JP2018140560A - シート製造装置、シート製造方法、シート製造装置の制御方法 - Google Patents

シート製造装置、シート製造方法、シート製造装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シートを製造する際に、シートの地合を調整することが可能なシート製造装置、シート製造方法、シート製造装置の制御方法を提供する。【解決手段】シート製造装置100は、繊維を含む材料を堆積させて形成された第2ウェブW2に張力を与えることにより、第2ウェブW2の厚み方向に対して交差する方向に第2ウェブW2を引き伸ばす張力付与部101を備える。シート製造装置100は、張力付与部101により引き伸ばされた第2ウェブW2を処理してシートSを形成するシート形成部80を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、シート製造装置、シート製造方法、シート製造装置の制御方法に関する。
従来、原料を解繊して堆積させることによりウェブを形成し、このウェブからシートを形成するシート製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のシート製造装置は、原料を堆積させる条件を変更することにより、ウェブの厚さを変化させ、シートの厚さを大きくしたり、小さくしたりする。
また、従来、シートの地合を検出するシート製造装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載のシート製造装置は、光学式センサーを用いてシートの地合の良否判定を行う。
特開2015−161035号公報 特開2016−113721号公報
ところで、地合は、シートの性状を示す一種の指標であり、シートの良否判定に限らず、シートの厚みや手触りといったシートの状態の評価に利用できる。このため、シートの厚みや手触りを所望の状態とするために、シートの地合を利用することが考えられるが、このようなシート製造装置は無かった。
本発明は、シートを製造する際に、シートの地合を調整することが可能なシート製造装置、シート製造方法、シート製造装置の制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、繊維を含む材料を堆積させて形成されたウェブに張力を与えることにより、前記ウェブの厚み方向に対して交差する方向に前記ウェブを引き伸ばす張力付与部と、前記張力付与部により引き伸ばされた前記ウェブを処理してシートを形成するシート形成部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ウェブに張力を与えて引き伸ばすことによって、所定のシートの地合を実現できる。従って、目的とするシートの地合に合わせてシートを引き伸ばすことで、所望の状態のシートを製造することができる。
また、上記構成において、前記張力付与部によって前記ウェブに与えられる張力を制御することにより、製造される前記シートの地合を変更する制御部を備える構成であってもよい。
この構成によれば、ウェブに与えられる張力を制御してシートの地合を変更できるので、所望の地合を有するシートを製造できる。
また、上記課題を解決するため、本発明は、繊維を含む材料を堆積させたウェブを搬送する複数の搬送部を有し、前記ウェブを処理してシートを形成するシート製造装置であって、複数の前記搬送部のうち前記ウェブに与える荷重が最大である最大荷重搬送部と前記最大荷重搬送部よりも前記ウェブの搬送方向において上流側に位置する前記搬送部との間の搬送速度差、または、前記最大荷重搬送部よりも前記搬送方向において上流側に位置する複数の前記搬送部の間の搬送速度差が、最大の搬送速度差を有するよう設定され、最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部のうち上流側に位置する前記搬送部の搬送速度は下流側に位置する前記搬送部の搬送速度より低速であることを特徴とする。
本発明によれば、ウェブを搬送する搬送部の搬送速度差により、シートの地合を、所望の状態にすることができる。これにより、目的とするシートの地合に合わせて搬送速度を設定することで、所望の状態のシートを製造できる。
また、上記構成において、最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部間の搬送速度差を制御することにより前記シートの地合を変更する制御部を備える構成であってもよい。
この構成によれば、搬送部間の搬送速度差を制御することにより、シートの地合を調整できる。
また、上記構成において、前記制御部は、前記シートの地合に関する設定に従って、最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部の搬送速度を制御する構成であってもよい。
この構成によれば、搬送部の搬送速度を制御することにより、シートの地合を調整できる。
また、上記構成において、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させて前記ウェブを形成するウェブ形成部を備え、前記制御部は、前記ウェブ形成部で堆積させる前記ウェブの厚さを制御する構成であってもよい。
この構成によれば、ウェブの厚さを制御することにより、シートの地合を調整できる。
また、上記構成において、前記ウェブ形成部は、前記材料が投入される篩部と、前記篩部を通過した前記材料を堆積させる堆積部と、を有し、前記制御部は、前記シートの地合に関する設定に従って、前記ウェブ形成部の動作条件を制御する構成であってもよい。
この構成によれば、材料を堆積させてウェブを形成する条件を制御することにより、シートの地合を調整できる。
また、上記構成において、シートの地合に関する情報を受け付ける受付部を有し、前記制御部は、前記受付部により受け付けた情報に基づいて、前記シートの地合を変更する構成であってもよい。
この構成によれば、シートの地合に関する情報に従って、シートの地合を調整できる。
また、上記課題を解決するため、本発明は、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させてウェブを形成し、前記ウェブに張力を与えることにより、前記ウェブの厚み方向に対し交差する方向に前記ウェブを引き伸ばし、引き伸ばした前記ウェブを処理してシートを形成することを特徴とする。
本発明によれば、ウェブに張力を与えて引き伸ばしてシートを形成し、所定のシートの地合を実現できる。従って、目的とするシートの地合に合わせてシートを引き伸ばすことで、所望の状態のシートを製造させることができる。
また、上記課題を解決するため、本発明は、繊維を含む材料を堆積させたウェブを搬送する複数の搬送部を有し、前記ウェブを処理してシートを形成するシート製造装置の制御方法であって、複数の前記搬送部のうち前記ウェブに与える荷重が最大である最大荷重搬送部と前記最大荷重搬送部よりも前記ウェブの搬送方向において上流側に位置する前記搬送部との間の搬送速度差、または、前記最大荷重搬送部よりも前記搬送方向において上流側に位置する複数の前記搬送部の間の搬送速度差が、最大の搬送速度差を有するように、前記搬送部の搬送速度を設定し、最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部のうち上流側に位置する前記搬送部の搬送速度を下流側に位置する前記搬送部の搬送速度より低速とすることを特徴とする。
本発明によれば、ウェブを搬送する搬送部の搬送速度差により、シートの地合を、所望の状態にすることができる。これにより、目的とするシートの地合に合わせて搬送速度を設定することで、所望の状態のシートを製造できる。
また、本発明は、繊維と樹脂とを含む材料をベルト上に堆積させ、前記ベルトを移動させることにより前記ベルト上に形成されるウェブを搬送するウェブ形成部と、前記ウェブ形成部で形成された前記ウェブに加圧力を与えてシートを形成する加圧ローラーと、を有し、前記ベルトが前記ウェブを搬送する第1搬送速度と、前記加圧ローラーが前記ウェブ及び前記シートを搬送する第2搬送速度とは、前記第1搬送速度が前記第2搬送速度より低速であって、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との速度差が前記シートの地合に適した速度差となるよう設定されること、を特徴とするシート製造装置としてもよい。
また、本発明は、繊維と樹脂とを含む材料を第1ベルト上に堆積させ、前記第1ベルトを移動させることにより前記第1ベルト上に形成されるウェブを搬送するウェブ形成部と、前記ウェブ形成部で前記第1ベルト上に形成された前記ウェブを搬送する第2ベルトと、前記ウェブの搬送方向において前記第2ベルトの下流側に位置し、前記第2ベルトにより搬送される前記ウェブに加圧力を与えてシートを形成する加圧ローラーと、を有し、前記第2ベルトが前記ウェブを搬送する第1搬送速度と、前記加圧ローラーが前記ウェブ及び前記シートを搬送する第2搬送速度とは、前記第1搬送速度が前記第2搬送速度より低速であって、前記第1搬送速度と前記第2搬送速度との速度差が前記シートの地合に適した速度差となるよう設定されること、を特徴とするシート製造装置としてもよい。
本発明の実施形態に係るシート製造装置の構成を示す模式図。 シート製造装置の要部構成を示す模式図。 シート製造装置の外観斜視図。 シート製造装置の制御系の構成を示すブロック図。 制御部及び記憶部の機能的構成を示すブロック図。 地合設定データの例を示す模式図。 シート製造装置の動作を示すフローチャート。 シート製造装置の表示例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
図1は実施形態に係るシート製造装置100の構成を示す模式図である。
本実施形態に記載のシート製造装置100は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3等の定型サイズのオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、及び、切断部90を備える。
また、シート製造装置100は、原料に対する加湿、及び/または原料が移動する空間を加湿する目的で、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式または温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を湿潤させるフィルター(図示略)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。また、加湿部202、204、206、208は、加湿空気の湿度を効果的に高めるヒーター(図示略)を備えてもよい。
また、本実施形態では、加湿部210及び加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する振動部(図示略)を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が古紙を原料とする構成を例示する。供給部10は、例えば、古紙を重ねて蓄積するスタッカーと、スタッカーから古紙を粗砕部12に送り出す自動投入装置とを備える構成とすることができる。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、大気中(空気中)等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。例えば、粗砕部12は、原料を、1〜数cm四方またはそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向(進行する方向)において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。
粗砕部12が有するシュート9、或いはシュート9の近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された(高湿度の)空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。また、加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転するローター(図示略)、及び、ローターの外周に位置するライナー(図示略)を備える。粗砕部12で裁断された原料の粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、管3から解繊部20により解繊された解繊物が気流とともに流入する導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。詳細には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、予め定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維または粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片(十分に解繊されていない粗砕片)、解繊された繊維が凝集し、或いは絡まったダマ等を含む。
本実施形態で、選別部40は、ドラム部41(篩部)と、ドラム部41を収容するハウジング部(覆い部)43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き伸ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部(サクション機構)48と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印V1方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含み、シート製造装置100がシートSの製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、速度V1で移動する。速度V1は、予め設定された一定の速度であり、後述する制御部150(図5)により制御される。メッシュベルト46が移動する速度V1は、メッシュベルト46が第1ウェブW1を搬送する搬送速度、すなわち選別部40における第1ウェブW1の搬送速度と見なすことができる。
ここで、通常動作中とは、後述するシート製造装置100の起動制御、及び、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートSを製造している間を指す。
従って、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27(集塵装置)に連結される。集塵部27は、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には、捕集ブロアー28が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する集塵用吸引部として機能する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気とともに吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
従って、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制することができる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーを用いることができる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で樹脂を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転(例えば図中矢印Rで示す方向への回転)により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、樹脂を含む添加物を供給する添加物供給部52、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、及び、混合ブロアー56を備える。細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、樹脂を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52は、添加物を蓄積する添加物カートリッジ(図示略)に接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉または微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52aを有する。
排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出するフィーダー(図示略)、及び、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉するシャッター(図示略)を備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路或いは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一または複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる樹脂は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。従って、樹脂を繊維と混合させた状態で、樹脂が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色、或いは無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、及び、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流及び/または混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合され、この混合物(第1選別物と添加物との混合物)は管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前または後に設置してもよい。
堆積部60は、解繊部20で解繊された解繊物を堆積させる。より具合的には、堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部(覆い部)63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部61は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。堆積部60、及び、第2ウェブ形成部70は、ウェブ形成部に相当する。また、ドラム部61は、篩部に相当し、第2ウェブ形成部70(特に、メッシュベルト72)は、堆積部に相当する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印V2で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト72は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V2で移動する。通常動作中については上述した通りである。
メッシュベルト72の移動速度V2は、第2ウェブW2を搬送する速度と見なすことができ、速度V2は、メッシュベルト72における第2ウェブW2の搬送速度ということができる。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77(堆積吸引部)は、サクション機構76から吸引した空気を、図示しない捕集フィルターを通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。或いは、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
以上のように、堆積部60及び第2ウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウェブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウェブW2は、シート形成部80へと搬送される。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100には、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、ブロアー(図示略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウェブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
シート形成部80は、堆積部60で堆積させた堆積物からシートSを形成する。より具体的には、シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2(堆積物)を、加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維、及び添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着させる。シート形成部80は、シート成形部、及び、最大荷重搬送部に相当する。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、及び、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85(加圧ローラー)で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。一対のカレンダーローラー85の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85は、モーター(図示略)の駆動力により回転して、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部または外部に設置されるヒーターによって、予め設定された温度に加温される。一対の加熱ローラー86の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧されたシートSを挟んで熱を与え、シートSを形成する。加熱ローラー86は、モーター(図示略)の駆動力により回転して、シートSを切断部90に向けて搬送する。
なお、加圧部82が備えるカレンダーローラー85の数、及び、加熱部84が備える加熱ローラー86の数は、特に限定されない。
また、シート製造装置100がシートSを製造する工程において、第2ウェブW2とシートSとの境界は任意である。本実施形態では、第2ウェブW2を処理してシートSに形成するシート形成部80において、加圧部82により第2ウェブW2を加圧したものをシートSと呼ぶ。すなわち、第2ウェブW2は、加圧部82により加圧されることでシートSとなり、さらにシートSが加熱部84により加圧されて、切断部90に搬送される。
また、シート形成部80において、加圧部82と加熱部84との間には地合センサー99が配置される。地合センサー99は、加圧部82により加圧されたシートSの地合を検出するセンサーである。地合センサー99の詳細については後述する。
第2ウェブ形成部70、搬送部79及びシート形成部80は、後述する張力付与部101を構成する。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、シートSの搬送方向(図中F)と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向Fに平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。排出部96は、所定サイズのシートSを載せるトレイ或いはスタッカーを備える。
上記構成において、加湿部202、204、206、208を1台の気化式加湿器で構成してもよい。この場合、1台の加湿器が生成する加湿空気が、粗砕部12、ハウジング部43、管7、及びハウジング部63に分岐して供給される構成とすればよい。この構成は、加湿空気を供給するダクト(図示略)を分岐して設置することにより、容易に実現できる。また、2台、或いは3台の気化式加湿器によって加湿部202、204、206、208を構成することも勿論可能である。
また、上記構成において、加湿部210、212を1台の超音波式加湿器で構成してもよいし、2台の超音波式加湿器で構成してもよい。例えば、1台の加湿器が生成するミストを含む空気が、加湿部210、及び加湿部212に分岐して供給される構成とすることができる。
また、上述したシート製造装置100が備えるブロアーは、解繊部ブロアー26、捕集ブロアー28、混合ブロアー56、サクションブロアー77、及び、中間ブロアーに限定されない。例えば、上述した各ブロアーを補助する送風機をダクトに設けることも、勿論可能である。
また、上記構成では、最初に粗砕部12が原料を粗砕し、粗砕された原料からシートSを製造するものとしたが、例えば、原料として繊維を用いてシートSを製造する構成とすることも可能である。
例えば、解繊部20が解繊処理した解繊物と同等の繊維を原料として、ドラム部41に投入可能な構成であってもよい。また、解繊物から分離された第1選別物と同等の繊維を原料として、管54に投入可能な構成とすればよい。この場合、古紙やパルプ等を加工した繊維をシート製造装置100に供給することで、シートSを製造できる。
図2は、シート製造装置100の要部構成を示す模式図であり、シート形成部80を含む要部をより詳細に示す。図2はあくまで理解の便宜を図るために模式化された図であり、図2に示す各部の上下方向の位置や相対的なサイズは、図2に示す態様に限定されない。
図2には、第2ウェブW2及びシートSを搬送する主要構成として、メッシュベルト72、搬送部79、加圧部82、及び加熱部84を示す。上述のように、メッシュベルト72は速度V2で第2ウェブW2を搬送する。すなわち、メッシュベルト72における第2ウェブW2の搬送速度は速度V2である。
また、搬送部79は、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2をメッシュベルト79aにより搬送方向Fに搬送する。メッシュベルト79aが第2ウェブW2を搬送する搬送速度は、メッシュベルト79aが移動する速度であり、ここでは搬送速度V21とする。
また、加圧部82を構成する一対のカレンダーローラー85は、図中に符号V22で示す速度で回転し、第2ウェブW2を挟んで搬送する。カレンダーローラー85の回転速度は、加圧部82における第2ウェブW2の搬送速度と見なすことができる。
加熱部84を構成する一対の加熱ローラー86は、図中に符号V23で示す速度で回転し、シートSを挟んで搬送する。加熱ローラー86の回転速度は、加熱部84におけるシートSの搬送速度と見なすことができる。
シート製造装置100は、シート製造装置100が製造するシートSの地合を調整する機能を有する。地合は、シートSの性状(性質、品位、或いは品質)を評価する一種の指標であり、より一般的には、シートSを人が触ったときに感じる触感の指標ということができる。地合を決定する要素としては、主に、シートSの表面状態及びシートSの厚みが挙げられる。シートSの表面状態とは、シートSの表面の平滑性やシートSの表面における繊維の偏在性と言い換えることができる。地合は、言語的な表現として、「粗い」、「細かい」等の語によって形容される。すなわち、シートSの平滑性が高く繊維の存在が均一に近い状態は「地合が細かい」と形容され、シートSの平滑性が低く繊維が偏在している状態は「地合が粗い」と形容される。なお、シートSの地合には、シートSを構成する繊維の繊維長、繊維の弾性、繊維の硬さ等の要素が影響することがあるが、これらはシート製造装置100の原料に影響されるため、ここでは一定として考える。
シート製造装置100は、シートSの地合の指標として地合指数を利用する。地合指数は、地合の状態を数値化した尺度であり、地合指数の値の大小が地合の粗さ(或いは、細かさ)を示すように設定される。シート製造装置100は、シートSの地合の状態を示す地合指数を求めるための構成として、地合センサー99を備える。地合センサー99は、シートS(或いは、第2ウェブW2)の搬送経路に配置される光センサーであり、シートS(或いは、第2ウェブW2)の透過光または反射光を検出する。シート製造装置100は、地合センサー99の検出値から、シートS(或いは、第2ウェブW2)の地合指数を算出する。
本実施形態では、地合センサー99を、加圧部82より下流側、かつ、加熱部84より上流側に配置し、シートSの地合を検出する例を示す。なお、本実施形態の説明において「上流」、「下流」とは、搬送方向Fにおける上流及び下流を指す。地合センサー99を加熱部84よりも下流に配置してもよいし、加圧部82よりも上流に配置して第2ウェブW2の地合を検出する構成とすることも勿論可能である。
本実施形態の地合センサー99は、シートSの搬送経路に対し一方側、すなわちシートSの一面側に配置される光源部97と、シートSの搬送経路に対し他方側すなわちシートSの他面側に配置される読取部98とを有する透過型の光センサーである。光源部97は、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の発光素子を備え、シートSに対して光を発する。読取部98は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を有する。読取部98は、光源部97が発した光のうちシートSを透過した光を受光し、受光量に対応する検出値を、後述する制御装置110(図4)に出力する。
制御装置110は、例えば、地合指数を、一定の坪量で堆積したシートSに対して、読取部98が受光した透過光の光学濃度を算出し、算出した光学濃度に対する標準偏差を算出することにより求めることができる。具体的には、地合指数を、坪量80g/mのシートSに対する地合センサー99の検出値から、シートSを透過した透過光の光学濃度を算出し、算出した光学濃度の2乗に対する標準偏差を算出することによって求める。
シート製造装置100は、シート製造装置100が製造するシートSの地合を所定の状態とするために、張力付与部101によって第2ウェブW2またはシートSに張力を付与する。張力付与部101は、第2ウェブW2及び/またはシートSを搬送する構成部を含む。具体的には、張力付与部101は、メッシュベルト72、メッシュベルト79a、一対のカレンダーローラー85、及び、一対の加熱ローラー86を含み、これらは本発明の搬送部に相当する。また、張力付与部101は、上記各部の一部のみを含む構成としてもよく、張力付与部101がメッシュベルト72とメッシュベルト79aで構成されてもよい。また、メッシュベルト79aとカレンダーローラー85で構成されてもよく、カレンダーローラー85と加熱ローラー86で構成されてもよい。
張力付与部101は、第2ウェブW2或いはシートSを搬送する過程において、第2ウェブW2或いはシートSの搬送速度に差を設けることにより、第2ウェブW2またはシートSに対して搬送方向の張力(引っ張り力、伸展力)を与える。ここで、説明の便宜のため、張力付与部101が張力を与える対象の第2ウェブW2、及び/またはシートSを、対象物と呼ぶ。
張力付与部101が対象物に与える張力により、対象物は搬送方向Fに沿って引っ張られるので、対象物を構成する繊維どうしが離間する。繊維の離間は対象物の面において均一に発生するとは限らず、離間が発生する箇所は、材料である解繊物と樹脂とが分散した状態の影響を受ける。従って、対象物において繊維の離間が不均質に発生し、対象物全体において繊維の偏在化を生じる。また、繊維が離間した箇所では厚み方向における繊維の量が減少するので、この対象物をシート形成部80で処理した後のシートSにおいて、繊維が離間した箇所の厚みが薄くなる。従って、張力付与部101が張力を付与することで、シートSの地合を粗くする効果がある。
対象物に張力を与えるため、シート製造装置100は、対象物を搬送する搬送部のうち、隣接する搬送部の間に搬送速度差を生じさせる。特に、対象物において繊維を離間させるため、隣接する搬送部のうち上流側に位置する搬送部の搬送速度が、下流側に位置する搬送部の搬送速度よりも遅く(低速に)なるよう、搬送速度を設定する。
また、対象物において繊維を効果的に離間させるためには、対象物の繊維どうしが接着されていない状態であることが好ましい。具体的には、材料と樹脂とを含む第2ウェブW2に対し、強い圧力で厚み方向に圧縮する処理が行われていない状態で張力を付与することが好ましい。また、強い圧力で厚み方向に圧縮する処理と、加熱する処理とのいずれも行われていない状態で張力を付与することが、より好ましい。
シート製造装置100では加圧部82により第2ウェブW2を加圧し、加熱部84によりシートSを加熱する。加圧部82のカレンダーローラー85は、シート製造装置100の搬送部のうち第2ウェブW2に最も強い圧力を加える、すなわち第2ウェブW2に与える荷重が最大である搬送部であり、最大荷重搬送部に相当する。例えば、加圧部82のカレンダーローラー85による加圧力は、加熱部84の加熱ローラー86による加圧力の10倍以上である。また、加圧部82による加圧力は、例えば、第2ウェブW2の厚さを五分の一以下にする程度の加圧力である。このため、最も効果的に調整するためには、加圧部82よりも上流側で第2ウェブW2に張力を与えることが好ましい。具体的には、メッシュベルト72とメッシュベルト79aとの間、或いは、メッシュベルト79aとカレンダーローラー85との間に、搬送速度差を設けるとよい。本実施形態では、メッシュベルト79aとカレンダーローラー85との間に搬送速度差を設ける例を示す。この例ではメッシュベルト79aとカレンダーローラー85が張力付与部101を構成する。この場合、メッシュベルト72における搬送速度V2と、メッシュベルト79aにおける搬送速度V21とは、例えば、等速とすることができる。或いは、第2ウェブW2に対して付与される張力が所定以下となる範囲で、搬送速度V2と搬送速度V21とが異なる速度であってもよい。また、加熱ローラー86の搬送速度V23は、カレンダーローラー85の搬送速度V22と等速であってもよい。或いは、カレンダーローラー85と加熱ローラー86との間でシートSを適切に弛ませるため、搬送速度V23を搬送速度V22より低速にしてもよいし、シートSに対し所定以下の張力となる範囲で搬送速度V23が搬送速度V22より高速であってもよい。張力が所定以下の張力となる範囲とは、例えば、搬送速度差が1%以下となる範囲である。
また、シート製造装置100において第2ウェブW2及びシートSを搬送する複数の搬送部のうち、第2ウェブW2またはシートSの地合を調整するために張力を付与する隣接する搬送部間の搬送速度差が最大である。例えば、メッシュベルト79aとカレンダーローラー85との搬送速度差は、他の搬送部間の搬送速度差より大きい。
なお、メッシュベルト79aとカレンダーローラー85との間に別の搬送部が配置される場合、この搬送部とカレンダーローラー85或いは当該搬送部とメッシュベルト79aとの間に搬送速度差を設けてもよい。つまり、搬送速度差を設ける搬送部は、搬送部の数および配置に合わせて適宜選択すればよい。
図3は、シート製造装置100の外観斜視図である。
シート製造装置100は、上述した各構成部を収容する筐体220を有する。筐体220は、正面を構成する正面部221、左右の側面を構成する側面部222、背面を構成する背面部223、及び、上面を構成する上面部224からなる略箱形である。
正面部221には、供給部10が一部を露出して設けられるとともに、各種情報を表示する表示部160、及び、開閉扉230が設けられる。
表示部160は、各種情報を表示可能な表示パネル116(図4)と、表示パネル116に重ねて配置されるタッチセンサー117(図4)とを有する。表示部160は、操作用のアイコン等が配置された画像を表示し、表示部160に対するユーザーのタッチ操作を検出することにより、シート製造装置100のユーザーインターフェースとして機能する。開閉扉230は、添加物を収容したカートリッジを露出可能に開閉する扉である。
図4は、シート製造装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
シート製造装置100は、シート製造装置100の各部を制御するメインプロセッサー111を有する制御装置110を備える。
制御装置110は、メインプロセッサー111、ROM(Read Only Memory)112、及びRAM(Random Access Memory)113を備える。メインプロセッサー111は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM112が記憶する基本制御プログラムを実行することにより、シート製造装置100の各部を制御する。メインプロセッサー111は、ROM112、RAM113等の周辺回路や他のIPコアを含むシステムチップとして構成されてもよい。
ROM112は、メインプロセッサー111が実行するプログラムを不揮発的に記憶する。RAM113は、メインプロセッサー111が使用するワークエリアを形成して、メインプロセッサー111が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶する。
不揮発性記憶部120はメインプロセッサー111が実行するプログラムや、メインプロセッサー111が処理するデータを記憶する。
表示パネル116は、液晶ディスプレイ等の表示用のパネルであり、例えば、シート製造装置100の正面に設置される。表示パネル116は、メインプロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示する。
タッチセンサー117は、タッチ(接触)操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー117は、例えば、透明電極を有する圧力感知式あるいは静電容量式のセンサーで構成され、表示パネル116の表示面に重ねて配置される。タッチセンサー117は、操作を検出した場合、操作位置や操作位置の数を含む操作データをメインプロセッサー111に出力する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117の出力により、表示パネル116に対する操作を検出し、操作位置を取得する。メインプロセッサー111は、タッチセンサー117により検出した操作位置と、表示パネル116に表示中の表示データ122とに基づき、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。
制御装置110はセンサーI/F(Interface)114を介して、シート製造装置100の各部に設置されたセンサーに接続される。センサーI/F114は、センサーが出力する検出値を取得してメインプロセッサー111に入力するインターフェイスである。センサーI/F114は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D(Analogue/Digital)コンバーターを備えてもよい。また、センサーI/F114は、各センサーに駆動電流を供給してもよい。また、センサーI/F114は、各々のセンサーの出力値を、メインプロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、メインプロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
センサーI/F114には、古紙残量センサー301、排紙センサー303、及び、地合センサー99が接続される。
古紙残量センサー301は、供給部10が収容する古紙の残量を検出する。制御部150は、例えば、古紙残量センサー301が検出する古紙の残量が設定値を下回った場合に、古紙の不足を報知する。
排紙センサー303は、排出部96が有するトレイ或いはスタッカーに蓄積されたシートSの量を検出する。制御部150は、排紙センサー303が検出するシートSの量が設定値以上となった場合に、報知を行う。
地合センサー99は、上述したように第2ウェブW2またはシートSの搬送経路に沿って配置され、光学的に読取りを行うセンサーであり、センサーI/F114を介して制御装置110に接続される。地合センサー99は、制御装置110の制御に従って検出を実行し、予め設定されたサンプリング周期で出力値を制御装置110に出力する。
これらは一例であり、例えば、シート製造装置100がその他のセンサーを有し、これらのセンサーの検出値を制御装置110が取得可能であってもよい。例えば、シート製造装置100は、添加物供給部52における添加物の残量を検出するセンサー、シート製造装置100が加湿用の水を貯留するタンク(図示略)の水量を検出するセンサー等を備えてもよい。また、シート製造装置100が、シート製造装置100の内部を流れる空気の温度、風量、風速を検出するセンサーを備えてもよい。
制御装置110は、駆動部I/F(Interface)115を介して、シート製造装置100が備える各駆動部に接続される。シート製造装置100が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。
駆動部I/F115には、制御装置110の制御対象として、粗砕部311、解繊部312、給紙モーター313、添加物供給部314、ブロアー315、加湿部316、ドラム駆動部317、及び、分断部319が接続される。
粗砕部311は、粗砕部12において原料である古紙を裁断する裁断刃(図示略)を回転させるモーター等の駆動部を含む。解繊部312は、解繊部20が備えるローター(図示略)を回転させるモーター等の駆動部を含む。給紙モーター313は、供給部10から古紙を供給するモーターである。添加物供給部314は、排出部52aにおいて添加物を送り出すスクリューフィーダーを駆動するモーター、排出部52aを開閉するモーターやアクチュエーター等の駆動部を含む。ブロアー315は、解繊部ブロアー26、捕集ブロアー28、混合ブロアー56、サクションブロアー77等を含む。これらの各ブロアーは個別に駆動部I/F115に接続されてもよい。
ドラム駆動部317は、ドラム部41を回転させるモーター、ドラム部61を回転させるモーター等の駆動部を含む。
分断部319は、回転体49を回転させるモーター等の駆動部を含む。
また、駆動部I/F115には、加熱ローラー86を加熱するヒーター、気化式加湿器、ミスト式加湿器等を接続してもよい。また、各加湿器に水を供給する給水ポンプを、駆動部I/F115に接続してもよい。
また、駆動部I/F115には、ベルト駆動モーター331、ベルト駆動モーター332、加熱部駆動モーター333、及び、加圧部駆動モーター334が接続される。また、カッター駆動モーター335、及びカッター駆動モーター336が接続される。
ベルト駆動モーター331は、駆動IC(Integrated Circuit)321を介して駆動部I/F115に接続され、張架ローラー74を回転させることによりメッシュベルト72を駆動する。制御装置110は、ベルト駆動モーター331の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC321は、ベルト駆動モーター331の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
ベルト駆動モーター332は、駆動IC322を介して駆動部I/F115に接続され、メッシュベルト79aを駆動する。制御装置110は、ベルト駆動モーター332の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC321は、ベルト駆動モーター332の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
加熱部駆動モーター333は、駆動IC323を介して駆動部I/F115に接続され、加熱部84の加熱ローラー86を駆動する。制御装置110は、加熱部駆動モーター333の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC323は、加熱部駆動モーター333の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
加圧部駆動モーター334は、駆動IC324を介して駆動部I/F115に接続され、加圧部82のカレンダーローラー85を駆動する。制御装置110は、加圧部駆動モーター334の回転の開始、停止、及び回転速度を制御する。駆動IC324は、加圧部駆動モーター334の回転量や回転角を検出するロータリーエンコーダーや回転角センサー等の検出部を備えてもよい。
カッター駆動モーター335は、駆動IC325を介して駆動部I/F115に接続され、第1切断部92のカッター刃を駆動する。カッター駆動モーター336は、駆動IC326を介して駆動部I/F115に接続され、第2切断部94のカッター刃を駆動する。制御装置110は、カッター駆動モーター335、及び、カッター駆動モーター336の回転の開始および停止を制御する。
駆動IC321〜326は、メインプロセッサー111の制御に従って駆動部に駆動電流を供給する回路であり、電力用半導体素子等で構成される。例えば、駆動IC321〜326は、インバーター回路や、ステッピングモーターを駆動する駆動回路である。駆動IC321〜326のそれぞれの具体的構成及び仕様は、接続される駆動部に合わせて適宜に選択される。また、シート製造装置100を構成する各モーターの構成は特に制限されない。
図5は、シート製造装置100の機能ブロック図であり、記憶部140、及び、制御部150の機能的構成を示す。記憶部140は、不揮発性記憶部120(図3)により構成される論理的な記憶部である。
制御部150、及び、制御部150が有する各種の機能部は、メインプロセッサー111がプログラムを実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により形成される。これらの機能部を構成するハードウェアは、例えば、メインプロセッサー111、及び不揮発性記憶部120が挙げられる。
記憶部140は、例えば、設定データ121、表示データ122、及び、地合設定データ123を記憶する。設定データ121は、シート製造装置100の動作を設定するデータを含む。例えば、設定データ121は、シート製造装置100が備える各種センサーの特性や、各種センサーの検出値に基づきメインプロセッサー111が異常を検出する処理で使用される閾値等のデータを含む。表示データ122は、メインプロセッサー111が表示パネル116に表示させる画面のデータである。表示データ122は、固定的な画像データであってもよいし、メインプロセッサー111が生成或いは取得するデータを表示する画面表示を設定するデータであってもよい。
地合設定データ123は、シート製造装置100が製造するシートSの地合と、シート製造装置100の動作条件等とを対応付けるデータである。
図6は、地合設定データ123の構成例を示す模式図である。図6にはレコードR1、R2、及び、R3を含む地合設定データ123の構成例を示すが、地合設定データ123が含むレコードの数は任意であり、レコード形式のデータに限定されない。
レコードR1、R2、及び、R3は、それぞれ、張力付与部101に設定される搬送速度差を示す情報、地合指数を示す情報、及び、シートSの地合を示す言語表現を対応付けて含んでいる。この例では、シート製造装置100において設定可能なシートSの地合が3段階に分けられており、レコードR1はシートSの地合を細かく設定する場合に対応する。また、レコードR3はシートSの地合を粗く設定する場合に対応し、レコードR2はシートSの地合を中間の状態に設定する場合に対応する。
地合設定データ123の各レコードに含まれる搬送速度差は、張力付与部101において隣接する搬送部間に設定される搬送速度である。本実施形態ではメッシュベルト79aとカレンダーローラー85との間の搬送速度の差である。例えば、図6の搬送速度差は、メッシュベルト79aの搬送速度に対する、メッシュベルト79aの搬送速度V21とカレンダーローラー85の搬送速度V22との差分を百分率で示した値が設定される。すなわち、図6の例における搬送速度差VDは下記式(1)により求められる。
VD=(V22−V21)/V21×100(%) …(1)
なお、上述のように、メッシュベルト72の搬送速度V2と搬送速度V21とはほぼ等速または等速とされることが多く、この場合、搬送速度V22を搬送速度V2に置き換えて、上記式(1)を適用してもよい。
シートSの地合の言語表現としては、ユーザーが理解しやすい表現であることが好ましく、図6の例では、シートSの地合を「細かい」、「普通」、「粗い」の3段階に表現する語が用いられる。
地合指数は、シートSの地合の言語表現を実現した場合に地合センサー99の出力値より求められる指数の目標値である。
なお、図6の地合設定データ123が含む情報は一例であり、他の情報をさらに対応付けてもよい。例えば、レコードR1、R2、R3の各々に、搬送速度V2、搬送速度V21、搬送速度V22の値を、搬送速度差の代わりに、或いは、搬送速度差に加えて含めてもよい。また、シートSの地合の言語表現として、他の語を用いることも勿論可能である。
地合設定データ123は、上記の情報のほか、表示部160に表示される地合選択画面160a(図7)を表示するための画像データを含んでもよい。或いは、地合選択画面160aの表示に用いる画像データが、地合設定データ123に対応づけて記憶部140に記憶されてもよい。
制御部150は、オペレーティングシステム(OS)151、表示制御部152、操作検出部153、検出制御部154、駆動制御部155、及び、地合検出部156の機能を有する。
オペレーティングシステム151の機能は、記憶部140が記憶する制御プログラムの機能であり、その他の制御部150の各部は、オペレーティングシステム151上で実行されるアプリケーションプログラムの機能である。
表示制御部152は、表示データ122に基づいて表示パネル116に画像を表示させる。
操作検出部153は、タッチセンサー117に対する操作を検出する。操作検出部153は、タッチセンサー117において検出した操作の操作位置に対応するGUI操作の内容を特定する。
検出制御部154は、センサーI/F114に接続される各種センサーの検出値を取得する。また、検出制御部154は、センサーI/F114に接続されるセンサーの検出値について、予め設定された閾値(設定値)と比較して判定を行う。検出制御部154は、判定結果が、報知を行う条件に該当する場合には、表示制御部152に報知内容を出力して、表示制御部152によって画像やテキストによる報知を行わせる。
駆動制御部155は、駆動部I/F115を介して接続される各駆動部の起動(始動)及び停止を制御する。また、駆動制御部155は、解繊部ブロアー26や混合ブロアー56等に対して、回転数の制御を行う構成であってもよい。
また、駆動制御部155は、操作検出部153が検出した操作によって地合に関する設定がなされた場合に、地合設定データ123を参照して、設定に対応する張力付与部101の搬送速度差あるいは搬送速度の設定値を取得する。駆動制御部155は、設定値に従って、ベルト駆動モーター331、332、加熱部駆動モーター333、加圧部駆動モーター334の一部または全部に対し搬送速度を設定し、設定した搬送速度で動作させる制御を行う。
駆動制御部155は、地合検出部156により、地合指数が目標範囲内にないと判定された場合に、シートSの地合指数を目標範囲内にするため、駆動部I/F115に接続された各部の制御を行う。
地合検出部156は、操作検出部153が検出した操作により指定されたシートSの地合に対応する目標値を、地合設定データ123から取得する。地合検出部156は、地合設定データ123から取得した地合指数の目標値を設定し、さらに、この目標値に基づき地合指数の目標範囲を設定する。地合指数の目標範囲は、地合指数の目標値を中心値(中央値)とし、予め設定された幅を有する範囲である。
地合検出部156は、地合センサー99により検出を実行させ、地合センサー99の出力値を取得し、取得した出力値に基づいて地合指数を算出する。地合検出部156は、操作検出部153が検出した操作によって設定される地合指数の目標値と、算出した地合指数とを比較し、地合指数が目標範囲内であるか否かを判定する。地合指数が目標範囲より低い、或いは目標範囲より高い場合、地合検出部156は、駆動制御部155に対し、算出した地合指数と目標範囲との差異を示すデータを出力する。
図7は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートである。
制御部150は、シート製造装置100の電源がオンにされると(ステップST1)、シート製造装置100の動作の設定を開始する(ステップST2)。シート製造装置100の動作の設定は、例えば、表示部160により設定用の画面を表示し、この設定用の画面に対するユーザーの入力操作によって行われる。シート製造装置100が製造するシートSのサイズや数等が設定された後、制御部150は、表示部160によって地合選択画面160aを表示させる(ステップST3)。
図8は、シート製造装置100の表示例を示す模式図であり、地合選択画面160aの例を示す。図8に例示する地合選択画面160aには、画面の名称が表示され、地合選択画像162と、選択状態表示部163とが配置される。
地合選択画像162は、ユーザーがシートSの地合を指示するための操作用の画像である。地合選択画像162は、シート製造装置100で設定可能なシートSの地合の段階に対応する画像162a、162b、162cを含む。画像162a、162b、162cの各々には、シートSの地合を形容する語または画像が含まれる。画像162a、162b、162cのいずれかがタッチ操作されると、タッチ操作された画像に対応する地合が選択される。
選択状態表示部163は、地合選択画像162の画像162a、162b、162cへのタッチ操作が検出されたことを示す画像である。すなわち、画像162a、162b、162cのうちタッチ操作により選択された地合を示す画像である。
このように、ユーザーは、地合選択画面160aを利用して、3段階に区別されたシートSの地合を容易に選択できる。
制御部150は、表示部160に対するタッチ操作によって地合が選択され、設定が完了したか否かを判定する(ステップST4)。設定が完了しない間は(ステップST4;No)、選択されるまで待機する。設定が完了した場合(ステップST4;Yes)、制御部150は、地合検出部156の機能により地合設定データ123のデータに基づいて地合指数の目標値を設定し、目標値に基づき目標範囲を設定する(ステップST5)。
続いて、制御部150は、地合設定データ123に従って、張力付与部101(具体的にはメッシュベルト79aとカレンダーローラー85)の搬送速度差を設定する(ステップST6)。
制御部150は、シート製造装置100の各部を初期化する起動シーケンスを開始し(ステップST6)、シートSの製造が可能な状態に移行する。起動シーケンスでは、駆動制御部155が制御する各種のモーターやブロアー等が適切な順序で適宜起動される。また、起動シーケンスにおいては、ベルト駆動モーター331、332、加熱部駆動モーター333、及び加圧部駆動モーター334の各部が設定値に従って回転を開始する。
制御部150は、起動シーケンスの進行中または実行後に地合センサー99による検出を開始し、サンプリング周期で地合センサー99による検出を実行させる(ステップST9)。制御部150は、地合センサー99の出力値に基づき地合指数を算出し(ステップST10)、算出した地合指数が目標範囲内か否かを判定する(ステップST11)。
地合指数が目標範囲内であると判定した場合(ステップST11;Yes)、制御部150は、表示部160の表示等により、シートSの地合が、ステップST3でユーザーが選択した状態となったことを報知する(ステップST12)。
制御部150は、シート製造装置100の運転を終了するか否かを判定する(ステップST13)。運転を終了するトリガーが成立しない間は(ステップST13;No)、制御部150は運転を継続する。運転停止の指示など、運転を停止するトリガーが発生した場合(ステップST13;Yes)、制御部150は、停止シーケンスを実行する(ステップST14)。
一方、地合指数が目標範囲内でないと判定した場合(ステップST11;No)、制御部150は、シート製造装置100の駆動パラメーターを変更して(ステップST15)、ステップST9に戻る。
制御部150は、地合検出部156によりシートSの地合指数が目標範囲より大きいと判定した場合には、地合を細かくするため、シート製造装置100の駆動パラメーターを変更する。また、制御部150は、シートSの地合指数が目標範囲より低いと判定した場合、地合を粗くするため、シート製造装置100の駆動パラメーターを変更する。
制御部150が変更する駆動パラメーターの内容は任意であるが、例えば、ドラム駆動部317の駆動パラメーターを変更して、第2ウェブW2の厚みを変更してもよい。具体的には、シートSの地合指数が目標範囲より大きい(地合が粗い)場合には、ドラム駆動部317の駆動パラメーターを、ドラム部61の回転速度が低速になるよう変更する。これにより、ドラム部61からメッシュベルト72に対し単位時間あたりに降下する材料が減少するので、メッシュベルト72に堆積する第2ウェブW2の厚みが減少する。第2ウェブW2の厚みの減少は、地合が細かくなるよう作用するので、地合指数を低下させる効果がある。これにより、地合センサー99の出力値から求められる地合指数が低下して、目標値に近づき、目標範囲内になることが期待できる。
シートSの地合指数が目標範囲より小さい(地合が細かい)場合には、ドラム駆動部317の駆動パラメーターを、ドラム部61の回転速度が高速になるよう変更すればよい。これにより、ドラム部61からメッシュベルト72に対し単位時間あたりに降下する材料が増加するので、メッシュベルト72に堆積する第2ウェブW2の厚みが増大する。第2ウェブW2の厚みの増大は、地合が粗くなるよう作用するので、地合指数を増加させる効果がある。これにより、地合センサー99の出力値から求められる地合指数が増大して、目標範囲内になることが期待できる。
また、第2ウェブW2の厚みを変更するための駆動パラメーターとして、ブロアー315の駆動パラメーターを変更し、サクション機構76の吸引力を増加させることも可能である。この場合、メッシュベルト72の下方から吸引を行う力が増すために、第2ウェブW2がメッシュベルト72上で圧縮され、第2ウェブW2の厚みが減少する。反対に、第2ウェブW2の厚みを変更するための駆動パラメーターとして、ブロアー315の駆動パラメーターを変更し、サクション機構76の吸引力を低下させることも可能である。この場合、メッシュベルト72の下方から吸引を行う力が減るために、第2ウェブW2がメッシュベルト72上で柔らかさを保ち、第2ウェブW2の厚みが増大する。
このように、ドラム駆動部317の駆動パラメーター、及び、/またはブロアー315の駆動パラメーターを変更することで、地合指数を目標値に近づけることができる。
また、ステップST15において、制御部150は、張力付与部101における搬送速度差を変更してもよい。例えば、メッシュベルト72の速度を規定する駆動パラメーターを変更してもよい。メッシュベルト72の搬送速度V2を増大させる場合、メッシュベルト72に堆積する第2ウェブW2の厚みを薄くする効果があり、搬送速度V2を低下させると第2ウェブW2の厚みを厚くする効果がある。
以上、説明したように、本実施形態のシート製造装置100は、繊維を含む材料を堆積させて形成された第2ウェブW2に張力を与えることにより、第2ウェブW2の厚み方向に対して交差する方向に第2ウェブW2を引き伸ばす張力付与部101を備える。また、シート製造装置100は、張力付与部101により引き伸ばされた第2ウェブW2を処理してシートSを形成するシート形成部80を備える。
本発明を適用したシート製造装置100、シート製造装置100の制御方法、及び、シート製造方法によれば、第2ウェブW2に張力を与えて引き伸ばすことによって、所定のシートSの地合を実現できる。従って、目的とするシートSの地合に合わせてシートSを引き伸ばすことで、所望の状態のシートSを製造させることができる。
また、シート製造装置100は、張力付与部101によって第2ウェブW2に与えられる張力を制御することにより、製造されるシートSの地合を変更する制御部150を備える。これにより、第2ウェブW2に与えられる張力を制御してシートSの地合を変更できるので、所望の地合を有するシートSを製造できる。
また、シート製造装置100は、複数の搬送部として、例えばメッシュベルト72、メッシュベルト79a、カレンダーローラー85、及び加熱ローラー86を備える。複数の搬送部のうち第2ウェブW2に与える荷重が最大であるカレンダーローラー85は最大荷重搬送部といえる。カレンダーローラー85と、カレンダーローラー85よりも上流側に位置する搬送部との間の搬送速度差、または、カレンダーローラー85より上流側に位置する複数の搬送部の間の搬送速度差が、最大の搬送速度差を有するよう設定される。最大の搬送速度差を有する複数の搬送部のうち上流側に位置する搬送部の搬送速度は下流側に位置する搬送部の搬送速度より低速である。例えば、張力付与部101を構成するメッシュベルト79aとカレンダーローラー85の搬送速度差を最大とし、カレンダーローラー85の搬送速度V22よりメッシュベルト79aの搬送速度V21が低速である。
本発明を適用したシート製造装置100、及び、シート製造装置の制御方法によれば、シート製造装置100を、製造するシートSの地合に合わせて制御し、所望の状態のシートSを製造させることができる。
そして、シート製造装置100の制御部150は、最大の搬送速度差を有する複数の搬送部間の搬送速度差を制御する。これにより、搬送部間の搬送速度差を制御することにより、シートSの地合を調整できる。
また、制御部150は、シートSの地合に関する設定に従って、最大の搬送速度差を有する複数の搬送部の搬送速度を制御するので、搬送速度を制御することにより、シートSの地合を調整できる。
また、シート製造装置100は、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させて第2ウェブW2を形成する第2ウェブ形成部70を備える。制御部150は、第2ウェブ形成部70で堆積させる第2ウェブW2の厚さを制御する。これにより、第2ウェブW2の厚さを制御することにより、シートSの地合を調整できる。
また、第2ウェブ形成部70は、材料が投入されるドラム部61と、ドラム部61を通過した材料を堆積させるメッシュベルト72と、を有する。制御部150は、シートSの地合に関する設定に従って、第2ウェブ形成部70の動作条件を制御する。これにより、材料を堆積させて第2ウェブW2を形成する条件を制御することにより、シートSの地合を調整できる。
また、シート製造装置100は、シートSの地合に関する情報を受け付ける受付部としての表示部160を有する。制御部150は、表示部160により受け付けた情報に基づいて、シートSの地合を変更する。これにより、シートSの地合に関する情報に従って、シートSの地合を調整できる。
別の観点では、シート製造装置100は、繊維と樹脂とを含む材料をメッシュベルト72上に堆積させ、メッシュベルト72を移動させることによりメッシュベルト72上に形成される第2ウェブW2を搬送する第2ウェブ形成部70を有する。また、第2ウェブ形成部70で形成された第2ウェブW2に加圧力を与えてシートSを形成するカレンダーローラー85を有する。メッシュベルト72が第2ウェブW2を搬送する搬送速度V2(第1搬送速度)と、カレンダーローラー85が第2ウェブW2及びシートSを搬送する搬送速度V22(第2搬送速度)とは、搬送速度V2が搬送速度V22より低速となるよう設定される。また、搬送速度V2と搬送速度V22との速度差がシートSの地合に適した速度差となるよう設定される。ここで、搬送速度V2はメッシュベルト79aの搬送速度と等速、または、ほぼ等速である。このため、搬送速度V21が搬送速度V22より低速であって、搬送速度V21と搬送速度V22との速度差がシートSの地合に適した速度差となるよう設定されるともいえる。
別の観点では、シート製造装置100は、繊維と樹脂とを含む材料をメッシュベルト72(第1ベルト)上に堆積させ、メッシュベルト72を移動させることによりメッシュベルト72上に形成される第2ウェブW2を搬送する第2ウェブ形成部70を有する。また、シート製造装置100は、メッシュベルト72上に形成された第2ウェブW2を搬送するメッシュベルト79a(第2ベルト)を有する。また、搬送方向Fにおいてメッシュベルト79aの下流側に位置し、メッシュベルト79aにより搬送される第2ウェブW2に加圧力を与えてシートSを形成するカレンダーローラー85を有する。メッシュベルト79aが第2ウェブW2を搬送する搬送速度V21(第1搬送速度)と、カレンダーローラー85が第2ウェブW2及びシートSを搬送する搬送速度V22(第2搬送速度)とは次のように設定される。すなわち、搬送速度V21が搬送速度V22より低速であって、搬送速度V21と搬送速度V22との速度差がシートSの地合に適した速度差となるよう設定される。
上記実施形態のシート製造装置100は、原料を気中で解繊することにより材料を得て、この材料と樹脂とを用いてシートSを製造する乾式のシート製造装置100として説明した。本発明の適用対象はこれに限定されず、水等の溶媒中に繊維を含む原料を溶解または浮遊させ、この原料をシートに加工する、いわゆる湿式のシート製造装置にも適用できる。また、気中で解繊された繊維を含む材料をドラムの表面に静電気等により吸着させ、ドラムに吸着された原料をシートに加工する制電方式のシート製造装置にも適用できる。これらのシート製造装置では、シートに加工される前またはシート状の材料を搬送する工程において、上記実施形態の構成を適用可能である。
なお、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態で説明した構成の全てが本発明の必須構成要件であることも限定されない。また、この発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、地合センサー99をカレンダーローラー85と加熱ローラー86との間に配置して、シートSの地合を検出する構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。地合センサー99を切断部90の下流に配置して、切断されたシートSを地合センサー99で検出してもよい。
また、地合センサー99は、搬送される第2ウェブW2またはシートSの幅方向に、複数配置されてもよい。この場合の幅方向は、第2ウェブW2またはシートSの面内において搬送方向Fと交差する方向をいう。この構成によれば、第2ウェブW2及びシートSは搬送方向Fに搬送されるので、地合センサー99により、第2ウェブW2またはシートSにおいて、広い範囲における地合を検出できる。さらに、地合センサー99の検出範囲および数を適宜設定することにより、第2ウェブW2またはシートSの全体における地合を検出できる。
また、シート製造装置100は、シートSに限らず、硬質のシート或いは積層したシートで構成されるボード状、或いは、ウェブ状の製造物を製造する構成であってもよい。また、シートSは、紙は、パルプや古紙を原料とする紙であってもよく、天然繊維または合成樹脂製の繊維を含む不織布であってもよい。また、シートSの性状は特に限定されず、筆記や印刷を目的とした記録紙(例えば、いわゆるPPC用紙)として使用可能な紙であってもよいし、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙等であってもよい。また、シートSが不織布である場合、一般的な不織布のほか、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マット等としてもよい。
2、3、7、8、23、29…管、9…シュート、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、26…解繊部ブロアー、27…集塵部、28…捕集ブロアー、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…ローラー、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、52a…排出部、54…管、56…混合ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部(篩部)、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部(ウェブ形成部)、72…メッシュベルト(搬送部、堆積部)、74…張架ローラー、76…サクション機構、77…サクションブロアー、79…搬送部、79a…メッシュベルト(搬送部)、79b…張架ローラー、79c…サクション機構、80…シート形成部、82…加圧部、84…加熱部、85…カレンダーローラー(搬送部、最大荷重搬送部)、86…加熱ローラー(搬送部)、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出部、97…光源部、98…読取部、99…地合センサー、100…シート製造装置、101…張力付与部、110…制御装置、111…メインプロセッサー、114…センサーI/F、115…駆動部I/F、120…不揮発性記憶部、123…地合設定データ、140…記憶部、150…制御部、151…オペレーティングシステム、153…操作検出部、154…検出制御部、155…駆動制御部、156…地合検出部、160…表示部(受付部)、202、204、206、208、210、212…加湿部、321〜326…駆動IC、331…ベルト駆動モーター、332…ベルト駆動モーター、333…加熱部駆動モーター、334…加圧部駆動モーター、335…カッター駆動モーター、336…カッター駆動モーター、F…搬送方向、R1、R2、R3…レコード、S…シート、V2、V21、V22、V23…搬送速度、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ(ウェブ)。

Claims (10)

  1. 繊維を含む材料を堆積させて形成されたウェブに張力を与えることにより、前記ウェブの厚み方向に対して交差する方向に前記ウェブを引き伸ばす張力付与部と、
    前記張力付与部により引き伸ばされた前記ウェブを処理してシートを形成するシート形成部と、
    を備えることを特徴とするシート製造装置。
  2. 前記張力付与部によって前記ウェブに与えられる張力を制御することにより、製造される前記シートの地合を変更する制御部を備えること、を特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 繊維を含む材料を堆積させたウェブを搬送する複数の搬送部を有し、前記ウェブを処理してシートを形成するシート製造装置であって、
    複数の前記搬送部のうち前記ウェブに与える荷重が最大である最大荷重搬送部と前記最大荷重搬送部よりも前記ウェブの搬送方向において上流側に位置する前記搬送部との間の搬送速度差、または、前記最大荷重搬送部よりも前記搬送方向において上流側に位置する複数の前記搬送部の間の搬送速度差が、最大の搬送速度差を有するよう設定され、
    最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部のうち上流側に位置する前記搬送部の搬送速度は下流側に位置する前記搬送部の搬送速度より低速であること、
    を特徴とするシート製造装置。
  4. 最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部間の搬送速度差を制御することにより前記シートの地合を変更する制御部を備えること、を特徴とする請求項3記載のシート製造装置。
  5. 前記制御部は、前記シートの地合に関する設定に従って、最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部の搬送速度を制御すること、を特徴とする請求項4記載のシート製造装置。
  6. 繊維と樹脂とを含む材料を堆積させて前記ウェブを形成するウェブ形成部を備え、
    前記制御部は、前記ウェブ形成部で堆積させる前記ウェブの厚さを制御すること、を特徴とする請求項2、4または5記載のシート製造装置。
  7. 前記ウェブ形成部は、前記材料が投入される篩部と、前記篩部を通過した前記材料を堆積させる堆積部と、を有し、
    前記制御部は、前記シートの地合に関する設定に従って、前記ウェブ形成部の動作条件を制御すること、を特徴とする請求項6記載のシート製造装置。
  8. シートの地合に関する情報を受け付ける受付部を有し、
    前記制御部は、前記受付部により受け付けた情報に基づいて、前記シートの地合を変更すること、を特徴とする請求項2、4〜7のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  9. 繊維と樹脂とを含む材料を堆積させてウェブを形成し、
    前記ウェブに張力を与えることにより、前記ウェブの厚み方向に対し交差する方向に前記ウェブを引き伸ばし、
    引き伸ばした前記ウェブを処理してシートを形成すること、
    を特徴とするシート製造方法。
  10. 繊維を含む材料を堆積させたウェブを搬送する複数の搬送部を有し、前記ウェブを処理してシートを形成するシート製造装置の制御方法であって、
    複数の前記搬送部のうち前記ウェブに与える荷重が最大である最大荷重搬送部と前記最大荷重搬送部よりも前記ウェブの搬送方向において上流側に位置する前記搬送部との間の搬送速度差、または、前記最大荷重搬送部よりも前記搬送方向において上流側に位置する複数の前記搬送部の間の搬送速度差が、最大の搬送速度差を有するように、前記搬送部の搬送速度を設定し、
    最大の搬送速度差を有する複数の前記搬送部のうち上流側に位置する前記搬送部の搬送速度を下流側に位置する前記搬送部の搬送速度より低速とすること、
    を特徴とするシート製造装置の制御方法。
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