JP5209387B2 - 変性液状ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ブタジエンを1,2−結合で重合させて得られる高分子鎖又は水添された高分子鎖を有し、かつ分子内に水酸基を有する高分子の該水酸基をアクリロイル基やメタクリロイル基等の重合性官能基で修飾した液状ポリブタジエン(メタ)アクリレートを用いた光学器械や精密機械等の接着剤等が開示されている。
また、特許文献2には、紫外線反応性液状ポリマー、紫外線反応性基を有する化合物により表面が処理されたフィラー、及び光重合開始剤を含有してなる紫外線硬化性組成物が提案されている。
そして、特許文献3には、メタクリロイル変性液状ポリイソプレン15〜95質量%、(メタ)アクリレートオリゴマー0〜20質量%及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー1〜85質量%の合計100質量部に対し、光ラジカル重合開始剤0.3〜20質量部、有機増粘剤0.5〜10質量部、無機充填剤0〜30質量部及び安定化剤0.05〜5質量部を含む光硬化性シール材用組成物が開示されている。
特許文献4には、炭化水素系溶媒中でジリチウム開始剤により重合され、かつ該重合体の主鎖及び/又は側鎖に、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、加水分解によりシロキサン結合を形成することにより重合体が架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有する変性共役ジエン系重合体を含有してなる硬化性組成物が提案されている。
さらに、特許文献5には、末端に(メタ)アクリロイル基を有する反応性ポリマー20〜90質量%及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー80〜10質量%の合計100質量部に対し、光ラジカル重合開始剤0.1〜10質量部を含む光硬化性シール材用組成物が開示されている。
しかしながら、これらの組成物の製造には、いずれも液状又は固体ポリマーの溶液中で光硬化性官能基を液状又は固体ポリマーに導入し、脱溶媒を繰り返すため、光硬化性組成物として用いられ得る変性液状ゴム組成物の製造が非常に煩雑であり、生産性が低かった。
すなわち、本発明は、
1.分子鎖の末端に水酸基が導入された水酸基含有液状ゴムを有機溶媒で希釈して水酸基含有液状ゴム溶液を得る工程、該水酸基含有液状ゴム溶液に、重合性モノマーを混合して、水酸基含有液状ゴム組成物溶液を得る工程、該水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にアリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基Aを導入して変性液状ゴム組成物溶液を得る工程、及び該変性液状ゴム組成物溶液中の有機溶媒を除去する工程を含む変性液状ゴム組成物の製造方法であって、該液状ゴムがジリチウム化合物を重合開始剤として用いたアニオン重合により合成してなり、かつ該水酸基含有液状ゴム溶液と該重合性モノマーを(水酸基含有液状ゴム/重合性モノマー)質量比として(85/15)〜(15/85)にて混合することを特徴とする変性液状ゴム組成物の製造方法、
2.前記水酸基含有液状ゴム溶液に前記重合性モノマーを加えて前記水酸基含有液状ゴム組成物溶液を得た後、該水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端に前記官能基Aを導入する前に、該水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水分を除去することを特徴とする上記1に記載の変性液状ゴム組成物の製造方法、
3.前記変性液状ゴム組成物溶液を得る工程が、前記水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にイソシアネート官能基を介して前記官能基Aを導入することを特徴とする上記1又は2に記載の変性液状ゴム組成物の製造方法、
4.前記重合性モノマーが、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基Bを有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の変性液状ゴム組成物の製造方法、及び
5.前記変性液状ゴムが、変性液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、変性液状ポリブタジエンゴム又は変性液状ポリイソプレンゴムであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の変性液状ゴム組成物の製造方法である。
(1)第1工程:分子鎖の末端に水酸基を導入した水酸基含有液状ゴムを有機溶媒で希釈して水酸基含有液状ゴム溶液を得る工程、
(2)第2工程:該水酸基含有液状ゴム溶液に、重合性モノマーを混合して、水酸基含有液状ゴム組成物溶液を得る工程、
(3)第3工程:該水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にアリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基A(以下、単に「官能基A」という。)を導入して変性液状ゴム組成物溶液を得る工程、及び
(4)第4工程:該変性液状ゴム組成物溶液中の有機溶媒を除去する工程
を含む製造方法である。
第1工程は、液状ゴムの分子鎖末端にアリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基を導入する前提となる前段階の工程である。
第1工程において、予め分子鎖末端に水酸基が導入された水酸基含有液状ゴムが有機溶媒で希釈されて水酸基含有液状ゴム溶液となる。
重合するモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
第2工程において混合される重合性モノマーは、本発明の製造方法で得られる変性液状ゴム組成物が各種用途の接着剤や粘着剤あるいは各種シール材又は各種部材として用いられるために配合される各種重合性モノマーが好ましい。特に、光重合性又は熱重合性モノマーがより好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基B(以下、単に「官能基B」という。)を有するモノマーが好適に挙げられる。
上記水酸基含有液状ゴム溶液と上記重合性モノマーを(水酸基含有液状ゴム/重合性モノマー)質量比として(85/15)〜(15/85)にて混合することが好ましい。(85/15)以下の水酸基含有液状ゴム量であれば粘度の調整が容易となり、脱溶媒し易くなるからであり、(15/85)以上の水酸基含有液状ゴム量であれば硬化後の破断強度が向上して好ましいからである。
第2工程で得られた水酸基含有液状ゴム組成物溶液が水分を含有している理由は、水酸基含有液状ゴム製造時に用いられるイソプロピルアルコールやメタノール等のアルコール類、あるいは第2工程で加えられる重合性モノマーに通常少量の水分が含有されているからである。また、水分除去時に、水分と同時にアルコール類をも除去することが更に好ましい。
第2工程で得られた水酸基含有液状ゴム組成物溶液にイソシアネート基含有化合物を第3工程において添加する前に、水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水分を除去しておくことにより、イソシアネート基含有化合物が水分と反応して失活することを防ぐことができる。
水分を除去する方法としては、例えばエバポレーターで上記水酸基含有液状ゴム組成物溶液の溶媒と水分とを共沸させる方法が挙げられる。例えば、第2工程で混合(撹拌)しながら、エバポレーターで溶媒と水分とを共沸させるように、第2工程と同時進行させても良い。また、第2工程の後に、独立して工程として設けても良い。
上記の官能基を導入する方法としては、種々の方法があるが、水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にイソシアネート官能基を介して官能基Aを導入する方法が好ましい。
このイソシアネート官能基を介する方法である、反応(a)及び(b)を下記する。
上記水酸基含有液状ゴム組成物溶液に、化学式(1)
OCN−R−X ・・・・・(1)
(式中、Rは窒素原子及び/又は酸素原子を含有してもよい2価の炭化水素基、Xはアリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基Aである。)のイソシアネート基含有化合物を添加する方法である。この方法は、水酸基含有液状ゴムの末端水酸基とイソシアネート基含有化合物とを一段階で反応して変性できるので好ましい。しかし、所望するイソシアネート基含有化合物を利用性、コスト等の関係で、使用しにくい事情がある場合は、以下の方法が採られる。
上記水酸基含有液状ゴム組成物溶液に、ジイソシアネートを添加し、水酸基含有液状ゴムの末端水酸基をイソシアネート化した後、このイソシアネート基と反応する官能基と、官能基Aとの双方を有する化合物Y(以下、「化合物Y」という。)と、上記液状ゴムの末端イソシアネート基とを反応させ、二段階の反応で変性する方法である。この方法は、所望する化合物Yを選択する自由度が広がるので好ましい。
ここで、ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。
第3工程の上記(a)及び(b)での反応条件としては、通常、60〜80℃で、0.5〜4時間程度でよい。
(メタ)アクリロイル基含有モノマーとしては、分子量が1,000未満のものが好ましく、150〜600のものがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、モルフォリノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート及びシリコーン含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
これらのうち、本発明においては、イソボルニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及びフェノキシエチルアクリレートが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有モノマーは、硬化後の変性液状ゴム組成物の諸物性を改良する。すなわち、破断強度(Tb)及び破断伸び(Eb)の向上、接着強度の向上、硬度の制御等ができることとなる。さらに、(メタ)アクリロイル基含有モノマーを配合することにより硬化前の変性液状ゴム組成物の粘度を低減し、無溶媒化が好適に可能となる。
これらの内、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル等が好ましい。
これらの内、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等が好ましい。
これらの内、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等が好ましい。
アニオン重合の重合開始剤としては、有機リチウム化合物が好ましい。液状ゴムの分子鎖の片方の末端を変性する場合はモノリチウム化合物が重合開始剤として用いられることが望ましく、液状ゴムの分子鎖の両方の末端を変性する場合はジリチウム化合物が重合開始剤として用いられることが望ましい。光硬化性を高めるためには、液状ゴムの分子鎖の両方の末端を変性することが好ましい。
また、上記二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素としては、例えば、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,4−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,3−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン、1,4−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン等が好ましく挙げられる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン単量体又は共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザー、例えば、2,2−ビス(テトラヒドロフリル)プロパン(以下、「OOPS」という。)の存在下にアニオン重合させることにより、目的とする活性末端を有する共役ジエン(共)重合体の液状ゴムが得られる。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤ともいい、分子内開裂型として、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア127]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]等が挙げられる。
また、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類[例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン(商品名「Speedcure PBZ」)、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド(商品名「Speedcure BMS」)、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル(商品名「Highcure OBM」)、1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン(商品名「Esacure 1001M」)等]、チオキサントン類[例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等]、アミノベンゾフェノン類[例えば、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン等]、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。さらに、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用等が挙げられる。
また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberti S.p.A製、商品名:ESACURE KIP150等]、アクリル化ベンゾフェノン[例えば、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136等]、イミドアクリレート等が挙げられる。
また、光重合開始剤として、上述のもの以外に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン[例えば、Ciba Specialty Chemicals(株)製、商品名:IRAGACURE184等]、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾイルブチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの混合物、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル及び[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン等も用いることができる。
変性液状ゴム組成物に配合される光重合開始剤量は、変性液状ゴム及び官能基Bを有する重合性モノマーの合計100質量部に対し、0.1〜6質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜4質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。
このエネルギー線としては、紫外線が好ましい。紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。
なお、トルエン、イソプロピルアルコール、ヘキサンの検出量、水分量、結合スチレン含有量、ブタジエン部分のビニル結合含有量、数平均分子量及び重量平均分子量及び得られた変性液状ゴム組成物の外観は、下記の方法に従って測定した。
(1)トルエン、イソプロピルアルコール、ヘキサンの検出量(ガス・クロマトグラフィー法)
GC6890(アジレント社)、HP−5MSカラムを使用して測定した。
(2)水分量(カールフィッシャー法)
組成物を1g投入し、200℃で熱したときに検出された水分量を測定した。
(3)重合体の結合スチレン含有量
1H−NMR(プロトンNMR)スペクトルの積分比により算出した。
(4)重合体のブタジエン部分のミクロ構造(ビニル結合含有量等)
赤外法(モレロ法)により算出した。
(4)数平均分子量、重量平均分子量及び分子量分布
GPC法(Gel Permeation Chromatography)を用い、ポリスチレン換算により数平均分子量、重量平均分子量及び分子量分布を得た。
(5)得られた変性液状ゴム組成物の外観
目視により、透明性を判断した。
充分に脱水精製したシクロヘキサン溶媒中に、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン1モルを添加した後、トリエチルアミン2モル、sec−ブチルリチウム2モルを順次添加し、50℃で2時間撹拌して、ジリチウム系重合開始剤を調製した。
アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を1.85kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を1.15kg、1.6モル/リットルのOOPSのヘキサン溶液を130.4ml添加した後、0.5モル/リットルの上記ジリチウム系重合開始剤を108.0ml添加して重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を108ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。この重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて、両末端水酸基SBRである液状SBRポリオール−Aを得た。得られた液状SBRポリオール−Aは、結合スチレン含有量が35.4質量%であり、ブタジエン部分のビニル結合含有量が61.6%であった。また、数平均分子量が12,000、重量平均分子量が14,600、分子量分布が1.22であった。乾燥後の液状SBRポリオール−Aの水分量は1,300PPMであり、検出された溶媒成分はイソプロピルアルコール及びシクロヘキサンであった。
次に、十分に乾燥した液状SBRポリオール−A300gを、トルエン700gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度30質量%の溶液を得た。この溶液に混合(質量)比{(液状SBRポリオール−A)/(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)/(テレフタル酸ジアリル)}=60/10/30となるようにペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テレフタル酸ジアリルを混合した。
次に、トルエン濃度が40質量%になるようにエバポレーターで揮発させ、トルエンと水とを共沸させて、水分を除去した。水分量を測定した所、140PPMであった。この水酸基含有液状ゴム組成物溶液を70℃に保ち十分に撹拌しながら、スズ系触媒{ジ−n−ブチル錫ジラウレート(DBTDL)}1.5g添加し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を{(水酸基含有液状ゴム分子鎖の水酸基)/(IPDIのイソシアネート基)}(モル当量比)として(1/2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、イソシアネート基変性反応を完結し、イソシアネート基変性された液状ゴム組成物溶液を得た。
さらにこの溶液にアリルアルコール溶液を{(水酸基含有液状ゴムの水酸基がイソシアネート化されたイソシアネート基)/(アリルアルコールのイソシアネート基と反応する官能基)}(モル当量比)として(1/1.2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、アリル基変性反応を完結し、アリル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
アリル基変性液状ゴムの官能基種はアリル基であり、官能基数は両末端の2であった。
最後に、このアリル基変性液状ゴム組成物溶液のトルエンと残存するアリルアルコールとを揮発除去し、アリル基変性液状ゴム組成物を得た。溶媒成分を測定したところ、検出されなかった。得られたアリル基変性液状ゴム組成物は透明であった。
実施例1と同様にして液状SBRポリオール−Aを得た。十分に乾燥した液状SBRポリオール−A300gを、トルエン700gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度30質量%の溶液を得た。この溶液に混合(質量)比{(液状SBRポリオール−A)/(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)/(テレフタル酸ジアリル)}=60/10/30となるようにペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テレフタル酸ジアリルを混合した。
次に、トルエン濃度が40質量%になるようにエバポレーターで揮発させ、トルエンと水とを共沸させて、水分を除去した。水分量を測定した所、140PPMであった。
この水酸基含有液状ゴム組成物溶液を70℃に保ち十分に撹拌しながら、スズ系触媒(DBTDL)1.5g添加し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を{(水酸基含有液状ゴム分子鎖の水酸基)/(IPDIのイソシアネート基)}(モル当量比)として(1/2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、イソシアネート基変性反応を完結し、イソシアネート基変性された液状ゴム組成物溶液を得た。
さらにこの溶液にアリルグリコール溶液を{(水酸基含有液状ゴムの水酸基がイソシアネート化されたイソシアネート基)/(アリルグリコールのイソシアネート基と反応する官能基)}(モル当量比)として(1/1.2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、アリルエーテル基変性反応を完結し、アリルエーテル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。アリルエーテル基変性液状ゴムの官能基種はアリルエーテル基であり、官能基数は両末端の2であった。
最後に、このアリルエーテル基変性液状ゴム組成物溶液のトルエンと残存するアリルグリコールとを揮発除去し、アリルエーテル基変性液状ゴム組成物を得た。溶媒成分を測定したところ、検出されなかった。得られたアリルエーテル基変性液状ゴム組成物は透明であった。
アリルアルコールを、無水コハク酸を用いてエステル化し、アリルコハク酸無水物(C=C−C−0−CO−C−C−C−COOH)を調製した。
次に実施例1と同様にして液状SBRポリオール−Aを得た。十分に乾燥した液状SBRポリオール−A300gを、トルエン700gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度30質量%の溶液を得た。
この溶液に混合(質量)比{(液状SBRポリオール−A)/(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)/(テレフタル酸ジアリル)}=60/10/30となるようにペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テレフタル酸ジアリルを混合した。
次に、トルエン濃度が40質量%になるようにエバポレーターで揮発させ、トルエンと水とを共沸させて、水分を除去した。水分量を測定した所、140PPMであった。この水酸基含有液状ゴム組成物溶液を70℃に保ち十分に撹拌しながら、スズ系触媒(DBTDL)1.5g添加し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を{(水酸基含有液状ゴム分子鎖の水酸基)/(IPDIのイソシアネート基)}(モル当量比)として(1/2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、イソシアネート基変性反応を完結し、イソシアネート基変性された液状ゴム組成物溶液を得た。
さらにこの溶液にアリルコハク酸無水物を{(水酸基含有液状ゴムの水酸基がイソシアネート化されたイソシアネート基)/(アリルコハク酸無水物のイソシアネート基と反応する官能基)}(モル当量比)として(1/1)となるように添加した後、さらに4時間撹拌を行い、アリルエステル基変性反応を完結し、アリルエステル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
アリルエステル基変性液状ゴムの官能基種はアリルエステル基であり、官能基数は両末端の2であった。
最後に、このアリルエステル基変性液状ゴム組成物溶液のトルエンを揮発除去し、アリルエステル基変性液状ゴム組成物を得た。溶媒成分を測定したところ、検出されなかった。得られたアリルエステル基変性液状ゴム組成物は透明であった。
実施例1と同様にして液状SBRポリオール−Aを得た。十分に乾燥した液状SBRポリオール−A300gを、トルエン700gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度30質量%の溶液を得た。
次に、溶媒であるトルエンを全てエバポレーターで揮発させた。水分もトルエンと共沸させて除去した。水分量を測定した所、27PPMであった。そして、この液状SBRポリオール−A300gを、トルエン200gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度60質量%の水酸基含有液状ゴム溶液を得た。
この水酸基含有液状ゴム溶液を70℃に保ち十分に撹拌しながら、スズ系触媒(DBTDL)1.5g添加し、イソホロンジイソシアネートを{(水酸基含有液状ゴムの分子鎖の水酸基)/(イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基)}(モル当量比)として(2/1)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、イソシアネート基変性反応を完結し、イソシアネート基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
さらにこの溶液にアリルアルコール溶液を{(水酸基含有液状ゴムの水酸基がイソシアネート化されたイソシアネート基)/(アリルアルコールのイソシアネート基と反応する官能基)}(モル当量比)として(1/1.2)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、アリル基変性反応を完結し、アリル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
次に、このアリル基変性液状ゴム溶液のトルエンと残存するアリルアルコールとを揮発除去し、アリル基変性液状ゴムを得た。
そして、十分に乾燥したアリル基変性液状ゴムに混合(質量)比{(アリル基変性液状ゴム)/(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)/(テレフタル酸ジアリル)}=60/10/30となるようにペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テレフタル酸ジアリルを混合した。
溶媒成分を測定した所、トルエンとアリルアルコールが少量検出された。そこで、トルエンを700g添加し、混合した後に揮発除去したところ、トルエンとアリルアルコールは検出されなかった。得られたアリル基変性液状ゴム組成物は透明であった。
実施例1と同様にして液状SBRポリオール−Aを得た。溶媒を全てエバポレーターで揮発させた。水分量を測定した所、380PPMであった。
そして、この液状SBRポリオール−A300gをトルエン200gに溶解し、液状SBRポリオール−A濃度60質量%の溶液を得た。
この液状SBRポリオール−A溶液を70℃に保ち十分に撹拌しながら、スズ系触媒(DBTDL)1.5g添加し、イソホロンジイソシアネートを{(変性液状ゴムの分子鎖の反応活性末端)/(イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基)}(モル当量比)として(1/1)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、イソシアネート基変性反応を完結し、イソシアネート基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
さらにこの溶液にアリルアルコール溶液を{(水酸基含有液状ゴムの水酸基がイソシアネート化されたイソシアネート基)/(アリルアルコールのイソシアネート基と反応する官能基)}(モル当量比)として(1/1)となるようにゆっくり滴下し添加した後、さらに4時間撹拌を行い、アリル基変性反応を完結し、アリル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
次に、このアリル基変性液状ゴム溶液のトルエンを揮発除去し、アリル基変性液状ゴムを得た。揮発除去後のトルエン量を測定した所少量検出した。
次に、アリル基変性液状ゴム溶液に混合(質量)比{(アリル基変性液状ゴム)/(ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)/(テレフタル酸ジアリル)}=60/10/30となるようにペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テレフタル酸ジアリルを混合し、アリル基変性液状ゴム組成物溶液を得た。
得られたアリル基変性液状ゴム組成物にはイソホロンジイソシアネートと水との反応生成物による微結晶が存在し、不透明であった。
Claims (5)
- 分子鎖の末端に水酸基が導入された水酸基含有液状ゴムを有機溶媒で希釈して水酸基含有液状ゴム溶液を得る工程、
該水酸基含有液状ゴム溶液に、重合性モノマーを混合して、水酸基含有液状ゴム組成物溶液を得る工程、
該水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にアリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基Aを導入して変性液状ゴム組成物溶液を得る工程、及び
該変性液状ゴム組成物溶液中の有機溶媒を除去する工程を含む変性液状ゴム組成物の製造方法であって、
該液状ゴムがジリチウム化合物を重合開始剤として用いたアニオン重合により合成してなり、かつ該水酸基含有液状ゴム溶液と該重合性モノマーを(水酸基含有液状ゴム/重合性モノマー)質量比として(85/15)〜(15/85)にて混合することを特徴とする変性液状ゴム組成物の製造方法。 - 前記水酸基含有液状ゴム溶液に前記重合性モノマーを加えて前記水酸基含有液状ゴム組成物溶液を得た後、該水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端に前記官能基Aを導入する前に、該水酸基含有液状ゴム組成物溶液中の水分を除去することを特徴とする請求項1に記載の変性液状ゴム組成物の製造方法。
- 前記変性液状ゴム組成物溶液を得る工程が、前記水酸基含有液状ゴムの分子鎖の末端にイソシアネート官能基を介して前記官能基Aを導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の変性液状ゴム組成物の製造方法。
- 前記重合性モノマーが、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びアリル基からなる群から一種以上選択される官能基Bを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性液状ゴム組成物の製造方法。
- 前記変性液状ゴムが、変性液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、変性液状ポリブタジエンゴム又は変性液状ポリイソプレンゴムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変性液状ゴム組成物の製造方法。
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