JP6996339B2 - 蒸着基材用ポリエチレン系フィルム及びそれを用いた蒸着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂を用いた蒸着基材用ポリエチレン系フィルム及び上記ポリエチレン系フィルムに蒸着層が蒸着された蒸着フィルムに関する。
蒸着を施したポリエチレン系フィルムは、食品包装、衣料包装などの包装材料、金銀糸、ラベル、ステッカー、反射シート等に広く利用されており、これまでにも蒸着用の原反がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には有機滑剤を無添加とする一方で粒径が2~5μmの無機系アンチブロッキング剤を使用することで滑り性を向上させているが、アンチブロッキング剤の種類は特に限定されておらず、実施例のようにアンチブロッキング剤をゼオライトとすると、ゼオライトを含む長尺フィルムに蒸着を施した場合、蒸着フィルムのバリア性が不十分となる。
昨今では蒸着機の大型化が進んでいる。そのため、長尺化、広幅化した蒸着用の原反に大型蒸着機を用いて蒸着を施した場合であっても、蒸着フィルムはバリア性を有することが求められている。
特開2001-225409号公報
長尺化、広幅化した蒸着用の原反に大型蒸着機を用いて蒸着を施した蒸着フィルムが、冷却ドラムへの密着性を上げる為に張力を上げた場合であっても、偏肉によって巻きが硬くなったりした箇所や長尺巻きの巻芯部で巻きが硬くなったりした箇所であっても優れたバリア性を有する蒸着基材用ポリエチレン系フィルムを提供することを課題として掲げる。また、上記蒸着基材用ポリエチレン系フィルムを用いた蒸着フィルムを提供することを課題として掲げる。
本発明者らは鋭意検討した結果、蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムにおいて、上記蒸着層側の表面をラミネート層とし、他方の表面をシール層とし、シール層に、所定の硬度を持つ無機粒子を含有させ、(i)該無機粒子の平均粒径を所定の範囲内とする及び/又は(ii)上記シール層を所定の表面形状とすることによって、ラミネート層表面が平滑なフィルムを得ることができ、かつ、上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムであって、上記ポリエチレン系フィルムは、蒸着層側の表面となるラミネート層と、他方の表面となるシール層とを少なくとも有し、上記シール層は、無機粒子を含んでおり、上記シール層に含有されている上記無機粒子のモース硬度は上記蒸着層を形成する蒸着物質のモース硬度以下であり、かつ、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
(i)上記シール層に含有されている上記無機粒子の平均粒径が5μm以上15μm以下である
(ii)上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが6μm以下である
上記ラミネート層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度は0.91~0.95g/cmであり、上記シール層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度は0.90~0.94g/cmであることが好ましい。
上記シール層中の無機粒子の含有量は0.5~3.0質量%であることが好ましい。
上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが5μm以下であることが好ましい。
上記ラミネート層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度が上記シール層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度よりも高いことが好ましい。
上記ラミネート層における無機粒子の含有率は0.1質量%未満であることが好ましい。
上記ラミネート層及び上記シール層の間に介在する中間層を有することが好ましい。
また、本発明は、蒸着基材用ポリエチレン系フィルムのラミネート層表面に蒸着層が蒸着された蒸着フィルムも包含する。
本発明のポリエチレン系フィルムは、大型蒸着機を用いて高速で蒸着加工した場合であっても、全長、全幅に渡って優れたバリア性を有する。
本発明のフィルムは、蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムである。上記ポリエチレン系フィルムは、蒸着層側の表面となるラミネート層(以下、A層ということがある)と、他方の表面となるシール層(以下、B層ということがある)とを少なくとも有している。上記ラミネート層及び上記シール層の間に介在する中間層を有することが好ましい。少なくともラミネート層(A層)及びシール層(B層)はポリエチレン系樹脂から形成されており、好ましくは中間層もポリエチレン系樹脂から形成されている。なおB層には、後述する所定の無機粒子が含まれている。また、上記ポリエチレン系フィルムの厚みは300μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは20μm以上100μm以下であり、特に好ましくは30μm以上50μm以下である。
<シール層(B層)>
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂とは、ポリエチレンを主体とした樹脂であり、具体的には、ポリエチレン系樹脂100質量%中において、エチレン由来成分が50質量%超100質量%以下である樹脂のことである。エチレン由来成分が60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。シール層(B層)のポリエチレン系樹脂は、好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)であり、より好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンのみを重合して得られるポリエチレンであってもよく、エチレンとエチレン以外のα-オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよいが、エチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。エチレン・α-オレフィン共重合体とは、具体的には、エチレン由来の構成単位を主成分とし、エチレン以外のα-オレフィン由来の1種又は2種以上の構成単位を有するエチレン・α-オレフィン共重合体のことである。エチレン・α-オレフィン共重合体は、直鎖状エチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。
B層に用いられる直鎖状エチレン・α-オレフィン共重合体を形成するエチレン以外のα-オレフィンは、一般式R-CH=CH(式中Rは炭素数1~14のアルキル基を示す)で表すことができ、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン
、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセンなどが挙げられる。エチレン以外のα-オレフィンは、炭素数3~10のα-オレフィンであることが好ましく、炭素数3~8のα-オレフィンであることがより好ましい。エチレン以外のα-オレフィンは1種でも2種以上でもよい。
B層で用いられるポリエチレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(メタロセン触媒系ポリエチレン)であることが好ましい。メタロセン触媒系ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリエチレンなどの他の製造方法で作製されたポリエチレンと比べて分子量分布が狭いため、A層への低分子量成分の転写を抑制することができ、表面が平滑なフィルムとなる。
メタロセン触媒は特に限定されず、メタロセン、即ち、置換または未置換のシクロペンタジエニル環2個と各種の遷移金属で構成されている錯体からなる遷移金属成分と、有機アルミニウム成分、特にアルミノキサンとからなる触媒の総称であり、公知のメタロセン触媒を用いることができる。
B層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度は0.94g/cm以下であることが好ましく、0.90~0.94g/cmであることがより好ましく、0.90~0.93g/cmであることがさらに好ましく、0.90~0.92g/cmであることが特に好ましい。密度が0.94g/cm以下である低密度ポリエチレンを用いることによって、ポリエチレン系フィルムは、蒸着加工時にシワやコブが発生しにくい蒸着加工性に優れたフィルムとなる。また、低密度ポリエチレンを用いることによって、蒸着したフィルムにさらにポリエチレンテレフタレートフィルムやナイロンフィルムなどの別のフィルムを積層したラミネートフィルム(以下、単にラミネートフィルムという)の経時後における低温ヒートシール性(以下、単に低温ヒートシール性という)が優れている。さらに、低密度ポリエチレンを用いることによって、ポリエチレン系フィルムを重ねてもフィルム間で密着(ブロッキング)が起こらず、また起こったとしても簡単に剥がれ得る(すなわち、耐ブロッキング性に優れる)。ポリエチレン系樹脂の密度が0.90g/cm未満であると、蒸着加工性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりするおそれがある。また、ポリエチレン系樹脂の密度が0.94g/cmを超えると低温ヒートシール性が不十分となるおそれがある。
B層に用いられるポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が1~10g/10minであることが好ましく、2~8g/10minであることがより好ましく、3.5~6g/10minであることがさらに好ましい。MFRが1g/10min未満であると、フィルム作製時における樹脂の押出性が悪く、製膜性が劣るおそれがある。また、MFRが10g/10minを超えると、蒸着加工性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりするおそれがある。なお、本明細書において、MFRは、JIS K 7210に準拠して測定されている。
B層に用いられるポリエチレン系樹脂の融点は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、105℃以上であることがさらに好ましく、110℃以上であることが特に好ましい。融点が80℃未満であるとブロッキングをおこしやすくなる。ポリエチレン系樹脂の融点の上限は特に限定されないが、例えば150℃以下であり、好ましくは130℃以下である。融点が150℃以下であるとフィルムの製膜性に優れる。なお、融点ピークが2つ以上ある場合は、最も高い温度を融点とする。
B層に用いられるポリエチレン系樹脂としては、市販品を用いることも可能であり、例えば、宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FC、0540F、プライムポリマー社製エボリュー(登録商標)SP2040などが挙げられる。
(無機粒子)
B層に含有されている無機粒子のモース硬度は、蒸着層を形成する蒸着材料のモース硬度以下であり、好ましくはB層に含有されている無機粒子のモース硬度は蒸着材料のモース硬度よりも1以上小さく、より好ましくはB層に含有されている無機粒子のモース硬度は蒸着材料のモース硬度よりも1.5以上小さい。
無機粒子のモース硬度が蒸着材料のモース硬度よりも低ければ低いほど、上記無機粒子によりB層に形成された突起が、A層側に設けられた蒸着層に強く接触した場合でも、突起は蒸着層を簡単には貫通せず、蒸着層を押し延ばしながらゆっくりと突き破るように押し込まれる。そのため、蒸着層が押し延ばされた部分にわずかに割れが生じることはあるが、上記突起により蒸着層に窪みができたとしても、上記割れが生じた箇所以外では蒸着層は残存し易い。また、蒸着層上に、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムなどの別のフィルムをラミネートすると、わずかに存在する蒸着層の割れが塞がれるため、高いバリア性を有する。
一方、無機粒子のモース硬度が蒸着材料のモース硬度よりも高いと上記突起は瞬間的に蒸着層を貫通して、突起によって出来た穴の周縁に蒸着層が押しやられて、バリア性が低下してしまい、仮に蒸着層上に上記別のフィルムをラミネートしてもバリア性は回復しない。
B層に用いられる無機粒子のモース硬度は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。フィルムに滑り性を付与するために無機粒子でB層表面に突起が形成されているが、無機粒子の硬度が3を超えると蒸着フィルムがロールに巻き取られたときに上記突起が蒸着層へ転写され、蒸着層に欠損が生じやすくなり、ひいてはバリア性が低下しやすくなる。無機粒子のモース硬度の下限は特に限定されないが、例えば0.1以上であり、好ましくは0.5以上である。
無機粒子としては、例えば、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、無機粒子のモース硬度が上記蒸着材料のモース硬度以下であれば特に限定されない。
以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすことによって、フィルムの外観やバリア性を向上させることができる。
(i)上記シール層に含有されている上記無機粒子の平均粒径が5μm以上15μm以下である
(ii)上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが6μm以下である
B層に用いられる無機粒子の平均粒径を5μm以上15μm以下とすることによって、フィルムの外観やバリア性のみならず、滑り性、耐ブロッキング性を向上させることができる。無機粒子の平均粒径は、好ましくは6μm以上12μm以下であり、より好ましくは7μm以上10μm以下である。
また、B層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、B層表面の最大山高さSRmaxが6μm以下であることにより、フィルムの外観とバリア性とを両立することができる。バリア性向上の観点からは、三次元表面粗さSRaが0.05~0.17μmであることがより好ましく、0.10~0.15μmであることがさらに好ましい。また、バリア性や滑り性の向上の観点からは、最大山高さSRmaxが5μm以下であることがより好ましく、1~5μmであることがさらに好ましく、1~4.5μmであることが特に好ましく、2~4.5μmであることが最も好ましい。三次元表面粗さSRa及び最大山高さSRmaは無機粒子の平均粒径と添加量によって調整することができる。なお、三次元表面粗さSRaは、粗さ曲面と粗さ曲面の中心面との高さ方向の差をとり、その絶対値の平均値であり、最大山高さSRmaxは、粗さ曲面の最大値と最小値の差である。
上記の表面粗さを満たすようにするために、B層における無機粒子の含有量は0.5~3.0質量%であることが好ましい。0.5質量%より少ないとバリア性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したり、蒸着加工性が低下したりするおそれがある。3.0質量%より多いとフィルムの外観が悪化したり、押出機に供給されたポリエステルを溶融してフィルターで濾過する際にフィルターが詰まったりするおそれがある。無機粒子の含有量
は1.0~2.0質量%であることがより好ましい。
B層における有機滑剤の含有率は0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。有機滑剤の含有率が0.2質量%を超えると、ラミネートフィルムとしたときに密着性が低下するおそれがある。有機滑剤は、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドや高分子ワックスが挙げられる。また、B層において、有機滑剤の含有率は0.05質量%以下であることがより好ましく、0質量%(B層には有機滑剤が含有されていない)であることがさらに好ましい。
本発明のポリエチレン系フィルムにおいて、B層は包装材料のシール層として使用できる。すなわち、B層同士をシールすることによって包装材料とすることができる。よって、本発明のポリエチレン系フィルムは、低温ヒートシール性を有することが好ましい。
<ラミネート層(A層)>
(ポリエチレン系樹脂)
ラミネート層(A層)を形成するポリエチレン系樹脂は、シール層(B層)を形成するポリエチレン系樹脂と同様の単量体(ポリエチレン、α-オレフィン等)から構成され、ポリエチレンの割合もシール層(B層)で示した範囲と同等の範囲から選択できる。
またB層の場合と同様、A層のポリエチレン系樹脂もまた、エチレンのみを重合して得られるポリエチレンであってもよく、エチレンとエチレン以外のα-オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよく、エチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。α-オレフィンの具体例も、B層の場合と同様である。
一方、A層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度はB層と異なる範囲から選択でき、具体的には0.91~0.95g/cmであることが好ましく、低分子量成分のブリードアウトを少なくする観点からは0.92~0.95g/cmであることがより好ましく、0.925~0.94g/cmであることがさらに好ましく、0.93~0.935g/cmであることが特に好ましい。密度が上記範囲外である場合、蒸着層の金属光沢性(以下、単に光沢性という)が低下したり、フィルムにカールが生じたりするおそれがある。また、A層に用いられるポリエチレンの密度はB層に用いられるポリエチレンの密度よりも高いことが好ましく、A層に用いられるポリエチレンの密度はB層に用いられるポリエチレンの密度よりも0.01g/cm以上高いことがより好ましい。
A層に用いられるポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が1~10g/10minであることが好ましく、2~8g/10minであることがより好ましく、3.5~6g/10minであることがさらに好ましい。MFRが1g/10min未満であると、フィルム作製時における樹脂の押出性が悪く、製膜性が劣るおそれがある。また、MFRが10g/10minを超えると、フィルムの耐ブロッキング性が低下するおそれがある。
A層に用いられるポリエチレン系樹脂の融点は、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。融点が110℃未満であると蒸着層を形成する際にA層表面が軟化し、蒸着層の光沢性が低下するおそれがある。ポリエチレン系樹脂の融点の上限は特に限定されないが、例えば160℃以下であり、好ましくは140℃以下である。融点が160℃以下であるとフィル
ムの製膜性に優れる。なお、融点ピークが2つ以上ある場合は、最も高い温度を融点とする。
A層で用いられるポリエチレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(メタロセン触媒系ポリエチレン)であることが好ましい。メタロセン触媒系ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリエチレンなどの他の製造方法で作製されたポリエチレンと比べて分子量分布が狭いため、低分子量成分のブリードアウトを少なくすることができる。なお、ポリエチレン系樹脂の定義はB層と同じである。
A層における無機粒子の含有率は0.1質量%未満であることが好ましい。また、A層における有機滑剤の含有率は0.1質量%未満であることが好ましい。有機滑剤及び無機粒子の具体例は、B層で述べたものと同様のものが挙げられる。また、A層において、有機滑剤及び無機粒子の含有率はそれぞれ0.05質量%以下であることがより好ましく、0質量%(A層には有機滑剤及び無機粒子が含有されていない)であることがさらに好ましい。
A層に用いられるポリエチレン系樹脂としては、市販品を用いることも可能であり、例えば、宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)3540F、4040FCなどが挙げられる。
<中間層>
本発明のポリエチレン系フィルムは、A層とB層との間に必要により中間層を有してもよく、中間層を1層以上有していることが好ましい。中間層に用いられる樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
中間層を形成するポリエチレン系樹脂は、シール層(B層)を形成するポリエチレン系樹脂と同様の単量体(ポリエチレン、α-オレフィン等)から構成され、ポリエチレンの割合もシール層(B層)で示した範囲と同等の範囲から選択できる。
またB層の場合と同様、中間層のポリエチレン系樹脂もまた、エチレンのみを重合して得られるポリエチレンであってもよく、エチレンとエチレン以外のα-オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよく、エチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましい。α-オレフィンの具体例も、B層の場合と同様である。さらには、ポリエチレン系樹脂の製造方法も、B層の場合と同様である。
ポリエチレン系樹脂の密度は0.94g/cm以下であることが好ましく、0.90~0.94g/cmであることがより好ましく、0.90~0.93g/cmであることがさらに好ましく、0.90~0.92g/cmであることが特に好ましい。中間層のポリエチレン系樹脂のMFR、融点などは、B層と同様の範囲で設定できる。
また、中間層における有機滑剤及び無機粒子の含有率はそれぞれ0.1質量%未満であることが好ましい。有機滑剤及び無機粒子の具体例は、B層で述べたものと同様のものが挙げられる。また、中間層において、有機滑剤及び無機粒子の含有率はそれぞれ0.05質量%以下であることがより好ましく、0質量%(中間層には有機滑剤及び無機粒子が含有されていない)であることがさらに好ましい。
<フィルムの製造方法など>
本発明のポリエチレン系フィルムは、例えば、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形法、キャスト成形法、プレス成形法等によってフィルム状に製膜することにより作製することができるが、長尺化及び広幅化したフィルムとするためにはTダイ法を用いて作製することが好ましい。
2層以上の積層方法としては共押出法が生産性から有利であるが、性能を維持できるのであれば特に積層方法は限定されない。また、A層の平滑性を上げる為や、生産コストを下げる為に回収原料を使用してもよい。
本発明のポリエチレン系フィルムには、蒸着層とA層との密着強度が悪化せず、低温ヒートシール性が悪化しない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、紫外線吸収剤、核剤などを添加してもよい。ただし、A層用組成物に上記添加を行う場合は、A層における無機粒子の含有率が0.1質量%以上とならないようにする。
蒸着層とA層との密着強度を高めるために、フィルムのA層表面に蒸着を施す前に公知の表面処理を施してもよく、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理をA層表面に施してもよい。上記表面処理の場合は、放電後のJIS K6768で測定した濡れ張力が37mN/m以上となるように処理するのが好ましく、39mN/m以上となるように処理するのがより好ましい。
<蒸着層>
本発明のポリエチレン系フィルムのA層表面に蒸着材料を蒸着すると、無機粒子がほとんど又は全く含まれていないA層表面は平坦であるため、緻密な蒸着層を備えた蒸着フィルムとなる。一方、B層表面には無機粒子に起因する突起があるものの、急峻な突起ではなく、なだらかな突起である。そのため、蒸着フィルムがロールに巻き取られたときに上記突起が蒸着層へ転写されたとしても、無機粒子の硬度が蒸着材料の硬度より低いので、蒸着層に欠損が生じにくく、バリア性を維持することができる。また、B層表面に突起が設けられていることによって、B層とA層とのブロッキングが生じにくい、すなわち、耐ブロッキング性が向上するため、蒸着基材用フィルムからなるフィルムロールからフィルムを繰り出して、蒸着加工がスムーズに行うことができ、得られた蒸着フィルムにシワやコブが生じにくい。
本発明のポリエチレン系フィルムに蒸着材料を蒸着する方法は、特に限定されるものではなく、公知の手段を用いて行えばよく、例えば、連続式またはバッチ式真空蒸着機により、電熱加熱、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビーム等により行うことができる。このようにして得られる蒸着フィルムの蒸着層の厚みは特に限定されないが、接着性、耐久性、経済性の点から一般的には数百オングストロームまたは光学濃度(OD値)で2~4程度である。
A層表面に蒸着させる蒸着材料は金属であることが好ましい。金属は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、セレン、ゲルマニウム、スズ等を挙げることができ、作業性、光沢性、安全性、コスト等の観点からアルミニウムであることが好ましい。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明に包含される。
まず、実施例で用いた測定・評価方法について、以下説明する。
<モース硬度>
無機粒子として粉砕前の鉱物のモース硬度をモース硬度表から求めた。具体的には、粉砕前の鉱物に対し硬度の小さい標準物質から順番にこすり合わせ、測定物に傷がつくかつかないかを目視で確認し、測定物の硬度を判定した。
上記の判定方法とは別の方法でもモース硬度の測定を行った。フィルムを灰化させた残渣またはフィルムを熱溶媒に溶融後、フィルターろ過した残渣について後述の測定方法でラマンスペクトルを測定した。そして、ラマン分光法により、一致する鉱物のモース硬度をモース硬度表から求めた。ラマン分光法により求めたモース硬度も、粉砕前の鉱物のモース硬度と同じ硬度となった。
レーザーラマン顕微鏡であるナノフォトン社製RAMAN-11を用いて顕微ラマン散乱測定を行い、ラマンスペクトルを得た。なお、ラマン散乱測定の測定条件は以下の通りとしており、適当なラマン散乱強度が得られるようにフィルターでレーザー強度を調整して測定を行った。
<ラマン散乱測定の測定条件>
照射光波長:532nm
アパーチャー:50μmΦ
対物レンズの倍率:50倍
対物レンズの開口数:0.6
露光時間:30秒
露光回数(積算回数):2回
<平均粒径>
無機粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度径分布測定装置(島津製作所社製SALD-3100)を用いて、湿式で、体積分布基準で測定した。
<密度>
ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K 6922-1に準拠し、メルトインデクサーの押出物で測定した。
<表面粗さ>
JIS B 0601に準拠し、三次元表面粗さ計(小坂研究所社製 Surfcorder ET4000A)を使用して、カットオフ0.08mm、1μm長さ、2μmピッチで100本の測定を行い、B層表面の三次元表面粗さSRa、最大山高さSRmaxを求めた。
<耐ブロッキング性>
12cm×10cmのサイズのポリエチレン系フィルムをB層の表面とA層の表面とで重ねた上に10cm×10cmの紙を乗せたものを1セットとし、5セット重ねた積層体を厚さ5mmのガラス板で挟みこんだ。このガラス板の上に50kgの荷重をかけ40℃で48時間放置した。常温に戻したあと上記積層体を25mm幅にカットした。島津製作所社製オートグラフ(登録商標)を用いて、上記カットした積層体を引張速度200mm/分で180°剥離した際の剥離強度(単位はN/25mm)を測定して、以下の基準により評価した。
◎:0.2N/25mm以下
○:0.2N/25mmより大きく0.5N/25mm以下
△:0.5N/25mmより大きく1N/25mm以下
×:1N/25mmより大きい
<蒸着層の光沢性>
光沢計(日本電色社工業社製VG2000型)を用いて、JIS K5600-4-7に準拠して蒸着フィルムにおける蒸着層の金属光沢度を測定して、以下の基準により評価した。
◎:1000%以上
○:700%以上1000%未満
△:500%以上700%未満
×:500%未満
<ラミネートフィルムの剥離強度(密着性)>
厚さ15μmのナイロンフィルム(東洋紡社製「N1100」)に東洋モートン社製の接着剤であるTM569/CAT10Lを固形分で3g/mの厚みで塗布した。次に上記接着剤の上に蒸着フィルムの蒸着面を貼り合わせてラミネートフィルムとした後、40℃で48時間エージングした。引張試験機(島津製作所社製オートグラフ(登録商標)AGS-J 100NJ)で、上記エージングを行ったものを引張速度200mm/分の条件で、180°剥離した際の蒸着層とA層との間の剥離強度(単位はN/15mm)を測定した。
<蒸着加工性>
蒸着フィルムを用いて、500m巻のロールを作製した。得られたロールの蒸着フィルムの状態を観察し、下記のように評価した。
◎:シワ及びコブがほとんど発生していなかった
○:シワやコブが少し発生していた
△:シワやコブが多く発生していた
×:シワやコブが非常に多く発生していた
<蒸着フィルムの酸素透過度>
蒸着フィルムを用いて、500m巻のロールを作製した。次にプロセク社製パロテスターを用いて、500m巻のロールの幅方向に2cmピッチでロール硬度を測定した。続いてロール硬度が600~650となる箇所からサンプルを取り出した。最後にJIS K7126-2A法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製OX-TRAN2/21)を用いて、温度23℃、湿度65%の条件にて、上記サンプルの酸素透過度の測定を行った。酸素透過度の測定の際、非蒸着面であるB層を調湿側になるように装着した。
<蒸着フィルムの水蒸気透過度>
蒸着フィルムを用いて、500m巻のロールを作製した。次に、プロセク社製パロテスターを用いて、500m巻のロールの幅方向に2cmピッチでロール硬度を測定した。続いて、ロール硬度が600~650となる箇所からサンプルを取り出した。最後に、JIS K7129B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製PERMATRAN-W3/33)を用いて、温度37.8℃、湿度90%の条件にて蒸着フィルムの水蒸気透過度測定を行った。水蒸気透過度の測定の際、非蒸着面であるB層を高湿度側になるように装着した。
<経時後におけるラミネートフィルムの低温ヒートシール性>
蒸着フィルムを用いて、500m巻のロールを作製し、その後、30℃の環境下で1ヶ月放置した。次に、厚さ15μmのナイロンフィルム(東洋紡社製「N1100」)に東洋モートン社製の接着剤であるTM569/CAT10Lを固形分で3g/mの厚みで塗布した。続いて、上記接着剤の上に、1ヶ月放置した上記蒸着フィルムの蒸着面を貼り合わせてラミネートフィルムとした後、40℃で48時間エージングした。最後にエージングしたラミネートフィルムのB層をシール温度150℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒でヒートシールした後、ラミネートフィルムを15mm幅でカットした。引張試験機(島津製作所社製オートグラフ(登録商標)AGS-J 100NJ)で、カットしたラミネートフィルムを引張速度200mm/分で180°剥離した際の蒸着層とA層との間の剥離強度(単位はN/15mm)を測定した。
(実施例1)
[B層用組成物]
住友化学社製スミカセン(登録商標)E FV402(メタロセン触媒系LLDPE、密度:0.913g/cm、MFR:3.8g/10min、融点:116℃)にモース硬度1、平均粒径8μmのタルクを混合して、タルクが15質量%含有されたマスターバッチを作製した。次に、宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FC(メタロセン触媒系LLDPE、密度:0.918g/cm、MFR:4.0g/10min、融点:116℃)90質量%と、上記マスターバッチ10質量%とを混合した組成物を用いてB層用組成物を作製した。B層用組成物100質量%中にタルクが1.5質量%含有されているが、B層用組成物には有機滑剤は添加されていなかった。
[A層用組成物]
宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)3540FC(メタロセン触媒系LLDPE、密度:0.931g/cm、MFR:4.0g/10min、融点:123℃)のみを用いてA層用組成物を作製した。なお、A層用組成物には無機粒子及び有機滑剤は添加されていなかった。
[中間層用組成物]
宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FC(メタロセン触媒系LLDPE、密度:0.931g/cm、MFR:4.0g/10min、融点:123
℃)のみを用いて中間層用組成物を作製した。なお、中間層用組成物には無機粒子及び有機滑剤は添加されていなかった。
A層用組成物、中間層用組成物、及びB層用組成物を、Tダイを有する押出し機を用いて、A層用組成物、中間層用組成物、及びB層用組成物の順になるように、かつ、A層、中間層、B層の厚み比率が1:1:2になるように240℃で溶融押出した。その後、A層表面にコロナ放電処理を施した。続いて、速度150m/分でロールに巻き取り、厚み40μm、処理面の濡れ張力が45mN/mの積層フィルムを得た。
次に、得られた積層フィルムのロールを真空蒸着機にセットし、10-4torr以下の真空度で積層フィルムのコロナ処理面にアルミニウム蒸着を施して、ロールに巻き取り、アルミニウム蒸着層を備えた蒸着フィルムを得た。上記アルミニウム蒸着層は、光学濃度(OD値)で3になるように蒸着層の厚みを調整した。アルミニウムのモース硬度は2.75である。
このフィルムの評価結果を表1に示した。三次元表面粗さSRaは0.12μm、最大山高さSRmaxは4.3μmであった。実施例1の蒸着フィルムは、巻き硬度が高い箇所(パロテスターで測定した硬度が600~650の箇所)でも無機粒子の転写による蒸着層の穴あきの増加(高輝度のLEDライトで表層や巻硬さの低い箇所と比較して欠損状況を調べた)がほとんどなく、バリア性に優れていた。また、実施例1の蒸着フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルムにアルミニウムを蒸着したフィルムの酸素バリア性と同等レベルの値を示した。
さらに、実施例1の積層フィルムは、耐ブロッキング性に優れており、実施例1の蒸着フィルムは、蒸着加工性及び光沢性に優れていた。また、実施例1の蒸着フィルムを用いて作製されたラミネートフィルムは、密着性及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例2)
B層用組成物におけるタルクの添加量が0.5質量%である以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例1よりやや耐ブロッキング性や蒸着加工性は劣るが十分に高い性能であった。また、バリア性、光沢性、密着性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例3)
B層用組成物におけるタルクの添加量が2.0質量%である以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例3においても、バリア性、耐ブロッキング性、蒸着加工性、光沢性、密着性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例4)
B層用組成物に含有する樹脂を宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FCから宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)0540F(密度:0.904g/cm、MFR:4.0g/10min、融点:111℃)に代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例4においても、バリア性、耐ブロッキング性、蒸着加工性、光沢性、密着性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例5)
A層用組成物に含有する樹脂を宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)3540FCから宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)4040FC(密度:0.938g/cm、MFR:3.5g/10min、融点:126℃)に代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例1より光沢性は劣るが
十分に高い性能であった。また、バリア性、耐ブロッキング性、蒸着加工性、密着性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例6)
宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FC 89.9質量%と、有機滑剤としてエルカ酸アミド0.1質量%と、上記マスターバッチ10質量%とを混合した組成物を用いてB層用組成物を作製した以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例6においても、バリア性、耐ブロッキング性、蒸着加工性、光沢性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(実施例7)
B層用組成物に含有する樹脂を宇部丸善ポリエチレン社製ユメリット(登録商標)2040FCから住友化学社製エクセレン(登録商標)FX307(密度:0.89g/cm、MFR:3.2g/10min、融点:83℃)に代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。実施例1より光沢性は劣るが十分に高い性能であった。また、バリア性、密着性、及び低温ヒートシール性に優れていた。
(比較例1)
B層用組成物に含有する無機粒子をタルクからモース硬度4、平均粒径5μmのゼオライトに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。三次元表面粗さSRa、最大山高さSRmaxは実施例1とほぼ同等であったが、ロール硬度が600以上650以下である蒸着フィルムのバリア性の大幅な低下が認められた。
(比較例2)
B層用組成物に含有する無機粒子をタルクからモース硬度7、平均粒径5μmの非結晶性シリカに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。三次元表面粗さSRa、最大山高さSRmaxは実施例1とほぼ同等であったが、ロール硬度が600以上650以下である蒸着フィルムのバリア性の大幅な低下が認められた。
(比較例3)
B層用組成物に含有するタルクの平均粒径を20μmにした以外は実施例1と同様にして積層フィルム、蒸着フィルムを得た。ロール硬度が600以上650以下である蒸着フィルムの酸素バリア性が大幅に低下しており、蒸着層の光沢性も低いものであった。
実施例及び比較例の構成及び各種物性を表1に示す。
Figure 0006996339000001
本発明の蒸着基材用ポリエチレン系フィルムは、巻長が1万mを超えるような大型蒸着機を用いて高速で蒸着加工した場合でも全長、全幅に渡って優れたバリア性を有するため、生産性も高く、工業的に利用価値の高いものである。そのため、食品、医薬品、雑貨などの包装用材料以外にも、工業用材料としても使用することができる。

Claims (9)

  1. 蒸着材料によって形成される蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムであって、
    上記ポリエチレン系フィルムは、蒸着層側の表面となるラミネート層と、他方の表面となるシール層とを少なくとも有し、
    上記シール層は、無機粒子を含んでおり、上記シール層中の無機粒子の含有量は0.5~3.0質量%であり、かつ、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすことを特徴とし、
    上記蒸着材料のモース硬度が上記無機粒子のモース硬度以上である蒸着層の基材として用いるための蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
    (i)上記シール層に含有されている上記無機粒子の平均粒径が5μm以上15μm以下である
    (ii)上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが6μm以下である
  2. 蒸着材料によって形成される蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムであって、
    上記ポリエチレン系フィルムは、蒸着層側の表面となるラミネート層と、他方の表面となるシール層とを少なくとも有し、
    上記シール層は、無機粒子を含んでおり、上記シール層中の無機粒子の含有量は0.5~3.0質量%であり、かつ、上記シール層に含有されている上記無機粒子の平均粒径が5μm以上15μm以下であり、
    上記蒸着材料のモース硬度が上記無機粒子のモース硬度以上である蒸着層の基材として用いるための蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  3. 蒸着材料によって形成される蒸着層の基材として用いるためのポリエチレン系フィルムであって、
    上記ポリエチレン系フィルムは、蒸着層側の表面となるラミネート層と、他方の表面となるシール層とを少なくとも有し、
    上記シール層は、無機粒子を含んでおり、上記シール層中の無機粒子の含有量は0.5~3.0質量%であり、かつ、上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが6μm以下であり、
    上記蒸着材料のモース硬度が上記無機粒子のモース硬度以上である蒸着層の基材として用いるための蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  4. 上記ラミネート層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度は0.91~0.95g/cmであり、上記シール層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度は0.90~0.94g/cmである請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  5. 上記シール層表面の三次元表面粗さSRaが0.2μm以下であり、上記シール層表面の最大山高さSRmaxが5μm以下である請求項1~のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  6. 上記ラミネート層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度が上記シール層に用いられるポリエチレン系樹脂の密度よりも高い請求項1~のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  7. 上記ラミネート層における無機粒子の含有率は0.1質量%未満である請求項1~のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  8. 上記ラミネート層及び上記シール層の間に介在する中間層を有する請求項1~のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルム。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の蒸着基材用ポリエチレン系フィルムのラミネート層表面に蒸着層が蒸着された蒸着フィルム。
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