JP6975037B2 - 環状ポリエーテルエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
環状化合物を架橋材料とした先行研究として、シクロデキストリンにポリマーを貫通させたロタキサンを環動ゲルが報告されている。しかし、調整に複数の反応を要し、かつ、環のサイズが限定されている(例えば特許文献2参照)。
[一般式(1)において、R1は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。R1の水素原子は、ハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X1は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y1及びY2は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。;A1は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A1の水素原子はハロゲノ基で置換されていてもよい。;n1は、0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R1、A1、X1、Y1及びY2、n1が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、一般式(1)で表される基のみから化合物(P)が構成される場合、全てのX1がカルボニル基、かつ、全てのY1が酸素原子である場合を除く。]
[一般式(2)において、R2は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。R2の水素原子はハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X2は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y3、Y4、Y5及びY6は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基であり;A2及びA3は、それぞれ独立に、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。;n2及びn3は、それぞれ独立に0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R2、A2及びA3、X2、Y3〜Y6、n2及びn3が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(3)において、R3は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基であり。R3の水素原子はハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X3及びX4は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基であり;Y7及びY8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基であり;A4は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A4の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。;Zは、一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(5)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。;n4及びmは、それぞれ独立に0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R3、A4、X3及びX4、Y7及びY8、Z、n4が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。]
[一般式(5)中、Y9は、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。A5は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A5の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。n5は、0以上の整数である。]
<関係式(1)>
30<a+b+c+d≦2000 関係式(1)
[関係式(1)において、aは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y1−A1)で表される基の平均付加モル数であり;bは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y3−A2)で表される基の平均付加モル数と、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(A3−Y6)で表される基の平均付加モル数であり;cは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y7−A4)で表される基の平均付加モル数であり;dは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y9−A5)で表される基の平均付加モル数である。]
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の飽和炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、デシル、ドデシル基等)、1価の脂環式飽和炭化水素基(シクロヘキシル基)、芳香脂肪族炭化水素基(ベンジル基等)及び1価の芳香族炭化水素基(フェニル基等)等が挙げられる。
また、n1、n2、n3、n4及びn5は、関係式(1)を満たす。
<関係式(1)> 30<a+b+c+d≦2000 関係式(1)
また、bは、環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y3−A2)で表される基の平均付加モル数と、環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(A3−Y6)で表される基の平均付加モル数との合計値である。
なお、環状ポリエーテルエステル化合物(P)が、一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、Zが一般式(2)で表される基である場合、このZにおけるn2及びn3も合計してbの値を求める。
また、cは、環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y7−A4)で表される基の平均付加モル数である。dは、環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y9−A5)で表される基の平均付加モル数である。
1.まず、後述するマトリックス支援レーザー脱離イオン化法による飛行時間型質量分析(以降、MALDI−TOF MS)によって、各ピークに対応する環状化合物の繰り返し単位数と付加モル数を特定する。
ここでMALDI−TOF MSスペクトルにおけるi番目のピーク強度をIiとし、当該ピークの繰り返し単位数をJi、付加モル数をKiとする。この時のi番目のピークの繰り返し単位当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数Ki(平均)は関係式(2)で表される。
<関係式(2)>
Ki(平均)=Li/Ji 関係式(2)
2.MALDI−TOF MSスペクトルの全環状ポリエーテルエステル化合物(P)についてピーク強度に基づき平均値を算出する。
平均値は関係式(3)で表される。
<関係式(3)>
a+b+c+d= [ΣKi(平均)×Ii] /ΣIi=[ΣLi/Ji×Ii] /ΣIi 関係式(3)
本発明では断りのない限りMALDI−TOF MSスペクトルに基づき「a+b+c+d」の値を決定している。
<関係式(4)>
a+b+c+d=[環状ポリエーテルエステル化合物の数平均分子量(GPC測定値)]/[ 分子量比較用の環状化合物の数平均分子量(GPC)]×[比較用環状化合物の「a+b+c+d」の値] 関係式(4)
また、「a+b+c+d」は、環状ポリエーテルエステル化合物(P)を添加した樹脂組成物の伸び及び強度を両立させる観点から、31以上1500以下であることが好ましく、更に好ましくは50以上500以下、特に好ましくは50以上200以下である。
なお、上記の合計数について、環状ポリエーテルエステル化合物(P)が一般式(3)で表される基を構成単位として有し、かつ、mが0でなく、即ち一般式(3)中に、一般式(1)で表される基及び/又は一般式(2)で表される基を有している場合、その数も合計して計算する。
本発明の環状ポリエーテルエステル化合物(P)として好ましいものとしては、具体的に、一般式(1)において、Y1及びY2が酸素原子であり、A1がエチレン基、プロピレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R1がトリメチレン基、ペンタメチレン基、テトラデカメチレン基又はビニレン基であり、X1がスルホニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物が挙げられる。
また、一般式(2)において、Y3、Y4、Y5及びY6が酸素原子であり、A2及びA3がプロピレン基、エチレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R2がエチレン基、プロピレン基又はビニレン基であり、X2がカルボニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
また、一般式(3)において、Y7及びY8が酸素原子であり、A4がプロピレン基、エチレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R3がエチレン基、プロピレン基又はビニレン基であり、mは0以上の整数であり、X3及びX4がカルボニル基である基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
また、一般式(3)中のmの値は、環状化合物(B)として、後述の一般式(6)で表される化合物を使用し、更に環状化合物(B)として、後述の一般式(7)で表される化合物及び/又は後述の一般式(8)で表される化合物を併用することによって調整できる。
なお、環状ポリエーテルエステル化合物(P)のn1〜n5の値及びmの値は、Polym.Chem.,2014,5,6905.に記載のMALDI−TOF MSにより分析し、確認することが出来る。
環状ポリエーテルエステル化合物(P)のMnはアルキレン化合物の付加モル数を調整すること等によって、上記の好ましい範囲にすることができる。
・装置:「TOSOH ECO HLC−8320 GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「Guardcolumn Super AW−H」(1本)、「TSKgel SuperAW2500、TSKgel SuperAW3000、TSKgel SuperAW4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.125重量%のDMF(LiBr0.01mol/L)溶液
・溶液注入量:20μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレンオキサイド
[一般式(6)において、R5は炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R5の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X5は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y10は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
[一般式(7)において、R6は炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R6の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X6は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y11及びY12は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
[一般式(8)において、R7は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R7の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X7及びX8は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y13は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
例えば、環状化合物(B)としてγ−ブチロラクトンを用い、環状化合物(C)としてエチレンオキサイドを用いた場合は、一般式(1)において、Y1が酸素原子であり、A1がエチレン基であり、Y2が酸素原子であり、R1がトリメチレン基であり、X1がカルボニル基である下記化学式(9)で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状化合物が生成する。
例えば上記の通り、環状化合物(B)としてγ−ブチロラクトンを用い、環状化合物(C)としてエチレンオキサイドを用いた場合は、下記化学式(10)で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状ポリエーテルエステル化合物(P)が生成する。
そして、この環状ポリエーテルエステル化合物(P)2分子が上記の開裂反応及び挿入付加反応した場合、この2価の基を1分子中に2個有する環状化合物が生成する反応、また、この環状化合物3分子が反応し、この2価の基を1分子中に3個有する環状化合物が生成する反応等も生じる。
また、一般式(6)で表される環状化合物、一般式(7)で表される環状化合物及び一般式(8)で表される環状化合物の配合量に応じて、これら環状化合物から開環反応によって生じた2価の基を4個以上有する環状ポリエーテルエステル化合物(P)を得ることができる。
また、一般式(6)で表されるラクトンの代わりとして、カルボニル構造を2つ以上含むラクトンとしてはD、L及びD/L−ラクチド、ポリ−εカプロラクトン等も好適に用いることができる。
反応性の観点から、β−ラクトン(β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、テトロン酸、大環状ラクトン(15−ペンタデカノラクトン)及び芳香族ラクトン(3,4−ジヒドロクマリン)が挙げられ、特に好ましくはγ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)が好ましい。
これらのラクトンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応性の観点から、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,5−ペンタンスルトン、1,6−ヘキサンンスルトン、1,7−ヘプタンスルトン、1,8−オクタンスルトン、1,9−ノナンスルトン、1,10−デカンスルトン、1,11−ウンデカンスルトン、1,12−ドデカンスルトンが挙げられ、特に好ましくは1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,5−ペンタンスルトン、1,6−ヘキサンスルトンが好ましい。
反応性の観点から、β−ラクタム(β−プロピオラクタム、β−ブチロラクタム等)、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム等)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム等)、ε−ラクタム(ε−カプロラクタム等)、長鎖アルキル基を有するラクタム(γ−エナントラクタム、γ−ウンデカノラクタム、γ−ドデカラクタム及びδ−ドデカノラクタム等)、N位に置換基を有するラクタム(N−メチル−γ−ブチロラクタム、N−アリル−γ−ブチロラクタム、N−ビニル−γ−ブチロラクタム、N−プロパギル−γ−ブチロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アリル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−プロパギル−ε−カプロラクタム)、γ−クロトノラクタム、α−メチレン−γ−ブチロラクタム、γ−メチレン−γ−ブチロラクタムが好ましい。また、副生物低減の観点からN位に置換基を有するラクタム(N−メチル−γ−ブチロラクタム、N−アリル−γ−ブチロラクタム、N−ビニル−γ−ブチロラクタム、N−プロパギル−γ−ブチロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アリル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−プロパギル−ε−カプロラクタム)、γ−クロトノラクタムが好ましい。
また、副生物低減の観点から、N−メチルコハク酸イミド、N−メチル−3,3−ジエチルコハク酸イミド、N−メチルマレイン酸イミド、N−メチルフタル酸イミド、N−メチルトリメリット酸イミド、N−メチルグルタル酸イミド、3、N−メチル−3,5−ジメチルグルタル酸イミド、N−メチル−3,3−テトラメチレングルタル酸イミド、3−アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン−2,4−ジノン及びN−メチル3−アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン−2,4−ジノン等が好ましい。
例えば、一般式(6)で表される化合物は、R5で表される基の片末端に、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基(例えばX5がカルボニル基の場合はカルボキシ基)を結合させ、R5で表される基の反対側の末端に、Y10で表される基と水素原子とが結合した1価の基(例えばY10基が酸素原子の場合は、水酸基)を結合させた化合物を用い、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基、及びY10で表される基と水素原子とが結合した1価の基を分子内縮合することで、得ることができる。
分子内脱水してラクトン等を合成する方法としては、公知の方法で加熱脱水する方法、J.S.Nimitz,R.H.Wollemberg,Tetrahedron Lett.1978,19,3523に記載方法、及びリパーゼ等の酵素を用いる方法の公知の合成方法を用いることができる。
炭素数4〜22のモノヒドロキシモノカルボン酸としては、炭素数4〜22の直鎖ヒドロキシカルボン酸(3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸及び4−ヒドロキシ−2−ブテン酸等)及び炭素数3〜22の分岐ヒドロキシカルボン酸(3−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシトリデカン酸、2−メチレン−4−ヒドロキシ酪酸、4−フェニル−4−ヒドロキシ酪酸、2,2−ジメチル−4−ヒドロキシ酪酸、4−ヘキシル−4−ヒドロキシ酪酸及び4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブテン酸等)等が挙げられる。
前記の炭素数4〜22のモノヒドロキシモノカルボン酸のうち、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つがハロゲノ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2−ブロモ−4−ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、アセチル基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2−アセチル−4−ヒドロキシブタン酸等が挙げられ、アルコキシ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2−メトキシ−4−ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、フェノキシ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2−フェニル−4−ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
これらの内、反応性の観点から、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,2−ヘキシレンオキサイドが好ましく、更に好ましくは、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキシド及びエピクロルヒドリンである。
炭素数2〜8の環状エーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド、エピクロロチオサルファイド、エピブロモチオサルファイド及びパークロロプロピレンサルファイドが好ましく、更に好ましくはエチレンサルファイド、エピクロロチオサルファイド、エピブロモチオサルファイド及びパークロロプロピレンサルファイド、特に好ましくはエチレンサルファイド、及びパークロロプロピレンサルファイドである。
炭素数2〜8の環状チオエーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から、エチレンイミン、エピクロロイミン及びエピブロモイミンが好ましい。
炭素数2〜8の環状イミンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
反応工程で用いる触媒としては、金属(ホウ素、錫、ニッケル、亜鉛及びアルミニウム等)のハロゲン化物、無機酸(硫酸及びリン酸等)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物、アミン化合物(ジエチルアミン及びトリエチルアミン等)、ホスファゼン、複合金属シアン化物錯体触媒(特開2005−53952号公報及び特開2016−6203号公報等に記載された亜鉛ヘキサシアノコバルテート等の2種類の金属を分子内に含有する金属錯体触媒等)、特開2000−354763号公報に記載された酸化物複合体、アルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物(D1)及び層状複水酸化物並びにその焼成物等を用いて行うことができる。
これらの内、反応効率の観点から好ましいのは、アルミニウム(以下、Al記載する)とマグネシウム(以下、Mgと記載する)との複合酸化物(D1)の焼成物及びAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物である。
<組成式11>
〔aMgO・Al2 O3 ・bH2O〕
<組成式12>
〔MgsAltOu〕
組成式(12)において、s、t及びuは、それぞれ独立の正数である。
反応性の観点から、s/tは0.1以上0.9未満であることが好ましい。複合酸化物(D1)としては、2.5MgO・Al2 O3 ・bH2O及びMg0.7Al0.3O1.15等が挙げられ、それぞれキョーワード300[協和化学工業(株)製]及びキョーワード2000[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
<組成式(13)>
〔Mg1−cAlc(OH)2 〕c+ 〔CO3c/2 ・dH2 O〕c−
これらの内、反応性の観点から好ましいのは複合酸化物(D1)であり、更に好ましいのは2.5MgO・Al2 O3 ・nH2O(nは正数)及びMg0.7Al0.3O1.15である。
なお、複合酸化物(D1)又はAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物は以降、触媒(D’)と記載する。
溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、N−メチルピロリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、O−ジクロロベンゼン、及びクロロホルム等が挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、環状化合物(B)及び環状化合物(C)等との混和性と留去のしやすさの観点から、トルエン及びキシレンが好ましい。
本反応工程に用いる溶剤の重量は、反応速度等の観点から、環状化合物(B)と環状化合物(C)と触媒との合計重量に対して、0〜90重量%が好ましく、更に好ましくは0〜60重量%である。
また、上記の温度とする時間は、1〜200時間が好ましい。
反応装置としては撹拌装置及び加熱装置の付属した混合容器(スターラー付きフラスコ及びオートクレーブ等)等の公知の反応装置を用いることができる。
上記の精製工程により、特定の構造を有する環状ポリエーテルエステル化合物(P)のみを抽出することができる。
これらの中でも、環状ポリエーテルエステル化合物(P)との相溶性の観点から、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アミドが好ましい。
これらの高分子は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、ポリウレタンは主鎖の末端に、イソシアネート基、カルボキシ基及び水酸基等を有しており、ポリエステルは主鎖の末端に、カルボキシ基及び水酸基等を有しており、ポリエーテルは主鎖の末端に、水酸基を有している。
高分子化合物(E)の数平均分子量は、以下のGPCを用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel
SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
架橋剤(G)としては、2官能以上の反応性置換基をもつ化合物であれば特に制限はなく、グリセリン、ポリイソシアネート化合物、ジアクリレート化合物等が挙げられる。
例えば、環状ポリエーテルエステル化合物(P)が、ポリオキシプロピレン鎖を有する場合、高分子化合物(E)としては、ポリオキシプロピレン鎖を有する高分子化合物(ポリプロピレンオキシド等)を用いることが好ましい
また、環状ポリエーテルエステル化合物(P)が、ポリオキシエチレン鎖を有する場合、高分子化合物(E)としては、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子化合物(ポリエチレングリコール等)を用いることが好ましい。
粉末X線回折の測定においては、既知のロタキサンが示す回折ピークと比較の比較をすることで、ロタキサン生成の有無、即ち、環状ポリエーテルエステル化合物(P)の環成分を軸成分である高分子化合物(E)が貫通したか否かを確認することができ、NMRスペクトルにより、高分子化合物(E)1分子に対して貫通する環状ポリエーテルエステル化合物(P)の数を算出することができる。
前記高分子化合物(E)製造方法の内、反応時において環状ポリエーテルエステル組成物(Q)の劣化等を抑制し、樹脂の物性を維持する観点から、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの重縮合反応(以下ウレタン化反応)、及び不飽和二重結合(ビニル基、(メタ)アクリル基)をもつモノマーのラジカル重合反応(以下ラジカル重合)が好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ドデカメチレンジイソシアネート、炭素数11〜17の脂環式ポリイソシアネート[ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルプロパンジイソシアネート等]等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、Α,Α,Α’,Α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
その他の変成ジイソシアネートの例として、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
これらの内、反応性の観点から芳香族ポリイソシアネートが好ましく、特に好ましくは1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。
これらのうち、環状化合物との相溶性の観点から、好ましいものは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイドであり、特に好ましいのはプロピレンオキサイドである。
(1)単官能モノマー
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、2,3−ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、n−ドコシル(メタ)アクリレート、n−テトラコシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサイコシル(メタ)アクリレート、n−オクタイコシル(メタ)アクリレート、n−トリアコンチル(メタ)アクリレート、n−ドトリアコンチル(メタ)アクリレート、n−テトラトリアコンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキサトリアコンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート及びEO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等が挙げられる。
好ましい単官能モノマーの具体例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、4−n−ブチルシクロへキシルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、ブトキシメチルアクリレート、メトキシプロピレンモノアクリレート、アルコキシメチルアクリレート、アルコキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリンが挙げられる。
エチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのC2〜C4のアルキレンオキサイド1〜30モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのC2〜C4のアルキレンオキサイド1〜30モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは前記のポリオールに対して前記のポリイソシアネートを反応させたのち、更に水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を公知の反応させることで得られる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品や(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのウレタン(メタ)アクリレートの内、反応性と環状ポリエーテルエステル化合物(P)と相溶性の観点から、好ましいのは2−ヒドロキシエチルアクリレートとポリオールをポリイソシアネートで結合したウレタンアクリレートである。
環状ポリエーテルエステル組成物(Q)の重合前の重量%は、樹脂の強度と伸びを両立する観点から、1〜50%が好ましく、更に好ましくは、1〜20%、特に好ましくは5〜10%である。開始剤の重合前の重量%は、重合効率を向上させるとともに、重合後の品質低下を抑制する観点から、0.01〜20%が好ましく、更に好ましくは0.01〜10%、特に好ましくは0.01〜5%である。
これらのうち硬化物の着色防止の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
これらのうち、これらのうち硬化物の着色防止の観点から、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリルが好ましい。
よって、従来のロタキサンと同様に、コーティング剤等に添加して自己修復性成分として用いることができる。
また従来のロタキサンと同様に、水等の溶媒を吸収させたゲルを衝撃吸収性材料及び細胞培養基材等の医療材料用の機能性材料として用いることができる。
「キョーワード300」〔化学式:2.5MgO・Al2 O3 ・nH2 O(nは正数)、協和化学工業(株)製〕を電気炉にて窒素気流下900℃で24時間加熱処理し、焼成物を調整して実施例1〜20に用いる触媒を合成した。
表1に記載の工程1〜4をそれぞれ行って実施例1〜20にかかる本発明の環状化合物の中間体を合成し、中間体を含む反応混合物を下記の方法で精製することで本発明の環状化合物を得た。なお、表1及び表2の各実施例にかかる工程が工程1だけの実施例では工程1で得られた中間体を、工程2まで記載された実施例では工程2で得られた中間体を、工程3まで記載された実施例では工程3で得られた中間体を、工程4まで記載された実施例では工程4で得られた中間体を下記の方法で精製することで各請求項にかかる本発明の環状化合物を得た。
工程1〜4と精製工程においては、それぞれ下記の操作を行った。
(工程1):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに表1に記載の原料及び製造例1で得た触媒をそれぞれ表1に記載の部数導入し、減圧(ゲージ圧−0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで表1に記載の中間体(PP‐_‐1)を得た。なお、PP-_‐1におけるアンダーバー( _ )部分には実施例の番号と同じ数字が入り、その実施例で得られた中間体であることを表す。(以下同様。)
(工程2):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに工程1で得られた中間体と製造例1で得た触媒を表1に記載の部数導入し、減圧(ゲージ圧−0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで表1に記載の中間体(PP‐_‐2)を得た。
なお、実施例3における本工程2では、オートクレーブに工程1で得られた中間体と製造例1で得た触媒を導入した後、さらにキシレン100部を加えてから窒素通気、昇温、アルキレンオキサイドの反応、熟成を行った。
(工程3):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに工程2で得られた中間体と製造例1で得た触媒を表1に記載の部数導入し、減圧(ゲージ圧−0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで表1に記載の中間体(PP‐_‐3)を得た。
(工程4):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに工程3で得られた中間体と製造例1で得た触媒を表1に記載の部数導入し、減圧(ゲージ圧−0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで表1に記載の生成中間体(PP‐_‐4)を得た。
各中間体20部にトルエン100部を加えて50℃に温調し、均一に攪拌した後、濾過助剤であるラヂオライト#700[昭和化学工業(株)製]5部及びキョーワード600[協和化学工業(株)製]5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール20部を加えて撹拌し、水100部を加えて再沈殿させ、デカンデーションによって沈殿物を分離し、更に沈殿物を減圧乾燥することで、環状化合物(P−1)〜(P−13)、(P−15)〜(P−20)を得た(精製工程1とする。)。実施例14においては前記の方法において、キシレンを減圧留去して濃縮した後、濃縮物にメタノール100部、キシレン100部加えて撹拌し、メタノール層を抽出した後にメタノールを減圧留去し、濃縮することで環状化合物(P−14)を得た(精製工程2とする。)。
なお、化学式(11)において、nは整数であり、kは1〜3の整数であり、Aはメチルエチレン基である。
特開2016−175898号公報の実施例1の方法に従って比較用の環状化合物(HP−1)である、15−ペンタデカノラクトンのエチレンオキサイド(6モル)付加物を合成した。
サンニックスGH−3000NS[3官能基ポリプレピレンポリオール(水酸基価:56)、三洋化成工業(株)製]を表3に示す部数でコロネートT−80(東ソー株式会社製)と窒素雰囲気下100℃で反応させ、主剤を調整した。
次いで、表3に記載の部数で、サンニックスGH−3000NSに、各環状ポリエーテルエステル化合物(P)を80℃で溶解させ硬化剤を調整した。
調製した硬化剤の全量を、調製した主剤の全量に100℃で加え、均一に攪拌した後、型枠に流し込み、80℃で10時間硬化させてウレタンエラストマー(E−1)及び環状ポリエーテルエステル化合物(P)を含有する樹脂組成物(F1−1)〜(F1−20)を得た。
実施例20において環状化合物(P−20)を比較用の環状化合物(HP−1)に変更した以外は同様の操作を行い、ウレタンエラストマー(E−1)を含有する比較用の樹脂組成物(F1’−1)を得た。
実施例20において環状化合物(P−20)を加えない以外は同様の操作を行い、ウレタンエラストマー(E−1)を含有する比較用の樹脂組成物(F1’−2)を得た。
測定結果を表4に示す。測定は引っ張り速度10cm/分、湿度50%、温度25℃で行った。
これは、ポリウレタン(E−1)が、環状ポリエーテルエステル化合物(P)を貫通し、複合構造を形成していることが原因と考えられる。
ラジカル硬化性の樹脂組成物を表5に記載の通りに配合した。
アクリルモノマーは、ファンクリルFA−THFA[日立化成工業(株)製]及びNKエステルA−PTMG−65[新中村化学工業(株)製]を用いた。ラジカル開始剤は、イルガ184[商品名、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製]、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) [東京化成工業(株)製、以下ADVN]を用いた。
超高圧水銀灯の光を10分かけて1000mJ/cm2照射してUV硬化をおこない実施例41及び比較例4〜5にかかる樹脂組成物(F2−1、F2’−1、F2’−2)を得た。
70℃に温調した循風乾燥機にて5時間加熱して熱硬化をおこない実施例42及び比較例6〜7にかかる樹脂組成物(F2−2、F2’−3、F2’−4)を得た。
一方、実施例2で得た環状化合物(P−2)を含有する熱硬化樹脂組成物(F2−2)は、付加モル数の少ない比較用の環状化合物(HP−1)を含有する樹脂組成物(F2’−3)及び環状ポリエーテルエステル化合物(P)を含有しない比較用の樹脂組成物(F2’−4)と比較して、破断強度が向上した
これは、ポリアクリレート(E−2)が、環状ポリエーテルエステル化合物(P)を貫通し、複合構造を形成していることが原因と考えられる。
Claims (5)
- 一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として結合し、関係式(1)を満たす環状ポリエーテルエステル化合物(P)を含む環状ポリエーテルエステル組成物(Q)。
[一般式(1)において、R1は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。R1の水素原子は、ハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X1は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y1及びY2は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。;A1は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A1の水素原子はハロゲノ基で置換されていてもよい。;n1は、0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R1、A1、X1、Y1及びY2、n1が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、一般式(1)で表される基のみから化合物(P)が構成される場合、全てのX1がカルボニル基、かつ、全てのY1が酸素原子である場合を除く。]
[一般式(2)において、R2は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。R2の水素原子はハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X2は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y3、Y4、Y5及びY6は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基であり;A2及びA3は、それぞれ独立に、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。;n2及びn3は、それぞれ独立に0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R2、A2及びA3、X2、Y3〜Y6、n2及びn3が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(3)において、R3は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基であり。R3の水素原子はハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X3及びX4は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基であり;Y7及びY8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基であり;A4は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A4の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。;Zは、一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(5)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。;n4及びmは、それぞれ独立に0以上の整数である。;環状ポリエーテルエステル組成物(Q)において、R3、A4、X3及びX4、Y7及びY8、Z、n4が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。]
[一般式(5)中、Y9は、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。A5は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。A5の水素原子は、ハロゲノ基で置換されていてもよい。n5は、0以上の整数である。]
<関係式(1)>
30<a+b+c+d≦2000 関係式(1)
[関係式(1)において、aは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y1−A1)で表される基の平均付加モル数であり;bは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y3−A2)で表される基の平均付加モル数と、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(A3−Y6)で表される基の平均付加モル数であり;cは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y7−A4)で表される基の平均付加モル数であり;dは、前記環状ポリエーテルエステル化合物(P)に含まれる全ての(Y9−A5)で表される基の平均付加モル数である。] - 一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、R1、R2及びR3がそれぞれ独立に、炭素数3〜16の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜16の分岐アルキレン基であり、A1、A2、A3、A4及びA5がそれぞれ独立に、フェニルエチレン基、炭素数2〜4の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜4の分岐アルキレン基である請求項1に記載の環状ポリエーテルエステル組成物。
- 一般式(6)で表される環状化合物(R)、一般式(7)で表される化合物(S)及び一般式(8)で表される化合物(T)からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(B)と、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2〜8の環状エーテル、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2〜8の環状チオエーテル及び水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2〜8の環状イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(C)とを反応させる工程を含む請求項1又は2に記載の環状ポリエーテルエステル組成物の製造方法。
[一般式(6)において、R5は炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R5の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X5は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y10は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
[一般式(7)において、R6は炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R6の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X6は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y11及びY12は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
[一般式(8)において、R7は、炭素数2〜21の2価の炭化水素基である。また、R7の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X7及びX8は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y13は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。] - 前記環状化合物(B)と前記環状化合物(C)とを反応させる前記工程が、アルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物(D1)の焼成物及び/又はアルミニウムとマグネシウムを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物の存在下で行う工程である請求項3に記載の環状ポリエーテルエステル組成物の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の環状ポリエーテルエステル組成物及び高分子化合物(E)を含有する樹脂組成物(F)。
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