JP7001518B2 - 環状化合物組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は環状化合物組成物及びそれを含む樹脂組成物及び環状化合物組成物の製造方法に関する。
ポリウレタン系硬化性組成物は、常温でも硬化し、硬化物が良好なゴム弾性を有することから、塗料、防水材、床材及びシーリング材等として使用されている。このようなポリウレタン系硬化性組成物には、通常、柔軟性を付与する目的で可塑剤が配合されている。
従来、この種の可塑剤としてはジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸エステル、ジオクチルアジペートなどの脂肪酸エステル、塩素化パラフィンなどが使用されてきた(特許文献1)。
しかし、これらの可塑剤を使用したポリウレタン系硬化性組成物を、例えばシーリング材などに使用した場合、可塑剤の硬化物の表面への溶出、すなわちブリードアウトが避けられず、硬化物の表面にべた付きが生じ、埃の付着などにより汚れを生じさせるという課題があった。
特開2015-91965号公報
本発明は、樹脂に可塑性を付与しつつ、かつ、樹脂からの耐ブリードアウト性に優れる環状化合物組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。即ち本発明は、下記一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として結合し、関係式(I)を満たす環状化合物(P)を含む環状化合物組成物(Q)。
Figure 0007001518000001
[一般式(1)において、R1は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R1の水素原子は、ハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X1は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y1及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A1は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A1の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。n1は、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R1、A1、n1、X1、Y1及びY2が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。但し、一般式(1)で表される基のみから環状化合物(P)が構成される場合、全てのX1がカルボニル基、かつ全てのY1及びY2が酸素原子である場合を除く。]
Figure 0007001518000002
[一般式(2)において、R2は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R2の水素原子はハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X2は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y3、Y4、Y5及びY6はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A2及びA3は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。n2及びn3は、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R2、A2、A3、n2、n3、X2、Y3、Y4、Y5及びY6が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
Figure 0007001518000003
[一般式(3)において、R3は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R3の水素原子はハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X3及びX4は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y7及びY8はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A4は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。Zは、一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(5)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。n4及びmは、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R3、A4、n4、X3、X4、Z、Y7及びY8が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
Figure 0007001518000004
[一般式(4)中、R4は、炭素数1~12の1価の炭化水素基である。R4の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。]
Figure 0007001518000005
[一般式(5)中、Y9は、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。A5は、炭素瀬得得2~8の2価の炭化水素基である。A5の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていても良い。n5は、0以上の整数である。]
<関係式(1)>
1≦a+b+c+d≦30 関係式(1)
[関係式(I)において、aは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y1-A1)で表される基の平均付加モル数である。bは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y3-A2)で表される基の平均付加モル数と、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(A3-Y6)で表される基の平均付加モル数である。cは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y7-A4)で表される基の平均付加モル数である。dは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y9-A5)で表される基の平均付加モル数である。]
本発明の環状化合物組成物は、樹脂に可塑性を付与し、かつ、樹脂からの耐ブリードアウト性に優れる可塑剤として優れる。
本発明の環状化合物組成物(Q)は、前記一般式(1)で表される基、前記一般式(2)で表される基及び前記一般式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として結合し、前記関係式(1)を満たす環状化合物(P)を含有する。
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子がハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い炭素数2~21の2価の炭化水素基である。
炭素数2~21の炭化水素基としては、炭素数2~21のアルキレン基、炭素数2~21のアルケニレン基、炭素数4~21のシクロアルキレン基、炭素数6~21のアリーレン基及び炭素数7~21のアラルキレン基等が挙げられる。
炭素数2~21のアルキレン基としては、炭素数2~21の直鎖アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基及びn-ヘンイコサニレン基)、及び、炭素数3~21の分岐アルキレン基(1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルプロピレン基、1-ヘキシルプロピレン基、1-ヘキシルブチレン基、1-オクチルエチレン基、1-ウンデシルプロピレン基及び1-ウンデシルブチレン基等)等が挙げられる。
炭素数4~21のシクロアルキレン基としては、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2-メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3-ジメチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、1-エチルシクロペンチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シクロヘプタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロノナデシレン基、シクロエイコシレン基、ノルボルニレン基、ジシクロペンチレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン基及びシクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。
炭素数2~21のアルケニレン基としては、炭素数2~21の直鎖アルケニレン基(エテニレン基、プロペニレン基、トリデセニレン基、ペンタデセニレン基及びヘンイコセニレン基等)及び炭素数3~21の分岐アルケニレン基(1-エチルエテニレン基、1,2-ジメチルエテニレン基、1-ブチルエテニレン基、1-ヘキシルエテニレン基及び1-オクチルエテニレン基等)等が挙げられる。
炭素数6~21のアリーレン基としては、o-、p-又はm-フェニレン基、2,4-ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、フルオレニレン基及びピレニレン基等が挙げられる。
炭素数7~21のアラルキレン基としては、フェニルメチレン基、ジフェニルメチン基、1-フェニルエチレン基、o-フェニレンエチル基及びナフチルメチレン基等が挙げられる。
これらの基の有する水素原子の少なくとも1つがハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換された基としては、1-ブロモ-トリメチレン基、1-アセチル-トリメチレン基、1-メトキシ-トリメチレン基及び1-フェノキシ-トリメチレン基等が挙げられる。
これらのうち、R1、R2及びR3として、反応効率の観点から好ましいのは炭素数3~16の直鎖又は炭素数3~16の分岐アルキレン基であり、更に好ましいのはトリメチレン基、テトラメチレン基、トリデセニレン基、ペンタデセニレン基、1-ヘキシルプロピレン基、1-ヘキシルブチレン基、1-ウンデシルプロピレン基及び1-ウンデシルブチレン基である。
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7及びY8及びは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。
一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~12の1価の炭化水素基である。
炭素数1~12の1価の炭化水素基としては、炭素数1~12の飽和炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、デシル、ドデシル基等)、1価の脂環式飽和炭化水素基(シクロヘキシル基)、芳香脂肪族炭化水素基(ベンジル基等)及び1価の芳香族炭化水素基(フェニル基等)等が挙げられる。
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)及び一般式(5)において、A1、A2、A3、A4及びA5は、それぞれ独立に、水素原子がハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素及び沃素等)で置換されていても良い炭素数2~8の2価の炭化水素基である。
炭素数2~8の2価の炭化水素基のうち、後述する環状化合物(P)の製造方法において、その製造を容易にする観点から好ましいものとしては、フェニルエチレン基、炭素数2~4の直鎖アルキレン基又は炭素数3~4の分岐アルキレン基であり、より好ましいのは炭素数2~4の2価の直鎖アルキレン基(エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等)及び炭素数3~4の2価の分岐アルキレン基(メチルエチレン基、エチルエチレン基、メチルプロピレン基及び2-メチルプロピレン等)であり、特に好ましいのは、炭素数2~4の2価の直鎖アルキレン基であり、最も好ましいのは、エチレン基及びプロピレン基である。
一般式(3)において、Zは、それぞれ独立に、一般式(1)で表される2価の基、一般式(2)及び一般式(5)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。
本発明の環状化合物(P)は、上述のように、一般式(1)で表される基のみから環状化合物(P)が構成される場合、全てのX1がカルボニル基であり、かつ、Y1及びY2が酸素原子である場合を除く。
一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、n1、n2、n3、n4及びmは、それぞれ独立の整数である。
また、n1、n2、n3、n4及びn5は、関係式(1)を満たす。
<関係式(1)>
1≦a+b+c+d≦30 (1)
関係式(1)において、aは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y1-A1)で表される基の平均付加モル数である。なお、上述の通り、(Y1-A1)で表される基は、一般式(1)で表される2価の基を構成する基であるが、前記環状化合物(P)が、一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、Zが一般式(1)で表される基である場合、このZを構成する(Y1-A1)で表される基の合計モル数も合計してのa値を求める。
bは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y3-A2)で表される基の平均付加モル数と、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(A3-Y6)で表される基の平均付加モル数である。なお、上述の通り、(Y3-A2)で表される基及び(A3-Y6)で表される基は、一般式(2)で表される2価の基を構成する基であるが、前記環状化合物(P)が、一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、Zが一般式(2)で表される基である場合、このZを構成する(Y3-A2)で表される基及び(A3-Y6)で表される基の合計モル数も合計してbの値を求める。
cは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y7-A4)で表される基の平均付加モル数である。なお、上述の通り、(Y7-A4)で表される基は、一般式(3)で表される2価の基を構成する基である。
dは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y9-A5)で表される基の平均付加モル数である。
なお、環状化合物(P)の構成単位の繰り返し数等が異なる複数の環状化合物の混合物である場合は、「a+b+c+d」の値は、各環状化合物の平均付加モル数を算出し、全環状化合物について平均値を求めることで得られる。具体的には、以下の方法で確認できる。
1.まず、MALDI-TOF MSスペクトルにおけるi番目のピーク強度をIiとし、当該ピークの付加モル数をJiとする。
2.MALDI-TOF MSスペクトルの全環状化合物組成物(Q)中に含まれる環状化合物(P)についてピーク強度に基づき平均値を算出する。
平均値は関係式(2)で表される。
<関係式(2)>
a+b+c+d = [ΣJi×Ii] /ΣIi
本発明では断りのない限りMALDI-TOF MSスペクトルに基づき「a+b+c+d」の値を決定している。
また、「a+b+c+d」の値は関係式(3)に基づき、後述するGPC分析によっても求めることができる。
<関係式(3)>
a+b+c+d=[環状化合物組成物の数平均分子量(GPC測定値)]/[
分子量比較用の環状化合物の数平均分子量(GPC)]×[比較用環状化合物の「a+b
+c+d」の値]
「a+b+c+d」は、環状化合物組成物(Q)を添加した樹脂組成物の可塑性及び耐ブリードアウト性の観点から、5以上30以下であることが好ましく、更に好ましくは10以上30未満である。また、取り扱いやすさの観点では、「a+b+c+d」は、1以上20未満であることが好ましい。「a+b+c+d」が30を超える場合は、可塑性が低下する。
環状化合物(P)1分子を構成する一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(3)で表される基の合計数は、これを用いた後述の樹脂組成物(F)の可塑性を向上させる観点から、1~20であることが好ましく、更に好ましくは1~10であり、特に好ましくは1~5である。
なお、上記の合計数について、前記環状化合物組成物(Q)中の環状化合物(P)が一般式(3)で表される基を構成単位として有し、かつ、mが0でなく、即ち一般式(3)中に、一般式(1)で表される2価の基及び/又は一般式(2)で表される2価の基を有している場合、その数も合計して計算する。
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)及び一般式(5)において、複数ある場合のR1~R4、A1~A5、X1~X4、Y1~Y9、Z、n1~n5及びmは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
複数ある場合のR1~R4、A1~A5、X1~X4、Y1~Y9及びZの組成は、Polym. Chem.,2014,5,6905.に記載のマトリックス支援レーザー脱離イオン化法による飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MSともいう)により測定分析し、環状化合物(P)の構造を同定することができる。
本発明の環状化合物(P)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。本発明の環状化合物(P)として好ましいものとしては、具体的に、一般式(1)において、Y1及びY2が酸素原子であり、A1がエチレン基、プロピレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R1がトリメチレン基、ペンタメチレン基、テトラデカメチレン基又はビニレン基であり、X1がスルホニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物が挙げられる。
また、一般式(2)において、Y3、Y4、Y5及びY6が酸素原子であり、A2及びA3がプロピレン基、エチレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R2がエチレン基、プロピレン基又はビニレン基であり、X2がカルボニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
また、一般式(3)において、Y7及びY8が酸素原子であり、A4がプロピレン基、エチレン基、クロロプロピレン基又はフェニルエチレン基であり、R3がエチレン基、プロピレン基又はビニレン基であり、mは0であり、X3及びX4がカルボニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
環状化合物組成物(P)の「a+b+c+d」の値の調整は、後述の環状化合物組成物(P)の製造方法において、後に詳述する環状化合物(B)と環状化合物(C)との比率の調整で行うことができる。
また、一般式(3)中のmの値は、環状化合物(B)として、後述の一般式(8)で表される化合物を使用し、更に環状化合物(B)として、後述の一般式(6)で表される化合物及び/又は後述の一般式(7)で表される化合物を併用することによって調整できる。
なお、環状化合物(P)のn1~n5の値及びmの値は、Polym.Chem.,2014,5,6905.に記載のMALDI-TOF MSにより分析し、確認することが出来る。
本発明の環状化合物(P)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、後述の併用する高分子化合物(E)の分子量等に応じて調整することができるが、環状化合物(P)を含有する樹脂組成物の可塑性及び耐ブリードアウト性の観点から、120~4,000であることが好ましく、更に好ましくは500~4000、特に好ましくは500~3000である。
環状化合物(P)のMnはアルキレン化合物の付加モル数を調整すること等によって、上記の好ましい範囲にすることができる。
環状化合物(P)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて以下の条件で測定することができる。
環状化合物(P)のMnは、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「TOSOH ECO HLC-8320 GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「Guardcolumn Super AW-H」(1本)、「TSKgel SuperAW2500、TSKgel SuperAW3000、TSKgel SuperAW4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.125重量%のDMF(LiBr0.01mol/L)溶液
・溶液注入量:20μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレンオキサイド
本発明の環状化合物(P)は、以下に詳述する本発明の製造方法により製造することができる。
本発明の環状化合物(P)の製造方法は、一般式(6)で表される化合物、一般式(7)で表される化合物及び一般式(8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(B)と、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数2~8の環状エーテル、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数2~8の環状チオエーテル及び水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数2~8の環状イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(C)とを反応させる工程(以下反応工程と略記する)を含む製造方法により製造することができる。
Figure 0007001518000006
[一般式(6)において、R5は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R5の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X5は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y10は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
Figure 0007001518000007
[一般式(7)において、R6は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R6の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X6は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y11及びY12は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
Figure 0007001518000008
[一般式(8)において、R7は、炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R7の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X7及びX8は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y13は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
前記の反応工程において、環状化合物(B)が有するX基(X5、X6、X7及びX8)とY基(Y10、Y11、Y12及びY13)との間に、環状化合物(C)に由来する2価の基(例えば、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数2~8の環状エーテルを用いた場合はオキシアルキレン基)が挿入される反応(カルボニル基と酸素原子との間にオキシアルキレン基を挿入する反応の場合、アルコキシル化反応という)が生じる。
例えば、環状化合物(B)としてγ-ブチロラクトンを用い、環状化合物(C)としてエチレンオキサイドを用いた場合は、一般式(1)において、Y1が酸素原子であり、A1がエチレン基であり、Y2が酸素原子であり、R1がトリメチレン基であり、X1がカルボニル基である一般式(9)で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状化合物が生成する。
Figure 0007001518000009
本反応工程では、生成した環状化合物(P)が、環上のX基とY基を直接結ぶ結合を一旦開裂する反応を生じ、更に、X基とY基を直接結ぶ結合が開裂した他の環状化合物(P、C及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種類の環状化合物)と反応し、一方の環状化合物(P)のY基と、他方の環状化合物(P)のX基とが結合する挿入付加反応も生じる。
例えば、上記の通り、環状化合物(B)としてγ-ブチロラクトンを用い、環状化合物(C)としてエチレンオキサイドを用いた場合は、上記の一般式(9)で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状化合物(P)が生成する。
そして、この環状化合物(P)2分子が上記の開裂反応及び挿入付加反応した場合、この2価の基を1分子中に2個有する環状化合物が生成する反応、また、この環状化合物3分子が反応し、この2価の基を1分子中に3個有する環状化合物が生成する反応等も生じる。
また、一般式(6)で表される化合物、一般式(7)で表される化合物及び一般式(8)で表される化合物を併用することで、上記の環状化合物(P)同士の開環反応及び挿入付加反応を経て、一般式(1)で表される2価の基、一般式(2)で表される2価の基及び一般式(3)で表される2価の基を構成単位とする環状化合物(P)を得ることができる。
また、一般式(6)で表される環状化合物、一般式(7)で表される環状化合物及び一般式(8)で表される環状化合物の配合量に応じて、これらの環状化合物から開環反応によって生じた2価の基を4個以上有する環状化合物(P)を得ることができる。
環状化合物組成物(Q)は、構成単位数及び分子量の異なる1種類以上の環状化合物(P)を含む組成物である。環状化合物(P)は、一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として結合し、関係式(1)を満たす。
環状化合物組成物(Q)は、環状化合物(P)の他に、後述する溶剤や、触媒(D)、環状化合物(B)、環状化合物(C)及び鎖状の高分子を含んでいてもよい。
一般式(6)、一般式(7)及び一般式(8)において、R5、R6及びR7は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物の説明で例示した、R1、R2及びR3と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
一般式(6)、一般式(7)及び一般式(8)において、X5、X6、X7及びX8は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物の説明で例示した、X1、X2、X3及びX4と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
一般式(6)、一般式(7)及び一般式(8)において、Y10、Y11、Y12及びY13は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物の説明で例示した、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7及びY8と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、以下に例示するラクトン、スルトン、ラクタム、チオラクタム及びスルタム等が挙げられる。
一般式(6)で表されるラクトンとしては、β-ラクトン(β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン等)、γ-ラクトン(γ-ブチロラクトン等)、δ-ラクトン(δ-バレロラクトン等)、ε-ラクトン(ε-カプロラクトン等)、長鎖アルキル基を有するラクトン(γ-エナントラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカラクトン及びδ-ドデカノラクトン等)、γ-クロトノラクトン、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、γ-メチレン-γ-ブチロラクトン、α-ブロモ-γ-ブチロラクトン、α-クロロ-γ-ブチロラクトン、α-ヨード-γ-ブチロラクトン、テトロン酸、大環状ラクトン(15-ペンタデカノラクトン)及び芳香族ラクトン(3,4-ジヒドロクマリン)等が挙げられる。
また、一般式(6)で表されるラクトンの代わりとして、カルボニル構造を2つ以上含むラクトンとしてはD、L及びD/L-ラクチド、ポリ-εカプロラクトン等も好適に用いることができる。
反応性の観点から、β-ラクトン(β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン等)、γ-ラクトン(γ-ブチロラクトン等)、δ-ラクトン(δ-バレロラクトン等)、ε-ラクトン(ε-カプロラクトン等)、テトロン酸、大環状ラクトン(15-ペンタデカノラクトン)及び芳香族ラクトン(3,4-ジヒドロクマリン)が挙げられ、特に好ましくはγ-ラクトン(γ-ブチロラクトン等)、δ-ラクトン(δ-バレロラクトン等)、ε-ラクトン(ε-カプロラクトン等)が好ましい。
これらのラクトンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(6)で表されるスルトンとしては、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトン、1,6-ヘキサンンスルトン、1,7-ヘプタンスルトン、1,8-オクタンスルトン、1,9-ノナンスルトン、1,10-デカンスルトン、1,11-ウンデカンスルトン、1,12-ドデカンスルトン及びアルキル基を有するスルトン(1-メチル-1,3-プロパンスルトン等)等が挙げられる。
反応性の観点から、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトン、1,6-ヘキサンンスルトン、1,7-ヘプタンスルトン、1,8-オクタンスルトン、1,9-ノナンスルトン、1,10-デカンスルトン、1,11-ウンデカンスルトン、1,12-ドデカンスルトンが挙げられ、特に好ましくは1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトン、1,6-ヘキサンスルトンが好ましい。
一般式(6)で表されるラクタムとしては、β-ラクタム(β-プロピオラクタム、β-ブチロラクタム等)、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム等)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム等)、ε-ラクタム(ε-カプロラクタム等)、長鎖アルキル基を有するラクタム(γ-エナントラクタム、γ-ウンデカノラクタム、γ-ドデカラクタム及びδ-ドデカノラクタム等)、N位に置換基を有するラクタム(N-メチル-γ-ブチロラクタム、N-アリル-γ-ブチロラクタム、N-ビニル-γ-ブチロラクタム、N-プロパギル-γ-ブチロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-アリル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-プロパギル-ε-カプロラクタム)γ-クロトノラクタム、α-メチレン-γ-ブチロラクタム、γ-メチレン-γ-ブチロラクタム、α-ブロモ-γ-ブチロラクタム、α-クロロ-γ-ブチロラクタム、α-ヨード-γ-ブチロラクタム、大環状ラクタム(15-ペンタデカノラクタム)及び芳香族ラクタム(3,4-ジヒドロキノリン)等が挙げられる。
反応性の観点から、β-ラクタム(β-プロピオラクタム、β-ブチロラクタム等)、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム等)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム等)、ε-ラクタム(ε-カプロラクタム等)、長鎖アルキル基を有するラクタム(γ-エナントラクタム、γ-ウンデカノラクタム、γ-ドデカラクタム及びδ-ドデカノラクタム等)、N位に置換基を有するラクタム(N-メチル-γ-ブチロラクタム、N-アリル-γ-ブチロラクタム、N-ビニル-γ-ブチロラクタム、N-プロパギル-γ-ブチロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-アリル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-プロパギル-ε-カプロラクタム)、γ-クロトノラクタム、α-メチレン-γ-ブチロラクタム、γ-メチレン-γ-ブチロラクタムが好ましい。また、副生物低減の観点からN位に置換基を有するラクタム(N-メチル-γ-ブチロラクタム、N-アリル-γ-ブチロラクタム、N-ビニル-γ-ブチロラクタム、N-プロパギル-γ-ブチロラクタム、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-アリル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-プロパギル-ε-カプロラクタム)、γ-クロトノラクタムが好ましい。
一般式(6)で表されるチオラクタムとしては、γ-ブチロチオラクタム、N-メチル-γ-ブチロチオラクタム(1-メチルピロリジン-2-チオン)、ε-カプロチオラクタム及びN-メチル-ε-カプロチオラクタム等が挙げられる。副生物抑制の観点から、N-メチル-γ-ブチロチオラクタム(1-メチルピロリジンー2-チオン)及びN-メチル-ε-カプロチオラクタムが好ましい。
一般式(6)で表されるスルタムとしては、1,3-プロパンスルタム、N-メチル-1,3-プロパンスルタム、1,4-ブタンスルタム及びN-メチル-1,4-ブタンスルタム等が挙げられる。反応性の観点から、1,3-プロパンスルタム、N-メチル-1,3-プロパンスルタムが好ましい。
一般式(7)で表される化合物の具体例としては、以下に例示する1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,3,2-ホスホラン2-オキシド、イミダゾリジノン、1,2,5-チアジアゾリン1,1-ジオキシド、カーボネート及びトリチオカーボネート等が挙げられる。
一般式(7)で表される1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシドとして、好ましいものとしては、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド等が挙げられる。
一般式(7)で表されるホスホラン2-オキシドとして、好ましいものとしては、1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシド及び4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシド等が挙げられる。
一般式(7)で表されるイミダゾリジノンとして、好ましいものとしては、2-イミダゾリジノン及び1,3-ジメチル2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
一般式(7)で表される1,2,5-チアジアゾリン1,1-ジオキシドとして、好ましいものとしては、1,2,5-チアジアゾリン1,1-ジオキシド及びN,N-ジベンジル-1,2,5-チアジアゾリン1,1-ジオキシド等が挙げられる。
一般式(7)で表されるカーボネートとして、好ましいものとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及び1,3-ジオキサン-2-オン等が挙げられる。
一般式(7)で表されるトリチオカーボネートとして、好ましいものとしては、エチレントリチオカーボネート等が挙げられる。
一般式(8)で表される化合物の具体例としては、酸無水物及び環状イミド等が挙げられる。
一般式(8)で表される無水酢酸として、好ましいものとしては、無水コハク酸、3,3-ジエチル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、グルタル酸無水物、3,5-ジメチルグルタル酸無水物、3,3-テトラメチレングルタル酸無水物及び3-オキサビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2,4-ジノン等が挙げられる。
一般式(8)で表される環状イミドとしては、コハク酸イミド、N-メチルコハク酸イミド、3,3-ジエチルコハク酸イミド、N-メチル-3,3-ジエチルコハク酸イミド、マレイン酸イミド、N-メチルマレイン酸イミド、フタル酸イミド、N-メチルフタル酸イミド、トリメリット酸イミド、N-メチルトリメリット酸イミド、グルタル酸イミド、N-メチルグルタル酸イミド、3,5-ジメチルグルタル酸イミド、N-メチル-3,5-ジメチルグルタル酸イミド、3,3-テトラメチレングルタル酸イミド、N-メチル-3,3-テトラメチレングルタル酸イミド、3-アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2,4-ジノン及びN-メチル3-アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2,4-ジノン等が挙げられる。
反応性の観点からはコハク酸イミド、N-メチルコハク酸イミド、3,3-ジエチルコハク酸イミド、マレイン酸イミド、N-メチルマレイン酸イミド、フタル酸イミド、N-メチルフタル酸イミドが好ましい。
また、副生物低減の観点から、N-メチルコハク酸イミド、N-メチル-3,3-ジエチルコハク酸イミド、N-メチルマレイン酸イミド、N-メチルフタル酸イミド、N-メチルトリメリット酸イミド、N-メチルグルタル酸イミド、3、N-メチル-3,5-ジメチルグルタル酸イミド、N-メチル-3,3-テトラメチレングルタル酸イミド、3-アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2,4-ジノン及びN-メチル3-アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2,4-ジノン等が好ましい。
環状化合物(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
環状化合物(B)は、試薬として購入する以外に、以下の分子内縮合反応等によって製造することで入手できる。
例えば、一般式(6)で表される化合物は、R5で表される基の片末端に、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基(例えばX5がカルボニル基の場合はカルボキシ基)を結合させ、R5で表される基の反対側の末端に、Y10で表される基と水素原子とが結合した1価の基(例えばY10基が酸素原子の場合は、水酸基)を結合させた化合物を用い、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基、及びY10で表される基と水素原子とが結合した1価の基を分子内縮合することで、得ることができる。
分子内脱水してラクトン等を合成する方法としては、公知の方法で加熱脱水する方法、J.S.Nimitz,R.H.Wollemberg,Terahedron Lett.1978,19,3523に記載方法、及びリパーゼ等の酵素を用いる方法の公知の合成方法を用いることができる。
前記の「R5で表される基の片末端に、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基(例えばX5がカルボニル基の場合はカルボキシ基)を結合させ、R5で表される基の反対側の末端に、Y10で表される基と水素原子とが結合した1価の基(例えばY10基が酸素原子の場合は、水酸基)を結合させた化合物」としては好ましいものとしては、炭素数4~22のモノヒドロキシモノカルボン酸等が挙げられる。
炭素数4~22のモノヒドロキシモノカルボン酸としては、炭素数4~22の直鎖ヒドロキシカルボン酸(3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシ酪酸、5-ヒドロキシペンタン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸及び4-ヒドロキシ-2-ブテン酸等)及び炭素数3~22の分岐ヒドロキシカルボン酸(3-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシトリデカン酸、2-メチレン-4-ヒドロキシ酪酸、4-フェニル-4-ヒドロキシ酪酸、2,2-ジメチル-4-ヒドロキシ酪酸、4-ヘキシル-4-ヒドロキシ酪酸及び4-ヒドロキシ-2-メチル-2-ブテン酸等)等が挙げられる。
前記の炭素数4~22のモノヒドロキシモノカルボン酸の炭素原子に結合した水素原子のうち、少なくとも1つの水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されたヒドロキシカルボン酸が分子内脱水した構造を有するラクトンも用いることもできる。
前記の炭素数4~22のモノヒドロキシモノカルボン酸のうち、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つがハロゲノ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2-ブロモ-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、アセチル基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2-アセチル-4-ヒドロキシブタン酸等が挙げられ、アルコキシ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2-メトキシ-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、フェノキシ基で置換されたヒドロキシカルボン酸としては、2-フェニル-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
炭素数2~8の環状エーテルとしては、エチレンオキサイド、1,2-又は1,3-プロピレンオキサイド、1,2-、1,3-、1,4-又は2,3-ブチレンオキサイド、1,2-ジクロロオキセタン、1,2-ペンチレンオキサイド、1,2-ヘキシレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリン等が挙げられる。
これらの内、反応性の観点から、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,2-ヘキシレンオキサイドが好ましく、更に好ましくは、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキシド、及びエピクロルヒドリンである。
炭素数2~8の環状エーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2~8の環状チオエーテルとしては、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド、1,2-ブチレンサルファイド、2,3-ブチレンサルファイド、1,2-ペンテンサルファイド、シクロヘキセンサルファイド、スチレンサルファイド、エピクロロチオサルファイド、エピブロモチオサルファイド及びパークロロプロピレンサルファイド等が挙げられる。
これらの内、反応性の観点から、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド、エピクロロチオサルファイド、エピブロモチオサルファイド及びパークロロプロピレンサルファイドが好ましく、更に好ましくはエチレンサルファイド、エピクロロチオサルファイド、エピブロモチオサルファイド及びパークロロプロピレンサルファイド、特に好ましくはエチレンサルファイド、及びパークロロプロピレンサルファイドである。
炭素数2~8の環状チオエーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2~8の環状イミンはとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,2-ペンテンイミン、シクロヘキセンイミン、スチレンイミン、エピクロロイミン及びエピブロモイミン等が挙げられる。
これらの内、反応性の観点から、エチレンイミン、エピクロロイミン及びエピブロモイミンが好ましい。
炭素数2~8の環状イミンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2~8の環状エーテル、環状チオエーテル、環状イミンの内、反応性の観点から、環状エーテル、環状チオエーテルが好ましく、更に好ましくは環状エーテルである。
環状化合物(C)を2種以上併用する場合、得られる環状化合物(P)が有するA(A1、A2、A3又はA4)で表される2価の基は、使用した環状化合物(C)の種類に対応した異なる種類のAを有する。
本発明の反応工程は、触媒の存在下で行うことが好ましい。
反応工程で用いる触媒としては、金属(錫、ニッケル、亜鉛及びアルミニウム等)のハロゲン化物、ホウ素化合物(トリスペンタフルオロフェニルボラン等)、無機酸(硫酸及びリン酸等)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物、アミン化合物(ジエチルアミン及びトリエチルアミン等)、ホスファゼン、複合金属シアン化物錯体触媒(特開2005-53952号公報及び特開2016-6203号公報等に記載された亜鉛ヘキサシアノコバルテート等の2種類の金属を分子内に含有する金属錯体触媒等)、特開2000-354763号公報に記載された酸化物複合体、アルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物(D1)及び層状複水酸化物並びにその焼成物等を用いて行うことができる。
本発明の製造方法で用いる層状複水酸化物とは、2価の金属(マグネシウム、鉄、亜鉛、カルシウム、ニッケル、コバルト及び銅等)と3価の金属(アルミニウム、鉄及びマンガン等)の水酸化物とが複合して積層構造を形成した無機の層状化合物を意味し、一般式が[M2+ 1-h3+ h(OH)2][(Wi-h/i・jH2O][ここで、M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、Wi-はi価の陰イオン(HCO3 -、CO3 2-、PO4 3-、SO4 2-、Cl-、NO2 -及びNO3 -等)、h、i及びjはそれぞれ独立の正数である。]で表さる化合物であり、ハイドロタルサイト、モツコレアイト、マナセイト、スティッヒタイト、パイロアウライト、タコバイト、イヤードライト及びメイキセネライト等が含まれる。これらの層状複水酸化物は、粘土鉱物として知られており、天然に産する鉱物に含まれたものであっても、合成によって得られたものであってもよい。
触媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応効率の観点から好ましいのは、アルミニウム(以下、Al記載する)とマグネシウム(以下、Mgと記載する)との複合酸化物(D1)の焼成物及びAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物である。
本発明において用いられる複合酸化物(D1)は、AlとMgを有する酸化物であれば、特に限定されないが、好ましい複合酸化物としては下記組成式(1)又は(2)で示される化合物等が挙げられる。
<組成式1>
〔aMgO・Al23 ・bH2O〕
<組成式2>
〔MgsAltu
組成式(1)において、a及びbは、それぞれ独立の正数である。組成式(2)において、s、t及びuは、それぞれ独立の正数である。
反応性の観点から、t/sは0.1以上0.9未満であることが好ましい。複合酸化物(D1)としては、2.5MgO・Al23 ・bH2O及びMg0.7Al0.31.15等が挙げられ、それぞれキョーワード300[協和化学工業(株)製]及びキョーワード2000[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
本発明に用いるハイドロタルサイト(D2)としては、下記組成式(3)で示される化合物等が挙げられる。
<組成式(3)>
〔Mg1-cAlc(OH)2c+ 〔CO3c/2 ・dH2O〕c-
また、組成式(3)において、cは0<c≦0.33を満たす数であり、dは0<d≦1.0を満たす数である。
ハイドロタルサイト(D2)としては、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O及びMg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等が挙げられ、それぞれキョーワード500[協和化学工業(株)製]及びキョーワード1000[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
本発明に用いるハイドロタルサイト(D2)としては、上記の化合物以外にも、西ドイツ特許公告第1592126号及びヨーロッパ特許公開第0207811号等に記載の既知の鉱物も使用することができる。
(D1)及び(D2)は、それぞれ1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、反応性の観点から好ましいのは複合酸化物(D1)であり、更に好ましいのは2.5MgO・Al23・nH2O(nは正数)及びMg0.7Al0.31.15である。
AlとMgとの複合酸化物(D1)の焼成物又はAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物は、複合酸化物(D1)又はAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)を空気雰囲気下、好ましくは窒素気流下で、好ましくは400~1500℃(更に好ましくは600~1000℃)にて1~48時間加熱処理する方法等で得ることができる。
なお、複合酸化物(D1)又はAlとMgを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物は以降、触媒(D’)と記載する。
本発明の反応工程において、触媒の含有量は特に限定されないが、反応速度及び濾過効率の観点から、環状化合物(B)と環状化合物(C)との合計重量に対して0.0001~60.0重量%が好ましく、更に好ましくは0.001~20重量%であり、更に好ましくは0.01~20.0重量%である。
本発明の反応工程において、攪拌を容易にする等の観点から、環状化合物(B)、環状化合物(C)及び触媒以外に、溶剤を添加してもよい。
溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4-ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、N-メチルピロリドン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジクロロエタン、O-ジクロロベンゼン及びクロロホルム等が挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの内、環状化合物(B)及び環状化合物(C)等との混和性、高沸点並びに留去のしやすさの観点から、トルエン及びキシレンが好ましい。
前記反応工程に用いる溶剤の重量は、反応速度等の観点から、環状化合物(B)と環状化合物(C)と触媒との合計重量に対して、0~90重量%が好ましく、更に好ましくは0~60重量%である。
前記の反応工程においては、環状化合物(B)及び環状化合物(C)並びに必要に応じて、触媒及び溶媒の混合物の温度が90~250℃となることが好ましく、更に好ましくは100~190℃である。
また、上記の温度とする時間は、1~200時間が好ましい。
前記反応工程は、環状化合物(B)及び環状化合物(C)並びに必要に応じて、触媒及び溶媒を反応装置へ入れ不活性ガス(窒素及びアルゴン等)により系内を置換・密閉し、前記の反応温度と反応時間とで撹拌混合することで行うことができる。
反応装置としては撹拌装置及び加熱装置の付属した混合容器(スターラー付きフラスコ及びオートクレーブ等)等の公知の反応装置を用いることができる。
本発明の製造方法は、前記の反応工程で得られる生成物[すなわち、環状化合物(P)を含む混合物]を、更に濾過操作(特開2011-213864号公報に記載の方法等)、ゲル透過法及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方法により精製する工程(以下精製工程と略記する)を含んでいてもよい。
上記の精製工程により、特定の構造を有する環状化合物(P)のみを抽出することができる。
本発明の環状化合物組成物の製造工程は、触媒の除去操作を含んでいてもよい。触媒を除去する方法として公知の方法を用いることができるが、具体的には特開2010-6964号公報に記載の方法の他、ろ過用薬剤である珪藻土(ダイカライト6000、ラヂオライト#700等)、シリカゲル(ワコーゲル等)、ケイ酸マグネシウム(キョーワード600、キョーワード700)等を用いてろ過する方法が挙げられる。ろ過操作では前記ろ過用薬剤を単一で用いても複数種類を併用してもよいが、ろ過効率の観点から複数種類を用いることが好ましい。
また、ろ過速度を向上させる観点から、珪藻土を使用することが好ましく、触媒の除去効率を向上させるために、ケイ酸マグネシウムを用いることが好ましい。
ろ過操作は公知の方法で行うことができるが、珪藻土とケイ酸マグネシウムを層状に積層させた濾層に環状化合物組成物またはその溶液を通過させる方法が挙げられる。ろ過に用いる溶剤は環状化合物組成物を溶解させるものであれば限定されないが、溶解効率の観点から、THF、トルエン、キシレン等が好ましい。
本発明の環状化合物(P)を含む環状化合物組成物(Q)は、後述する高分子化合物(E)等に配合することで、後述の樹脂組成物(F)に可塑性を付与し、かつ、優れた耐ブリードアウト性をもたらす。
本発明の環状化合物(P)を含む環状化合物組成物(Q)は、上述のように可塑剤として有用であるが、潤滑油組成物の添加剤、帯電防止剤及びホットメルト接着剤などの用途にも用いることもできる。
本発明の樹脂組成物(F)は、前記の環状化合物(P)を含む環状化合物組成物(Q)の他に、各種溶剤、高分子化合物(E)、触媒及び各種樹脂添加剤などを含有する。
樹脂添加剤としては例えば、無機塩(炭酸カルシウム及び硫酸バリウム等)、無機繊維(ガラス繊維及び炭素繊維等)、ウィスカー(チタン酸カリウムウィスカー等)のような充填材;難燃剤〔リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル(例えばクロロアルキルフォスフェート)等〕;金属キレート化剤(重金属不活性化剤)[ヒドラジド系及びアミド系等];過酸化物分解剤[リン系、硫黄系];熱安定剤(塩酸捕捉剤)[金属石鹸(カルシウム系、亜鉛系)];整泡剤[ジメチルポリシロキサン系整泡剤(東レダウコーニングシリコーン株式会社社製「SH-200オイル」等)]が挙げられる。
樹脂組成物(F)が含有する環状化合物(Q)と高分子化合物(E)の重量割合は、高分子化合物(E)の重量に対する環状化合物組成物(Q)の重量割合が0.1~50重量%となる割合が好ましく、0.1~30重量%となる割合が更に好ましい。
また、樹脂組成物(F)のうち、溶剤、後述する高分子化合物(E)及び触媒(D)を含まない樹脂成分(即ち環状化合物組成物(Q))のうち、環状化合物(P)の含有割合(重量%)は、後述する樹脂(F)の仕込誤差を小さくし、かつ、樹脂強度を維持するため、60%以上が好ましく、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは95%以上である。
樹脂組成物(F)が含有する高分子化合物(E)としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリシロキサン(ポリジメチルシロキサン等)及びポリエーテル並びにこれらを架橋した高分子が好ましく、これらの中でも、ポリウレタン及びポリエーテルが好ましい。これらの高分子は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、高分子化合物(E)は、反応性官能基を導入した高分子であってもよく、導入する反応性官能基としては、イソシアネート基、アルケニル基、アルキニル基、(メタ)アクリレート基、水酸基、カルボキシ基、エステル基、アルデヒド基、カルボニル基、ハロゲノ基、スルホ基、ホスホ基、ジスルフィド基、トリアジド基、シアノ基、イミン系置換基、アミジン基、オキシム基、シリル基、シロキシ基、アミノ基、チオ基、水酸基及びマレイミド基等があげられる。これらの反応性官能基を導入した高分子化合物(E)としては、末端アミン変性ポリエチレングリコール、末端チオール変性ポリエチレングリコール及び末端マレイミド変性ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらはSUNBRITEシリーズ(SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)として日油株式会社から入手可能である。
また、ポリウレタンは主鎖の末端に、イソシアネート基、カルボキシ基及び水酸基等を有しており、ポリエステルは主鎖の末端に、カルボキシ基及び水酸基等を有しており、ポリエーテルは主鎖の末端に、水酸基を有している。
高分子化合物(E)の数平均分子量に特に制限はないが、合成し易さ等の観点から、1000~100,000であることが好ましい。
高分子化合物(E)の数平均分子量は、以下のGPCを用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
前記の高分子化合物(E)は、公知の重合方法で製造することができる。
ポリウレタンの場合は、ポリイソシアネート(トルエンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等)とポリオール(ポリプロピレングリコール等)との重縮合反応;ポリエステルの場合は、ポリカルボン酸とポリオールとの重縮合反応;ポリポリアクリル酸の場合は、アクリル酸及び/又はアクリル酸エステルのラジカル重合反応;ポリシロキサンの場合は、アルコキシシランの加水分解重縮合反応;ポリエーテルの場合は、活性水素基を有する化合物(アルコール、カルボン酸及びアミン等)のアルキレンオキサイド付加反応等の公知の方法を用いて製造することができる。
また、上記の環状化合物組成物(Q)と高分子化合物(E)の複合構造を安定して維持する観点から、前記の合成において、架橋剤(G)を併用し、架橋剤(G)と反応する官能基を有する高分子化合物(E)同士を架橋することが望ましい。
架橋剤(G)としては、2官能以上の反応性置換基をもつ化合物であれば特に制限はなく、グリセリン、ポリイソシアネート化合物、ジアクリレート化合物等が挙げられる。
一方、架橋剤(G)を使用しない場合には、高分子化合物(E)同士で疑似架橋(水素結合、イオン結合及び分子間力等)を形成することができる官能基及び/又は結合を有する高分子化合物(E)を用いることが好ましい。
上記の官能基は、対応する官能基を有する単量体を用いて高分子化合物(E)を合成する方法等で導入することができるが挙げられる。
また、上記の結合は、ポリウレタン及びポリエステル等、主鎖に上記結合を有する高分子化合物(E)を選択することで導入することができる。
前記の高分子化合物(E)の合成は、上記の環状化合物(P)と高分子化合物(E)の複合構造を形成しやすくする観点から、後にも記載するように、環状化合物(P)存在下で行うことが好ましい。
本発明の樹脂組成物(F)は、環状化合物(P)及び高分子化合物(E)以外に、溶剤を含有していてもよい。
溶剤を用いる場合には、環状化合物(P)の溶解性の高い溶媒を適宜選択することが好ましい。
好ましい溶剤としてはトルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4-ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水、四塩化炭素、N-メチルピロリドン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジクロロエタン及びクロロホルム等が挙げられる。
溶剤を使用しない場合は、環状化合物(P)と、高分子化合物(E)又は高分子化合物(E)を構成する各種モノマーとの親和性が高いことが望ましい。
例えば、環状化合物(P)が、ポリオキシプロピレン鎖を有する場合、高分子化合物(E)としては、ポリオキシプロピレン鎖を有する高分子化合物(ポリプロピレンオキサイド等)を用いることが好ましい
また、環状化合物(P)が、ポリオキシエチレン鎖を有する場合、高分子化合物(E)としては、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子化合物(ポリエチレングリコール等)を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物(F)は、シリカゲル、リグニン、セルロースナノファイバーを含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物(F)は、環状化合物(P)と高分子化合物(E)と必要によりその他の添加剤(溶剤等)とを混合する方法及び環状化合物(P)の存在下で高分子化合物(E)を前記の方法で重合する方法等により製造することができる。
本発明の樹脂組成物(F)の製造に用いる環状化合物(P)としては、前記の本発明の環状化合物(P)の製造方法において、前記の精製工程をせずに得た反応生成物をそのまま用いても、精製工程を実施し、反応生成物を分画、精製して得られた特定の構造を持つ環状化合物(P)を用いてもよい。
環状化合物(P)と高分子化合物(E)とを混合する方法としては、無溶媒又は溶媒中で環状化合物(P)と高分子化合物(E)を攪拌・混合する方法があげられ、攪拌・混合する際の温度は、0~250℃、好ましくは10~200℃であり、混合時間は、1秒~1週間、好ましくは10秒~3日である。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は重量部を示す。
製造例1
「キョーワード300」〔化学式:2.5MgO・Al23・bH2O(bは正数)、協和化学工業(株)製〕を電気炉にて窒素気流下900℃で24時間加熱処理し、焼成物を調製して、実施例1~21に用いる触媒を合成した。
1.環状化合物の合成
各種環状化合物の混合物は1~3段階のアルキレンオキサイドの付加反応と熟成工程を経て合成した。
<実施例1~18、20>
実施例1~18及び20における環状化合物の中間体(P-_-1~3)を合成し、得られた中間体を含む反応混合物を下記精製工程1又は2の方法で精製することにより、本発明の環状化合物(P-1~18、20)を含む混合物を得ることができる。詳細は、以下の表1及び表2に示す。表中の記載で、[P-_-1~3]は中間体を示し、精製後の環状化合物は[P-_]と示す。アンダーバー部分には各実施例の番号が入る。
各実施例1~18及び20において、工程1を経て得られた中間体を[P-_-1]と記載し、工程2を経て得られた中間体を[P-_-2]と記載し、工程3を経て得られた中間体を[P-_-3]と記載する。得られた中間体を下記の精製工程1又は2の方法で精製することにより、本発明の環状化合物[P-_]を得た。
<実施例19>
また、実施例19については、工程1においてキシレン100部を加えて反応をおこなった以外は実施例1と同様の方法に従って合成した。
<実施例21>
また、実施例21については、工程1において熟成時間を2時間から6時間に変更した以外は実施例1と同様の方法に従って合成した。
なお、実施例における各種原料は次のものを用いた。無水コハク酸[東京化成工業(株)製]、1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシド[シグマアルドリッチ(株)製(製品名:エチレンホスファイト)]、1,3-プロパンスルトン[東京化成工業(株)製]、1,3,2-ジオキサチオラン 2,2-ジオキシド[東京化成工業(株)製]、N-メチル-ε-カプロラクタム[和光純薬工業(株)製]、1-メチルピロリジン-2-チオン[東京化成工業(株)製]、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン[東京化成工業(株)製]、N-メチル-1,3-プロパンスルタム[和光純薬工業(株)製]、N-メチルコハク酸イミド[和光純薬工業(株)製(製品名:N-メチルスクシンイミド)]、エチレンカーボネート[和光純薬工業(株)製(製品名:炭酸エチレン)]、エチレントリチオカーボネート[和光純薬工業(株)製(製品名:エチレントリチオカルボナート)]。
(工程1):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに表1に記載の原料及び触媒を導入し、減圧(ゲージ圧-0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで中間体(PP-_-1)を得た。
(アンダーバー#は各実施例の番号に対応する。以下同様。)
(工程2):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに表1に記載の原料及び触媒を導入し、減圧(ゲージ圧-0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで中間体(PP-_-2)を得た。
(工程3):攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに表1に記載の原料及び触媒を導入し、減圧(ゲージ圧-0.1 MPa)し、窒素通気を1時間行った後、150℃に昇温し、表1に記載のアルキレンオキサイドを表1に記載の反応時間をかけて圧入し、表1に記載の時間熟成させることで中間体(PP-_-3)を得た。
(反応混合物の精製)
(精製工程A)
実施例1~2、21で得られた中間体(PP-1-1、PP-2-1、PP-21-1)20部にキシレン100部を加えて50℃に温調し、均一に攪拌した後、濾過助剤であるラヂオライト#700[昭和化学工業(株)製]5部及びキョーワード600[協和化学工業(株)製]5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別し、ろ液を減圧乾燥することで、環状化合物(P-1~2、P-21)を含む組成物を得た。
(精製工程B)
実施例3~14、16~20で得られた中間体(PP-3-1、PP-4-1、PP-5-2~14-2、PP-16-2~20-2)20部にキシレン100部を加えて50℃に温調し、均一に攪拌した後、濾過助剤であるラヂオライト#700[昭和化学工業(株)製]5部及びキョーワード600[協和化学工業(株)製]5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール20部を加えて撹拌し、水100部を加えて再沈殿させ、デカンデーションによって沈殿物を分離し、更に沈殿物を減圧乾燥することで、環状化合物(P-3~14、16~20)を含む組成物得た。
(精製工程C)
実施例15で得られた中間体(PP-15-2)20部にキシレン100部を加えて50℃に温調し、均一に攪拌した後、濾過助剤であるラヂオライト#700[(昭和化学工業株(製)5部)及びキョーワード600[協和化学工業(株)製]5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール100部、キシレン100部加えて撹拌し、メタノール層を抽出した後にメタノールを減圧留去し、濃縮することで環状化合物(P-15)を含む組成物得た。
3.環状化合物(P-1~P-21)の分析
得られた環状化合物MALDI-TOF MS[MALDI質量分析装置AXIMP-Performance、(株)島津製作所製による分析を行った。
以下に各実施例で得られた環状化合物について記載する。
実施例1
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-1)は化学式(10)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は1)であった。
化学式(10)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000010
実施例2
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-2)は化学式(11)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は5)であった。
化学式(11)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000011

実施例3
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-3)は化学式(12)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(1)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000012
実施例4
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-4)は化学式(13)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は30)であった。
化学式(13)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000013

実施例5
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-5)は化学式(14)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(14)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000014

実施例6
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-6)は化学式(15)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(15)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000015

実施例7
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-7)は化学式(16)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(16)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000016
実施例8
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-8)は化学式(17)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(17)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000017
実施例9
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-9)は化学式(18)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(18)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000018
実施例10
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-10)は化学式(19)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(19)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000019
実施例11
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-11)は化学式(20)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(20)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000020
実施例12
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-12)は化学式(21)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(21)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000021
実施例13
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-13)は化学式(22)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(22)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000022
実施例14
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-14)は化学式(23)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(23)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000023
実施例15
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-15)は化学式(24)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(24)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはエチレン基を表す。
Figure 0007001518000024
実施例16
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-16)は化学式(25)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(25)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはエチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000025
実施例17
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-17)は化学式(26)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(26)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはブチレン基を表す。
Figure 0007001518000026
実施例18
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-18)は化学式(27)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(27)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aは(クロロメチル)エチレン基を表す。
Figure 0007001518000027
実施例19
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-19)は化学式(28)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(28)において、nは整数であり、kは1~3の整数であり、Aはフェニルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000028
実施例20
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-20)は化学式(29)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は15)であった。
化学式(29)において、nは整数であり、k1+k2は1~3の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000029
実施例21
MALDI-TOF MS分析を行ったところ、環状化合物(P-20)は化学式(30)で表される化合物の混合物(a+b+c+dの合計値は2)であった。化学式(30)において、nは整数であり、kは1~4の整数であり、Aはメチルエチレン基を表す。
Figure 0007001518000030
Figure 0007001518000031
Figure 0007001518000032
<実施例22~42:樹脂組成物(F)の製造>
実施例1~21で得た環状化合物(P-1)~(P-21)を用いて、以下の方法で樹脂組成物(F)を製造した。
<末端NCO含有プレポリマーの合成>
ポリプロピレングリコール(水酸基価56mgKOH/g)[サンニックスPP-2000、三洋化成工業(株)製]23部とポリプロピレングリコール(水酸基価33mgKOH/g)[サンニックスGH-5000NS、三洋化成工業(株)製]57部を反応容器に入れ、120℃、30mmHgの減圧下で脱水し、水分を0.03%以下とした。
次いで、80℃に冷却し、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート15.4部を反応容器に投入し、80±5℃で4時間反応させ、末端NCO含量(末端NCO含有プレポリマーの重量に対する末端NCO基の重量の割合)2.9重量%の末端NCO含有プレポリマーを得た。
<樹脂組成物(F)を含む硬化物シートの作成>
上記で合成した末端NCO含有プレポリマー100部、実施例1~20で得た各環状化合物組成物(Q)80部、表面処理炭酸カルシウム120部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤[イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製]3部、トリアゾール系紫外線吸収剤[チヌビン320、日本チバガイギー(株)製]2部、硬化促進触媒[鉛オクトエート]3部、及びポリプロピレングリコール(水酸基価56)[サンニックスPP-2000、三洋化成工業(株)製]62部をプラネタリーミキサーにて、減圧下30分間混練し、2液型硬化性組成物を得た。次に組成物を型に流し込み、20℃で7日間養生し、厚さ3mmの硬化物シート(F1-1)~(F1-21)を得た。
<比較例1:比較用の樹脂組成物(F1’-1)の製造>
実施例22において、環状化合物(P-1)80部を加えない以外は、実施例21と同様にして実施し、比較用の硬化物シートを得た。(F1’-1)を得た。
<比較例2:比較用の樹脂組成物(F1’-2)の製造>
実施例22において、環状化合物(P-1)80部に代えて、フタル酸ジオクチル[和光純薬工業(株)製]80部を用いる以外は、実施例21と同様にして実施し、比較用の硬化物シートを得た。(F1’-2)を得た。
実施例22~42で得た硬化物シート(F1-1)~(F1-21)並びに比較例1~2で得た比較用の硬化物シート(F1’-1)~(F1’-2)の耐ブリード性及び可塑性を下記方法で評価した。結果を表3に示す。
(1)耐ブリードアウト性
硬化物シートを80℃の循風乾燥機内で50時間熱処理した後、可塑剤成分の表面へのブリードアウト状態(表面外観)を目視で観察し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:ブリードアウトなし
〇:わずかに白点、または濡れがみられる。
×:白点又は濡れが著しい
(2)可塑性
JIS A5758に基づいて、硬化物シートの破断時の伸びを測定し、硬化物シート(F1’-2)の破断時の伸びを基準とした時の倍率を、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:1.3倍以上
〇:1.3倍未満1.1倍以上
×:1.1倍未満
Figure 0007001518000033
実施例1~21で得た環状化合物(P)を含有する樹脂組成物(F1-1)~(F1-21)は、環状化合物(P)を含有しない比較用の樹脂組成物(F1’-1)と比較して、耐ブリードアウト性が向上した。
これは、高分子化合物(E)であるウレタンエラストマー中の環状化合物(P)の分子運動が、比較用の化合物として用いたフタル酸ジオクチルと比較して制限されていることが原因と考えられる。
本発明の環状化合物は可塑剤として、ウレタンエラストマー、ハードコート、フィルム、ウレタンフォーム、塗料、ゴム、医療材料、電子材料、潤滑油添加物、その他工業に用いられる機能性材料として有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として結合し、関係式(1)を満たす環状化合物(P)を含む環状化合物組成物(Q)。
    Figure 0007001518000034
    [一般式(1)において、R1は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R1の水素原子は、ハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X1は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y1及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A1は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A1の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。n1は、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R1、A1、n1、X1、Y1及びY2が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。但し、一般式(1)で表される基のみから環状化合物(P)が構成される場合、全てのX1がカルボニル基、かつ全てのY1及びY2が酸素原子である場合を除く。]
    Figure 0007001518000035
    [一般式(2)において、R2は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R2の水素原子はハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X2は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y3、Y4、Y5及びY6はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A2及びA3は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。n2及びn3は、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R2、A2、A3、n2、n3、X2、Y3、Y4、Y5及びY6が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0007001518000036
    [一般式(3)において、R3は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。R3の水素原子はハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い。X3及びX4は、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。Y7及びY8はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基である。A4は、炭素数2~8の2価の炭化水素基である。A2及びA3の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。Zは、一般式(1)で表される基、一般式(2)で表される基及び一般式(5)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。n4及びmは、0以上の整数である。環状化合物組成物(Q)において、R3、A4、n4、X3、X4、Z、Y7及びY8が複数含まれる場合は、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0007001518000037
    [一般式(4)中、R4は、炭素数1~12の1価の炭化水素基である。R4の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良い。]
    Figure 0007001518000038
    [一般式(5)中、Y9は、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。A5は、炭素瀬得得2~8の2価の炭化水素基である。A5の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていても良い。n5は、0以上の整数である。]
    <関係式(1)>
    1≦a+b+c+d≦30 関係式(1)
    [関係式(1)において、aは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y1-A1)で表される基の平均付加モル数である。bは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y3-A2)で表される基の平均付加モル数と、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(A3-Y6)で表される基の平均付加モル数である。cは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y7-A4)で表される基の平均付加モル数である。dは、前記環状化合物(P)に含まれる全ての(Y9-A5)で表される基の平均付加モル数である。]
  2. 一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、R1、R2及びR3がそれぞれ独立に、炭素数3~16の直鎖アルキレン基又は炭素数3~16の分岐アルキレン基であり、A1、A2、A3及びA4がそれぞれ独立に、フェニルエチレン基、炭素数2~4の直鎖アルキレン基又は炭素数3~4の分岐アルキレン基である請求項1に記載の環状化合物組成物。
  3. 一般式(6)で表される環状化合物(R)、一般式(7)で表される化合物(S)及び一般式(8)で表される化合物(T)からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(B)と、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2~8の環状エーテル、水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2~8の環状チオエーテル及び水素原子がハロゲノ基で置換されていても良い炭素数2~8の環状イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の環状化合物(C)とを反応させる工程を含む請求項1又は2に記載の環状化合物組成物の製造方法。
    Figure 0007001518000039
    [一般式(6)において、R5は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R5の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X5は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y10は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
    Figure 0007001518000040
    [一般式(7)において、R6は炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R6の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X6は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y11及びY12は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
    Figure 0007001518000041
    [一般式(8)において、R7は、炭素数2~21の2価の炭化水素基である。また、R7の水素原子がハロゲノ基、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていてもよい。;X7及びX8は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基である。;Y13は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、一般式(4)で表される2価の基である。]
  4. 前記環状化合物(B)と前記環状化合物(C)とを反応させる前記工程が、アルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物(D1)の焼成物及び/又はアルミニウムとマグネシウムを有するハイドロタルサイト(D2)の焼成物の存在下で行う工程である請求項3に記載の環状化合物組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の環状化合物組成物及び高分子化合物(E)を含有する樹脂組成物(F)。
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