JP2008116751A - 感光性樹脂組成物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基を分子内に共に有する化合物より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)特定のピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
このような微細なプラズマディスプレイパネルの隔壁パターンを歩留り良く製造する為に、支持体となるフィルム上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層し、更に必要に応じ保護層を積層した感光性樹脂積層体が多用されている。
特許文献1には、特定のピラゾリン化合物及びトリアリールイミダゾール二量体を含有し、350〜450nmの波長を有する光源に対して、画像形成性に優れ、かつ溶解性及び保存安定性の良好な感光性樹脂組成物の開示が有る。
しかしながら、350〜450nmの波長を有する露光光源に対する感度、解像度、密着性、及びサンドブラスト耐性に優れ、現像液中でのスカム発生量の少ない、アルカリ性水溶液によって現像しうるという全ての特性を満足する感光性樹脂組成物の開示はなかった。
(1) (a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(2)(a)熱可塑性共重合体の共重合成分として、メタクリル酸、メチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを含有することを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)基材上に、(3)記載の感光性樹脂積層体を用いて感光性樹脂層を形成するラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む、レジストパターン形成方法。
(5)前記露光工程において、直接描画して露光する事を特徴とする(4)に記載のレジストパターン形成方法。
(6)(4)又は(5)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基材を、サンドブラストによって加工する工程を含む凹凸パターンを有する基材の製造方法。
(7)前記基材が、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電界ディスプレイパネル用基材、または有機ELのガラスキャップ用基材である(6)に記載の製造方法。
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を必須成分として含む。
(a)熱可塑性共重合体
本発明の感光性樹脂組成物において、(a)熱可塑性共重合体としては、α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000のものを用いる。
熱可塑性共重合体中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液からなる現像液や剥離液に対して、現像性や剥離性を有するために必要である。酸当量は、100〜600が好ましく、より好ましくは200〜400である。溶媒または組成物中の他の成分、特に後述する(b)ポリウレタンプレポリマーや(c)付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上であり、また、現像性や剥離性を維持するという観点から600以下である。ここで、酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する熱可塑性共重合体の質量(グラム)をいう。なお、酸当量の測定は、平沼レポーティングタイトレーター(COM−555)を用い、0.1mol/LのNaOH水溶液で電位差滴定法により行われる。
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−980−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−8025、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF
第一の単量体は、分子中にα,β−不飽和カルボキシル基を含有する単量体である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルがあげられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。中でも、特にメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量は、20〜70質量%の範囲であり、好ましくは、30〜60質量%の範囲である。この量は、アルカリ現像性を維持するという観点から20質量%以上であり、また、露光によって形成されるレジストパターンがサンドブラスト耐性を十分に発揮するという観点から70質量%以下である。
本発明の感光性樹脂組成物において、(b)ポリウレタンプレポリマーとしては、末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基を分子内に共に有する化合物を反応させて得られる、重量平均分子量が2000〜40000のものを用いる。重量平均分子量は、2000〜40000が好ましく、より好ましくは5000〜30000である。サンドブラスト耐性を発揮するという観点から2000以上であり、また、現像性や相溶性を維持するという観点から40000以下である
末端に水酸基を有するポリマーとしては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリオールや、末端水酸基を有する1、4−ポリブタジエン、水添または非水添1、2−ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、末端に水酸基を有するモノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類や、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などの分子内にカルボキシル基を有するジオール等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される熱可塑性重合体の量は、10〜70質量%の範囲であり、好ましくは、20〜60質量%の範囲である。この量は、サンドブラスト耐性を十分に発揮するという観点から10質量%以上であり、また、現像性や相溶性を維持するという観点から70質量%以下である。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる(c)付加重合性モノマーとしては、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和基を有する公知の化合物を使用できる。
例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学製、商品名OE-A 200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、2,2−ビス[{4−(メタ)アクリロキシポリエトキシ}フェニル]プロパン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、及びイソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらは、単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
本発明の感光性樹脂組成物中に含有される(c)付加重合性モノマーの量は、3〜70質量%の範囲であり、より好ましい範囲は10〜60質量%である。この量は、硬化不良、及び現像時間の遅延を抑えるという観点から3質量%以上であり、また、コールドフロー、及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から70質量%以下である。
本発明の感光性樹脂組成物には、(d)光重合開始剤が含まれ、ヘキサアリールビスイミダゾール(以下、トリアリールイミダゾリル二量体、とも言う。)を必須成分とする。
本発明の感光性樹脂組成物に含有される(d)光重合開始剤の量は、0.01〜30質量%の範囲であり、より好ましい範囲は0.05〜10質量%である。十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上が好ましく、また、レジスト底面にまで光を充分に透過させ、良好な高解像性および密着性を得るという観点から30質量%以下が好ましい。
これらは単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、ヘキサアリールビスイミダゾール以外の光重合開始剤を併用することも可能である。このような光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、及びN−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。なお、上述のチオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせとしては、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、及びイソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせがあげられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)ピラゾリン化合物としては、下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物を必須成分とする。
本発明の感光性樹脂組成物において、(e)ピラゾリン化合物は、前述した(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤と併用することによって、増感剤としての効果を発揮する。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前述した成分に加えて、染料、顔料等の着色物質を採用することができる。このような着色物質としては、例えば、フタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、及びダイアモンドグリーン等が挙げられる。
また、露光により可視像を与えることができるように、本発明の感光性樹脂組成物中に発色剤を添加してもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料又は、フルオラン染料とハロゲン化合物との組み合わせが挙げられる。該ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、及びクロル化トリアジン化合物等が挙げられる。
着色物質及び発色剤の量は、感光性樹脂組成物中において、夫々0.01〜10質量%が好ましい。充分な着色性(発色性)が認識できる点から0.01質量%以上、露光部と未露光部のコントラストを有する点と、保存安定性維持の観点から10質量%以下が好ましい。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
また、カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
可塑剤等の添加剤の量としては、感光性樹脂組成物中に、3〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは、5〜20質量%である。現像時間の遅延を抑えたり、硬化膜に柔軟性を付与するという観点から3質量%以上が好ましく、また、硬化不足やコールドフローを抑えるという観点から30質量%以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を添加した感光性樹脂組成物調合液としてもよい。好適な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secとなるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層とその層を支持する支持体からなるが、必要により、感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有していても良い。
ここで用いられる支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要等から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは、5〜100μm、より好ましくは、10〜60μmである。厚みが薄いほど解像度は向上し、また、厚いほど膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
支持体、感光性樹脂層、及び必要により、保護層を順次積層して、本発明の感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、前述の感光性樹脂組成物調合液にしておき、まず支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持体上に該感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。
次いで、必要により、該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作成することができる。
本発明の感光性樹脂積層体を用いたレジストパターンは、ラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む工程によって形成することができる。具体的な方法の一例を示す。
まず、ラミネーターを用いてラミネート工程を行う。感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。この場合、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートしても良いし、必要に応じて両面にラミネートしても良い。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また、該加熱圧着を二回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性が向上する。この時、圧着は二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用しても良いし、何回か繰り返してロールに通し圧着しても良い。
次に、露光機を用いて露光工程を行う。必要ならば支持体を剥離しフォトマスクを通して活性光により露光する。露光量は、光源照度及び露光時間より決定される。光量計を用いて測定しても良い。
次に、現像装置を用いて現像工程を行う。露光後、感光性樹脂層上に支持体がある場合にはこれを除く。続いてアルカリ水溶液からなる現像液を用いて未露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。アルカリ水溶液としては、Na2CO3、またはK2CO3等の水溶液が好ましい。これらは感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2〜2質量%の濃度のNa2CO3水溶液が一般的である。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。なお、現像工程における該現像液の温度は、20〜40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なるサンドブラスト耐性向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、または遠赤外線等の方式の加熱炉を用いることができる。
前述のレジストパターン形成方法によって、サンドブラスト工法によりレジストパターンを基材に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。
基材としては、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料などが挙げられる。これらは、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電解ディスプレイ用基材、有機EL用のガラスキャップ用基材である。これらガラス等の基材上に、前述のレジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基材から除去する剥離工程を経て、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材とすることができる。上前記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材は公知のものが用いられ、例えばSiC,SiO2 、Al2 O3 、CaCO3、ZrO、ガラス、ステンレス等の2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
最初に実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明し、次いで、得られたサンプルについての評価方法およびその評価結果を示す。
実施例及び比較例における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す組成の感光性樹脂組成物及び溶媒をよく攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは40μmであった。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
表1における略号で表わした感光性樹脂組成物調合液中の材料成分の名称を表2に示す。なお、比較例1〜4は、本発明に用いられる(e)ピラゾリン成分を含まない組成物である。また、比較例5〜7は、本発明に用いられるヘキサアリールビスイミダゾールを含まない組成物である。
被加工基材は3mm厚みのソーダガラス及び以下の方法で作製したガラスペースト塗工済みソーダガラスの2種類を用いた。3mm厚みのソーダガラス上に、プラズマディスプレイ用ガラスペーストをスクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥しガラスペースト塗工済みソーダガラスを作製した。
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した被加工基材にホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
<露光>
直接描画式露光装置(日立ビアメカニクス(株)製、DI露光機DE−1AH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長407±3nm)により下記の感度評価によってステップタブレット段数が7となる露光量で露光した。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の0.4質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
<サンドブラスト>
被加工基材上に形成されたレジストパターンに対し、Xハイパーブラスト装置HCH−3X7BBART−411M(不二製作所(株)製)を用いて、サンドブラスト加工を施した。研磨剤にS9#1200(不二製作所(株)製)を使用し、ホース内圧0.08MPa、ガン移動速度20m/min.、コンベア移動速度100mm/min.、研磨剤噴射量500g/min.とした。
(1)感度評価
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、透明から黒色に21段階に明度が変化しているストーファー製21段ステップタブレットを用いて露光した。露光後、最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、レジスト膜が完全に残存しているステップタブレット段数が7である露光量により、次の様にランク分けした。
○:露光量が150mJ/cm2以下。
△:露光量が150mJ/cm2を超え、200mJ/cm2以下。
×:露光量が200mJ/cm2を超える。
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を解像度の値とした。
○:解像度の値が70μm以下。
△:解像度の値が70μmを超え、90μm以下。
×:解像度の値が90μmを超える。
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:5の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を密着性の値とした。
○:密着性の値が50μm以下。
△:密着性の値が50μmを超え、70μm以下。
×:密着性の値が70μmを超える。
ラミネート後15分経過したサンドブラスト用被加工基材を、露光部と未露光部の幅が1:5の比率のラインパターンマスクを通して露光し、最小現像時間の1.6倍の現像時間で現像した。次いで、サンドブラスト加工を行い、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたりせずに正常に形成されている最小マスクライン幅をサンドブラスト耐性の値とした。
○:サンドブラスト耐性の値が60μm以下。
△:サンドブラスト耐性の値が60μmを超え、80μm以下。
×:サンドブラスト耐性の値が80μmを超える。
感光性樹脂層を0.02m2取り出し、0.4質量%炭酸ナトリウム水溶液200mlに加え、撹拌機にて常温で2時間撹拌し、一昼夜放置した。得られた現像液をろ紙で濾過し、十分に乾燥した後、ろ紙上に残留したスカムの質量を秤量し、スカム発生量の値とした。
◎:スカム発生量の値が50mg以下。
○:スカム発生量の値が50mgを超え、100mg以下。
△:スカム発生量の値が100mgを超え、200mg以下。
×:スカム発生量の値が200mgを超える。
感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がし、UV−visスペクトロメーター(島津製作所(株)製、UV−240)を用いて、波長600nmの光の透過率を測定した。この際、スペクトロメーターのリファレンス側に該感光性樹脂積層体に用いたのと同じポリエチレンテレフタレートフィルムを入れて、ポリエチレンテレフタレートフィルム由来の透過率をキャンセルした。温度50℃、湿度60%で3日間保存した感光性樹脂積層体の透過率と、温度23℃、湿度50%で3日間保存した同じ感光性樹脂積層体の透過率を比較し、その差により下記の様にランク分けした。
○:600nmにおける透過率の差が±10%未満
×:600nmにおける透過率の差が±10%以上
実施例及び比較例の評価結果は表1に示した。
Claims (7)
- (a)α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む、酸当量で100〜600、重量平均分子量が5000〜500000の熱可塑性共重合体:20〜70質量%、(b)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、ポリイソシアネートと、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和基とを分子内に共に有する化合物、より得られるポリウレタンプレポリマー:20〜70質量%、(c)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する付加重合性モノマー:3〜70質量%、(d)ヘキサアリールビスイミダゾールを含む光重合開始剤:0.01〜30質量%、及び(e)下記一般式(I)で示されるピラゾリン化合物:0.001〜10質量%、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 前記(a)熱可塑性共重合体の共重合成分として、メタクリル酸、メチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートを含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜2のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を支持体上に積層してなる感光性樹脂積層体。
- 基材上に、請求項3記載の感光性樹脂積層体を用いて感光性樹脂層を形成するラミネート工程、露光工程、及び現像工程を含む、レジストパターンの形成方法。
- 前記露光工程において、直接描画して露光する事を特徴とする請求項4に記載のレジストパターンの形成方法。
- 請求項4又は5に記載の方法によってレジストパターンを形成した基材を、サンドブラストによって加工する工程を含む凹凸パターンを有する基材の製造方法。
- 前記基材が、プラズマディスプレイパネル用基材、表面電界ディスプレイパネル用基材、または有機ELのガラスキャップ用基材である請求項6に記載の製造方法。
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