JP5451240B2 - 光硬化性樹脂組成物及びそれからなる粘着シート - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、木工合板、家具、楽器等の木工製品の表面加工用のポリエーテルポリオール系光硬化性樹脂が開示されている。しかし、ポリエーテルポリオールは親水性が高く水蒸気透過性が大きいために水蒸気バリア性が要求される用途の粘着材等への使用は不適当であった。
また、特許文献2には、木工塗料用ポリエステルポリオール系光硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、ポリエステルポリオールは高温高湿環境下ではポリエステル主鎖が加水分解劣化を受けるため、高温高湿環境にさらされる用途の粘着材等への使用は不適当であった。
さらに、粘着材等を振動にさらされる用途へ使用する場合は、制振特性を付与するための高いヒステリシスロス特性や粘着材等の形状を維持するための適度な硬化性が要求される。
上述の水蒸気透過性(低透湿性)を改良するものとして、特許文献3〜8には、光硬化性の水添もしくは非水添液状ポリイソプレン、光硬化性の水添もしくは非水添液状ポリブタジエン又は光硬化性の水添もしくは非水添液状スチレン−ブタジエン共重合体が提案されているが、いずれもアクリル酸エステルモノマーが多量配合されているので、シート形状等の成形性が不十分であり、非水添液状重合体は耐熱性や耐候性が低いので硬化後に粘着性が低下し、粘着シート等の粘着材としての使用が不適当であった。
すなわち、本発明は、
[1]複数の(メタ)アクリロイル基を有する水添ブタジエン系重合体、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体、ポリチオール化合物、及び光重合開始剤を含有し、
前記ポリチオール化合物の含有量が、前記水添ブタジエン系重合体及び前記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体の合計100質量部に対し4質量部以上10質量部以下であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物、
[2]前記水添ブタジエン系重合体が、水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体及び/又は水添ブタジエン単独重合体である上記[1]に記載の光硬化性樹脂組成物、
[3]前記水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体を構成する芳香族ビニル単量体がスチレン、α−メチルスチレン及びパラメチルスチレンから選ばれる少なくとも1種である上記[2]に記載の光硬化性樹脂組成物、
[5]、前記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体が、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体である上記[4]に記載の光硬化性樹脂組成物、
及び
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物からなる粘着シートである。
従って、複数の光硬化性官能基を有する水添ブタジエン系重合体としては、複数の光硬化性官能基を有する水添スチレン−ブタジエン共重合体が特に好ましい。適度な硬化性が得られると共に、ヒステリシスロスが高くなり、制振特性が向上するからである。
以下、「複数の光硬化性官能基を有する」を「多官能」と略称する。
本発明に係る多官能水添ブタジエン系重合体は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(A)飽和炭化水素系溶媒中で、ジリチウム開始剤により1,3−ブタジエン及び芳香族ビニル単量体(特に、スチレン)を重合して、重量平均分子量5,000〜40,000及び分子量分布3.0以下を有する芳香族ビニル−ブタジエン共重合体を製造する段階と、
(B)前記芳香族ビニル−ブタジエン共重合体とアルキレンオキシドとを反応させて、芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオールを製造する段階と、
(C)前記芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオールに水素添加反応し、水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオールを製造する段階と、
(D)前記水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオールと光硬化性官能基含有化合物とを反応させる段階とを含む製造方法である。
次に、第二の段階(B)として、上記の芳香族ビニル−ブタジエン共重合体の、リビングアニオンである共重合体末端とアルキレンオキシドとを当量反応させることにより両末端に水酸基を有する芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオール(以下、「本発明に係る共重合体ポリオール」ということがある。)を得ることができる。
さらに、第三の段階(C)として、主鎖に二重結合を有する本発明に係る共重合体ポリオールに水素添加反応(以下、水添反応という。)を行うことにより、主鎖に不飽和二重結合を持たないか又は主鎖の不飽和二重結合が少ない水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体ポリオール(以下、「本発明に係る水添共重合体ポリオール」ということがある。)を得ることができる。
第四の段階(D)として、上記のようにして得た本発明に係る水添共重合体ポリオールに、光硬化性官能基含有化合物を反応させて、2官能である多官能水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体が得られる。
また、上記二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素としては、例えば、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,4−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,3−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン、1,4−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン等が好ましく挙げられる。
また、分子量分布が3.0以下であると、低分子量成分や高分子量成分によるさまざまな影響を抑制することができる。特に、粘度は分子量の影響を大きく受けるため、分子量のわずかなブレは粘度バラツキとなる。狭い分子量分布の共重合体を合成できる本発明では、再現性良く同じ分子量の共重合体を得ることができるため、粘度を安定化させる効果が期待できる。本発明のような液状の材料は、シート状に加工される場合が多く、この場合、材料粘度のバラツキはシートの寸法にバラツキを生じるので、粘度の安定化は重要であり、分子量分布が3.0以下であることが好ましい。
かかる遷移金属化合物としては、トリス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル 、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(アセチルアセトナート)クロム、トリス(アセチルアセトナート)マンガン、ビス(アセチルアセトナート)マンガン、トリス(アセチルアセトナート)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジクロライド、ビス(2−ヘキサノエート)ニッケル 、ビス(2−ヘキサノエート)コバルト、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド等が挙げられる。これらのなかでも、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、トリス(アセチルアセトナート)コバルトが高い水添活性の面から好ましい。
アクリロイルオキシアルキルイソシアネートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられ、メタクリロイルオキシアルキルイソシアネートとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
本発明に係る単官能オリゴマーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
従って、上記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体としては、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体がさらに好ましく、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体が特に好ましい。
第二の段階(B)、第三の段階(C)及び第四の段階(D)は、上記と同様である。これにより、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体又はモノ(メタ)アクリロイル基含有水添ブタジエン単独重合体が得られる。
また、分子量分布は3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。
なお、多官能水添ブタジエン系重合体及びモノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、GPC法(Gel Permeation Chromatography)を用い、標準ポリスチレンを用いたポリスチレン換算により得られる重量平均分子量及び分子量分布である。
エポキシモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、1当量の(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ系モノ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエーテルモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオール中の一つの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記以外の他のポリオールモノ(メタ)アクリレート系オリゴマーもポリオール中の1つの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
なお、(多官能水添ブタジエン系重合体/単官能オリゴマー)の質量部の比率が(1/99)〜(5/95)である低架橋光硬化性樹脂組成物も粘着材として好適に用いられる。
アミノアセトフェノン類は光重合開始剤として反応活性が高く、窒素原子の存在により光硬化性樹脂組成物の表面の酸素阻害を受けにくくするため、光硬化性樹脂組成物全体の硬化性を高めると共に、硬化後の光硬化性樹脂組成物の粘着性(タッキネス)を小さくし、且つ圧縮永久歪を小さくすることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物にポリチオール化合物を配合することにより、粘着性、成形性、硬化性及び制振特性がさらに向上することとなる。
前記の分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類としては、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
ポリ(オキシアルキレン)グリコールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
本発明に係る単官能(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
これらのうち、本発明においては、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート及びジシクロペンテニルアクリレートが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール,ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール),2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、α−トコフェロール等が例示される。
この酸化防止剤の配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、多官能水添ブタジエン系重合体、単官能オリゴマー、ポリチオール化合物及び単官能(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部である。
このヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,N,N',N",N"'−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5.1.11.2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステルプロパンジオイックアシッド、〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等が挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物に所望により配合される安定化剤量は、多官能水添ブタジエン系重合体、単官能オリゴマー、ポリチオール化合物及び単官能(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部、さらに好ましくは0.5〜2質量部である。
本発明の光硬化性樹脂組成物を反応・硬化させるために用いられる活性エネルギー線とは、紫外線及び電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を指すが、本発明においては紫外線が好ましい。紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも十分に硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。
また、光硬化性樹脂は硬化後に再度活性エネルギー線を照射したり、熱を加えることにより性状を安定化させることもできる。
このようにして得られた光硬化性樹脂組成物をシート状に圧延し又は押出した後、エネルギー線照射により硬化させることにより、本発明の粘着シート等のシート材を製造することができる。これらシート材の被着体としては、例えば、硬質樹脂や軟質樹脂からなるプラスチック材料や金属製のものが好ましい。プラスチック材料としては特に制限はない。
また、金属としても特に制限はなく、例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板等の中から、適宜選択して用いることができる。
なお、多官能水添ブタジエン系重合体及び単官能オリゴマーの重量平均分子量及び分子量分布、硬化前の光硬化性樹脂組成物の放置安定性及び成形性並びに硬化後の光硬化性樹脂組成物の透湿性、硬化性、制振特性及び粘着性は、下記の方法に従って測定した。
(1)重量平均分子量及び分子量分布
GPC法(Gel Permeation Chromatography)を用い、標準ポリスチレンを用いたポリスチレン換算により重量平均分子量及び分子量分布を得た。
JIS L1099に記載のA法の透湿カップを使用し、JIS Z0208に準拠して40℃、相対湿度90%、24時間の条件で測定した。試験体として、厚さ1mmの紫外線硬化後の光硬化性樹脂組成物のシートを用いた。
(3)硬化性
光硬化性樹脂組成物をコーターでガラス板上に約1mmの厚さにし、照度160mW/mm2、積算光量9000mJ/m2条件にて硬化させ、シート状を保ったまま剥がせるか否かを試験し、以下の評価基準により評価した。
良好: 光硬化性樹脂組成物を、シート状を保ったまま剥がすことができた。
不良: 光硬化性樹脂組成物を、シート状を保ったまま剥がすことができなかった。
光硬化性樹脂組成物を撹拌後、23℃で半日放置し分離具合を目視で確認し、以下の評価基準により評価した。
良好: 光硬化性樹脂組成物の成分が分離せず、相溶性が良好であった。
不良: 光硬化性樹脂組成物の成分が分離し、相溶性が不良であった。
(5)制振特性{tanδ(23℃)}
動的粘弾性測定装置を用いて、パラレルプレートを使用し、動歪1%、周波数1Hzの条件にて−50〜80℃にて測定し、23℃におけるtanδ値を得た。値が大きい程、制振特性が良好である。
光硬化性樹脂組成物をコーターで1mmに成形後、紫外線照射前、1分間放置して厚みが変化するか否かを評価した。
良好: 光硬化性樹脂組成物の厚みが変化しなかった。
不良: 光硬化性樹脂組成物の厚みが変化した。
(7)粘着性
ポリプロピレン板に厚さ約1mmの硬化後の光硬化性樹脂組成物のシートを密着させ、約2kgの重りを1分間載せた後、180℃にてピーリング(剥離試験)により粘着性を測定し、単位gfで表示した。
充分に脱水精製したシクロヘキサン溶媒中に、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン1モルを添加した後、トリエチルアミン2モル、sec−ブチルリチウム2モルを順次添加し、50℃で2時間撹拌して、ジリチウム重合開始剤を調製した。
アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を2.00kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を0.765kg、1.6モル/リットルの2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を130.4ml添加した後、0.5モル/リットルのジリチウム重合開始剤を108.0ml添加して重合を開始させた。
重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を108.0ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。共重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて共重合体ポリオールを得た。この共重合体ポリオールは両末端OH基スチレン−ブタジエン共重合体であり、スチレン分は25質量%であり、重量平均分子量は14,500、分子量分布は1.20であった。
十分に乾燥した水添共重合体ポリオール100gを、それぞれ、シクロヘキサンに溶解させ、40℃に保ち十分に撹拌しながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製:カレンズAOI)をゆっくり滴下した後、さらに4時間撹拌を行い、イソプロピルアルコールに沈殿させ乾燥させた。2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量は、3.76gであった。以上のようにして、水添重合体ポリオールから多官能水添ブタジエン系重合体として、アクリロイル基を分子鎖両末端に有する2官能である多官能水添スチレン−ブタジエン共重合体を得た。
アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を2.00kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を0.765kg、1.6モル/リットルの2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を130.4ml添加した後、0.5モル/リットルのn−ブチルリチウム重合開始剤を108.0ml添加して重合を開始させた。
重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を108.0ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。共重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて共重合体モノオールを得た。この共重合体モノオールは片末端OH基スチレン−ブタジエン共重合体であり、スチレン分は25質量%であり、重量平均分子量は14,500、分子量分布は1.2であった。
十分に乾燥した水添共重合体モノオール100gを、それぞれ、シクロヘキサンに溶解させ、40℃に保ち十分に撹拌しながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製:カレンズAOI)をゆっくり滴下した後、さらに4時間撹拌を行い、イソプロピルアルコールに沈殿させ乾燥させた。2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量は、1.87gであった。以上のようにして、水添重合体モノオールから単官能オリゴマーとして、アクリロイル基を分子鎖片末端に有するモノアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体を得た。
上記の多官能水添スチレン−ブタジエン共重合体及びモノアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体を用い、第1表に示す配合処方により、それぞれ、プラネタリーミキサーにて混練し実施例1、2、参考例1〜5及び比較例1〜4の10種の光硬化性樹脂組成物を得た。得られた組成物を用い、硬化前の光硬化性樹脂組成物の放置安定性及び成形性を評価した。結果を第1表に示す。
さらに、得られた組成物を用い、上記の測定方法に規定した形状に製膜し、これにエネルギー線である紫外線を照射して硬化物を得た。紫外線の光源にはメタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で照射を行った。得られた硬化物について上記の方法で硬化後の光硬化性樹脂組成物の透湿性、硬化性、制振特性及び粘着性を評価した。結果を第1表に示す。
Claims (6)
- 複数の(メタ)アクリロイル基を有する水添ブタジエン系重合体、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体、ポリチオール化合物、及び光重合開始剤を含有し、
前記ポリチオール化合物の含有量が、前記水添ブタジエン系重合体及び前記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体の合計100質量部に対し4質量部以上10質量部以下であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 - 前記水添ブタジエン系重合体が、水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体及び/又は水添ブタジエン単独重合体である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体を構成する芳香族ビニル単量体がスチレン、α−メチルスチレン及びパラメチルスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ジエン系重合体が、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添ブタジエン単独重合体及びモノ(メタ)アクリロイル基含有水添イソプレン単独重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記モノ(メタ)アクリロイル基含有水添芳香族ビニル−ブタジエン共重合体が、モノ(メタ)アクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体である請求項4に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物からなる粘着シート。
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