JP6973415B2 - フィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、防眩層塗設用のセルロースエステルフィルムを有するフィルムロールと、そのフィルムロールの製造方法とに関するものである。
従来から、液晶表示装置(LCD)等の表示装置の最表面に配置され、外光の映り込みによる視認性の低下を防止するための防眩フィルムが種々提案されている。例えば特許文献1では、バインダマトリクス形成材料と粒子とを含む塗布液を、セルロースエステルフィルムなどの透明基材上に塗布して乾燥させ、バインダマトリクス形成材料中に粒子を分散させることによって表面に凹凸構造を形成した防眩フィルムが開示されている。近年では、防眩フィルムの生産性を向上させるべく、ロールから繰り出される透明基材を高速で搬送して、その透明基材上に塗布液を塗布する高速塗布生産が要求されている。
ところで、上記した透明基材としてのセルロースエステルフィルムは、通常、水分を含んでいる。セルロースエステルフィルムの含水率は、環境によって変動すると考えられるが、例えば特許文献2では、セルロースエステルフィルムの飽和含水率を約5%と推測した場合において、乾燥後(巻き取り時)の含水率は、約2%以下であることが望ましいことが述べられている。なお、上記の含水率とは、雰囲気の温湿度における透明基材の飽和吸水量に対して、透明基材内に吸収されている実際の水分量の割合(重量比)を指し、実含水率とも呼ばれる。
ここで、含水率が局所的に異なる透明基材上にパターンを形成し、その後、外気環境下で含水率が平衡状態になると、透明基材において含水率の変動量が局所的に異なるため、含水率変動による透明基材の伸縮挙動が局所的に異なる。このため、透明基材上に形成されたパターンにおいて、局所的な寸法変動が生じ、パターンの寸法精度が低下する。そこで、例えば特許文献3では、支持部材を介して透明基材を巻き取り、パターンの塗布前に、支持部材によって形成される空隙層に所定の温湿度の気体を供給することにより、透明基材の含水率を均一化するよう試みている。
このように、透明基材自体を加湿する技術については、例えば特許文献4〜6でも開示されている。特許文献4では、乾燥工程において透明基材に水蒸気を当てることにより、透明基材中の溶剤の揮発を促進させて、乾燥時間を短縮するようにしている。特許文献5では、延伸後のフィルムの目標ヘイズから決まる量の水蒸気を、延伸前のフィルムに供給し、延伸開始時点におけるフィルムの含水率を制御することで、レタデーションとヘイズを調整するようにしている。特許文献6では、延伸後のフィルムを水に浸漬し、その後、乾燥させて巻き取ることで、水が付着しても結露ムラを生じにくくさせている。
特開2011−186287号公報(請求項4、段落〔0003〕、〔0044〕等参照) 特開2002−265636号公報(段落〔0120〕参照) 特許第5622089号公報(請求項1、段落〔0011〕、〔0036〕、〔0037〕等参照) 特開2009−137280号公報(請求項1、段落〔0014〕、〔0057〕、〔0086〕、〔0171〕、〔0172〕、図3、図4等参照) 特開2015−68965号公報(請求項1、段落〔0009〕、〔0017〕、〔0033〕、〔0084〕、図3等参照) 特開2014−71201号公報(請求項5、6、段落〔0006〕、〔0008〕、〔0144〕〜〔0147〕、〔0169〕、〔0170〕等参照)
ところで、特許文献1のように、透明基材上に粒子入り塗布液を塗布して、表面凹凸を有する防眩フィルムを作製する際に、透明基材の表面の水分分布に偏りがあると、塗布時に、塗布液に含まれる粒子の分布にムラが生じ、これによって、防眩フィルムに白ムラや黒抜けと呼ばれる塗布故障が生じる。より詳しくは、透明基材の表面で水分の多い領域では、塗布液中の粒子が凝集する。粒子が白色である場合、作製された防眩フィルムにおいて、粒子の凝集した領域が他の領域よりも濃く見え、白ムラとなる。一方、透明基材の表面で水分の少ない領域では、塗布液中の粒子が反発する。このような粒子の反発により、隣り合う粒子の間隔が広がるため、作製された防眩フィルムを巻芯に巻き取ったときに、巻芯の色(例えば黒色)が透けて見え、黒抜けとなる。
防眩フィルムにおける上記の白ムラや黒抜けなどの塗布故障を抑えるためには、透明基材の表面の水分分布の偏り(水分の分布ムラ)を無くすことが必要である、特に、防眩フィルムの生産性を上げるために、ロール状に巻き取った透明基材の、繰り出し時から塗布液の塗布時までの搬送時間を短縮すると(搬送速度を上げると)、繰り出し後に基材表面が吸湿して水分分布が均一になる前に(水分分布にムラがある状態で)塗布液が塗布されることになり、上記の塗布故障が発生しやすくなる。したがって、防眩フィルムの増速での生産に対応するためにも、透明基材の表面の水分分布のムラを無くす、つまり、含水率を均一化することが必要となる。
この点、特許文献3では、透明基材の巻取体の空隙層に対して、所定の温湿度の気体を巻芯に沿った一方向または双方向から供給することで、含水率の均一化を図っている。しかし、この方法では、気体の供給側では含水の量が多く、気体の供給側から離れるに従って含水の量が減るため、防眩フィルムの増速生産に対応できるだけの含水率の均一化を達成するまでには至っていない。したがって、特許文献3の透明基材を防眩フィルムの増速生産に適用した場合は、透明基材の含水率のムラ(特に表面の水分分布のムラ)により、塗布故障を抑えることができないと考えられる。
また、特許文献4〜6の手法は、いずれも、透明基材の製膜過程での加湿後、透明基材を乾燥させてから巻き取るため、巻き取り時の含水率は、飽和含水率に比べて少ないことが推測される。巻き取り時の含水率が低いと、防眩層形成用の塗布液を塗布すべく、巻き取り状態から透明基材を繰り出すとき、透明基材は空気中の水分を吸収する。防眩フィルムの生産性を上げるべく、透明基材の搬送速度を上げると、透明基材の表面が吸湿によって水分分布が均一となる前に塗布液が塗布されるため、やはり、透明基材の表面の水分分布のムラによって塗布液中の粒子の分布ムラが生じ、上述した塗布故障が生じる。
なお、特許文献6のように、透明基材を水に浸漬した後、仮に乾燥させずに巻き取った場合、透明基材の表面に含水膨張による変形が残る。このため、そのような透明基材は、塗布用途に用いることができない。
また、透明基材の巻き取り時の含水率を高くする場合でも、その含水率の範囲を適切に設定しないと、繰り出し後の透明基材において貼り付きや放電による表面変形が生じ、防眩層を塗設する下地のフィルムとして不適切となることが、後述の実施例の検討からわかった。したがって、透明基材の表面変形を抑えながら、上述した塗布故障を低減できるようにすることが望まれる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、透明基材としてのセルロースエステルフィルム上に防眩層を塗設して防眩フィルムを増速生産する場合でも、セルロースエステルフィルムの表面変形を抑えながら、白ムラや黒抜けなどの塗布故障を低減することができ、これによって防眩フィルムの増速生産に容易に対応することができるフィルムロールと、そのフィルムロールの製造方法とを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
すなわち、本発明の一側面に係るフィルムロールは、表面凹凸を形成するための粒子を含む防眩層の塗設用のセルロースエステルフィルムと、防湿性を有し、前記セルロースエステルフィルムをロール状態で包装する包装材とを含み、前記セルロースエステルフィルムにおいて、飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、55〜85%であり、ロール状態での実含水率に対する、前記防眩層の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内である。
セルロースエステルフィルムのロール状態での実含水率が通常よりも高いため、セルロースエステルフィルムの表面および内部での水分の分布が安定し、均一な状態となる。また、防眩層の塗設前におけるセルロースエステルフィルムの実含水率の変動が少ないため、水分分布の均一な状態が防眩層の塗設までほぼ維持される。これにより、セルロースエステルフィルムを用いて防眩フィルムを増速生産すべく、セルロースエステルフィルムを高速で搬送して(ロールから高速で繰り出して)防眩層を塗設する場合でも、塗布液中の粒子の分布ムラを低減して、白ムラや黒抜けなどの塗布故障が生じるのを低減することができる。また、セルロースエステルフィルムのロール状態での実含水率が通常より高くても、適切な範囲に設定されているため、ロールから繰り出されるセルロースエステルフィルムにおいて、貼り付きや放電による表面変形を抑えることができる。したがって、上記したフィルムロールの構成によれば、セルロースエステルフィルムの表面変形を抑えながら、白ムラや黒抜けなどの塗布故障を低減して、防眩フィルムの増速生産に容易に対応することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る防眩フィルムの概略の構成を示す断面図である。 上記防眩フィルムの他の構成を示す断面図である。 上記防眩フィルムの生産に用いられるフィルムロールの概略の構成を示す斜視図である。 上記フィルムロールを用いて防眩フィルムを製造する工程の流れを示すフローチャートである。 上記防眩フィルムの製造に用いられる上記フィルムロールの移動前後の工程を模式的に示す説明図である。 上記フィルムロールを構成するセルロースエステルフィルムの製膜装置の概略の構成を示す説明図である。 上記製膜装置による製造工程の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。なお、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
〔防眩フィルム〕
図1は、本実施形態の防眩フィルム10の概略の構成を示す断面図である。防眩フィルム10は、セルロースエステルフィルム2と、防眩層11とを有して構成されている。セルロースエステルフィルム2は、防眩層11を形成するための塗布液が塗布される下地となるフィルム、つまり、防眩層11の塗設用の光学フィルムである。
防眩層11は、樹脂11aと、表面凹凸を形成するための複数の粒子11bとを含んでいる。この防眩層11は、後述するフィルムロール1(図3参照)から繰り出されるセルロースエステルフィルム2上に、樹脂11aおよび複数の粒子11bを含有する塗布液を塗布して乾燥させ、硬化させることによって形成される。防眩層11の表面は、複数の粒子11bによって凹凸状に形成されるため、防眩フィルム10に入射する光は、防眩層11の表面の凹凸構造によって反射される。したがって、防眩フィルム10を表示装置の最表面に配置することにより、外光の映り込みを低減することができる。
図2は、防眩フィルム10の他の構成を示す断面図である。同図に示すように、防眩フィルム10は、防眩層11の上に低屈折率層12をさらに有する構成であってもよい。この場合、防眩フィルム10は、反射防止フィルムとして機能する。
〔フィルムロール〕
図3は、上記した防眩フィルム10の生産に用いられるフィルムロール1の概略の構成を示す斜視図である。フィルムロール1は、巻芯2aにロール状に巻き取られる上述のセルロースエステルフィルム2(透明基材、基材フィルム)と、包装材3とを有している。包装材3は、防湿性を有しており、ロール状のセルロースエステルフィルム2を包み込んでいる(梱包している)。なお、図3では、包装材3は、ロール状のセルロースエステルフィルム2の最表層および巻芯方向の両端面(両側面)を包装し、巻芯2aを露出させているが、ロール状のセルロースエステルフィルム2と巻芯2aとを両方とも包装してもよい。
防湿性を有する包装材3は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエチレン製フィルムや、PETフィルムに金属(例えばアルミニウム)を蒸着したフィルムで構成される。なお、ここで言う防湿性とは、水分を完全に通さない性質、あるいは水分を通しても透過量が極めて微量である性質(例えば透湿度が30g/m2・day以下である特性)を言う。
本実施形態では、セルロースエステルフィルム2において、飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、55〜85%である。なお、以下では、ロール状態での実含水率のことを、「ロール含水率」とも称し、上記比のことを、単に「含水率比」とも称する。ここで、飽和含水率は、セルロースエステルフィルム2を水中に長時間(例えば1日)沈めた後の含水率を指す。飽和含水率は、セルロースエステルフィルム2を構成する樹脂の種類(ポリマー中の置換基の種類や置換度等)によって異なるが、ここでは3%とする。
また、ロール状態では、セルロースエステルフィルム2の実含水率を測定できないため、ここでは便宜的に、セルロースエステルフィルム2上に防眩層11を塗設すべく、フィルムロール1の包装材3を開封し、ロール状のセルロースエステルフィルム2を繰り出した直後の位置で測定される実含水率であって、巻外側(巻芯2aとは反対側である最外周側)100mが通過した後のセルロースエステルフィルム2の実含水率を、ロール含水率とする(測定位置については図5参照)。なお、巻外側100mのセルロースエステルフィルム2は、包装材3の開封後、周囲の環境の影響を受けて実含水率が変動しやすく、安定しないため、ロール含水率を測定する対象から除外した。上記した飽和含水率および実含水率の測定は、例えばNDCテクノロジーズ社製の赤外線水分計(710eシリーズ)を用いて行うことができる。
ここで、従来のセルロースエステルフィルムの実含水率は、飽和含水率が約5%である場合において、約2%以下であることから(特許文献2参照)、本実施形態で定義した含水率比(飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比)に当てはめると、約40%以下であると考えられる。したがって、本実施形態のセルロースエステルフィルム2の含水率比(55〜85%)は、従来よりも高めに設定されていると言える。このように、セルロースエステルフィルム2の含水率比が従来よりも高いため、包装時(巻き取り状態)においては、セルロースエステルフィルム2の内部および表面が水分の多い状態で安定し、内部および表面の水分分布が均一となる。
また、本実施形態では、セルロースエステルフィルム2において、ロール状態での実含水率に対する、防眩層11の塗設前の実含水率の変動(以下では、単に「含水率変動」とも称する)が、−10%〜+10%の範囲内である。なお、防眩層11の塗設前の実含水率とは、フィルムロール1の包装材3を開封し、ロール状のセルロースエステルフィルム2を繰り出して防眩層11の形成用の塗布液を塗布する直前の位置で測定される実含水率のことを指す(測定位置については図5参照)。防眩層11の塗設前の実含水率の測定についても、上記したNDCテクノロジーズ社製の赤外線水分計(710eシリーズ)を用いて行うことができる。
上記のように、セルロースエステルフィルム2における含水率変動が−10%〜+10%の範囲と小さいため、セルロースエステルフィルム2の繰り出しから防眩層11の塗設まで、セルロースエステルフィルム2の表面の均一な水分分布を維持できる。これにより、包装材3を開封して早期に(セルロースエステルフィルム2を高速で繰り出して)、防眩層5を形成するための塗布液をセルロースエステルフィルム2上に塗布する場合でも、セルロースエステルフィルム2の表面の水分分布にムラがほとんど無い状態で、塗布液を塗布することができる。したがって、塗布液の塗布後に、上記水分分布のムラに起因する塗布液中の粒子11bの凝集および反発を低減することができ、粒子11bの分布ムラを低減することができる。その結果、上述した白ムラや黒抜けなどの塗布故障が生じるのを低減することができる。よって、セルロースエステルフィルム2を高速で繰り出して塗布液を塗布し、防眩フィルム10を製造することが可能となる。
また、本実施形態のセルロースエステルフィルム2では、含水率比が従来の約40%よりも高めに設定されている中で、55〜85%と適切な範囲に設定されているため、繰り出し後のセルロースエステルフィルム2における貼り付きや放電による表面変形を抑えることができる。なお、含水率比が85%を超えると、セルロースエステルフィルム2が柔らかくなって滑りにくくなるため、ロール状に巻き取られたセルロースエステルフィルム2が貼り付きやすくなる。このため、セルロースエステルフィルム2を繰り出す際に、貼り付きによる表面変形が生じやすくなる。一方、含水率比が55%を未満であると、水分量が少ないことでセルロースエステルフィルム2に蓄積された電荷が放電しやすくなる。このため、セルロースエステルフィルム2の繰り出し後に、放電による表面変形が生じやすくなる。
つまり、本実施形態のフィルムロール1を用いることにより、防眩フィルム10を増速で生産する場合でも、セルロースエステルフィルム2の表面変形を抑えながら、白ムラや黒抜けなどの塗布故障を低減でき、防眩フィルムの増速生産に容易に対応することが可能となる。
ところで、セルロースエステルフィルム2において、上記した含水率比は、60〜80%であることがより望ましい。上記含水率比が80%以下である場合、セルロースエステルフィルム2が柔らかくなりすぎず、ロール状に巻き取られたセルロースエステルフィルム2の貼り付きを確実に低減できる。これにより、セルロースエステルフィルム2の繰り出し時において、貼り付きによる表面変形が生じるのを確実に抑えることができる。また、上記含水率比が60%以上である場合、水分量が比較的多いため、セルロースエステルフィルム2に蓄積された電荷が放電しにくくなる。これにおり、セルロースエステルフィルム2の繰り出し後に、放電による表面変形が生じるのを確実に抑えることができる。
〔防眩フィルムの製造方法〕
図4は、本実施形態のフィルムロール1を用いて防眩フィルム10を製造する工程の流れを示すフローチャートである。また、図5は、防眩フィルム10の製造に用いられるフィルムロール1の移動前後の工程を模式的に示す説明図である。本実施形態では、防眩フィルム10は、以下のようにして製造される。
まず、セルロースエステルフィルム2を製膜する(S1;製膜工程)。セルロースエステルフィルム2の製膜方法は特に限定されず、例えば後述する溶液流延法を採用することができる。ここでは、セルロースエステルフィルム2を製膜して巻き取るまでの工程を、製膜工程とする。
次に、製膜したセルロースエステルフィルム2の巻取前に、第1調湿エリアR1にて、セルロースエステルフィルム2を調湿する(S2;第1調湿工程)。より具体的には、第1調湿工程では、製膜したセルロースエステルフィルム2を、温度35〜40℃、湿度20〜80%RH(望ましくは60〜70%RH)の環境下で、10分間調湿する。この第1調湿エリアR1での調湿により、セルロースエステルフィルム2の含水率比を、55〜85%(望ましくは60〜80%)に調整することができる。
その後、調湿されたセルロースエステルフィルム2を巻芯2aに巻き取り(S3;巻取工程)、巻き取ったセルロースエステルフィルム2(フィルムロール3)を、防湿性を有する包装材3で包装する(S4;包装工程)。このように含水率比の高い状態でセルロースエステルフィルム2を巻き取り、包装材3で包装(梱包)することにより、上記の含水率比(55〜85%(望ましくは60〜80%))を維持することができる。なお、セルロースエステルフィルム2の巻き取りから包装までは、含水率の変動を抑えるため、なるべく短時間で行うことが望ましい。
次に、包装材3で包装されたロール状態のセルロースエステルフィルム2(フィルムロール1)を所定の場所に移動した後、包装材3を開封してロール状のセルロースエステルフィルム2を取り出す(S5;開封工程)。そして、ロール状のセルロースエステルフィルム2を繰り出し装置にセットし、ロール状態からセルロースエステルフィルム2を繰り出す(S6;繰出工程)。
続いて、繰り出されたセルロースエステルフィルム2を、第2調湿エリアR2にて、温度35〜40℃、湿度30〜75%RHの環境下で、10〜20分間調湿する(S7;第2調湿工程)。この第2調湿エリアR2での調湿により、セルロースエステルフィルム2の含水率変動を、上述した−10%〜+10%の範囲内に抑えることができる。その後、塗布エリアR3にて、セルロースエステルフィルム2上に上記塗布液を塗布し、乾燥、硬化させる(S8;塗設工程)。これにより、セルロースエステルフィルム2上に防眩層11が形成された防眩フィルム10(図1参照)が得られる。防眩フィルム10は、最終的にロール状に巻き取られる(S9;巻取工程)。なお、図2で示した防眩フィルム10、すなわち、防眩層11上に低屈折率層12を有する防眩フィルム10を作製する場合は、ロールから防眩フィルム10を再度繰り出して、防眩層11上に低屈折率形成用の塗布液を塗布し、これを乾燥、硬化させて低屈折率層12を形成すればよい。低屈折率層12を形成した防眩フィルム10は、最終的にロール状に巻き取られる。
なお、ロール状のセルロースエステルフィルム2の巻外側100mの範囲は、周囲の環境によって実含水率が変動しやすく、表面の水分分布にムラが生じることが懸念されるため、防眩層11の塗設に用いないことが望ましい。したがって、上記の塗設工程では、セルロースエステルフィルム2を100m繰り出して、それ以降に続けて繰り出されるセルロースエステルフィルム2上に塗布液を塗布して、防眩層11を形成することが望ましい。
以上の工程によって本実施形態のフィルムロール1を製造できるとから、本実施形態のフィルムロール1の製造方法は、以下のように表現することができる。すなわち、フィルムロール1の製造方法は、製膜工程(S1)で製膜されたセルロースエステルフィルム2を調湿する第1調湿工程(S2)と、第1調湿工程で調湿されたセルロースエステルフィルム2を巻き取る巻取工程(S3)と、巻き取ったセルロースエステルフィルム2を包装材3で包装する包装工程(S4)とを含み、第1調湿工程(S2)では、包装材3を開封して、ロール状態からセルロースエステルフィルム2を繰り出し(S6)、防眩層11の塗設前に、第2調湿工程(S7)にて、温度35〜40℃、湿度30〜75%RHの環境下で、10〜20分間調湿したときに、ロール状態での実含水率に対する、防眩層11の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内となるように、巻き取り前のセルロースエステルフィルム2を調湿する。
また、第1調湿工程(S2)では、巻き取り前のセルロースエステルフィルム2を、温度35〜40℃、湿度20〜80%RHの環境下で、10分間調湿する。
〔セルロースエステルフィルムの製造方法〕
次に、上述したセルロースエステルフィルム2(光学フィルム)の製造方法について説明する。本実施形態のセルロースエステルフィルム2は、例えば以下で示す溶液流延法を用いて製造することができる。図6は、製膜装置31の概略の構成を示す説明図であり、図7は、上記製膜装置31による製造工程の流れを示すフローチャートである。セルロースエステルフィルム2の製造方法は、攪拌調製工程(S31)、流延工程(S32)、剥離工程(S33)、第1乾燥工程(S34)、延伸工程(S35)、第2乾燥工程(S36)、切断工程(S37)、エンボス加工工程(S38)、巻取工程(S39)を含む。以下、各工程について説明する。
<攪拌調製工程>
攪拌調製工程では、攪拌装置50の攪拌槽51にて、少なくとも樹脂および溶媒を攪拌し、支持体33(エンドレスベルト)上に流延するドープを調製する。上記樹脂としては、セルロースエステル樹脂を用いることができる。溶媒としては、良溶媒および貧溶媒の混合溶媒を用いることができる。なお、良溶媒とは、樹脂を溶解させる性質(溶解性)を有する有機溶媒を言い、1,3−ジオキソラン、THF(テトラヒドロフラン)、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル、塩化メチレン(ジクロロメタン)などがこれに相当する。一方、貧溶媒とは、単独では樹脂を溶解させる性質を有していない溶媒を言い、メタノールやエタノールなどがこれに相当する。
<流延工程>
流延工程では、攪拌調製工程で調製されたドープを、加圧型定量ギヤポンプ等を通して、導管によって流延ダイ32に送液し、無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体33上の流延位置に流延ダイ32からドープを流延する。そして、流延したドープを支持体33上で乾燥させて、流延膜35(ウェブ)を形成する。流延ダイ32の傾き、すなわち、流延ダイ32から支持体33へのドープの吐出方向は、支持体33の面(ドープが流延される面)の法線に対する角度で0°〜90°の範囲内となるように適宜設定されればよい。
支持体33は、一対のロール33a・33bおよびこれらの間に位置する複数のロール(不図示)によって保持されている。ロール33a・33bの一方または両方には、支持体33に張力を付与する駆動装置(不図示)が設けられており、これによって支持体33は張力が掛けられて張った状態で使用される。
流延工程では、支持体33上に流延されたドープにより形成された流延膜35を、支持体33上で加熱し、支持体33から剥離ロール34によって流延膜35が剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、支持体33の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があり、適宜、単独であるいは組み合わせて用いればよい。
<剥離工程>
上記の流延工程にて、支持体33上で流延膜35が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化あるいは冷却凝固させた後、剥離工程では、流延膜35を、自己支持性を持たせたまま剥離ロール34によって剥離する。
なお、剥離時点での支持体33上での流延膜35の残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、支持体33の長さ等により、50〜120質量%の範囲であることが望ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、流延膜35が柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるシワや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。なお、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
ここで、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
<第1乾燥工程>
支持体33から剥離された流延膜35は、乾燥装置36にて乾燥される。乾燥装置36内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによって流延膜35が搬送され、その間に流延膜35が乾燥される。乾燥装置36での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いて流延膜35を乾燥させる。簡便さの点から、熱風で流延膜35を乾燥させる方法が好ましい。なお、第1乾燥工程は、必要に応じて行われればよい。
<延伸工程>
延伸工程では、乾燥装置36にて乾燥された流延膜35を、テンター37によって延伸する。このときの延伸方向としては、フィルム搬送方向(MD方向;Machine Direction)、フィルム面内で上記搬送方向に垂直な幅手方向(TD方向;Transverse Direction)、これらの両方向、のいずれかである。延伸工程では、流延膜35の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。なお、テンター37内では、延伸に加えて乾燥を行ってもよい。延伸工程において、流延膜35をMD方向およびTD方向の両方向に延伸することにより、流延膜35をMD方向およびTD方向に対して斜めに交差する方向に延伸(斜め延伸)することもできる。
<第2乾燥工程>
テンター37にて延伸された流延膜35は、乾燥装置38にて乾燥される。乾燥装置38内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによって流延膜35が搬送され、その間に流延膜35が乾燥される。乾燥装置38での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いて流延膜35を乾燥させる。簡便さの点から、熱風で流延膜35を乾燥させる方法が好ましい。
流延膜35は、乾燥装置38にて乾燥された後、光学フィルムF(セルロースエステルフィルム)として巻取装置41に向かって搬送される。
<切断工程、エンボス加工工程>
乾燥装置38と巻取装置41との間には、切断部39およびエンボス加工部40がこの順で配置されている。切断部39では、製膜された光学フィルムFを搬送しながら、その幅手方向の両端部を、スリッターによって切断する切断工程が行われる。光学フィルムFにおいて、両端部の切断後に残った部分は、フィルム製品となる製品部を構成する。一方、光学フィルムFから切断された部分は、シュータにて回収され、再び原材料の一部としてフィルムの製膜に再利用される。
切断工程の後、光学フィルムFの幅手方向の両端部には、エンボス加工部40により、エンボス加工(ナーリング加工)が施される。エンボス加工は、加熱されたエンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることにより行われる。エンボスローラーの表面には細かな凹凸が形成されており、エンボスローラーを光学フィルムFの両端部に押し当てることで、上記両端部に凹凸が形成される。このようなエンボス加工により、次の巻取工程での巻きズレやブロッキング(フィルム同士の貼り付き)を極力抑えることができる。
<巻取工程>
最後に、エンボス加工が終了した光学フィルムFを、巻取装置41によって巻き取り、光学フィルムFの元巻(フィルムロール)を得る。すなわち、巻取工程では、光学フィルムFを搬送しながら巻芯に巻き取ることにより、フィルムロールが製造される。光学フィルムFの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。光学フィルムFの巻長は、1000〜7200mであることが好ましい。また、その際の幅は1000〜3200mm幅であることが望ましく、膜厚は10〜60μmであることが望ましい。
なお、図4の製膜工程(S1)は、図7の攪拌調湿工程(S31)からエンボス加工工程(S38)に対応し、第1調湿工程(S2)は、エンボス加工工程(S38)と巻取工程(S39)との間で行われる。また、図4の巻取工程(S3)は、図7の巻取工程(S39)に対応している。
〔セルロースエステルフィルム〕
セルロースエステルフィルム(以下、セルロースアセテートフィルムとも言う)としては、例えばトリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等が挙げられる。また、セルロースエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、シクロオレフィンポリマー等を併用してもよい。セルロースエステルフィルムの市販品としては、例えばコニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC8UY、KC4UY、KC6UA、KC4UA、KC2UA、KC4UE及びKC4UZ、KC4CT1、KC2CT1(以上、コニカミノルタ(株)製)が挙げられる。
(セルロースエステル)
セルロースエステルフィルムを構成する樹脂であるセルロースエステルは、特に限定されないが、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでもよく、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味している。水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。更に別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
前記セルロースエステルは、混合酸由来のアシル基を用いることもでき、特に好ましくは、炭素数が2と3、或いは炭素数が2と4のアシル基を用いることができる。本実施形態で用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、または、セルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。本実施形態において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレートである。
また、リタデーション値は、セルロースエステルの前記アシル基の種類とセルロース樹脂骨格のピラノース環へのアシル基の置換度等によって、適宜制御することができる。
本実施形態のセルロースエステルは、下記式(1)および(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
式(1): 2.0≦X+Y≦3.0
式(2): 0≦Y≦2.0
なお、式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度である。上記2式を満足するものは、優れた光学特性を示す偏光板保護フィルムを製造するのに適している。
この中で、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.0≦X+Y≦3.0であることが好ましい。アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
前記アシル基の置換度が低過ぎると、セルロース樹脂の骨格を構成するピラノース環の水酸基に対して未反応部分が多くなり、該水酸基が多く残存することにより、リタデーションの湿度変化や偏光板保護フィルムとして偏光子を保護する能力が低下してしまうことがあり、好ましくない。
本実施形態で用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定することができる。
溶媒:アセトン
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2(質量/容量)%
流量:1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料:標準ポリスチレン
温度:23℃
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
セルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
セルロースエステルにおいて、グルコース単位の6位のアシル基の平均置換度が0.5〜0.9であることが好ましい。
セルロースエステルを構成するグルコース単位の6位には、2位および3位と異なり、反応性の高い一級ヒドロキシル基が存在する。この一級ヒドロキシル基は、硫酸を触媒とするセルロースエステルの製造過程で硫酸エステルを優先的に形成する。そのため、セルロースのエステル化反応において、触媒硫酸量を増加させることにより、通常のセルロースエステルに比べて、グルコース単位の6位よりも2位および3位の平均置換度を高めることができる。更に、必要に応じて、セルロースをトリチル化すると、グルコース単位の6位のヒドロキシル基を選択的に保護できるため、トリチル化により6位のヒドロキシル基を保護し、エステル化した後、トリチル基(保護基)を脱離することにより、グルコース単位の6位よりも2位および3位の平均置換度を高めることができる。具体的には、特開2005−281645号記載の方法で製造されたセルロースエステルも好ましく用いることができる。
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると、分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが起こり、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには、反応時間をある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは、反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解が進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは、通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定できる。即ち、セルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなく、かつ、酢化には十分な時間酢化反応を行わせるための反応度合いの一つの指標である重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることができる。
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示す。セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕して、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92000、Mwが156000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することができる。セルロースエステルのMw/Mn比は1.4〜5.0が好ましく用いられる。
なお、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去すること、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ないほうが好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また、多くの配位子と、配位化合物、即ち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置にて硫硝酸分解し、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
(添加剤)
本実施形態では、防眩層形成用の塗布液が塗布される基材となるフィルム(セルロースエステルフィルム、基材フィルム)が、少なくとも一種の添加剤を0.01〜30質量%の範囲内で含むことが好ましい。フィルムの含水量は主成分の構造により決まってしまうが、添加剤に親水性、または疎水性のものを用いることで含水量を調整することができる。添加剤の親水性については、適宜、水/n−オクタノール分配係数(LogP)や水への溶解度などで評価すればよく、この値が近いものほど分離しにくい。
含水量増加効果のある添加剤は、特に限定されないが、糖エステル系化合物を持つものが特に好ましい。また、含水量を低下させるものとしては、ポリエステル系化合物が知られている。
〈ポリエステル系化合物〉
基材フィルムは、透湿度低下剤として、下記一般式(B1)または(B2)で表されるポリエステルを含有してもよい。これは、炭素数2〜12の2価のアルコールGと炭素数2〜12の2塩基酸、炭素数1〜12のモノカルボン酸B1、もしくは炭素数1〜12のモノアルコールであるB2から得られたポリエステルある。
一般式(B1)
1−(G−A−)mG−B1
上記一般式(B1)において、B1は炭素数1〜12のモノカルボン酸を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環の比率が少ないか、含まないことが特に好ましい。mは繰り返し数を表す。
一般式(B2)
2−(A−G−)nA−B2
上記一般式(B2)において、B2は炭素数1〜12のモノアルコールを表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環の比率が少ないか、含まないことが特に好ましい。nは繰り返し数を表す。
1で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を好ましく用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
2で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく、公知のアルコール類を用いることができる。例えば、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等を挙げることができる。これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、更に、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールを好ましく用いられる。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましい。例えば、脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素原子数4〜12もの、これらから選ばれる少なくとも一つのものを使用する。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してよい。その際には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を併用することもできる。
m、nは、それぞれ繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
ポリエステルの数平均分子量は20000以下が好ましく、10000以下であることが更に好ましい。特に、数平均分子量が500〜10000のポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜中において蒸発も揮発も起こりにくく好ましい。
ポリエステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応の何れかの方法により容易に合成し得る。数平均分子量がそれほど大きくないポリエステルは直接反応によるのが好ましい。低分子量側に分布が高くあるポリエステルはセルロースエステルとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に優れる基材フィルムを得ることができる。
分子量の調整方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸(モノカルボン酸)または1価のアルコール(モノアルコール)で分子末端を封鎖する方法では、これら1価の化合物の添加量をコントロールすることで、分子量を調整することができる。この場合、1価の酸が、ポリマーの安定性の点から好ましい。
例えば、1価の酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が好ましい例として挙げることができる。重縮合反応中には系外に溜去せず、停止して反応系外にこのような1価の酸を除去するときに溜去し易いものが選ばれるが、これらを混合使用してもよい。また、直接反応の場合には、反応中に溜去してくる水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても、数平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることによってもできるし、反応温度をコントロールしても調節できる。
〈可塑剤〉
基材フィルムは、必要に応じて可塑剤を含有することができる。可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤および多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。なお、これらの可塑剤がリタデーション低下剤として作用する場合もある。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は、下記一般式(C)で表される。
一般式(C)
2(COOH)m(OH)n
上記一般式(C)において、R2は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシ基、OH基はアルコール性またはフェノール性ヒドロキシ基を表す。
好ましい多価カルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
多価カルボン酸エステルに用いられるアルコールとしては、特に制限はなく、公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性のヒドロキシ基を、モノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステルの分子量は、特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さいほうが好ましい。
多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は、1種類でも良いし、2種以上の混合であっても良い。
多価カルボン酸エステルの酸価は、1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リタデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(D)で表される芳香族末端エステル系可塑剤を用いることができる。
一般式(D)
B−(G−A)n−G−B
上記一般式(D)において、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、nは1以上の整数を表す。
一般式(D)で表される化合物は、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
ポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
ポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシ基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシ基価は15mgKOH/g以下のものである。
〈微粒子〉
基材フィルムは、微粒子を含有することができる。微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。本実施形態でいう微粒子とは、一次粒子の平均粒径が5〜400nmの範囲内にある粒子をいう。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。第2の保護フィルムにおけるこれらの微粒子の含有量は、0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の第2の保護フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でも、アエロジル200V、アエロジルR972Vが第2の保護フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。第2の保護フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
〔防眩層〕
本実施形態における防眩層は、アクリル系樹脂からなる透光性樹脂、好ましくは、ハードコート性(耐擦傷性)を付与するためのアクリル系樹脂からなる電離放射線硬化型透光性樹脂、防眩性を付与するためのプラスチック製透光性微粒子、およびレベリング剤、更には必要に応じ、内部散乱性を付与する透光性微粒子、高屈折率化、架橋収縮防止、高押し込み強度付与のための無機フィラーを主に含んだ組成物を塗布し、塗膜を硬化することにより形成される。
(レベリング剤)
塗布適性(流動ムラ、乾燥ムラ、塗布スジ、点欠陥等のない外観面状均一性)と耐擦傷性との両立を図るための手段として、防眩層は、下記のフッ素系レベリング剤を含むことが望ましい。本実施形態で用いるレベリング剤は、少なくとも1種の炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系の繰り返し単位、および少なくとも1種のボルナン環を有する(メタ)アクリル酸系の繰り返し単位を含む共重合体からなるレベリング剤である。好ましくは、該レベリング剤構造中に、更に、ポリエチレンオキシド基および/またはポリプロピレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸系の繰り返し単位を含むレベリング剤である。ポリエチレンオキシド基および/またはポリプロピレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸系の繰り返し単位を含むことで、塗布溶剤に対する溶解性や、塗布組成物の固形分に対する相溶性が増し、より好適である。
レベリング剤のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、1300以上15000以下であることが好ましく、外観面状や諸性能の均一性の点で2500以上であり、塗布溶剤に対する溶解性や、塗布組成物固形分に対する相溶性の観点で13000以下であることがより好ましい。
また、レベリング剤の含有量は、硬化皮膜樹脂の固形分質量に対し、0.05質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以上0.30質量%以下であることが更に好ましい。レベリング剤の含有量が少なすぎると、高速塗布時の外観面状や諸性能の均一性が得られにくくなり、レベリング剤の含有量が多すぎると、耐擦傷性への影響や塗布液攪拌時の泡発生の懸念が生じるのであまり好ましくない。
更に、レベリング剤を使用する場合、防眩層塗布組成物全量中にトルエン溶剤を25質量%以上60質量%以下で含有させることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上55質量%以下、更に好ましくは、35質量%以上50質量%以下である。
工業的に汎用な溶剤の中で、特にトルエン溶剤が、レベリング剤による効果を最も効率よく発揮させることができる。この点で、防眩層塗布組成物全量中でトルエン溶剤が25質量%を下回らないことが好ましい。一方、透明基材フィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、塗布組成物の溶剤がトルエンのみであると、トルエンに対する透明基材フィルムの溶解性が低い為に、透明基材フィルムと塗布組成物との間の密着性が得られにくくなるため、その点で60質量%を上回らないことが好ましい。このとき、トルエンと併用して用いる好ましい溶剤は、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げられ、特に好ましいのは、シクロヘキサノンである。
市販のレベリング剤の好ましい例として、大日本インキ化学工業(株)製のR−30が挙げられる。
(アクリル系樹脂からなる透光性樹脂)
アクリル系樹脂からなる透光性樹脂としては、好ましくは、ハードコート性(耐擦傷性)を付与するためのアクリル系樹脂からなる電離放射線硬化型透光性樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂からなる電離放射線硬化型樹脂組成物の具体例としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレートなどのオリゴマー又はプレポリマー、及び反応性希釈剤として比較的多量に含む電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
上記希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
防眩層における電離放射線硬化型樹脂組成物の添加量は、防眩層の固形分全質量の15質量%以上85質量%以下である。
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィンなどを混合して使用することができる。特に、本実施形態では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合することが好ましい。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、本実施形態に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(各商品名)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0 .1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは、1〜10質量部の範囲である。
更に、上記防眩層を形成するための透光性樹脂として、上記のような電離放射線硬化型樹脂に対して溶剤乾燥型樹脂を含ませてもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として、熱可塑性樹脂、例えば、セノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が用いられる。
電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥型熱可塑性樹脂としては、通常用いられるものが使用される。溶剤乾燥型熱可塑性樹脂として、好ましくは、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いることが、トリアセチルセルロースフィルムとの密着性、及び透明性の点で有利である。
上記のような電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化する方法を用いることができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を利用できる。
(プラスチック製透光性微粒子)
防眩層は、1)表面に凹凸を形成して防眩性を付与したり、更には、2)マトリクスとの屈折率の違いにより生じる内部散乱性(屈折率差が大きいほど、内部散乱性は大きくなる)を利用して、防眩フィルムで問題となるギラツキを改善するために、プラスチック製透光性微粒子(以下、単に「透光性微粒子」とも記載する)を含む。なお、上記のギラツキとは、防眩層の表面凹凸がレンズの働きをし、特に、画素サイズの小さい高精細ディスプレイの場合に、輝度のバラツキを生じさせ、視認性の低下を引き起こす現象を言う。
防眩層に含まれる透光性樹脂(防眩層用マトリクス樹脂)と、プラスチック製透光性微粒子との屈折率の差は、0.03以上0.20以下であることが好ましく、より好ましくは0.04以上0.16以下である。このような数値範囲とすることにより、光拡散効果が十分に得られるとともに、フィルム全体が白化することがなくなる。
透光性微粒子において、2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用いることが好ましい。2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を混合することにより、透光性微粒子の屈折率は、各々の透光性微粒子の屈折率とその使用比率とに応じた平均値と見なすことができ、透光性微粒子の混合比率の調整により、細かい屈折率設定が可能となり、1種類の場合よりも制御が容易となり、様々な設計が可能となる。
2種類の透光性微粒子のうち、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との屈折率の差は、0.03以上0.10以下であることが好ましい、屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、両者を混合しても屈折率の制御の自由度が小さく、又、屈折率差が0.10よりも大きい場合は、マトリクス樹脂との屈折率差の大きい透光性微粒子により光拡散性が決定してしまうからである。なお、前記屈折率差は、0.04以上0.09以下であることがより好ましく、0.05以上0.08以下であることが特に好ましい。
防眩層に含有させる第1の透光性微粒子としては、有機微粒子が好適であり、特に、透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
第1の透光性微粒子に用いられる有機微粒子としては、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.55)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、等が挙げられる。
第2の透光性微粒子としては、有機微粒子が好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。第2の透光性微粒子に用いられる有機微粒子としては、スチレンビーズ(屈折率1.60)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、等が用いられる。
本実施形態では、2種類以上のプラスチック製透光性微粒子の少なくとも1種の屈折率が、1.53以上1.57以下であり、他の少なくとも1種の屈折率が、1.58以上1.62以下であるものが好ましい。
第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子の粒径を揃えることにより、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子の比率を自由に選択して用いることができる。第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との粒径を揃えるためには、第1の透光性微粒子および第2の透光性微粒子は、単分散粒子が得られやすい有機微粒子であることが好ましい。粒径にばらつきがないほど、防眩性や内部散乱特性にばらつきが少なくなり、防眩層の設計が容易になるため、好ましい。単分散性を更に上げる手段として、風力分級、ろ過フィルタによる湿式ろ過分級が挙げられる。
透光性微粒子の粒径(直径)は、0.5μm以上10.0μm以下であることが好ましい。粒径が0.5μm未満の場合、防眩層に添加すべき透光性微粒子の添加量を非常に多くしないと、十分な防眩性や光拡散効果が得られにくくなる。粒径が10.0μmを超えると、防眩層の表面形状が粗くなり、面質を悪化させるばかりか、表面ヘイズの上昇により白味が増してしまう。透光性微粒子の粒径は、2μm以上5μm以下であることが好ましく、2μm以上4μm以下であることが特に好ましい。
透光性微粒子の合計の含有量は、防眩層の固形分全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。含有量が5質量%未満であると、十分な防眩性や内部散乱性を付与できず、40質量%を超えると、膜強度が落ち、防眩層にハードコート性を付与させることができないので好ましくない。
(無機フィラー)
上記のような透光性微粒子を多く添加した場合には、樹脂組成物中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーの添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、無機フィラーの粒径や使用量によっては、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に含有させるとよい。
よって、本実施形態における防眩層は、無機フィラー等の任意成分を含んでなるものであってもよい。防眩層には、層の屈折率を高めるために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、透光性微粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率透光性微粒子を用いた防眩層で、層の屈折率を低目に保つために、ケイ素の酸化物を用いることも好ましい。ケイ素の酸化物の好ましい粒径は、前述の無機フィラーと同じである。
防眩層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、SiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が、高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー樹脂と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩層の固形分全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは、20〜80%であり、特に好ましくは、30〜75%である。なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいため、散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーを分散した分散体は、光学的に均一な物質として振舞う。
防眩層の透光性樹脂バインダー、透光性微粒子および無機フィラーの混合物のバルクの屈折率、すなわち、防眩層のマトリクスの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは、1.51〜1.80、更に好ましくは、1.54〜1.70である。なお、透光性微粒子を除外した部分の防眩層のマトリクスの屈折率は、1.50〜2.00であることが好ましい。屈折率を上記範囲とするには、バインダー、透光性微粒子および/または無機フィラーの、種類、量、割合を適宜選択すればよい。
透光性微粒子と防眩層マトリクスとの適切な屈折率差の選択により、フィルム全体が白化したりすることなく、高い透過鮮明度を維持した状態で、最適な防眩性を与え、フィルム内を透過した光を内部散乱効果によって、平均化することができ、ギラツキを抑えることができる。
(オルガノシラン化合物)
防眩層形成用の塗布液は、下記一般式で表されるオルガノシラン化合物および/またはその加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することが、耐擦傷性を更に向上させる点で好ましい。この成分は、塗布液を塗布後、溶剤乾燥、硬化工程を経て硬化物を形成し、上記層のバインダーの一部となる。該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により、3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式[I]で表される。
(R10mSi(X)4-m [I]
上記式中、
10は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは、炭素数1〜16、特に好ましくは、炭素数1〜6のものである。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基として好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは、炭素数6〜16、特に好ましくは、炭素数6〜10のものである。アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくは、アルコキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
mは、1〜3の整数を表し、好ましくは、1または2であり、特に好ましくは、1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXは、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10は、架橋性反応基を有するアルキル基またはアリール基であることが好ましく、その中でも、エポキシ基又は(メタ)アクリロイル基を有するアルキル基であることが、3次元架橋を可能にするため、特に好ましい。市販品であれば、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、KBM−5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)(いずれも信越化学工業(株)製)、が特に好ましい。
〔低屈折率層〕
本実施形態では、防眩層の上に低屈折率層が形成されていてもよい。低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.50が好ましく、より好ましくは、1.30〜1.45である。屈折率が小さいほど、反射率が低くなるため好ましいが、屈折率が1.30を下回ると、低屈折率層としての強度が不足するようになるため、最外面に用いられる防眩フィルム(反射防止フィルム)としては好ましくない。
さらに、低屈折率層は、下記数式(A)を満たすことが、低反射率化の点で好ましい。
(m/4)×0.7<n11<(m/4)×1.3 (A)
式中、mは、正の奇数であり、n1は、低屈折率層の屈折率であり、d1は、低屈折率層の膜厚(nm)であり、λは、波長であって、500〜550nmの範囲の値である。なお、上記数式(A)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(A)を満たすm(正の奇数であり、通常は1である)が存在することを意味する。
低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ゾルゲル材料、あるいは含フッ素ポリマー材料が用いられる。含フッ素ゾルゲル材料は、ゾルゲル硬化反応に必要な長時間の加熱工程が前提となること、耐アルカリ性が得られないことなどから、含フッ素ポリマー材料であることが好ましい。更に、動摩擦係数が0.05〜0.30であり、水に対する接触角が90〜120°の、熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマー材料であることが特に好ましい。含フッ素ポリマー材料については、特開2002−202402号公報の段落番号〔0027〕〜〔0028〕に記載されており、該公報の実施例で使用されている化合物も好ましい。
低屈折率層中に、無機微粒子を含有させることは、低屈折率層自身の強度を上げ、耐擦傷性を向上させる目的で好ましい。無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2であることが好ましく、より好ましくは、5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは、10mg/m2〜60mg/m2である。塗設量が少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が小さくなり、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりなどの外観や反射率が悪化するため、好ましくない。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの10%以上100%以下であることが好ましく、20%以上90%以下であることがより好ましく、特に好ましくは、30%以上80%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は10nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは、20nm以上90nm以下であり、更に好ましくは、30nm以上80nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が小さくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観、反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でもよいし、アモルファスでもよく、また単分散粒子でもよいし、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。シリカ微粒子の形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。ここで、無機微粒子の平均粒径は、コールターカウンターにより測定される。
〔防眩フィルムの製造〕
本実施形態の防眩フィルムは、以下の方法で製造できるが、これに限定されるわけではない。
まず、防眩層形成用の塗布液が調製される。続いて、塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明基材フィルム上に塗布し、加熱・乾燥する。このとき、マイクログラビアコート法、ロールコート法、エクスとルージョン法を用いることが、塗布精度の点で特に好ましい。防眩層の塗布の前工程として、ベースの平面性を改善するため、フィルムを加熱処理することも好ましい。塗布層に対して、光照射あるいは加熱して、硬化皮膜を製膜する。このような過程を経て、最終的に防眩フィルムが形成される。
なお、防眩層上に低屈折率層を形成する場合でも、上記した防眩層の形成と同様の方法で低屈折率層を形成することができる。つまり、低屈折率層形成用の塗布液を調製した後、上記の手法で形成された防眩層上に、低屈折率層形成用の塗布液を塗布して加熱・乾燥することにより、透明基材上に防眩層および低屈折率層をこの順で有する防眩フィルム(反射防止フィルム)を製造することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[基材フィルムに用いる添加剤]
〈重縮合エステル化合物M〉
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸244g、アジピン酸103g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステル化合物Mを得た。このとき、酸価0.10、数平均分子量450であった。また、オクタノール−水分配係数を示すlogP値は、5であった。
〈重縮合エステル化合物N〉
1,2−プロピレングリコール251g、テレフタル酸354g、p−トロイル酸680g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステル化合物Nを得た。このとき、酸価0.30、数平均分子量400であった。また、logP値は6であった。
(二酸化珪素分散希釈液)
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製) 10質量部
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。その後、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
[フィルムロール101の作製]
(ドープの調製)
下記組成のドープ1を調製した。すなわち、まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。そして、溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステル等を撹拌しながら投入し、これを加熱し、撹拌しながら完全に溶解した。
セルロースアシレート(トリアセチルセルロース) 100質量部
重縮合エステル化合物N 2.0質量部
重縮合エステル化合物M 7.0質量部
メチレンクロライド 540質量部
エタノール 35質量部
二酸化珪素分散希釈液 3質量部
更に上記添加剤成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ1を調製した。
(基材フィルム1の製膜)
上記調製したドープ1を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が20%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上からドープ膜(ウェブ)を剥離した。
次いで、剥離したウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンター延伸機を用いて、160℃の温度で幅手方向(TD方向)に元幅に対して1.1倍延伸をした。このとき、テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、4質量%であった。
続いて、延伸後のフィルムを、120℃と140℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送しながら乾燥させ、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ7μmのナーリング加工を施した後、温度40℃、湿度10%RHの雰囲気中で10分間調湿して、セルロースエステルフィルムC1を作製した。その後、セルロースエステルフィルムC1を巻芯に巻き取った。このとき、セルロースエステルフィルムC1の膜厚は60μmであり、巻きの長さは6000mであった。その後、巻き取ったロール状のセルロースエステルフィルムC1を、包装材としてのPETフィルムで包み込み、フィルムロール101を作製した。
[フィルムロール102〜107の作製]
巻き取り前の調湿を、表1に記載の条件に変更して行い、セルロースエステルフィルムC2〜C7を作製した。そして、セルロースエステルフィルムC2〜C7を巻き取って包装材としてのPETフィルムで包み込み、フィルムロール102〜107を作製した。なお、各セルロースエステルフィルムC2〜C7において、調湿以外の製膜条件については、セルロースエステルフィルムC1と全く同じである。
[飽和含水率および実含水率の測定]
作製されたセルロースエステルフィルムC1〜C7を所定の大きさに切り取り、水中に1日沈めて、NDCテクノロジーズ社製の赤外線水分計(710eシリーズ)を用いて飽和含水率を測定したところ、飽和含水率はいずれも3%であった。なお、飽和含水率の値(3%)は、調湿前のフィルムを水中に1日沈めて測定しても同じであった。
また、フィルムロール101〜107のPETフィルムを開封してセルロースエステルフィルムC1〜C7をそれぞれ100m繰り出した直後に、NDCテクノロジーズ社製の赤外線水分計(710eシリーズ)を用いて実含水率(ロール含水率)を測定したところ、ロール含水率は表1に示す値であった。
[評価]
(フィルム表面変形)
各フィルムロール101〜107のPETフィルムを開封し、ロール状の各セルロースエステルフィルムC2〜C7を巻替え機にセットし、巻外から100m繰り出した後、残りのフィルムの表面変形の発生(すなわち貼り付き変形または、放電変形)の有無について、フィルムに映る照明のゆがみ具合いを目視で確認することによって調べた。そして、以下の評価基準に基づいて、フィルムの表面変形について評価した。
《評価基準》
◎:フィルムに表面変形が全くない。
○:フィルムに弱い表面変形がわずかに存在するが、問題はない(塗布後に表面変形が確認できない)。
×:フィルムに強い表面変形が多数あり、問題がある。
なお、「○」の評価において、塗布後に表面変形が確認できなくなる理由は、塗布によりフィルムが吸湿し、乾燥工程を経ることで変形が緩和されるためと考えられる。
ロール含水率、およびフィルムの表面変形についての評価の結果を表1に示す。
Figure 0006973415
表1の結果より、含水率比(飽和含水率に対するロール含水率の比)が50%および90%では、繰り出したフィルムに強い表面変形が多数存在することが確認された。これは、含水率比が50%では、フィルムの含水量が少ないことでフィルムに蓄積された電荷が放電しやすくなったため、フィルムに放電による表面変形が生じたものと考えられる。また、含水率比が90%では、含水量が多すぎてフィルムが柔らかくなり、滑りにくくなるため、ロール状に巻き取られたフィルムに貼り付きが生じやすくなり、繰り出したフィルムに、貼り付きによる表面変形が生じたものと考えられる。したがって、表1の結果より、フィルムの表面変形を抑えるためには、含水率比は、55%以上85%以下であることが必要であり、特に、フィルムの表面変形を確実に抑える観点から、含水率比は、60%以上80%以下であることが望ましいと言える。
次に、表面変形を抑えた含水率比55%以上85%以下のフィルム(セルロースエステルフィルムC2・C4・C6)において、さらに塗布故障について検討した。その詳細について以下に示す。
[防眩フィルム201の作製]
(オルガノシラン化合物の加水分解物の部分縮合物Aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103:商品名、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加えて混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、オルガノシラン化合物の加水分解物の部分縮合物Aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(防眩層用塗布液1の調製)
紫外線硬化型樹脂であるPET−30(商品名、ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本化薬(株)製、屈折率1.51)を26.64質量部、同じく紫外線硬化型樹脂であるDPHA(商品名、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、屈折率1.51)を1.44質量部、アクリル系ポリマーHR−AGアクリル(ザ・インテック製、分子量75000)を2.88質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1.37質量部、第1の透光性微粒子としてのアクリル−スチレンビーズ(綜研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.55)を1.49質量部、第2の透光性微粒子としてのスチレンビーズ(綜研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.60)を4.64質量部、レベリング剤であるR−30(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)を0.046質量部、オルガノシラン化合物であるKBM−5103(商品名、信越化学工業(株)製)を6.19質量部、トルエンを38.71質量部、及び、シクロヘキサノンを16.59質量部、を十分混合して塗布液として調整した。この塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、防眩層用塗布液1を調製した。
(低屈折率層用塗布液2の調整)
屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマーJTA113(商品名、固形分濃度6%、MEK溶液、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記オルガノシラン化合物の加水分解物の部分縮合物A液0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液2を調製した。
(防眩層の塗設)
表1のフィルムロール102のPETフィルムを開封して、ロールからセルロースエステルフィルムC2(厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム)を100m繰り出した時点から、温度40℃、湿度10%RHの雰囲気中で10分間調湿した。その後、調湿したセルロースエステルフィルムC2上に、防眩層用塗布液1を、乾燥膜厚が7μmになるように塗布し、110℃で10秒間、50℃で20秒間、溶剤乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、積算光量が55mJになるようにUV照射(ハーフキュア)して、光硬化させた。これにより、セルロースエステルフィルムC2上に防眩層を形成した防眩フィルム201を作製した。作製した防眩フィルム201は、ロール状に巻き取った。
(低屈折率層の塗設)
ロール状態の防眩フィルム201を再び繰り出して、防眩フィルム201の防眩層上に、低屈折率層用塗布液2を、乾燥膜厚が100nmになるように塗布し、120℃で70秒乾燥の後、更に110℃で10分乾燥し、熱硬化させてから、窒素パージ下(酸素濃度100ppm以下)で、積算光量が120mJになるようにUV照射(フルキュア)して、光硬化させた。これによって、低屈折率層が塗設された防眩フィルム201を作製した。作製した低屈折率層付きの防眩フィルム201は、ロール状に巻き取った。
[防眩フィルム202〜205の作製]
ロールから繰り出されるセルロースエステルフィルムC2に対する防眩層塗布前の調湿条件を、表2のように変更した以外は、防眩フィルム201の作製と同様にして、防眩フィルム202〜205を作製した。
[防眩フィルム206の作製]
表1のフィルムロール104のPETフィルムを開封して、ロールからセルロースエステルフィルムC4(厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム)を繰り出し、温度40℃、湿度10%RHの雰囲気中で15分間調湿した。それ以外は、防眩フィルム201の作製と同様にして、防眩フィルム206を作製した。
[防眩フィルム207〜210の作製]
ロールから繰り出されるセルロースエステルフィルムC4に対する防眩層塗布前の調湿条件を、表2のように変更した以外は、防眩フィルム206の作製と同様にして、防眩フィルム207〜210を作製した。
[防眩フィルム211の作製]
表1のフィルムロール106のPETフィルムを開封して、ロールからセルロースエステルフィルムC6(厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム)を繰り出し、温度40℃、湿度10%RHの雰囲気中で20分間調湿した。それ以外は、防眩フィルム201の作製と同様にして、防眩フィルム211を作製した。
[防眩フィルム212〜215の作製]
ロールから繰り出されるセルロースエステルフィルムC6に対する防眩層塗布前の調湿条件を、表2のように変更した以外は、防眩フィルム211の作製と同様にして、防眩フィルム212〜215を作製した。なお、防眩フィルム215については、塗布前実含水率が高すぎて表面が結露したため、塗布液を塗布することができず、防眩層が形成されていないが、ここでは便宜的に「防眩フィルム」と称している。
[塗布前実含水率の測定]
防眩層用塗布液1を塗布する直前のセルロースエステルフィルムC2・C4・C6の実含水率を、NDCテクノロジーズ社製の赤外線水分計(710eシリーズ)を用いて測定したところ、実含水率は表2に示す値であった。
[評価]
(塗布故障)
セルロースエステルフィルム上に塗布液を塗布し、乾燥、硬化が終了した防眩フィルム201〜215を、暗室内で5m/minの速度で搬送しながら、10mの長さにわたり、光源として用いたポラリオンライト(ガードナー社製SE7852)から、フィルム面に対して垂直に光を入射させ、フィルム面に垂直な方向から30°以内の角度でフィルム面を目視で観察し、白ムラ部および黒抜け部の有無を調べた。そして、塗布故障について、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、周辺部よりも反射が少なく、黒く見える箇所を黒抜け部とし、周辺部よりも反射が多く、明るく見える部分を白ムラ部とした。
《評価基準》
○:白ムラ部、黒抜け部ともに全く見られない(白ムラ、黒抜けなし)。
×:白ムラ部または黒抜け部がはっきり見られ、問題がある(明確な白ムラまたは黒抜けあり)。
塗布前の実含水率、および塗布故障についての評価の結果を表2に示す。なお、防眩フィルム215については、上述のように防眩層を形成できなかったため、塗布故障について評価することができなかった。
Figure 0006973415
表2の結果より、含水率変動(ロール含水率に対する塗布前の実含水率の変動)が、−15%および+15%では、白ムラ部または黒抜け部が観察されている。これは、含水率変動が大きいと、塗布時にフィルム表面の水分分布にムラが生じており、その上に塗布される塗布液中の粒子に分布ムラが生じて、白ムラまたは黒抜けが生じているためと考えられる。
これに対して、含水率変動が−10%〜+10%の範囲では、白ムラおよび黒抜けが全く観察されていない。これは、フィルムのロール含水率が55〜85%と通常の40%よりも高いため、フィルムの表面および内部での水分の分布が安定して均一な状態となっており、含水率変動が少ないため、水分分布の均一な状態が防眩層の塗設までほぼ維持され、その結果、塗布液を塗布しても、塗布液中の粒子に分布ムラが生じるのが低減され、これによって塗布故障が低減されるためと考えられる。したがって、含水率変動が−10%〜+10%の範囲では、セルロースエステルフィルムを高速で搬送する場合でも、表面の水分分布がほぼ均一なセルロースエステルフィルム上に防眩層を塗設して、塗布故障を低減した防眩フィルムを生産できるため、防眩フィルムの増速生産が可能となる。
〔補足〕
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
以上で説明した本実施形態のフィルムロールおよびその製造方法は、以下のように表現することができる。
1.表面凹凸を形成するための粒子を含む防眩層の塗設用のセルロースエステルフィルムと、
防湿性を有し、前記セルロースエステルフィルムをロール状態で包装する包装材とを含み、
前記セルロースエステルフィルムにおいて、
飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、55〜85%であり、
ロール状態での実含水率に対する、前記防眩層の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内であることを特徴とするフィルムロール。
2.前記セルロースエステルフィルムにおいて、飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、60〜80%であることを特徴とする前記1に記載のフィルムロール。
3.前記1または2に記載のフィルムロールの製造方法であって、
前記セルロースエステルフィルムを調湿する第1調湿工程と、
前記第1調湿工程で調湿された前記セルロースエステルフィルムを巻き取る巻取工程と、
巻き取った前記セルロースエステルフィルムを前記包装材で包装する包装工程とを含み、
前記第1調湿工程では、前記包装材を開封して、ロール状態から前記セルロースエステルフィルムを繰り出し、前記防眩層の塗設前に、第2調湿工程にて、温度35〜40℃、湿度30〜75%RHの環境下で、10〜20分間調湿したときに、ロール状態での実含水率に対する、前記防眩層の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内となるように、巻き取り前の前記セルロースエステルフィルムを調湿することを特徴とするフィルムロールの製造方法。
4.前記第1調湿工程では、巻き取り前の前記セルロースエステルフィルムを、温度35〜40℃、湿度20〜80%RHの環境下で、10分間調湿することを特徴とする前記3に記載のフィルムロールの製造方法。
本発明のフィルムロールは、例えば防眩フィルムの製造に利用可能である。
1 フィルムロール
2 セルロースエステルフィルム
3 包装材
11 防眩層
11b 粒子

Claims (3)

  1. フィルムロールの製造方法であって、
    前記フィルムロールは、
    表面凹凸を形成するための粒子を含む防眩層の塗設用のセルロースエステルフィルムと、
    防湿性を有し、前記セルロースエステルフィルムをロール状態で包装する包装材とを含み、
    前記セルロースエステルフィルムにおいて、
    飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、55〜85%であり、
    ロール状態での実含水率に対する、前記防眩層の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内であり、
    前記製造方法は、
    前記セルロースエステルフィルムを調湿する第1調湿工程と、
    前記第1調湿工程で調湿された前記セルロースエステルフィルムを巻き取る巻取工程と、
    巻き取った前記セルロースエステルフィルムを前記包装材で包装する包装工程とを含み、
    前記第1調湿工程では、前記包装材を開封して、ロール状態から前記セルロースエステルフィルムを繰り出し、前記防眩層の塗設前に、第2調湿工程にて、温度35〜40℃、湿度30〜75%RHの環境下で、10〜20分間調湿したときに、ロール状態での実含水率に対する、前記防眩層の塗設前の実含水率の変動が、−10%〜+10%の範囲内となるように、巻き取り前の前記セルロースエステルフィルムを調湿する、フィルムロールの製造方法。
  2. 前記セルロースエステルフィルムにおいて、飽和含水率に対するロール状態での実含水率の比が、60〜80%である、請求項1に記載のフィルムロールの製造方法。
  3. 前記第1調湿工程では、巻き取り前の前記セルロースエステルフィルムを、温度35〜40℃、湿度20〜80%RHの環境下で、10分間調湿する、請求項1または2に記載のフィルムロールの製造方法。
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