以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
図1は、実施形態に係るシート製造装置100の構成を示す模式図である。
本実施形態に記載のシート製造装置100は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、及び、切断部90を備える。
また、シート製造装置100は、原料に対する加湿、及び/または原料が移動する空間を加湿する目的で、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式または温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を浸潤させるフィルター(図示略)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。
また、本実施形態では、加湿部210及び加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する振動部(図示略)を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が古紙を原料とする構成を例示する。本実施形態では、供給部10が古紙を重ねて蓄積するスタッカーを備え、後述する給紙モーター313(図4)の動作によって、スタッカーから古紙を粗砕部12に送り出す構成とする。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、大気中(空気中)等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。例えば、粗砕部12は、原料を、1〜数cm四方またはそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向(進行する方向)において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。
粗砕部12が有するシュート9、或いはシュート9の近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された(高湿度の)空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。また、加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転するローター(図示略)、及び、ローターの外周に位置するライナー(図示略)を備える。粗砕部12で裁断された粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、管3から解繊部20により解繊された解繊物が気流とともに流入する導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。詳細には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、予め定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維または粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片(十分に解繊されていない粗砕片)、解繊された繊維が凝集し、或いは絡まったダマ等を含む。
本実施形態で、選別部40は、ドラム部(篩部)41と、ドラム部41を収容するハウジング部(覆い部)43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部(サクション機構)48と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含み、シート製造装置100がシートSの製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V1で移動する。ここで、通常動作中とは、後述するシート製造装置100の始動制御、及び、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートSを製造している間を指す。
従って、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27に連結される。集塵部27はフィルター式或いはサイクロン式の集塵装置であり、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には捕集ブロアー28(分離吸引部)が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気とともに吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
従って、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制できる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーを用いることができる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で樹脂を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転(例えば図中矢印Rで示す方向への回転)により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、樹脂を含む添加物を供給する添加物供給部52、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、及び、混合ブロアー56(移送ブロアー)を備える。
細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、樹脂を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52(樹脂収容部)は、添加物を蓄積する添加物カートリッジ(図示略)に接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉または微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52a(樹脂供給部)を有する。排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出するフィーダー(図示略)、及び、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉するシャッター(図示略)を備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路或いは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一または複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる樹脂は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。従って、樹脂を繊維と混合させた状態で、樹脂が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色、或いは無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、及び、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流及び/または混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合され、この混合物(第1選別物と添加物との混合物)は管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前または後に設置してもよい。
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61(ドラム)と、ドラム部61を収容するハウジング部(覆い部)63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部61は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70(ウェブ形成部)は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2(堆積物)を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72(ベルト)と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。また、メッシュベルト72の移動速度は、後述する制御部150(図4)により制御できる。メッシュベルト72は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V2で移動する。通常動作中とは、上述した通りである。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77(堆積吸引部)は、サクション機構76から吸引した空気を、図示しない捕集フィルターを通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。或いは、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
以上のように、堆積部60および第2ウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウェブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウェブW2は、シート形成部80へと搬送される。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、ブロアー(図示略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、張架ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。メッシュベルト72の移動速度と、メッシュベルト79aの移動速度とは、例えば、同じである。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウェブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2を、加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維、および添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着させる。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、及び、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。加圧部82は、加圧部駆動モーター332(図4)を備え、一対のカレンダーローラー85の一方は、加圧部駆動モーター332により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85は、加圧部駆動モーター332の駆動力により回転して、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部または外部に設置されるヒーターによって、予め設定された温度に加温される。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧された第2ウェブW2を挟んで熱を与え、シートSを形成する。
このように、堆積部60で形成された第2ウェブW2は、シート形成部80で加圧および加熱されて、シートSとなる。
加熱部84は、加熱部駆動モーター331(図4)を備える。一対の加熱ローラー86の一方は、加熱部駆動モーター331により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、加熱部駆動モーター331の駆動力により回転して、加熱したシートSを、切断部90に向けて搬送する。
なお、加圧部82が備えるカレンダーローラー85の数、及び、加熱部84が備える加熱ローラー86の数は、特に限定されない。
切断部90(カッター部)は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、図中符号Fで示すシートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向Fに平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。排出部96は、所定サイズのシートSを載せるトレイ或いはスタッカーを備える。
上記構成において、加湿部202、204、206、208を1台の気化式加湿器で構成してもよい。この場合、1台の加湿器が生成する加湿空気が、粗砕部12、ハウジング部43、管7、及びハウジング部63に分岐して供給される構成とすればよい。この構成は、加湿空気を供給するダクト(図示略)を分岐して設置することにより、容易に実現できる。また、2台、或いは3台の気化式加湿器によって加湿部202、204、206、208を構成することも勿論可能である。
また、上記構成において、加湿部210、212を1台の超音波式加湿器で構成してもよいし、2台の超音波式加湿器で構成してもよい。例えば、1台の加湿器が生成するミストを含む空気が、加湿部210、及び加湿部212に分岐して供給される構成とすることができる。
また、上述したシート製造装置100が備えるブロアーは、解繊部ブロアー26、捕集ブロアー28、混合ブロアー56、サクションブロアー77、及び、中間ブロアーに限定されない。例えば、上述した各ブロアーを補助する送風機をダクトに設けることも、勿論可能である。
また、上記構成では、最初に粗砕部12が原料を粗砕し、粗砕された原料からシートSを製造するものとしたが、例えば、原料として繊維を用いてシートSを製造する構成とすることも可能である。
例えば、解繊部20が解繊処理した解繊物と同等の繊維を原料として、ドラム部41に投入可能な構成であってもよい。また、解繊物から分離された第1選別物と同等の繊維を原料として、管54に投入可能な構成とすればよい。この場合、古紙やパルプ等を加工した繊維をシート製造装置100に供給することで、シートSを製造できる。
図2は、シート製造装置100の模式図であり、シート形成部80及び切断部90を含む要部をより詳細に示す。
第1切断部92(切断部)は、加熱部84で加熱されたシートSを切断するロータリーカッター901(カッター)を備える。また、第1切断部92は、搬送方向Fにおいてロータリーカッター901の上流側に位置するカッター前ローラー911と、ロータリーカッター901の下流側に位置するカッター後ローラー913とを備える。一対のカッター前ローラー911は、加熱部84で加熱されたシートSを所定のニップ圧で挟み、ロータリーカッター901に向けて搬送する。また、カッター後ローラー913は、ロータリーカッター901で切断されたシートSを、所定のニップ圧で挟んで第2切断部94に向けて搬送する。
図3は、ロータリーカッター901の斜視図である。
ロータリーカッター901は、シャンク902の外周面に、切刃903を配置して構成される。ロータリーカッター901は、図中符号R1で示す回転方向に回転しながら、切刃903によって、シートSを、搬送方向Fと交差する方向、具体的にはシートSの幅方向Wに切断し、直線状の切断面Cを形成する。シートSは幅方向Wや搬送方向Fのサイズに比べ厚みが小さいが、第1切断部92で切断した箇所は面積を有するので、切断面Cと呼ぶ。切刃903が形成する切断面Cは搬送方向Fに直交する方向に限定されないが、例えば定型サイズのシートSをシート製造装置100により製造する場合、切断面Cは搬送方向Fに直交する直線状であることが好ましい。
シャンク(軸)902は、丸棒、或いは円筒形状で構成することができるが、例えば断面D型の棒状であってもよい。シャンク902は、例えば図示しないリンク機構やギヤを介してカッター駆動モーター335(図4)の出力軸に連結され、カッター駆動モーター335により駆動される。シャンク902は、カッター前ローラー911及びカッター後ローラー913の回転軸と平行に配設され、方向R1に回転駆動される。
切刃903は、シャンク902の長手方向(回転中心軸方向)に延び、シャンク902の外周面に沿って取り付けられる。図3の例では、切刃903はシャンク902の外周に対してスパイラル状に配置されるが、切刃903をシャンク902の長手方向に平行に配置してもよい。
切刃903の両端側には、リング904、905が取り付けられる。リング904、リング905は、切刃903の端部を支持し、シャンク902が方向R1に回転する場合にシャンク902とともに切刃903を回転させる。リング904、905は、シャンク902の回転とともに切刃903をシートSに押し当てて、シートSに切刃903を食い込ませる。
ロータリーカッター901が1回転することにより、シートSが側端部SW1から側端部SW2にかけて切断され、シートSに切断面Cが形成される。ロータリーカッター901の切断動作において、切刃903の刃先がシートSに接する位置、すなわち切断位置は、側端部SW1から側端部SW2まで移動する。つまり、第1切断部92は、切断位置を、シートSの幅方向Wに移動させながらシートSを切断する構成を有する。
このように、本実施形態のロータリーカッター901は、固定された回転軸としてのシャンク902に支持され、シャンク902の長手方向すなわち軸方向に延設される切刃903により、切断位置を移動させながらシートSをカットする。ロータリーカッターという語は、金属製の円板の外周部に切刃が形成された、いわゆる丸刃を回転させて切断対象物を切断するカッターを指すことがあるが、本実施形態でいうロータリーカッター901の構成は上記の通りである。
ここで、ロータリーカッター901が回転を開始してから停止するまでの期間を、ロータリーカッター901の切断動作としてもよい。また、切刃903がシートSに接してから、シートSから離れるまでの期間を、ロータリーカッター901の切断動作としてもよい。
ロータリーカッター901は、後述する制御部150(図4)の制御により指定されたタイミングで回転を開始し、シートSの搬送方向Fへの搬送速度と協調する速度で回転するので、図3に示すように直線状の切断面Cが形成される。
図2に戻り、ロータリーカッター901により切断されたシートSはカッター後ローラー913により第2切断部94に搬送される。第2切断部94は、サイドカッター920を備え、サイドカッター920によりシートSの側端部SW1、SW2が切断される。サイドカッター920は、側端部SW1、SW2にそれぞれ対応して配置される例えば、2枚の円形の刃(いわゆる丸刃)を有する。サイドカッター920は、2枚の丸刃を符号R2で示す方向に回転させることにより、側端部SW1、SW2を、搬送方向Fに沿って直線状に切断する。これによって、シートSの幅方向Wにおける両側端部が滑らかに整えられる。
図2に示すように、第2ウェブW2の搬送経路において、加圧部82と加熱部84との間の範囲81では、第2ウェブW2のたるみ、或いは撓みが生じることがある。以下の説明では、たるみ及び撓みを総称してたるみといい、たるみとはたるみ及び/又は撓みを指す。範囲81のたるみは、カレンダーローラー85が第2ウェブW2を搬送する搬送速度と、加熱ローラー86が第2ウェブW2を搬送する搬送速度との差に起因する。
範囲81で第2ウェブW2がたるむことにより、カレンダーローラー85と加熱ローラー86との相対速度が変化した場合に第2ウェブW2に過剰な張力が発生することを防止できる。
シート製造装置100は、範囲81における第2ウェブW2のたるみの状態を検出するテンションセンサー401を備える。テンションセンサー401は、第2ウェブW2の搬送経路の上部に配置される上検出部402と、第2ウェブW2の搬送経路の下部に位置する下検出部403とを備える。範囲81において、第2ウェブW2のたるみが非常に小さい場合に、第2ウェブW2は上検出部402に重なり、第2ウェブW2のたるみの大きさが許容できる上限に達した場合に、第2ウェブW2が下検出部403に重なる。テンションセンサー401は、第2ウェブW2が上検出部402または下検出部403に重なる位置にあるか否かを検出できる。
シートSの搬送経路において、加熱部84と第1切断部92(詳しくはカッター前ローラー911)との間の範囲83においても、シートSのたるみが生じることがある。シートSのたるみは、加熱ローラー86がシートSを搬送する搬送速度とカッター前ローラー911がシートSを搬送する搬送速度との差により生じる。範囲83でシートSがたるむことにより、加熱ローラー86とカッター前ローラー911との相対速度が変化した場合に、シートSに過剰な張力が発生することを防止できる。
シート製造装置100は、範囲83におけるシートSのたるみの状態を検出するテンションセンサー405を備える。テンションセンサー405は、シートSの搬送経路の上部に配置される上検出部406と、シートSの搬送経路の下部に位置する下検出部407とを備える。範囲83において、シートSのたるみが非常に小さい場合に、シートSは上検出部406に重なり、シートSのたるみの大きさが許容できる上限に達した場合に、シートSが下検出部407に重なる。テンションセンサー405は、シートSが上検出部406または下検出部407に重なる位置にあるか否かを検出できる。
上検出部402は、例えば、透過型または反射型の光センサーで構成され、第2ウェブW2が上検出部402の位置に重なったことを検出する。下検出部403、上検出部406、及び下検出部407も同様である。
制御部150は、後述するように、テンションセンサー401の検出値に基づき、加熱ローラー86の搬送速度を制御することにより、第2ウェブW2の張力及びたるみ量を調整する。同様に、制御部150は、テンションセンサー405の検出値に基づき、カッター前ローラー911の搬送速度を制御することにより、シートSの張力及びたるみ量を調整する。なお、制御部150は、加熱ローラー86及びカッター前ローラー911の制御に代えて或いは加えて、カレンダーローラー85の搬送速度及び加熱ローラー86の搬送速度を制御することにより、シートSの張力及びたるみ量を調整してもよい。つまり、制御部150は、加熱ローラー86及びカッター前ローラー911の少なくとも2つのローラー対の速度を制御してたるみ量を調整する。
第2ウェブW2及びシートSのたるみ量は、第2ウェブW2及びシートSの厚さ、添加物供給部52における添加物の混合量、添加物の種類等の影響により変化する。例えば、ユーザーが厚手のシートSを製造するように、シート製造装置100に設定した場合、第2ウェブW2及びシートSの単位面積あたりの重量は大きくなり、たるみを生じ易くなる。これに対し、添加物の混合量や添加物の種類により、シートSの硬度あるいは弾性が高い場合にはたるみを生じ難くなる。このため、制御部150が、テンションセンサー401、405の検出状態に基づいて実際の第2ウェブW2及びシートSのたるみ量を検出して、調整を行うことが望ましい。
なお、範囲81(カレンダーローラー85と加熱ローラー86との間)には、第2ウェブWにテンションを付与する第1テンションローラー87を設けることが好ましい。同様に、範囲83(加熱ローラー86とカッター前ローラー911との間)には、シートSにテンションを付与する第2テンションローラー88を設けることが好ましい。この場合には、テンションセンサー401、405は、第1及び第2テンションローラーの位置を検出し、制御部150は、テンションセンサー401、405の検出状態に基づいて第2ウェブW2及びシートSのたるみ量を検出してしてもよい。
制御部150は、カッター前ローラー911の搬送速度と、カッター後ローラー913の搬送速度とを協調させる制御を行う。具体的には、カッター後ローラー913の搬送速度を、カッター前ローラー911の搬送速度と同じか、より高速となるよう制御する。これにより、ロータリーカッター901の切断位置においてシートSに僅かな張力が与えられるので、切断面Cの乱れを防止あるいは抑制できる。なお、カッター前ローラー911の駆動機構にはワンウェイクラッチが設けられており、第2ウェブWは、カッター後ローラー913の搬送速度で第1切断部92を搬送方向Fに搬送される。
このように、カッター後ローラー913の搬送速度はカッター前ローラー911の搬送速度の影響を受ける。また、カッター前ローラー911の搬送速度は、テンションセンサー405の検出状態と加熱ローラー86の搬送速度に応じて制御される。さらに、加熱ローラー86の搬送速度は、テンションセンサー401の検出状態およびカレンダーローラー85の搬送速度に応じて制御される。
つまり、制御部150が、範囲81、83におけるたるみ量を調整するため各ローラーの搬送速度を変更することにより、第1切断部92におけるシートSの搬送速度が変化する。一方、第1切断部92では、ロータリーカッター901の回転のタイミング及び回転速度は、カッター後ローラー913の回転と同期あるいは協調するよう制御される。
制御部150は、切刃903の周速度がカッター後ローラー913によるシートSの搬送速度の速度と略同一となるようにロータリーカッター901を駆動する。この制御により、切刃903とシートSとの相対速度が非常に小さいか、或いはほぼゼロとなるので、切刃903の切断位置はシートSの幅方向Wに沿ってほぼ直線状に移動し、直線状の切断面Cが形成される。
また、制御部150は、切刃903の周速度がカッター後ローラー913によるシートSの搬送速度の数倍の速度となるようにロータリーカッター901を駆動してもよい。シートSの搬送速度と切刃903の周速度とが協調した適切な組合せであれば、切刃903とシートSとの間に速度差があっても、シートSを搬送方向Fに搬送しながら切断した切断面Cを搬送方向Fに直交する直線状とすることができる。
ロータリーカッター901の切断動作中にシートSの搬送速度が変化すると、切刃903とシートSとの相対速度が変化するので、切断面Cが直線状にならない可能性が高い。この事態を回避するため、切刃903とシートSとの相対速度が変化しないように切刃903の搬送速度を調整することは、極めて高精度の制御を必要とし、容易ではない。
本実施形態のシート製造装置100は、ロータリーカッター901の動作のタイミングと、各ローラーの搬送速度を制御するタイミングとを協調させることにより、上記の問題を解消し、切断面Cの乱れを防止する。
図4は、シート製造装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
シート製造装置100は、シート製造装置100の各部を制御するメインプロセッサー111を有する制御装置110を備える。
制御装置110は、メインプロセッサー111、ROM(Read Only Memory)112、及びRAM(Random Access Memory)113を備える。メインプロセッサー111は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM112が記憶する基本制御プログラムを実行することにより、シート製造装置100の各部を制御する。メインプロセッサー111は、ROM112、RAM113等の周辺回路や他のIPコアを含むシステムチップとして構成されてもよい。
ROM112は、メインプロセッサー111が実行するプログラムを不揮発的に記憶する。RAM113は、メインプロセッサー111が使用するワークエリアを形成して、メインプロセッサー111が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶する。
不揮発性記憶部120はメインプロセッサー111が実行するプログラムや、メインプロセッサー111が処理するデータを記憶する。不揮発性記憶部120は、例えば、設定データ121、及び、表示データ122を記憶する。設定データ121は、シート製造装置100の動作を設定するデータを含む。例えば、設定データ121は、シート製造装置100が備える各種センサーの特性や、各種センサーの検出値に基づきメインプロセッサー111が異常を検出する処理で使用される閾値等のデータを含む。表示データ122は、メインプロセッサー111が表示パネル116に表示させる画面のデータである。表示データ122は、固定的な画像データであってもよいし、メインプロセッサー111が生成或いは取得するデータを表示する画面表示を設定するデータであってもよい。
表示パネル116は、液晶ディスプレイ等の表示用のパネルであり、例えば、シート製造装置100の正面に設置される。表示パネル116は、メインプロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示する。
タッチセンサー117は、タッチ(接触)操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー117は、例えば、透明電極を有する圧力感知式あるいは静電容量式のセンサーで構成され、表示パネル116の表示面に重ねて配置される。タッチセンサー117は、操作を検出した場合、操作位置や操作位置の数を含む操作データをメインプロセッサー111に出力する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117の出力により、表示パネル116に対する操作を検出し、操作位置を取得する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117により検出した操作位置と、表示パネル116に表示中の表示データ122とに基づき、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。
制御装置110はセンサーI/F(Interface)114を介して、シート製造装置100の各部に設置されたセンサーに接続される。センサーI/F114は、センサーが出力する検出値を取得してメインプロセッサー111に入力するインターフェイスである。センサーI/F114は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D(Analogue/Digital)コンバーターを備えてもよい。また、センサーI/F114は、各センサーに駆動電流を供給してもよい。また、センサーI/F114は、各々のセンサーの出力値を、メインプロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、メインプロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
センサーI/F114には、古紙残量センサー301、排紙センサー303、テンションセンサー401、及び、テンションセンサー405が接続される。
古紙残量センサー301は、供給部10が収容する古紙の残量を検出する。制御部150は、例えば、古紙残量センサー301が検出する古紙の残量が設定値を下回った場合に、古紙の不足を報知する。
排紙センサー303は、排出部96が有するトレイ或いはスタッカーに蓄積されたシートSの量を検出する。制御部150は、排紙センサー303が検出するシートSの量が設定値以上となった場合に、報知を行う。
これらは一例であり、例えば、シート製造装置100がその他のセンサーを有し、これらのセンサーの検出値を制御装置110が取得可能であってもよい。例えば、シート製造装置100は、添加物供給部52における添加物の残量を検出するセンサー、シート製造装置100が加湿用の水を貯留するタンク(図示略)の水量を検出するセンサー等を備えてもよい。また、シート製造装置100が、シート製造装置100の内部を流れる空気の温度、風量、風速を検出するセンサーを備えてもよい。
制御装置110は、駆動部I/F(Interface)115を介して、シート製造装置100が備える各駆動部に接続される。シート製造装置100が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。
駆動部I/F115には、制御装置110の制御対象として、粗砕部311、解繊部312、給紙モーター313、添加物供給部314、ブロアー315、加湿部316、ドラム駆動部317、ベルト駆動部318、及び、分断部319が接続される。
粗砕部311は、粗砕部12において原料である古紙を裁断する裁断刃(図示略)を回転させるモーター等の駆動部を含む。解繊部312は、解繊部20が備えるローター(図示略)を回転させるモーター等の駆動部を含む。給紙モーター313は、供給部10から古紙を供給するモーターである。添加物供給部314は、排出部52aにおいて添加物を送り出すスクリューフィーダーを駆動するモーター、排出部52aを開閉するモーターやアクチュエーター等の駆動部を含む。ブロアー315は、解繊部ブロアー26、捕集ブロアー28、混合ブロアー56、サクションブロアー77、等を含む。これらの各ブロアーは個別に駆動部I/F115に接続されてもよい。
ドラム駆動部317は、ドラム部41を回転させるモーター、ドラム部61を回転させるモーター等の駆動部を含む。ベルト駆動部318は、メッシュベルト46を駆動するモーター、メッシュベルト72を駆動するモーター等の駆動部を含む。
分断部319は、回転体49を回転させるモーター等の駆動部を含む。
また、駆動部I/F115には、加熱ローラー86を加熱するヒーター、気化式加湿器、ミスト式加湿器等を接続してもよい。また、各加湿器に水を供給する給水ポンプを、駆動部I/F115に接続してもよい。
また、駆動部I/F115には、加熱部駆動モーター331、加圧部駆動モーター332、ローラー駆動モーター333、ローラー駆動モーター334、カッター駆動モーター335、及びカッター駆動モーター336が接続される。
加熱部駆動モーター331は、駆動IC(Integrated Circuit)321を介して駆動部I/F115に接続され、加熱部84の加熱ローラー86を駆動する。制御装置110は、加熱部駆動モーター331の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC321は、加熱部駆動モーター331の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
加圧部駆動モーター332は、駆動IC322を介して駆動部I/F115に接続され、加圧部82のカレンダーローラー85を駆動する。制御装置110は、加圧部駆動モーター332の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC322は、加圧部駆動モーター332の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
ローラー駆動モーター333は、駆動IC323を介して駆動部I/F115に接続され、カッター前ローラー911を駆動する。ローラー駆動モーター334は、駆動IC324を介して駆動部I/F115に接続され、カッター後ローラー913を駆動する。制御装置110は、ローラー駆動モーター333、及び、ローラー駆動モーター334のそれぞれに対し、回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC323、324は、ローラー駆動モーター333、334の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
カッター駆動モーター335は、駆動IC325を介して駆動部I/F115に接続され、ロータリーカッター901を駆動する。カッター駆動モーター336は、駆動IC326を介して駆動部I/F115に接続され、サイドカッター920を駆動する。制御装置110は、カッター駆動モーター335、及び、カッター駆動モーター336の回転の開始および停止を制御する。
駆動IC321〜326は、メインプロセッサー111の制御に従って駆動部に駆動電流を供給する回路であり、電力用半導体素子等で構成される。例えば、駆動IC321〜326は、インバーター回路や、ステッピングモーターを駆動する駆動回路である。駆動IC321〜326のそれぞれの具体的構成及び仕様は、接続される駆動部に合わせて適宜に選択される。また、シート製造装置100を構成する各モーターの構成は特に制限されない。
シート製造装置100では、ローラー駆動モーター333またはローラー駆動モーター334のいずれか一方または双方の回転量により、シートSの搬送量(搬送長さ)を検出する。これにより、制御装置110は、ロータリーカッター901がシートSをカットするタイミングを適切に制御できる。従って、シート製造装置100は、少なくともローラー駆動モーター333またはローラー駆動モーター334のいずれかの回転量を検出するための構成部を備える。具体的には、駆動IC323、324にローラー駆動モーター333、334の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を設けて、この検出部により回転量を検出する構成等が挙げられる。本実施形態では、ローラー駆動モーター334がステッピングモーターで構成され、制御装置110がローラー駆動モーター334の駆動ステップ数に基づき回転量を求める構成とする。従って、駆動IC324は、制御装置110の制御に従ってローラー駆動モーター334に対し駆動パルスを出力し、この駆動パルスを制御装置110がカウント可能である。
図5は、シート製造装置100の機能ブロック図であり、記憶部140及び制御部150の機能的構成を示す。記憶部140は、不揮発性記憶部120により構成される論理的な記憶部であり、ROM112を含んでもよい。
制御部150、及び、制御部150が有する各種の機能部は、メインプロセッサー111がプログラムを実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により形成される。これらの機能部を構成するハードウェアは、例えば、メインプロセッサー111、ROM112、RAM113、及び不揮発性記憶部120が挙げられる。
制御部150は、オペレーティングシステム(OS)151、表示制御部152、操作検出部153、検出制御部154、及び、駆動制御部155の機能を有する。
オペレーティングシステム151の機能は、記憶部140が記憶する制御プログラムの機能であり、その他の制御部150の各部は、オペレーティングシステム151上で実行されるアプリケーションプログラムの機能である。
表示制御部152は、表示データ122に基づいて表示パネル116に画像を表示させる。
操作検出部153は、タッチセンサー117に対する操作が検出された場合に、検出された操作位置に対応するGUI操作の内容を判定する。
検出制御部154は、センサーI/F114に接続される各種センサーの検出値を取得する。また、検出制御部154は、センサーI/F114に接続されるセンサーの検出値について、予め設定された閾値(設定値)と比較して判定を行う。検出制御部154は、判定結果が、報知を行う条件に該当する場合には、表示制御部152に報知内容を出力して、表示制御部152によって画像やテキストによる報知を行わせる。
駆動制御部155は、駆動部I/F115を介して接続される各駆動部の始動(起動)及び停止を制御する。また、駆動制御部155は、解繊部ブロアー26や混合ブロアー56等に対して、回転数の制御を行う構成であってもよい。
駆動制御部155は、加熱部駆動モーター331、加圧部駆動モーター332、ローラー駆動モーター333、及びローラー駆動モーター334の回転速度の制御を行う。この制御において、駆動制御部155は、テンションセンサー401、405の検出状態(検出値)を取得し、取得した検出状態に基づき各モーターを制御する。
駆動制御部155は、ローラー駆動モーター334の駆動パルスをカウントして、ローラー駆動モーター334の回転量を測定できる。また、駆動制御部155は、カッター駆動モーター335を制御して、ロータリーカッター901を回転させ、カットを実行する。また、駆動制御部155はカッター駆動モーター336を制御し、サイドカッター920の回転の開始および停止を制御する。
駆動制御部155は、カッター駆動モーター335の回転速度を変更してもよい。この場合、駆動制御部155は、カッター後ローラー913がシートSを搬送する搬送速度に合わせて、切刃903がシートSをカットするように、カッター駆動モーター335の回転速度を設定、或いは、調整する。また、カッター前ローラー911の搬送速度に合わせてカッター駆動モーター335の回転速度を設定してもよい。これにより、切刃903が形成する切断面Cを、好ましい直線状とすることができる。
ここで、駆動制御部155による加熱部駆動モーター331、加圧部駆動モーター332、及びローラー駆動モーター333の回転速度の制御について一例を挙げて説明する。駆動制御部155が制御する対象は、直接的には上記各モーターであり、各モーターの回転数、回転量、回転速度(単位時間あたりの回転数)が制御の対象である。ここで、各モーターの速度は回転速度を指す。そして、駆動制御部155が各モーターを制御する目標が、第2ウェブW2及びシートSの搬送速度や搬送量である。以下の説明では、駆動制御部155が制御する各モーターの回転速度、回転量、回転数等の語と、第2ウェブW2及びシートSの搬送速度、搬送量等の語とを適宜に用いて記載する。また、カレンダーローラー85、加熱ローラー86、カッター前ローラー911及びカッター後ローラー913について、速度は、回転速度であってもよい。或いは、これらローラーが搬送する第2ウェブW2またはシートSの搬送速度であってもよい。以下の説明において、ローラーの搬送速度と記載した箇所を、回転速度と置き換えてもよい。
最もシンプルな制御の例として、加圧部駆動モーター332の回転速度を1通りとする例を想定する。すなわち、加圧部駆動モーター332の回転速度が固定されるので、カレンダーローラー85による搬送速度は一定である。カレンダーローラー85の搬送速度をVA[m/秒]とする。
この場合、駆動制御部155は、加熱部駆動モーター331の回転速度を、少なくとも2段階に切り替える。すなわち、加熱ローラー86の搬送速度は、カレンダーローラー85の搬送速度VAよりも高速のVB1[m/秒]と、搬送速度VAよりも低速のVB2[m/秒]とに切り替え可能である。つまり、VB1>VA>VB2である。
加熱ローラー86の搬送速度がVB1である場合、加熱ローラー86の搬送速度がカレンダーローラー85の搬送速度よりも高速であるため、範囲81における第2ウェブW2のたるみが減少する。駆動制御部155は、テンションセンサー401が備える下検出部403が第2ウェブW2を検出した場合、第2ウェブW2のたるみ量を減少させるため、加熱ローラー86の搬送速度がVB1となるように加熱部駆動モーター331の回転速度を調整する。
加熱ローラー86の搬送速度が速度VB2である場合、加熱ローラー86の搬送速度がカレンダーローラー85の搬送速度よりも低速であるため、範囲81における第2ウェブW2のたるみが増大する。駆動制御部155は、上検出部402が第2ウェブW2を検出した場合、第2ウェブW2のたるみ量を増大させるため、加熱ローラー86の搬送速度がVB2となるように加熱部駆動モーター331の回転速度を調整する。
このように、駆動制御部155は、加熱ローラー86の搬送速度を、カレンダーローラー85の搬送速度VAより高速のVB1、及び、搬送速度VAより低速のVB2の少なくとも2段階に設定する。言い換えれば、駆動制御部155は、加熱ローラー86の搬送速度を、範囲81における第2ウェブW2のたるみ量を減少させる速度、及び、範囲81における第2ウェブW2のたるみ量を増大させる速度に設定できる。これにより、駆動制御部155は、範囲81における第2ウェブW2のたるみ量を調整できる。
この例で、駆動制御部155は、ローラー駆動モーター333の回転速度を、少なくとも4段階に切り替える。
具体的には、加熱ローラー86の搬送速度VB1、VB2のそれぞれに対し、カッター前ローラー911の搬送速度が2段階設定される。加熱ローラー86の搬送速度VB1に対応して、カッター前ローラー911の搬送速度は、搬送速度VB1よりも高速のVC1[m/秒]、及び、搬送速度VB1よりも低速のVC2[m/秒]に設定される。
また、加熱ローラー86の搬送速度VB2に対応して、カッター前ローラー911の搬送速度は、搬送速度VB2よりも高速のVC3[m/秒]、及び、搬送速度VB2よりも低速のVC4[m/秒]に設定される。この場合、VC1>VB1>VC2、VC3>VB2>VC4である。
このように、カッター前ローラー911の搬送速度は、速度VC1、VC2、VC3、VC4の4段階に設定され、駆動制御部155は、各段階に対応する回転速度でローラー駆動モーター333を回転させる。
加熱ローラー86の搬送速度がVB1である場合、カッター前ローラー911の搬送速度がVC1であれば、カッター前ローラー911が加熱ローラー86より高速でシートSを搬送するので、範囲83におけるシートSのたるみが減少する。また、この場合に、カッター前ローラー911の搬送速度がVC2であれば、カッター前ローラー911が加熱ローラー86より低速でシートSを搬送するので、範囲83におけるシートSのたるみが増大する。
加熱ローラー86の搬送速度がVB2である場合、カッター前ローラー911の搬送速度がVC3であれば、カッター前ローラー911が加熱ローラー86より高速でシートSを搬送するので、範囲83におけるシートSのたるみが減少する。また、この場合に、カッター前ローラー911の搬送速度がVC4であれば、カッター前ローラー911が加熱ローラー86より低速でシートSを搬送するので、範囲83におけるシートSのたるみが増大する。
駆動制御部155は、テンションセンサー405が備える下検出部407がシートSを検出した場合、シートSのたるみ量を減少させる制御を行う。具体的には、加熱ローラー86の搬送速度がVB1である場合、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度がVC1となるようにローラー駆動モーター333の回転速度を調整する。また、加熱ローラー86の搬送速度がVB2である場合、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度がVC3となるようにローラー駆動モーター333の回転速度を調整する。
駆動制御部155は、テンションセンサー405が備える上検出部406がシートSを検出した場合、シートSのたるみ量を増大させる制御を行う。具体的には、加熱ローラー86の搬送速度がVB1である場合、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度がVC2となるようにローラー駆動モーター333の回転速度を調整する。また、加熱ローラー86の搬送速度がVB2である場合、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度がVC4となるようにローラー駆動モーター333の回転速度を調整する。
このように、駆動制御部155は、ローラー駆動モーター333の回転速度を4段階或いはそれ以上に切り替えることで、加熱部駆動モーター331の回転速度がいずれの場合であっても、範囲83におけるシートSのたるみ量を調整できる。言い換えれば、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度を加熱ローラー86の搬送速度に対応して切り替えることができる。そして、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度を、範囲83におけるシートSのたるみ量を減少させる速度、及び、範囲83におけるシートSのたるみ量を増大させる速度に設定でき、範囲83におけるシートSのたるみ量を調整できる。
なお、搬送速度VB1>VB2であることから、搬送速度VC1>VC4であることは明らかである。これに対し、搬送速度VC1と搬送速度VC3、搬送速度VC2と搬送速度VC3、及び、搬送速度VC2と搬送速度VC4との関係について制限はなく、例えば、同一の速度であってもよい。この場合、駆動制御部155は、ローラー駆動モーター333の回転速度を、少なくとも3段階以上に切替可能であればよい。
また、駆動制御部155は、加熱ローラー86の搬送速度を、カレンダーローラー85の搬送速度と等速にすることが可能であってもよい。同様に、駆動制御部155は、カッター前ローラー911の搬送速度を、加熱ローラー86の搬送度と等速にすることが可能であってもよい。
また、駆動制御部155は、ローラー駆動モーター334の回転速度を、ローラー駆動モーター333の回転速度に合わせて制御する。カッター後ローラー913の搬送速度は、カッター前ローラー911の搬送速度と等速であってもよいが、上述したようにカッター前ローラー911の搬送速度より高速であることが好ましい。従って、駆動制御部155は、ローラー駆動モーター333の回転速度を変更する場合に、この速度の変更に合わせてローラー駆動モーター334の回転速度を変更する。
ここで、駆動制御部155により、ローラー駆動モーター333の回転速度の変更と、ロータリーカッター901の動作とを調整する処理について説明する。
図3を参照して説明したように、ロータリーカッター901の切断動作中に、駆動制御部155が各モーターの回転速度を変更することでシートSの搬送速度が変化すると、切断面Cが直線状にならないことがある。そこで、駆動制御部155は、各モーターの回転速度を変更する制御を、切断面Cの乱れを招くようなタイミングでは制限する。この制限を行うため、駆動制御部155は、駆動前フラグ、及び、カッター駆動フラグを使用する。駆動前フラグ及びカッター駆動フラグは、例えば、フラグOFFを示す「0」及びONを示す「1」のいずれかの値となるデータであり、記憶部140(実体としては、例えばRAM113)に記憶される。駆動制御部155は、記憶部140が保持する駆動前フラグ、及び、カッター駆動フラグの値を変更する機能を有する。
図6は、シート製造装置100の動作を示すタイミングチャートであり、特に、ロータリーカッター901の動作に伴いフラグを切り替える制御のタイミングチャートを示す。図6において、(a)はロータリーカッター901の回転動作のタイミングを示し、(b)は駆動前フラグの値の変化を示し、(c)はカッター駆動フラグの値の変化を示す。
駆動制御部155は、シートSの長さに対応して、カッター駆動モーター335を動作させて、ロータリーカッター901を回転させる。駆動制御部155は、例えば、ローラー駆動モーター334の駆動パルスをカウントすることにより、カッター後ローラー913が搬送するシートSの長さを検出する。駆動制御部155は、カッター後ローラー913が、設定された長さだけシートSを搬送する毎に、カッター駆動モーター335を動作させて、ロータリーカッター901を1回転させる。この結果、図6に示すように、ロータリーカッター901は周期的に動作する。
駆動制御部155は、ロータリーカッター901が回転を開始してから停止するまでの間、すなわち切断動作の間、カッター駆動フラグをONにする。図6では時刻T2で切断動作が開始され、時刻T3で切断動作が終了するので、時刻T2−T3の期間TE1において、カッター駆動フラグがONになる。
また、駆動制御部155は、切断動作の開始前の所定時間、駆動前フラグをONにする。図6では、切断動作が開始される時刻T2よりも前の時刻T1に、駆動前フラグをONに切り替える。駆動前フラグは切断動作が開始されるタイミングでOFFに変更される。
時刻T1−T2間の期間TE2の長さは、予め制御部150に設定され、例えば設定データ121に含まれる。駆動制御部155は、ローラー駆動モーター334の駆動パルスのカウント値に基づき、カッター駆動モーター335を駆動するタイミングよりも期間TE2だけ前のタイミングで、駆動前フラグをONにする。つまり、駆動制御部155は、期間TE2を、ローラー駆動モーター334の駆動パルスのカウント値に換算して、駆動前フラグを切り替える。
期間TE2の長さを定める方法は種々考えられるが、例えば、駆動制御部155がテンションセンサー401、405の検出状態を取得してから各モーターの回転速度を変化させる制御を停止するまでに要する時間をもとに定めることができる。
ここで、駆動制御部155の制御対象モーターを、加熱部駆動モーター331、加圧部駆動モーター332、及びローラー駆動モーター333とする。実際にはローラー駆動モーター334の回転速度も駆動制御部155が制御するが、ローラー駆動モーター334の回転速度はローラー駆動モーター333に合わせて制御されるので、ここでは上記の3つのローラーを対象とする。
駆動制御部155が、テンションセンサー401、405の検出状態を、例えば予め設定されたサンプリング周期に従って一定時間毎に取得する場合、サンプリング周期(間隔)を期間TE11とする。期間TE11の長さはテンションセンサー401、405の仕様や第2ウェブW2及びシートSの搬送速度に対応して設定すればよく、例えば50ミリ秒とすることができる。
駆動制御部155が、テンションセンサー401、405の検出値から、第2ウェブW2またはシートSのたるみの状態を判定する処理に要する時間をTE12とする。例えば、ノイズによる誤判定を防ぐため、駆動制御部155は、上検出部402または下検出部403が第2ウェブW2を検出した状態が所定時間(例えば、10ミリ秒)以上継続した場合に、検出を確定する。テンションセンサー405についても同様である。この場合、駆動制御部155は、テンションセンサー401、405の検出状態の判定に、少なくとも上記所定時間を要する。この所定時間が期間TE12である。
駆動制御部155が、テンションセンサー401、405の検出状態を確定してから、制御対象モーターのいずれかの回転速度を変更するか否かを判定する処理に要する時間を、期間TE13とする。期間TE13は、メインプロセッサー111の処理速度、仕様、割り込み制御対象の数等に応じて決定すればよく、例えば50ミリ秒とすることができる。
駆動制御部155が、制御対象モーターの回転速度の変更を開始してから、実際に回転速度が変化して安定するまでに要する時間をTE14とする。TE14は、制御対象モーターの仕様等に応じて決定すればよく、例えば100ミリ秒とすることができる。
また、信号遅延等の影響を考慮するパラメーターとして、期間TE15を定めてもよい。
期間TE2は、少なくとも、上記の期間TE14以上の長さである。期間TE14は、物理的に動作するモーターと、モーターの動力を伝達する機構の速度が安定するまでの時間を含み、モーター及び上記機構の具体的な構造に強く依存し、多くの場合、期間TE14を短縮することは容易でないためである。
好ましくは、期間TE2は、期間TE14に加え、期間TE11、TE12、期間TE13を含む長さ以上である。さらに好ましくは、期間TE11〜TE15の全てを含む長さ以上である。
期間TE2は、上述したように、期間TE11〜TE15等を適宜加算した時間としてもよいし、この時間に相当するローラー駆動モーター334の駆動パルス数として記憶部140に記憶されてもよい。
また、期間TE11〜TE15のそれぞれの値を記憶部140が設定データ121として記憶してもよい。また、期間TE11〜TE15の長さは、上述した各種の時間に、マージンを含めた長さとすることが好ましい。
このように、駆動制御部155は、ロータリーカッター901を動作させる期間TE1に期間TE2を加えた期間TE3では、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグのいずれかがONになる。駆動前フラグ及びカッター駆動フラグのいずれかがONである間、駆動制御部155は制御対象モーターの速度を変更する制御を行わないようにする。従って、第2ウェブW2及びシートSのたるみ量の調整により切断面Cが乱れることを防止できる。
また、駆動制御部155は、図6に示すように周期的にロータリーカッター901を駆動する。この場合、駆動制御部155が制御対象モーターの速度を変更する制御を行える期間は、図6に示す期間TE4となる。従って、制御対象モーターの速度を変更する制御を行えるタイミングが、期間TE4に制限されるということができる。
図7及び図8は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートである。
制御部150は、シート製造装置100の電源がオンにされると、図7の動作を開始する。制御部150は、シート製造装置100の各部を初期化する起動シーケンスを実行し(ステップS11)、シートSの製造が可能な状態に移行する。起動シーケンスでは、駆動制御部155が制御する各種のモーターやブロアー等が適切な順序で適宜起動される。これにより、起動シーケンスが完了すると、シート形成部80に第2ウェブW2が供給される状態となる。
制御部150は、シート形成部80に第2ウェブW2が搬送され、シート形成部80から切断部90にシートSが供給される適切なタイミングで、ローラー駆動モーター334を駆動してカッター後ローラー913を回転させる。制御部150は、ローラー駆動モーター334の回転量を検出するため、ローラー駆動モーター334の駆動パルスのカウントを開始する(ステップS12)。
また、制御部150は、テンションセンサー401、405の検出値の取得を開始する(ステップS13)。制御部150は、加熱ローラー86、カッター前ローラー911、及びカッター後ローラー913の回転速度の制御を開始する(ステップS14)。ここで、ステップS12〜S14の実行順序は図7の例に限定されず、同時に、或いは並列して行われてもよい。
制御部150は、ステップS12でカウントを開始したローラー駆動モーター334の駆動パルスのカウント値を参照し、駆動前フラグをONにするタイミング(例えば、図6の時刻T1、T4)に達したか否かを判定する(ステップS15)。駆動前フラグをONにするタイミングになっていないと判定した場合(ステップS15;No)、制御部150はステップS15に戻る。
駆動前フラグをONにするタイミングになったと判定した場合(ステップS15;Yes)、制御部150は駆動前フラグをONに変更する(ステップS16)。制御部150は、ステップS12でカウントを開始したローラー駆動モーター334の駆動パルスのカウント値を参照し、ロータリーカッター901を駆動するタイミング(例えば、図6の時刻T2、T5)に達したか否かを判定する(ステップS17)。ロータリーカッター901を駆動するタイミングになっていないと判定した場合(ステップS17;No)、制御部150はステップS17に戻る。
ロータリーカッター901を駆動するタイミングになったと判定した場合(ステップS17;Yes)、制御部150は、カッター駆動フラグをONに変更し(ステップS18)、駆動前フラグをOFFに変更する(ステップS19)。制御部150は、カッター駆動モーター335を動作させてロータリーカッター901の切断動作を開始する(ステップS20)。ステップS20で、制御部150は、ローラー駆動モーター334またはローラー駆動モーター333の回転速度に応じて、カッター駆動モーター335の回転速度を決定してから、カッター駆動モーター335を駆動してもよい。
制御部150は、切断動作が完了するかを監視し(ステップS20)、切断動作が完了しない間は待機し(ステップS21;No)、切断動作が完了すると(ステップS21;Yes)、カッター駆動フラグをOFFに変更する(ステップS22)。
制御部150は、シート製造装置100の運転を終了するか否かを判定する(ステップS23)。運転を継続する場合は(ステップS23;No)、制御部150はステップS15に戻る。また、運転を停止する場合(ステップS23;Yes)、制御部150は、停止シーケンスを実行する(ステップS24)。
図7の動作により、ロータリーカッター901を駆動するタイミングに合わせて、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグがON/OFFされる。
図8には、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグに従ってモーターの速度を制御する動作を示す。図8の動作は、図7のステップS13の後に開始され、図7の動作と並列して実行される。
制御部150は、図7のステップS13でセンサーの検出値の取得を開始した後、予め設定されたサンプリング周期に従い、テンションセンサー401の検出値、及び、テンションセンサー405の検出値をそれぞれ取得する(ステップS31)。テンションセンサー401の検出値は、上検出部402及び下検出部403の検出値を含む。具体的には、上検出部402が第2ウェブW2を検出したか否かを示す値と、下検出部403が第2ウェブW2を検出したか否かを示す値とを含む。同様に、テンションセンサー405の検出値は、上検出部406及び下検出部407の検出値を含む。すなわち、上検出部406、及び下検出部407が、それぞれシートSを検出したか否かを示す値を含む。
制御部150は、ステップS31で取得した検出値に基づき、テンションセンサー401、405のいずれかで第2ウェブW2またはシートSがテンションセンサー401、405の位置に干渉したか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32の判定において、制御部150は、各検出部の検出値に対し上述した期間TE12を適用して判定してもよい。
第2ウェブW2及びシートSのいずれも、テンションセンサー401、405の位置に干渉していない場合(ステップS32;No)、制御部150はステップS31に戻る。第2ウェブW2またはシートSのいずれかがテンションセンサー401、405の位置に干渉した場合(ステップS32;Yes)、制御部150は、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグの値を参照する(ステップS33)。制御部150は、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグの値がオンであるか否かを判定し(ステップS34)、いずれかのフラグがONである場合(ステップS34;Yes)、ステップS31に戻る。これに対し、制御部150は、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグの両方ともOFFの場合(ステップS34;No)、制御部150は、各ローラーの回転速度を変更する(ステップS35)。ステップS35で、制御部150は、テンションセンサー401、405における第2ウェブW2又はシートSの干渉位置に対応して、第2ウェブW2またはシートSのたるみを調整するため、制御対象モーターの回転速度を制御する。
制御部150は、シート製造装置100の運転を終了するか否かを判定する(ステップS36)。運転を継続する場合は(ステップS36;No)、制御部150はステップS31に戻る。また、運転を停止する場合(ステップS36;Yes)、制御部150は図8の動作を終了する。
図7及び図8に示す動作において、制御部150は、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグを、1つのフラグ(例えば、制限フラグと呼ぶ)で処理してもよい。この場合、制御部150は、駆動前フラグがONになるタイミングで制限フラグをONにする。あるいは、制御部150は、カッター駆動フラグがOFFになるタイミングよりも所定時間前に制限フラグをONにする。また、制御部150は、制限フラグをONにしてから所定時間が経過した後に制限フラグをOFFにする。制限フラグをONにしてからOFFにするまでの所定時間が、図6の期間TE3またはそれ以上となるように設定されれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。この場合、図7のステップS18、S19の動作を省略できる。また、図8のステップS33、S34で処理するフラグが1つで済む。上記所定時間は、実際の時間またはローラー駆動モーター334の駆動パルス数として、設定データ121に含まれてもよい。
以上説明したように、本発明を適用したシート製造装置100は、少なくとも繊維を堆積させた第2ウェブW2を形成する第2ウェブ形成部70と、第2ウェブW2を搬送する第1搬送ローラーとを備える。また、第1搬送ローラーよりも搬送方向Fにおいて下流側に位置し、第2ウェブW2またはシートSを搬送する第2搬送ローラーを備える。また、第2搬送ローラーよりも搬送方向Fにおいて下流側に位置し、シートSを、シートSの搬送方向と交差する方向に切断位置を移動させながら切断する第1切断部92を有する。また、第1及び第2搬送ローラーと第1切断部92とを制御する制御部150を有し、制御部150は、第2搬送ローラーの速度に応じて、第1切断部92による切断動作の速度を制御する。
ここで、第1搬送するローラーは、例えば、ローラー対であるカレンダーローラー85に相当する。この場合、第2搬送ローラーは、例えば、ローラー対である加熱ローラー86に相当するが、カッター前ローラー911が第2搬送ローラーに相当する構成としてもよい。また、カレンダーローラー85が第1搬送ローラー、加熱ローラー86が第2搬送ローラーであり、カッター前ローラー911が第3搬送ローラーであってもよい。また、加熱ローラー86を第1搬送するローラーとし、カッター前ローラー911を第2搬送ローラーとしてもよく、この場合、カッター後ローラー913を第3搬送ローラーとしてもよい。
本発明のシート製造装置、及び、シート製造装置の制御方法を適用したシート製造装置100によれば、第2搬送ローラーの速度が変化した場合であっても、第1切断部92によりシートSを適切に切断し、切断面Cの乱れを防止または抑制できる。
制御部150は、第2搬送ローラーの速度を調整することにより、第1搬送ローラーとの間でウェブ(第2ウェブW2またはシートS)をたるませる制御(ウェブのたるみを調整する制御)を行う。これにより、第2搬送ローラーの速度を変更してウェブのたるみを調整し、意図しないウェブの破断等を防止できる。
また、本発明を適用したシート製造装置100は、少なくとも繊維を堆積させた第2ウェブW2を形成する第2ウェブ形成部70と、第2ウェブW2を搬送する加熱ローラー86とを備える。また、加熱ローラー86よりも搬送方向Fにおいて下流側に位置し、シートSを搬送するカッター前ローラー911と、カッター前ローラー911よりも搬送方向Fにおいて下流側に位置し、シートSを搬送するカッター後ローラー913とを備える。また、カッター前ローラー911とカッター後ローラー913との間で、シートSの搬送方向Fと交差する方向に切断位置を移動させながらシートSを切断するロータリーカッター901を備える。制御部150は、カッター前ローラー911の速度を制御することにより、加熱ローラー86との間でシートSのたるみを調整する。また、制御部150は、カッター前ローラー911の速度に応じてカッター後ローラー913の速度を制御し、カッター後ローラー913の速度に応じてロータリーカッター901の回転速度を制御する。
第2ウェブW2のたるみを調整するためカッター前ローラー911の速度を変更した場合であっても、カッター前ローラー911の速度に応じてカッター後ローラー913の速度が変更され、カッター後ローラー913の速度に応じてロータリーカッター901の回転速度が変更されるので、シートSを適切に切断しシートSの切断面Cの乱れを防止または抑制できる。
制御部150は、ロータリーカッター901によりシートSを切断している間、カッター後ローラー913の速度を維持させる。これにより、シートSを切断する間はカッター後ローラー913の速度が維持されるので、切断面Cの乱れをより確実に防止または抑制できる。
制御部150は、ロータリーカッター901によりシートSを切断している間と、ロータリーカッター901がシートSの切断を開始する前とを含む期間、カッター前ローラー911の速度を維持させる。すなわち、カッター前ローラー911の速度変更によるシートSのたるみの調整は行わない。また、カッター前ローラー911の速度が維持されることにより、カッター後ローラー913の速度も維持される。これにより、シートSを切断する前にカッター前ローラー911の速度が安定し、切断中はカッター後ローラー913の速度が維持されるので、ウェブの切断面Cの乱れをより確実に防止または抑制できる。
制御部150は、ロータリーカッター901によりシートSを切断した後の所定期間にカッター前ローラー911の速度を変更する。これにより、ロータリーカッター901がシートSを切断するタイミングを避けることにより、切断面Cの乱れを防止し、カッター前ローラー911の速度変更によるシートSのたるみの調整を行うことができる。
所定期間は、カッター後ローラー913がシートSを所定長さ搬送する期間である。これにより、シートSを搬送する長さを基準として、ロータリーカッター901がシートSを切断するタイミングを避けることが可能な期間に合わせて、カッター前ローラー911の速度を変更できる。
ロータリーカッター901は、固定されたシャンク902と、シャンク902に設けられた切刃903とを備え、ロータリーカッター901を搬送方向Fに対応する回転方向R1に回転させることによりシートSを切断する。制御部150は、カッター後ローラー913の速度に応じて、ロータリーカッター901の回転速度を制御する。これにより、搬送方向Fに対応する方向にロータリーカッター901を回転させてシートSを切断する構成において、切断面Cの乱れを防止できる。
上記の説明では、第2ウェブW2がシート形成部80を通過したものをシートSとして区別し説明したが、シートSを第2ウェブW2(或いは単にウェブ)と称することもできる。
なお、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態で説明した構成の全てが本発明の必須構成要件であることも限定されない。また、この発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施形態で、制御部150は、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグの値に基づき制御対象モーターの速度を変更する制御を制限するものとして説明した。ここで、制御対象モーターは、加熱部駆動モーター331、加圧部駆動モーター332、及びローラー駆動モーター333として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロータリーカッター901の上流側に位置し、ロータリーカッター901に最も近い1または所定数のローラーを駆動するモーターの速度の変更を制限すれば、本発明の効果を得ることができる。例えば、駆動前フラグ及びカッター駆動フラグがONの間、少なくともカッター前ローラー911を駆動するローラー駆動モーター333の速度の変更を制限すれば、本発明の効果を得られる。より好ましくは、制御対象モーターに加熱部駆動モーター331が含まれ、さらに好ましくは加圧部駆動モーター332が含まれる。
また、上記実施形態では、シートSを切断するカッターとして、ロータリーカッター901を例示した。本発明はこれに限定されず、シートSの幅方向Wに沿って切断位置を移動させながらシートSを切断するものであればよい。例えば、金属製の円板の外周部に切刃が形成された、いわゆる丸刃を回転させてシートSを切断するカッターを備えてもよい。また、一方の刃部を他方の刃部に対して移動させてシートSを切断する鋏式のカッターを備えてもよい。また、気流やレーザーによりシートSを切断する構成としてもよい。
シート製造装置100は、シートSに限らず、硬質のシート或いは積層したシートで構成されるボード状、或いは、ウェブ状の製造物を製造する構成であってもよい。また、シートSは、紙は、パルプや古紙を原料とする紙であってもよく、天然繊維または合成樹脂製の繊維を含む不織布であってもよい。また、シートSの性状は特に限定されず、筆記や印刷を目的とした記録紙(例えば、いわゆるPPC用紙)として使用可能な紙であってもよいし、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙等であってもよい。また、シートSが不織布である場合、一般的な不織布のほか、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどとしてもよい。
また、図4、図5等に示した各機能ブロックのうち少なくとも一部は、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよく、図に示した通りに独立したハードウェア資源を配置する構成に限定されない。また、制御部が実行するプログラムは、不揮発性記憶部または他の記憶装置(図示略)に記憶されてもよい。また、外部の装置に記憶されたプログラムを、通信部を介して取得して実行する構成としてもよい。