JP6988277B2 - シート製造装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載のシート製造装置では、第1回転部と第2回転部とにより材料を挟持し、材料を加圧加熱し、シートを製造する。第1回転部は、回転中心部に配置される芯金が軟質体(ゴム層)で覆われ、軟質体の外周面(表面)が加熱器によって加熱されている。第2回転部は、内部に熱源が設けられた芯金を有し、芯金は軟質体で覆われていない。すなわち、第1回転部と第2回転部とで硬度差が設けられ、第1回転部の軟質体が材料の凹凸に追従して変形することにより、材料を挟持する際の接触面積が大きくなり、材料を効率的に加熱することができる。さらに、加熱器によって軟質体の表面だけが加熱されるので、軟質体の全体が加熱される場合と比べて、軟質体が熱劣化しにくい。
さらに、シート製造装置では、材料を早く加熱してシートを早く製造するという高速性の要求もあった。
仮に、加熱器がユニット化されていなく、加熱器を分解して使用できなくなった部材を交換してシート製造装置を使用できる状態に復旧させる場合、加熱器の分解や組立に長時間必要となり、シート製造装置が長時間停止するおそれがある。本適用例では、ユニット化された正常な加熱器を在庫として保有すれば、加熱器の分解や組立をせずに、使用できなくなった加熱器を、正常な加熱器に交換することで、シート製造装置を使用できる状態に復旧させることができるので、加熱器を分解して使用できなくなった部材を交換する場合と比べて、シート製造装置の停止時間を短くし、シート製造装置の効率(生産性)を高めることができる。
さらに、移動機構によって、第1回転体及び第2回転体が混合物を挟持する位置に調整すると、加熱器は混合物を加熱する加熱状態になる。移動機構によって、混合物を挟持せずに第1回転体及び第2回転体が離間する位置に調整すると、加熱器は混合物を加熱しない非加熱状態になる。従って、加熱器が混合物を加熱する加熱状態と、加熱器が混合物を加熱しない非加熱状態とが選択可能になる。
本適用例では、第1加熱器と、第1加熱器と異なる条件で混合物を加熱可能な第2加熱器とによって、2種類の条件を設定できる。さらに、移動機構によって、第1加熱器によって混合物を加熱する場合と、第2加熱器によって混合物を加熱する場合とを選択できる。例えば、第1加熱器によって混合物を加熱してシートを製造している間に、第2加熱器の条件を変更するようにすると、第2加熱器の条件を変更する間も、第1加熱器を使用してシートが製造されているので、加熱器の条件を変更する間シートを製造できないというロスを減らし、シート製造装置の効率(生産性)を高めることができる。
例えば、第1加熱器によって加熱される第1経路を使用してシートを製造している間に、第2加熱器の条件を変更するようにすると、第2加熱器の条件を変更する間も、第1加熱器によって加熱される第1経路を使用してシートが製造されているので、加熱器の条件を変更する間シートを製造できないというロスを減らし、シート製造装置の効率(生産性)を高めることができる。
さらに、第1加熱器及び第2加熱器の両方で混合物を加熱すると、第1加熱器及び第2加熱器のいずれかで混合物を加熱する場合と比べて、混合物を早く加熱し、シートを早く製造することができる。すなわち、シート製造装置におけるシートの製造を高速化することができる。
さらに、累積値が、加熱器を適正に使用できなくなる状態に近付いたことを警告する警告値を有すると、警告値によって加熱器が適正に使用できなくなる時期(加熱器の寿命)を予測することができる。累積値が、加熱器を適正に使用できる上限である使用限界値を有すると、使用限界値によって使用できなくなる時期を的確に把握することができる。
従って、加熱器の寿命を予測し、加熱器が寿命を迎える前に、新たな加熱器を事前に準備する場合、加熱器が寿命を迎えた後で新たな加熱器を準備する場合と比べて、シート製造装置の停止ロスが少なくなり、シート製造装置の効率(生産性)を高めることができる。
シート製造システムが、品位や質感の異なるシートを製造するために好ましい加熱器を予め備えるようにすると、品位や質感の異なるシートを製造する場合に好ましい加熱器に交換することによって、製造されるシートの品位や質感を高め、製造されるシートの多様性を高めることができる。さらに、加熱器はシート製造装置に対して着脱可能であるので、例えばシート製造装置を分解して加熱器を交換する場合と比べて、加熱器を交換する場合のシート製造装置の停止時間を短くし、シート製造装置の効率(生産性)を高めることができる。
加熱器の寿命を予測し、加熱器が寿命を迎える前に新たな加熱器を事前に準備すると、新たな加熱器を在庫として保有していない場合であっても、加熱器が寿命を迎えるまでの間に新たな加熱器を準備すればよいので、加熱器が寿命を迎えた後で新たな加熱器を準備する場合と比べて、新たな加熱器に交換するための装置停止を短くすることができる。
本適用例に係るシート製造方法では、第1加熱器カセットを装置に装着して第1加熱器カセットによってシートを製造する場合と、第1加熱器カセットに換えて第2加熱器カセットを装置に装着して第2加熱器カセットによってシートを製造する場合とが選択可能であるので、多様なシートを製造できる。例えば、品位や質感が異なる多様なシートを製造することができる。
「シート製造装置の概要」
図1は実施形態1に係るシート製造装置の構成を示す模式図である。図2は供給部の構成を示す模式図である。図3は添加物供給部の構成を示す模式図である。
最初に、図1乃至図3を参照し、本実施形態に係るシート製造装置100の概要を説明する。
本実施形態に係るシート製造装置100は、例えば、機密紙などの使用済みの古紙である原料MAを乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙(シートS)を製造するのに好適な装置である。さらに、原料MAが繊維化されたものに、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上させたり、色、香り、難燃などの機能を付加したりすることができる。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3等の定型サイズのオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
製造部102では、シートSの材料が移動する方向に沿って、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウエブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウエブ形成部70と、搬送部79と、シート形成部86と、切断部90とが、順に配置されている。
詳細は後述するが、シート製造装置100は、原料MAを解繊して生成される繊維と結合材(樹脂)との混合物(第2ウエブW2)を加熱する加熱器群80(加熱器81,82)によって加熱して、シートSを製造する。
原料MAは、繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、または織物等が挙げられる。本実施形態では、原料MAとして古紙が使用されている。古紙とは、少なくとも1回の印刷あるいは筆記等の使用がなされた紙であり、トナーやインクが付着していることが多い。
供給ローラー1111は、原料MAを1枚ずつピックアップし、検出搬送路1105に送り出す。検出搬送路1105には、測色部391、及びスキャナー393が配置されている。測色部391は、検出搬送路1105に対向して設置され、原料MAの表面の色を計測して計測値を制御装置110に出力する。スキャナー393は検出搬送路1105に対向して設置される。スキャナー393は、検出搬送路1105に向けて光を照射する光源(図示省略)と、原料MAの反射光を検出するCCD(Charge Coupled Device)センサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどのラインセンサーとを備え、ラインセンサーにより読み取った画像を制御装置110に出力する。
本実施形態では、4つのスタッカー11が、それぞれ矢印方向にスライド可能に配置されている。各々のスタッカー11は、搬送路1102から離れた位置から、搬送路1102に接近あるいは当接する位置に移動し、搬送路1102を搬送される原料MAを収容する。スタッカー11には、内部に収容された原料MAを送り出す給送ローラー11aが設けられている。スタッカー11に収容された原料MAは、給送ローラー11aによって、供給路1103に1枚ずつ送り出され、粗砕部12に搬送される。
制御装置110は、測色部391の測色結果と、スキャナー393が読み取った画像とを取得する。制御装置110は、測色部391の出力値に基づき原料MAの表面の色を判定し、原料MAの種類を特定する。原料MAの種類とは、例えば、PPC(プレーンペーパーコピー)用紙、クラフト紙、再生紙等である。さらに、制御装置110は、測色部391の測色結果から、トナーやインク等がない非印字部の白色度を求め、さらしの有無を推定し、クラフト紙であるか否かを判定する。さらに、制御装置110は、測色部391の測色結果及びスキャナー393が読み取った画像から、原料MAに付着している色材の量、種類(インク、トナー、樹脂トナー等)、原料MAの表面積に占める色材の面積等を検出する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9には、管6によって解繊部20に連通されている。粗砕片はシュート9により集められ、管6を通って解繊部20に搬送される。
解繊部20を通過したものを解繊物という。解繊物には、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤が含まれる。
管3には解繊部ブロアー26が設けられ、解繊部ブロアー26が発生する気流により、解繊物が管3から選別部40の導入口42に送り出される。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き伸ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。管8は、ドラム部41の内部と管6とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管6を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は、解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、メッシュベルト46は、シートSを製造する運転動作中には、速度V1で移動する。メッシュベルト46の搬送速度V1、及びメッシュベルト46による搬送の開始及び停止は、制御装置110により制御される。
上述したように、メッシュベルト46の上には、第1選別物から除去物が取り除かれた繊維が堆積し、第1ウエブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウエブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
第1ウエブW1は繊維が堆積してウエブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウエブW1の繊維をほぐして、混合部50で添加物を混合しやすい状態に加工する。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54の中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状になる。
なお、添加物供給部は、「結合材供給部」の一例である。
そして、添加物カートリッジ501に収容された添加物は、排出部52aと、供給調整部52bと、供給管52cとを経て、管54に供給される。
基板18は、「第2記憶手段」の一例であり、第2情報(添加物の情報、原料MAの種類、シートSの種類、シートSの製造速度など)が読出し可能に記憶されている。換言すれば、種類の異なる添加物(結合材)を個別に収容する添加物供給部52(添加物カートリッジ501)には、第2情報を読出し可能な基板18が装着されている。
なお、基板18は、接触式のICチップであってもよいし、非接触式のICチップ(例えば、RFID(Radio Frequency IDentifier)であってもよい。
また、添加物カートリッジ501に収容される添加物には、繊維を結着させる樹脂の他に、製造されるシートSの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、及び繊維等を燃えにくくするための難燃剤などが含まれる。
なお、添加物に含まれる樹脂は、「結合材」の一例である。
第2ウエブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印V2で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト72は、シートSを製造する運転動作中には、一定の速度V2で移動する。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、堆積部60からメッシュベルト72に向かう気流を発生させる。
このように、堆積部60と第2ウエブ形成部70とを経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウエブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウエブW2は、シート形成部86へと搬送される。
サクション機構79cは、ブロアー(図示省略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウエブW2を吸引し、第2ウエブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、ローラー79bの自転により移動し、第2ウエブW2をシート形成部86に搬送する。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウエブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
なお、加熱器群80は、「加熱器」の一例である。
加熱器群80は、加圧部84の側に配置される第1加熱器81と、切断部90の側に配置される第2加熱器82とを有する。すなわち、第1加熱器81及び第2加熱器82は、第2ウエブW2が搬送される方向に沿って順に配置されている。さらに、第2ウエブW2は、第1加熱器81及び第2加熱器82の少なくとも一方によって加熱される。
なお、加熱器81,82の詳細は後述する。
切断部90によって切断加工された単票のシートSは、トレイ96にむけて排出され、トレイ96に載置される。
図4乃至図7は、加熱器の構成を示す模式図である。詳しくは、図4は第1加熱器81の構成を示す模式図である。図5は第2加熱器82の構成を示す模式図である。
図4及び図5では、加熱器81,82における加熱ローラー(第1回転体171、第2回転体172、第3回転体173)の構成を分かりやすくするために、加熱ローラー(第1回転体171、第2回転体172、第3回転体173)以外の構成要素が破線で図示されている。図6及び図7では、加熱器81,82における移動機構190の構成を分かりやすくするために、移動機構190以外の構成要素が破線で図示されている。
さらに、図4乃至図6は、加熱器81,82が第2ウエブW2を加熱する場合の状態が図示されている。図7は、加熱器81,82が第2ウエブW2を加熱しない場合の状態が図示されている。
次に、図4乃至図7を参照して加熱器81,82の概要を説明する。
さらに、第1加熱器81は、第1加熱器81の構成要素(第1回転体171A、第2回転体172A、第3回転体173、移動機構190、キャスター175、基板17)がユニット化(カセット化)され、一体で製造部102の本体(図示省略)に対して着脱可能である。同様に、第2加熱器82は、第2加熱器82の構成要素(第1回転体171B、第2回転体172B、第3回転体173、移動機構190、キャスター175、基板17)がユニット化(カセット化)され、一体で製造部102の本体に対して着脱可能である。
換言すれば、「加熱器」の一例である加熱器群80は、シート製造装置100から着脱可能にユニット化されている。さらに、着脱可能にユニット化された加熱器群80は、第1加熱器81と、第1加熱器81と異なる条件で第2ウエブW2を加熱可能な第2加熱器82とを有する。
加熱器81,82には、記憶素子(CSIC)を有する基板17が装着されている。さらに、加熱器81,82には、基板17と電気的に接続される複数の接続端子(図示省略)が露出して形成されている。基板17は、接続端子を介して制御装置110に電気的に接続されている。
基板17は、「第1記憶手段」の一例であり、第1情報(加熱器81,82の稼働時間と加熱器81,82の稼働温度との積が順次加算された累積値)が読出し可能に記憶されている。換言すれば、加熱器群80(加熱器81,82)には、第1情報を読出し可能な基板17が装着されている。
なお、基板17は、接触式のICチップであってもよいし、非接触式のICチップ(例えば、RFID)であってもよい。
さらに、第1加熱器81は、第1回転体171Aと第2回転体172Aと第3回転体173との温度(例えば、外周面の温度)を検出する温度センサー(図示省略)を有する。
なお、第3回転体173は、第1加熱器81の必須の構成要素でなく、省略可能である。
軟質体185は、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴムなどにより構成されている。軟質体185は、弾性を有する材料(可撓性材料)で構成され、第2ウエブW2が凹凸を有している場合、第2ウエブW2の凹凸に追従して変形する。軟質体185が第2ウエブW2の凹凸に追従して変形すると、第2ウエブW2の凹凸が押し潰されにくくなり、第2ウエブW2を加熱して形成されるシートSは、光沢が抑えられたマット感のある仕上がりになる。
以降の説明では、軟質体185を有する加熱ローラー(回転体171A,172A)をソフトローラーと称する場合がある。
さらに、第2加熱器82は、第1回転体171Bと第2回転体172Bと第3回転体173との温度(例えば、外周面の温度)を検出する温度センサー(図示省略)を有する。
なお、第3回転体173は、第2加熱器82の必須の構成要素でなく、省略可能である。
芯金182は、芯金181よりも熱伝導率が高い材料で構成され、芯金181よりも熱源Hの熱が伝搬されやすい。詳しくは、芯金182は、銅、または銅を含む合金で構成されている。さらに、回転体171B,172Bは、軟質体185を有していないので、軟質体185を有する回転体171A,172Aと比べて、熱源Hの熱が外周面に伝搬されやすい。このため、回転体171B,172Bは、回転体171A,172Aよりも素早く加熱され、第2ウエブW2を素早く加熱することができる。
以降の説明では、軟質体185を有していない加熱ローラー(回転体171B,172B)をハードローラーと称する場合がある。
なお、マット感及びグロス感は、「シートの品位や質感」の一例である。
さらに、移動機構190は、第2ロッド195bを回転軸197b周りに回転駆動する駆動部(図示省略)を有する。
さらに、図6に示す状態において、第2ロッド195bを反時計回りに回転させると、第1回転体171と第2回転体172とが互いに離間する図7に示す状態になる。
すなわち、移動機構190は、第1回転体171及び第2回転体172が第2ウエブW2を挟持する位置と、第2ウエブW2を挟持せずに第1回転体171及び第2回転体172が離間する位置とに切り替える。
このように、第2ウエブW2の加熱温度は、原料MAの種類、添加物の種類、及び解繊物(繊維)の状態によって変化するので、シート製造装置100において、原料MAの種類や添加物の種類を切り替える場合、第2ウエブW2の加熱温度を変更する必要がある。
本実施形態に係るシート製造装置100は、第1加熱器81と、第1加熱器81と異なる条件で第2ウエブW2を加熱可能な第2加熱器82とを有し、二つの加熱器81,82のそれぞれで第2ウエブW2の加熱温度(加熱条件)を設定することができる。例えば、二つの加熱器81,82のうち一方で第2ウエブW2を加熱している間に、二つの加熱器81,82のうち他方の温度を変更するようにすると、二つの加熱器81,82のうち他方の温度を変更している間も、二つの加熱器81,82のうち一方で第2ウエブW2を加熱しシートSが製造されるので、加熱器81,82の温度変更に伴う条件変更ロスが少なくなり、シート製造装置100の効率(生産性)を高めることができる。
このように、本実施形態に係るシート製造装置100は二つの加熱器81,82の少なくとも一方で第2ウエブW2を加熱することができるので、一つの加熱器だけで第2ウエブW2を加熱する場合と比べて、条件変更ロスを少なくし、さらにシートSの処理速度を速くし、シート製造装置100の効率(生産性)を高めることができる。
なお、本願における「異なる条件」とは、第2ウエブW2の加熱条件、第2ウエブW2の加圧条件、或いは第1回転体171乃至第2回転体172の材質(例えば、軟質体185の有無)のいずれかが異なっていることである。
また、本願における「異なる条件」とは、第2ウエブW2の加熱条件、第2ウエブW2の加圧条件、或いは製造されるシートSの品位や質感(例えば、マット感、グロス感)を異ならせる条件のいずれかが異なっていることである。
図8は、本実施形態に係るシート製造装置の制御構成を示すブロック図である。図9は、操作パネルに表示される画面の例を示す図である。詳しくは、図9では、作業者がシート製造装置100を操作するための操作画面160が図示されている。図10は、累積値の例を示す図である。また、図10の横軸は加熱器の稼働時間であり、図10の縦軸は累積値である。
制御部120と、操作パネル140と、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウエブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウエブ形成部70と、搬送部79と、加圧部84と、加熱器群80と、切断部90と、測色部391と、スキャナー393と、基板17と、基板18とは、バス150を通じて互いに接続されている。
記憶部130は、例えば、所定の情報を読み出し可能に記憶するROM、及び各種の情報を書き込み/読み出し可能に記憶するRAMなどで構成される。
制御部120は、製造部102の各部(供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウエブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウエブ形成部70、搬送部79、加圧部84、加熱器群80、切断部90)を制御する。
操作パネル140は、例えば、タッチパネル機構を有する液晶表示パネルである。操作パネル140は、シート製造装置100の動作に必要な各種条件を設定する機能と、シート製造装置100の状態を表示する機能とを有する。
さらに、速度設定部162によって選択されたシートSの製造速度は、制御部120の記憶部130に記憶される。
作業者は、色設定部163aを操作することにより、プルダウンメニューによって、シートSの色を、予め設定された複数の色から選択できる。また、シートSの色の情報は、添加物に含まれる色材に関する情報と読み替えることができる。
さらに、色設定部163aによって選択されたシートSの色は、制御部120の記憶部130に記憶される。また、シートSの色によって、使用する添加物カートリッジ501の種類が選択される。例えば、緑色のシートSを製造する場合、イエローの添加物を収容した添加物カートリッジ501と、シアンの添加物を収容した添加物カートリッジ501とが選択される。
さらに、紙種設定部163bによって選択されたシートSの紙種は、「シートの種類」の一例であり、制御部120の記憶部130に記憶される。
さらに、原料設定部163cによって選択された原料MAの種類は、制御部120の記憶部130に記憶される。
換言すれば、基板18に読出し可能に記憶される第2情報は、結合材の種類、及び結合材の種類や結合材の種類に紐付いた加熱温度のうち少なくとも一つを含む。
カートリッジ情報表示部165は、添加物供給部52に装着(セット)された添加物カートリッジ501に関する情報が表示される表示領域である。図9に示す例では、添加物カートリッジ501に収容される添加物の色や残量が、カートリッジ情報表示部165に表示されている。
換言すれば、第1情報は、加熱器81,82の稼働時間と加熱器81,82の稼働温度との積が順次加算された累積値と、加熱器81,82を適正に使用できなくなる状態に近付いたことを警告する警告値と、加熱器81,82を適正に使用できる上限である使用限界値とを有する。
a31=a11×a21…(1)
JOB2では、加熱器81の稼働温度はa12であり、加熱器81の稼働時間はa22である。JOB2における累積値a32は、下記に示す(2)式で表される。
a32=a12×a22…(2)
JOB3では、加熱器81の稼働温度はa13であり、加熱器81の稼働時間はa23である。JOB3における累積値a33は、下記に示す(3)式で表される。
a33=a13×a23…(3)
JOB4では、加熱器81の稼働温度はa14であり、加熱器81の稼働時間はa24である。JOB3における累積値a34は、下記に示す(4)式で表される。
a34=a14×a24…(4)
JOB5では、加熱器81の稼働温度はa15であり、加熱器81の稼働時間はa25である。JOB5における累積値a35は、下記に示す(5)式で表される。
a35=a15×a25…(5)
以降の説明では、加熱器81,82の稼働時間と加熱器81,82の稼働温度との積が順次加算された累積値を累積値A1と称し、加熱器81,82を適正に使用できなくなる状態に近付いたことを警告する警告値を警告値Bと称し、加熱器81,82を適正に使用できる上限である使用限界値を使用限界値Cと称す。
加熱器81,82の寿命(加熱器81,82が適正に使用できる期間)は、加熱器81,82の稼働時間と、加熱器81,82の稼働温度とに依存する。例えば、加熱器81,82の稼働時間が長くなると加熱器81,82の劣化が徐々に進行し、加熱器81,82の稼働温度が高くなると加熱器81,82の劣化が徐々に進行する。例えば、加熱器81,82の稼働時間が同じであっても、加熱器81,82の稼働温度が高くなると、加熱器81,82は早く劣化し、加熱器81,82の寿命が短くなる。加熱器81,82の稼働時間が同じであっても、加熱器81,82の稼働温度が低くなると、加熱器81,82の寿命が長くなる。
このため、加熱器81,82の劣化の程度は、加熱器81,82の稼働時間と加熱器81,82の稼働温度との積が順次加算された累積値A1によって評価することができる。
本実施形態では、第1加熱器81及び第2加熱器82のそれぞれの使用限界値Cがデフォルトで設定されている。第1加熱器81の使用限界値、第2加熱器82の使用限界値は事前の耐久試験等の経験値でそれぞれに設定された値である。
これら使用限界値Cの変更(設定)や、警告値Bの変更(設定)は、操作パネル140を介して実施される。
このように、制御部120は、加熱器群80(加熱器81,82)が新たに稼働した場合、新たに稼働した加熱器群80(加熱器81,82)の稼働時間と稼働温度とで新たな積Dを算出し、さらに新たな積Dを累積値A1に加算して新たな累積値A2を算出し、新たな累積値A2を基板17に記憶する。
換言すれば、制御部120は、新たな累積値A2が警告値Bを超えた場合、寿命に近付いた加熱器81,82の交換を促す。さらに換言すれば、制御部120は、新たな累積値A2と警告値Bとから、加熱器81,82の寿命(加熱器81,82が適正に使用できなくなる時期)を予測し、加熱器81,82が寿命(加熱器81,82が適正に使用できなくなる時期)に近付いた場合、加熱器81,82の交換を促す。
このように、本実施形態に係るシート製造装置100の制御方法では、加熱器81,82の寿命を予測し、加熱器81,82の寿命にあわせて新しい加熱器81,82を事前に準備することが可能になる。
例えば、シート製造装置100にパトライト(登録商標)やブザーなどを設け、パトライトの光や、ブザーの音などによって加熱器81,82が適正に使用できなくなる状態に近付いたことを警告する構成であってもよい。
加熱器81,82は、加熱器81,82の構成要素がユニット化され、一体で着脱可能(交換可能)であるので、例えば、加熱器81,82を分解し、劣化した部品(構成要素)だけを交換する場合と比べて、加熱器81,82の交換時間を短くすることができる。
例えば、シート製造装置100にパトライト(登録商標)やブザーなどを設け、パトライトの光や、ブザーの音などによって加熱器81,82が適正に使用できなくなったことを報知する構成であってもよい。
本実施形態は、加熱器81,82の寿命を予測し、計画的に新しい加熱器81,82を交換する場合、製造部102で処理中の材料(第1ウエブW2、第2ウエブW2)が不良になるロスを抑制することができる。さらに、加熱器81,82の寿命を予測し、新しい加熱器81,82を事前に準備すると、新しい加熱器81,82を在庫として保有していない場合であっても、加熱器81,82が使用できなくなるまでに新しい加熱器81,82を準備すればよいので、新しい加熱器81,82を準備する間、製造部102の処理が停止するというロスを抑制することができる。
このように、本実施形態に係るシート製造装置100の制御方法では、加熱器81,82の寿命を予測し、加熱器81,82の寿命にあわせて新しい加熱器81,82を事前に準備可能になるので、シート製造装置100の効率(生産性)を高めることができる。
さらに、加熱器81,82は、加熱器81,82の構成要素がユニット化され、一体で交換可能であるので、加熱器81,82の構成要素がユニット化されていなく、加熱器81,82の構成要素を別々に交換する場合と比べて、加熱器81,82の交換時間が短くなり、製造部102の処理が停止するというロスをさらに少なくすることができる。少量多品種の生産が求められる昨今では、さらに効果的である。
制御部120は、第1情報と第2情報と入力情報とに基づいて、加熱器81,82の加熱温度を決定し、第1加熱器81と第2加熱器82とを切り替え、若しくは、第1加熱器81と第2加熱器82とを併用して、混合物を加熱する。
さらに、制御部120は、第1情報と第2情報と入力情報とに基づいて、加熱器81,82の加熱温度を決定し、複数の加熱器(第1加熱器81、第2加熱器82)のうち混合物の加熱に適した加熱器を選択する。すなわち、複数の加熱器(第1加熱器81、第2加熱器82)のうち混合物の加熱に適した加熱器が、自動的に選択される。
加熱器の選択や加熱温度の設定は自動的に実施されるので、作業者が手動で加熱器の選択や加熱温度の設定を実施する場合と比べて、シートSを製造するための作業が効率化され、さらに作業ミスを防止することができる。
図11は、実施形態2に係るシート製造装置の構成を示す模式図である。図11では、シート形成部86Aが一点鎖線で囲まれている。
本実施形態と実施形態1とでは、シート形成部の構成の構成が異なり、他は同じである。すなわち、本実施形態に係るシート形成部86Aは、加圧部84と、二つの加熱器81,82と、経路1,2を切り替える二つのフラッパ88,89とを有している。実施形態1に係るシート形成部86は、加圧部84と、二つの加熱器81,82とを有し、経路を切り替えるフラッパを有していない。この点が、本実施形態と実施形態1との主な相違点である。
以下、図11を参照し、実施形態1との相違点を中心に、本実施形態に係るシート製造装置100Aの概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
第1加熱器81はソフトローラー(回転体171A,172A)を有し、第2加熱器82とハードローラー(回転体171B,172B)を有している。
フラッパ88,89が図中に実線で示される状態にある場合、第1経路1が選択され、第2ウエブW2は、第1経路1に沿って搬送され、第1加熱器81によって加熱される。
フラッパ88,89が図中に破線で示される状態にある場合、第2経路2が選択され、第2ウエブW2は、第2経路2に沿って搬送され、第2加熱器82によって加熱される。
このように、本実施形態に係るシート製造装置100Aは、第2ウエブW2が搬送されながら第1加熱器81によって加熱される第1経路1と、第2ウエブW2が搬送されながら第2加熱器82によって加熱される第2経路2とを有し、第1経路1と第2経路2とは、二つのフラッパ88,89によって切り替え可能である。
すなわち、加熱器81,82から移動機構190を省略し、加熱器81,82の低コスト化を図ることができる。
図12は、実施形態3に係るシート製造装置の構成を示す模式図である。図12では、シート形成部86Bが一点鎖線で囲まれている。
本実施形態と実施形態1とでは、シート形成部の構成の構成が異なり、他は同じである。すなわち、本実施形態に係るシート形成部86Bは、加圧部84と、二つの加熱器群80A,80Bと、経路1,2を切り替える二つのフラッパ88,89とを有している。実施形態1に係るシート形成部86は、加圧部84と、一つの加熱器群80とを有し、経路を切り替えるフラッパを有していない。この点が、本実施形態と実施形態1との主な相違点である。
以下、図12を参照し、実施形態1との相違点を中心に、本実施形態に係るシート製造装置100Bの概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
加熱器群80Aは、第1加熱器81Aと第2加熱器82Aとを有している。すなわち、加熱器群80Aは、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81Aと、ハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82Aとで構成される。
加熱器群80Bは、第1加熱器81Bと第2加熱器82Bとを有している。すなわち、加熱器群80Bは、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81Bと、ハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82Bとで構成される。
二つの加熱器群80A,80Bの両端には、二つのフラッパ88,89が配置されている。
フラッパ88,89が図中に実線で示される状態にある場合、第1経路1が選択され、第2ウエブW2は、第1経路1に沿って搬送され、加熱器群80Aによって加熱される。すなわち、第1経路1には二つの加熱器81A,82Aが配置され、第1経路1に沿って搬送される第2ウエブW2は、二つの加熱器81A,82Aの少なくとも一方により加熱される。
フラッパ88,89が図中に破線で示される状態にある場合、第2経路2が選択され、第2ウエブW2は、第2経路2に沿って搬送され、加熱器群80Bによって加熱される。すなわち、第2経路2には、二つの加熱器81B,82Bが配置され、第2経路2に沿って搬送される第2ウエブW2は、二つの加熱器81B,82Bの少なくとも一方により加熱される。
このように、本実施形態に係るシート製造装置100Bは、第2ウエブW2が搬送されながら加熱器群80Aによって加熱される第1経路1と、第2ウエブW2が搬送されながら加熱器群80Bによって加熱される第2経路2とを有し、第1経路1と第2経路2とは、二つのフラッパ88,89により切り替え可能である。
「シート製造システムの概要」
図13は、実施形態4に係るシート製造システムの構成を示す模式図である。なお、図13ではシート製造装置100Cが破線で囲まれている。
本実施形態に係るシート製造システム1000は、シート製造装置100Cと、第2加熱器82とを有している。
なお、シート製造装置100Cは、「装置」の一例である。
換言すれば、本実施形態のシート製造装置100Cは、原料MAを解繊して生成される繊維と結合材との混合物(第2ウエブW2)を加熱する第1加熱器81によって加熱してシートSを製造するシート製造装置であって、第1加熱器81は、シート製造装置100Cから着脱可能にユニット化されている。
これらの点が、本実施形態と実施形態1との主な相違点である。
以下、図13を参照し、実施形態1との相違点を中心に、本実施形態に係るシート製造システム1000の概要を説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
シート製造装置100Cに搭載される第1加熱器81は、軟質体185を有するソフトローラーであり、第2ウエブW2の凹凸に追従して変形することによって、第2ウエブW2の凹凸が押し潰されにくくなり、第2ウエブW2を加熱して形成されるシートSは、光沢が抑えられたマット感のある仕上がりになる。
第2加熱器82は、軟質体185を有していなく、第2ウエブW2の凹凸に追従して変形しにくく、第2ウエブW2の凹凸を押し潰し、第2ウエブW2を加熱して形成されるシートSは、第2ウエブW2の凹凸が押し潰され、光沢が高められたグロス感のある仕上がりになる。
換言すれば、第1加熱器81と第2加熱器82とは、第2ウエブW2の加熱条件、第2ウエブW2の加圧条件、或いは製造されるシートSの品位や質感(マット感、グロス感など)の条件のいずれかが異なる仕様とされている。そして、光沢が抑えられたマット感のあるシートSを製造するためには、第1加熱器81が好ましく、光沢が高められたグロス感のあるシートSを製造するためには、第2加熱器82を使用することが好ましい。
なお、第1加熱器81は、「第1加熱器カセット」の一例である。第2加熱器82は、「第2加熱器カセット」の一例である。
第1加熱器81は、第1加熱器81の構成要素がユニット化され、一体で交換可能(着脱可能)であるので、第1加熱器81の構成要素がユニット化されていない場合と比べて、第1加熱器81をシート製造装置100Cから容易に取り外すことができる。さらに、第2加熱器82も、第1加熱器81と同様に、第2加熱器82の構成要素がユニット化され、一体で交換可能(着脱可能)であるので、第2加熱器82の構成要素がユニット化されていない場合と比べて、第2加熱器82をシート製造装置100Cに容易に取り付けることができる。
従って、シート製造装置100Cでは、第1加熱器81を第2加熱器82に容易に交換することができ、第1加熱器81を第2加熱器82に交換する交換時間を短くし、第1加熱器81を第2加熱器82に交換する場合に製造部102の処理が停止するというロスを少なくすることができる。
第2加熱器82は、第2加熱器82の構成要素がユニット化され、一体で交換可能(着脱可能)であるので、第2加熱器82の構成要素がユニット化されていない場合と比べて、第2加熱器82をシート製造装置100Cから容易に取り外すことができる。さらに、第1加熱器81は、第1加熱器81の構成要素がユニット化され、一体で交換可能(着脱可能)であるので、第1加熱器81の構成要素がユニット化されていない場合と比べて、第1加熱器81をシート製造装置100Cに容易に取り付けることができる。
従って、シート製造装置100Cを初期の状態に戻す場合においても、第2加熱器82を第1加熱器81に交換する交換時間を短くし、第2加熱器82を第1加熱器81に交換する場合に製造部102の処理が停止するというロスを少なくすることができる。
このように、本実施形態では、加熱器81,82を交換する場合のシート製造装置100Cの停止時間を短くし、シート製造装置100Cの効率(生産性)を高めることができる。
図14は、本実施形態に係るシート製造方法を示す工程フローである。図15乃至図17は、図14におけるステップS1の状態を示す模式図である。
詳しくは、図15には、第1加熱器81を取り外す前の状態が図示されている。図16及び図17は、第1加熱器81を取り外す状態が図示されている。さらに、図15Aと図16Aと図17Aとは、第1加熱器81を短手方向から見た図(シートSの幅方向と直交する方向から見た図)であり、図6に示す移動機構190の構成要素の図示が一部省略されている。図15Bと図16Bと図17Bとは、第1加熱器81を長手方向から見た図(シートSの幅方向から見た図)である。
次に、図14乃至図17を参照し、本実施形態に係るシート製造方法について説明する。
なお、ステップS1は、「第1加熱器カセットを、装置における電気的な接続及び機械的な固定を解除して装置から取り外す工程」の一例である。ステップS2は、「第1加熱器カセットに換えて第2加熱器カセットを、装置における電気的な接続及び機械的な固定を行い前記装置に装着する工程」の一例である。
詳しくは、シートSの製造速度とシートSの色とシートSの紙種と原料MAの種類とが、操作パネル140の操作画面160によって入力情報として入力され、制御部120の記憶部130に記憶される。制御部120は、第2ウエブW2を加熱するために好ましい加熱器81,82を選択し、好ましい加熱器81,82を操作画面160の報知部164に表示させる。さらに、作業者は、操作画面160の報知部164に表示された内容に従って、好ましい加熱器81,82に交換する。
換言すれば、本実施形態における第1加熱器81をシート製造装置100Cから取り外す工程(ステップS1)、及び第1加熱器81に換えて第2加熱器82をシート製造装置に装着する工程(ステップS2)のいずれかは、シート製造装置100Cにおける入力情報の設定に対応して実行される。
以降の説明では、作業者は、操作画面160の報知部164に表示された内容に従って、第1加熱器81を第2加熱器82に交換するものとする。
図15A及び図15Bに示すように、シート製造装置100Cの本体109には、第1固定部101と、第2固定部102とが設けられている。図15Aに示すように、第1固定部101は、第1加熱器81の二つのキャスター175を挟むように配置され、第1加熱器81の短手方向の移動が抑制される。すなわち、第1固定部101は、第1加熱器81の短手方向の位置を制御する。
図15Bに示すように、第2固定部102は、第1加熱器81の長手方向の一方の端に接するように設けられている。さらに、第1加熱器81の長手方向の一方の端には、第2固定部102に接するように、第3固定部103が設けられている。
第2固定部102及び第3固定部103には、第1加熱器81(基板17)とシート製造装置100C(制御部120)とを電気的に接続する電極部(図示省略)と、第1加熱器81とシート製造装置100C(本体109)とを機械的に固定する固定部(図示省略)とを有している。すなわち、第2固定部102と第3固定部103とを連結することによって、第1加熱器81とシート製造装置100Cとが電気的に接続され、且つ機械的に固定される。
また、第1加熱器81とシート製造装置100Cとを接続する構成と、第2加熱器82とシート製造装置100Cとを接続する構成とは同じである。図示を省略するが、第2加熱器82は、第1加熱器81と同様に、シート製造装置100C(制御部120)に電気的に接続され、且つシート製造装置100C(本体109)に機械的に固定される。
さらに、ステップS1では、図17A及び図17Bに示すように第1加熱器81を図中の矢印の方向に移動させ、第1加熱器81をシート製造装置100Cの本体109から遠ざけ、第1加熱器81をシート製造装置100Cの本体109から取り外す。
すなわち、ステップS1では、図15に示す状態と、図16に示す状態と、図17に示す状態とを経て、第1加熱器81とシート製造装置100Cとの電気的な接続を解除し、第1加熱器81とシート製造装置100Cとの機械的な固定を解除する。
第1加熱器81とシート製造装置100Cとを接続する構成と、第2加熱器82とシート製造装置100Cとを接続する構成とは同じである。このため、図17に示す状態と図16に示す状態と図15に示す状態とを経て、第1加熱器81をシート製造装置100Cの本体109に取付ける場合と同じ手順で、第2加熱器82をシート製造装置100Cの本体109に取付ける。
換言すれば、ステップS2では、第1加熱器81に換えて第2加熱器82を、シート製造装置100Cにおける電気的な接続及び機械的な固定を行い、シート製造装置100Cに装着する。
よって、ステップS1及びステップS2の作業時間、すなわち、ステップS1及びステップS2によってシート製造装置100CがシートSを製造することができない時間が短くなる。従って、シート製造装置100Cの停止時間を短くし、シート製造装置100Cの効率(生産性)を高めることができる。
実施形態1では、加圧部84により加圧された第2ウエブW2を加熱する加熱器の数は二つであった。加圧部84により加圧された第2ウエブW2を加熱する加熱器の数は、二つに限定されず、一つであってもよく、二つより多くてもよい。
例えば、加圧部84により加圧された第2ウエブW2を加熱する加熱器の数が一つであっても、加熱器の構成要素がユニット化され一体で交換可能であれば、加熱器の構成要素がユニット化されていなく、加熱器を分解し劣化した構成要素を交換する場合と比べて、加熱器を交換する時間が短くなるので、加熱器の交換に伴う停止時間を短くし、シート製造装置100の効率(生産性)を高めることができる。
従って、第2ウエブW2を加熱する加熱器の数が一つであっても、加熱器の構成要素がユニット化されている構成は、本願の技術的適用範囲に含まれる。
実施形態1では、構成要素がユニット化され、一体で交換可能な加熱器81,82が二つ設けられていたが、構成要素がユニット化されず、一体で交換することが難しい加熱器が二つ設けられている構成であってもよい。
加熱器が二つであると、二つの加熱器の一方で第2ウエブW2を加熱している間に、二つの加熱器の他方の加熱温度を変更するようにすると、加熱器の温度変更に伴う条件変更ロスが少なくなるという効果を得ることができる。
従って、加熱器の構成要素がユニット化されず、加熱器を一体で交換することが難しい場合であっても、加熱器の加熱温度を複数設定可能な構成は、本願の技術的適用範囲に含まれる。
実施形態1,2において、加熱器群80に、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81とハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82とが配置されていたが、この構成に限定されない。
例えば、加熱器群80に、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81と、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81とが配置される構成であってもよい。例えば、加熱器群80に、ハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82と、ハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82とが配置される構成であってもよい。
例えば、加熱器群80Aに、ソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81Aとソフトローラー(回転体171A,172A)を有する第1加熱器81Bとを配置し、加熱器群80Bに、ハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82Aとハードローラー(回転体171B,172B)を有する第2加熱器82Bとを配置する構成であってもよい。
実施形態1において、ソフトローラー(回転体171A,172A)は、内部に熱源Hを有する加熱ローラーであった。ソフトローラー(回転体171A,172A)は、内部に熱源Hを有さず、他の加熱ローラー(例えば、第3回転体173)によって、その外周面が加熱される構成であってもよい。すなわち、軟質体185を有するソフトローラーは、内部に熱源を有さず、ソフトローラーの外周面が他の加熱ローラーによって加熱される構成であってもよい。
ソフトローラーの外周面だけが加熱ローラーによって加熱されるようにすると、内部に熱源Hを有しソフトローラーの全体が加熱される場合と比べて、軟質体185が熱劣化しにくくなり、ソフトローラーの寿命を長くすることができる。
実施形態4において、シート製造装置100Cに搭載される加熱器(第1加熱器81)の数は一つに限定されず、複数であってもよい。例えば、シート製造装置100Cに搭載される加熱器の数は、実施形態1及び実施形態2と同様に二つであってもよく、実施形態3と同様に四つであってもよい。例えば、実施形態4に係るシート製造装置100Cは、実施形態1に係るシート製造装置100(図1参照)、実施形態2に係るシート製造装置100A(図11参照)、または実施形態3に係るシート製造装置100B(図12参照)のいずれかと同じ構成であってもよい。
Claims (12)
- 原料を解繊して生成される繊維と結合材との混合物を加熱する加熱器によって加熱して
、シートを製造するシート製造装置であって、
前記シート製造装置は、前記シート製造装置の本体から着脱可能な加熱器のユニットを
有し、
前記加熱器のユニットは、
加熱ローラーと、
前記加熱器のユニットを移動させるキャスターと、を有することを特徴とするシート製
造装置。 - 前記加熱器は、
第1回転体と、
前記第1回転体との間で前記混合物を挟持する第2回転体と、
前記第1回転体及び前記第2回転体が前記混合物を挟持する位置と、前記混合物を挟持
せずに前記第1回転体及び前記第2回転体が離間する位置と、に切り替え可能な移動機構
と、
を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。 - 前記加熱器は、第1加熱器と、前記第1加熱器と異なる条件で前記混合物を加熱可能な
第2加熱器と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート製造装置。 - 前記異なる条件とは、前記混合物の加熱条件、前記混合物の加圧条件、或いは前記第1
回転体乃至前記第2回転体の材質のいずれかが異なっていることであることを特徴とする
請求項3に記載のシート製造装置。 - 前記混合物が搬送されながら前記第1加熱器によって加熱される第1経路と、前記混合
物が搬送されながら前記第2加熱器によって加熱される第2経路と、を有し、
前記第1経路と前記第2経路とは切り替え可能であることを特徴とする請求項3乃至4
のいずれか1項に記載のシート製造装置。 - 前記第1加熱器及び前記第2加熱器は、前記混合物が搬送される経路において上流及び
下流の関係となるように配置され、
前記混合物は、前記第1加熱器及び前記第2加熱器の少なくとも一方によって加熱され
ることを特徴とする請求項3乃至4のいずれか1項に記載のシート製造装置。 - 前記加熱器は、読出し可能な第1情報を記憶する第1記憶手段を有していることを特徴
とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート製造装置。 - 前記第1情報は、前記加熱器の稼働時間と前記加熱器の稼働温度との積が順次加算され
た累積値を含み、
前記累積値は、前記加熱器を適正に使用できなくなる状態に近付いたことを警告する警
告値と、前記加熱器を適正に使用できる上限である使用限界値と、を有することを特徴と
する請求項7に記載のシート製造装置。 - 前記シート製造装置は、種類の異なる前記結合材を個別に収容する結合材供給部と、前
記結合材供給部に装着され読出し可能な第2情報を記憶する第2記憶手段と、をさらに有
し、
前記第2情報は、前記結合材の種類、及び前記結合材の種類に紐付いた加熱温度のうち
少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7または8に記載のシート製造装置。 - 前記シート製造装置は、制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記加熱器が新たに稼働した場合に新たな前記積を算出し、さらに前記
新たな積を前記累積値に加算して新たな累積値を算出し、前記新たな累積値を前記第1記
憶手段に記憶すると共に、前記新たな累積値が前記警告値を超えた場合、前記加熱器の交
換を促すことを特徴とする請求項8に記載のシート製造装置。 - 前記シート製造装置は、制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記加熱器が新たに稼働した場合に新たな前記積を算出し、さらに前記
新たな積を前記累積値に加算して新たな累積値を算出し、前記新たな累積値を前記第1記
憶手段に記憶すると共に、前記新たな累積値が前記使用限界値を超えた場合、前記加熱器
の電源をオフにすることを特徴とする請求項8に記載のシート製造装置。 - 前記シート製造装置は、制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1情報と、前記第2情報と、前記原料の種類と前記シートの種類
と前記シートの製造速度とを含む入力情報と、に基づいて、前記加熱器の前記加熱温度を
決定し、前記第1加熱器と前記第2加熱器とを切り替え、若しくは、前記第1加熱器と前
記第2加熱器とを併用して、前記混合物を加熱することを特徴とする請求項9に記載のシ
ート製造装置。
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