JP6996506B2 - 吸放湿性に優れたポリアミド繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、吸放湿性、特に高い吸放湿速度に優れたポリアミド繊維に関するものである。
ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂から成る合成繊維は、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるために、衣料用途や産業用途など幅広く用いられている。
特にポリアミド繊維はその独特な柔らかさ、高い引っ張り強度、染色時の発色性、高い耐熱性等の特性に加え、吸湿性に優れており、インナーウエア、スポーツウエアなどの用途に広く使用されている。しかしながら、ポリアミド繊維は綿などの天然繊維と比べると吸湿性は十分とはいえず、また、ムレやべたつきといった問題点を有し、快適性の面で天然繊維に劣る、といわれ、ムレやべたつきを防ぐための優れた吸放湿性を示し、天然繊維に近い快適性を有する合成繊維の要望に応えるべく提案を続けてきた経緯がある。
たとえば、ポリアミド繊維に親水性化合物を添加する方法が最も多く検討されてきた。特許文献1には、親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドンをポリアミドにブレンドし、特定の製造方法で紡糸することで、吸湿性能を向上させたポリアミド繊維を生産性良く製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、ポリビニルピロリドンを含有させるほか、ピロリドンを一定量含有することで、黄色度の小さいポリアミド繊維が提案されている。本繊維にて、乾燥速度に優れた布帛が実現できる。
日本国特開昭50-148626号公報 日本国特開平9-188917号公報
従来技術にて、一定の吸放湿性は得られ、その効果によりインナーを中心とする一般衣料への展開も図られてきた。また、汗をかいた場合の拡散が早い衣料が実現できた。しかし、時代の変遷とともに、要望も高度化し、単に吸放湿性が高い、乾燥速度が速いだけでは不十分であって、汗をかく前の湿度上昇による不快感をすばやく解消したいとの強い要望がある。特に運動時に発生するムレ感を即座に吸収し、拡散する即応性、すなわち、高い吸放湿速度が強く求められるようになってきた。従来はこの観点での開発は行われておらず、水分拡散と湿気吸収は別物であるとして取り扱われてきた。そのため、実際には吸放湿速度を満足する繊維は提供できていなかったのが実情である。
本発明は、前記のような高度な要望に応えるべく、高い吸放湿速度のポリアミド繊維を提供することを目的として下記の構成からなる。
(1)ポリアミドと、ポリビニルピロリドン3~15wt%を含有し、前記ポリアミドが以下の(a)、(b)の特徴を満たすポリアミド繊維:
(a)分子量分布が2つのピークを持っており、低分子量側のピークの分子量が1000~2500である;
(b)分子量分布の低分子量側のピーク強度(I)と高分子量側のピーク強度(I)の比I/Iが0.02~0.10である。
(2)マルチフィラメントの平均の異形度が1.1~4であることを特徴とする(1)に記載のポリアミド繊維。
(3)マルチフィラメントの少なくとも1本のフィラメントの断面形状が3つ以上の凸部分と3つ以上の凹部分からなる多葉形断面であることを特徴とする(2)に記載のポリアミド繊維。
(4)(1)~(3)のいずれか1項に記載のポリアミド繊維を少なくとも一部に含む繊維製品。
本発明によれば、従来にない高い吸放湿速度のポリアミド繊維を提供することができる。
図1は、本発明の異形度を求める方法を図示したものである。 図2は、本発明の断面凹凸数を求める方法、および、実施例16の断面形状を図示したものである。 図3は、本発明の実施例17の断面形状を図示したものである。
本発明のポリアミド繊維は、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略すことがある)を3~15wt%、およびポリアミドを含むものである。
ポリビニルピロリドンの含有量を3wt%以上とすることで吸放湿性のポテンシャルが上がり、15wt%以下とすることでべとつきなどの不快感を抑制することができる。吸放湿性のポテンシャルは、30℃×90%RH(相対湿度)の環境下に24時間放置したときの吸湿率と20℃×65%RHの環境下に24時間放置したときの吸湿率との差で表現でき、ΔMRと表記する。PVPが3wt%以上であるとこのΔMRが良好な値となる。PVPは公知の方法でポリアミド繊維に含有させることができ、特許文献2に記載のように、PVPを準備・ポリアミドへ混練するのが好ましい一例である。PVPの含有量のより好ましい範囲は3.5~15wt%であり、最も好ましくは4~15wt%の範囲である。
また、本発明のポリアミドは、特に制約されるものではなく、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612等、あるいはそれらとアミド形成官能基を有する化合物、例えばラウロラクタム、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等の共重合成分を含有する共重合ポリアミドがあげられる。ポリアミドには、ポリビニルピロリドンのほか、各種の添加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤、帯電防止剤、カーボンなどを必要に応じて共重合または混合していてもよい。10wt%程度添加しても大きく吸湿性能に影響を及ぼさない。
本発明のポリアミド繊維はその分子量分布が2つのピークを有しており、低分子量側のピークが分子量1000~2500であり、かつ、低分子量側のピーク強度(I)と高分子量側のピーク強度(I)の比I/Iが0.02~0.10であることが必要である。分子量分布が1000~2500にピークを持つと、PVPが繊維中で効果的に働き、吸放湿速度が上がることが発見された。PVPは水に溶けやすいため、従来からPVPとポリアミドとの絡み合いを強くし、これにより水中へのPVPの溶け出しを抑制している。この絡み合いが強固であるため、吸放湿速度が上がらないと考えられるが、絡み合いが弱いとPVPが水に溶け出し、吸湿性能そのものが低下するという、いわゆるトレードオフの関係を示唆する。この関係を解消するために、鋭意検討し、本発明に至った。
すなわち、低分子量物のアミノ基の働きにより、水分を効率的にPVPに供給し、絡み合いが強い状態であっても、吸湿速度が向上するものと推測する。したがって、その低分子量側ピークは分子量1000~2500が範囲として挙げられ、分子量1000未満であると、PVPとポリアミドの絡み合いを阻害するため水への溶出が発生してしまい吸放湿性が上がらず、分子量2500より大きくなるとPVPを効果的に働かせることができないため、吸湿速度が上がらない。より好ましい低分子量側ピークは分子量1200~2200、もっとも好ましくは分子量1400~2000である。さらに、低分子量側のピーク強度(I)と高分子量側のピーク強度(I)の比I/Iが0.02~0.10であると水への溶出性抑制と吸放湿速度が両立する。0.02未満であると、吸放湿速度の向上効果が極めて少なくなり、逆に0.10よりも大きくなると水への溶出性が抑制できない。より好ましいピーク強度の比は0.03~0.10の範囲である。
低分子量側にピークを発現させるためには、低分子量のポリアミドが添加されている状態が好ましい。高分子量側のピークを形成するメインのポリアミドは前述のように、様々なものが適用可能であるが、低分子量側のポリアミドは、メインのポリアミドと同一でも良いし、異なるポリアミドでも良い。最終的に繊維の段階で、ふたつのピークを持つ分子量分布であれば良い。製糸前に添加されている低分子量ポリアミドは製糸により分子量はシフトすることが考えられる。たとえば、溶融状態で長時間保持すると、分子量は高くなるし、溶融状態で水分を与えると分子量は低下する。これらの製糸条件での調整を経て、所望の繊維を製造する。もっとも単純な方法は、溶融状態で高くなる分の分子量相当量を水分で相殺して、準備したポリアミドと、繊維となったポリアミドの分子量分布をできるだけ変化させないことである。この方法であると、製糸前にメインとなるポリアミドに所望の低分子量のポリアミドを添加することで、本発明のポリアミド繊維を製造することが容易となる。
本発明のポリアミド繊維の断面形状は一般的な丸断面や異形断面、それらの中空や他のポリアミド繊維との複合など、いずれのものでも良いが、さらなる好ましい形態は、マルチフィラメントの平均の異形度が1.1~4であること、さらには、マルチフィラメントの少なくとも1本のフィラメントの断面形状が3つ以上の凸部分と3つ以上の凹部分からなる多葉形断面であることである。本発明での異形度とは、図1に示すとおり、マルチフィラメントの任意の1本のフィラメントの断面形状を観察し、その断面の外接円の直径Doと内接円の直径Diの比である。一般的に衣料用フィラメントはマルチフィラメントであり、複数本のフィラメントが束となっているが、それぞれの断面の異形度を測定し、その平均値を本発明の異形度と規定する。たとえば、楕円形状の断面は異形度が1.1以上のものとすることができるが、楕円形状であると、表面積が真円対比大きくなるため、吸放湿速度が向上する。また、仮撚を施すことも効果的である。仮撚加工により、断面形状はつぶれるため、表面積が増加する。すべてのマルチフィラメントを同一の断面形状とする必要はなく、丸と異形断面のミックスとすることでも同様の効果が得られる。さらには、断面形状が凸部と凹部を有するいわゆる多葉断面であることが最も好ましい形態である。3つ以上の凸部と3つ以上の凹部を有する多葉断面であると、表面積がさらに増加するため、吸放湿速度が向上する。5葉、7葉と増加させると、さらに好ましい性能が得られる。凸部と凹部の計数は、図2のように実施する。まず、断面が滑らかな円形または楕円形となるような基線を引く。基線内の断面積と実断面の断面積が同一となるように基線を引く。次いで、基線に対して連続的に径が大きい部分(図2のA部分)を凸部とし、同様に連続的に径が小さい部分(図2のB部分)を凹部とする。
本発明のポリアミド繊維はその繊度やフィラメント数に制限はない。たとえば、ストッキング用途であれば、5dtex~22dtex程度の繊度が使用され、インナーでは22dtex~56dtex、アウターではそれ以上の繊度が好ましく使用されるが、いずれの構成でも吸放湿速度を向上させることは可能である。また、フィラメント数についてもいずれを選択することが可能である。肌触りを良くするために、単繊維繊度を0.3dtex程度まで小さくすることが好ましく実施されるが、その場合においても吸放湿速度を向上できる。強伸度特性に代表される物理特性や、染色も低分子量物が少量であることから、影響は小さく、公知の範囲で調整することが可能である。
本発明のポリアミド繊維を製糸する方法においては、低分子量側ピークが移動してしまうことに注意を払うが必要であり、前述の通りの条件により制御が可能であるが、その他の製糸条件は影響が小さい。このため、従来から好ましく用いられる製糸方法のいずれも選択することが可能であり、コスト的に優位である1工程法や従来法である2工程法、仮撚を行うためのPOY紡糸、複合紡糸する方法が一例として挙げられる。そのほか、使用する口金、冷却、適用する油剤、交絡、巻取りなど公知の方法を適用できる。
得られた繊維は、仮撚加工や撚糸加工、タスラン加工に代表される複合加工など公知の糸加工を施すことができ、それによる吸湿速度の低下は無い。逆に断面形状が異形となる加工は好ましい加工である。また、織編いずれの用途にも展開が可能であり、衣料用途に展開することが好ましい。ストッキングや肌着などのインナー・下着類、ミッドレイヤー、アウターなどに好ましく用いられ、特に、吸放湿速度が求められるスポーツ用インナーは特に好ましい用途である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
(1)相対粘度
試料0.25gを濃度98重量%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98重量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度(有効数字2桁)とした。
(2)繊度
1.125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、200回転させて、ループ状かせを作製し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。なお、芯鞘複合糸の公定水分率は、4.5重量%とした。
(3)PVP含有量
ポリアミド繊維中のポリアミド樹脂分が2.5mgになるように繊維を計量し、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N-トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlにポリマー濃度6.2ppmで溶解し、孔径0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を用いてHPLC測定を行った。なお、ポンプはWaters 515(Waters製)、検出器は示差屈折率計Waters 410(Waters製)、カラムはShodex HFIP-806M(2本)+HFIP-LGを用い、流速は0.5ml/min、試料注入量は0.1ml、温度は40℃の条件で測定した。あらかじめPVPの検量線を準備しておき、含有量を定量(少数点第2位を四捨五入)した。
(4)分子量分布測定
ポリアミド繊維中のポリアミド樹脂分が2.5mgになるように繊維を計量し、ヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N-トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlにポリマー濃度6.2ppmで溶解し、孔径0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を用いてGPC測定を行った。なお、ポンプはWaters 515(Waters製)、検出器は示差屈折率計Waters 410(Waters製)、カラムはShodex HFIP-806M(2本)+HFIP-LGを用い、流速は0.5ml/min、試料注入量は0.1ml、温度は40℃の条件で測定した。分子量校正はポリメタクリル酸メチルを用いて行った。付属の解析ツールによりピーク位置、ピーク強度を読み取り、低分子量側ピーク分子量(有効数字3桁)、低分子量側のピーク強度(I)と高分子量側のピーク強度(I)の比I/I(小数点第3位を四捨五入)を特定した。
(5)平均の異形度、断面凹凸数
ポリアミド繊維の全マルチフィラメントの断面写真(2000倍)を撮影し、各々の単糸の外接円の直径(Do)と内接円の直径(Di)の比Do/Diを算出、マルチフィラメントのDo/Diの平均値を平均の異形度(有効数字2桁)とした。断面凹凸数は全マルチフィラメントのうち、最も凹凸数の多いものを断面凹凸数とした。たとえば、丸断面の場合、断面凹凸数は0であるが、丸断面と6葉断面の混繊の場合、断面凹凸数は6となる。
(6)ΔMR
筒編機にて度目が50となるように調整して筒編地を作製した。繊維の正量繊度が低い場合は、筒編機に給糸する繊維の総繊度が50~100dtexとなるように適宜合糸し、総繊度が100dtexを超える場合は、筒編機への給糸を1本で行い、前記同様度目が50となるように調整して作製した。この筒編地を、秤量瓶に1~2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させて重量を測定した(W0)。次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後、重量を測定した(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後、重量を測定した(W90)。そして、以下の式に従い計算(有効数字2桁)した。ΔMRは2.6%以上となると良好であり、3%以上で非常に良好である。
MR1=[(W65-W0)/W0]×100% ・・・・・・ (A)
MR2=[(W90-W0)/W0]×100% ・・・・・・ (B)
ΔMR=MR2-MR1 ・・・・・・・・・・・・・・・ (C)
(7)吸放湿速度
(6)と同様の筒編地を20℃、相対湿度65%に24時間放置し、密閉容器に入れた後、30℃、相対湿度90%の環境下に移した。該環境下にて密閉容器から取り出し、5分間の重量変化を読み取った。密閉容器から取り出した直後の重量(W1)と3分後の重量(W2)から1分間あたりの重量変化を読み取り、以下の式で算出し、吸放湿速度(ppm/分、有効数字2桁)とした。吸放湿速度は750ppm/分以上で良好であり、900ppm/分以上で非常に良好である。
吸放湿速度=[(W2)-(W1)] /3×1,000,000 ・・(D)
(8)溶出率
(6)と同様の筒編地を110℃で8時間乾燥させた後、重量を測定した(W3)。その後、沸騰水で30分間処理をした後、再度110℃で8時間の乾燥を行い、その後重量を測定した(W4)。処理前後の重量減少率を溶出率(%)として以下の式に従い計算(有効数字2桁)した。溶出率は5%以下で良好であり、4%以下で非常に良好である。
溶出率=[{(W3)-(W4)}/(W3)]×100
(9)総合評価
ΔMR、吸放湿速度、溶出性を総合的に評価し、◎、○、×の3段階に区分した。◎は非常に良好(合格)で、○は良好(合格)、×は不合格である。
実施例1
相対粘度2.7のナイロン6に、重量平均分子量1400のナイロン6を2.0wt%、PVPを3.0wt%混練したポリアミド樹脂を準備した。繊維とした後に分子量が変化することを抑制するため、樹脂の水分率を0.1wt%とし、ポリマー溶融から口金吐出までを13分間とした。1工程法の定法に従い、33dtex-26フィラメント、全フィラメントが丸断面であるポリアミド繊維を製造した。ポリアミド繊維の低分子量側ピーク分子量は1430、ピーク強度の比I/Iは0.04であった。
得られたポリアミド繊維のΔMRは2.8%、吸放湿速度は780ppm/分、溶出率は1.8%であり、優れた特性を示した。
実施例2、3
実施例2としてPVPを3.7wt%、実施例3としてPVPを4.1wt%とした以外は実施例1と同様にポリアミド繊維を製造した。低分子量側ピーク分子量および、ピーク強度の比I/Iは、実施例2ではそれぞれ1440、0.04、実施例3ではそれぞれ1430、0.04であるポリアミド繊維を得た。PVP量を増加することによって、ΔMRも3.0%、3.1%と向上し、吸放湿速度も830ppm/分と向上が認められた。
比較例1
PVPの量を2.5wt%とした以外は実施例1と同様にポリアミド繊維を製造した。PVPの量が少なく、ΔMRは2.5%と不十分であり、吸放湿速度も満足できなかった。
Figure 0006996506000001
実施例4、5
ポリアミド繊維のI/Iを、実施例4で0.02、実施例5で0.07となるように調整した以外は実施例3と同様にポリアミド繊維を製造した。従来の指標であるΔMRは大きく変化ないものの、低分子量側ピークの強度を上げることで、吸放湿速度が顕著に向上し、実施例5では960ppm/分と良好な結果を得た。
比較例2、3
ポリアミド繊維のI/Iを、比較例2で0.01、比較例3で0.12となるように調整した以外は実施例3と同様にポリアミド繊維を製造した。ΔMRは3.1%と良好であったが、比較例2では吸放湿速度が不十分であり、また比較例3では溶出性が不十分であり、いずれも不合格となった。
Figure 0006996506000002
実施例6~11
混練するPVPの量を6.0wt%とし、さらに低分子量ナイロン6の分子量を変更し、表3に記載の通り、低分子量側ピークの分子量が1000~2500であるポリアミド繊維を得た。分子量が低いほど、吸放湿性が良好であり、一方で、分子量が高いほど溶出性は良好である結果となり、いずれも優れた特性のポリアミド繊維であった。実施例6,7,9~11の結果は表3に、実施例8の結果は表5に示した。
比較例4、5
低分子量側ピークの分子量が790、2830であるポリアミド繊維を準備し、評価を行った。分子量が低いと溶出性が不十分であり、分子量が高すぎると吸放湿速度が不十分なため、いずれも不合格であった。
Figure 0006996506000003
実施例12
PVPを13.0wt%含有した以外は実施例8と同様にポリアミド繊維を製造し、低分子量側ピークの分子量が1620、I/Iが0.04であるポリアミド繊維を得た。ΔMRは6.7%、吸放湿速度が1080ppm/分、溶出率が4.3%と良好であった。
実施例13
その他の添加剤として、二酸化チタンを2.0wt%添加し、11dtex-10フィラメントの繊維とした以外は実施例8と同様にポリアミド繊維を製造した。二酸化チタンを添加した影響は見られず、良好な結果であった。
実施例14
全フィラメントの断面形状を25%の中空とし、25dtex-26フィラメントの繊維とした以外は実施例8と同様にポリアミド繊維を得た。中空繊維であっても、良好な性能を発揮した。
Figure 0006996506000004
実施例15~18
断面形状を丸断面から表5のように変更した以外は実施例8と同様にポリアミド繊維を製造した。
実施例15は全フィラメントの異形度が2.5である楕円断面とした。実施例8と比較すると吸放湿速度の向上が若干見られ、異形化の効果を確認した。
実施例16は全フィラメントが図2の4葉の断面とした。この場合の平均の異形度は1.5、断面凹凸数は4である。このポリアミド繊維の吸放湿速度は920ppm/分まで上がり、良好な結果となった。
実施例17は全フィラメントを図3の扁平8葉の断面とした。この場合の平均の異形度は3.7、断面凹凸数は8となる。このポリアミド繊維の吸放湿速度は1020ppm/分であり、異形度、断面凹凸数の効果が確認できた。
実施例18は13本のフィラメントを丸断面、残りの13本のフィラメントを異形度が1.4である6葉断面とし、さらに二酸化チタンを2wt%添加して試験を実施した。平均の異形度は1.2、断面凹凸数は6となる。表5のように良好な吸放湿速度を示した。
実施例19
実施例8と同様のポリアミド樹脂を41dtex-26フィラメントの部分配向糸(POY)とし、仮撚加工を施して、33dtex-26フィラメントのポリアミド繊維を得た。仮撚加工を施したため、断面形状が崩れ、平均の異形度は1.3となった。ランダムに崩れたため、断面凹凸数は判断せず、ゼロとした。得られた繊維の吸放湿速度は実施例8よりも向上しており、仮撚による異形化でも効果が見られた。
比較例6
低分子量側ピークの分子量を810、ピーク強度比I/Iを0.01、断面形状を扁平8葉とした以外は実施例8と同様にしてポリアミド繊維を製造した。表5から明らかなように扁平8葉断面ではあるが吸放湿速度は満足できるものではなかった。
Figure 0006996506000005
本出願は、2017年3月24日出願の日本特許出願2017-059427に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
発明のポリアミド繊維により、高い吸放湿速度のポリアミド繊維を提供でき、快適な衣料を提供できる。
A:凸部
B:凹部

Claims (4)

  1. ポリアミドと、ポリビニルピロリドン3~15wt%を含有し、かつ前記ポリアミドが以下の特徴を満たすポリアミド繊維:
    (1)分子量分布が2つのピークを有し、低分子量側のピークの分子量が1000~2500である;
    (2)前記分子量分布において低分子量側のピーク強度(I)と高分子量側のピーク強度(I)の比I/Iが0.02~0.10である。
  2. ポリアミド繊維を構成するフィラメントの平均の異形度が1.1~4であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド繊維。
  3. ポリアミド繊維を構成する少なくとも1本のフィラメントの横断面形状が3つ以上の凸部と3つ以上の凹部を有する多葉形断面であることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド繊維。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド繊維を少なくとも一部に含む繊維製品。
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