JP2006111992A - 高吸湿性ポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 寸法安定性に優れ、高吸湿性を示すポリアミド系繊維及び前記のようなポリアミド繊維を低コストで製造する方法を提供すること。
【解決手段】 ポリアミド46と少なくとも一種以上の他のポリマー成分をブレンドした繊維であって、他のポリマー成分が非晶状態で繊維中に存在する少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されてなり、沸水収縮率が10%以下であり、吸湿率が4%以上である高吸湿性ポリアミド繊維。およびポリアミド46とポリアミド6を構成比として65/35〜35/65の範囲で混合し、紡糸することを特徴とする前記の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】 ポリアミド46と少なくとも一種以上の他のポリマー成分をブレンドした繊維であって、他のポリマー成分が非晶状態で繊維中に存在する少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されてなり、沸水収縮率が10%以下であり、吸湿率が4%以上である高吸湿性ポリアミド繊維。およびポリアミド46とポリアミド6を構成比として65/35〜35/65の範囲で混合し、紡糸することを特徴とする前記の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は取り扱い性と快適性に優れた繊維に関し、ポリアミド46を特定のポリマーとブレンドし紡糸することにより得られる、寸法安定性に優れた高吸湿性ポリアミド繊維およびその製造方法に関するものである。
綿や羊毛等に代表される天然繊維は、その風合いや、むれ感がない等の着心地の良さが好まれている。この快適な着用感の主たる要因は、天然繊維が適度な吸湿性を有することにある。しかしながら、天然繊維は、しなやかさ、光沢感等審美性に欠けると共に、表面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等についても不十分である。また、耐摩耗性や強度も不十分でスポーツ用途には不向きである。
これに対しポリアミド繊維は、強度、しなやかさ、光沢感、発色性、染色堅牢性、耐摩耗性、ソフトさ等に優れた特性を有する。そのために、インナーウエアー、スポーツウエアー、パンティーストッキング等の衣料用繊維製品等に好まれてもちいられてきている。
従来、ポリアミド系繊維としては、ナイロン6がよく知られており、高強力で、耐久性に優れているため、種々の衣料用繊維製品に好んで用いられている。しかし、ナイロン6の平衡水分率(標準状態での吸湿性)は、ポリエステル繊維に比べて高いものの、吸湿性は天然繊維に比べて劣り、着用時の快適感は未だ不十分である。そのため、ナイロン6などのポリアミド系繊維の吸湿特性を改善する試みが、種々検討されてきている。
例えば、ポリアミド繊維にポリビニルピロリドンを添加し、重合時に還元剤を添加したポリアミド組成物から、吸湿性ポリアミド繊維を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開平7−150415号公報
特開平9−188917号公報
しかしながら、これらの方法では確かに吸湿性ポリアミド繊維を得ることができるが、たとえばポリビニルピロリドンは水溶性ポリマーであるために、ポリマーに添加した後でも、ポリマー表面にブリードアウトしてきたものが洗濯等で溶出するという懸念がある。また、沸水収縮率も10%以上と高いため、タンブル乾燥やアイロン等での取り扱いに注意しなければならない。
寸法安定性に優れたナイロン46の検討もされており、例えばナイロン6を芯成分、ナイロン46を鞘成分とした複合繊維で耐熱性と柔軟性に優れた繊維を得る検討もされている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平8−158160号公報
しかしながら、芯成分であるナイロン6の融点が220℃前後と低いため、エアバッグ等の瞬時にしか熱のかからない用途では問題ないが、高温時の耐久性が求められる分野では、ナイロン6の融点の低さが問題となる。また、紡糸においても複合紡糸するための複雑なノズルブロックを必要とするためコストが高くなってしまうという問題も残っている。
また、ナイロン46は球晶の成長が早いために最大延伸倍率が低く、速い速度で紡糸したり、十分に延伸することが困難で、強度を高くすることが難しい。球晶生成の問題を解決するために、従来より様々な試みが行われている(例えば、特許文献4参照。)。
特開昭63−112719号公報
しかしながら、口金より吐出された糸条に液体ミストを噴霧し冷却固化させるためには、特別な装置を備える必要があり、コストが高くなる問題がある。
本発明は、寸法安定性に優れ、高吸湿性を示すポリアミド系繊維を低コストで生産する方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1. ポリアミド46と少なくとも一種以上の他のポリマー成分をブレンドした繊維であって、他のポリマー成分が非晶状態で繊維中に存在する少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されてなり、沸水収縮率が10%以下であり、吸湿率が4%以上であることを特徴とする高吸湿性ポリアミド繊維。
2. 他のポリマー成分を構成するポリアミド化合物がポリアミド6であることを特徴とする上記第1に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
3. ポリアミド46と他のポリマー成分の構成比が65/35〜35/65であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
4. 20%伸張時の回復率が70%以上であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
5. 染料吸尽速度が60%以上であることを特徴とする上記第1から第4のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
6. DSC示差走査熱量分析装置による融解温度の吸熱ピーク温度が270℃以上にしか現れないことを特徴とする上記第1から第5のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
7. ポリアミド46とポリアミド6を構成比として65/35〜35/65の範囲で混合し、紡糸することを特徴とする上記第1から第6のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
8. 引き取り速度を2400m/min以上で紡糸することを特徴とする上記第7に記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
1. ポリアミド46と少なくとも一種以上の他のポリマー成分をブレンドした繊維であって、他のポリマー成分が非晶状態で繊維中に存在する少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されてなり、沸水収縮率が10%以下であり、吸湿率が4%以上であることを特徴とする高吸湿性ポリアミド繊維。
2. 他のポリマー成分を構成するポリアミド化合物がポリアミド6であることを特徴とする上記第1に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
3. ポリアミド46と他のポリマー成分の構成比が65/35〜35/65であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
4. 20%伸張時の回復率が70%以上であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
5. 染料吸尽速度が60%以上であることを特徴とする上記第1から第4のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
6. DSC示差走査熱量分析装置による融解温度の吸熱ピーク温度が270℃以上にしか現れないことを特徴とする上記第1から第5のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
7. ポリアミド46とポリアミド6を構成比として65/35〜35/65の範囲で混合し、紡糸することを特徴とする上記第1から第6のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
8. 引き取り速度を2400m/min以上で紡糸することを特徴とする上記第7に記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
本発明によれば、寸法安定性に優れ、高吸湿性を示す、取り扱い性と快適性に優れたポリアミド繊維の提供を可能となり、前記のようなポリアミド繊維を簡便かつ低コストで得る製造方法を提供することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド46とは1,4−ジアミノブタンとアジピン酸の縮合重合物であるポリテトラメチレンアジパミドであり、また本発明の目的を損なわない範囲で、さらにつや消し剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、制電剤、難燃剤などの添加物を配合しても良い。
本発明のポリアミド46とは1,4−ジアミノブタンとアジピン酸の縮合重合物であるポリテトラメチレンアジパミドであり、また本発明の目的を損なわない範囲で、さらにつや消し剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、制電剤、難燃剤などの添加物を配合しても良い。
ポリアミド46と共に構成されるポリマー成分については特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどのポリエステル、あるいは、例えばポリアミド6、ポリアミド66などのポリアミド、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。特にポリアミド46との親和性からポリアミドが好ましく、その中でも価格と非晶状態の形成しやすさ、吸湿性から、ポリアミド6が好ましい。
ポリアミド46と他のポリマー成分をブレンドする方法として、それぞれのポリマーを溶融状態で混合して剪断力をかけて均一化させてからストランドを押し出し、作成したチップを一般的な溶融紡糸装置へ供給する方法、ポリマーチップの平均的な表面積の差を20%以下とし、それぞれのポリマーをチップの状態で所定量混合し、ブレンダーで30分以上攪拌して均一化させた混合ポリマーを一般的な溶融紡糸装置へ供給する方法、それぞれのポリマーを二軸のエクストルーダーでそれぞれ溶融させてから混合し、スタティックミキサーでさらに均一化させて紡糸する方法、エクストルーダー直前でそれぞれのポリマーチップを定量供給し、攪拌装置を経てエクストルーダーへ供給して紡糸する方法等があるが、いずれを採用しても構わない。
また、ポリアミド46と混合されるポリアミドが非晶状態で存在するようにするためにはポリマーの分散レベルを高める必要があるので、紡糸工程ではエクストルーダー出口の圧力P1とノズル背圧P2の関係を下記式(1)の関係にするのが好ましく、また、エクストルーダー出口の直径D1とブレーカープレートの孔径D2と口金孔の直径D3の関係を下記式(2)の関係にするのが好ましい。
式(1) P1<P2
式(2) D1>D2>D3
理由は定かではないが、P1<P2の関係については、ノズル背圧をエクストルーダー出口の圧力よりも大きくすることで、ギアポンプから押し出される、つまり高圧領域に移動する時において一方のポリマーが選択的に密度が上がり、その瞬間に分子が移動しやすくなることで分散性が向上すると考える。また、D1>D2>D3の関係については、段々と通過するオリフィス径を小さくすることでポリマーに段階的に大きくなる剪断力がかかり、ポリマー間の分散性が向上すると考えている。
式(1) P1<P2
式(2) D1>D2>D3
理由は定かではないが、P1<P2の関係については、ノズル背圧をエクストルーダー出口の圧力よりも大きくすることで、ギアポンプから押し出される、つまり高圧領域に移動する時において一方のポリマーが選択的に密度が上がり、その瞬間に分子が移動しやすくなることで分散性が向上すると考える。また、D1>D2>D3の関係については、段々と通過するオリフィス径を小さくすることでポリマーに段階的に大きくなる剪断力がかかり、ポリマー間の分散性が向上すると考えている。
ポリアミド46と共に構成されるポリマー成分は少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されるが、親和性の観点からポリアミド化合物のみから構成されるのが好ましく、工業生産における管理の観点からは1種のポリアミドのみ、特にポリアミド6が好ましい。
ポリアミド46と共に構成されるポリマー成分はポリアミド46の溶融粘度よりも低い方が好ましい。紡糸工程において口金から吐出されたポリマーにかかる張力をポリアミド46の方に集中させることが、その他のポリマーを非晶状態で繊維化させるのに有効であるからである。好ましい相対粘度差は0.1以上であり、さらには0.3以上が一層好ましい。しかし、あまりに相対粘度差が大きいと紡糸操業性が悪化するので、好ましくは3以下であり、さらには2以下が一層好ましい。
ポリアミド繊維としての相対粘度は2.8以上5.0未満であることが好ましい。ポリアミド46と他のポリマーを混合した場合、この範囲で有れば紡糸操業性に問題なく製造しやすいためである。より好ましい範囲は3.0以上4.0未満である。
本発明でいう他のポリマー成分の非晶状態とは、結晶を構成していない状態を意味し、具体的にはDSC示差走査熱量分析装置における測定で融解による吸熱ピークを有さない、もしくは融解エンタルピーΔHが5cal/g以下である場合を指す。融点を有する結晶性のポリマーは、昇温過程においてその融点付近で結晶構造が崩れだし、固体状態から液体状態へ変化する。しかし、本発明の繊維は結晶性ポリマーでありながら繊維中に他のポリマー成分が非晶の状態で存在し、それ故に、吸湿性が向上するなどの本発明の重要な特徴を引き出す重要な要素となっている。そして、例えば通常のポリアミド6ポリマー単独の繊維であれば、通常220℃程度の温度領域に融解エンタルピーΔHが5cal/gを超える吸熱ピークを示すものである。しかしながら、例えば、他のポリマー成分としてポリアミド6を選択した本発明のブレンド繊維のDSC示差走査熱量分析装置における測定において、前記のような吸熱ピークは現れない。このことはポリアミド6が繊維中に非晶状態で存在していることを意味している。
本発明のポリアミド繊維はDSC示差走査熱量分析装置における測定で、吸熱ピーク温度が270℃以上にしか現れないことが好ましい。吸熱ピーク温度が270℃未満に現れる繊維であると、耐熱性が劣ったものとなるため好ましくない。より好ましい範囲は275℃以上であり、さらには280℃以上が一層好ましい。ポリアミド46の融点が290℃であるので、300℃以下には吸熱ピークは現れる。
本発明のポリアミド繊維は吸湿率が4%以上であることが好ましい。4%未満であると布帛にしたときにむれ感が残りやすくなるため好ましくない。より好ましくは5%以上である。高いほど好ましいが、通常10%程度である。
本発明の繊維におけるポリアミド46と他のポリマー成分の構成比が65/35〜35/65であることが好ましい。ポリアミド46の割合が65%を越えると特に引き取り速度が2000m/min以上では紡糸操業性が悪くなるので好ましくない。また35%未満になると他のポリマーが結晶化しやすくなり、吸湿性が劣ったものとなりやすいので好ましくない。より好ましくは60/40〜40/60であり、さらには55/45〜45/55が一層好ましい。
本発明のポリアミド繊維は20%伸張時の回復率が70%以上であることが好ましい。ポリアミド46と混合する通常繊維としたときに伸縮性を有さないその他のポリマーを非晶状態で繊維中に存在させることによって伸縮回復率が得られることを見いだした。より好ましくは75%以上が好ましい。
本発明のポリアミド繊維は染料吸尽速度が60%以上であることが好ましい。本発明のポリアミド繊維は非晶状態のポリマーが多く存在することで染料吸尽速度が60%以上となりやすい。60%以上であれば染色加工時間を短縮できたり、あるいは染色温度を低くすることができるため、エネルギーコストが安くなる。より好ましくは70%以上であり、さらには80%以上が一層好ましい。非晶状態のポリマーを多くしすぎると糸強度が低くなりやすいので上限としては95%以下が好ましい。
本発明のポリアミド繊維は沸水収縮率が0〜10%であることが好ましい。10%を越えると通常のポリアミド繊維と同じく、タンブラー乾燥やアイロンによる収縮が起こりやすいので好ましくない。より好ましい範囲は0〜8%である。
沸水収縮率を0〜10%の範囲にするための好ましい製造方法としては紡糸速度を2400m/min以上とすることである。ポリアミド46は結晶化しやすいため沸水収縮率も低くしやすいが、一方、紡糸速度は遅くしなければならなかったり、特殊な冷却をしなければならずコストの高いものとなっていた。しかし本発明においては低コストで低収縮率のポリアミド繊維を得ることができる。ただ、引き取り速度が3500m/min以上では紡糸操業性が悪くなるので好ましくない。なお、ポリアミド繊維はポリアミドマルチフィラメントであることが好ましい。
次に本発明のポリアミド繊維の製造法について説明する。
本発明のポリアミド繊維は、ポリアミド46とその他のポリマー、好ましくはポリアミド6とを混合紡糸したものであり、少なくともナイロン46を10重量%以上、好ましくは35%以上65%以下となるように混合紡糸する。本発明のポリアミド繊維はポリアミドマルチフィラメントであることが好ましい。
低収縮率の糸とするためには引き取り速度を2400m/min以上、好ましくは2700〜3500m/min、より好ましくは2900〜3300m/minで引き取り、つづけて1.3〜2.5倍、好ましくは1.5〜2.3倍で延伸するのが好ましい。2400m/min未満では高収縮な糸となりやすい為好ましくない。あまり速すぎると紡糸操業性が悪化する為、6000m/min以下であるのが好ましい。延伸倍率は、紡糸速度と必要とされる糸の強伸度の強伸度から1.3倍以上で延伸することが好ましく、1.3倍未満では強度が不足しやすく、また、2.5倍を越えると糸切れが発生しやすくなるためあまり好ましくない。
繊維の断面形状は、断面形状も円形、中空、星型、多葉、扁平、C型、V型、W型、I型等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
高吸湿性ポリアミド繊維は、通常の方法で後加工や製編織され、縫製されて、各種衣料用製品とされる。なかでも、直接肌に着用されるインナーウエアー(ランジェリー、ファウンデーション等)や靴下(ストッキング、パンティーストッキング、タイツあるいはソックス等)、あるいは、発汗し易い状態で着用されるスポーツウエアー(ウインドブレーカー、テニスウエアー、スキーウエアー、トレーニングウエアー等)として好適である。
以下に、実施例を例示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中における測定及び評価は下記のようにおこなった。
(A)DSC示差走査熱量分析装置による融解温度の吸熱ピーク
サンプルは繊維を細かく刻んだものを約5mg用い、マックサイエンス製DSC3100Sで、室温から330℃まで昇温速度10℃/分、アルゴンガス雰囲気下で測定した。
サンプルは繊維を細かく刻んだものを約5mg用い、マックサイエンス製DSC3100Sで、室温から330℃まで昇温速度10℃/分、アルゴンガス雰囲気下で測定した。
(B)吸湿率
筒編み地を作成し、約70℃の湯で油剤を洗い落とす。温度105℃で2時間乾燥して重量SOを測定し、その後、温度20℃ 湿度65%RHの条件下で24時間調湿して重量S1を測定し下記1式で吸湿W0を求める。
W0(%)={(S1−S0)/S0}×100
筒編み地を作成し、約70℃の湯で油剤を洗い落とす。温度105℃で2時間乾燥して重量SOを測定し、その後、温度20℃ 湿度65%RHの条件下で24時間調湿して重量S1を測定し下記1式で吸湿W0を求める。
W0(%)={(S1−S0)/S0}×100
(C)20%伸張時の回復率
テンシロン測定機で100%/minの速度で20%伸張させ、ホールド時間無く、すぐにアンロードさせ無緊張状態になる伸度Sをチャートから読みとる。そして回復率を次のようにあらわす。
回復率(%)={(20 −S )/20}×100
テンシロン測定機で100%/minの速度で20%伸張させ、ホールド時間無く、すぐにアンロードさせ無緊張状態になる伸度Sをチャートから読みとる。そして回復率を次のようにあらわす。
回復率(%)={(20 −S )/20}×100
(D)染料吸尽速度
筒編み地を作成し、約70℃の湯で油剤を洗い落とす。染料としてサイアニン5Rを3%owf用い、浴比1:50で浴槽にサンプルを入れ、初期温度として24℃から速度1℃/分の条件で昇温し、10分後の染料吸尽率を染料吸尽速度とする。
筒編み地を作成し、約70℃の湯で油剤を洗い落とす。染料としてサイアニン5Rを3%owf用い、浴比1:50で浴槽にサンプルを入れ、初期温度として24℃から速度1℃/分の条件で昇温し、10分後の染料吸尽率を染料吸尽速度とする。
(E)沸水収縮率
繊度×1/30gに相当する荷重を加え、原糸50.0cmの長さにあらかじめ印を付けておきガーゼに包んだ後、沸水中に30分間浸漬し風乾後同荷重を加えて印の間の長さLを測定し、以下の式で算出した。
沸水収縮率(%)=100×(50−L)/50
繊度×1/30gに相当する荷重を加え、原糸50.0cmの長さにあらかじめ印を付けておきガーゼに包んだ後、沸水中に30分間浸漬し風乾後同荷重を加えて印の間の長さLを測定し、以下の式で算出した。
沸水収縮率(%)=100×(50−L)/50
(F)相対粘度
96.3±0.1重量%試薬特級濃硫酸中に重合体濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調整し、20℃±0.05℃の温度で水落下秒数6〜7秒のオストワルド粘度計を用い、溶液相対粘度を測定する。測定に際し、同一の粘度計を用い、サンプル溶液を調整したときと同じ硫酸20mlの落下時間T0(秒)と、サンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)の比より、相対粘度RVを下記の式を用いて算出する。
相対粘度(RV)=T1/T0
96.3±0.1重量%試薬特級濃硫酸中に重合体濃度が10mg/mlになるように試料を溶解させてサンプル溶液を調整し、20℃±0.05℃の温度で水落下秒数6〜7秒のオストワルド粘度計を用い、溶液相対粘度を測定する。測定に際し、同一の粘度計を用い、サンプル溶液を調整したときと同じ硫酸20mlの落下時間T0(秒)と、サンプル溶液20mlの落下時間T1(秒)の比より、相対粘度RVを下記の式を用いて算出する。
相対粘度(RV)=T1/T0
(実施例1)
相対粘度3.6のポリアミド46と相対粘度3.1のポリアミド6のチップを1:1の割合で混合し、ブレンダーにて1時間乾燥した。それぞれのチップの平均的な表面積の差は10%であった。ブレンドしたチップを一軸のエクストルーダーで溶融し、孔径が0.24mmφ、孔数が36ホールの口金を使用して溶融紡糸した。その際、速度が3000m/minで引き取り、延伸温度が室温、セットローラー温度が140℃間で1.7倍に延伸を施し44T/36の延伸糸を5100m/minで巻き取った。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。得られた延伸糸の物性を表1に示す。
相対粘度3.6のポリアミド46と相対粘度3.1のポリアミド6のチップを1:1の割合で混合し、ブレンダーにて1時間乾燥した。それぞれのチップの平均的な表面積の差は10%であった。ブレンドしたチップを一軸のエクストルーダーで溶融し、孔径が0.24mmφ、孔数が36ホールの口金を使用して溶融紡糸した。その際、速度が3000m/minで引き取り、延伸温度が室温、セットローラー温度が140℃間で1.7倍に延伸を施し44T/36の延伸糸を5100m/minで巻き取った。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。得られた延伸糸の物性を表1に示す。
(実施例2)
ポリアミド6の混率を30%とした以外は実施例1に従った。操業性があまり良くなかったので、紡糸速度を1700m/minに変更して、サンプル採取した。得られた糸条をDSC分析したところポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。
ポリアミド6の混率を30%とした以外は実施例1に従った。操業性があまり良くなかったので、紡糸速度を1700m/minに変更して、サンプル採取した。得られた糸条をDSC分析したところポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。
(実施例3)
ポリアミド6の混率を70%とし、引き取り速度3500m/min、延伸倍率1.46倍に変更した以外は実施例1に従った。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。得られた延伸糸の物性を表1に示す。
ポリアミド6の混率を70%とし、引き取り速度3500m/min、延伸倍率1.46倍に変更した以外は実施例1に従った。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していたことから、ポリアミド6が非晶状態で存在していることがわかった。得られた延伸糸の物性を表1に示す。
(比較例1)
引き取り速度が1900m/min、延伸倍率が2.6倍、延伸温度を70℃、セット温度を110℃とした以外は実施例1と同じ条件で製造し延伸糸を得た。
引き取り速度が1900m/min、延伸倍率が2.6倍、延伸温度を70℃、セット温度を110℃とした以外は実施例1と同じ条件で製造し延伸糸を得た。
(比較例2)
実施例1の延伸糸Aに関して、ポリアミド6の混率を20%とし、引き取り速度を2200m/minとし、巻き取り速度を3740m/minにした以外は実施例1に従って、延伸糸A‘の単独糸を得た。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していた。得られた繊維は沸水収縮率が高かった。
実施例1の延伸糸Aに関して、ポリアミド6の混率を20%とし、引き取り速度を2200m/minとし、巻き取り速度を3740m/minにした以外は実施例1に従って、延伸糸A‘の単独糸を得た。得られた糸条をDSC分析したところ、ポリアミド6の融点(220℃)付近には吸熱ピークが存在せず、286℃に吸熱ピークが存在していた。得られた繊維は沸水収縮率が高かった。
(比較例3)
相対粘度3.5のポリアミド6のチップのみを用いた以外は実施例1に従った。延伸糸Aの条件で得られた延伸糸Cと延伸糸Bの条件で得られた延伸糸Dを得た。得られた糸条をDSC分析したところ、延伸糸C,Dともにポリアミド6の融点(220℃)付近に吸熱ピークが存在していた。得られた布帛は特に膨らみのない風合いに乏しい織物であった。
相対粘度3.5のポリアミド6のチップのみを用いた以外は実施例1に従った。延伸糸Aの条件で得られた延伸糸Cと延伸糸Bの条件で得られた延伸糸Dを得た。得られた糸条をDSC分析したところ、延伸糸C,Dともにポリアミド6の融点(220℃)付近に吸熱ピークが存在していた。得られた布帛は特に膨らみのない風合いに乏しい織物であった。
(比較例4)
ポリビニルピロリドンを8重量%とε−カプロラクタムとで重合し、チップを得、紡糸速度1500m/minで延伸倍率1.9倍の直接紡糸延伸法にて吸湿性ポリアミドを得た。得られた糸条をDSC分析したところ200℃近辺に吸熱ピークを有していた。得られた繊維の物性を表1に示す。
ポリビニルピロリドンを8重量%とε−カプロラクタムとで重合し、チップを得、紡糸速度1500m/minで延伸倍率1.9倍の直接紡糸延伸法にて吸湿性ポリアミドを得た。得られた糸条をDSC分析したところ200℃近辺に吸熱ピークを有していた。得られた繊維の物性を表1に示す。
(比較例5)
ポリアミド46のみを溶融紡糸した以外は実施例1の延伸糸Aの製造条件に従った。断糸が多発し、巻取ができなかった。
ポリアミド46のみを溶融紡糸した以外は実施例1の延伸糸Aの製造条件に従った。断糸が多発し、巻取ができなかった。
(比較例6)
ポリアミド46の代わりにポリアミド66を用いた以外は実施例1の延伸糸Aの製造条件に従った。得られた糸条をDSC分析したところ260℃とポリアミド6の融点(220℃)付近にも吸熱ピークを有していた。得られた繊維の物性を表1に示す。
ポリアミド46の代わりにポリアミド66を用いた以外は実施例1の延伸糸Aの製造条件に従った。得られた糸条をDSC分析したところ260℃とポリアミド6の融点(220℃)付近にも吸熱ピークを有していた。得られた繊維の物性を表1に示す。
本発明のポリアミド繊維は、吸湿性に優れ、かつ風合いを損なわず、熱による収縮が低く、製品におけるタンブラー乾燥に耐えうるものであり、衣料用途の他、生活資材用途や産業資材用途などに広い使途を有するものである。
1:吸熱ピーク
Claims (8)
- ポリアミド46と少なくとも一種以上の他のポリマー成分をブレンドした繊維であって、他のポリマー成分が非晶状態で繊維中に存在する少なくとも一種以上のポリアミド化合物から構成されてなり、沸水収縮率が10%以下であり、吸湿率が4%以上であることを特徴とする高吸湿性ポリアミド繊維。
- 他のポリマー成分を構成するポリアミド化合物がポリアミド6であることを特徴とする請求項1に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
- ポリアミド46と他のポリマー成分の構成比が65/35〜35/65であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
- 20%伸張時の回復率が70%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
- 染料吸尽速度が60%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
- DSC示差走査熱量分析装置による融解温度の吸熱ピーク温度が270℃以上にしか現れないことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維。
- ポリアミド46とポリアミド6を構成比として65/35〜35/65の範囲で混合し、紡糸することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
- 引き取り速度を2400m/min以上で紡糸することを特徴とする請求項7に記載の高吸湿性ポリアミド繊維の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2004298569A JP2006111992A (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 高吸湿性ポリアミド繊維およびその製造方法 |
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