JP6981864B2 - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、レジストパターンが形成された基板および回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子、
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(D)増感剤
を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、下記一般式(1):
前記(D)増感剤が、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、トリアリールアミン化合物およびオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、かつ、405nmの光を吸収する化合物であること、を特徴とする感光性樹脂組成物。
[2]
前記感光性樹脂組成物中の固形分100g当たりのエチレン性不飽和二重結合のモル数が0.1〜0.3である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記感光性樹脂組成物中の固形分100g当たりのエチレン性不飽和二重結合のモル数が0.11〜0.15である、[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記一般式(1)において、AがC3H6である、[1]から[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記一般式(1)において、n1+n3が1〜20である、[1]から[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記一般式(1)において、n1+n3が1〜10である、[1]から[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]
前記(D)増感剤が、ピラゾリン化合物を含む、[1]から[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8]
前記(D)増感剤が、アントラセン化合物を含む、[1]から[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[9]
前記(D)増感剤が、トリアリールアミン化合物を含む、[1]から[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[10]
前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜30質量%含み、
前記(D)増感剤を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して0.05〜2質量%含む、[1]から[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[11]
少なくともスチレンおよびメタクリル酸ベンジルを共重合したアルカリ可溶性高分子を、前記(A)アルカリ可溶性高分子全体の50質量%以上含む、[1]から[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[12]
ビスフェノールA骨格を有する化合物を、前記(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物全体の40質量%以上含む、[1]から[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[13]
前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜17質量%含む、[1]から[12]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[14]
前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜15質量%含む、[13]に記載の感光性樹脂組成物。
[15]
前記感光性樹脂組成物中の
前記(A)アルカリ可溶性高分子の固形分量に対する(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物固形分量の値は0.7以上1.4以下である、[1]から[14]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[16]
前記感光性樹脂組成物中の
前記(A)アルカリ可溶性高分子の固形分量に対する(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物固形分量の値は0.8以上1.3以下である、[15]に記載の感光性樹脂組成物。
[17]
支持体上に、[1]〜[16]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されている、感光性樹脂積層体。
[18]
以下の工程:
基板上に、[17]に記載の感光性樹脂積層体をラミネートするラミネート工程、
該感光性樹脂積層体を露光する露光工程、及び
未露光部を除去する現像工程、
を含む、レジストパターンが形成された基板の製造方法。
[19]
[18]に記載の方法により製造された基板に対してエッチング又はめっきを施すことにより回路基板を形成する、回路基板の製造方法。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性二重結合を有する化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)増感剤を含有する。
そして本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として下記一般式(1):
(D)増感剤が、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、トリアリールアミン化合物およびオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むこと、を特徴とする。
(A)アルカリ可溶性高分子は、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られるものであることが好ましい。また、(A)アルカリ可溶性高分子は、第一の単量体の少なくとも1種と、後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られるものであることがより好ましい。
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量及び分散度が上記の範囲にあることは、適度の現像性、高い塗膜強度、及びレジスト厚みの均一性を得られる観点で好ましい。
(A−1)Mwが50,000未満であるアルカリ可溶性高分子、及び
(A−2)Mwが50,000以上であるアルカリ可溶性高分子、
を含むことが、柔軟性、解像性、製品ライフの観点から特に好ましい。
一方、上記アルカリ可溶性高分子(A−2)のMwは、50,000〜100,000であることがより好ましく、50,000〜75,000であることが更に好ましく、50,000〜65,000であることが特に好ましい。アルカリ可溶性高分子(A−2)のMwがこの範囲にあることは、本実施形態の感光性樹脂組成物を感光性エレメント(ドライフィルムレジスト)に適用する場合の製品ライフをより長いものとする観点、および、柔軟性の観点で好ましい。
アルカリ可溶性高分子(A−2)成分の、感光性樹脂組成物の固形分の総量に対する含有割合は、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上48質量%以下であり、更に好ましくは18質量%以上45質量%以下である。(A−2)成分の使用割合を上記の範囲に設定することは、解像度、柔軟性、感光性エレメントの製品ライフの観点から好ましい。
(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物は、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、下記一般式(1):
解像性、密着性の観点から、式(1)において、Aが−C3H6−であることが好ましい。
剥離性と泡立ち抑制の観点から、式(1)において、n1+n3が1以上であることが好ましく、柔軟性の観点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
これにより、良好な感度、解像度、密着性を有し、剥離時間を短縮できるとともに、柔軟性に優れたレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
一方で、この割合を30質量%以下にすることは、解像性、密着性の観点から好ましく、この割合を25質量%以下にすることがより好ましい。
より好ましくは0.1以上〜0.25以下であり、さらに好ましくは0.1〜0.2であり、よりさらに好ましくは0.11以上〜0.2以下であり、極めて好ましくは0.11以上〜0.15以下である。
(C)光重合開始剤としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、キノン化合物、芳香族ケトン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ジアルキルケタール化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物、アクリジン化合物、等が挙げられる。
−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール等が挙
げられる。中でも、高感度、解像性及び密着性の観点から、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
アセトフェノン化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等を挙げることができる。アセトフェノン化合物の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア−907、イルガキュア−369、及びイルガキュア−379を挙げることができる。密着性の観点からは、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
ジアルキルケタール化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロルチオキサントン等を挙げることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物では、(D)増感剤が、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、トリアリールアミン化合物、オキサゾール化合物より選ばれる少なくとも1つを含む。これらの化合物はh線と呼ばれる405nm付近の光の吸収が大きい。これらの化合物を増感剤として用いることで、感度、画像形成性が良好になる。その中でも、(D)増感剤は、ピラゾリン化合物およびアントラセン化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが、より好ましい。
ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、トリアリールアミン化合物、オキサゾール化合物以外の(D)増感剤としては、N−アリール−α−アミノ酸化合物、アルキルアミノ基が置換された芳香族ケトン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物、ピラゾリン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、N−アリールアミノ酸のエステル化合物、ハロゲン化合物、等を挙げることができる。
アルキルアミノ基が置換された芳香族ケトン化合物としては、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート等を挙げることができる。
1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記に説明した(A)〜(D)成分のみを含有していてもよいし、これらとともにその他の成分を含有していてもよい。ここで使用できるその他の成分としては、例えば、ロイコ染料、ベース染料、酸化防止剤、安定化剤、等を挙げることができる。
上記ロイコ染料は、レジスト硬化膜に対して、好適な発色性と、優れた剥離特性とを付与するために、本実施形態の感光性樹脂組成物に配合することができる。
ロイコ染料の具体例としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット(トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、等を挙げることができる。これらのうち、ロイコクリスタルバイオレットが好ましい。
上記ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]等が挙げられる。これらのうち、ベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、及びベーシックブルー7から選択される1種以上が好ましく、色相安定性及び露光コントラストの観点から、ベーシックグリーン1が特に好ましい。
感光性樹脂組成物の熱安定性若しくは保存安定性、又はこれらの双方を向上させるという観点から、安定化剤を使用することが好ましい。安定化剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール化合物、カルボキシベンゾトリアゾール化合物、及びグリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
本実施形態では、上記のような感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより、感光性樹脂組成物調合液を調製することができる。ここで使用される好適な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール等が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が、25℃において500mPa・sec〜4,000mPa・secとなるように、感光性樹脂組成物に溶媒を添加して調合液を調製することが好ましい。
本発明の別の態様は、支持体と、上述の本実施形態の感光性樹脂組成物から該支持体上に形成された感光性樹脂組成物層とを有する感光性エレメント(感光性樹脂積層体)を提供する。本実施形態の感光性エレメントは、必要により、前記感光性樹脂組成物層の支持体と反対側の表面に保護層を有していてもよい。
支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明な基材が好ましい。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
本実施形態の感光性エレメントにおける感光性樹脂組成物層は、上述した本実施形態の感光性樹脂組成物から成る層である。感光性樹脂組成物層の形成に使用する感光性樹脂組成物が溶媒を含有している場合、該溶媒は感光性樹脂組成物層においては除去されていることが好ましいが、溶媒が残存していてもかまわない。
本実施形態の感光性エレメントにおける感光性樹脂組成物層の厚みは、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmである。この厚みが薄いほど解像度は向上し、厚いほど膜強度が向上する。従って、該組成物層の厚みは、用途に応じて上記の範囲内で適宜選択することができる。
本実施形態の感光性エレメントにおける保護層の重要な特性は、感光性樹脂組成物層との密着力が、支持体と感光性樹脂組成物層との密着力よりも十分に小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましく使用できる他、例えば特開昭59−202457号公報に開示された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。
本実施形態の感光性エレメント(感光性樹脂積層体)は、支持体及び感光性樹脂組成物層、並びに必要により保護層を順次積層することにより、製造することができる。支持体、感光性樹脂組成物層、及び保護層の積層方法としては、公知の方法を採用することができる。
上記のような感光性エレメントを用いて、基板上にレジストパターンを形成することができる。レジストパターンの形成方法(レジストパターンが形成された基板の製造方法)は、本実施形態の感光性エレメントを用いて基板の上に感光性樹脂組成物層を形成するラミネート工程、該感光性樹脂組成物層を露光する露光工程、及び該感光性樹脂組成物層の未露光部を現像液で除去することによってレジストパターンを形成する現像工程を、上記に記載の順に含む。
この露光をパターン状に行うことにより、後述の現像工程を経由した後、所望のパターンを有するレジスト膜(レジストパターン)を得ることができる。パターン状の露光は、フォトマスクを介して露光する方法、及びマスクレス露光の何れの方法によってもよい。
マスクレス露光においては、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長350nm〜410nmの固体レーザー、半導体レーザー、超高圧水銀灯等が用いられる。マスクレス露光において、描画パターンはコンピューターによって制御され、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度を大きな要素として決定される。
現像工程においては、アルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、例えば、Na2CO3、K2CO3等の水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂組成物層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa2CO3水溶液を用いることが好ましい。該アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像工程における現像液の温度は、18℃〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
本発明は更に、回路基板(配線板)の形成方法を開示する。本実施形態の感光性エレメントに対してエッチング又はめっきを施すことにより回路基板を形成する。
すなわち、回路基板の形成方法は、本実施形態の感光性エレメントを用いて基板の上に感光性樹脂組成物層を形成するラミネート工程、該感光性樹脂組成物層を露光する露光工程、該感光性樹脂組成物層の未露光部を現像液で除去することによってレジストパターンを形成する現像工程、該レジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程、及び該レジストパターンを剥離する剥離工程を、上記に記載の順に含む。上記の方法により、基板上に所望の導線パターンが形成されて成る回路基板(配線板)を得ることができる。
導体パターン形成工程においては、レジストパターンが形成された基板上で、現像工程によって露出した基板表面(例えば銅面)に、公知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成することができる。
実施例及び比較例における試料の作製方法、及び該試料の評価方法は、それぞれ以下のとおりである。
<高分子の重量平均分子量又は数平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量又は数平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)によりポリスチレン換算として求めた。
さらに、高分子の分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)として算出された。
本明細書において、酸当量とは、分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により酸当量を測定した。
評価用サンプルは以下のように作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
後掲する表1−1〜表1−3に示す成分(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す。)及び溶媒を十分に攪拌、混合して、感光性樹脂組成物調合液を得た。なお、表1−1〜表1−3中に略号で表した成分の名称を、後掲する表2に示す。
次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF−818)を貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いて、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板をスプレー圧0.2MPaでジェットスクラブ研磨することにより、評価用基板を作製した。
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートして試験片を得た。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。
直接描画露光機(日立ビアメカニクス(株)製、DE−1DH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長405±5nm)により、ストーファー41段ステップタブレット又は所定のダイレクトイメージング(DI)露光用のマスクパターンを用いて、照度85mW/cm2の条件下で露光した。露光は、前記ストーファー41段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が14段となる露光量で行った。
露光した評価基板のポリエチレンテレフタラートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、最小現像時間の2倍の時間に亘って現像し、硬化レジストパターンを作製した。なお、最小現像時間とは、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間をいう。
現像後はフラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間水洗処理した。
<感度評価>
ラミネート後15分経過した感度評価用基板をストーファー41段ステップタブレットのマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の時間で現像し、最高残膜段数が14段となる露光量によって以下の基準によりランク分けした。
○(良好):露光量が70mJ/cm2以下
△(許容):露光量が70mJ/cm2を超え、80mJ/cm2以下
×(不良):露光量が80mJ/cm2を超える。
ラミネート後15分経過した解像性評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率に対して露光部に+2.6μm、未露光部に−2.6μmの補正が入ったネガラインパターンを有する描画データを使用して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインを形成した。硬化レジストラインが正常に形成されている最小ライン幅のラインを描画したときのライン幅の値を解像性の値として以下の基準によりランクわけした。
例えば、解像性の値が10.4μmであるとき、実際にはライン/スペースが13μm(10.4+2.6μm)/7.8μm(10.4−2.6μm)のパターンを描画したことになる。
○(良好):解像性の値が11μm以下。
△(許容):解像性の値が11μmを超え、13μm以下。
×(不良):解像性の値が13μmを超える。
ラミネート後15分経過した密着性評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:400の比率のラインパターンを有する描画データを使用して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小ライン幅を密着性の値として以下の基準によりランク分けした。
○(良好):密着性の値が11μm以下。
△(許容):密着性の値が11μmを超え、13μm以下。
×(不良):密着性の値が13μmを超える。
ラミネート後15分経過した剥離性評価用基板を、縦5cm、横3cmのベタパターンで露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、評価サンプルを得た。別途、剥離液を準備した。剥離液は、菱光化学株式会社製R−100S(12vol%、R−101(4vol%)の水溶液を50℃として用いた。
評価サンプルを剥離液に浸漬し、硬化膜が基板から剥離するまでの時間を記録し、剥離性の値とした。
○(良好):剥離性の値が45秒以下。
△(許容):剥離性の値が45秒を超え、50秒以下。
×(不良):剥離性の値が50秒を超える。
ニッカン工業NIKAFLEX F−30VC1 25RC11(H)を基材として前処理をせず、上記「(2)評価用サンプルの作製方法」に記載の方法でラミネートした。ラミネート後15分経過した柔軟性評価用基板を、幅42mmのベタパターンで露光した。最小時間の2倍の現像時間で現像した。現像後は、室温23℃、相対湿度50%、の環境で1日放置し調湿し、サンプルを作製した。
柔軟性評価は、円筒形マンドレル法 JIS K5600−5−1に従い、マンドレル試験機により評価した。試験後、評価サンプルの端から10mm以内は無視し、目視または顕微鏡により硬化膜の割れや剥がれを確認した。硬化膜の割れや剥がれが起こるまでマンドレルの直径を小さなものへ変えて行き、最小直径を測定した。4回試験しもっとも小さな最小直径の値を柔軟性の値として以下の基準によりランク分けした。
○(良好):柔軟性の値が3mmΦ以下。
△(許容):柔軟性の値が3mmを超え、4mm以下。
×(不良):柔軟性の値が4mmを超える。
1質量%炭酸ナトリウム水溶液に、1Lあたり25μm膜厚で0.8m2の量の感光性樹脂層を溶解し、30℃とし、現像液を作製した。この現像液400mLを、液面までの高さが容器の底から104mmになるようなシリンダー容器に入れた。シリンダー容器上部から、0.13MPaで、15分間、現像液を現像液液面にスプレーした。
15分間スプレーした直後、容器底から液面までの高さを計測し、スプレー前の容器底から液面までの高さを引いて、発泡性の値とした。
○(良好):発泡性の値が30mm以下。
△(許容):発泡性の値が30mmを超え、35mm以下。
×(不良):発泡性の値が35mmを超える。
ラミネート後15分間経過した水洗耐性評価用基板を、縦10cm、横10cmの範囲にわたってライン/スペース=100/100μmのパターンを有する描画データを使用して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、水洗耐性評価サンプルを得た。
この水洗耐性評価サンプル1枚を、メカニカルスターラーで撹拌しているイオン交換水1Lの中で1分間保持し取り出した。次いで、新たに作成した水洗耐性評価サンプルを同じくイオン交換水1Lに投入し1分間保持し取り出した。このようにして合計100枚の水洗耐性評価サンプルを繰り返しイオン交換水1Lに投入し1分間保持し取り出し、水洗耐性評価溶液Aを得た。
水洗耐性評価溶液Aを濾紙により濾過、乾燥し、濾紙の重量増分を秤量、水洗耐性の値とした。
○(良好):水洗耐性の値が10mg以下。
△(許容):水洗耐性の値が10mgを超え、100mg以下。
×(不良):水洗耐性の値が100mgを超える。
実施例1〜実施例20および比較例1〜比較例5の感光性樹脂組成物を調製する際に用いた成分をそれぞれ表1−1(実施例1〜9)、表1−2(実施例10〜20,比較例1〜5)に、それらのサンプルの評価結果を表1−1、表1−2に併せて示す。
また、実施例1と実施例21〜23について、感光性樹脂組成物を調製する際に用いた成分を表1−3に、それらのサンプルの評価結果を、感光性樹脂組成物100gあたりのエチレン性二重結合のモル数と、水洗耐性についての評価結果と併せて表1−3に示す。
また、表1−1、表1−2、表1−3中に略号で表した成分の名称を表2-1(成分A,B)、表2−2(成分C〜F)に示す。
Claims (19)
- 以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子、
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(D)増感剤
を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、下記一般式(1):
前記(D)増感剤が、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、トリアリールアミン化合物およびオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、かつ、405nmの光を吸収する化合物であること、を特徴とする感光性樹脂組成物。 - 前記感光性樹脂組成物中の固形分100g当たりのエチレン性不飽和二重結合のモル数が0.1〜0.3である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記感光性樹脂組成物中の固形分100g当たりのエチレン性不飽和二重結合のモル数が0.11〜0.15である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)において、AがC3H6である、請求項1から3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)において、n1+n3が1〜20である、請求項1から4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)において、n1+n3が1〜10である、請求項1から5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)増感剤が、ピラゾリン化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)増感剤が、アントラセン化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(D)増感剤が、トリアリールアミン化合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜30質量%含み、
前記(D)増感剤を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して0.05〜2質量%含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。 - 少なくともスチレンおよびメタクリル酸ベンジルを共重合したアルカリ可溶性高分子を、前記(A)アルカリ可溶性高分子全体の50質量%以上含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- ビスフェノールA骨格を有する化合物を、前記(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物全体の40質量%以上含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜17質量%含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記感光性樹脂組成物は、
前記一般式(1)で表される化合物を、前記感光性樹脂組成物の全固形分に対して3〜15質量%含む、請求項13に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記感光性樹脂組成物中の
前記(A)アルカリ可溶性高分子の固形分量に対する(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物固形分量の値は0.7以上1.4以下である、請求項1から14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記感光性樹脂組成物中の
前記(A)アルカリ可溶性高分子の固形分量に対する(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物固形分量の値は0.8以上1.3以下である、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。 - 支持体上に、請求項1〜16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されている、感光性樹脂積層体。
- 以下の工程:
基板上に、請求項17に記載の感光性樹脂積層体をラミネートするラミネート工程、
該感光性樹脂積層体を露光する露光工程、及び
未露光部を除去する現像工程、
を含む、レジストパターンが形成された基板の製造方法。 - 請求項18に記載の方法により製造された基板に対してエッチング又はめっきを施すことにより回路基板を形成する、回路基板の製造方法。
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