングを行う部分のインゴットの径が小さくなることに応じて、インゴットのゾーニング部分に印加する総エネルギー量が減少すると共に、インゴットのゾーニング部分に印加される単位体積当りのエネルギー量が増加するようにエネルギーを印加する
    ことを特徴請求項1ないし6の何れか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  8. 前記不純物はリンであることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  9. 不純物を添加した多結晶シリコンの融液を原料としてチョクラルスキー法(CZ法)で製造されるシリコン単結晶のインゴットであって、
    引き上げの初端から引き上げの終端に向かって径が増加する形状を有している
    ことを特徴とするシリコン単結晶のインゴット。
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