以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。また、以下の説明では、上下方向、上側、下側は、注出口の通常の使用状態、すなわち注出口の本体部を上(天)側、接合部を下(地)側に配置した状態を基準にする。
<注出口>
まず、図1~図4を参照して注出口の実施形態を説明する。
図1は実施形態に係る注出口を示す正面図であり、図2は実施形態に係る注出口を示す平面図であり、図3は実施形態に係る注出口を示す底面図であり、図4は図2のA-A線に沿う断面図である。本実施形態の注出口10は、内容物を収納する袋体(後述する)の内部と連通するように該袋体と接合され、内容物の充填及び排出に用いられるものである。この注出口10は、主に、外周壁が袋体と接合される筒状の接合部11と、接合部11の上側に配置されるとともに、接合部11が袋体と接合される際に袋体の外部に露出する本体部12とを備えている。なお、本実施形態の内容物は、液体、粉体、顆粒状の固体であっても良く、あるいはこれらの混合物であっても良い。
接合部11は、中央部11aと、中央部11aの両側に設けられ該中央部11aの厚みより薄肉となる薄肉部11bとをもつ略楕円筒状を呈している(図3参照)。通常では、接合部11の外周壁と袋体の上縁部とを熱溶着する際に、上縁部と接合部11の端部とで隙間ができて密閉不良になり易い。これを防止するために、本実施形態では接合部11の両側に薄肉部11bを設け、熱溶着時にこの薄肉部11bを溶融することにより隙間の発生を防止する。
接合部11の外周壁には、周方向に沿って延びる2本の溝11dが設けられている。このようにすれば、接合部11と袋体20の上縁部20aとを熱溶着する際に溶融した樹脂材料等が溝11dに入り込むことで、形成されたヒートシール部の強度を高めることができる。加えて、熱溶着時に接合部11と袋体20との間の空気等の気体を溝11d経由で外部に逃がすことができるので、密閉性の向上を図ることもできる。なお、溝11dの数は2本に限らず、適宜に増減しても良い。
本体部12は、接合部11と同軸上に連結される内側円筒部12aと、内側円筒部12aを取り囲むように該内側円筒部12aの外側に配置される外側有底円筒部12bと、内側円筒部12a及び外側有底円筒部12bの間の空間を複数に仕切るようにこれらの円筒部を連結する複数の仕切板12cとを有する。ここでの「同軸」とは、内側円筒部12aの中心軸が略楕円筒状の接合部11の中心軸と同一直線上にあることを意味する。
内側円筒部12aは、その外径が接合部11の短軸と略同じ大きさを有しており、接合部11の上側に配置されている。内側円筒部12aの内周壁には、後述の内容物充填排出部材6の外ねじ62と螺合可能な内ねじ12dが設けられている(図4参照)。一方、外側有底円筒部12bは、その外径が接合部11の長軸よりも大きく形成され、換言すれば接合部11よりも拡幅されており、接合部11の上側であって接合部11よりも外側に配置されている。
なお、本実施形態において、外側有底円筒部12bが接合部11より拡幅される例を挙げるが、外側有底円筒部12bは必ずしも接合部11より拡幅される必要がなく、例えば接合部11の長軸又は短軸と同じであっても良く、或いは接合部11の長軸又は短軸よりも小さくても良い。そして、該注出口10が接合される袋体を外装容器(後述する)の内部に挿入して配置する際に、袋体の挿入し易さを考慮した場合、外側有底円筒部12bが接合部11より拡幅されることが好ましい。
外側有底円筒部12bの底部12eは、外側有底円筒部12bの径方向において、外側から内側に向かって縮径されるようにテーパ状に形成されている。外側有底円筒部12bの外周壁には、後述する外装容器3の開口部3aに装着するための外ねじ12gが設けられている。
図2に示すように、9つの仕切板12cは、注出口10の周方向に沿って等間隔で配置されるとともに、径方向に沿って放射状に形成されている。そして、外側有底円筒部12bの底部12eには、該底部12eを貫通する貫通孔12fが複数設けられている。これらの貫通孔12fは、平面視(図2参照)においてそれぞれ円弧スリット状を呈しており、注出口10の周方向に沿って等間隔で配置されている。
本実施形態において、貫通孔12fの開口面積の下限及び上限は以下のように設定されている。すなわち、注出口10が接合される袋体の内部に気体を供給して該袋体を膨らませる際に、例えば気体の圧力の下限を0.05MPaとした場合、ポアズイユの法則に基づいて計算すると、貫通孔12fの必要面積の下限は10mm2になる。面積が10mm2より小さくなると、後述する内容物を充填する場合に袋体と外装容器との間の空気等の気体を外装容器の外部に逃がす際に貫通孔12fから気体が排気されずに袋体内の圧力が高まる傾向になる。これらのことを考慮して、貫通孔12fの開口面積の下限を10mm2とする。一方、貫通孔12fの開口面積の上限に関しては、面積が大きければ大きいほど外装容器の外部への気体の排気や外装容器の内部への気体の供給がよりスムーズに行われるので、貫通孔12fの配置場所を確保できる範囲内であれば、特に制限されない。
また、本体部12には、該本体部12の上下両側を連通する連通経路13が複数(ここでは、9つ)設けられている。連通経路13は、内側円筒部12a、外側有底円筒部12b、隣接する仕切板12c同士、及び外側有底円筒部12bの底部12eに設けられた貫通孔12fによって形成されている。図2に示すように、これらの連通経路13は、注出口10の周方向に沿って等間隔に配置されている。
また、本実施形態の注出口10は、内側周縁部17と第1円筒部14とを更に備えている。内側周縁部17は、注出口10の内部空間を仕切るように接合部11の内周壁から内側に突出し、中央に第1貫通孔17aを有するように円環状に形成されている。また、内側周縁部17には、該内側周縁部17を貫通する第2貫通孔17bが複数(ここでは、3つ)設けられている。これらの第2貫通孔17bは、平面視で略矩形状を呈し、内側周縁部17の周方向に沿って所定の間隔で配置されており、接合部11と第1円筒部14との間における内側周縁部17に形成されている。
本実施形態では、第2貫通孔17bは3つ設けられているが、内側周縁部17の周方向に沿って少なくとも1つ配置されていれば、3つより多くても良く、又は3つより少なくても良い。また、第2貫通孔17bは内側周縁部17の周方向に沿って環状に設けられていても良い。更に、第2貫通孔17bの形状も円形状、楕円形状、矩形以外の多角形状であっても良い。
第1円筒部14は、接合部11の内側に配置されるとともに、第1貫通孔17aと連通するように内側周縁部17の下側に設けられている。図4に示すように、第1円筒部14の上端は内側周縁部17の底面に連結され、第1円筒部14の下端14aは接合部11の下端11cよりも更に下側に位置するようになっている。この第1円筒部14は、接合部11が袋体と接合される際に袋体の内部に挿入され、袋体を構成するフィルム同士のくっつきを抑制し、フィルム同士のくっつきによる注出口10の閉塞を防止する役割を果たす構造である。
また、接合部11と第1円筒部14との間には、第1円筒部14を補強するための第2円筒部15が設けられている。第2円筒部15は、第1円筒部14の直径よりも大きく形成されており、内側周縁部17の底面から垂設されるとともに第1円筒部14と連結された複数のリブ16を介して第1円筒部14を補強している。上下方向において、第2円筒部15は、その下端が接合部11の下端11cと同じ高さになるように形成されている。なお、第2円筒部15の下端15aは、必ずしも接合部11の下端11cと同じ高さになる必要がなく、第1円筒部14を補強する効果を高めるために、接合部11の下端11cより長くても良く、例えば接合部11の下端11cより更に下側に延びて第1円筒部14の下端14aと同じ高さになっても良い。
リブ16は、薄板状を呈しており、第1円筒部14の周方向に沿って等間隔で配置されるとともに、径方向に放射状に形成されている。また、上下方向において、リブ16はその下端が第1円筒部14の下端14aと同じ高さになるように形成されている。これらのリブ16は、第1円筒部14の強度を高めるとともに、注出口10の外装容器3の開口部3aへの装着時に発生する締め付け応力を分散する効果も奏する。これによって、過剰な締め付けによる注出口10の破損を抑制することができる。なお、リブ16の下端は必ずしも第1円筒部14の下端14aと同じ高さになる必要がなく、第1円筒部14の下端14aよりも短くても良い。
このような構造を有する注出口10は、例えば樹脂材料を用いて射出成形等により一体的に形成されている。樹脂材料としては、射出成形可能な樹脂であれば特に限定されないが、袋体20(後述する)に用いられる樹脂フィルムとの熱溶着のし易さ等の観点から、高温時でも剛性があり、且つ低温時において脆化し難い高密度ポリエチレンが好適である。
以上のように構成された注出口10では、中央に第1貫通孔17aを有するように円環状に形成される内側周縁部17を備えており、内側周縁部17に複数の第2貫通孔17bが設けられているので、該注出口10が接合される袋体の内部に内容物を充填したり、袋体の内部から排出したりするときに、第1貫通孔17aを介して内容物の充填及び排出を行いつつ、第2貫通孔17bを介して通気を行うことができる。これによって、内容物の充填及び排出をスムーズに行うことができる。
加えて、内側円筒部12a、外側有底円筒部12b、隣接する仕切板12c同士、及び外側有底円筒部12bの底部12eに設けられた貫通孔12fによって、本体部12の上下両側を連通する連通経路13が形成されている。従って、該注出口10が接合される袋体を外装容器の内部に配置して該袋体を膨らませるときに、袋体と外装容器との間の空気等の気体を上述の連通経路13を介して外装容器の外部に逃がすことができるので、袋体と外装容器との間における気体の残存を抑制することができる。その結果、従来のように気体の残存によって袋体が膨らむための空間が削られることを防止でき、所望の内容物充填量を確保することができる。
更に、接合部11の内側に接合部11の下端11cよりも更に下側に延びる円筒状の第1円筒部14が設けられるので、袋体を構成するフィルム同士のくっつきを抑制し、くっつきによる注出口10の閉塞を防止することができる。その結果、内容物の充填及び排出をスムーズに行うことができる。
図2及び図3に示すように、本実施形態では貫通孔12fが9つ設けられているが、貫通孔12fの数は9つに限定されず、必要に応じて適宜に増減しても良い。また、これらの貫通孔12fは、内側円筒部12a、外側有底円筒部12b及び隣接する仕切板12c同士で囲まれる領域(すなわち、連通経路13に相当する領域)のすべてに設けられていて注出口10の周方向に沿って等間隔で配置されているが、該領域のうち外側有底円筒部12bの底部12eに貫通孔12fが設けられていない領域があっても良い。これらの場合においても、上述したように所望の内容物充填量を確保することができ、連通経路13を介して袋体と外装容器との間に空気等の気体を容易に供給することができる。
また、連通経路13は必ずしも内側円筒部12a、外側有底円筒部12b及び仕切板12cで囲まれた領域でなくても良く、仕切板12cを設けずに注出口10の周方向に延設された貫通孔が少なくとも1つ設けられているだけでも良い。更に、本実施形態では、貫通孔12fは、内側円筒部12a、外側有底円筒部12b及び隣接する仕切板12c同士で囲まれた領域(すなわち、連通経路13に相当する領域)のすべてにおいて外側有底円筒部12bの底部12eに貫通孔が1つ設けられているが、該領域ごとに貫通孔12fの数が異なっていても良い。これらの場合においても、上述したように所望の内容物充填量を確保することができ、連通経路13を介して袋体と外装容器との間に空気等の気体を容易に供給することができる。
また、本実施形態では仕切板12cが注出口10の周方向に沿って等間隔で配置されるため、外側有底円筒部12bの底部12eの貫通孔12fの開口面積はすべて等しくなっているが、仕切板12cが注出口10の周方向に沿って等間隔に配置されずに、外側有底円筒部12bの底部12eの貫通孔12fの開口面積が連通経路13の位置によって異なっていても良い。更に、貫通孔12fの形状は上述した円弧スリット状には限られず、円形状、楕円形状、多角形状等であっても良い。また、貫通孔12fの配列は必ずしも図2及び図3に示すように1列のスリット状である必要がなく、2列以上の複数列であっても良い。これらの場合においても、上述したように所望の内容物充填量を確保することができ、連通経路13を介して袋体と外装容器との間に空気等の気体を容易に供給することができる。
なお、本実施形態では、外側有底円筒部12bを挙げて説明したが、外側有底円筒部12bに代えて底部を有さない外側円筒部を設けても良い。この場合には、連通経路13は、内側円筒部、外側円筒部及び隣接する仕切板同士によって形成されている。このような構造を有する注出口によれば、上述の外側有底円筒部12bを有する注出口10と同じ作用効果を得られるほか、外側円筒部が底部を有さないので、連通経路の開口面積が大きくなり、排気等をよりスムーズに行えるとともに注出口の製造も簡単になる。また、外側有底円筒部12b及び底部を有さない外側円筒部のいずれの場合において、仕切板を複数設けることにより、例えば専用治具を用いて注出口を外装容器の開口部に装着したり、開口部から取り外したりする際に、専用治具を仕切板同士の間に挿入し回転させることで、少ない力で注出口を容易に装着したり、取り外したりすることができる。
また、本実施形態では、内側周縁部17が接合部11の内周壁から内側に突出する例を説明したが、内側周縁部17は本体部12の内周壁から内側に突出するように形成されても良い。更に、仕切板12cを設ける場合には仕切板12cの数は上述した9つに限られず、少なくとも1つであれば良い。
<内容物収納容器>
次に、図5を参照して内容物収納容器の実施形態を説明する。
図5は実施形態に係る内容物収納容器を示す正面図である。内容物収納容器2は、柔らかいフィルム部材によって形成された矩形状の袋体20と、該袋体20の上縁部20aの中央部を通る中心軸Lからずれた(外れた)位置に設けられた上述の注出口10とを備えている。注出口10は、その接合部11が袋体20の上縁部20aに内挿され、本体部12が袋体20から露出した状態で、熱溶着で袋体20の上縁部20aに接合されている。ここで、注出口10の第1円筒部14は、上縁部20aにおける上縁ヒートシール部21aよりも袋体20の内部に入るように配置されることが好ましい。このようにすれば、注出口10付近における袋体20を構成するフィルム同士のくっつきを抑制し、くっつきによる注出口10の閉塞の防止効果を高めることができる。なお、本実施形態において、注出口10が袋体20の上縁部20aの中央部を通る中心軸Lからずれた位置に設けられる例を説明するが、本発明は、注出口10が上縁部20aの中央部を通る中心軸Lに設けられる例にも適用される。
袋体20は、外袋22aを構成するフィルムと内袋22bを構成するフィルムとを重ね合わせた多重フィルム22を、内袋22b同士が対向するように重ね合わせて合計4枚とし、その四辺をヒートシールすることにより形成されている。そのため、袋体20の四周に沿ってヒートシール部21が形成されている。
なお、本実施形態では、袋体20は多重フィルム22を内袋22b同士が対向するようにして積層し、四辺をヒートシールしてヒートシール部21を形成することにより得られるが、これに限定されるものではなく、例えば、多重フィルム22を内袋22b同士が対向するようにして折り曲げた後、重なり合った外周辺の三辺をヒートシールして形成しても良い。また、ヒートシール部21の内縁各部は、その内縁が弧状となるよう形成しても良い。これによって、角部に内容物が残存し難い構造となる。また、袋体20は必ずしも多重フィルムから構成する必要はなく、袋体20のフィルム構成は内容物や量に応じて適宜選定できる。
なお、上述のように袋体20は2枚の多重フィルム22を重ね合わせ、周縁をヒートシールしてヒートシール部21を形成することにより得られる。この場合、袋体20は上縁部20aと、底縁部20bと、2つの側縁部20cとを有する矩形状を有している。また上縁部20aは1本の上縁ヒートシール部21aを含み、底縁部20bは1本の底縁ヒートシール部21bを含み、各側縁部20cはそれぞれ1本の側縁ヒートシール部21cを有し、これら上縁ヒートシール部21aと、底縁ヒートシール部21bと側縁ヒートシール部21cとによりヒートシール部21が構成されている。
また、袋体20の上縁部20aは、上述のように1本の上縁ヒートシール部21aを含むように形成されているが、所定の間隔で離れた2本以上の上縁ヒートシール部21aを含むように形成されても良い。そして、1本の上縁ヒートシール部21aを含むように形成された場合は、2本以上の上縁ヒートシール部21aを含む場合と比べて、ヒートシール部による袋体20の収納空間減少への影響が少ないため、所望の内容物充填量を容易に確保することができる。一方、2本以上の上縁ヒートシール部21aを含むように形成された場合は、1本の上縁ヒートシール部21aを含む場合と比べて、上縁部20aを比較的軟質材料で形成することができる。
なお、本発明の技術を実施するに際しては、多重フィルム22は外袋22aと内袋22bとを重ね合わせて構成する2層構造に限定されることはなく、1枚以上の中袋を更に有する3層構造としても良く、内袋22bあるいは外袋22aのみからなる単層構造としても良い。
以上のように構成された内容物収納容器2は、上述した注出口10を備えるため、上述した作用効果も得られる。
<内容物収納容器と外装容器との組合体>
次に、図6及び図7を参照して内容物収納容器と外装容器との組合体(以下、「組合体」と略する)の実施形態を説明する。
図6は実施形態に係る内容物収納容器と外装容器との組合体を示す模式断面図であり、図7は開口部、注出口及び蓋部材の関係を示す部分断面図である。本実施形態の組合体1は、天板に開口部3aが1つ設けられた金属製又は樹脂製の外装容器3と、該外装容器3の内部に収納された上述の内容物収納容器2とを備えている。
ここで、外装容器3としてはペール缶、ドラム缶、一斗缶、キャニスター缶、コンテナ等が挙げられる。ペール缶については、いわゆる天板取り外し式ラグタイプ、天板取り外し式バンドタイプ、天板固着式のいずれであっても良い。ドラム缶については、タイトヘッドドラム缶でも良く、オープンヘッドドラム缶であっても良い。なお、本実施形態では、タイトヘッドドラム缶の例を示す。
すなわち、外装容器3は、円筒状の胴体31と、該胴体31の両端を密閉する底板32及び天板33とを有する。上述の開口部3aは、円筒状を呈しており、外装容器3の天板33を平面視した際の天板33の中心を通る中心軸からずれた位置に配置され、天板33から上側に突出するように形成されている。開口部3aの内周壁には、注出口10の外ねじ12g及び蓋部材4の外ねじ43(後述する)と螺合可能な内ねじ34が設けられている。
注出口10は、その本体部12の外ねじ12gと、開口部3aの内周壁に設けられた内ねじ34とを螺合させることで、該開口部3aの内部に装着されている。一方、内容物収納容器2の袋体20は、外装容器3の内部に配置されている。また、注出口10の内側円筒部12aの下端側の内周壁には、Oリング18が嵌め込まれている(図7参照)。このOリング18は、後述する内容物充填排出部材6を注出口10の内部に装着する際に、注出口10と内容物充填排出部材6との間の密閉性を保つ役割を果たす構造である。
図7に示すように、注出口10は、開口部3aの内部に装着された状態で、更に該開口部3aに装着された蓋部材4によって密閉されている。蓋部材4は、円板状を呈しており、注出口10の上側に配置されている。この蓋部材4は、外装容器3の開口部3aの内径より大きく形成された大径部41と、大径部41より小さく形成されるとともに外周壁に外ねじ43が設けられた小径部42とを有する。大径部41の上面には、図示しない蓋開閉用冶具を嵌めるための十字状の溝部44(図8参照)が更に設けられている。このようにすれば、蓋開閉用冶具を溝部44に嵌めることで、少ない力で蓋部材4を回転できるので、蓋部材4の開閉作業を容易に行える。また、大径部41と小径部42との連結部分には、蓋部材4と外装容器3の開口部3aとの間の密閉性を高めるためのOリング45が嵌め込まれている。
このような構造を有する蓋部材4は、小径部42の外周壁に設けられた外ねじ43と開口部3aに設けられた内ねじ34とを螺合させることで、開口部3aに装着されている。なお、蓋部材4は例えば樹脂材料によって一体的に形成されている。蓋部材4は金属製であっても良い。特に外装容器3の開口部3aが金属製の場合において、樹脂製の蓋部材に比べて金属製の蓋部材の方が外ねじ等に強度を持たせ、耐摩耗性を向上させることができる。
以上のように構成された組合体1は、上述した注出口10と同じ作用効果を得られるほか、開口部3aの内部に装着された注出口10が該開口部3aに装着された蓋部材4によって密閉されているので、内容物収納容器2に内容物が充填される際に内容物のリーク(すなわち、内容物の漏れ)を防止することができる。すなわち、蓋部材4を開口部3aに装着して注出口10を密閉することにより、外装容器3の内部に配置された内容物収納容器2の袋体20に内容物を充填された状態で保管や輸送をする際に、万一にも内容物収納容器2が破損して内容物が外装容器3内に漏れ出したとしても、外装容器3の外部へ漏れ出るのを防ぐことが可能になる。また、注出口10が蓋部材4によって密閉されることで、外部からの異物が外装容器3内部への混入を抑制することができる。
<内容物充填排出部材及び内容物充填排出システム>
次に、図9及び図10を参照して内容物充填排出部材及び内容物充填排出システムを説明する。
図9は内容物充填排出部材を示す斜視図であり、図10は実施形態に係る内容物充填排出システムを示す部分断面図である。本実施形態の内容物充填排出システム5は、蓋部材4を取り外した上述の組合体1と、注出口10と着脱可能に装着される内容物充填排出部材6とを備えている。
内容物充填排出部材6は円筒状に形成されており、その内部には内容物充填排出経路61と通気経路63とがそれぞれ設けられている。内容物充填排出経路61は、内容物充填排出部材6の中央位置に配置されるとともに上下方向に延びる貫通孔によって形成されている。この内容物充填排出経路61は、袋体20の内部に内容物を充填したり、袋体20の内部から内容物を排出したりするときに充填排出経路としての役割を果たす一方、外装容器3の内部で袋体20を気体で膨らませるときに気体供給経路としての役割も果たしている。
通気経路63は、該内容物充填排出部材6が注出口10に装着される際に注出口10に面する内容物充填排出部材6の下端面に設けられる第1部分63aと、一端が第1部分63aと連通して他端が該内容物充填排出部材6の外部に開放する第2部分63bとを有する。第1部分63aは、内容物充填排出部材6の下端面に設けられた円環状溝によって形成されている。そして、第1部分63aの設置場所及び溝幅は、該内容物充填排出部材6が注出口10に装着されるときに、注出口10の内側周縁部17に設けられた第2貫通孔17bと連通できるように設定されている。一方、第2部分63bは上下方向に延びる貫通空間によって形成されている。第2部分63bの下端は第1部分63aと連通し、上端は内容物充填排出部材6の側壁を貫通し外方に開放されている。
また、内容物充填排出部材6の下端面において、内容物充填排出経路61を形成する貫通孔と第1部分63aを形成する円環状溝との間には、Oリング65を嵌め込むための円環状のOリング溝64が更に設けられている。Oリング65の配置により、内容物充填排出部材6と後述する管状部材7との間の密閉性を高めることができるので、例えば内容物充填排出経路61を流れる内容物が通気経路63への侵入を防止できる。
更に、内容物充填排出部材6の下端側の外周壁には、注出口10の内側円筒部12aに形成された内ねじ12dと螺合可能な外ねじ62が設けられている。この内容物充填排出部材6は、外ねじ62と注出口10の内ねじ12dとの螺合によって注出口10と接続されている。
また、本実施形態の内容物充填排出システム5は、管状部材7を更に備えている。管状部材7は、円筒状の細管71と、細管71の上端に連結されて径方向の外側に突出する円環状のフランジ部72とを有する。この管状部材7は、細管71が第1貫通孔17a及び第1円筒部14の内部に挿通され、且つフランジ部72が内側周縁部17の上面と当接した状態で、注出口10に保持されている。フランジ部72と内側周縁部17の上面との間には、管状部材7と注出口10との間の密閉性を高めるためのOリング73が設けられている。細管71は、管状部材7が注出口10に保持された状態において、袋体20の底部に向けて延設されている。好ましくは、細管71は袋体20の底部まで延設されている。
図10に示すように、管状部材7が内容物充填排出部材6の下側に配置されるので、内容物充填排出部材6と注出口10の内側周縁部17との間には、管状部材7のフランジ部72が介在されることになる。そして、フランジ部72の設置によって通気経路63の第1部分63aと注出口10の第2貫通孔17bとの連通を阻害しないために、フランジ部72の外径は、第1部分63aを形成する円環状溝の直径より小さくされている(図10参照)。また、このとき、内容物充填排出部材6の内容物充填排出経路61と、管状部材7の細管71とは互いに連通することになる。
このような構造を有する内容物充填排出システム5によれば、管状部材7及び内容物充填排出部材6が内容物収納容器2の注出口10に装着された状態において、内容物充填排出部材6の内容物充填排出経路61、管状部材7の細管71及び袋体20の内部は連通し、内容物充填排出部材6の通気経路63、注出口10の第2貫通孔17b及び袋体20の内部は連通することになる。このため、通気経路63及び注出口10の第2貫通孔17bを介して袋体20の内部と外部との通気を行いつつ、内容物充填排出経路61及び細管71を介して内容物を袋体20の内部に充填したり、袋体20の内部から排出したりすることができる。
例えば内容物充填排出経路61及び細管71を介して内容物を袋体20の内部に充填するときに、袋体20内の気体が通気経路63及び注出口10の第2貫通孔17bを介して外部に逃げるので、袋体20内部における内圧の上昇を防止することができ、内容物の充填をよりスムーズに行うことができる。一方、袋体20から内容物を排出するときに、通気経路63及び注出口10の第2貫通孔17bを介して袋体20の内部に気体を供給し、内容物充填排出経路61及び細管71を介して内容物をスムーズに外部に押し出すことができる。このようにすれば、従来と比べて部材の点数が少なく、且つ構造も簡単になる。その結果、簡単な構造をもって内容物の充填及び排出を実現できる。
また、通気経路63の第1部分63aは、内容物充填排出部材6の下端面に設けられた円環状溝によって形成されており、且つその設置場所及び溝幅は内容物充填排出部材6が注出口10に装着される際に注出口10の内側周縁部17に設けられた第2貫通孔17bと連通できるように設定されている。このため、位置合わせをせずに内容物充填排出部材6を注出口10に装着するだけで、通気経路63と注出口10の第2貫通孔17bとを連通させることができる。
更に、管状部材7の細管71は袋体20の底部まで延設されるので、袋体20内の内容物を残さずに外部に排出することが可能になり、内容物の残存量を低減することができる。なお、細管71は必ずしも袋体20の底部まで延設される必要がなく、例えば袋体20の底部から若干隙間を有するように延設されても良い。このようにすれば、細管71の先端が袋体20を構成するフィルムとの擦れを防止でき、発塵の抑制効果、袋体20の破れ防止効果を期待できる。
ここで、図11及び図12を参照して内容物充填排出部材の変形例を説明する。図11及び図12に示す内容物充填排出部材6Aは、通気経路63Aの構造において上述の内容物充填排出部材6と相違しているが、その他の構成は上述の内容物充填排出部材6と同様である。
通気経路63Aは、該内容物充填排出部材6Aが注出口10に装着される際に注出口10に面する内容物充填排出部材6Aの下端面から上下方向に沿って内容物充填排出部材6Aの高さの途中まで延設される溝状の第1部分63cと、一端が第1部分63cと連通して他端が該内容物充填排出部材6Aの外部に開放する第2部分63dとを有する。
第1部分63cは、内容物充填排出部材6Aの下端面から内容物充填排出部材6Aの内部に向けて所定位置まで刳り抜かれた円環状の深溝によって形成されている。そして、第1部分63cの設置場所及び溝幅は、該内容物充填排出部材6Aが注出口10に装着されるときに、注出口10の内側周縁部17に設けられた第2貫通孔17bと連通できるように設定されている。一方、第2部分63dは、例えば上下方向と直交する水平方向に延びる貫通空間によって形成されている。第2部分63dの一端は第1部分63cと連通し、他端は内容物充填排出部材6Aの側壁を貫通し外方に開放されている。
<内容物収納容器と外装容器との組合体の製造方法>
次に、内容物収納容器と外装容器との組合体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る組合体1の製造方法は、内容物収納容器2の袋体20を外装容器3の内部に配置し、注出口10を外装容器3の開口部3aに装着する第1工程と、袋体20の内部に気体を供給して袋体20を膨らませる第2工程と、を含む。
第1工程では、まず、袋体20に注出口10を接合した内容物収納容器2と、外装容器3とをそれぞれ用意する。次に、内容物収納容器2の袋体20を外装容器3の開口部3aに挿入できるサイズまで折り畳む。例えば、袋体20が縦方向(すなわち、上下方向)に細長状になるように、該袋体20を縦方向及び横方向における所定の折曲線に沿って折り畳む。続いて、細長状に折り畳まれた袋体20を開口部3aから外装容器3の内部に挿入する。
次に、内容物収納容器2の注出口10を外装容器3の開口部3aに装着する。この場合、注出口10を開口部3aに対して回転させることで、注出口10の外ねじ12gを開口部3aの内ねじ34と螺合させる。
第2工程では、上述の管状部材7を注出口10に挿入し、その上から内容物充填排出部材6を注出口10に装着する。この場合、内容物充填排出部材6を注出口10に対して回転させることで、内容物充填排出部材6の外ねじ62を注出口10の内ねじ12dと螺合させる。そして、内容物充填排出部材6の外ねじ62と注出口10の内ねじ12dとの螺合は、内容物充填排出部材6の底面が管状部材7のフランジ部72と当接するまで行われる。
次に、注出口10の連通経路13を介して袋体20及び外装容器3の間の空間と外装容器3の外部との通気を行うとともに、内容物充填排出部材6の内容物充填排出経路61と管状部材7の細管71とを介して袋体20の内部に窒素ガスやクリーンドライエアーを供給し、外装容器3内で袋体20を膨らませる。このとき、袋体20は、供給された窒素ガスやクリーンドライエアーによって徐々に膨らむ。一方、袋体20と外装容器3との間の気体は、連通経路13を介して外装容器3の外部に逃げる。これによって、袋体20は、外装容器3との間に隙間が殆ど生じずに膨らむことが可能になるので、外装容器3の内壁面に密着するまで充分に膨らむ。
なお、第2工程において、必ずしも内容物充填排出部材6及び管状部材7を介して窒素ガスやクリーンドライエアーを供給する必要がなく、内容物充填排出部材6及び管状部材7を用いずに注出口10を介して直接供給しても良い。
また、内容物充填排出部材6を介して窒素ガスやクリーンドライエアーを供給しても良く、例えば第2貫通孔17bを内側周縁部17の周方向に沿って環状に設けて、空気供給装置(図示せず)を利用し内容物充填排出部材6の通気経路63及び注出口10の第2貫通孔17bを介して袋体20の内部に直接供給しても良い。
袋体20を充分に膨らませた後に、内容物充填排出部材6と管状部材7とを順次に取り外し、蓋部材4を開口部3aに装着して注出口10を密閉する。これによって、組合体1の製造が完了する。蓋部材4を開口部3aに装着して注出口10を密閉することにより、外装容器3の内部の密閉状態を維持できるとともに、外装容器3内部への異物混入を防止することができる。
本実施形態の組合体の製造方法によれば、袋体20と外装容器3との間の気体を上述の連通経路13を介して外装容器3の外部に逃がすことができるので、袋体20と外装容器3との間における気体の残存を抑制することができる。その結果、従来のように空気の残存によって袋体20が膨らむための空間が削られることを防止できるので、所望の内容物充填量を確保することができる。
<内容物収納容器と外装容器との組合体に内容物を充填する内容物の充填方法>
次に、図13を参照して内容物収納容器と外装容器との組合体に内容物を充填する内容物の充填方法を説明する。
本実施形態に係る組合体1に内容物を充填する内容物の充填方法は、内容物収納容器2の袋体20を外装容器3の内部に配置し、注出口10を外装容器3の開口部3aに装着する第1工程と、袋体20の内部に気体を供給して袋体20を膨らませる第2工程と、内容物を袋体20の内部に充填する第3工程とを含む。第1工程及び第2工程は、上述組合体の製造方法で説明した第1工程及び第2工程と同様のため、ここで第3工程のみを説明する。
第3工程は、内側周縁部17に保持可能且つ第1貫通孔17aに挿通可能とされるとともに袋体20の底部まで延設される上記管状部材7を、注出口10の内部に挿入するステップと、円環状溝からなる第1部分63aと一端が第1部分63aと連通して他端が外装容器3の外部に開放する第2部分63bとを有する通気経路63、及び内容物充填排出経路61がそれぞれ設けられる上記内容物充填排出部材6を、通気経路63の第1部分63aが内側周縁部17の第2貫通孔17bと連通するように注出口10に装着するステップと、第2貫通孔17bと通気経路63とを介して袋体20の内部と外装容器3の外部との通気を行うとともに、内容物充填排出経路61と細管71とを介して内容物を袋体20の内部に充填するステップと、を有する。
なお、上述の第2工程において、注出口10に管状部材7及び内容物充填排出部材6を装着し、装着された管状部材7及び内容物充填排出部材6を介して袋体膨らましを実施した場合には、第3工程における管状部材7及び内容物充填排出部材6の装着ステップは省略される。
そして、内容物充填排出経路61及び細管71を介して内容物を袋体20の内部に充填するときに、図13の矢印F1に示すように、内容物を内容物充填排出経路61及び細管71を介して袋体20の内部に充填する。このとき、充填された内容物によって、袋体20の中の気体が外部に押し出される。袋体20の中の気体は、図13の矢印F2に示すように、注出口10の第2貫通孔17b、通気経路63を順に通って外部に排出される。このように内容物を袋体20の内部に充填しつつ、袋体20内部の気体を外部に排出することにより、袋体20内部における内圧の上昇を防止することができ、内容物の充填をよりスムーズに行うことができる。内容物の充填終了後、内容物充填排出部材6と管状部材7とを順次に取り外し、蓋部材4を開口部3aに装着して注出口10を密閉する。これによって、組合体1の製造が完了する。蓋部材4を開口部3aに装着して注出口10を密閉することにより、外装容器3の内部に配置された内容物収納容器2の袋体20に内容物を充填された状態で保管や輸送をする際に、万一にも内容物収納容器2が破損して内容物が外装容器3内に漏れ出したとしても、外装容器3の外部へ漏れ出るのを防ぐことが可能になる。
本実施形態に係る内容物の充填方法によれば、上述のように袋体20内部における内圧の上昇を防止でき、内容物の充填をよりスムーズに行うことができるとともに、袋体20と外装容器3との間の気体を上述の連通経路13を介して外装容器3の外部に逃がすことができるので、袋体20と外装容器3との間における気体の残存を抑制することができる。その結果、空気の残存によって袋体20が膨らむための空間が削られることを防止できるので、所望の内容物充填量を確保することができる。
<内容物収納容器と外装容器との組合体に充填された内容物の排出方法>
次に、図14を参照して内容物収納容器と外装容器との組合体に充填された内容物の排出方法について説明する。
まず、蓋部材4を取り外し、上述したように管状部材7を注出口10に挿入した後に、内容物充填排出部材6を注出口10に装着する。次に、例えば空気供給装置(図示せず)を利用し、図14の矢印F3に示すように、内容物充填排出部材6の通気経路63及び注出口10の第2貫通孔17bを介して袋体20の内部に空気を供給し、内容物の液面等の表面を加圧する。この加圧によって、袋体20の中の内容物は外装容器3の外部に押し出される。従って、袋体20内部に収納された内容物は、図14の矢印F4に示すように、細管71及び内容物充填排出経路61を経由し外装容器3の外部にスムーズに排出される。このとき、細管71が袋体20の底部まで延設されていれば、袋体20内の内容物を残さずに外部に排出することが可能になり、内容物の残存量を低減することができる。
そして、内容物が全て排出された組合体1については、内容物収納容器2を外装容器3から取り外し、新しい内容物収納容器2を外装容器3に装着すれば、外装容器3を再利用することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば注出口10の開口部3aへの装着は、外ねじと内ねじによる螺合のほか、嵌め込み構造等を用いても良い。