JP2004060129A - 高吸放湿ポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

高吸放湿ポリアミド繊維およびその製造方法 Download PDF

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Yumiko Sawai
澤井 由美子
Kensuke Watanabe
渡邉 健介
Akira Suzuki
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Abstract

【課題】吸放湿性、不透明性、接触冷感、耐黄変性、洗濯堅牢度に良好な衣料用ポリアミド繊維を生産性良く提供する。
【解決手段】酸化チタンを1〜7重量%およびポリビニルピロリドンを3〜15重量%含有することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維およびポリカプロラクタム15〜30重量%、ポリヘキサメチレンアジパミド60〜85重量%より構成されるポリアミド繊維であり、ポリビニルピロリドンをポリアミド繊維100部中に3〜10重量部含有することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高吸湿性ポリアミド繊維およびその製造方法に関するものであり、吸放湿性、不透明性、接触冷感、耐熱性、洗濯堅牢性、耐黄変性に良好な衣料用ポリアミド繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成繊維の一つであるポリアミド繊維は、高強度、耐摩耗性、ソフト性、染色性などの優れた特徴を持っている。そのために、パンティストッキング等のレッグウェアやインナーウェア、スポーツウェア等の衣料用途に好まれて用いられてきている。 一方、綿や羊毛等に代表される天然繊維はその風合いや着心地の良さが好まれ、特に、肌に直接当たるインナーウェアや中衣には適度な吸湿性を有する綿が多く用いられている。これに対し、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などの熱可塑性繊維は、天然繊維に比べ吸湿性が劣っている。そのため、着用により生じた水蒸気は十分吸湿されないので衣服外に放出されず、特に夏の高温多湿時の蒸れ感は大きく不快を感じるものであった。ポリアミド繊維は、ポリエステル繊維よりも平衡水分率(標準状態での吸湿性)が高いものの、それでも着用の快適感の観点からは未だ不十分であった。
【0003】
そこで、先に、ポリアミド繊維の吸湿性を向上すべくポリビニルピロリドン(PVP)を添加する技術を特開平9−188917号公報を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インナーウエアへ対する要求特性として、着用して心地よいをコンセプトとした着用感、高強度、耐久性、ソフト性、ドレープ性などが挙げられる。しかしながら、近年はこれらの基本性能のみにとどらまらず、ファッショナブルな外観、見た目の美しいデザインが求められたり、着用時に体によりフィットするために立体的な形状を求められたりする。そのため、清涼性の観点から、肌が透けない薄地化、吸湿性、着用時のひんやり感、色調としてパステル調(低彩度)が求められるようになってきた。一方で、従来の平面布帛を縫製加工することによる2次元的なデザインのものから、熱セットを施し立体成形加工することによる3次元的なデザインのものも増加してきている。この場合、布帛を200℃前後の熱を加えて成型することから、新たに耐熱性、熱セット性といった特性が布帛に求められてきている。
【0005】
不透明化技術としては、酸化チタンを代表とする無機粒子の添加が知られているが、特開平9−188917号公報には酸化チタンに関する記載がなく、酸化チタンを1重量%以上含有するポリアミド繊維を製造する際、例えば、酸化チタン含有のポリアミド中にPVPを練り込む場合においては酸化チタンが凝集しやすく生産性が著しく低下する。また、溶融紡糸においては、酸化チタンによる成形口金孔周辺汚染による糸切れが多く発生し操業性が不調となる。
【0006】
さらには特開平9−188917号公報にはポリアミドに関する詳細な記載はなく、実施例ではナイロン6ポリマについて記述したのみであった。ポリアミドとしてナイロン66ポリマにPVPの練り込みを行うと、ナイロン66の通常の溶融温度では分解が進み、生産安定性に困難であるばかりか、得られるPVPマスタポリマが黄色っぽい色調となり、繊維とし、染色した後の色調にくすみ感がでてしまい、審美性を追求する衣料製品には不満足なものとなった。また、特開2001−73274号公報には耐黄変性のためポリアミド繊維を酸無水物で処理する方法を提案したが、経時による耐黄変性を目的としているので、技術思想が異なっている。
【0007】
そこで本発明では、吸放湿性、不透明性、接触冷感、耐熱性、洗濯堅牢性、耐黄変性に良好な衣料用ポリアミド繊維の提供およびかかるポリアミド繊維を生産性良く製造する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本第1発明は主として次のような構成からなる。すなわち、
(1)酸化チタンを1〜7重量%、ポリビニルピロリドンを3〜15重量%含有することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維、
(2)ポリビニルピロリドンのK値が20〜70、ポリアミド繊維中のピロリドンの含有率がポリビニルピロリドン含有量の0.1重量%以下であることを特徴とする前記高吸湿ポリアミド繊維
である。また、その製造方法は、
(3)ピロリドン含有率が0.1重量%以下かつK値が20〜70であるポリビニルピロリドンを、低酸素濃度の環境下で練り混み法によりポリアミドと混合させ、ポリビニルピロリドン含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマを製造した後、酸化チタンを1〜20重量%であるポリアミドポリマとブレンド法によりPVP、酸化チタンが所定濃度のポリマ組成物として、溶融紡糸により製糸する方法、
(4)溶融紡糸による製糸を、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い、1000m/分以上の速度で紡糸引取り、引き続いて延伸し巻取る方法、あるいは、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い1000m/分以上の速度で紡糸引取りし実質的に延伸することなく巻取る方法により行う方法、
(5)交絡処理前と後との2段階で含水系油剤を付与することにより行う方法
である。
【0009】
また、本第2発明は主として次のような構成からなる。すなわち、
(1)ポリカプロラクタム15〜30重量%、ポリヘキサメチレンアジパミド60〜75重量%より構成されるポリアミド繊維であり、ポリビニルピロリドンを3〜10重量%含有する高吸放湿ポリアミド繊維、
(2)沸騰水収縮率が12%以下、単糸繊度が4デシテックス以下、糸条の融点が250℃以上の請求項1記載の高吸放湿ポリアミド繊維、
(3)ポリビニルピロリドンのK値が20〜70、ポリアミド繊維中のピロリドンの含有率がポリビニルピロリドン含有量の0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1、2記載の高吸湿ポリアミド繊維
である。また、その製造方法は、
(4)ピロリドン含有率が0.1重量%以下かつK値が20〜70であるポリビニルピロリドンを、低酸素濃度の環境下で練り混み法によりポリカプロラクタムと混合させ、ポリビニルピロリドン含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマを製造した後、ポリヘキサメチレンアジパミドとブレンド法によりポリビニルピロリドンが所定濃度のポリマ組成物として、溶融紡糸により製糸することを特徴とする高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法、
(5)溶融紡糸による製糸を、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い、1000m/分以上の速度で紡糸引取り、引き続いて延伸し巻取る方法、あるいは、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い1000m/分以上の速度で紡糸引取りし実質的に延伸することなく巻取る方法により行うことを特徴とする請求項4記載の高吸放湿ポリアミド繊維の製造方法
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に言うポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体であって、その種類は特に制限されない。
【0011】
本第2発明の高吸放湿ポリアミド繊維では、ポリカプロラクタム15〜30重量%、ポリヘキサメチレンアジパミド70〜85重量%から構成されることが必要である。本発明で言うカプロラクタムは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体であって、カプラミド単位として80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上であることが好ましい。また、本発明で言うポリヘキサメチレンアジパミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体であって、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート単位として80モル%以上であるものを言い、さらに好ましくは90モル%以上であることが好ましい。その他の成分としては、特に制限はないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミンなどの単位が挙げられる。ポリカプロラクタムが30重量%を越えると、熱セットによる布帛の成形加工の仕上がりが悪くなる。また、沸騰水収縮率が高くなり、寸法安定性に欠ける。
【0012】
本発明においては酸化チタンを含有することが好ましく、特に本第1発明の吸放湿ポリアミド繊維は、酸化チタンを1〜7重量%含有することが必要である。酸化チタンの含有量が1重量%より少ない場合、十分な不透明性、紫外線遮蔽の効果、接触冷感、ソフト性が得られない。7重量%を超える場合、不透明性、紫外線遮蔽効果、接触冷感、ソフト感は得られるが、添加剤コスト、ポリアミド繊維を製造する際の糸切れが増加し製糸安定性の面で好ましくない。さらに好ましくは、1.5〜6重量%である。
【0013】
この酸化チタンはポリアミド用の添加剤として用いられているものであればよい。種類は、ルチル型でもアナターゼ型でもよいが、紫外線遮蔽性を向上させるためにはアナターゼ型がさらに好ましい。酸化チタンの粒子径はポリアミド繊維製造する時に、濾過圧力上昇、糸切れなどの問題を引き起こさない範囲であればよいが、平均粒子径1μm以下が好ましい。また、平均粒子径が例えば、0.1μm以下のような微粒子粉末の場合、粉砕などにコストアップとなるので経済的観点から好ましくないばかりでなく、濾過圧力上昇などの問題点も引き起こしやすく好ましくない。さらに好ましくは、0.1〜0.5μm以下である。また、ポリアミド繊維中の酸化チタン分散性向上の目的で酸化チタン粒子の表面をAl、Zn、Si等で処理したものであってもよい。
【0014】
本発明の高吸放湿ポリアミド繊維は、マグネシウム化合物を0.01〜1重量%含有することが好ましい。マグネシウム化合物の含有量が0.01重量%未満の場合、例えば、溶融によりポリアミド繊維を製造する時におけるモノマー、オリゴマーの再生を充分抑制することができず、これらモノマ、オリゴマおよびポリアミドよりブリードアウトした酸化チタンによる成形口金孔周辺汚染による糸切れが多く発生し操業性が不調となる。1重量%を超える場合、効果は同程度であり経済的観点から好ましくないばかりでなく、特に、糸条繊度が細く、酸化チタンを含む場合、ポリアミド中の不溶解異物として残存したマグネシウムが酸化チタンと相まって異物除去のため設置したフィルターでの濾過圧力上昇、ポリアミド繊維の物性低下などの問題を引き起こす。さらに好ましくは、0.02〜0.1重量%である。
【0015】
またマグネシウム成分を含有せしめる方法としては、ポリアミドペレットへマグネシウム化合物をブレンドし溶融する方法、ポリアミドペレットへ高濃度のマグネシウムを含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミドへマグネシウム化合物を添加し混練する方法、ポリアミドの重合前あるいは重合中の段階で原料あるいは反応系へマグネシウム化合物を添加する方法などが挙げられるが、両者が均一に混ざればいかなる方法でも良い。
【0016】
本発明の高吸放湿ポリアミド繊維に含有されるマグネシウム化合物としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。これらマグネシウム化合物の平均粒子径は10μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、例えば、ポリアミド繊維を製造する時、異物除去のため設置したフィルターでの濾過圧力上昇、ポリアミド繊維の物性低下などの問題を引き起こす。さらに好ましくは、5μm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の吸湿性ポリアミド繊維では、所望の吸湿特性を得るためにポリビニルピロリドン(以下PVPという)を含有することが必要である。本第1発明ではPVPの含有量が3〜15重量%であることが必要であり、PVPの含有量が3重量%未満と少な過ぎると十分な吸湿性が得られない。また15重量%を越える程に多過ぎるとべたつき感が発現し感触不良となり、しかも、製糸性が不良となって安定して生産することができなくなる。さらに好ましくは4〜8重量%である。また、本第2発明では、PVPの含有量が3〜10重量%であることが必要であり、PVPの含有量が10重量%を越えると製糸性が不良となって安定して生産することができなくなる。さらに好ましくは4〜8重量%である。また、PVPは、ポリアミド繊維に対して、繊維構造をランダムにする作用をもたらし、PVP含有量が10重量%を超えると、沸騰水収縮率が高くなり、寸法安定性に欠け、布帛としたときに粗硬感が生じ好ましくない。
【0018】
また、本発明で使用するポリアミド繊維に含有されるPVPとしては、PVP中に含まれるピロリドンの含有量が0.1重量%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.05重量%以下である。このピロリドン含有量が好ましい範囲にある場合は、未染色状態での黄色度を10以下とすることができ、衣料用に適した色調良好な繊維が得られるのである。即ち、未染色状態でのポリアミドフィラメントの黄色度が10を越えないと、染色した後の色調にくすみ感がなく、色調が良好で高級感のある繊維製品が得られるのである。このピロリドンの含有量が0.1重量%以下のPVPは、イソプロピルアルコールを重合時溶媒として製造することによって得られる。また、その際、重合開始剤として過酸化水素系の触媒を含まないことが、黄色度の原因となる副生成物のピロリドンの発生をさらに抑制するために好ましい。
【0019】
また、本発明の高吸放湿ポリアミド繊維で用いるPVPは、そのK値が20〜70であることが好ましく、特に20〜60であることがより好ましい。K値が低過ぎるPVPはポリアミド中に練り込んでも、後述するポリアミド分子鎖との絡み合いが弱く、練り混み後のガットの冷却水処理によりその多くが溶出し易いので、所望の高吸湿特性を得るには多くのPVPを練り込まねばならず生産効率が低下する。一方、K値が高過ぎると、ポリアミド中に練り込む際の増粘が大きく、溶融吐出によるチップ化が困難となるので、やはり生産効率が低下する。
【0020】
本第2発明の吸放性ポリアミド繊維では、沸騰水収縮率が12%以下であることが好ましい。前述したように、ポリヘキサメチレンアジパミドとカプロラクタムからなる構成であることと、PVPを含有することにより予想以上に沸騰水収縮率が高くなる。そのため、かかる範囲とすることにより、通常のポリアミド繊維範囲内の条件設定で布帛を製造することが可能である。さらに、沸騰水収縮率を12%以下にする方法としては、紡糸後巻き取る前に熱処理をおこなって沸騰水収縮率を12%以下にしても良いし、一旦巻き取った後、繊維に弛緩熱処理等を施して12%以下にすることも可能である。
【0021】
本第2発明の吸放湿性ポリアミド繊維では、融点が250℃以上であることが好ましい。布帛を立体成型加工をする際、セット性を向上させるため熱セット温度は200℃前後と高く設定される。そのため、かかる範囲にすることにより、良好な立体成型加工を施すことが可能である。さらに、融点が250℃以上にする方法としては、ポリヘキサメチレンアジパミドとカプロラクタムの比率、ブレンド方法によっても良いが特に限定されるものではない。250℃未満の場合、立体成型加工温度を低く設定しなければならないだけでなく、熱セット性が悪く、美しいシルエットのデザインを作り出すことが困難になる。
【0022】
さらに、本発明の高吸放湿ポリアミド繊維は水溶性成分の溶出率が5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3重量%以下がより好ましい。この溶出率は、本発明のポリアミド繊維を沸騰水中で30分間処理した際の重量変化率から求めた水溶性成分溶出率の値である。PVPは極めて水溶性が高いので、ポリマ中に含有させた後でも、ポリマ表面へブリードアウトし易い性質を持っている。また、副生成物のピロリドンもきわめて水溶性が高く、同様にポリマ表面へブリードアウトし易い。従って、PVPの含有による高吸湿性ポリアミド繊維では、その中に含有するPVPやピロリドンの溶出を抑えることが、吸湿特性の保持、及び、良好な繊維風合や感触の保持のために好ましい。例えば、溶出率が5重量%以下のポリアミドフィラメントでは、繊維製品とした後の着用時にPVPがフィラメント表面に実質的に析出せず、しなやかな風合いとなめらかな感触の点で極めて良好なものとなる。
【0023】
溶出率を所望の低水準とするためにはPVPとナイロンポリマとの分子鎖の絡み合いを強くする手段をとることが好ましい。例えば、PVPをエクストルーダーによりポリアミド中に練り混みマスタポリマとする方法が、ナイロン分子鎖とPVP分子鎖の絡み合いを強くすることができ、好ましいものである。
【0024】
その練込みは、15%以下のような低酸素濃度での練り混み法により行うことが紡糸時の糸切れを低減させるために好ましい。これに対し、大気中の酸素濃度(約20%)と同水準あるいはそれ以上の高い酸素濃度の環境下で練り込みをしたマスタポリマを用いる場合は、紡糸時の糸切れが多発し、安定した生産が困難となる。その低酸素濃度の水準は、例えば15%以下、好ましくは10%以下であればよく、そのためには、窒素のごとき不活性気体をホッパーやシリンダーに流して酸素濃度を低減させる方法をとればよい。
【0025】
マスタポリマ中のPVPの練り込み濃度は10〜50重量%とする。10重量%未満ではマスタポリマの本来の効果が奏し難く生産性が劣る。50重量%を超えると安定して練り込むことが困難である。また、酸化チタンを含有する場合、酸化チタンはマスタポリマ中に含有してもよいが、ポリマ中で酸化チタンが凝集しやすく品質安定性、生産性の点から、酸化チタン含有量は0.5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは含有しないことが好ましい。
【0026】
本第1発明において所定の濃度の酸化チタン、PVPを含有する方法としては、PVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマと、酸化チタンが1〜20重量%であるポリアミドポリマとブレンド法により得られる。このブレンド法とは、例えば、PVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマチップと酸化チタンが1〜20重量%であるポリアミドポリマチップをチップブレンドし溶融する方法、溶融時にPVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマと酸化チタンが1〜20重量%であるポリアミドポリマを供給するメルトブレンド法などが挙げられるが、両者が均一に混ざればいかなる方法を用いてもよい。
【0027】
また、本第2発明において所定の濃度のPVPを含有する方法としては、ポリカプロラクタム中のPVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマと、ポリヘキサメチレンアジパミドポリマとブレンド法により得られる。このブレンド法とは、例えば、PVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマチップとポリヘキサメチレンアジパミドポリマチップをチップブレンドし溶融する方法、溶融時にポリカプロラクタム中のPVP含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマとポリヘキサメチレンアジパミドポリマを供給するメルトブレンド法などが挙げられるが、両者が均一に混ざればいかなる方法を用いてもよい。
【0028】
その製糸方法は、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い、1000m/分以上の速度で紡糸引取り、引き続いて延伸し巻取る方法、あるいは、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い1000m/分以上の速度で紡糸引取りし実質的に延伸することなく巻取る方法により行うことが好ましい。さらに好ましくは、巻取速度が3000m/分以上であることが生産性の上で好ましい。これに対し、一旦巻き取った後に延伸する2段製糸法では、未延伸糸巻取りパッケージの巻きフォームが、その吸湿速度の速さのために大きく崩れ易く、安定した製糸が困難である。
【0029】
その製糸の給油方法は、交絡処理前と後との2段階で含水系油剤を付与することにより行うことが好ましい。さらに好ましくは、交絡処理前と後との2段階で含水系油剤を付与し、3000m/分以上で紡糸引取りを行うことが、染め斑など繊維品質面の上で好ましい。このような方法により、端面の糸落ちなく良好なチーズ状パッケージを得ることができる。
【0030】
本発明の高吸放湿ポリアミド繊維の断面形状は特に限定されるものではないが、丸断面に限らず、偏平断面、レンズ型断面、三葉断面、四葉断面、中空断面のような変形断面でもよい。
【0031】
また、その糸条繊度は特に限定されないが、単糸繊度が0.5〜8.0デシテックス程度であるマルチフィラメントの場合に好適である。例えば、インナーウエアの場合には、ソフト性、ドレープ性の点から単糸繊度が4デシテックス以下であるマルチフィラメントの場合に好適である。さらに好ましくは3デシテックス以下であり、0.5〜3デシテックスがさらに好ましい。
【0032】
得られた高吸湿性マルチフィラメントは、特別な条件をとることなく、通常の方法で後加工や製編織され、縫製されて、各種衣料用製品とされる。なかでも、直接肌に着用されるインナーウェア(ランジェリー、ファウンデーション等)や靴下類(ストッキング、パンティストッキング、タイツあるいはソックス等)、あるいは、発汗し易い状態で着用されるスポーツウェア(ウィンドブレーカー、テニスウェア、スキーウェア、トレーニングウェア等)として好適である。
【0033】
これら衣料用製品において吸湿効果を発揮するためには、本発明の高吸湿性ポリアミド繊維を30重量%以上用いることが好ましい。
【0034】
また、本発明の吸湿性ポリアミド繊維を含む衣料製品は、乾燥速度が0.015cc/分以上と速いことがべたつき感を抑え着用快適性に優れた製品とするために好適である。そのためにはPVP含有率や溶出率が大き過ぎない適正水準となるように調整する等の手段をとればよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。物性の測定方法は次の通りである。
A.ピロリドン含有率
繊維試料100mgにヘキサフルオロイソプロパノール3mlとクロロホルム1mlとを加え、繊維を溶解した。得られた溶液に、エタノールを加えてポリマ成分を再沈させ20mlに定溶した。溶液成分を定法によりガスクロマトグラム分析を行う。装置はGC14A(島津製作所製)、カラムはNB−1(15m)を使用する。ピロリドンの定量にはバレロラクタムの検量線をあらかじめ作成し、用いる。下記式によりピロリドン含有率を求める。
ピロリドン含有率(重量%) =[(GCピーク面積/検量線係数)(mg/ml) ×溶液量(ml)/試料量(mg)]×100。
【0036】
B.K値
PVPを濃度1%の水溶液とし、その相対粘度を測定し、Fikentscherの式により求める。
logZ=C[75k2 /(1+1.5kC)+k]
但し、Z:濃度Cの水溶液の相対粘度、k:K値×10−3、C:水溶液濃度(W/V%)である。
【0037】
C.溶出率
ポリアミドフィラメントを110℃、8時間乾燥した後、重量を測定する。その後、沸騰水で30分間処理した後、再度110℃8時間乾燥し、処理前後の重量減少率を溶出率とする。
【0038】
D.△MR
ポリアミドフィラメントにより27ゲージ筒編み試料を作製する。作製した試料を精練し、油剤を除去した後、その約1gをガラス秤量瓶(風袋重量F)にいれ、乾燥機中110℃2時間の条件で乾燥する。瓶を密封し、デシケータ中で30分間放冷した後、試料の入った秤量瓶の総重量(K)を測定する。次に、20℃65%RHに設定された恒温恒湿槽((株)田葉井製作所製の恒温恒湿槽“レインボー”)に開放状態で入れ、24時間放置する。その後再び密封状態でデシケーター30分間放置後、試料の入った秤量瓶の重量(H)を測定する。引続き、30℃90%RHに設定された恒温恒湿槽に開放状態にした秤量瓶を入れ、24時間後の総重量(S)を同様に測定する。以上の各値から下記式により算出する。
【0039】
最高吸湿率=[(S−K)/(K−F)]×100(%)
標準吸湿率=[(H−K)/(K−F)]×100(%)
△MR=最高吸湿率−標準吸湿率
△MRが大きいほど快適性が良好であることを示し、△MRが3以上で快適性が発現する。しかし、△MRが8を越えるとべたつき感が生じ快適性が得られない。
【0040】
E.洗濯堅牢性
JIS L 0844(A−2法)に従った。変退色4級以上が良好な洗濯堅牢度が良好であることを示す。
【0041】
F.黄色度
繊維の場合は、27ゲージの筒編み機により編み密度45本/インチの筒編地とした物を試料とする。編地の試料を2つ折りにして日本電色工業製カラーメーターΣ80により、同測定器所定の方法にて3刺激値X,Y,Zを測定し、下記式により黄色度を求める。
YI(黄色度)=100×[1.28X−1.06Z]/Y。
【0042】
G.製糸性
290℃で溶融し、1口金当たり2糸条の丸孔口金から吐出させ、巻取速度4000m/分で高速直接延伸法により、44デシテックスのポリアミド繊維糸条を得るときの、1口金1t当たりの製糸糸切れについて、次の基準をもって製糸性を示した。
◎:糸切れ1回未満、○:糸切れ1回以上2回未満、△:糸切れ2以上4回未満、×:糸切れ4回以上。
【0043】
H.不透明性
カラースタンダード白板上に静置した時の布帛のL値(Lw)と黒板上に静置したときの布帛のL値(Lb)を、色差計Σ80(日本電色工業(株)製)により測定する。そして、それらL値から、次の算式により、不透明性を求める。数値が大きいほど、不透明性に優れており、●以上で充分な不透明性を持つと判定した。
不透明性=Lw−Lb。
【0044】
I.接触冷感
布帛を検査者(30人)の触感によって接触冷感を次の基準で相対評価した。
◎:接触冷感が非常によい、○:接触冷感がよい、△:接触冷感があまりない、×:接触冷感がない。
【0045】
J.紡糸糸切れ
260℃で溶融し、1口金当たり2糸条の丸孔口金から吐出させ、巻取速度4000m/分で高速直接延伸法により、44デシテックスのナイロン6繊維糸条を得るときの、1口金1t当たりの製糸糸切れについて、次の基準をもって製糸性を示した。
◎:糸切れ1回未満、○:糸切れ1回以上2回未満、△:糸切れ2以上4回未満、×:糸切れ4回以上。
【0046】
K.乾燥速度
上述と同様に試料を作成し、乾燥・放冷・秤量した後、1ccの蒸留水を試料に滴下し、試料の入った秤量瓶の総重量(W )を測定する。次に、20℃65%RHに設定された恒温恒湿槽に開放状態で入れた時から10分間隔で上述の方法と同様に試料の入った秤量瓶の重量(W :Tは時間(分))を90分間測定し続ける。各乾燥時間Tに対応する水分率を下記式により求める。
時間Tの時の水分率=[(WT −K)/(W0 −K)]×100(%)
時間Tに対してWをプロットして乾燥曲線を描き、得られた乾燥曲線のT=0における接線の傾きから乾燥速度(CC/min)を求める。
このとき水分率100%の時の水分量(cc)は滴下した蒸留水の量に等しいとする。
【0047】
実施例1
PVPとして、イソプロピルアルコールを溶媒として通常の方法で合成されたK値が30のPVP(BASF社製“ルビテック”K30スペシャルグレード:以下K30SPと略記する)を用いた。このPVP中のピロリドン含有量は0.02重量%であった。このPVPをエクストルーダー(φ40mm、2条、2軸)を用いて、酸化チタンを含有しないナイロン6に練り込み、ガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、PVP濃度20重量%のマスタポリマチップとした。この際、ホッパー、シリンダーに窒素を流すことで、酸素濃度を8%以下とした。
【0048】
回転式真空乾燥機中で酸化チタン2重量%のナイロン6チップと、上記PVP20重量%マスタポリマチップ、酸化マグネシウム(粉末)を0.05重量%加えてブレンドしながら通常の方法で乾燥した。ブレンドチップにおける酸化チタン含有量1.5重量%、PVP含有量5.0重量%とした。
【0049】
ブレンドチップを260℃で溶融し、丸孔口金より吐出し、冷却し、油剤濃度1重量%の含水系油剤を用い1段目給油し、交絡処理、油剤濃度10重量%の含水系油剤を用い2段目給油し、延伸倍率1.5、熱処理温度150℃、巻取速度4500m/分で製糸して、44デシテックス34フィラメントのナイロン6繊維糸条を得た。得られた繊維糸条を1口給糸の筒編機にて筒編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0050】
実施例2
酸化チタン含有量5重量%のナイロン6チップを用いて、酸化チタン含有量3.4重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0051】
実施例3
酸化マグネシウムを添加しない以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0052】
実施例4
酸化チタン含有量5重量%のナイロン6チップを用いて、酸化チタン含有量2.5重量%、PVP含有量10.0重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0053】
実施例5
酸化チタン含有量1.0重量%、PVP含有量10.0重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。は
比較例1
酸化チタンを含有しないナイロン6チップを用いて、酸化チタン含有量0%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0054】
比較例2
酸化チタン含有量1.5重量%ナイロン6チップを用いて、0.75重量%、PVP含有量10%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0055】
比較例3
酸化チタン含有量20重量%のナイロン6チップを用いて、酸化チタン含有量10.0重量%、PVP含有量10重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0056】
比較例4
酸化チタン含有量1.75重量%、PVP含有量2.5重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0057】
比較例5
PVP含有量40重量%のマスタポリマチップを用いて、酸化チタン含有量5重量%のナイロン6チップを用いて、酸化チタン含有量2.75重量%、PVP含有量18.0重量%とする以外は実施例1と同様に製糸し、編地とした。製糸性、△MR、不透明性、接触冷感を評価した結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 2004060129
【0059】
表1の結果から明らかなように、本発明の高吸放湿ポリアミド繊維は、吸湿性、不透明性、接触冷感に優れている。また、酸化マグネシウムを含有すると製糸性がより優れている。
【0060】
実施例6
PVPとして、イソプロピルアルコールを溶媒として通常の方法で合成されたK値が30のPVP(BASF社製“ルビテック”K30スペシャルグレード:以下K30SPと略記する)を用いた。このPVP中のピロリドン含有量は0.02重量%であった。このPVPをエクストルーダー(φ40mm、2条、2軸)を用いて、酸化チタンを含有しないナイロン6に練り込み、ガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、PVP濃度20重量%のマスタポリマチップとした。この際、ホッパー、シリンダーに窒素を流すことで、酸素濃度を8%以下とした。
【0061】
回転式真空乾燥機中でナイロン66チップと、上記PVP20重量%マスタポリマチップをブレンドしながら通常の方法で乾燥した。ブレンドチップにおけるPVP含有量3.0重量%とした。ナイロン6成分15重量%、ナイロン66成分85重量%とした。ブレンドチップを290℃で溶融し、丸孔口金より吐出し、冷却し、給油し、交絡処理、延伸倍率2.5倍、熱処理温度155℃、巻取速度4000m/分で製糸して、44デシテックス34フィラメントのポリアミド繊維糸条を得た。製糸性、沸騰水収縮率、△MR黄化度、融点について評価した結果は表2のとおりであった。得られた繊維糸条を、1口給糸の筒編機にて筒編みし、酸性染料(Xylene Fast Blue P)にて染色、合成タンニンにて固着を行い布帛とした。洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0062】
実施例7
ブレンドチップにおけるPVP含有量5.0重量%とし、ナイロン6成分25重量%、ナイロン66成分75重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0063】
実施例8
PVP30重量%マスタポリマを用い、マスタブレンドチップにおけるPVP含有量7.5重量%とし、ナイロン6成分25重量%、ナイロン66成分75重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0064】
比較例6
PVP10重量%マスタポリマを用い、マスタブレンドチップにおけるPVP含有量2.0重量%とし、ナイロン6成分20重量%、ナイロン66成分80重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0065】
比較例7
PVP50重量%マスタポリマを用い、マスタブレンドチップにおけるPVP含有量15重量%とし、ナイロン6成分30重量%、ナイロン66成分70重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、熱セット性、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0066】
比較例8
PVP40重量%マスタポリマを用い、マスタブレンドチップにおけるPVP含有量3.0重量%とし、ナイロン6成分7.5重量%、ナイロン66成分92.5重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0067】
比較例9
マスタブレンドチップにおけるPVP含有量7.0重量%とし、ナイロン6成分35重量%、ナイロン66成分65重量%とした以外は実施例1と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0068】
比較例10
マスタブレンドチップにおけるPVP含有量5.0重量%とし、ナイロン6成分100重量%とした以外は実施例6と同様に製糸し、布帛とした。製糸性、沸騰水収縮率、△MR、黄化度、洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0069】
比較例11
PVPとして、イソプロピルアルコールを溶媒として通常の方法で合成されたK値が30のPVP(BASF社製“ルビテック”K30スペシャルグレード:以下K30SPと略記する)を用いた。このPVP中のピロリドン含有量は0.02重量%であった。このPVPをエクストルーダー(φ40mm、2条、2軸)を用いて、酸化チタンを含有しないナイロン66に練り込み、ガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、PVP濃度20重量%のマスタポリマチップとした。この際、ホッパー、シリンダーに窒素を流すことで、酸素濃度を8%以下とした。 回転式真空乾燥機中でナイロン66チップと、上記PVP20重量%マスタポリマチップをブレンドしながら通常の方法で乾燥した。ブレンドチップにおけるPVP含有量5.0重量%とした。ナイロン66成分100重量%とした。
【0070】
ブレンドチップを290℃で溶融し、丸孔口金より吐出し、冷却し、給油し、交絡処理、延伸倍率2.5倍、熱処理温度155℃、巻取速度4000m/分で製糸して、44デシテックス34フィラメントのポリアミド繊維糸条を得た。製糸性、沸騰水収縮率、△MR黄化度、融点について評価した結果は表1のとおりであった。得られた繊維糸条を、1口給糸の筒編機にて筒編みし、酸性染料(Xylene Fast Blue P)にて染色、合成タンニンにて固着を行い布帛とした。洗濯堅牢度を評価した結果は表2のとおりであった。
【0071】
【表2】
Figure 2004060129
【0072】
表2の結果から明らかなように、本発明の高吸放湿ポリアミド繊維は、吸放湿性、耐黄変性、洗濯堅牢度、製糸性に優れている。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、吸放湿性、不透明性、接触冷感、耐黄変性、洗濯堅牢度に良好な衣料用ポリアミド繊維を生産性良く提供することができる。

Claims (8)

  1. 酸化チタンを1〜7重量%およびポリビニルピロリドンを3〜15重量%含有することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維。
  2. ポリカプロラクタム15〜30重量%、ポリヘキサメチレンアジパミド60〜85重量%より構成されるポリアミド繊維であり、ポリビニルピロリドンをポリアミド繊維100部中に3〜10重量部含有することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維。
  3. 沸騰水収縮率が12%以下、単糸繊度が4デシテックス以下、糸条の融点が250℃以上であることを特徴とする請求項2記載の高吸放湿ポリアミド繊維。
  4. ポリビニルピロリドンが、K値が20〜70であり、ポリビニルピロリドン中のピロリドンの含有率が0.1重量%以下であるポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の高吸放湿ポリアミド繊維。
  5. ピロリドン含有率が0.1重量%以下かつK値が20〜70であるポリビニルピロリドンを、低酸素濃度の環境下で練り混み法によりポリアミドと混合させ、ポリビニルピロリドン含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマを製造した後、酸化チタンを1〜20重量%含有するポリアミド組成物とブレンドすることにより、酸化チタンが所定濃度であるポリアミド組成物とし、しかる後溶融紡糸により製糸することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維の製造方法。
  6. ピロリドン含有率が0.1重量%以下かつK値が20〜70であるポリビニルピロリドンを、低酸素濃度の環境下で練り混み法によりポリカプロラクタムと混合させ、ポリビニルピロリドン含有量が10〜50重量%である高濃度マスタポリマを製造した後、ポリヘキサメチレンアジパミドとブレンドすることにより、ポリビニルピロリドンが所定濃度であるポリアミド組成物とし、しかる後溶融紡糸により製糸することを特徴とする高吸放湿ポリアミド繊維の製造方法。
  7. 請求項5または6記載のポリアミド組成物を溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い、1000m/分以上の速度で紡糸引取り、引き続いて延伸し巻取る方法、あるいは、溶融紡糸の後、給油および交絡処理を行い1000m/分以上の速度で紡糸引取りし実質的に延伸することなく巻取ることを特徴とする請求項5または6記載の高吸放湿ポリアミド繊維の製造方法。
  8. 交絡処理前と後との2段階で含水系油剤を給油することを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の高吸放湿ポリアミド繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016117177A1 (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 東レ株式会社 織編物
EP3642022A4 (en) * 2017-06-21 2021-08-04 Jonsman Innovation APS HYDROPHILIC, MOLDABLE POLYMER BLEND AND USES THEREOF

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