JP6982434B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板を処理する技術に関する。
従来、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板に対して様々な処理が施される。例えば、特許文献1および特許文献2では、基板上にめっき液を供給してめっき処理を施すめっき処理装置が開示されている。
特許文献1のめっき処理装置では、まず、パラジウムを含有する置換めっき処理液が回転中の基板に対して供給され、基板にパラジウムめっきが施される。続いて、基板のリンス処理が行われた後、化学還元めっき処理液が回転中の基板に対して供給され、基板にめっき処理が施される。当該基板処理装置では、基板上に供給されためっき処理液は、基板の回転により基板外縁部から周囲へと飛散し、カップにより受けられて装置外に排出される。
特許文献2のめっき処理装置では、基板にめっき液を供給し続けた状態で基板の回転を停止し、基板に初期成膜を行うインキュベーション工程が行われた後、基板を回転させてめっき膜を成長させるめっき膜成長工程が行われる。
特開2012−92390号公報 特開2013−10996号公報
ところで、特許文献1および特許文献2のめっき処理装置では、パラジウムを含有する置換めっき処理液の付与と、化学還元めっき処理液の付与との間において、回転中の基板に向けてノズルからリンス処理液が吐出されてリンス処理が行われる。当該リンス処理では、ノズルから吐出されたリンス処理液の液柱等が基板上面に衝突することにより、基板上に置換めっきされたパラジウム(すなわち、触媒)が部分的に除去されるおそれがある。パラジウムが基板から除去されると、後続の化学還元めっき処理において、金属の層が基板上に好適に形成されないおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、触媒付与処理後のリンス処理の際に、基板上の触媒が除去されることを抑制することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板が通過可能な上部開口を有するとともに内周面の一部の径が前記基板よりも小さい貫通孔が設けられ、前記貫通孔の前記内周面を前記基板の外縁部に下方から接触させて前記基板を水平状態で保持する保持部と、前記基板の上面上に処理液を供給する処理液供給部とを備え、前記処理液供給部から前記基板に触媒溶液、第1リンス液、めっき液および第2リンス液が順に供給され、前記めっき液が、前記貫通孔の上端よりも下方にて前記保持部に保持された前記基板の前記上面と前記貫通孔の前記内周面とにより囲まれる貯溜空間に貯溜され、前記第1リンス液の供給時に前記第1リンス液により前記基板に付与される物理力が、前記第2リンス液の供給時に前記第2リンス液により前記基板に付与される物理力よりも小さい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記第1リンス液が前記貯溜空間に貯溜される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記第1リンス液が、前記保持部の前記貫通孔の前記内周面に沿って供給される。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の基板処理装置であって、前記貯溜空間に貯溜された前記第1リンス液に向けて、前記処理液供給部から前記第1リンス液が吐出される。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、ミスト状の前記第1リンス液が前記基板の前記上面上に供給される。
請求項6に記載の発明は、基板を処理する基板処理方法であって、a)基板の上面に触媒溶液を供給する工程と、b)前記a)工程よりも後に、前記基板の前記上面に第1リンス液を供給する工程と、c)前記b)工程よりも後に、前記基板の前記上面にめっき液を供給する工程と、d)前記c)工程よりも後に、前記基板の前記上面に第2リンス液を供給する工程とを備え、e)前記b)工程と前記c)工程との間に、前記基板が通過可能な上部開口を有するとともに内周面の一部の径が前記基板よりも小さい貫通孔が設けられた保持部において、前記貫通孔の前記内周面を前記基板の外縁部に下方から接触させて前記基板を水平状態で保持する工程をさらに備え、前記c)工程において、前記めっき液が、前記貫通孔の上端よりも下方にて前記保持部に保持された前記基板の前記上面と前記貫通孔の前記内周面とにより囲まれる貯溜空間に貯溜され、前記b)工程において前記第1リンス液により前記基板に付与される物理力が、前記d)工程において前記第2リンス液により前記基板に付与される物理力よりも小さい。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理方法であって、前記a)工程と前記b)工程との間に、前記保持部により前記基板を水平状態で保持する工程をさらに備え、前記b)工程において、前記第1リンス液が前記貯溜空間に貯溜される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の基板処理方法であって、前記b)工程において、前記第1リンス液が、前記保持部の前記貫通孔の前記内周面に沿って供給される。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の基板処理方法であって、前記b)工程において、前記貯溜空間に貯溜された前記第1リンス液に向けて、前記第1リンス液が吐出される。
請求項10に記載の発明は、請求項6ないし9のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、前記b)工程において、ミスト状の前記第1リンス液が前記基板の前記上面上に供給される。
本発明では、触媒付与処理後のリンス処理の際に、基板上の触媒が除去されることを抑制することができる。
第1の実施の形態に係る基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板の処理の流れを示す図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 めっき液ユニットの構造を示す図である。 トラップ部の縦断面図である。 他のトラップ部の縦断面図である。 他の基板処理装置の縦断面図である。 他の基板処理装置の縦断面図である。 第2の実施の形態に係る基板処理装置の縦断面図である。 基板の処理の流れを示す図である。 基板の処理の流れを示す図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 基板処理装置の縦断面図である。 他の基板処理装置の縦断面図である。 他の基板処理装置の縦断面図である。 他の基板処理装置の縦断面図である。
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す縦断面図である。基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1では、例えば、基板9に対してめっき液が供給され、基板9に対する無電解めっき処理が行われる。
基板処理装置1は、ハウジング11と、第1保持部2と、第2保持部31と、保持部移動機構32と、回転機構33と、処理液供給部4と、上受液部5と、下受液部6と、洗浄部71と、加熱部72(後述する図4参照)と、ガス噴射部73とを備える。第1保持部2、第2保持部31、処理液供給部4、上受液部5および下受液部6等は、ハウジング11の内部に収容される。第1保持部2、保持部移動機構32、回転機構33、上受液部5および下受液部6は、ハウジング11に対して固定される。第2保持部31は、ハウジング11に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。ハウジング11内の空間は、例えば密閉空間であり、当該密閉空間では、ハウジング11の天蓋部から下方へと向かう気流(いわゆる、ダウンフロー)が形成されている。
第1保持部2は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円筒状の部位である。第1保持部2には、上下方向に貫通する貫通孔21が設けられる。貫通孔21の上下方向に垂直な断面は、上下方向の各位置において、中心軸J1を中心とする略円形である。貫通孔21は、上部開口22と、下部開口23とを有する。上部開口22は、貫通孔21の上端に位置する。下部開口23は、貫通孔21の下端に位置する。上部開口22および下部開口23は、中心軸J1に垂直な略円形である。
上部開口22の直径(以下、単に「径」と呼ぶ。)は、基板9の径よりも大きい。したがって、基板9は、貫通孔21の上部開口22を通過可能である。貫通孔21の内周面24の上下方向における一部の径は、基板9の径よりも小さい。図1に示す例では、貫通孔21の内周面24の径(すなわち、貫通孔21の径)は、上部開口22から離れるに従って漸次減少し、上部開口22と下部開口23との間における上下方向の所定位置にて、基板9の径よりも小さくなる。当該所定位置よりも上側においては、貫通孔21の径は基板9の径よりも大きく、当該所定位置よりも下側においては、貫通孔21の径は基板9の径よりも小さい。また、下部開口23の近傍では、貫通孔21の径は、上下方向において略一定であり、基板9の径よりも小さい。図1に示すように、第1保持部2は、貫通孔21の内周面24を、基板9の外縁部に下方から接触させて、基板9を略水平状態で保持する。基板9の外縁部は、略全周に亘って第1保持部2の内周面24に接触する。
第2保持部31は、第1保持部2の貫通孔21の下方、かつ、基板9の下方に位置する。第2保持部31は、チャック部311と、支持部312とを備える。チャック部311は、中心軸J1を中心とする略円板状の部位である。チャック部311の径は、第1保持部2の貫通孔21の最小径(図1に示す例では、下部開口23の径)、および、基板9の径よりも小さい。チャック部311には、基板9の下面を吸着保持可能なバキュームチャック機構(図示省略)が設けられている。支持部312は、チャック部311の下面中央部に接続され、チャック部311を下方から支持する略円柱状の部位である。
保持部移動機構32は、第2保持部31を上下方向に移動する機構である。保持部移動機構32は、例えば、第2保持部31の下方に配置される。第2保持部31は、保持部移動機構32により図1に示す退避位置から上方に移動されることにより、第1保持部2により水平状態にて保持されている基板9の下面92に接触し、基板9を下側から吸着保持する。そして、保持部移動機構32により第2保持部31が貫通孔21を介してさらに上方へと移動されることにより、図2に示すように、基板9が第1保持部2から第2保持部31へと受け渡され、第2保持部31と共に第1保持部2よりも上方へと移動する。
回転機構33は、第2保持部31を中心軸J1を中心として回転する機構である。回転機構33は、例えば、第2保持部31の下方に配置される。回転機構33は、図2に示すように、基板9が第1保持部2から上方に離間した状態で、第2保持部31および基板9を回転する。具体的には、回転機構33は、第1保持部2の貫通孔21の上端よりも上方において第2保持部31を回転する。
処理液供給部4は、基板9の上面91上に処理液を供給する。図1および図2に示す例では、処理液供給部4は、基板9の中央部の上方に配置されるノズル41を備える。ノズル41は、図示省略の処理液供給源に接続されており、ノズル41から基板9の上面91に向けて処理液が吐出される。基板処理装置1では、ノズル41から基板9に向けて複数種類の処理液が順次供給される。ノズル41は、複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数のノズル要素を含む。あるいは、ノズル41の下端部に、複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数の吐出口が設けられてもよい。
上受液部5は、第2保持部31および基板9よりも、中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」と呼ぶ。)の外側に配置され、第2保持部31および基板9の周囲を全周に亘って囲む。上受液部5は、第1保持部2よりも上側において第2保持部31に保持された基板9と径方向に対向する。上受液部5は、第2保持部31と共に回転する基板9から周囲に飛散する処理液を受ける。
上受液部5は、第1上受液部51と、第2上受液部52と、外排液部53とを備える。第1上受液部51は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部位である。第1上受液部51は、第1保持部2に連続して第1保持部2の上端部から上方に突出する。第1上受液部51の内周面511は、例えば、中心軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」と呼ぶ。)の略全周に亘って、径方向外方に向かって凸状に湾曲する曲面である。第1上受液部51の内周面511の下端は、第1保持部2の内周面24の上端に連続する。
第2上受液部52は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。第2上受液部52は、第1上受液部51よりも径方向外側に配置され、基板9および第1上受液部51の周囲を全周に亘って囲む。第2上受液部52の上端部は、第1上受液部51の上端部よりも上方に延びる。第2上受液部52は、中心軸J1を中心とする略円筒状の側壁部と、当該側壁部の上端部から径方向内方へと延びる天蓋部とを備える。当該天蓋部は、径方向内方に向かうに従って上方へと向かう傾斜部であってもよい。第2上受液部52により受けられた処理液は、外排液部53を介してハウジング11の外部へと排出される。
下受液部6は、図1に示すように、第1保持部2よりも径方向内側、かつ、第2保持部31よりも径方向外側に配置され、第2保持部31の周囲を全周に亘って囲む。下受液部6は、第1保持部2の貫通孔21の下方、かつ、第1保持部2に保持された基板9の下方に配置される。下受液部6は、下受液ブロック61と、下排液部62とを備える。下受液ブロック61は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部位である。下受液ブロック61は、第1保持部2に保持された基板9よりも下側に位置し、基板9の下面92と上下方向に対向する。下受液ブロック61の上端は、基板9の下面92から下方に離間している。
下受液ブロック61の外周面63は、下受液ブロック61の上端から下方に向かうに従って径方向外方へと向かう傾斜面である。下受液ブロック61の外周面63は、第1保持部2の内周面24と接触することなく、当該内周面24と径方向に対向する。第1保持部2の内周面24の下端は、下受液ブロック61の外周面63の上端と下端との間に位置する。第1保持部2と下受液ブロック61との間の間隙から下方に流れる処理液は、下排液部62を介してハウジング11の外部へと排出される。
ガス噴射部73は、第1保持部2に保持された基板9の外縁部に向けて、下方からガスを噴射する。図1に示す例では、ガス噴射部73は、下受液ブロック61に設けられ、下受液ブロック61の外周面63から基板9の外縁部の略全周に亘ってガスを噴射する。ガス噴射部73は、必ずしも下受液ブロック61に設けられる必要はなく、例えば、第1保持部2の内周面24のうち基板9の外縁部と接触する部位よりも下方に設けられ、基板9の外縁部に向けて下方からガスを噴射してもよい。ガス噴射部73から噴射されるガスは、例えば、窒素(N)ガス等の不活性ガスである。ガス噴射部73からのガスは、不活性ガスには限定されず、様々に変更されてよい。
後述する図4に示す加熱部72は、第1保持部2に保持された基板9を加熱する。加熱部72は、例えば、第1保持部2および第2保持部31の上方に配置される電熱ヒータである。加熱部72は、基板9の加熱に利用されない状態では、例えば、第1保持部2および第2保持部31の上方から側方に退避する。したがって、図1および図2等では、加熱部72の図示を省略している。加熱部72の構造および配置は様々に変更されてよい。例えば、加熱部72は、基板9に光を照射して加熱する光照射部であってもよい。
図1および図2に示す洗浄部71は、下受液部6に洗浄液を供給して下受液部6を洗浄する。図1に示す例では、洗浄部71は、第1保持部2のうち、下受液ブロック61の外周面63と径方向に対向する部位に設けられる。洗浄部71は、下受液ブロック61の外周面63に向かって洗浄液を吐出する。洗浄部71から吐出された洗浄液は、下受液ブロック61の外周面63の略全周に亘って供給される。洗浄部71は、必ずしも第1保持部2に設けられる必要はなく、他の場所に配置されてもよい。
次に、図3を参照しつつ、基板処理装置1による基板9の処理の流れの一例について説明する。図4ないし図6は、基板9の処理中の基板処理装置1を示す縦断面図である。基板処理装置1により基板9が処理される際には、まず、図2に示すように、第2保持部31により基板9が水平状態で保持される(ステップS11)。第2保持部31に保持された基板9は、第1保持部2および第1上受液部51よりも上側に位置し、第2上受液部52と径方向に対向する。
続いて、回転機構33による第2保持部31および基板9の回転が開始される(ステップS12)。そして、回転中の基板9の上面91に対して、処理液供給部4から触媒溶液が供給される(ステップS13)。触媒溶液は、後述する無電解めっきに利用される触媒(例えば、パラジウム(Pd)等の重金属のイオン)を含む溶液である。ステップS13では、例えば、ノズル41から基板9の中央部に向けて液柱状の触媒溶液が吐出される。
基板9の中央部に供給された触媒溶液は、遠心力により基板9の中央部から外縁部に向かって移動し、基板9の上面91の全面に亘って塗布される。基板9の外縁部に到達した触媒溶液は、遠心力により周囲へと飛散し、上受液部5の第2上受液部52により受けられる。第2上受液部52により受けられた触媒溶液は、外排液部53を介してハウジング11の外部へと排出される。排出された触媒溶液は、例えば、回収されて再利用されてもよく、廃棄されてもよい。基板9に対する触媒溶液の供給(すなわち、触媒付与処理)が所定時間行われることにより、基板9の上面91に触媒(例えば、パラジウム)が吸着する。
触媒溶液の供給が停止されて触媒付与処理が終了すると、回転中の基板9の上面91に対して、処理液供給部4から第1リンス液が供給される(ステップS14)。第1リンス液は、例えば純水である。ステップS14では、例えば、ノズル41からミスト状(すなわち、広範囲に広がって比較的低速で下方に移動する多数の微小液滴状)の第1リンス液が吐出され、基板9の上面91上に供給される。基板9の上面91上に供給された第1リンス液は、遠心力により径方向外方へと拡がり、これにより、基板9上から触媒溶液が除去される。基板9から周囲へと飛散する第1リンス液は、上受液部5の第2上受液部52により受けられ、外排液部53を介してハウジング11の外部へと排出される。第2上受液部52により受けられた第1リンス液は、好ましくは、ステップS13における触媒溶液の排出経路とは異なる経路を介して廃棄される。これにより、触媒溶液の回収効率を向上することができる。
基板9に対する第1リンス液の供給(すなわち、第1リンス処理)が所定時間行われると、第1リンス液の供給が停止される。また、回転機構33による基板9および第2保持部31の回転も停止される(ステップS15)。
次に、保持部移動機構32により第2保持部31が下方へと移動され、基板9の外縁部が第1保持部2の内周面24に接触する。第2保持部31はさらに下方へと移動し、図1に示すように、基板9の下面92から下方に離間する。これにより、基板9は、第2保持部31から第1保持部2へと受け渡され、貫通孔21の上端よりも下方にて第1保持部2により水平状態で保持される(ステップS16)。
基板9が第1保持部2により保持されると、ガス噴射部73から、第1保持部2に保持された基板9の外縁部に向けて、ガスの噴射が開始される。そして、基板9の上面91に対して、処理液供給部4からめっき液が供給される(ステップS17)。めっき液は、基板9の上面91にめっきされる重金属(例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、コバルトタングステンボロン(CoWB)、金(Au)または銀(Ag))のイオン、および、還元剤等を含む。ステップS17では、例えば、ノズル41から基板9の中央部に向けて液柱状のめっき液が吐出される。基板9の中央部に供給されためっき液は径方向外方へと拡がり、基板9の上面91が全面に亘ってめっき液により被覆される。めっき液に被覆された基板9の上面91では、めっき液に含まれる上記金属の初期核が析出する。
処理液供給部4から供給されためっき液は、図4に示すように、第1保持部2に保持された基板9の上面91と、貫通孔21の内周面24とにより囲まれる空間20(以下、「貯溜空間20」と呼ぶ。)に貯溜される。貯溜空間20は、換言すれば、貫通孔21のうち基板9の上面91よりも上側の空間である。基板処理装置1では、上述のように、第1保持部2に保持された基板9の外縁部に向けて下方からガスが噴射されているため、仮に、基板9の外縁部と貫通孔21の内周面24との間に周方向の一部において隙間が存在する場合であっても、当該隙間からめっき液が下方へと漏出することが防止または抑制される。
貯溜空間20において、めっき液が所定の深さまで貯溜されると、ノズル41からのめっき液の供給が一旦停止される。貯溜空間20に貯溜されためっき液は、貫通孔21の内周面24に接触している。貯溜空間20に貯溜されためっき液の深さ(すなわち、めっき液の液面と基板9の上面91との間の上下方向の距離)は、基板9の全面に亘って略均一である。貯溜空間20内のめっき液の深さは、外縁部が他の部材に接していない状態の基板9において、表面張力により基板9の上面91上に保持可能なめっき液の液膜(以下、「表面張力による液膜」と呼ぶ。)の厚さよりも大きい。詳細には、貯溜空間20内のめっき液の深さは、基板9の外縁部における表面張力による液膜の厚さよりも大きく、また、基板9の中央部における表面張力による液膜の厚さよりも大きい。
貯溜空間20に貯溜されためっき液により基板9の上面91が所定時間被覆されることにより、めっき液に含まれる金属が、基板9の上面91上に(詳細には、上面91上に形成されている触媒層上に)析出し、当該金属の層が基板9上に形成される。基板処理装置1では、貯溜空間20に貯溜されためっき液により基板9の上面91が被覆されている間、加熱部72により基板9が加熱される。これにより、基板9の上面91上への上記金属の析出が促進される。
続いて、保持部移動機構32により第2保持部31が上方へと移動され、基板9の下面92を吸着保持する。また、ガス噴射部73によるガスの噴射は停止される。そして、第2保持部31はさらに上方へと移動し、図5に示すように、基板9が第1保持部2から上方に離間する。これにより、基板9は、第1保持部2から第2保持部31へと受け渡され、第2保持部31により水平状態で保持される(ステップS18)。貯溜空間20に貯溜されていためっき液は、基板9の外縁部と第1保持部2の内周面24との間の間隙から下方へと流れ、下受液部6の下受液ブロック61により受けられる。下受液部6により受けられためっき液は、下受液ブロック61の外周面63を伝わって下方へと流れ、下排液部62を介してハウジング11の外部へと排出される。
そして、図6に示すように、基板9が第1上受液部51と上下方向の同じ位置に配置されると、回転機構33により、基板9および第2保持部31の回転が開始される(ステップS19)。ステップS19における基板9の回転速度は、例えば、300rpm〜1000rpmである。続いて、ノズル41から基板9の上面91の中央部に向けて、液柱状のめっき液の吐出が開始される。基板9の中央部に供給されるめっき液は、遠心力により基板9の上面91上にて径方向外方へと拡がり、基板9の上面91の全面に供給される。これにより、基板9の上面91に対する無電解めっき処理(以下、単に「めっき処理」と呼ぶ。)が進行する(ステップS20)。
基板処理装置1では、ステップS18,S19の間、処理液供給部4から基板9上へのめっき液の供給が継続されてもよい。また、ステップS20において基板9のめっき処理が行われている間、ステップS17におけるめっき処理中と同様に、加熱部72(図4参照)により基板9が加熱され、めっき処理が促進されてもよい。
回転中の基板9の外縁部に到達しためっき液は、遠心力により周囲へと飛散し、基板9と径方向に対向する第1上受液部51により受けられる。第1上受液部51により受けられためっき液は、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2の内周面24を伝わって下方へと流れ、下受液部6の下受液ブロック61により受けられる。下受液部6により受けられためっき液は、下排液部62を介してハウジング11の外部へと排出される。排出されためっき液は、例えば、回収されて再利用されてもよく、廃棄されてもよい。基板9に対するめっき液の供給(すなわち、めっき処理)が所定時間行われることにより、基板9の上面91に金属がめっきされる。
図1に例示する基板処理装置1では、ハウジング11の外部へと排出されためっき液は、回収されて基板9の処理に再利用される。図7は、基板処理装置1に接続されるめっき液ユニット8の構造を示す図である。めっき液ユニット8は、基板処理装置1のハウジング11から排出されためっき液を回収するとともに、基板処理装置1のノズル41にめっき液を供給する。めっき液ユニット8は、上述の処理液供給源の一部である。めっき液ユニット8は、基板処理装置1の一部であってもよい。
めっき液ユニット8は、めっき液タンク81と、供給流路82と、回収流路83と、循環流路84とを備える。めっき液タンク81は、めっき液を貯溜する貯溜槽である。供給流路82は、めっき液タンク81と、基板処理装置1のノズル41とを接続する。めっき液タンク81内のめっき液は、供給流路82を介してノズル41へと供給され、ノズル41から基板9の上面91に向けて吐出される。めっき液タンク81内のめっき液が所定量よりも減少すると、図示省略のめっき液供給源からめっき液タンク81へとめっき液が補充される。
供給流路82の途中から分岐する循環流路84は、めっき液タンク81に接続されている。ノズル41からのめっき液の吐出が停止されている間、めっき液タンク81から供給流路82へと送出されためっき液は、循環流路84を介してめっき液タンク81へと戻される。循環流路84を用いてめっき液を循環させることにより、めっき液タンク81に貯溜されているめっき液の成分や温度の均一性を向上することができる。
回収流路83は、めっき液タンク81と、基板処理装置1の下排液部62とを接続する。詳細には、回収流路83は、基板処理装置1のトラップ部45を介して下排液部62に接続される。下排液部62からハウジング11の外部へと排出されためっき液は、トラップ部45および回収流路83を介してめっき液タンク81へと導かれ、めっき液タンク81に回収される。回収されためっき液は、供給流路82を介してノズル41へと再供給される。
図8は、トラップ部45の構造を示す縦断面図である。トラップ部45は、トラップタンク451と、仕切壁452とを備える。トラップタンク451は、上下方向に延びる略筒状の密閉容器であり、めっき液により満たされている。仕切壁452は、トラップタンク451の内部に設けられる。仕切壁452は、トラップタンク451の上端から下方へと延びる。仕切壁452の下端は、トラップタンク451の下端から上方に離間している。
仕切壁452は、トラップタンク451の内部空間の上端から下部までを2つの空間に分割する。以下の説明では、図8中において仕切壁452の左側にて上下方向に延びる空間を、「第1流路454」と呼ぶ。また、図8中において仕切壁452の右側にて上下方向に延びる空間を、「第2流路455」と呼ぶ。第1流路454の上端には、下排液部62が接続される。第1流路454の下部は、仕切壁452の下方にて第2流路455の下部と連続する。第1流路454の下部は、下方に向かうに従って第2流路455へと近づく傾斜流路である。第2流路455の上端には、めっき液ユニット8の回収流路83が接続される。
トラップタンク451の下端部には、上下方向に延びる略筒状の下凹部453が設けられる。下凹部453は、第1流路454および第2流路455よりも下側に位置する。下凹部453は、トラップタンク451において、第1流路454の下部と第2流路455の下部とが連続する部位から、下方に向かって突出する。図8に示す例では、下凹部453は、第2流路455の鉛直下方に位置する。下凹部453は、第1流路454の下部、および、第2流路455の下部に接続されている。下凹部453と第1流路454の下部の傾斜流路との間の境界部は、当該傾斜流路から鉛直下方へと屈曲する段差部となっている。
基板処理装置1では、下排液部62を介してハウジング11(図7参照)の外部へと排出されためっき液は、トラップタンク451の第1流路454の上端から流入する。当該めっき液は、第1流路454内を下方へと流れ、仕切壁452の下方かつ下凹部453の上方にて反転し、第2流路455内を上方へと流れる。そして、第2流路455の上端に到達しためっき液は、回収流路83によりめっき液タンク81(図7参照)へと導かれ、めっき液タンク81に貯溜される。図8では、トラップタンク451内のめっき液の流れを細い矢印にて示す(図9においても同様)。
基板処理装置1では、基板9のめっき処理中に、基板9上から触媒(例えば、パラジウム)の一部が剥離して下受液部6へと流入する可能性がある。仮に、当該触媒が回収流路83に流入すると、回収流路83やめっき液タンク81内において無電解めっき反応が生じ、めっき液中の金属が析出して流路の詰まり等が発生する可能性がある。
基板処理装置1では、上述のように、下排液部62と回収流路83との間にトラップ部45を設けることにより、基板9上から剥離したパラジウム等の触媒、および、無電解めっき反応により生じた金属が、回収流路83に進入することを防止または抑制することができる。具体的には、めっき液と共にトラップタンク451に流入した上記触媒または上記金属(以下、まとめて「進入重金属」と呼ぶ。)は、めっき液よりも比重が大きいため、第1流路454の下部にてめっき液の流れから外れ、めっき液の流路の下方に設けられた下凹部453内へと沈降する。下凹部453内の進入重金属は、上述の段差部等により第1流路454および第2流路455へと戻ることが防止される。したがって、進入重金属が第2流路455内を上昇して回収流路83に進入することを防止または抑制することができる。
下凹部453に溜まった進入重金属は、基板処理装置1のメンテナンスの際等に、トラップタンク451へと酸洗浄液(例えば、王水または硝酸)を供給することにより、トラップタンク451内から除去される。なお、トラップタンク451には、酸洗浄の際に発生する水素を除去するための排気部が設けられる。
図9は、他の好ましいトラップ部45aの構造を示す縦断面図である。トラップ部45aは、図8に示すトラップタンク451とは形状が異なるトラップタンク451aを備える。トラップタンク451aでは、第2流路455の下部が、下方に向かうに従って第1流路454へと近づく傾斜流路である。第1流路454は上下方向に延び、第1流路454の鉛直下方に下凹部453が設けられる。トラップ部45に代えてトラップ部45aが設けられる場合も、上記と同様に、下排液部62から第1流路454へと流入しためっき液中の進入重金属が、下凹部453内へと沈降する。このため、進入重金属が第2流路455内を上昇して回収流路83に進入することを防止または抑制することができる。
図6に示す基板処理装置1では、基板9に対するめっき液の供給が停止されてめっき処理が終了すると、回転中の基板9の上面91に対して、処理液供給部4から第2リンス液が供給される(ステップS21)。第2リンス液は、例えば純水である。ステップS21では、例えば、ノズル41から液柱状の第2リンス液が基板9の中央部に向けて吐出される。この場合、ステップS14における第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力は、ステップS21における第2リンス液の供給時に第2リンス液により基板9に付与される物理力よりも小さい。第1リンス液により基板9に付与される物理力とは、第1リンス液と基板9とが接触する際に、第1リンス液から基板9に付与される物理的な力(すなわち、機械的な力)であり、例えば、第1リンス液の衝突により基板9に付与される衝撃力である。第2リンス液により基板9に付与される物理力についても同様である。
基板9の上面91上に供給された第2リンス液は、遠心力により径方向外方へと拡がり、これにより、基板9上からめっき液が除去される。基板9から周囲へと飛散する第2リンス液は、第1上受液部51により受けられ、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2の内周面24を介して下受液部6の下受液ブロック61により受けられる。下受液部6により受けられた第2リンス液は、下排液部62を介してハウジング11の外部へと排出される。下受液部6により受けられた第2リンス液は、好ましくは、ステップS20におけるめっき液の排出経路とは異なる経路を介して廃棄される。これにより、めっき液の回収効率を向上することができる。基板9に対する第2リンス液の供給(すなわち、第2リンス処理)が所定時間行われると、第2リンス液の供給が停止される。
その後、回転機構33による基板9の回転速度が増大する。これにより、基板9上の第2リンス液が径方向外方へと移動して基板9の外縁部から径方向外方へと飛散する。基板9の回転が所定時間継続されることにより、基板9上から第2リンス液等の液体を除去する乾燥処理が行われる(ステップS22)。基板9の乾燥処理が終了すると、回転機構33による基板9および第2保持部31の回転が停止され、基板9に対する処理が終了する(ステップS23)。基板処理装置1では、複数の基板9に対して、上述のステップS11〜S23が順次行われ、複数の基板9が順次処理される。
基板処理装置1では、例えば、所定枚数の基板9の処理が終了すると、装置の洗浄処理が行われる。当該洗浄処理では、例えば、洗浄部71から下受液ブロック61の外周面63に向けて洗浄液が吐出され、下受液部6の洗浄が行われる。これにより、下受液部6に付着しているめっき液および第2リンス液等の処理液が除去される。また、基板9のめっき処理中に、基板9上から触媒の一部が剥離して下受液部6へと流入した場合であっても、当該触媒も上記洗浄処理により下受液部6から除去される。
以上に説明したように、基板処理装置1は、第1保持部2と、処理液供給部4とを備える。第1保持部2には、貫通孔21が設けられる。貫通孔21は、基板9が通過可能な上部開口22を有する。貫通孔21の内周面24の一部の径は、基板9よりも小さい。第1保持部2は、貫通孔21の内周面24を基板9の外縁部に下方から接触させて基板9を水平状態で保持する保持部である。処理液供給部4は、基板9の上面91上に処理液を供給する。
基板処理装置1では、処理液供給部4から基板9に触媒溶液、第1リンス液、めっき液および第2リンス液が順に供給される。換言すれば、基板9の処理は、基板9の上面91に触媒溶液を供給する工程(ステップS13)と、ステップS13よりも後に基板9の上面91に第1リンス液を供給する工程(ステップS14)と、ステップS14よりも後に基板9の上面91にめっき液を供給する工程(ステップS17,S20)と、ステップS17,S20よりも後に基板9の上面91に第2リンス液を供給する工程(ステップS21)とを備える。
ステップS17では、めっき液は、貫通孔21の上端よりも下方にて第1保持部2に保持された基板9の上面91と、貫通孔21の内周面24とにより囲まれる貯溜空間20に貯溜される。これにより、基板9にめっき液を供給してめっき処理が行われる際に、基板9の上面91上においてめっき液が移動することを抑制することができる。その結果、めっき液による基板9の上面91の処理(すなわち、めっき処理)を安定して行うことができる。
また、基板処理装置1では、ステップS14における第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力が、ステップS21における第2リンス液の供給時に第2リンス液により基板9に付与される物理力よりも小さい。これにより、触媒付与処理後の第1リンス処理の際に、基板9の上面91上に吸着した触媒が、第1リンス液により除去されることを防止または抑制することができる。その結果、第1リンス処理後のめっき処理の際に、基板9の上面91上に金属を安定して析出させることができる。換言すれば、基板9の上面91に対するめっき処理を好適に行うことができる。
上述のように、ステップS14の第1リンス処理では、ミスト状の第1リンス液が基板9の上面91上に供給される。これにより、第1リンス処理の際に第1リンス液により基板9に付与される物理力を、容易に低減することができる。
図10は、他の好ましい基板処理装置1aを示す縦断面図である。基板処理装置1aでは、図1に示す第1保持部2に代えて、第1保持部2とは構造が異なる第1保持部2aが設けられる。また、図1に示すガス噴射部73は省略される。第1保持部2aでは、貫通孔21の内周面24に段差部25が設けられる。段差部25の上面26は、上下方向に略垂直な略円環状の面である。段差部25の上面26の外径は、基板9の径よりも大きい。段差部25の上面26の内径は、基板9の径よりも小さい。第1保持部2aにより基板9が保持される際には、基板9の下面92の外縁部が、段差部25の上面26に接触する。第1保持部2aには、段差部25の上面26に接触している基板9の外縁部と対向する吸引部74が設けられる。吸引部74は、周方向の略全周に亘って設けられ、基板9の上記外縁部を吸引する。吸引部74は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。
このように、基板処理装置1aでは、第1保持部2aが、貫通孔21の内周面24に接触する基板9の外縁部を吸引する吸引部74を備える。これにより、貯溜空間20に貯溜された処理液(上述の例では、めっき液)が、基板9の外縁部と貫通孔21の内周面24との間から下方へと漏出することを防止または抑制することができる。吸引部74は、好ましくは、基板9の上記外縁部を略全周に亘って吸着する。これにより、貯溜空間20に貯溜された処理液が、基板9の外縁部と貫通孔21の内周面24との間から下方へと漏出することを、より一層防止または抑制することができる。なお、吸引部74により基板9の外縁部が実質的に吸着されない場合であっても、吸引部74による吸引により、基板9の外縁部と貫通孔21の内周面24との間の隙間を小さくすることができるため、処理液の上記漏出を防止又は抑制することができる。
図11は、他の好ましい基板処理装置1bを示す縦断面図である。基板処理装置1bでは、上受液部5bが、図1に示す第1上受液部51に代えて、第1保持部2の径方向外側、かつ、第2上受液部52の径方向内側に配置される第1上受液部51bを備える。第1上受液部51bは、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。第1上受液部51bは、第1保持部2から径方向外方に離間し、第2上受液部52から径方向内方に離間する。
第1上受液部51bの上端部は、第1保持部2の上端部よりも上方に位置する。第1上受液部51bは、中心軸J1を中心とする略円筒状の側壁部と、当該側壁部の上端部から径方向内方へと延びる天蓋部とを備える。当該天蓋部は、径方向内方に向かうに従って上方へと向かう傾斜部であってもよい。第1上受液部51bの内周面511bは、例えば、中心軸J1を中心とする略円筒状である。第2上受液部52の上端部は、第1上受液部51bの上端部よりも上方に位置する。図11に示す例では、第1上受液部51bおよび第2上受液部52は、ハウジング11に固定されており、上下方向には移動しない。
基板処理装置1bでは、例えば、上述のステップS20(図3参照)において、基板9は、第1上受液部51bと径方向に対向する位置にて回転する。回転中の基板9に供給されためっき液は、第1上受液部51bにより受けられ、内排液部54を介してハウジング11の外部へと排出される。内排液部54を介して排出されためっき液は、例えば、下排液部62を介して排出されためっき液と合流して回収または廃棄される。基板処理装置1bでは、ステップS21において回転中の基板9に供給された第2リンス液も、第1上受液部51bにて受けられる。
基板処理装置1bでは、基板9と第1上受液部51bとの間の径方向の距離が、図2に示す基板9と第1上受液部51との間の径方向の距離よりも大きいため、基板9から飛散した処理液(すなわち、めっき液または第2リンス液)が第1上受液部51bから跳ね返って基板9に付着する可能性を低減することができる。したがって、ステップS20,S21において、基板9の回転速度を増大させ、基板9の処理効率を向上することができる。
基板処理装置1bでは、図11中に二点鎖線にて示すように、第1上受液部51bおよび第2上受液部52をそれぞれ独立して上下方向に移動する上受液部移動機構55が設けられてもよい。ステップS13,S14において、回転中の基板9から飛散する触媒溶液および第1リンス液を第2上受液部52により受ける際には、第1上受液部51bが下降し、第1上受液部51bの天蓋部が第1保持部2の上端部に接触する。これにより、触媒溶液および第1リンス液が第1上受液部51b内に進入することが防止または抑制される。また、ステップS20,S21において、回転中の基板9から飛散するめっき液および第2リンス液を第1上受液部51bにより受ける際には、第2上受液部52が下降し、第2上受液部52の天蓋部が第1上受液部51bの天蓋部の上面に接触する。これにより、めっき液および第2リンス液が第2上受液部52内に進入することが防止または抑制される。
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる基板処理装置1cについて説明する。図12に示す基板処理装置1cでは、図1に示す下受液部6に代えて、下受液部6とは構造が異なる下受液部6cが設けられる。また、上受液部5から第2上受液部52が省略される。さらに、基板処理装置1cでは、図10に示す基板処理装置1aと同様に、ガス噴射部73が省略され、第1保持部2cに吸引部74が設けられる。吸引部74は、基板9の下面92の外縁部を吸引し、好ましくは吸着する。第1保持部2cの貫通孔21の内周面24には、処理液を吐出する吐出口42が設けられる。第1保持部2cの下面には、下受液部6cに洗浄液を供給して下受液部6cを洗浄する洗浄部71cが設けられる。吸引部74、洗浄部71cおよび吐出口42は、周方向の略全周に亘って設けられる。吸引部74、洗浄部71cおよび吐出口42は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環状である。基板処理装置1cの他の構造は、図1に示す基板処理装置1と略同様である。以下の説明では、基板処理装置1の各構成に対応する基板処理装置1cの構成に同符号を付す。
基板処理装置1cの下受液部6cは、第1下受液部64と、第2下受液部65と、下受液部移動機構66とを備える。第1下受液部64および第2下受液部65は、第1保持部2cの貫通孔21よりも下側に配置される。第1下受液部64および第2下受液部65はそれぞれ、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。第2下受液部65は、第1下受液部64よりも径方向内側に配置される。第1下受液部64の内周面と第2下受液部65の外周面とは近接している。下受液部移動機構66は、第1下受液部64を上下方向に移動する。
第1下受液部64の内縁部642は、第1保持部2cの下端部の内周縁よりも径方向内側に位置し、第1保持部2cの下端部の内周縁と径方向において隣接する。第1下受液部64の内縁部642以外の部位は、第1保持部2cの段差部25の鉛直下方に位置する。図12に示す状態では、第1下受液部64の内縁部642の上面は、第1保持部2cの内周面24の下縁と上下方向の略同じ位置に位置する。第1下受液部64の内縁部642の上端外周縁は、第1保持部2cの内周面24の下縁と液密にシールされる。第1下受液部64は、上面から下方に向かって凹む凹部である第1ポケット641を有する。第1ポケット641は、段差部25の鉛直下方に位置する。図12に示す状態では、第1ポケット641の上端である上部開口643は、第1保持部2cにより閉塞されている。
図12に示す状態では、第2下受液部65の上面は、第1下受液部64の内縁部642の上面と上下方向の略同じ位置に位置する。第1下受液部64の内縁部642の上端内周縁は、第2下受液部65と液密にシールされる。第2下受液部65は、上面から下方に向かって凹む凹部である第2ポケット651を有する。
次に、図13Aおよび図13Bを参照しつつ、基板処理装置1cによる基板9の処理の流れの一例について説明する。図14ないし図20は、基板9の処理中の基板処理装置1cを示す縦断面図である。基板処理装置1cにより基板9が処理される際には、まず、図14に示すように、第2保持部31により基板9が水平状態で保持される(ステップS31)。第2保持部31に保持された基板9は、第1保持部2cよりも上側に位置し、上受液部5の第1上受液部51と径方向に対向する。
続いて、回転機構33による基板9および第2保持部31の回転が開始される(ステップS32)。そして、回転中の基板9の上面91に対して、処理液供給部4から触媒溶液が供給される(ステップS33)。ステップS33では、例えば、ノズル41から基板9の中央部に向けて液柱状の触媒溶液が吐出される。基板9の中央部に供給された触媒溶液は、遠心力により基板9の中央部から外縁部に向かって移動し、基板9の上面91の全面に亘って塗布される。基板9の外縁部に到達した触媒溶液は、遠心力により周囲へと飛散し、第1上受液部51により受けられる。
第1上受液部51により受けられた触媒溶液は、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2cの内周面24を伝わって下方へと流れ、上部開口643が閉塞されている状態の第1下受液部64の上側(具体的には、第1下受液部64の内縁部642の上側)を通過し、第2下受液部65の第2ポケット651へと流入する。第2下受液部65の第2ポケット651により受けられた処理液は、第2下排液部68を介してハウジング11の外部へと排出される。排出された触媒溶液は、例えば、回収されて再利用されてもよく、廃棄されてもよい。基板9に対する触媒溶液の供給(すなわち、触媒付与処理)が所定時間行われることにより、基板9の上面91に触媒(例えば、パラジウム)が吸着する。
触媒溶液の供給が停止されて触媒付与処理が終了すると、回転機構33による基板9および第2保持部31の回転が停止される(ステップS34)。次に、保持部移動機構32により第2保持部31が下方へと移動され、基板9の外縁部が第1保持部2cの内周面24に接触する。第2保持部31はさらに下方へと移動し、図12に示すように、基板9の下面92から下方に離間する。これにより、基板9は、第2保持部31から第1保持部2cへと受け渡され、貫通孔21の上端よりも下方にて第1保持部2cにより水平状態で保持される(ステップS35)。基板9が第1保持部2cにより保持されると、吸引部74により基板9の下面92の外縁部が吸引されて吸着される。
続いて、図16に示す第1保持部2cに設けられた処理液供給部4の吐出口42から、第1リンス液が吐出される。吐出口42は、第1保持部2cに保持された基板9の上面91よりも上側に位置する。吐出口42から吐出された第1リンス液は、第1保持部2cの貫通孔21の内周面24に沿って下方へと流れ、基板9の上面91上に径方向外側から供給される。第1リンス液は、例えば純水である。
基板9の外縁部に供給された第1リンス液は径方向内方へと拡がり、基板9の上面91が全面に亘って第1リンス液により被覆される。換言すれば、第1リンス液は、第1保持部2cに保持された基板9の上面91と、貫通孔21の内周面24とにより囲まれる貯溜空間20に貯溜される。基板処理装置1cでは、上述のように、第1保持部2cに保持された基板9の下面92の外縁部が吸引部74により吸引されているため、仮に基板9に反り等の変形が生じている場合であっても、基板9と第1保持部2cとの間から第1リンス液が下方へと漏出することが防止または抑制される。
基板9の上面91が第1リンス液により被覆されると、処理液供給部4のノズル41から、基板9の上面91上の第1リンス液の液膜(すなわち、貯溜空間20に貯溜された第1リンス液)に対して、第1リンス液の供給が開始される(ステップS36)。ステップS36では、例えば、ノズル41から基板9の中央部に向けて液柱状の第1リンス液が吐出される。ノズル41からの第1リンス液の吐出流量は、例えば、吐出口42からの第1リンス液の吐出流量よりも大きい。基板9の上面91は、ステップS36において第1リンス液により被覆されているため、ノズル41からの第1リンス液は、基板9の上面91に直接的に衝突することなく、基板9上の第1リンス液の液膜を介して間接的に供給される。ノズル41からの第1リンス液の供給が行われる際には、吐出口42からの第1リンス液の供給は継続されていてもよく、停止されていてもよい。
図15に示すように、貯溜空間20において、第1リンス液が所定の深さまで貯溜されると、処理液供給部4からの第1リンス液の供給が停止される。貯溜空間20に貯溜された第1リンス液は、貫通孔21の内周面24に接触している。貯溜空間20に貯溜された第1リンス液の深さ(すなわち、第1リンス液の液面と基板9の上面91との間の上下方向の距離)は、基板9の全面に亘って略均一である。貯溜空間20内の第1リンス液の深さは、外縁部が他の部材に接していない状態の基板9において、表面張力により基板9の上面91上に保持可能な第1リンス液の液膜(以下、「表面張力による液膜」と呼ぶ。)の厚さよりも大きい。詳細には、貯溜空間20内の第1リンス液の深さは、基板9の外縁部における表面張力による液膜の厚さよりも大きく、また、基板9の中央部における表面張力による液膜の厚さよりも大きい。
貯溜空間20に貯溜された第1リンス液により基板9の上面91が所定時間被覆されることにより、第1リンス処理が終了する。そして、保持部移動機構32により第2保持部31が上方へと移動され、基板9の下面92を吸着保持する。また、吸引部74による基板9の吸引は解除される。そして、第2保持部31はさらに上方へと移動し、図16に示すように、基板9が第1保持部2cから上方に離間する。これにより、基板9は、第1保持部2cから第2保持部31へと受け渡され、第2保持部31により水平状態で保持される(ステップS37)。
貯溜空間20に貯溜されていた第1リンス液は、基板9の外縁部と第1保持部2cの内周面24との間の間隙から、下受液部6cに向かって下方へと流れる。当該第1リンス液は、第1保持部2cにより上部開口643が閉塞されている状態の第1下受液部64上を径方向内方へと流れ、第2下受液部65の第2ポケット651へと流入する。第2下受液部65の第2ポケット651により受けられた処理液は、第2下排液部68を介してハウジング11の外部へと排出される。これにより、基板9上の触媒溶液が第1リンス液と共に除去される。第2下受液部65により受けられた第1リンス液は、好ましくは、ステップS33における触媒溶液の排出経路とは異なる経路を介して廃棄される。これにより、触媒溶液の回収効率を向上することができる。
第1リンス液が基板9上から下方へと流れると、保持部移動機構32により第2保持部31が下方へと移動され、図17に示すように、基板9が、第2保持部31から第1保持部2cへと受け渡されて水平状態で保持される(ステップS38)。そして、吸引部74により基板9の下面92の外縁部が吸引されて吸着される。また、下受液部移動機構66により、第1下受液部64が下方へと移動し、第1保持部2cの下端部と第2下受液部65との間に(すなわち、第1下受液部64の内縁部642の上方に)間隙が形成される。図17に示す状態では、第1下受液部64の上部開口643は、第1保持部2cから下方に離間して開放されている。
なお、基板処理装置1cでは、ステップS37とステップS38との間において、基板9を図14に示す位置まで上昇させ、基板9を所定時間だけ回転させることにより、基板9上に残存している第1リンス液が除去されてもよい。この場合、基板9から周囲に飛散した第1リンス液は、第1上受液部51により受けられ、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2cの内周面24を伝わって下方へと流れ、第2下受液部65により受けられてハウジング11の外部へと排出される。
図17に示すように、ステップS39において基板9が第1保持部2cにより保持されると、基板9の上面91に対して、処理液供給部4からめっき液が供給される(ステップS39)。ステップS39では、例えば、ノズル41から基板9の中央部に向けて液柱状のめっき液が吐出される。基板9の中央部に供給されためっき液は径方向外方へと拡がり、基板9の上面91が全面に亘ってめっき液により被覆される。なお、めっき液は、処理液供給部4の吐出口42から基板9上に供給されてもよい。
処理液供給部4から供給されためっき液は、図18に示すように、貯溜空間20に貯溜される。貯溜空間20においてめっき液が所定の深さまで貯溜されると、処理液供給部4からのめっき液の供給が停止される。貯溜空間20に貯溜されためっき液は、貫通孔21の内周面24に接触している。貯溜空間20に貯溜されためっき液の深さは、基板9の全面に亘って略均一である。貯溜空間20内のめっき液の深さは、上記と同様に、外縁部が他の部材に接していない状態の基板9において、表面張力により基板9の上面91上に保持可能なめっき液の液膜(すなわち、表面張力による液膜)の厚さよりも大きい。
貯溜空間20に貯溜されためっき液により基板9の上面91が所定時間被覆されることにより、めっき液に含まれる金属が、基板9の上面91上に(詳細には、上面91上に形成されている触媒層上に)析出し、当該金属の層が基板9上に形成される。基板処理装置1cでは、貯溜空間20に貯溜されためっき液により基板9の上面91が被覆されている間、加熱部72により基板9が加熱される。これにより、基板9の上面91上への上記金属の析出が促進される。
続いて、保持部移動機構32により第2保持部31が上方へと移動され、基板9の下面92を吸着保持する。また、吸引部74による基板9の吸引は解除される。そして、第2保持部31はさらに上方へと移動し、図19に示すように、基板9が第1保持部2cから上方に離間する。これにより、基板9は、第1保持部2cから第2保持部31へと受け渡され、第2保持部31により水平状態で保持される(ステップS40)。
貯溜空間20に貯溜されていためっき液は、基板9の外縁部と第1保持部2cの内周面24との間の間隙から、下受液部6cに向かって下方へと流れる。当該めっき液は、第1保持部2cの下端部と第2下受液部65との間の間隙を介して下方へと流れ、第1下受液部64の第1ポケット641へと流入する。第1下受液部64により受けられためっき液は、第1下排液部67を介してハウジング11の外部へと排出される。
そして、図20に示すように、基板9が第1上受液部51と上下方向の同じ位置に配置されると、回転機構33により、基板9および第2保持部31の回転が開始される(ステップS41)。ステップS41における基板9の回転速度は、例えば、300rpm〜1000rpmである。ノズル41から基板9の中央部に向けて吐出されるめっき液は、遠心力により基板9の上面91上にて径方向外方へと拡がり、基板9の上面91の全面に供給される。これにより、基板9の上面91に対するめっき処理が進行する(ステップS42)。
基板処理装置1cでは、ステップS40,S41の間、ノズル41から基板9上へのめっき液の供給が継続されてもよい。また、ステップS42において基板9のめっき処理が行われている間、ステップS39におけるめっき処理中と同様に、加熱部72(図18参照)により基板9が加熱され、めっき処理が促進されてもよい。
基板9の外縁部に到達しためっき液は、遠心力により周囲へと飛散し、基板9と径方向に対向する第1上受液部51により受けられる。第1上受液部51により受けられためっき液は、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2cの内周面24を伝わって下方へと流れ、第1下受液部64の第1ポケット641へと流入する。第1下受液部64により受けられためっき液は、第1下排液部67を介してハウジング11の外部へと排出される。排出されためっき液は、例えば、回収されて再利用されてもよく、廃棄されてもよい。基板9に対するめっき液の供給(すなわち、めっき処理)が所定時間行われることにより、基板9の上面91に金属がめっきされる。
めっき液の供給が停止されてめっき処理が終了すると、回転中の基板9の上面91に対して、ノズル41から第2リンス液が供給される(ステップS43)。第2リンス液は、例えば純水である。ステップS43では、例えば、ノズル41から液柱状の第2リンス液が基板9の中央部に向けて吐出される。この場合、ステップS36における第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力(例えば、第1リンス液の衝突により基板9に付与される物理的な力)は、ステップS43における第2リンス液の供給時に第2リンス液により基板9に付与される物理力よりも小さい。
基板9の上面91上に供給された第2リンス液は、遠心力により径方向外方へと拡がり、これにより、基板9上からめっき液が除去される。基板9から周囲へと飛散する第2リンス液は、第1上受液部51により受けられ、第1上受液部51の内周面511および第1保持部2cの内周面24を介して第1下受液部64の第1ポケット641に流入する。第1下受液部64により受けられた第2リンス液は、第1下排液部67を介してハウジング11の外部へと排出される。第1下受液部64により受けられた第2リンス液は、好ましくは、ステップS42におけるめっき液の排出経路とは異なる経路を介して廃棄される。これにより、めっき液の回収効率を向上することができる。基板9に対する第2リンス液の供給(すなわち、第2リンス処理)が所定時間行われると、第2リンス液の供給が停止される。
その後、回転機構33による基板9の回転速度が増大する。これにより、基板9上の第2リンス液が径方向外方へと移動して基板9の外縁部から径方向外方へと飛散する。基板9の回転が所定時間継続されることにより、基板9上から第2リンス液等の液体を除去する乾燥処理が行われる(ステップS44)。基板9の乾燥処理が終了すると、回転機構33による基板9および第2保持部31の回転が停止され、基板9に対する処理が終了する(ステップS45)。基板処理装置1cでは、複数の基板9に対して、上述のステップS31〜S45が順次行われ、複数の基板9が順次処理される。
基板処理装置1cでは、例えば、所定枚数の基板9の処理が終了すると、装置の洗浄処理が行われる。当該洗浄処理では、例えば、第1保持部2cの下面に設けられた洗浄部71cから第1下受液部64に向けて洗浄液が吐出され、第1下受液部64の洗浄が行われる。これにより、第1下受液部64に付着しているめっき液および第2リンス液等の処理液が除去される。また、基板9のめっき処理中に、基板9上から触媒の一部が剥離して第1下受液部64へと流入した場合であっても、当該触媒も上記洗浄処理により第1下受液部64から除去される。
以上に説明したように、基板処理装置1cは、第1保持部2cと、処理液供給部4とを備える。第1保持部2cには、貫通孔21が設けられる。貫通孔21は、基板9が通過可能な上部開口22を有する。貫通孔21の内周面24の一部の径は、基板9よりも小さい。第1保持部2cは、貫通孔21の内周面24を基板9の外縁部に下方から接触させて基板9を水平状態で保持する保持部である。処理液供給部4は、基板9の上面91上に処理液を供給する。
基板処理装置1cでは、処理液供給部4から基板9に触媒溶液、第1リンス液、めっき液および第2リンス液が順に供給される。換言すれば、基板9の処理は、基板9の上面91に触媒溶液を供給する工程(ステップS33)と、ステップS33よりも後に基板9の上面91に第1リンス液を供給する工程(ステップS36)と、ステップS36よりも後に基板9の上面91にめっき液を供給する工程(ステップS39,S42)と、ステップS39,S42よりも後に基板9の上面91に第2リンス液を供給する工程(ステップS43)とを備える。
ステップS39では、めっき液は、貫通孔21の上端よりも下方にて第1保持部2に保持された基板9の上面91と、貫通孔21の内周面24とにより囲まれる貯溜空間20に貯溜される。これにより、基板9上にめっき液を供給してめっき処理が行われる際に、基板9の上面91上においてめっき液が移動することを抑制することができる。その結果、めっき液による基板9の上面91の処理(すなわち、めっき処理)を安定して行うことができる。
また、基板処理装置1cでは、ステップS36における第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力が、ステップS43における第2リンス液の供給時に第2リンス液により基板9に付与される物理力よりも小さい。これにより、触媒付与処理後の第1リンス処理の際に、基板9の上面91上に吸着した触媒が、第1リンス液により除去されることを抑制することができる。その結果、第1リンス処理後のめっき処理の際に、基板9の上面91上に金属を安定して析出させることができる。換言すれば、基板9の上面91に対するめっき処理を好適に行うことができる。
基板処理装置1cでは、ステップS33とステップS36との間において、第1保持部2cにより基板9が水平状態で保持され、ステップS36において、第1リンス液が貯溜空間20に貯溜される。これにより、第1リンス液と基板9の上面91との接触時間を比較的長くすることができる。その結果、第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力が比較的小さい場合であっても、基板9に対する第1リンス処理を好適に行うことができる。
基板処理装置1cでは、ステップS36において、第1リンス液が、第1保持部2cの貫通孔21の内周面24に沿って供給される。これにより、第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力を、さらに小さくすることができる。その結果、基板9の上面91上の触媒が第1リンス液により除去されることを抑制し、基板9の上面91に対するめっき処理を好適に行うことができる。
基板処理装置1cでは、ステップS36において、貯溜空間20に貯溜された第1リンス液に向けて、処理液供給部4から第1リンス液が吐出される。これにより、第1リンス液の供給時に第1リンス液により基板9に付与される物理力を小さくすることができる。また、ノズル41からの第1リンス液の吐出流量を、吐出口42からの第1リンス液の吐出流量よりも大きくすることにより、貯溜空間20において第1リンス液が所定の深さに到達するまでに要する時間(すなわち、第1リンス液の貯溜に要する時間)を短縮することができる。さらに、ノズル41からの第1リンス液の供給と、吐出口42からの第1リンス液の供給とを並行して行う場合、第1リンス液の貯溜に要する時間を、より一層を短縮することができる。
基板処理装置1cでは、触媒溶液および第1リンス液が、下受液部6cの第1下受液部64により受けられ、めっき液および第2リンス液が、下受液部6cの第2下受液部65により受けられてもよい。
図21は、他の好ましい基板処理装置1dを示す縦断面図である。基板処理装置1dでは、図12に示す第1保持部2cおよび下受液部6cに代えて、第1保持部2cおよび下受液部6cとは構造が異なる第1保持部2dおよび下受液部6dが設けられる。また、上受液部5dは、図11に示す第1上受液部51bおよび第2上受液部52を備える。基板処理装置1dの他の構造は、図12に示す基板処理装置1cと略同様である。以下の説明では、基板処理装置1cの各構成に対応する基板処理装置1dの構成に同符号を付す。基板処理装置1dにおける基板9の処理の流れは、上述の基板処理装置1cにおける基板9の処理の流れ(ステップS31〜S45)と略同様である。
第1保持部2dでは、貫通孔21の内周面24が、中心軸J1に略垂直な円環状の載置面27を含む。載置面27には、吸引部74が設けられる。第1保持部2dでは、載置面27上に載置された基板9の下面92の外縁部が、吸引部74により吸引され、好ましくは吸着される。第1保持部2dでは、貫通孔21の内周面24は、載置面27の内周縁から下方に向かうに従って径方向内方へと向かう。また、第1保持部2dは、貫通孔21の内周面24の下端縁から径方向外方に向かうに従って下方へと向かう傾斜下面28を備える。傾斜下面28は、載置面27の鉛直下方に位置する。
下受液部6dは、図12に示す下受液部6cと略同様に、第1下受液部64dと、第2下受液部65dと、下受液部移動機構66dとを備える。第1下受液部64dおよび第2下受液部65dは、第1保持部2dの貫通孔21よりも下側に配置される。第1下受液部64dは、中心軸J1を中心とする略円筒状の部位である。第1下受液部64dは、例えば、第1保持部2dと一繋がりの部材である。第2下受液部65dは、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。第2下受液部65dは、第1下受液部64dよりも径方向内側に配置される。図21に示す例では、第1下受液部64dの内縁部と第2下受液部65dの外縁部とが径方向にて重なっており、第1下受液部64dの内周面は、第2下受液部65dの外周面よりも径方向内側に位置する。下受液部移動機構66dは、第2下受液部65dを上下方向に移動する。
第1下受液部64dは、第1保持部2dの載置面27の鉛直下方に位置する。第1下受液部64dは、上面から下方に向かって凹む凹部である第1ポケット641を有する。第2下受液部65dは、上面から下方に向かって凹む凹部である第2ポケット651を有する。第2下受液部65dの外縁部652は、第1保持部2dの下端部の内周縁よりも径方向外側に位置し、第1保持部2dの下端部の内周縁と上下方向に重なる。図21に示す状態では、第2下受液部65dの外縁部652が、第1保持部2dの傾斜下面28に下側から接触する。これにより、第1下受液部64dの第1ポケット641の上端である上部開口が、第2下受液部65dにより閉塞される。第2下受液部65dの外縁部652と第1保持部2dの傾斜下面28とは液密にシールされる。
図21に示す状態で、基板9の上面91上に処理液が供給されると、処理液は、貯溜空間20に貯溜される。その後、図22に示すように、第2保持部31が第1保持部2dから基板9を受け取って上昇させると、貯溜空間20に貯溜されていた処理液は、基板9の外縁部と第1保持部2dの内周面24との間の間隙から、下受液部6dに向かって下方へと流れる。当該処理液は、第2下受液部65dの第2ポケット651へと流入する。第2ポケット651により受けられた処理液は、第2下排液部68を介してハウジング11の外部へと排出される。上述のように、第1下受液部64dの上部開口は閉塞されているため、第1下受液部64dの第1ポケット641には処理液は流入しない。
一方、図23に示すように、下受液部移動機構66dにより第2下受液部65dが下降した状態では、第2下受液部65dの外縁部652が第1保持部2dの傾斜下面28から下方に離間する。そして、第2下受液部65dの外縁部652と第1保持部2dの傾斜下面28との間には、第1下受液部64dの第1ポケット641の上部開口643が形成される。この状態で、貯溜空間20に貯溜されていた処理液が、基板9の外縁部と第1保持部2dの内周面24との間の間隙から、下受液部6dに向かって下方へと流れると、当該処理液は、上部開口643を介して第1下受液部64dの第1ポケット641へと流入する。第1ポケット641により受けられた処理液は、第1下排液部67を介してハウジング11の外部へと排出される。第2下受液部65dの外縁部652の上面は、径方向外方に向かうに従って下方へと向かう傾斜面であるため、処理液は、当該傾斜面に沿って第1ポケット641へと流入し、第2ポケット651には流入しない。
図21に示す基板処理装置1dでは、例えば、基板9上に供給された触媒溶液は、上受液部5dの第2上受液部52により受けられ、第1リンス液は第1上受液部51bにより受けられる。また、基板9上に供給されためっき液は、下受液部6dの第1下受液部64dにより受けられ、第2リンス液は第2下受液部65dにより受けられる。このように、基板9に対する処理が異なる処理液毎に受ける構造を異ならせることにより、処理液(例えば、触媒溶液およびめっき液)の回収効率を向上することができる。なお、基板処理装置1dにおいて各処理液を受ける構造は、適宜変更されてよい。
上述の基板処理装置1,1a〜1d、および、基板処理装置1,1a〜1dにおける基板処理では、様々な変更が可能である。
例えば、基板処理装置1,1a〜1dにおいて使用される触媒溶液に含まれる触媒は、パラジウムには限定されず、パラジウム以外の様々な触媒が触媒溶液に含まれていてよい。また、めっき液に含まれる金属は上述の重金属には限定されず、様々な金属がめっき液に含まれていてよい。第1リンス液および第2リンス液は、純水には限定されず、他の種類のリンス液であってもよい。
基板処理装置1,1a〜1dでは、ノズル41を基板9の上方にて略水平に移動するノズル移動機構が設けられ、ノズル41から基板9に処理液が供給される間、基板9の中央部上方と外縁部上方との間にてノズル41の往復移動が繰り返されてもよい。
図10に示す基板処理装置1aでは、第1保持部2aにより保持された基板9において、下面92の外縁部が吸引部74により吸引されるだけではなく、ガス噴射部73(図1参照)により当該外縁部に向けて下方からガスが噴射されてもよい。これにより、貯溜空間20に貯溜される処理液が、基板9と第1保持部2aとの間から下方へと漏出することを、より一層防止または抑制することができる。基板処理装置1,1b〜1dにおいても同様に、ガス噴射部73および吸引部74の双方が設けられてよい。
基板処理装置1では、第1保持部2は必ずしもハウジング11に固定される必要はなく、例えば、ハウジング11に対して上下方向または水平方向に移動可能とされてもよい。基板処理装置1a〜1dにおいても同様である。
基板処理装置1では、第2保持部31を回転する回転機構33、および、回転中の基板9から飛散する処理液を受ける上受液部5は、省略されてもよい。基板処理装置1a〜1dにおいても同様である。また、基板処理装置1,1a〜1dでは、基板9を加熱する加熱部72が省略されてもよい。
トラップ部45では、トラップタンク451の第2流路455と回収流路83との間に、進入重金属を捕集するフィルタが設けられてもよい。また、トラップ部45では、下排液部62と回収流路83との間に、複数のトラップタンク451が直列的に配置されてもよい。これにより、進入重金属が回収流路83に進入することを、より一層防止または抑制することができる。
あるいは、トラップ部45では、トラップタンク451に代えて、触媒を捕集するフィルタが下排液部62と回収流路83との間に設けられてもよい。この場合、フィルタの目詰まりを防止するために、比較的頻繁にフィルタの交換または洗浄を行う必要がある。一方、トラップタンク451が設けられた上述の基板処理装置1では、当該フィルタを設ける場合に比べて、進入重金属を捕集するための構造のメンテナンス頻度を低減することができる。
例えば、上述のステップS36では、基板処理装置1cの第1保持部2cの内周面24に設けられた吐出口42から内周面24に沿って第1リンス液が供給されたのち、貯溜空間20に貯溜された第1リンス液に向けてノズル41から第1リンス液が供給されるが、第1リンス液の供給方法は様々に変更されてよい。例えば、ノズル41からの第1リンス液の供給は省略され、吐出口42からのみ第1リンス液が供給されてもよい。あるいは、第1保持部2cに吐出口42は設けられず、ノズル41から第1保持部2cの内周面24に向けて第1リンス液が吐出されることにより、第1リンス液が内周面24に沿って供給されてもよい。あるいは、ステップS14と同様に、ミスト状の第1リンス液がノズル41から基板9に供給されてもよい。さらには、第1リンス液により基板9に付与される物理力が、第2リンス液により基板9に付与される物理力よりも小さいのであれば、第1リンス液は必ずしも貯溜空間20に貯溜される必要はない。
ステップS11〜S23の基板9の処理では、ステップS11とステップS13との間において、基板9に対して処理液を供給して前処理(すなわち、触媒付与処理の前に行われる処理)が行われてもよい。ステップS31〜S45の基板9の処理においても同様に、ステップS31とステップS33との間において、基板9に対する前処理が行われてもよい。また、ステップS33では、貯溜空間20に触媒溶液を貯溜して、基板9に対する触媒付与処理が行われてもよい。
上述の例では、基板9に対するステップS31〜S45の処理を、1つの基板処理装置1cにおいて連続して行っているが、当該処理は、例えば、2つの基板処理装置1(図1参照)を利用して行われてもよい。具体的には、1番目の基板処理装置1において、基板9に触媒溶液を供給して触媒付与処理が行われた後、貯溜空間20に第1リンス液を貯溜して第1リンス処理が行われる。第1リンス処理が終了すると、基板9が2番目の基板処理装置1に搬入され、貯溜空間20にめっき液を貯溜してめっき処理が行われた後、基板9に第2リンス液を供給して第2リンス処理が行われる。このように、2つの基板処理装置1を利用して基板9の処理を行うことにより、基板9の下方において、貯溜空間20に貯溜された第1リンス液の排出先と、めっき液の排出先とを別々に設ける必要がなく、装置構造を簡素化することができる。
基板処理装置1,1a〜1dでは、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、基板処理装置1,1a〜1dは、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1,1a〜1d 基板処理装置
2,2a,2c,2d 第1保持部
4 処理液供給部
5,5a,5d 上受液部
6,6c,6d 下受液部
9 基板
11 ハウジング
20 貯溜空間
21 貫通孔
22 (第1保持部の)上部開口
24 (貫通孔の)内周面
31 第2保持部
32 保持部移動機構
33 回転機構
51,51b 第1上受液部
52 第2上受液部
64,64d 第1下受液部
65,65d 第2下受液部
71,71c 洗浄部
72 加熱部
73 ガス噴射部
74 吸引部
91 (基板の)上面
92 (基板の)下面
643 (第1下受液部の)上部開口
J1 中心軸
S11〜S23,S31〜S45 ステップ

Claims (10)

  1. 基板を処理する基板処理装置であって、
    基板が通過可能な上部開口を有するとともに内周面の一部の径が前記基板よりも小さい貫通孔が設けられ、前記貫通孔の前記内周面を前記基板の外縁部に下方から接触させて前記基板を水平状態で保持する保持部と、
    前記基板の上面上に処理液を供給する処理液供給部と、
    を備え、
    前記処理液供給部から前記基板に触媒溶液、第1リンス液、めっき液および第2リンス液が順に供給され、
    前記めっき液が、前記貫通孔の上端よりも下方にて前記保持部に保持された前記基板の前記上面と前記貫通孔の前記内周面とにより囲まれる貯溜空間に貯溜され、
    前記第1リンス液の供給時に前記第1リンス液により前記基板に付与される物理力が、前記第2リンス液の供給時に前記第2リンス液により前記基板に付与される物理力よりも小さいことを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記第1リンス液が前記貯溜空間に貯溜されることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記第1リンス液が、前記保持部の前記貫通孔の前記内周面に沿って供給されることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項2または3に記載の基板処理装置であって、
    前記貯溜空間に貯溜された前記第1リンス液に向けて、前記処理液供給部から前記第1リンス液が吐出されることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
    ミスト状の前記第1リンス液が前記基板の前記上面上に供給されることを特徴とする基板処理装置。
  6. 基板を処理する基板処理方法であって、
    a)基板の上面に触媒溶液を供給する工程と、
    b)前記a)工程よりも後に、前記基板の前記上面に第1リンス液を供給する工程と、
    c)前記b)工程よりも後に、前記基板の前記上面にめっき液を供給する工程と、
    d)前記c)工程よりも後に、前記基板の前記上面に第2リンス液を供給する工程と、
    を備え、
    e)前記b)工程と前記c)工程との間に、前記基板が通過可能な上部開口を有するとともに内周面の一部の径が前記基板よりも小さい貫通孔が設けられた保持部において、前記貫通孔の前記内周面を前記基板の外縁部に下方から接触させて前記基板を水平状態で保持する工程をさらに備え、
    前記c)工程において、前記めっき液が、前記貫通孔の上端よりも下方にて前記保持部に保持された前記基板の前記上面と前記貫通孔の前記内周面とにより囲まれる貯溜空間に貯溜され、
    前記b)工程において前記第1リンス液により前記基板に付与される物理力が、前記d)工程において前記第2リンス液により前記基板に付与される物理力よりも小さいことを特徴とする基板処理方法。
  7. 請求項6に記載の基板処理方法であって、
    前記a)工程と前記b)工程との間に、前記保持部により前記基板を水平状態で保持する工程をさらに備え、
    前記b)工程において、前記第1リンス液が前記貯溜空間に貯溜されることを特徴とする基板処理方法。
  8. 請求項7に記載の基板処理方法であって、
    前記b)工程において、前記第1リンス液が、前記保持部の前記貫通孔の前記内周面に沿って供給されることを特徴とする基板処理方法。
  9. 請求項7または8に記載の基板処理方法であって、
    前記b)工程において、前記貯溜空間に貯溜された前記第1リンス液に向けて、前記第1リンス液が吐出されることを特徴とする基板処理方法。
  10. 請求項6ないし9のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、
    前記b)工程において、ミスト状の前記第1リンス液が前記基板の前記上面上に供給されることを特徴とする基板処理方法。
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