JP5731743B2 - ガスケット用材料、ガスケット及びハードディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスケット用材料、ガスケット及びそれを用いたハードディスク装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、加工性や、他の必要な物性を損なうことなく、破断伸びを向上させ、亀裂や割れなどの発生を抑制し得るガスケットを与える、エネルギー線硬化型のガスケット用材料、このガスケット用材料のエネルギー線による硬化物からなるガスケット、及び該ガスケットを用いてなるハードディスク装置に関するものである。
近年、コンピュータのHDD(ハードディスク装置)においては、高性能化、小型化が進み、複雑な回路構成を有するようになっており、わずかな塵や水分によっても障害が起こるため、実用上、防塵や、水分侵入の防止の必要性が高まっており、ガスケットを使って塵や水分の侵入を防ぐことが一般に行われている。
HDDのガスケットの製造方法としては、熱可塑性エラストマーなどを射出成形する方法、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やフッ素ゴムなどからなるシートを所定の形状に打ち抜き、これを接着するなどの方法が採られてきた。
一方、近年、HDDの小型化に伴い、あるいは設備投資や加工費削減などを図るために、これまでのインジェクションによる成形から、光硬化性シール材用組成物をディスペンサーを用いて被着体に塗布し、成形した後、主として紫外線により硬化させることにより、ガスケットを製造する方法が採られるようになってきた(例えば、特許文献1、2及び3参照)。ガスケットとしての十分なシール性を得るため、前記の光硬化性シール材用組成物には、硬化物が低硬度のものとなるように、ウレタンアクリレートオリゴマーが主成分として用いられている。
HDD用ガスケットは、一般に、その使用環境において温度変化、圧縮や伸長などによって破壊に至ることがあり、この改善が望まれている。このような改善には破断伸びを大きくすればよいが、紫外線硬化型オリゴマーを用いた紫外線硬化システムによるガスケットにおいては、ハンドリングなどの加工性との兼ね合いで、破断伸びを大きくすることには限界がある。
例えば光硬化性シール材用組成物を用いた弾性体において、破断伸びを増加させるには、架橋点間分子量を大きくする必要がある。架橋点間分子量を大きくするには、前記のウレタンアクリレートオリゴマーの分子量を大きくすることが考えられるが、この場合、光硬化性シール材用組成物の粘度が上昇し、例えばディスペンサーを用いる塗布などにおいて加工性が低下するのを免れず、この手法は採用しにくい。また、破断伸びを増加させる方法として、オイルなどを配合する方法が考えられるが、ブリードアウトによる汚染などがあり、この方法も充分ではない。したがって、紫外線照射によるシート材料組成物の硬化物からなる弾性体の力学特性を制御することは困難であった。
他方、ラジカル重合型光硬化系であるエン−チオール系光硬化型樹脂組成物は、酸素によるラジカルの失活が起きても、活性なチイルラジカルが再生されるため、アクリル系材料にみられるような酸素による重合阻害がないこと、光開始剤の使用量の低減が可能であること、硬化時の体積収縮率が小さいこと、重合開始から数秒〜数分の短時間で硬化すること、非常に硬度が高い硬化物から柔軟な硬化物まで広い材料設計が可能であること、1mm以上の厚膜の硬化物も作製可能であることなどの利点を有することから、光硬化材料として注目を浴びている(非特許文献1参照)。
このエン−チオール系光硬化型樹脂組成物としては、例えば(1)ポリエンと、ポリチオールと、特定構造の臭素置換された芳香環を有する化合物を含有し、かつポリエンとポリチオールの質量比が49:1〜1:49である光硬化性樹脂組成物(特許文献4参照)、及び(2)ポリエン化合物、及び多価アミン化合物とメルカプトカルボン酸化合物との反応生成物からなる(ポリ)チオール系モノマーを含有してなるエン−チオール系光硬化型樹脂組成物(特許文献5参照)が開示されている。
WO96/10594号パンフレット 特開2003−7047号公報 特開2004−26919号公報 特許第4034098号公報 特開2007−70417号公報
「UV・EB硬化技術の展望」、シーエムシー出版、2002年、39〜50頁
しかしながら、前記の特許文献4に開示される技術では、高屈折率を有し、かつ屈折率を高い精度で調整可能な光硬化性樹脂組成物を提供する技術であり、ガスケットの破断伸びや加工性に関してはなんら言及されていない。また、特許文献5に開示される技術は、酸素による重合阻害がなく、短時間で硬化可能で、体積収縮が少なく、光開始剤の使用量の低減が可能で、且つ耐湿性能が大幅に向上した硬化物を与える技術であり、ガスケットの破断伸びや加工性に関してはなんら言及されていない。
本発明は、このような状況下になされたもので、加工性や、他の必要な物性を損なうことなく、破断伸びを向上させ、亀裂や割れなどの発生を抑制し得るガスケットを与える、エネルギー線硬化型のガスケット材料、このガスケット材料のエネルギー線による硬化物からなるガスケット、及び該ガスケットを用いてなるハードディスク装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーと、メルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物とを、(メタ)アクリロイル基とメルカプト基との官能基数比が特定の範囲内にあるように含むと共に、エネルギー線の照射による硬化物の架橋点間分子量が所定の範囲にあるガスケット用材料により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、
[1](A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーと、(B)(メタ)アクリレートモノマーと、(C)分子内にメルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物とを含むガスケット用材料であって、該ガスケット用材料中の(メタ)アクリロイル基と(C)成分のメルカプト基との官能基数比が、100:0.1〜100:5n(nは、ポリチオール化合物1分子中のメルカプト基の数である。)であり、かつエネルギー線の照射による硬化物のFlory−Rehnerの式により算出される架橋点間分子量Mcが、6,000〜55,000の範囲にあることを特徴とするガスケット用材料、
[2]温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度が、1〜10,000Pa・sである上記[1]に記載のガスケット用材料、
[3](B)(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、(A)成分100質量部に対して、5〜40質量部である上記[1]又は[2]に記載のガスケット用材料、
[4](C)ポリチオール化合物の含有量が、(A)成分100質量部に対して、1〜7質量部である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のガスケット用材料、
[5](A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーが、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のガスケット用材料、
[6](A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型オリゴマーが、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー及びその水素添加物の中から選ばれる少なくとも1種である上記[5]に記載のガスケット用材料、
[7](A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型オリゴマーが、分子内に(メタ)アクリロイル基2個を有する2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーである上記[6]に記載のガスケット用材料、
[8](C)分子内にメルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物が、水酸基2〜6個を有する多価アルコールの、β−メルカプトプロピオン酸エステル又はβ−メルカプトブタン酸エステルである上記[1]〜[7]のいずれかに記載のガスケット用材料、
[9]水酸基2〜6個を有する多価アルコールが、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである上記[8]に記載のガスケット用材料、
[10]エネルギー線が、紫外線であり、(D)光ラジカル重合開始剤を含む上記[1]〜[9]のいずれかに記載のガスケット用材料、
[11]光ラジカル重合開始剤が、分子内開裂型及び/又は水素引抜き型である上記[10]に記載のガスケット用材料、
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載のガスケット用材料を、エネルギー線の照射により硬化してなるガスケット、
[13]JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータにより測定される硬度が5〜50度である上記[12]に記載のガスケット、及び
[14]上記[12]又は[13]に記載のガスケットを用いてなるハードディスク装置、
を提供するものである。
本発明のガスケット用材料は、以下に示す効果を奏する。
(1)エン−チオール系のエネルギー線硬化システムを採用することにより、硬化物の架橋点間分子量を大きくすることができ、加工性や、他の必要な物性を損なうことなく、破断伸びを向上させ、亀裂や割れなどの発生を抑制し得るガスケットを与えることができる。
(2)特定の条件で測定されるガスケット用材料の粘度を、所定の範囲に制御することにより、適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット形状を保持し得るガスケット用材料となる。
(3)(メタ)アクリレートモノマーの含有量やポリチオール化合物の含有量が所定の範囲にあれば、前記(1)、(2)の効果が良好に発揮される。
(4)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーが、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、特に2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーである場合に、上記(1)の効果が、より良好に発揮される。
(5)ポリチオール化合物としては、水酸基2〜6個を有する多価アルコールのβ−メルカプトプロピオン酸エステルが、入手が容易で、かつ優れた上記(1)の効果を発揮する。
(6)光重合開始剤の存在下に、エネルギー線として紫外線を照射することにより、破断伸びと加工性の両立したガスケットを、生産性よく得ることができる。
(7)本発明のガスケット用材料を用いて得られるガスケットであって、特定の条件で測定される硬度が所定の範囲にあれば、該ガスケットは、HDD用ガスケットとして、良好な性能を発揮する。
まず、本発明のガスケット用材料について説明する。
本発明のガスケット用材料は、(A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーと、(B)(メタ)アクリレートモノマーと、(C)分子内にメルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物とを含むガスケット用材料であって、該ガスケット用材料中の(メタ)アクリロイル基と(C)成分のメルカプト基との官能基数比が、100:0.1〜100:5n(nは、ポリチオール化合物1分子中のメルカプト基の数である。)であり、かつエネルギー線の照射による硬化物のFlory−Rehnerの式により算出される架橋点間分子量Mcが、6,000〜55,000の範囲にあることを特徴とする。
[(A)エネルギー線硬化型液状オリゴマー]
本発明のガスケット用材料においては、(A)成分として、(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーが用いられる。このエネルギー線硬化型液状オリゴマーとしては、得られるガスケットの性能及び加工性などの観点から、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを、好適に用いることができる。1分子中の(メタ)アクリロイル基の個数は、通常2〜6個程度、好ましくは2〜4個、特に好ましくは2個である。
なお、上記(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を指す。
(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型オリゴマーとしては、特に制限はなく、例えばウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマー及びその水素添加物などを挙げることができる。
ここで、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートジオールなどとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
また、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、液状スチレン−ブタジエン共重合体をアクリル変性して得られるSBRジアクリレート、ポリイソプレンをアクリル変性して得られるポリイソプレンジアクリレートなどが挙げられ、水素添加共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば両末端に水酸基を有する、水素添加ポリブタジエン又は水素添加ポリイソプレンの前記水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを指し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を指す。
本発明においては、前記(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ガスケット用途に用いる場合には、前記オリゴマーの中で、得られるガスケットの性能及び加工性などの観点から、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好適である。なお、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとは、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子中に、(メタ)アクリロイル基が2個含まれていることを意味する。
前記2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内にヒドロキシ基2個を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートジオールなどと、ポリイソシアナートとの反応により、得ることができる。
前記のヒドロキシ基2個を有するポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール及び1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスフェノールA等に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド等が付加した化合物などを用いることができる。
前記のヒドロキシ基2個を有するポリエステルポリオールは、アルコール成分と酸成分とを反応させて得ることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビスフェノールA等にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド等が付加した化合物、あるいは、ε−カプロラクトンが付加した化合物等をアルコール成分とし、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の二塩基酸及びその無水物を酸成分として使用することができる。上記のアルコール成分、酸成分及びε−カプロラクトンの三者を同時に反応させることによって得られる化合物も、ポリエステルポリオールとして使用することができる。
前記のカーボネートジオールは、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トルイル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネート、2−トリル−4−トリル−カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアリールカーボネート類又はジアルキルカーボネート類とジオール類、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール又は上記のジオール化合物とシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸の反応生成物、又はε−カプロラクトンの反応生成物であるポリエステルジオール等とのエステル交換反応によって得ることができる。
このようにして得られるカーボネートジオールは分子中にカーボネート構造を二つ以上有するポリカーボネートジオールである。
本発明のガスケット用材料においては、2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとして、前記のポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールに、有機ジイソシアナートを反応させて得られる化合物が好ましい。上記有機ジイソシアナートとしては、例えばイソホロンジイソシアナート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート及びヘキサメチレンジイソシアナートなどの脂環式や脂肪族ジイソシアナートが好ましく用いられる。
本発明においては、当該2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとして、ハンドリング性などの観点から、数平均分子量4,000〜8,000程度のオリゴマーが好適である。なお、この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値である。
[(B)(メタ)アクリレートモノマー]
本発明のガスケット用材料における(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、本発明のガスケット用材料の粘度調整や、得られるガスケットの物性調整などのために用いられるモノマーであって、分子内に(メタ)アクリロイル基1個を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーが好適である。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子量1,000未満のものが好ましく、例えばシクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリレートモノマーのアルコール残基としては、アルコール残基が架橋脂環式炭化水素基であるものが好ましく、具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの二環系脂環族炭化水素基を有するもの、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの三環系脂環族炭化水素基を有するものが好適である。さらには、飽和架橋脂環式炭化水素基が好ましい。より具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明においては、(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前記(A)成分のエネルギー線硬化型液状オリゴマー100質量部に対して、5〜40質量部の範囲にあることが好ましく、5〜20質量部の範囲にあることがより好ましい。当該(B)成分の含有量が5〜40質量部の範囲にあれば、得られるガスケット用材料は適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット形状を保持することができ、破断伸びの向上した良好な性能を有するガスケットを与えることができる。
[(C)ポリチオール化合物]
本発明のエネルギー線硬化型のガスケット用材料において、(C)成分として用いられるポリチオール化合物は、分子内にメルカプト基を2〜6個有する化合物である。
このようなポリチオール化合物としては、分子内にメルカプト基を2〜6個有するものであればよく、特に制限されず、例えば、炭素数2〜20程度のアルカンジチオールなどの脂肪族ポリチオール類、キシリレンジチオールなどの芳香脂肪族ポリチオール類、アルコール類のハロヒドリン付加物のハロゲン原子をメルカプト基で置換してなるポリチオール類、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール類、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類と、チオグリコール酸、β−メルカプトプロピオン酸、又はβ−メルカプトブタン酸とのエステル化物からなるポリチオール類などを挙げることができる。
これらのポリチオール類の中で、反応性がよく、かつ化学構造の制御が容易な、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類と、チオグリコール酸、β−メルカプトプロピオン酸、又はβ−メルカプトブタン酸とのエステル化物、特にβ−メルカプトプロピオン酸とのエステル化物、又はβ−メルカプトブタン酸とのエステル化物からなるポリチオール類が好適である。
前記の分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類としては、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
前記炭素数2〜20のアルカンジオールは、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)グリコールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
本発明においては、(C)成分のポリチオール化合物として、例えばエチレングリコールジ(チオグリコレート)、エチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、トリメチレングリコールジ(チオグリコレート)、トリメチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、トリメチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、プロピレングリコールジ(チオグリコレート)、プロピレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、1,3−ブタンジオールジ(チオグリコレート)、1,3−ブタンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、1,3−ブタンジオールジ(β−メルカプトブタネート)、1,4−ブタンジオールジ(チオグリコレート)、1,4−ブタンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールジ(β−メルカプトブタネート)、ネオペンチルグリコールジ(チオグリコレート)、ネオペンチルグリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ネオペンチルグリコールジ(β−メルカプトブタネート)、1,6−ヘキサンジオールジ(チオグリコレート)、1,6−ヘキサンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、1,6−ヘキサンジオールジ(β−メルカプトブタネート)、1,8−オクタンジオールジ(チオグリコレート)、1,8−オクタンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、1,8−オクタンジオールジ(β−メルカプトブタネート)、1,9−ノナンジオールジ(チオグリコレート)、1,9−ノナンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、1,9−ノナンジオールジ(β−メルカプトブタネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(チオグリコレート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(β−メルカプトプロピオネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(β−メルカプトブタネート)、ジエチレングリコールジ(チオグリコレート)、ジエチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、トリエチレングリコールジ(チオグリコレート)、トリエチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、トリエチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、ポリエチレングリコールジ(チオグリコレート)、ポリエチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、ジプロピレングリコールジ(チオグリコレート)、ジプロピレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ジプロピレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、トリプロピレングリコールジ(チオグリコレート)、トリプロピレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、トリプロピレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、ポリプロピレングリコールジ(チオグリコレート)、ポリプロピレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ポリプロピレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ(チオグリコレート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ(β−メルカプトブタネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールエチレンオキサイド付加物のジ(チオグリコレート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールエチレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトプロピオネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールエチレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトブタネート)、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(チオグリコレート)、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトプロピオネート)、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトブタネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールプロピレンオキサイド付加物のジ(チオグリコレート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールプロピレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトプロピオネート)、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールプロピレンオキサイド付加物の(β−メルカプトブタネート)、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(チオグリコレート)、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトプロピオネート)、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジ(β−メルカプトブタネート)、グリセロールトリ(チオグリコレート)、グリセロールトリ(β−メルカプトプロピオネート)、グリセロールトリ(β−メルカプトブタネート)、ジグリセロールテトラ(チオグリコレート)、ジグリセロールテトラ(β−メルカプトプロピオネート)、ジグリセロールテトラ(β−メルカプトブタネート)、トリメチロールプロパントリ(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリ(β−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(β−メルカプトブタネート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(チオグリコレート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(β−メルカプトプロピオネート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(β−メルカプトブタネート)、ペンタエリスリトールテトラ(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラ(β−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(β−メルカプトブタネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(β−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(β−メルカプトブタネート)などを好ましく用いることができる。
これらのポリチオール化合物の中で、ポリ(β−メルカプトプロピオネート)及びポリ(β−メルカプトブタネート)体が好ましく、特に、ポリエチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(β−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(β−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールジ(β−メルカプトブタネート)、ペンタエリスリトールテトラ(β−メルカプトブタネート)及びジペンタエリスリトールヘキサ(β−メルカプトブタネート)が、入手性及び得られるエラストマーの性能の観点から好適である。
前記(C)成分のポリチオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のガスケット用材料における当該(C)成分のポリチオール化合物の含有量は、ガスケット中の(メタ)アクリロイル基と、当該(C)成分におけるメルカプト基との官能基数比が、100:1〜100:5n(nは、ポリチオール化合物1分子中のメルカプト基の数である。)の範囲にあるように選定される。
すなわち、ポリチオール化合物として、分子内にメルカプト基2個を有する2官能化合物を用いる場合は、(メタ)アクリロイル基/メルカプト基の官能基数比は、100:0.1〜100:10であり、メルカプト基4個を有する4官能化合物を用いる場合は、(メタ)アクリロイル基/メルカプト基の官能基数比は、100:0.1〜100:20であり、メルカプト基6個を有する6官能化合物を用いる場合は、(メタ)アクリロイル基/メルカプト基の官能基数比は、100:0.1〜100:30である。
メルカプト基が、(メタ)アクリロイル基100に対して、0.1未満では、ポリチオール化合物を配合した効果が十分に発揮されず、本発明の目的が達せられない。一方、メルカプト基が、(メタ)アクリロイル基100に対して、用いるポリチオール化合物に応じて加えられる上限値を超えると、ガスケットの形状が不可能となる。以上の観点から、(メタ)アクリロイル基/メルカプト基の官能基数比は、100:2n〜100:5nの範囲が好ましく、100:3n〜100:5nの範囲がより好ましい。
本発明のガスケット用材料においては、当該(C)成分のポリチオール化合物の含有量は、前述した(A)成分100質量部に対して、1〜7質量部であることが好ましい。当該ポリチオール化合物の含有量が上記範囲にあれば、前記ガスケット用材料のエネルギー線照射による硬化物は、架橋点間分子量Mcが後述する所定の範囲に制御され、加工性やその他物性を損なうことなく、破断伸びの向上したものとなる。当該ポリチオール化合物のより好ましい含有量は1〜5質量部の範囲である。
本発明のガスケット用材料は、エネルギー線硬化型であり、エネルギー線としては、紫外線及び電子線、α線、β線、γ線などの電離性放射線を用いることができるが、本発明においては、操作性や生産性及び経済性などの観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線を用いる場合には、当該ガスケット用材料は、(D)成分として光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。なお、電子線やγ線のような電離性放射線を用いる場合には、光重合開始剤を含有させなくても、速やかに硬化を進めることができる。
本発明のガスケット用材料に含有させる光ラジカル重合開始剤の量は、該ガスケット用材料に含まれる(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは0.5〜5質量部である。また、本発明においては、上記光ラジカル重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用することができる。
[(D)光ラジカル重合開始剤]
(D)成分の光ラジカル重合開始剤としては、分子内開裂型及び/又は水素引き抜き型を用いることができる。
分子内開裂型としては、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア127、イルガキュア2959]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]などが挙げられる。
水素引き抜き型としては、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用などが挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberti S.p.A製、商品名:ESACURE KIP150など]、アクリル化ベンゾフェノン[例えは、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136など]、イミドアクリレートなどが挙げられる。
(D)成分の光ラジカル重合開始剤としては、これらの他に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾイルブチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの混合物、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル及び[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタンなども用いることができる。
[任意成分]
本発明のガスケット用材料においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、任意成分として、例えば無機充填材、有機増粘剤、カップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、レベリング剤などを含有させることができる。
(無機充填剤)
無機充填剤や後述の有機増粘剤を、本発明のガスケット用材料に配合することにより、該材料に増粘性及び揺変性(チクソトロピー)が付与され、ガスケット用材料の成形性を向上させることができる。
無機充填剤としては、シリカ(SiO2)、アルミナ、チタニア及び粘度鉱物などが挙げられ、中でもシリカ粉末、疎水処理したシリカ粉末又はこれらの混合物が好ましい。より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300など]、このシリカ微粉末をトリメチルジシラザンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRX300など]及び上記シリカ微粉末をポリジメチルシロキサンで変性した微粉末[例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルRY300など]などが挙げられる。
無機充填剤の平均粒径は、増粘性、チクソトロピーの付与の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
(有機増粘剤)
有機増粘剤としては、水添ひまし油、アマイドワックス又はこれらの混合物が好ましい。有機増粘剤として具体的には、ひまし油(主成分がリシノール酸の不乾性油)の水添品である水添ひまし油[例えば、ズードケミー触媒(株)製、商品名:ADVITROL100、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン305など]及びアンモニアの水素をアシル基で置換した化合物である高級アマイドワックス[例えば、楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6500など]などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また前記無機充填剤と併用してもよい。
(カップリング剤)
カップリング剤は、ガスケット付き部材を作製する場合、ガスケットと基材との密着性を向上させるために、本発明のガスケット用材料に、必要に応じて適宜量用いられる。このカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などがあるが、中でもシラン系カップリング剤が好適である。
上記シラン系カップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの不飽和基含有シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジル基含有シランカップリング剤;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシラン系カップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸化防止剤)
本発明のガスケット用材料に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール,ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−プチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール),2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、α−トコフェロール等が例示される。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート等が例示され、またリン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が例示される。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中でフェノール系酸化防止剤が好適である。
この酸化防止剤の配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、前記(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部である。
(光安定剤)
本発明のガスケット用材料に用いられる光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられるが、これらの中でヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
このヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,N,N',N",N"'−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5.1.11.2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステルプロパンジオイックアシッド、〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この光安定剤の配合量は、その種類に応じて適宜選定されるが、前記(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部である。
(接着性向上剤、その他)
本発明のガスケット用材料において、所望により用いられる接着性向上剤としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体などが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、当該ガスケット用材料は、所望により、ステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどの内部離型剤;プロセスオイルなどの軟化剤;着色剤;レベリング剤等を配合することができる。
本発明のガスケット用材料は、基本的には無溶媒であるが、必要に応じ溶媒を加えてもよい。
[ガスケット用材料の調製]
本発明のガスケット用材料の調製方法に特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。例えば、前記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び所望により用いられる(D)成分の光ラジカル重合開始剤や各添加成分を温度調節可能な混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、高剪断型ミキサーなどを用いて混練することにより、調製することができる。
このようにして得られた本発明のガスケット用材料は、温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度が1〜10,000Pa・sの範囲にあることが好ましい。この粘度が上記の範囲にあれば、当該ガスケット用材料は、適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット形状を保持することができる。該粘度は、より好ましくは10〜2,000Pa・sであり、さらに好ましくは30〜1,000Pa・sである。
なお、上記粘度は、下記の方法で測定された値である。
<ガスケット用材料の温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度>
レオメーター ハーケ社製、「RS−600」を用いて測定した。ガスケット用材料を50℃に調整し、ギャップ0.2mmで、剪断速度を1〜10s-1の範囲で変えながら、剪断応力を測定し、剪断速度と応力の1/2乗をプロットしたキャソンプロットから最小二乗法による近似線を引き、1s-1における粘度を算出した。
[ガスケット用材料の硬化物の性状]
本発明のエネルギー線硬化型のガスケット用材料は、前述したように、(A)成分のエネルギー線硬化型液状オリゴマーと、(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーと、(C)成分のポリチオール化合物とを含有させて、エン−チオール系のエネルギー線硬化システムを採用することにより、硬化物の架橋点間分子量を大きくすることができ、加工性やその他物性を損なうことなく、破断伸びを向上させた硬化物を提供することができる。
当該ガスケット用材料を、エネルギー線照射により硬化させることによって得られた硬化物は、以下に示すFlory−Rehnerの式より算出される架橋点間分子量が6,000〜55,000の範囲にあることを要する。架橋点間分子量が6,000以上であれば、前記硬化物における破断伸びの向上効果が良好に発揮され、一方架橋点間分子量が55,000以下であれば、該硬化物は、ガスケットとしての実用的な強度を有するものになる。
(架橋点間分子量Mc)
ガスケット用材料の硬化物の架橋点間分子量Mcは、下記の方法により算出することができる。
Flory−Rehnerの式
Figure 0005731743
[ただし、Mc:架橋点間分子量[g/mol]、ρ:密度[g/cm3]、ν1:溶剤(トルエン)のモル体積[cm3/mol]、ν2:体積膨潤率[−]、χ1:Floryのχパラメータ[−](溶剤とエラストマー硬化体のsp値より概算)である。]
により、架橋点間分子量Mcを算出することができる。
本発明においては、架橋点間分子量McとしてのFlory−Rehnerの式より算出される値を採用する。
この架橋点間分子量Mcは、使用する(C)成分のポリチオール化合物の種類の選択及び(A)成分の(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーに対する該ポリチオール化合物の使用割合の選定によって制御することができ、ひいては破断伸びを制御することができる。
本発明においては、前述したように、前記(C)成分のポリチオール化合物として、分子内にメルカプト基2〜6個を有する2〜6官能チオール化合物が用いられ、かつ前記(A)成分のエネルギー線硬化型液状オリゴマーにおける(メタ)アクリロイル基に対する前記(C)成分におけるメルカプト基の官能基数比([CH=C(R)−COO]/SH比、但しRは水素原子又はメチル基)が、100/0.1〜100/5n(nは、ポリチオール化合物1分子中のメルカプト基の数)の範囲になるように、選定することにより、得られるガスケット用材料の硬化物の架橋点間分子量Mcを6,000〜55,000の範囲内の所望の値に制御することができる。
例えば、後述の実施例で示すように、(A)成分として2官能のウレタン系アクリレートオリゴマーを、(C)成分として2官能チオール化合物を用い、[CH=C(R)−COO]/SH比を、100/5から100/10に変化させた場合、架橋点間分子量Mcは、約9860から31,900に増大し、かつ該硬化物の室温における破断伸びEbは525%から875%に増大する。
一方、上記と同様にして、(A)成分として2官能のウレタン系アクリレートオリゴマーを、(C)成分として4官能チオール化合物を用い、[CH=C(R)−COO]/SH比を、100/5から100/20に変化させた場合、架橋点間分子量Mcは、約6,500から51,000に増大し、かつ該硬化物の室温における破断伸びEbは400%から955%に増大する。
また、上記と同様に、(A)成分として2官能のウレタン系アクリレートオリゴマーを、(C)成分として6官能チオール化合物を用い、[CH=C(R)−COO]/SH比を、100/7.5から100/30に変化させた場合、架橋点間分子量Mcは、約6,400から36,000に増大し、かつ該硬化物の室温における破断伸びEbは385%から775%に増大する。
なお、上記破断伸びEbの測定方法については後で説明する。
このように、2〜6官能チオール化合物のいずれを用いても、少量の添加でガスケット用材料の硬化物の架橋点間分子量が増大し、その結果、室温における破断伸びを大幅に改善することができる。なお、80℃における破断伸びについても同様な傾向が見られる。
また、2〜6官能チオール化合物の中で、架橋密度が最も小さくなる2官能チオール化合物を用いた場合に、破断伸びの改善効果が大きく、1分子中のメルカプト基の数が4(4官能)、6(6官能)と増加するに伴い、破断伸びの改善効果が小さくなる傾向にある。
[エン−チオール系エネルギー線硬化システム]
本発明のエネルギー線硬化型のガスケット用材料は、(A)成分の(メタ)アクリロイル基含有エネルギー線硬化型液状オリゴマーと、(B)(メタ)アクリレートモノマーと、(C)成分の2〜6官能チオール化合物とによる、エン−チオール系のエネルギー線硬化システムを採用しており、このエン−チオール系のエネルギー線硬化システムを説明する前に、まず、一般的な(メタ)アクリロイル基含有化合物のラジカル重合及びエン−チオール系エネルギー線硬化システムの反応機構について説明する。
(1)(メタ)アクリロイル基含有化合物のラジカル重合及びエン−チオール系エネルギー線硬化システムの反応機構
(メタ)アクリロイル基含有化合物として、2官能アクリロイル基含有オリゴマーと1官能アクリロイル基含有モノマーとを用い、かつ光ラジカル重合開始剤を用いた系の紫外線照射による架橋反応は、連鎖反応であって、下記のスキーム1に示すステップで重合が進行する。
<スキーム1>
Figure 0005731743
(R1は有機基を示す。)
まず、紫外線の照射により励起した光重合開始剤(PI)が開裂してラジカルを生成させ、このラジカルがアクリロイル基にアタックすることにより、励起末端が移動し(開始反応)、オリゴマー及びモノマーが次々に励起末端に反応しながら、重合が進行する(成長反応)。なお、停止反応及び連鎖反応の説明は省略する。
一方、エンとチオールの反応は、下記のスキーム2に示すように逐次反応である。
<スキーム2>
Figure 0005731743
(R2及びR3は、それぞれ有機基を示す。)
まず、紫外線の照射により励起したチオールが水素ラジカルを放出して、チオールラジカルを生成し、このチオールラジカルとエンとが反応したのち、別のチオールから水素原子を引き抜き、反応が終了する。
ラジカル重合系の紫外線硬化システムと、エン−チオール系システムを併用した場合、アクリロイル基含有化合物同士の重合と、アクリロイル基含有化合物とチオールとの反応はほぼ同時に進行していく。なお、反応速度はエンとチオールとの反応の方が速いものが多いが、桁が変わるほどではない。チオールが反応した部位は、それ以上、アクリロイル基含有化合物の重合は起こらないため、結果としてアクリロイル基含有化合物のみの硬化物と、エン−チオール系システムを併用した硬化物を比較すると、エン−チオール系システムを併用した硬化物の方が、重合鎖が短くなる。このように、重合鎖が短くなると、ミクロゲル(エラストマー中の硬い部分)の生成を抑制する効果が期待できる。
以上のことから、エン−チオール系システムの併用は、硬化物の柔軟性を高める効果があると云える。
(2)2官能(メタ)アクリレートオリゴマーとポリチオール化合物との反応による架橋点間分子量の増加機構
次に、2官能(メタ)アクリレートオリゴマーとして、2官能ウレタン系アクリレートオリゴマーを、ポリチオール化合物として、2官能チオール化合物を用いた例を挙げて、架橋点間分子量Mcの増加機構について説明する。この反応は、下記のスキーム3に従って進行する。
<スキーム3>
Figure 0005731743
2官能ウレタン系アクリレートオリゴマー2分子と、2官能チオール化合物1分子とが反応すると、上記スキーム3で示されるように、分子鎖が延長された1本の新たなオリゴマーが生成する。すなわち、ポリチオール化合物を加えることにより、使用する2官能ウレタン系アクリレートオリゴマーの分子量を変えることなく、反応過程でオリゴマー鎖を延長することができる。
その後、紫外線照射により、オリゴマー鎖が延長された2官能ウレタン系アクリレートオリゴマーの重合が進行すると、架橋点間分子量の大きなエラストマー硬化体が得られることになる。
なお、ポリチオール化合物として、4官能や6官能のものを用いる場合には、これらのポリチオール化合物の構造中に、通常架橋点となる部位が存在するために、架橋点間分子量の増加は、2官能チオール化合物と比べると小さい。しかし、4官能や6官能のポリチオール化合物とウレタン系アクリレートオリゴマーが反応すると、長い側鎖をもつスターブランチオリゴマーが生成することにより、この部分が、エラストマー硬化体の中ではソフトセグメントとして働き、結果として、該エラストマー組成物は架橋点間分子量が伸びた場合と同じように、破断伸びが増大すると考えられる。
次に、本発明のガスケットについて説明する。
[ガスケット]
本発明のガスケットは、前述した本発明のガスケット用材料を、エネルギー線の照射により硬化させてなるガスケットである。エネルギー線としては、前述したように操作性や生産性及び経済性などの観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線を用いる場合には、上記ガスケット用材料は、(D)成分として光ラジカル重合開始剤を含むものを用いることが好ましい。紫外線源としては、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも十分に硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。
当該ガスケット用材料のエネルギー線、好ましくは紫外線照射による硬化方法としては、得られるガスケットの用途に応じて、適宜選択することができる。
次に、当該ガスケットを、コンピュータのHDD(ハードディスク装置)用ガスケットのようなガスケット付き部材及び独立したガスケット(支持体や被着体を有しない)を作製する場合の例を挙げ、それぞれにおける製造方法の好ましい態様について説明する。
(ガスケット層付き部材)
本発明のガスケット用材料を被着体に塗布し、エネルギー線、好ましくは紫外線照射により硬化させることにより、ガスケット層付き部材を製造することができる。被着体としては、例えば、硬質樹脂からなるものも使用することができるが、加工性等から金属製のものが好ましい。金属としては特に制限はなく、例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板などの中から、適宜選択して用いることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。耐食性の点から、ニッケルめっき処理を施した金属が好適である。
また、ガスケット層付き部材としては、シール材やHDD用等のガスケット、インクタンク用シール、液晶装置用シールなどが挙げられる。ガスケット層の厚さは、用途により適宜選定することができるが、通常0.1〜2.0mm程度である。
上記ガスケット用材料の被着体への塗布は、上記材料を必要に応じて温度調節し、一定粘度に調整した塗液を用いて任意の方法で行うことができ、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディッピング、ディスペンシングなどの方法を用いることができる。上記ガスケット用材料を塗布し、成形した後、エネルギー線、好ましくは紫外線を照射することにより塗布層を硬化させて、ガスケット層付き部材を得ることができる。
(独立したガスケット)
独立したガスケットとは、支持体や被着体のないガスケットそのものを指す。
上記の独立したガスケットを紫外線照射により製造する場合、その手段としては種々の方法を採用することができるが、好ましくは、(1)上型、下型よりなる一組の成形型の少なくともいずれか一方を紫外線が透過する材料にて形成し、硬化前の当該ガスケット用材料を所定量滴下する。次に上型と下型を圧着して、型閉じし、紫外線を透過する材料からなる型の外側から紫外線を照射し、該材料を硬化させて目的のガスケットを得る方法、および(2)上型、下型よりなる一組の成形型の少なくともいずれか一方を紫外線が透過する材料にて形成し、次いで上型と下型を圧着して、型閉じし、次に型に予め形成しておいた注入口より、硬化前の当該ガスケット用材料を所定量注入する。そして、紫外線を透過する材料からなる型の外側から紫外線を照射し、該材料を硬化させて目的のガスケットを得る方法が好ましい。
紫外線を透過する型に用いられる材料としては、例えば石英、石英ガラス、硼珪酸ガラス、ソーダガラス等のガラス材料、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等の樹脂材料が例示できるが、これらに限定されない。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂である。
(ガスケットの性状)
本発明のガスケット用材料を、エネルギー線の照射により硬化させてなる本発明のガスケットは、以下に示す性状を有している。
(1)架橋点間分子量Mc、破断伸び及び破断強度
本発明のガスケットは、前述したガスケット用材料の硬化物における性状についての説明のように、Flory−Rehnerの式により算出される架橋点間分子量Mcが6000〜55,000の範囲になるように選定される。このMcが上記の範囲にあれば、23℃における破断伸びEbを380〜960%程度に向上させることができ、また23℃の破断強度Tbを0.4〜5.0MPa程度に制御することができる。
(2)硬度
本発明のガスケットは、JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータにより測定される硬度が、5〜50度の範囲にあることが好ましい。該硬度が上記範囲にあれば、ガスケットはエラストマーとしての性能を充分に発揮することができる。より好ましい硬度は10〜45度である。
(3)85℃tanδ
本発明のガスケットは、粘弾性測定試験による85℃tanδ(損失正接)の値が、SH基/CH2=CHCO基の官能基数比が大きくなる、つまり架橋点間分子量Mcが増大するに伴い、大きくなる傾向がみられる。すなわち、SH基/CH2=CHCO基の官能基数比が大きくなると、特に高温領域でのヒステリシスロスが大きくなる。
(4)圧縮永久歪(コンプレッション・セット:C.S.)
一般に架橋点間分子量が増大すると、圧縮永久歪が悪くなるが、本発明においては、エン−チオール系のエネルギー線硬化システムを採用しているため、架橋点間分子量が増大しても、大きく悪くなるのを抑制することができる。
(5)圧縮ヒートショック試験
本発明のガスケットにおいては、−40℃30分⇔85℃30分100サイクルの50%圧縮ヒートショック試験において、23℃破断伸びが400%以上であるもの(架橋点間分子量Mcが6,000以上のもの)は、破壊が認められない。
なお、上記各特性値の測定方法については、後で詳述する。
(ガスケットの用途)
本発明のガスケットは、ガスケット層付き部材としてHDD用などのガスケットとして好適に用いられる外、インクタンク用シール材、各種表示装置のシール材、土木、建築などの構造物用シール材、Oリングなどのパッキング、防振部材などの用途に用いることができる。
本発明はまた、前記本発明のガスケットを用いてなるハードディスク装置をも提供する。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)ガスケット用材料硬化物の架橋点間分子量Mc
ガスケット用材料硬化物の架橋点間分子量Mcは、明細書本文に記載のFlory−Rehnerの式により算出した。なお、式中の体積膨潤率は、以下の方法で測定した。
(体積膨潤率)
25×12×2mmの試験片を、50mLのトルエンに24時間浸漬させ、浸漬前後での寸法を測定することにより求めた。
(2)引張試験
DIN3ダンベル形状に打ち抜いた厚み2mmのガスケット用材料硬化物のシートについて、引張試験機[ORIENTEC社製、機種名「テンシロンRTC−1225A」]を用い、JIS K 6251に準拠して、試験温度23℃及び80℃、引張速度200mm/minの条件にて引張試験を行い、破断強度Tb及び破断伸びEb並びに100%伸び応力を測定した。
(3)圧縮永久歪(C.S.)
2cm四方に裁断した厚み2mmのガスケット用材料硬化物のシートを5枚重ねて測定用サンプルとし、JIS K 6262に準拠して、試験温度70℃の条件にて圧縮永久歪を測定した。
(4)硬度
JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータによりガスケット用材料硬化物の硬度を測定した。試験体として厚さが約2mmのシート5枚を積層した厚さが約6mmのものを用いた。
(5)tanδ
粘弾性測定装置[ティー・エー・インスツルメント社製、機種名「レオメトリックス」]を用い、ガスケット用材料硬化物の温度85℃におけるtanδ(損失正接)を、周波数1Hz、歪1%、−50℃→100℃、昇温速度3℃/minの条件で測定した。
(6)圧縮ヒートショック試験
厚み2mmのガスケット用材料硬化物のシートを2cm四方に裁断し、その8枚を重ねて試験用サンプルとした。
7.5mmスペーサーを用いて約50%圧縮し、ヒートショック試験機[楠本化成(株)、「THERMAL SHOCK CHAMBER NT1020」]により、−40℃30分⇔85℃30分、100サイクルのヒートショック試験を行い、破壊の有無を目視で確認し、破壊が確認されたものを×、確認されないものを○とした。
(7)ガスケットヒートショック試験
ガスケット用材料を用い、ニッケルメッキしたアルミプレート上に一段目の塗膜を形成し、次いでその上に同じガスケット用材料を用いて二段目の塗膜を、全体の厚みが1.1mmになるように形成したのち、紫外線(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)「ライトハンマー−6」使用)を、照度700mW/cm2、積算光量10,000mJ/cm2の条件で照射し、該塗膜を硬化させてガスケット層付き部材を作製した。
次に、このガスケット層付き部材のガスケットに、圧縮率40%の圧力をかけ、−40℃、30分⇔85℃、30分、100サイクルのヒートショック試験を行い、該がスケットの破壊の有無を確認し、破壊が確認されたものを×、確認されないものを○とした。
(8)ガスケット用材料の温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度
明細書本文記載の方法に従って測定した。
実施例1〜6及び比較例1、2
表1に示す配合組成の紫外線硬化型のガスケット用材料を調製し、以下に示す方法に従ってガスケット用材料硬化物のシートを作製し、さらに各試験で使用する形状に裁断した。
まず、15cm×15cm×3mmのガラス板2枚と、15cm×15cm×0.06mmの離型性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム2枚を用意する。
スペーサーで所定の厚みを保持しながら、前記で得られた紫外線硬化型のガスケット用材料を、離型性PETフィルムで挟み、さらにガラス板で挟んだのち、紫外線(センエンジニアリング社製、紫外線照射機「UV1501BA−LT」、同社製メタルハライドランプ「SE−1500M」を使用)を、照度150mW/cm2、照射時間60secの条件で照射し、前記ガスケット用材料を硬化させた。
次いで、ガラス板及び離型性PETフィルムから、ガスケット用材料硬化物のシートを剥がし、120℃にて4時間アニーリング処理を行ったのち、各試験に使用する形状に裁断し、諸特性の測定に用いた。諸特性の測定結果を表1に示す。なお、実施例1〜6及び比較例1、2の紫外線硬化型のガスケット用材料は、いずれも室温で適度の粘度を有し、均質な材料であった。
Figure 0005731743
[注]
1)エネルギー線硬化型オリゴマーA:共栄社化学社製、商品名「ライトタックPUA−KH32M」、(2官能ウレタン系アクリレートオリゴマー、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及びイルガキュア2959(光重合開始剤)の混合物)
2)6官能チオール化合物:SC有機化学社製、商品名「DPMP」、ジペンタエリスリトールヘキサ(β−メルカプトプロピオネート)
3)増粘剤:ズードケミー社製、商品名「A100」
4)添加剤:日清紡績社製、商品名「H−01」
実施例7〜10及び比較例3
表2に示す配合組成の紫外線硬化型のガスケット用材料を調製した。以下、実施例1〜6及び比較例1、2と同様な操作を行い、ガスケット用材料硬化物のシートを、各試験に使用する形状に裁断し、諸特性の測定に用いた。諸特性の測定結果を、比較例1も合わせて表2に示す。なお、実施例7〜10及び比較例3の紫外線硬化型のガスケット用材料は、いずれも室温で適度の粘度を有し、均質な材料であった。
Figure 0005731743
[注]1)、3)、4)は、表1の脚注と同じである。
5)4官能チオール化合物:SC有機化学社製、商品名「PEMP」、ペンタエリスリトールテトラ(β−メルカプトプロピオネート)
実施例11〜13
表3に示す配合組成の紫外線硬化型のガスケット用材料を調製した。以下、実施例1〜6及び比較例1、2と同様な操作を行い、ガスケット用材料硬化物のシートを各試験に使用する形状に裁断し、諸特性の測定に用いた。諸特性の測定結果を、比較例1も合わせて表3に示す。なお、実施例11〜13の紫外線硬化型のガスケット用材料は、いずれも室温で適度の粘度を有し、均質な材料であった。
Figure 0005731743
[注]1)、3)、4)は、表1の脚注と同じである。
6)2官能チオール化合物:SC有機化学社製、商品名「EGMP4」、テトラエチレングリコールジ(β−メルカプトプロピオネート)
比較例4
エネルギー線硬化型オリゴマーとして、ライトタックPUA−KH32M(前出)(2官能ウレタン系アクリレートオリゴマー75質量部、IBXA10質量部、PO−A15質量部、イルガキュア2959(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)2質量部)増粘剤3)(前出)3質量部及び添加剤4)(前出)1質量部を含有する紫外線硬化型のガスケット用材料を調製した。なお、上記2官能ウレタン系アクリレートオリゴマーは、室温では水アメ状を呈し、ハンドリングが極めて不良であり、また、紫外線硬化型のガスケット用材料は粘度が高く、均質な材料が得られず、かつ2.5インチHDDカバープレート上への2段書きが不可能であった。
本発明のガスケット用材料は、エン−チオール系のエネルギー線硬化システムを採用することにより、硬化物の架橋点間分子量を大きくすることができ、加工性や、他の必要な物性を損なうことなく、破断伸びを向上させ、亀裂や割れなどの発生を抑制し得るガスケットを与えることができる。

Claims (12)

  1. (A)(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型液状オリゴマーと、(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーと、(C)分子内にメルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物とを含むガスケット用材料であって、該ガスケット用材料中の(メタ)アクリロイル基と(C)成分のメルカプト基との官能基数比が、100:0.1〜100:5n(nは、ポリチオール化合物1分子中のメルカプト基の数である。)であり、かつエネルギー線の照射による硬化物のFlory−Rehnerの式により算出される架橋点間分子量Mcが、6,000〜55,000の範囲にあり、前記(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化型オリゴマーが、数平均分子量4,000〜8,000であり、分子内に(メタ)アクリロイル基2個を有する2官能ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーであることを特徴とするハードディスク装置用ガスケット用材料。
  2. 温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度が、1〜10,000Pa・sである請求項1に記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  3. (B)単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、(A)成分100質量部に対して、5〜20質量部である請求項1又は2に記載のガスケット用材料。
  4. (C)ポリチオール化合物の含有量が、(A)成分100質量部に対して、1〜7質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  5. (C)分子内にメルカプト基2〜6個を有するポリチオール化合物が、水酸基2〜6個を有する多価アルコールの、β−メルカプトプロピオン酸エステル又はβ−メルカプトブタン酸エステルである請求項1〜4のいずれかに記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  6. 水酸基2〜6個を有する多価アルコールが、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである請求項5に記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  7. (C)成分が分子内にメルカプト基を2個有する、請求項1〜6のいずれかに記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  8. エネルギー線が紫外線であり、(D)光ラジカル重合開始剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  9. 光ラジカル重合開始剤が、分子内開裂型及び/又は水素引抜き型である請求項8に記載のハードディスク装置用ガスケット用材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のガスケット用材料を、エネルギー線の照射により硬化してなるハードディスク装置用ガスケット。
  11. JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータにより測定される硬度が5〜50度である請求項10に記載のハードディスク装置用ガスケット。
  12. 請求項10又は11に記載のハードディスク装置用ガスケットを用いてなるハードディスク装置。
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