JP6984144B2 - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結体の前駆体として供する成形体の製造方法に関する。より詳細には、射出成形による成形体の製造方法に係る。
セラミックスは耐熱性、耐磨耗性、耐食性に優れていることに加え、高い審美性を有する。そのため、構造材料などの従来の用途への適用に加え、装飾性を求められる用途への適用も検討されている。その一方、高すぎる靭性のため、焼結後のセラミックスは加工が困難であり、結合剤等を使用せず、組成の異なるセラミックスが組み合されたセラミックスは特に作製が困難であった。
組成の異なるセラミックスが組み合されたものを製造するため、射出成形により、焼結前の段階で異なるセラミックスを組合せ、これを焼結する方法が検討されている。
特許文献1では、板状のジルコニア成形体上に、色調の異なるジルコニア成形体を積層させた後に焼結することにより得られたジルコニア焼結体が報告されている。特許文献1では、FeCrNiスピネルを含むジルコニア粉末の成形体と、CoAlを含むジルコニア粉末の成形体とを焼結することにより得られたジルコニア焼結体、が開示されている。しかしながら、特許文献1の製造方法における成形体は、一方の成形体の上に、他の成形体が単に乗っけただけであり、目視できるほどの隙間を有する焼結体であり、審美性の乏しいものであった。
また、特許文献2及び3では、射出成形により一次成形体を得、当該一次成形体上に一次成形体と組成の異なる組成物を成形して二次成形体を得た後、常圧焼結及び熱間静水圧プレスすることで、表面に微細な模様を有する焼結体が開示されている。さらに、特許文献3においては、表面に図柄等を有する焼結体であり、なおかつ、隙間及び色滲みを有さない焼結体が得られることが開示されている。しかしながら、モバイル端末などの審美性が一層求められる用途へのセラミックスの適用に伴い、セラミックスの形状やデザインのより微細な制御が求められていた。
特開平08−081255号公報 特開2014−012615号公報 特開2015−143179号公報
特許文献3で開示された焼結体の製造方法は、成形工程における一次成形及び二次成形の温度を管理することで微細な形状を形成することを可能としていた。しかしながら、原料の組成等によって適切な成形温度が異なるため、特許文献3の製造方法で様々な組成の原料を用いて微細な形状を形成するためには、成形時に、都度、適した温度に制御しながら成形する必要があった。
これらの課題に鑑み、本発明は、成形時の特別な制御を必須とすることなく、微細な形状を成形することができる成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、組成の異なる2以上のセラミックスからなる成形体の製造方法について検討した。その結果、成形体となる原料として、一定の関係を有する原料を適用することで、成形時に特別な制御等をすることなく、微細な形状を形成できる成形用の原料及びこれを用いた成形体の製造方法を見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T1である組成物を成形して一次成形体を得る工程、及び、セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T2である組成物を該一次成形体上に成形して二次成形体を得る工程、を有し、該T1がT2より高いことを特徴とする、成形体の製造方法。
[2] 前記一次組成物又は前記二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末が、BET比表面積が5m/g以上20m/g以下であるセラミックス粉末である上記[1]に記載の製造方法。
[3] 前記一次組成物又は前記二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末が、アルミナ粉末、ジルコニア粉末及びシリカ粉末からなる群の少なくとも1種である上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 一次組成物及び二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末がジルコニア粉末である上記[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の製造方法。
[5] 前記結合剤が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリポロピレンカーボネートからなる群の1種以上、又は、これらの共重合体である上記[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の製造方法。
[6] 前記一次組成物が脂肪酸アマイドを含む上記[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7] 前記脂肪酸アマイドが、飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド及び芳香族ビスアマイドからなる群の少なくとも1種である上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記工程における成形方法が射出成形である請求項[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の製造方法。
[9] 上記[1]乃至[8]のいずれか1つの成形体の製造方法で得られた二次成形体を加熱処理して脱脂体を得る工程、及び、該脱脂体を焼結して焼結体を得る工程を有する焼結体の製造方法。
本発明により、成形時の特別な制御を必須とすることなく、微細な形状を成形することができる成形体の製造方法を提供することができる。
リング状の一次成形体又は焼結体の形状を示す模式図 リング状の二次成形体又は焼結体の形状を示す模式図 表面研磨後の二次成形体又は焼結体の形状を示す模式図 実施例1の二次成形体の光学顕微鏡写真 比較例1の二次成形体の光学顕微鏡写真 実施例4の焼結体の光学顕微鏡写真
以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明は、セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T1である組成物を成形して一次成形体を得る工程、及び、セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T2である組成物を該一次成形体上に成形して二次成形体を得る工程、を有し、該T1がT2より高いことを特徴とする、成形体の製造方法、である。これにより、成形温度等の成形時の条件を緻密に制御することなく、微細な模様を有する成形体を得ることができる。更に、このような成形体を焼結することで微細な模様を有する焼結体が得られる。
セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T1である組成物(以下、「一次組成物」ともいう。)及びセラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T2である組成物(以下、「二次組成物」ともいう。)は、それぞれ、セラミックス粉末と結合剤とを含む。セラミックス粉末と結合剤を含むことで、一次組成物及び二次組成物が、成形用組成物(いわゆる、セラミックスコンパウンド)として適した流動性を示す。
一次組成物及び二次組成物は、それぞれ、セラミックス粉末を含み、当該セラミックス粉末は、BET比表面積が5m/g以上20m/g以下であるセラミックス粉末、更にはBET比表面積が5m/g以上16m/g以下であるセラミックス粉末であることが好ましい。一次組成物及び二次組成物に含まれるセラミックス粉末は、それぞれ、異なるセラミックス粉末であってもよいが、一次組成物及び二次組成物に含まれるセラミックス粉末が同じであってもよい。
流動開始温度T1が流動開始温度T2よりも高ければ、セラミックス粉末の種類は任意である。好ましいセラミックス粉末として、酸化物セラミックス粉末、更にはアルミナ粉末、ジルコニア粉末及びシリカ粉末からなる群の少なくとも1種、また更にはアルミナ粉末又はジルコニア粉末の少なくともいずれかを挙げることができる。セラミックス粉末は、ジルコニア粉末であることが特に好ましく、一次組成物及び二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末がジルコニア粉末であることが好ましく、一次組成物及び二次組成物がジルコニア粉末であることがより好ましい。
本発明における好ましいジルコニア粉末として、イットリアで安定化されたジルコニア粉末(以下、「イットリア安定化ジルコニア粉末」)、更にはイットリアを2mol%以上4mol%以下含有するイットリア安定化ジルコニア粉末、また更には2.5mol%以上3.5mol%以下含有するイットリア安定化ジルコニア粉末を挙げることができる。
一次組成物又は二次組成物の少なくともいずれかにに含まれるセラミックス粉末は着色剤を含んでいてもよい。一次組成物又は二次組成物の少なくともいずれかが着色剤を含有することで、より審美性の高い焼結体製造用の成形体を得ることができる。セラミックス粉末が含有する着色剤として任意の遷移金属元素を含む酸化物及び複合酸化物を挙げることができ、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)及び銅(Cu)の少なくともいずれかを含む複合酸化物、更にはコバルト(Co)及び鉄(Fe)を含む複合酸化物、また更にはコバルト(Co)及び鉄(Fe)を含むスピネル構造の複合酸化物であることが好ましい。一次組成物と二次組成物とがいずれも着色剤を含有する場合、着色剤の種類又は含有量の少なくともいずれかが異なることが好ましい。
本発明におけるセラミックス粉末は、ジルコニア粉末に加えアルミナ粉末を含むこと、すなわち、ジルコニア粉末とアルミナ粉末との混合粉末であってもよい。セラミックス粉末が、ジルコニア粉末とアルミナ粉末の混合粉末である場合、当該混合粉末に対するアルミナ粉末の重量割合として5重量%以上20重量%以下、更には5重量%以上15重量%以下を挙げることができる。
一次組成物及び二次組成物は結合剤を含む。結合剤は、射出成形後の組成物(成形体)の形状を安定化する機能を有する化合物である。
流動開始温度T1及びT2が本発明の関係を満たすものであれば、一次組成物及び二次組成物は、それぞれ、任意の結合剤を使用することができる。一次組成物及び二次組成物に含まれる結合剤は同じであってもよいが、それぞれ、異なる結合剤であってもよい。
結合剤として、ポリオレフィン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリポロピレンカーボネートからなる群の1種以上、又は、これらの共重合体や、石油系ワックス又は植物系ワックスの少なくともいずらかのワックス、ステアリン酸、並びに、これらを2以上含む混合物を挙げられ、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリポロピレンカーボネートからなる群の1種以上、又は、これらの共重合体であることが好ましい。
一次組成物は脂肪酸アマイドを含むことが好ましい。脂肪酸アマイドは結合剤として機能する。流動開始温度T1及びT2が本発明の関係を満たし、なおかつ、一次組成物が脂肪酸アマイドを含むことによって、成形体が有する微細な形状が崩れにくくなる。一次組成物に含まれる脂肪酸アマイドは、飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイド、置換アマイド、メチロールアマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、芳香族ビスアマイド、水分散脂肪酸アマイド及び脂肪酸エステルアマイドからなる群の少なくとも1種であることが好ましく、飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド及び芳香族ビスアマイドからなる群の少なくとも1種であることがより好ましい。なお、流動開始温度T1及びT2が本発明の関係を満たすものであれば、二次組成物が脂肪酸アマイドを含有していてもよい。
一次組成物及び二次組成物は、それぞれ、セラミックス粉末及び結合剤に加え、可塑剤及び酸化防止剤(以下、これらをまとめて「添加剤」ともいう。)を含んでいてもよい。可塑剤として、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル及びトリメリット酸エステルからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。酸化防止剤として、ヒドラジン系酸化防止剤又はヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくともいずれかを挙げることができる。
一次組成物及び二次組成物は、それぞれ、組成物の体積に対するセラミックス粉末の体積が35体積%以上60体積%以下であることが好ましく、40体積%以上55体積%以下であることがより好ましい。これにより、成形時にこれらの組成物が適度な流動性を示す。添加剤の含有量は、1体積%以上5体積%以下を挙げることができる。
本発明の成形体の製造方法においては、一次組成物の流動開始温度T1が、二次組成物の流動開始温度T2より高いことを特徴とする。流動開始温度は、成形における組成物の流れ性を示す指標である。成形における組成物の特性は、組成や粒子性状などのセラミックス粉末の物性、結合剤の成分、セラミックス粉末の含有割合、及び、セラミックス粉末と有機バインダーとの混合状態など、様々な物性の影響を複合的に受ける。しかしながら、セラミックス粉末と結合剤のとの混合状態などの複合的要因により決まる特性を直接制御できる物性はなかった。
これに対し、本発明の成形体の製造方法では、成形に先立ち、各組成物の流動開始温度を制御するという簡便な方法により、複合的な物性を直接制御することなく、成形用の組成物の特性を制御することができる。これにより、任意の組成を有する組成物であっても、微細な形状や複雑な形状を有する成形体を製造することができる。
本発明の製造方法において、一次組成物の流動開始温度T1は、二次組成物の流動開始温度T2よりも高い。流動開始温度T1及びT2がこの関係を有することで、成形温度等の成形時の条件を緻密に制御することなく、目的とする成形体が微細な形状の模様を有する場合あっても、当該模様が崩れることなく成形することができる。
流動開始温度T1は流動開始温度T2よりも高いが、流動開始温度T1とT2との差(以下、「流動開始温度差」ともいう。)が大きいほど微細な模様を形成しやすくなる。そのため、流動開始温度差は0℃を超え、3℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましい。流動開始温度差は20℃以下、更には15℃以下であることが挙げられる。
流動開始温度T1及びT2は、上記の関係を満たし、なおかつ、一般的な成形条件で組成物が流動性を示す温度であればよい。流動開始温度T1及びT2として、それぞれ、120℃以上160℃以下、更には130℃以上160℃以下であることが挙げられる。
流動開始温度は押出形プラストメータ(キャピラリーレオメータ)を使用し、JIS K 7210に準じた方法により測定することができる。すなわち、シリンジとピストンを備えたキャピラリーダイに組成物を充填した後、組成物を昇温しながらピストンに荷重をかけ、ピストンが一定距離移動した温度をもって、流動開始温度とすればよい。
本発明における流動開始温度として、以下の条件で測定された流動開始温度を挙げることができる。
試料形状 : ペレット又は粉末
試験温度 : 室温〜160℃、昇温速度5℃/min
試験圧力 : 定圧 25kg/cm
キャピラリーダイ : 長さ20mm及び内径1.0mmの円筒状シリンジ、及び、シリンジの内孔と一致する外径を有するピストンを備えたキャピラリーダイ
流動開始温度 :
軟化温度におけるピストンの位置から5mmピストンが移動したときの温度
一次組成物及び二次組成物は、それぞれ、セラミックス粉末と結合剤と、必要に応じて酸化防止剤及び可塑剤を任意の混合方法で混合することで得られる。混合方法は任意であり、加熱混練又は湿式混合を挙げることができ、加熱混練であることが好ましく、150℃以上250℃以下で加熱混練することが好ましい。
本発明の成形体の製造方法は、一次組成物を成形して一次成形体を得る工程(以下、「一次成形工程」ともいう。)、及び、二次組成物を該一次成形体上に成形して二次成形体を得る工程(以下、「二次成形工程」ともいう。)、を有する。当該工程を経ることにより、一次組成物と二次組成物とが一体となって成形された成形体を得ることができる。
一次成形工程及び二次成形工程における成形方法は任意であるが、両工程における成形方法は同じ成形方法であることが好ましい。成形方法として、ゲルキャスト成形、射出成形及び泥漿鋳込み成形からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、射出成形であることが好ましい。一次成形工程及び二次成形工程の好ましい射出成形の条件として、それぞれ、射出圧力を100MPa以上250MPa以下として成形することが挙げられる。
二次成形工程では、二次組成物を該一次成形体上に成形する。一次成形体上に二次成形体を成形することができれば、成形方法は任意であるが、例えば、射出成形により一次成形体を得、これを金型に充填させ、その上に二次組成物を射出成形することが挙げられる。
二次成形工程に供する一次成形体は、凹部又は凸部の少なくともいずれかを有することが好ましい。本発明の製造方法では目的とする微細な形状を有する成形体が得られるため、一次成形体は0.3mm以上5.0mm以下、更には0.3mm以上2.0mm以下の線図からなる凹部又は凸部の少なくともいずれかを有することが好ましい。
本発明の製造方法で得られる二次成形体は一次組成物及び二次組成物からなる成形体であり、その形状は任意である。二次成形体の形状として、円板状、円柱状、リング状、立方体状、直方体状及び多角形状からなる群の少なくともいずれか、又は、用途に応じた任意形状を挙げることができる。二次成形体は、凹部又は凸部の少なくともいずれかを有する一次成形体に二次組成物が被覆した形状であることが好ましい。
本発明の製造方法は、二次成形体を加熱処理して脱脂体を得る工程及び脱脂体を焼結して焼結体を得る工程を有していてもよい。
二次成形体を加熱処理して脱脂体を得る工程(以下、「脱脂工程」ともいう。)では、結合剤等を含む二次成形体を加熱することで、結合剤等の有機成分を除去し、セラミックス粉末からなる脱脂体を得る。脱脂工程における加熱処理は、有機成分の除去ができれば任意である。好ましい加熱処理条件として以下の条件を挙げることができる。
加熱温度 : セラミックス粉末の焼結温度以下、更には400℃以上600℃以下
加熱時間 : 30分以上4時間以下
加熱雰囲気 :酸化雰囲気、不活性雰囲気及び真空雰囲気からなる群の少なくとも1種
脱脂体を焼結処理して焼結体を得る工程(以下、「焼結工程」ともいう。)では、脱脂体を焼結することで、2以上のセラミックスがひとつに焼結した焼結体を得る。焼結工程における焼結方法は任意であり、常圧焼結、ホットプレス及び熱間静水圧プレス(以下、「HIP」ともいう。)処理からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、常圧焼結及びHIP処理であることが好ましい。
焼結条件は、使用したセラミックス粉末が焼結すれば任意である。セラミックス粉末としてジルコニア粉末を使用した場合の常圧焼結の好ましい条件として以下の条件を挙げることができる。
焼結温度 : 1300℃以上1500℃以下、更には1350℃以上1500℃以下
焼結時間 : 30分以上4時間以下
焼結雰囲気 : 酸化雰囲気、不活性雰囲気及び真空雰囲気からなる群の少なくとも1種
また、セラミックス粉末としてジルコニア粉末を使用した場合のHIP処理及び予備焼結の好ましい条件として以下の条件を挙げることができる。
予備焼結温度 : 1300℃以上1500℃以下、更には1350℃以上1500℃以下
予備焼結時間 : 30分以上4時間以下
予備焼結雰囲気 : 酸化雰囲気、不活性雰囲気及び真空雰囲気からなる群の少なくとも1種
HIP処理条件 焼結温度 :1300℃以上1500℃以下、更には1350℃以上1450℃以下
焼結時間 :30分以上2時間以下
焼結雰囲気 :アルゴン雰囲気
本発明の製造方法は、成形体又は焼結体を加工する工程(以下、「加工工程」を有していてもよい。)。加工工程を経ることにより、成形体又は焼結体を所望の形状にすることができる。加工方法は任意であるが、例えば、切削加工、研削加工、研磨加工などを挙げることができる。加工方法として、一次組成物又は二次組成物のいずれか一方の表面を加工し、表面に他方の組成物が露出するまで加工することが挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(流動開始温度)
キャピラリーリオメーター(装置名:CFT−500D、島津製作所製)を使用し、以下の条件で流動開始温度を求めた。
内孔1cmのシリンジと、シリンジ内孔と一致する外径を有するピストンを備えたキャピラリーダイにペレット状の組成物試料2mLを充填した後、昇温速度5℃/minで組成物を昇温しながら、ピストンに25kg/cmの荷重をかけた。軟化温度におけるピストンの位置から5mmピストンが移動した温度をもって、流動開始温度とした。
(光学顕微鏡観察)
光学顕微鏡(装置名:MM−800、ニコン製)を使用し、得られた成形体及び焼結体の表面を観察した。
合成例1
BET比表面積が15m/gであり、3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、BET比表面積が15m/gであり、なおかつ、アルミナ粉末を20重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、を重量比で50重量%:50重量%となるように混合した後、大気中、120℃で乾燥して混合粉末を得た。得られた混合粉末と、アクリル系樹脂及び飽和脂肪酸ビスアマイドからなる結合剤、DOP、並びに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を混合し、混合粉末の体積割合が50体積%である組成物を得、これを原料組成物1とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物1の流動開始温度は155.1℃であった。
合成例2
組成物中の混合粉末の体積割合が48体積%となるように混合したこと以外は実施例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物2とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物2の流動開始温度は145.1℃であった。
合成例3
セラミックス粉末として、BET比表面積が7m/gであり、3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、BET比表面積が15m/gであり、なおかつ、アルミナ粉末を20重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物3とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物2の流動開始温度は139.6℃であった。
合成例4
セラミックス粉末として、BET比表面積が9m/gであり、Zn−Al−Co−Fe複合酸化物を含有するジルコニア粉末を使用したこと、及び、組成物中の混合粉末の体積割合が48体積%となるように混合したこと以外は合成例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物4とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物4の流動開始温度は137.8℃であった。
合成例5
セラミックス粉末として、BET比表面積が9m/gであり、Zn−Al−Co−Fe複合酸化物を含有するジルコニア粉末を使用したこと、及び、飽和脂肪酸ビスアマイドを使用しなかったこと以外は合成例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物5とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物5の流動開始温度は137.5℃であった。
合成例6
セラミックス粉末として、BET比表面積が7m/gであり、3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、BET比表面積が7m/gであり、なおかつ、アルミナ粉末を20重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末と、を使用したこと以外は合成例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物6とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物6の流動開始温度は134.8℃であった。
合成例7
セラミックス粉末として、BET比表面積が9m/gであり、Zn−Al−Co−Fe複合酸化物を含有するジルコニア粉末を使用したこと、飽和脂肪酸ビスアマイドを使用しなかったこと、及び、組成物中の混合粉末の体積割合が48体積%となるように混合したこと以外は合成例1と同様な方法で組成物を得、これを原料組成物7とした。本実施例の原料組成物の結果を表1に示す。
原料組成物7の流動開始温度は130.2℃であった。
Figure 0006984144
表1より、粉末の組成やBET比表面積、並びに、組成物中の混合粉末含有量などが異なるだけで流動開始温度が異なることが確認できた。
実施例1
原料組成物1を圧力200MPaで射出成形し、一次成形体を得た。一次成形体は外径53mm×内径44mm×高さ4.5mmのリング状であり、当該成形体は内径1.8mm×外径2.4mm×高さ2.7mmであり、幅0.6mmの線図からなるロの字状の凸部を有する。一次成形体の形状の模式図を図1に示した。図1(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、一次成形体の上面図、※における断面図及び側面図である。
得られた一次成形体を二次金型内に設置した後、一次成形体上に原料組成物5を圧力150MPaで射出成形し、図2で示す形状の二次成形体を得、本実施例の成形体とした。なお、射出成形における温度制御は成り行きとした。図2(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、一次成形体の上面図、※における断面図及び側面図である。
マシニングセンタを使用し、図3に示すような、一次成形体の凸部に由来する正方形が表面に露出するまで本実施例の成形体の表面を加工した。加工後、表面を研磨処理した。加工後の成形体の表面の光学顕微鏡写真を図4に示す。図4より、本実施例の成形体は、その表面に白色の正方形の模様を有することが確認できる。
実施例2
一次組成物として原料組成物2を使用したこと、及び、二次組成物として原料組成物7を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で射出成形をし、本実施例の成形体を得た。
得られた成形体は、実施例1と同様に、その表面に白色の正方形の模様を有していた。
実施例3
一次組成物として原料組成物3を使用したこと、及び、二次組成物として原料組成物5を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で射出成形をし、本実施例の成形体を得た。
得られた成形体は、実施例1と同様に、その表面に白色の正方形の模様を有していた。
比較例1
一次組成物として原料組成物6を使用したこと、及び、二次組成物として原料組成4を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で射出成形をし、本比較例の二次成形体を得た。得られた成形体の表面の光学顕微鏡写真を図5に示す。図5より、本比較例の成形体は、一次成形体の凸部に由来する正方形の形がゆがみ、目的とする形状の模様が得られないことが確認できる。
実施例4
実施例1で得られた二次成形体を大気中、昇温速度2.5℃/h、脱脂温度450℃、脱脂時間2時間で処理することで二次成形体中の有機物を除去し、脱脂体を得た。得られた脱脂体を、大気中、焼結温度1450℃、焼結時間2時間で焼結した後、アルゴン雰囲気中、1350℃、1時間、150MPaでHIP処理することで焼結体を得た。
マシニングセンタを使用し、得られた焼結体の表面を加工し、図3に示す形状の部材とした。加工後、表面を研磨処理し、本実施例の焼結体から成るベゼルリングを得た。得られた焼結体の表面の光学顕微鏡写真を図6に示す。図6より、成形体の正方形の模様の形状を崩すことなく、焼結体を得ることが確認できた。
本発明の成形体の製造方法は、セラミックスコンパウンドを原料とする成形方法として適用でき、特に射出成形による成形方法として使用することができる。更に、本発明の製造方法は、微細な模様を有する成形体及び焼結体や、複雑形状の成形体及び焼結体の、より簡便な製造方法として供することができる。

Claims (8)

  1. セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T1である一次組成物を射出成形により成形して一次成形体を得る工程、及び、セラミックス粉末と結合剤とを含み、流動開始温度T2である二次組成物を該一次成形体上に射出成形により成形して二次成形体を得る工程、を有し、該T1がT2より高いことを特徴とする、焼結体製造用の成形体の製造方法。
    但し、前記流動開始温度T1及びT2は押出形プラストメータ(キャピラリーレオメータ)を使用し、JISK 7210に準じた方法により以下の条件により測定された値である。
    試料形状 :ペレット又は粉末
    試験温度 :室温〜160℃、昇温速度5℃/min
    試験圧力 :定圧25kg/cm
    キャピラリーダイ:長さ20mm及び内径1.0mmの円筒状シリンジ、及び、
    シリンジの内孔と一致する外径を有するピストンを備えたキャピラリーダイ
    流動開始温度 :軟化温度におけるピストンの位置から5mmピストンが移動したときの温度
  2. 前記一次組成物又は前記二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末が、BET比表面積が5m/g以上20m/g以下であるセラミックス粉末である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記一次組成物又は前記二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末が、アルミナ粉末、ジルコニア粉末及びシリカ粉末からなる群の少なくとも1種である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 一次組成物及び二次組成物の少なくともいずれかのセラミックス粉末がジルコニア粉末である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記結合剤が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリポロピレンカーボネートからなる群の1種以上、又は、これらの共重合体である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記一次組成物が脂肪酸アマイドを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記脂肪酸アマイドが、飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド及び芳香族ビスアマイドからなる群の少なくとも1種である請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項の成形体の製造方法で得られた二次成形体を加熱処理して脱脂体を得る工程、及び、該脱脂体を焼結して焼結体を得る工程を有する焼結体の製造方法。
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