JPH06305821A - セラミックス粉末射出成形部材の製造方法 - Google Patents

セラミックス粉末射出成形部材の製造方法

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JPH06305821A
JPH06305821A JP5112258A JP11225893A JPH06305821A JP H06305821 A JPH06305821 A JP H06305821A JP 5112258 A JP5112258 A JP 5112258A JP 11225893 A JP11225893 A JP 11225893A JP H06305821 A JPH06305821 A JP H06305821A
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binder
molded
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JP5112258A
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English (en)
Inventor
Takanobu Hashimoto
孝信 橋本
Kazutaka Kanda
一隆 神田
Koichi Sugasawa
剛一 菅沢
Masaki Toda
雅規 戸田
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Nachi Fujikoshi Corp
Original Assignee
Nachi Fujikoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】肉厚上限を大幅に拡大し、且つ亀裂、割れ、ポ
ア、膨れなどの欠陥をなくし、強度的にも優れた製品を
提供することを可能とする新規なセラミックス粉末射出
成形部材の製造方法に関する。 【構成】平均粒径3μm以上50μm以下のセラミック
ス粗粒粉末にバインダを配合した混合物を射出成形す
る。この成形体内部のバインダを60%以上95%以下
の範囲で脱脂した中子脱脂体11を形成し、該中子脱脂
体11を中子12としてその周囲に平均粒径0.05μ
m以上3μm以下の同一組成のセラミックスの微粒粉末
とバインダとからなる混合物を射出成形して表層材2を
形成し、次いで成形体を脱脂後、中子12と表層材21
とを同時に焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス粉末を出発
原料とするセラミックス射出成形法に関し、さらに詳細
に言えば、例えばセラミックスロール、セラミックス定
盤(計測用基礎品)、肉厚歯車等の、従来のセラミック
ス粉末射出成形方法では製造が困難であった高強度厚肉
部材の製造を可能とした射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からセラミックス粉末(約60体積
%)に各種プラスチックやワックス(約40体積%)を
バインダとして配合した混合物を射出成形し、ついでこ
れを脱脂した後、焼結して例えばセラミックスカッタ
刃、セラミックスフェルール(光ファイバー接続用治
具)、セラミックスターボチャージャロータ等、比較的
薄肉形状、小物物品のセラミックス部材を製造してい
た。さらに、上記のような従来のセラミックス粉末射出
成形法では、セラミックス焼結体の品質(強度、信頼
性)を維持するために、成形品全体には平均粒径が0.
2μmから1μm程度の微細な原料粉末が用いられてい
た。なお、従来から行われている脱脂法には、特開平2
−70005号に開示されているように加熱によりプラ
スチックやワックスを分解させて除去する加熱脱脂方
法、あるいは特開平3−13505号に開示されている
ようにアセトン等の有機溶媒中に成形体を浸漬して溶解
抽出により除去する抽出脱脂方法がある。その他減圧・
加圧による加熱応用脱脂、ガス・液体で臨界状態で抽出
して脱脂する方法、あるいは光によるプラスチック・高
分子の分解を行う方法もある。しかし、これらの方法は
研究中のものであり、上記の加熱脱脂と抽出脱脂が主と
して行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、従来のセ
ラミックス粉末射出成形部材の製造方法にあっては、肉
厚の大きい部材ほど粉末射出成形法に特有の脱脂工程に
おいて、バインダの加熱による熱膨張、溶媒による溶解
膨張などが発生して製品内部に亀裂、割れ、ポア、ある
いは製品表面には膨れなどの欠陥が発生し、バインダの
除去が困難とされていた。従って従来の方法では製造可
能範囲(特に肉厚寸法)に限界が生じていた。
【0004】換言すれば、従来の粉末射出成形法では、
上述のように平均粒径が0.2μmから1μm程度の微
細な原料粉末を用いたので、特に原料粉末の平均粒径が
小さくなればなるほど、さらに各種バインダを40体積
%程度配合した場合にはバインダの除去が困難となり、
「加熱」脱脂工程ではバインダの体積熱膨張が生じた
り、あるいは「抽出」脱脂工程ではバインダの膨張(膨
潤)が起こり、成形体内部には亀裂・割れ・ポアなどが
発生し、成形体表面には膨れなどの欠陥が発生した。こ
のために製造し得る製品の最大形状(特に最大肉厚)に
は限界が生じ、平均粒径が0.2μm程度の粉末粒子を
原料粉末として用いた場合、厚いものでせいぜい約10
mmが上限である。また、、平均粒径が1μm程度の粉
末を用いた場合でもその厚さは上述のように約15mm
程度が上限であった。本発明は、上記従来の粉末射出成
形法によって製造可能な肉厚上限を大幅に拡大し、且つ
亀裂、割れ、ポア、膨れなどの欠陥をなくし、強度的に
も優れた製品を提供することを可能とする新規なセラミ
ックス粉末射出成形部材の製造方法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
の粉末に各種プラスチックやワックスをバインダとして
配合した混合物を射出成形後、脱脂し、ついで焼結して
セラミックス部材を製造する方法における上記課題の解
決のために、平均粒径3μm以上50μm以下のセラミ
ックス粗粒粉末にバインダを配合した混合物を射出成形
し、その成形体内部のバインダを60%以上95%以下
の範囲で脱脂した中子用脱脂体、またはこの中子用脱脂
体を仮焼結して中子として用い、その中子の周囲に平均
粒径0.05μm以上3μm以下の同一組成のセラミッ
クスの微粒粉末とバインダからなる混合物を射出成形し
て表層部を形成し、該成形体を脱脂後、中子と同時に焼
結する粉末射出成形部材の製造方法である。なお、本発
明においては添加する有機バインダの種類によって所望
の加熱温度は一定しないので、バインダの残存率を規定
している。
【0006】
【作用】本発明によれば、平均粒径3μm以上50μm
以下の粗粒のセラミックス粉末にバインダを配合した混
合物を用いて射出成形し、成形体を作成する。次いで6
0%以上95%以下の範囲で脱脂(脱バインダ)して、
これを中子として使用する。成形体内部のバインダ含有
量の60%以上95%以下の範囲で脱脂(脱バインダ)
したものを中子として用いると、残った5%以上40%
以内のバインダにより中子用脱脂体の強度を保持させ、
中子としての取扱いが可能となる。なお、射出成形体に
含まれるバインダの90%以上を脱脂し仮焼結すること
により、より強度が高まり、中子としての取扱いがより
容易になる。
【0007】また、本発明では成形体内部の亀裂、割
れ、ポア、表面の膨れなどの欠陥を誘発すること無く、
強度も十分に高い厚肉の粉末射出成形品を提供するた
め、粗粒粉末とバインダの混合物を射出成形し、脱脂
し、必要により仮焼結したものを製作し、それを中子と
して金型内に配置し、さらに該中子の外側表層部に微粒
粉末とバインダの混合物を射出成形し、脱脂後、同時に
焼結することにより高強度材の製造を可能にした。
【0008】この場合、使用する原料粉末の平均粒径が
大きいほど、原料粉末粒子間隙が増え、それと共に間隙
もつながり合うため、その間隙を通してバインダが移動
することになる。使用する原料粉末の平均粒径が大きい
ほど脱脂(脱バインダ)は容易になり、成形体内部の亀
裂、割れ、ポア、成形体表面の膨れなどの欠陥を誘発す
ること無く肉厚の厚い中子部材の製作が可能になるので
ある。平均粒径が3μmの原料粉末でつくられた成形体
の脱脂可能な最大肉厚限界は10乃至15mmまで拡大
し、平均粒径が25μmでは最大肉厚が約20mm、平
均粒径が50μmではそれが約40mmまで可能である
ことが判った。
【0009】このようにして得られた中子を射出成形機
に装着し、その中子の周囲に平均粒径0.05μm以上
3μm以下のセラミックスの微粒粉末と中子製作に使用
したのと同一組成のバインダからなる混合物を射出成形
することにより最終的に狙った形状の粉末射出成形品を
作成する。微細原料粉末で射出成形された表層部を持つ
成形体は次に脱脂工程に移されるが、表層部に存在する
バインダはこの脱脂工程中、加熱炉中への分解、蒸発、
あるいは有機溶媒中への溶解、拡散が起きる。それと同
時に、中子のバインダは既にバインダ含有量の60%以
上が脱脂(脱バインダ)されているか、もしくは90%
以上を脱脂し、あるいは仮焼結されているため表層部の
バインダは中子への蒸発、拡散も可能で、より均一で無
欠陥な脱脂を行うことができる。
【0010】このようにして製作された粗粒中子と微粒
表層から成る中子用脱脂体構成物には内部あるいは表面
に欠陥がなく、その後、中子と表層部を同時に焼結する
事により10mm以上50mm厚さの肉厚な部材を製造
する事が可能になった。また微粒表層部から成る焼結体
は欠陥を含まず、且つ、緻密な焼結組織構造になるた
め、その強度並びに信頼性は全体を同一微粒粉末で製作
して得られる値と同一、もしくはそれ以上のものとなっ
た。
【0011】このようにして脱脂−焼結された粉末射出
成形品は内部欠陥の無い粗粒中子と微細原料粉末を用い
た表層部を持つ複合成形体となり、射出成形品の内部に
欠陥の無い高強度表面を保持した脱脂焼結製品が得られ
る。これにより、10mm以上50mmまでの厚肉な部
材の製造を可能にし、かつ表層に微細で緻密な焼結層を
存在させることにより高強度な部材の製造を提供するも
のであり、本発明は従来の粉末射出成形法では製造不可
能であった厚肉で高強度な粉末射出成形部材を製造する
ことを可能とした。
【0012】
【実施例】
(実施例1)外径60mm、幅50mmのセラミックス
ロールを製造した。この場合、中子成形用原料粉末とし
て平均粒径40μmのアルミナ粗粒粉末を用い、Al2
3100gに対してバインダとしてポリスチレン5.
4g、ポリブチルメタクリレート6g、アモルファスポ
リマー4.6g、ワックス4.4gを各々配合し、混練
した。このように混練してなる原料(コンパウンド)を
図1に示すような装置により射出成形し、まず中子成形
体1(外径55mm、幅42.5mm)を形成した。
【0013】図1において図示しない原料投入口から同
じく図示しないシリンダに原料を送り込み、さらに射出
成形スプール部6、ランナ7、ゲート部8を経て前記射
出成形スプール部6を介して配置された一位の成形室9
に原料を送り込んで、中子成形体1を成形する。さら
に、可動側金型3に挿通された複数の突き出しピン5に
より中子成形体1は押圧され、可動側金型3が開くと同
時に、中子成形体1を取り出すことが出来る。かかる成
形法は通常の射出成形法と同じであるので、詳細な説明
は省略する。
【0014】次いで、この中子成形体1を加熱して脱脂
する炉(図示せず)に挿入し、バインダの除去を行って
中子用脱脂体11を形成した。通常、大気雰囲気で42
0℃まで加熱すると、添加したバインダの97〜98%
が分解解除されるが、ここでは中子成形体1の体積が大
きく、重量も大きいため形崩れが起こり易くなる。この
中子成形体1の上にさらに射出成形するためには中子と
しての強度を保つ必要がある。そのため、300℃まで
大気中で加熱し、添加した全バインダの約70%を脱脂
(脱バインダ)し、残り30%のバインダで中子として
の強度を保った。このようにして図2に示す中子用脱脂
体11を成形した。
【0015】こうして製造した中子用脱脂体11を、図
3に示すように射出成形機の可動金型3,固定側金型4
間に設けられた成形室9に装着し(図3)、平均粒径
0. 4μmのアルミナ微粒粉末に上記の配合と同一組成
のバインダを混合し、中子用脱脂体中子11の表面に射
出成形して中子用脱脂体中子11の表層部2を外径厚さ
10mm、幅方向10mmで全表面を覆った。その結
果、全体の大きさは外径75mm、幅62.5mmとな
った。
【0016】さらに、このように製造された中子12、
表層材21一体成形物を大気中420℃で約2時間加熱
脱脂し、大気中1620℃で焼結した目的構造物(図
4)を製造した。焼結により成形体は収縮し、その大き
さは外径60mm、幅50mmを得た。このように製造
された大型厚肉セラミックスロールはその内部に欠陥
(ポア、クラック等)がなく、表面にも何ら膨れ等の異
常のない状態で脱脂焼結され、大型の厚肉製品として製
造が可能となった。
【0017】(実施例2)同様の方法で粒度分布45μ
m以下の窒化珪素粉末を用いて成形し、0.2μmの窒
化珪素微粉末を表層部にもつ窒化珪素セラミックスロー
ルを製造することができるようになった。即ち、外径6
0mm、幅50mmのセラミックスろーるを製造するに
当たり、窒化珪素(Si3 4 )100gに対し、ポリ
エチレン3.5g、ポリプロピレン3.5g、ピーナッ
ツ油13gの比率で配合し、混練した。
【0018】このように混練して製造した原料(コンパ
ウンド)を実施例1と同一の図1に示す射出成形機の金
型構造により射出成形し、まず中子成形体1を成形し
た。この成形体をアセトン液中に浸し、添加した全バイ
ンダの内、約66%を溶解(抽出)除去し、図2に示す
中子用脱脂体11を射出成形機の金型3、4の成形室9
の内部に装着し(図3)、その表面に微粒子からなる窒
化珪素コンパウンドを射出成形した。このときの窒化珪
素粉末は平均粒径0.2μmで、バインダは実施例1で
用いたのと同じ組成で配合し、混練したものを用いた。
このようにして製造された中子用脱脂体11と表層部2
の一体成形物を窒化ガス雰囲気中550℃まで加熱し、
約2時間保持し、添加した全バインダの約96%を除去
し、中子用脱脂体を得た。この中子用脱脂体を窒素雰囲
気中1760℃で焼結し、図4に示すように内部、表層
部ともに欠陥のない外径60mm、幅50mmの大型で
厚肉の窒化珪素セラミックスロールを製造した。
【0019】(実施例3)ピッチ円直径70mm、幅3
5mmのジルコニアセラミックス製歯車を製造した。こ
の場合、中子成形用原料粉末として平均粒径45μmの
ジルコニア粗粒粉末を用い、ジルコニア(ZrO2 )1
00gに対しバインダとしてポリスチレン8.1g、ポ
リブチルメタクリレート9g、アモルファスポリマー
6.9g、ワックス6.6gを各々配合し、混練した。
このように混練してなる原料(コンパウンド)を図6に
示すような装置により射出成形し、まず中子成形体1
(外径65mm、幅35mm)を成形した。
【0020】次いで、この中子成形体1を1000℃ま
で加熱できる炉(図示せず)に挿入し、まずバインダの
除去を行い、さらに仮焼結して、図7に示すような中子
仮焼結体11を形成した。即ち、ここでは、大気雰囲気
中で420℃まで毎時6℃の昇温速度でゆっくりと加熱
し、添加したバインダの97〜98%が分解除去し、引
き続き、1120℃まで毎時70℃の昇温速度で加熱
し、仮焼結した。
【0021】ここで製造した中子成形体1は、その体積
が大きく、重量も大きいため形崩れが起こりやすくな
る。この中子成形体1の表層部へさらに射出成形するた
めには中子の強度を保つ必要がある。そのため、中子成
形体1を420℃で脱脂後、引き続き840℃まで加熱
し、仮焼結にすることによりその強度を大幅に増大させ
た。
【0022】こうして製造した中子仮焼結体11を図6
に示すように射出成形機の可動金型3、固定金型4間に
設けられた成形室9に装着した。このような金型構成の
成形室9の周囲に形成される空隙部2へ平均粒径0.5
μmのジルコニア微粒粉末に上記実施例と同一組成のバ
インダで、上記の配合より若干少ない量、即ちバインダ
としてポリスチレン7.7g、ポリブチルメタクリレー
ト8.6g、アモルファスポリマー6.5g、ワックス
6.3gを各々配合し、混合した原料(コンパウンド)
を射出成形した。これにより中子仮焼結体11の表面に
表層部2として外径厚さ12.5mm、幅方向に片側5
mmで全表面を覆って形成した。その結果、全体の大き
さはピッチ円直径81.3mm、幅43.7mmとなっ
た。なお、上記の表層部2の成形においてバインダ量を
中子成形時のバインダ量に比べ若干少なくしたのは、中
子仮焼結体が仮焼結により若干(1〜3%)体積収縮す
るため、表層材のその後の焼結中、焼結収縮量において
バランスを取る必要があるためである。
【0023】さらに、このように製造された中子12、
表層材21一体成形物を大気中420℃で2時間加熱脱
脂し、大気中1500℃で焼結して目的構造物を製造し
た。焼結により成形体は収縮し、その大きさはピッチ円
直径70mm、幅35mmのセラミックス製歯車を得
た。このようにして作成した大型厚肉セラミックス歯車
はその内部に欠陥(ボア、クラック等)がなく、表面に
も何ら膨れ等の異常のない状態で脱脂焼結され、大型の
厚肉製品)として製作が可能となった。
【0024】(実施例4)本発明と従来法によりそれぞ
れ抗折試験片を製造して強度比較を行った。図9に一種
類の原料粉末を用いた従来法による一体成形品11の形
状を示した。図7に本発明に基づき二種類の原料粉末を
用いて製造した抗折試験片を示した。従来法による試験
片には0.4μmmのアルミナ粉末を原料に用い、図9
に示すような形状で成形し、大気中420℃で脱脂し、
1620℃で焼結した。本発明による試験片には中子成
形粉末として平均粒径25μmのアルミナ粉末を用い、
射出成形後成形体に含まれるバインダの約80%を大気
中、320℃に加熱して除去し、中子12として使用し
た。
【0025】その後、表層部の成形原料粉末として、平
均粒径0.4μmのアルミナ粉末を用いて射出成形し、
脱脂、焼結して図7に示すような構成の試験片を作成し
た。なお、ここで使用したバインダは実施例1に示した
組成、配合と同一であり、焼結条件も実施例1と同じで
ある。このようにして、製造された試験片を用い、3点
曲げ抗折試験方法で強度を測定した。その結果を表1に
示した。この試験の結果、本発明によるセラミックス成
形焼結体は、従来法により成形されたものと同等以上の
抗折強度をもつことが確認できた。また、本発明による
セラミックス焼結体表面の粗さを測定し、その結果を表
2に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】(実施例5)本発明と従来法により、窒化
珪素抗折試験片を作成しそれぞれの強度試験を行った。
試験片形状は実施例3と同様に本発明に基づいて作成し
た図8に示す抗折試験片、一種類の原料粉末を用いた従
来法による図9に示すような一体成形品を用いた。従来
法による試験片には0.2μmの窒化珪素粉末を原料粉
末として用い、図8に示すような形状に成形するととも
に、窒素雰囲気中で550℃に加熱して脱脂した。その
後窒素雰囲気中において1720℃で焼結した。
【0029】本発明による試験片には中子成形用粉末と
して平均粒径14μmの窒化珪素粗粒粉末を用いて射出
成形した。その後、窒素雰囲気中で420℃まで加熱
し、成形体に含まれる全バインダの約80%を脱脂除去
して中子を製造した。その後、図1及び図3に示す射出
成形装置により、平均粒径0.2μmの窒化珪素粉末を
用いて射出成形して表層部を成形した。次いで、窒素雰
囲気中において550℃に加熱脱脂してバインダのほぼ
97%を除去し、その後窒素雰囲気中において1720
℃で焼結して図7に示すような構成の試験片を作成し
た。
【0030】このようにして作成された試験片を用い
て、3点曲げ抗折試験方法で強度を測定した。その結果
を表1に示した。なお、ここで使用したバインダの組
成、配合は実施例1に示したものと同一であり、焼結条
件は実施例2と同じである。上記の試験結果においても
本発明によるセラミックス成形焼結体は従来法で成形さ
れたものと同等以上の抗折強度をもつことが確認され
た。また、本実施例で作成された試験片の焼結体表面の
粗さを測定した結果を表2に併せて示した。
【0031】(実施例6)本発明に係る方法と従来法に
より、ジルコニアセラミックス抗折試験片を作成し、強
度比較を行った。試験片の形状は、実施例4と同様に図
8に示すような一種類の原料粉末を用いた従来法による
一体成形品、及び図7に示す本発明に基づいて作成され
た抗折試験片を用いた。
【0032】従来法による試験片として平均粒径が0.
4μmのジルコニア粉末を原料にして図8に示す形状に
成形した。これを大気雰囲気中で430℃に加熱して添
加バインダの約97%を脱脂し、次いで大気雰囲気中に
おいて1490℃で焼結した。本発明による試験片には
中子成形用粉末として平均粒径24μmのジルコニア粗
粒粉末を用い、射出成形後成形体に含まれる全バインダ
の60%を大気中において280℃に加熱して脱脂し
て、中子用脱脂体中子を作成した。その後、表層部の成
形原料粉末として平均粒径0.4μmのジルコニア粉末
を用いて射出成形し、大気中において1490℃で焼結
して図8に示す構成の試験片を作成した。なお、ここで
使用したバインダは実施例3に示したような組成、配合
と同一である。
【0033】このようにして作成された試験片を用い、
3点曲げ抗折試験により強度を測定した。その結果は実
施例3、4と併せて表1に示したとおりである。この試
験結果によれば、本発明によるセラミックス成形焼結体
は、従来法で作成されたものと同等以上の抗折強度をも
つことが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明は、上記の通り粗粒の原料粉末を
用い、射出成形後、脱脂あるいは仮焼結した中子と、そ
の表層に微粒の原料粉末からなる混合物を射出成形、脱
脂、同時焼結することにより従来製造不可能であった大
型、厚肉で内部欠陥の全くない粉末成形品をつくること
ができた。さらに、表層に微粒の原料粉末からなる混合
物を射出成形し、脱脂、同時焼結することにより粗粒粉
末のみで作製したものに比べ、表面粗さが著しく向上
し、同一平均粒径の微粒粉末原料で射出成形したものと
同等になった。且つ欠陥のないこと、表層部が緻密な構
造を取っていることから、その機械的強度は同一平均粒
径の微粉末を原料として射出成形したものと同等かそれ
以上の高い強度を保持するものとなった。また、射出成
形体に含まれるバインダの90%以上を脱脂し仮焼結す
ると、より強度が高まり、中子としての取扱いがより容
易になる。また、表層部のバインダは中子への蒸発、拡
散も可能で、より均一で無欠陥な脱脂を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出成形状態を示す装置の断面図
である。
【図2】本発明により成形された中子用脱脂体の縦断面
図である。
【図3】図2に示す中子用脱脂体の正面図である。
【図4】本発明により中子用脱脂体の表層にセラミック
スを射出成形する状態を示す装置の概略図である。
【図5】本発明により製造された内部、表層部ともに欠
陥のないセラミックスロールの断面図である。
【図6】ジルコニアセラミックス製歯車を製造する際の
中子の射出成形状態を示す装置の断面図である。
【図7】本発明によりジルコニアセラミックス歯車中子
用脱脂体の表層にセラミックスを射出成形状態を示す装
置の概略図である。
【図8】本発明の方法により製作した抗折試験片の斜視
図である。
【図9】従来法によって製作した抗折試験片の斜視図で
ある。
【符号の説明】 1 中子成形体 2 表層材 3 可動側金形 4 固定側金形 5 成形体突き出しピン 6 射出成形スプール部 11 中子用脱脂体 12 中子 21 表層材
フロントページの続き (72)発明者 戸田 雅規 富山県富山市石金20番地 株式会社不二越 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスの粉末に各種プラスチック
    やワックスをバインダとして配合した混合物を射出成形
    し、次いでこれを脱脂し、さらに焼結してセラミックス
    部材を製造する方法において、平均粒径3μm以上50
    μm以下のセラミックス粗粒粉末にバインダを配合した
    混合物を射出成形し、さらに、該成形体内部のバインダ
    を60%以上95%以下の範囲で脱脂して中子用脱脂体
    を形成し、該中子用脱脂体を中子としてその周囲に平均
    粒径0.05μm以上3μm以下で中子と同一組成のセ
    ラミックスの微粒粉末とバインダとからなる混合物を射
    出成形して表層部を形成し、さらに該成形体を脱脂後、
    中子と表層部とを同時に焼結することを特徴とするセラ
    ミックス粉末射出成形部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中子用脱脂体を仮焼結して用いるこ
    とを包含する請求項1記載のセラミックス粉末射出成形
    部材の製造方法。
JP5112258A 1993-04-15 1993-04-15 セラミックス粉末射出成形部材の製造方法 Withdrawn JPH06305821A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018145055A (ja) * 2017-03-07 2018-09-20 東ソー株式会社 成形体の製造方法
JP2019094539A (ja) * 2017-11-24 2019-06-20 三菱重工航空エンジン株式会社 金属部材の製造方法
CN113771185A (zh) * 2021-07-22 2021-12-10 张永会 一种石膏条板生产设备

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