JP2005022766A - セルロースエステルフィルム原反およびその保管方法、輸送方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルム原反およびその保管方法、輸送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間保管しても馬の背故障や凸状故障などのフィルム原反の変形故障が発生しない生産性に優れた光学フィルム原反及びその保存方法、輸送方法及び該フィルム原反から表面加工された光学フィルムを提供するものであり、特に広幅、かつ薄膜の光学フィルムにおいてその効果を発揮する。
【解決手段】フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用途に利用される光学フィルム(以下、単にフィルムともいう)原反及びその保存方法、輸送方法に関するものであり、特に液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム又有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することができる光学フィルム原反及びその保存方法、輸送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコンの薄型軽量化、大型画面化、高精細化の開発が進んでいる。それに伴って、液晶偏光板用の保護フィルムもますます薄膜化、広幅化、高品質化の要求が強くなってきている。偏光板用保護フィルムには、一般的にセルロースエステルフィルムが広く使用されている。セルロースエステルフィルムは通常巻芯に巻かれてフィルム原反となり、保存、輸送されている。
【0003】
液晶表示装置の大型画面化に伴って、フィルム原反の幅は広く、巻長は長くすることが要望されている。そのため、フィルム原反は幅広となり、フィルム原反荷重は増加する傾向にあり、これらを長期間保存していると、馬の背故障と呼ばれる故障が発生しやすくなる。馬の背故障とは、馬の背中のようにフィルム原反がU字型に変形し、中央部付近に2〜3cm程度のピッチで帯状の凸部ができる故障で、フィルムに変形が残ってしまうため、偏光板に加工すると表面が歪んで見えてしまうため問題である。また、液晶ディスプレイの最表面に設置するセルロースエステルフィルムは、クリアハード加工やアンチグレア加工、アンチリフレクション加工が施されている。これらの加工を行うとき、セルロースエステルフィルムの表面が変形していると、塗布ムラや蒸着ムラとなり、製品収率を大幅に悪化させる原因となる。今まで、馬の背故障はベース同士の動摩擦係数を低くしたり、両サイドにあるナーリング加工(エンボス加工)の高さを調節することによって発生を低減させてきた。本発明者は、フィルム荷重によって巻芯がたわむために馬の背故障が発生することを見いだし、特許文献1(特開2002−3083号公報)で改善方法を提案した。しかしながら、最近の液晶テレビに対応し、さらに幅の広いセルロースエステルフィルムが要望されており、これらの技術だけでは、不十分となっており、更なる手段が要望されていた。
【0004】
また、船で海外へフィルム原反を輸送する場合に、凸状故障が増加することも近年問題となっている。凸状故障とは、フィルムとフィルムの間に異物をはさんだように凸状にフィルムが変形する故障で、高温(高湿)の状態にフィルム原反が保管されることによって引き起こされると考えられている。これらの故障も馬の背故障と同様に摩擦係数を低くしたり、ナーリング加工の高さを調節することによって対応してきた。凸状故障を軽減するためには、ナーリング加工を高くすることが有効な手段である。しかしながら、ナーリング加工を高くすることは、馬の背故障を悪化させる方向であり、この両方の故障を同時に解決することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−3083号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は前記の問題点を鑑みてなされたものであり、長期間保管しても馬の背故障や凸状故障などのフィルム原反の変形故障が発生しない生産性に優れた光学フィルム原反及びその保存方法、輸送方法及び該フィルム原反から表面加工された光学フィルムを提供するものであり、特に1350mm幅以上の広幅、かつ、薄膜の光学フィルムにおいてその効果を発揮するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
我々は検討の結果、馬の背故障を解決するには、広幅でかつ長巻きとなったセルロースエステルフィルム原反が、その加重でもたわまないように、巻芯の弾性率を上げる、または、巻芯の形状を工夫することが有効であることを発見した。
【0008】
また、船等で海外へ輸送した場合は、船の中で2〜3週間程度、約40℃の高温状態におかれるため、巻芯が熱で膨張し、巻芯に巻かれたフィルムが内側から押されることが凸状故障の原因の一つであることを発見し、熱膨張係数の低い巻芯を使用することで解決できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
1.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0010】
2.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯は、両端部の円周長より中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長いことを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0011】
3.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、かつ、
該巻芯は、両端部の円周長よりも中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長いことを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0012】
4.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0013】
5.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、かつ、熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0014】
6.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、
該巻芯は、両端部の円周長より中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長く、かつ、
該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0015】
7.フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、
該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、
該巻芯は、両端部の円周長よりも中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長く、かつ、
該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
【0016】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反を保管することを特徴とするセルロースエステルフィルム原反の保管方法。
【0017】
9.前記1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反を輸送することを特徴とするセルロースエステルフィルム原反の輸送方法。
【0018】
10.前記1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反に、表面加工を施したことを特徴とする光学フィルム。
【0019】
11.前記1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反から加工されたセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板。
【0020】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明のセルロースアセテートフィルム原反は、巻芯(円筒状のコア)を軸として、該巻芯の外周面にセルロースエステルフィルムを巻き回して構成されている。
【0021】
本発明に使用される巻芯はFW(フィラメント・ワインディング)法による繊維強化樹脂製のいわゆるFWPコアである。FW法とは、芯金の外周に樹脂を付着させたガラス、カーボン、アラミドなどの強化繊維を巻き付け、これを硬化炉に入れて樹脂を加熱硬化させた後、芯金を引き抜くという方法で巻芯を作製するものである。このFWPコアは、精度と強度と軽量性に優れている。
【0022】
図1に本発明に使用されるFW法による繊維強化樹脂製の巻芯の一例を示す。
図1に示されるように、このFWPコアからなる巻芯本体10は、樹脂含浸(プリプレグ化)されたガラス、カーボン等の無機繊維を巻回して構成した基材層12と、ガラス、カーボン等の無機繊維あるいはナイロン等の合成繊維によって形成された繊維13を所定の傾斜角度で巻回した第一ワインディング層14と、この第一ワインディング層14を形成している繊維13の交差角度とは異なる交差角度で繊維13を巻回して構成した第二ワインディング層15、及びコーティング層16とにより構成されている。
【0023】
図1は、説明上成形芯金11を入れたままの状態が示してある。この成形芯金11は巻芯本体10を完成させた後に取外されるものであって、本発明に係る巻芯の構成要素ではない。
【0024】
基材層12は、中心物となる成形芯金11に、プリプレグ化されたガラス、カーボン等の無機繊維等を2層に巻回して構成されているもので、この基材層12は完成後の巻芯本体10の内面を滑らかにしかつ内径精度を上げるためのものである。この場合、成形芯金11は当然真円に近いものが使用され、その表面には必要に応じて離型剤が塗布される。離型剤の塗布は、完成後の巻芯本体10からこの成形芯金11を抜き取る場合に、その作業を容易に行なえるようにするためである。
【0025】
また、基材層12を成形芯金11に対して巻回しするには、その布目が成形芯金11に対して斜めになるように配置してなされる。その理由は、この基材層12上に第一ワインディング層14を巻回していく場合に、この巻回し途中において基材層12がほぐれないようにするためである。
【0026】
この基材層12は、巻芯本体10として完成した後における強度を保障するというよりは、むしろ次の第一ワインディング層14及び第二ワインディング層15の巻回し作業を容易かつ確実にするものであり、例えば巻芯本体10自体の径が小さい場合には1回でよいし、一方、巻芯本体10の径が大きい場合には3回以上巻回すればよい。なお、この巻芯本体10としては、その最終的な直径が25mm〜400mmであり、長さが300mm〜6000mm程度まであるものが製造される。
【0027】
第一ワインディング層14は、成形芯金11とともに回転される基材層12の上面に、繊維13を順次巻回(ワインディング)することによって形成される。この第一ワインディング層14を形成する繊維13は、ガラス、カーボン等の無機繊維あるいはナイロン、アラミド等の合成繊維によって形成されたものであり、巻回される以前にプリプレグ化されている。勿論、この巻回しにあたっては、各繊維13に所定の張力を付した状態で行なわれる。そして、この第一ワインディング層14を形成する繊維13の成形芯金11軸心に対する傾斜角度は、図1の場合45度である。この傾斜角度で成形芯金11の一端側から他端側に向けて所定の隙間で巻回し、他端に致ると今度は逆の傾斜角度(135度)で同様な巻回作業を順次行なっていく。このような巻回しによって形成された層(繊維13の一回巻きを1層とする)は、例えば6層とする。この第一ワインディング層14は、当該巻芯の強度等を出す主たる部分となるから、繊維13によって形成される層の数はさらに多くてもよいが、径の小さい巻芯を形成する場合には少なくてもよい。
【0028】
第二ワインディング層15は、基本的には第一ワインディング層14を形成する場合と同様な方法によって形成されるが、その成形芯金11に対する傾斜角度及び巻き数において異なる。すなわち、この第二ワインディング層15を形成する繊維13の傾斜角度は図1においては75度であり、例えばその巻き数は3層とする。この傾斜角度で、上述の第一ワインディング層14の場合と同様に、成形芯金11の一端側から他端側に向けて所定の隙間で巻回し、他端に致ると今度は逆の傾斜角度(105度)で同様な巻回作業を順次行なっていく。このように、第一ワインディング層14を形成している繊維13の各隙間を埋め尽くす様に、繊維13の傾斜角度を第一ワインディング層14の場合に比較して変更することが好ましい。この第二ワインディング層15は巻芯としての強度を保障するものというよりは、完成後の巻芯の表面が完全に滑らかなものとするためのものである。
【0029】
巻芯の最外層には、例えば厚さ0.3〜0.4mmのエポキシ樹脂によるコーティング層16が施されており、このコーティング層16の表面に機械的研磨を施して、表面仕上げし、研摩面とする。
【0030】
以上のように形成した巻芯本体10にあっては、その表面仕上げをする前に、すなわち各層及び各被膜が硬化した後において、成形芯金11が抜き出され、その後にこれら巻芯本体10はその表面仕上げがなされるとともに、巻芯本体10の不要な端部を切断して完成品とされるのである。
【0031】
この成形芯金11の抜き出しは、当該成形芯金11に離型剤が塗布してあればより一層良好に行なうことができるものであり、各層の端部を係止部材に係止させた状態で成形芯金11を機械によって強制的に引き抜くことによって行なわれる。
【0032】
通常、セルロースエステルフィルム原反においては、製膜した長尺状フィルムを巻芯に巻き取る前に、巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルム加工幅の端部に(エンボス加工により)微小の連続した凹凸からなる一定の幅に文様をつけるナーリング加工が行われている。これにより巻き取ったフィルム同士が完全に接着して、或いは、部分的に接着してフィルムの表面の状態に影響を与え、故障を引き起こすのを防ぐ役割を果たすものであるが、前記馬の背故障、また、凸状故障等についてもまた、ベース同士の動摩擦係数を低くしたり、これら両サイドにあるナーリング加工(エンボス加工)の高さを調節することによって発生を低減させてきている。しかしながら、前記の様に広幅、また更に薄膜で、長尺であるフィィルムを巻き取ったフィルム原反の場合には、これら馬の背故障、凸状故障等の軽減が難しくなっており、前記のエンボス加工に加え、前記に示すように、フィルム原反に用いる巻芯について、特定の物性をもつものを選択することが必要であることが判ってきた。
【0033】
例えばエンボス加工のみでは、エンボス高さが大きすぎると却って馬の背故障は悪化することがあり、また、逆に凸状故障は、改善するということがあり両者を同様に満足するような手段は難しかった。
【0034】
また、特にフィルム原反の幅が広くなったとき、また、巻長も長くなったとき、フィルム原反の荷重は増加する傾向にある。馬の背故障は、前記巻芯が、このフィルム荷重により撓むことで、引き起こされやすくなると考えられるので、前記フィルムへの加工のみでなく、フィルムを巻き取る巻芯にも所定の特性を有するものを用いることがこれらの故障の軽減にとって非常に効果がある。また、フィルムの膜厚が薄くなることもこれらの故障をより起こしやすい要因となっていたと考えられる。
【0035】
従って、本発明においては、フィルム幅が1350mm以上、膜厚が25μm以上で80μm以下となるような、薄膜化されかつフィルム幅も広い、セルロースエステルフィルム原反の場合、フィルム両端部にエンボス加工を施すほか、フィルム原反に使用される巻芯について、巻芯の弾性率を、20GPa以上40GPa以下とすることが前記故障を軽減させるのに大きな効果があることを見いだした。
【0036】
巻芯の弾性率は、本発明においては、測定すべき巻芯を、支点間距離が1250mmになるようにして支え、巻芯中央に荷重をかけたときの、荷重−たわみ比より求めるものとする。この方法により測定したとき、この弾性率を20GPa以上40GPa以下とすることが前記故障を軽減させるのに大きな効果があることを見いだした。好ましくは25GPa以上35GPa以下であり、30GPa以上35GPa以下がさらに好ましい。弾性率は高い方がフィルム荷重によるたわみが少ないため、馬の背故障を軽減させる効果が大きく、弾性率の低い方は、軽量性、生産コストの点で優れている。
【0037】
弾性率の調整方法は、特に制限されないが、例えばFWPに使用される、前記強化繊維の種類をカーボン繊維やアラミド繊維を多く使用したり、巻き付ける量を多くしたりすることで、弾性率を上げることが出来るため、適宜調整が可能である。また、ベースとなるプリプレグ用樹脂(マトリクス樹脂)の選択(ポリエステル、エポキシ)や巻芯表面の樹脂の選択(熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ導電性樹脂、アクリル系塗料など)を適宜組み合わせることでも調整が可能である。これらを適宜組み合わせると容易に上記の弾性率範囲への調整が可能である。
【0038】
本発明においては、また、これらの幅広、かつ薄膜のセルロースエステルフィルムを巻芯に巻き取りフィルム原反とする場合、前記フィルム両端のエンボス加工に加え、セルロースエステルフィルム原反の巻芯の巻芯両端部の円周長の平均よりも中央部の円周長の方が、0.5mm以上10mm以下の範囲で長くすることが好ましく、1.0mm以上5.0mm以下がさらに好ましく、1.0mm以上3.0mm以下が最も好ましい。より長い方が前記馬の背故障を軽減する効果が大きく、短い方は、巻芯にフィルムを巻始めた初期のシワ発生が少ない。
【0039】
このような巻芯を作る方法は、特に限定されないが、例えば、前記巻芯表面を覆う樹脂をエポキシ樹脂などの硬い樹脂を用い、表面を精度よく研削することにより得ることが出来る。特に研削後にバフ研磨を行うことで、精度よく所望の形状に仕上げることができる。中央部から円周部に向かって、なだらかに円周長が小さくなっていくことが望ましく、また、巻芯の中央部分に巻芯長の5%以上50%以下の円周長が変化しない部分がある方がさらに望ましい。
【0040】
馬の背故障は、巻芯がフィルム荷重で撓むためにおこることから、このような所謂クラウン形状の巻芯とすることが、荷重によるフィルム自体のたわみを抑え、また荷重を分散させる効果があると考えられ効果が大きい。馬の背故障が甚だしい場合には、巻き方向に対し直交する凹凸の段ムラとなりこれが巻き方向に対して筋状に発生する(チェーン故障という)場合もあり、これらにたいし、このようにクラウン形状の巻芯とする効果は大きい。
【0041】
図2はこのようなクラウン形状を有する(両端部の円周長よりも中央部尾円周長が長い)巻芯の一例を示す模式断面図である。また、この例は中央部分に巻芯長の20%程度の円周長が変化しない部分を有している。
【0042】
図3は、一般的に用いられる巻芯の模式断面図である。
また本発明において、使用される巻芯の熱膨張係数は、1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることが好ましく、2×10−7/℃以上4×10−6/℃以下がさらに好ましく、5×10−7/℃以上1×10−6/℃以下が最も好ましい。
【0043】
前記凸状故障は、特に、フィルム原反を船で海外へ輸送するとき高温での保存となるために起こりやすく、フィルム原反が、高温、高湿の状態に保管されると、巻芯が膨張することで、フィルムに荷重がかかり、重なって巻かれたフィルム間において、熱膨張によるフィルムの変形に逃げ場がないために起こるものと考えられている。上記巻芯の熱膨張係数を上記範囲とすることの効果は大きい。
【0044】
熱膨張係数は小さい方が、高温保存で前記凸状故障の増加が少ないが、熱膨張係数はある程度大きい方が、巻芯の弾性率が高く、フィルム荷重によるたわみが少なく、馬の背故障が軽減されるため上記記範囲とすることが好ましい。
【0045】
巻芯の熱膨張係数については、その巻芯の温度による外径変位を何らかの手段で測定し、単位温度あたりの変位を測定すればよいが、本発明においては、巻芯を水平より5°傾けたL字型定盤上に固定して置き、60℃に加熱した試験巻芯を徐冷し、温度変化に対する巻芯外径変位をダイヤルゲージにて測定し、熱膨張係数を算出する。
【0046】
熱膨張係数の調整方法は特に限定されないが、例えば、巻芯のベースや表面樹脂の種類や樹脂の硬化温度、時間などを適宜調整することで達成できる。
【0047】
従って、広幅、かつ薄膜である本発明のセルロースエステルフィルム原反において、両端部にエンボス加工を有するほか、巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であること、また、該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であること、また、巻芯の両端部の円周長より中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長いいわゆるクラウン形状を有していること、巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であること等、セルロースエステルフィルム原反に用いる巻芯の上記の所定の特性を幾つか、また総て、組み合わせて有する巻芯を用いることは、前記馬の背故障、また凸状故障に対して非常に有効な手段である。
【0048】
図4は、本発明に係わるセルロースエステルフィルムが巻芯本体10に巻かれた、セルロースエステルフィルム原反20の保管或いは輸送時の状態を示す図である。図4(a)はセルロースエステル原反を、また、図4(b)は、セルロースエステルフィルム原反20を支え板17を有する架台18の上に載置して保管する状態を示している。このような架台上に、フィルム面を接地させずに(フィルム荷重がかからないように)、保管することにより、フィルム原反の変形を防ぐことが出来る。図4(c)は該架台上に載置されたフィルム原反の上面図を示している。
【0049】
次に、本発明において好ましいセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
【0050】
セルロースエステルフィルムの製造方法に用いられる好ましい製膜工程は、下記に示す溶解工程、流延工程、溶媒蒸発工程、剥離工程、乾燥工程及び巻き取り工程からなる。以下に各々の工程を説明する。
【0051】
《溶解工程》
本発明において、セルロースエステル溶液のことをセルロースエステルドープ又は単にドープという。当該溶解工程は、セルロースエステルのフレークに、後述の良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する工程である。
【0052】
ドープ中の固形分濃度は15質量%以上に調整することが好ましく、特に18〜35質量%のものが好ましく用いられる。
【0053】
ドープ中の固形分濃度が高すぎるとドープの粘度が高くなりすぎ、流延時にシャークスキンなどが生じてフィルム平面性が劣化する場合があるので、35質量%以下であることが望ましい。
【0054】
ドープ粘度は10〜50Pa・sの範囲に調整されることが好ましい。
溶解には、常圧で行う方法、好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)の沸点以下で行う方法、上記の良溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法等がある。良溶媒の沸点以上の温度で、かつ沸騰しない圧力をかけて溶解する方法としては、40.4〜120℃で0.11〜1.50MPaに加圧することで発泡を抑え、かつ、短時間に溶解することができる。
【0055】
本発明において用いられるセルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0056】
セルロースエステルの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等、又特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルなどがセルロースの低級脂肪酸エステルの例として挙げられる。
【0057】
セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法としては、ASTM−D−817−96に準じて実施することが出来る。
【0058】
上記脂肪酸の中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられるが、本発明のセルロースエステルフィルムの場合には、フィルム強度の観点から、特に重合度250〜400のものが好ましく用いられる。
【0059】
本発明のセルロースエステルフィルムは総置換度が2.5〜3.0のセルロースエステルが好ましく用いられるが、特に総置換度が2.55〜2.85のセルロースエステルが好ましく用いられる。総置換度が2.55以上になるとフィルムの機械強度が増加し、2.85以下になるとセルロースエステルの溶解性が向上したり、異物の発生が低減されるため、より好ましい。
【0060】
セルロースアセテートプロピオネートの場合、アセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとすると
2.55≦X+Y≦2.85
1.5≦X≦2.4
の範囲にあるものが好ましく用いられる。
【0061】
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステル、それ以外の原料から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。
【0062】
ドープを作製する際に使用される溶媒としては、セルロースエステルを溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、又単独で溶解できない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解できるものであれば使用することができる。一般的には良溶媒であるメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30質量%含有するものが好ましく用いられる。
【0063】
この他、使用できる良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。酢酸メチルを用いると、得られるフィルムのカールが少なくなるため特に好ましい。
【0064】
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0065】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造において、セルロースエステルを溶解する際に冷却溶解法を用いることも好ましい。冷却溶解方法としては、例えば特開平9−95538号、同9−95544号、同9−95557号に記載の方法を使用することが出来る。又、特開平11−21379号に記載の高圧溶解方法も好ましく使用出来る。
【0066】
溶解後セルロースエステル溶液(ドープ)を濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送ることが好ましく、又、その際、ドープ中には、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、微粒子等が好ましく添加される。
【0067】
これらの添加物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0068】
本発明セルロースエステルフィルム中には可塑剤を添加することができる。
用いることのできる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪族多価アルコールエステルなどを用いることができるがこれらに限定されるものではない。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等があり、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等があり、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。
【0069】
これらを単独或いは併用して用いるのが好ましく、これらの可塑剤は、必要に応じて2種類以上を併用して用いてもよい。特にリン酸を含まない可塑剤の組み合わせが耐久性に優れているため好ましい。又、可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して1〜30質量%含有されることが好ましく、2〜25質量%が更に好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、特に好ましくは10〜15質量%である。
【0070】
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、上記可塑剤の他にも可塑剤と同様の作用を示す添加剤が含有されることがある。これらの添加剤としてはセルロースエステルフィルムを可塑化することのできる低分子有機化合物であれば、可塑剤と同様に本発明の効果を得ることができる。これらの成分は可塑剤に比べ直接フィルムを可塑化する目的で添加されるものではないが、量に応じて上記可塑剤と同様の作用を示す。
【0071】
このような添加剤として以下に示す脂肪族多価アルコールエステルが挙げられる。
【0072】
(脂肪族多価アルコールエステル)
本発明に好ましく用いられる脂肪族多価アルコールエステルについて説明する。
【0073】
脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
【0074】
(脂肪族多価アルコール)
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(A)で表される。
【0075】
一般式(A) R1−(OH)
ただし、R1はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0076】
n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。
【0077】
nは2〜20が好ましい。
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0078】
(モノカルボン酸)
本発明に好ましく用いられる多価アルコールエステルを合成するモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0079】
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0081】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有しても良い。
【0082】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
【0083】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
【0084】
(多価アルコールエステル)
本発明に好ましく用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。保留性の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0085】
多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
【0086】
本発明に好ましく用いられる多価アルコールエステルの例を以下に示す。
【0087】
【化1】
Figure 2005022766
【0088】
【化2】
Figure 2005022766
【0089】
【化3】
Figure 2005022766
【0090】
【化4】
Figure 2005022766
【0091】
多価アルコールエステルの使用量は、セルロースエステルに対して3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0092】
本発明セルロースエステルフィルム中にはまた紫外線吸収剤、染料、微粒子等を添加することができる。これらは前記の可塑剤等と併用することができる。
これらの添加物についても、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0093】
本発明に使用される染料は黄色味を低減させる効果のある青色染料であることが好ましい。具体的な波長としては、450nm〜700nmに吸収を持つものが好ましく、550〜700nmがさらに好ましい。この波長範囲が黄色味を低減させ、かつ高い透明性を維持できる。光学フィルムへの青色染料の添加量は、光学フィルムの透明性を維持するため1〜5000μg/mが好ましく、特に10〜2000μg/mであることが好ましく、500〜1000μg/mであることが最も好ましい。
【0094】
青色染料として、アントラキノン系染料、アントラセン系染料、アゾ染料、トリフェニルメタン染料、キノンイミン染料等のドープの溶剤に溶解するブルー染料を使用することができる。特にアントラキノン系染料、アントラセン系染料は、セルロースエステルとの相溶性が良く好ましい。
【0095】
以下にアントラキノン系染料、アントラセン系染料の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
具体的化合物
(S−1) 1,4−ジフェニルアミノアントラキノン
(S−2) 1,4−ジ(2,4,6−トリメチルフェニル)アントラキノン
(S−3) 1,4−ジ(2,4−ジエチル−4−メチルフェニル)アントラキノン
(S−4) 1,4−ジ(2,4,6−トリメチル−4−シクロヘキシルスルホンアミドフェニル)アントラキノン
(S−5) 1−メトキシフェニルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニルアミノ−8−ヒドロキシアントラキノン
(S−6) 1,4−ジ(2,4,6−トリプロピルシクロヘキシルスルホンアミドフェニル)アントラキノン
(S−7) 1−エトキシフェニルアミノ−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニルアミノ−8−ヒドロキシアントラキノン
(S−8) 1,4−ジ(2,4,6−トリメトキシフェニルアミノ)アントラキノン
(S−9) 1,4−ジ(2,4,6−トリエチルフェニル)アントラキノン
(S−10) 1,4−ジ(2,4−ジイソプロポキシ−4−メチルフェニル)アントラキノン
(S−11) 1,4−ジ(2,4,6−トリクロロ−4−シクロヘキシルスルホンアミドフェニル)アントラキノン
(S−12) 1−(2,4,6−トリメトキシフェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−5−(2,4,6−トリメトキシフェニルアミノ)−8−ヒドロキシアントラキノン
(S−13) 1,4−ジ(2,4,6−トリプロピルシクロヘキシルスルホンアミドフェニル)アントラキノン
(S−14) 1,5−ジメトキシフェニルアミノ−4,8−ジヒドロキシアントラキノン
(S−15) 1−メチルアミノ−4−パラ−トリルアミノ−アントラキノン
(S−16) N,N′−ビス−(2,6−ジメチル−4−メチル−フェニル)−9,10−ジヒドロ−アントラセン−1,4−ジアミン
本発明に使用される紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。
【0096】
上記紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常はセルロースエステルフィルム1m当り0.2g〜3.0gが好ましく、0.4g〜2.0gが更に好ましく、0.8g〜1.5gが特に好ましい。
【0097】
液晶表示装置に用いた場合等に、液晶劣化防止の観点から、波長380nm以下の紫外線吸収性能に優れ、かつ、良好な液晶表示性の観点から、400nm以上の可視光吸収が少ないものが好ましい。本発明においては、特に波長380nmでの透過率が8%以下であることが好ましく、4%以下がさらに好ましい。
【0098】
セルロースエステルフィルムには添加剤として、微粒子を添加しても構わない。本発明に使用されるとしては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmがより好ましく、5〜12nmがさらに好ましい。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0099】
微粒子の添加量はセルロースエステルフィルム1mあたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.2gが最も好ましい。
【0100】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0101】
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0102】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0103】
このようにして得られたドープを用い、以下に説明する流延工程を経てセルロースエステルフィルムを得ることができる。
【0104】
《流延工程》
ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は鏡面となっている。
【0105】
その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
【0106】
製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。或いはダイの内部をスリットで分割し、組成の異なる複数のドープ液を同時に流延(共流延とも言う)して、積層構造のセルロースエステルフィルムを得ることもできる。
【0107】
このように、得られたドープをベルト又はドラム等の支持体上に流延し、製膜するが、本発明は特にベルトを用いた溶液流延製膜法で特に有効である。これは後述のように支持体上での乾燥条件を細かく調整することが容易だからである。
【0108】
《溶媒蒸発工程》
ウェブ(本発明においては、流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率が好ましい。又それらを組み合わせる方法も好ましい。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するにはこの温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
【0109】
特に本発明のセルロースエステルフィルムは、流延から30〜90秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが望ましい。30秒未満で剥離するとフィルムの面品質が低下するだけでなく、透湿性の点でも好ましくない。90秒を越えて乾燥させると剥離性が悪化することなどによる面品質の低下や、フィルムに強いカールが発生するため好ましくない。
【0110】
《剥離工程》
支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で支持体から剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0111】
支持体上の剥離位置における温度は、好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは11〜30℃である。該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量は25〜120質量%が好ましく、更に好ましくは40〜100質量%である。
【0112】
本発明に係るウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100%
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0113】
上記のように剥離時の残留溶媒量を調整するには、流延後の流延用支持体の表面温度を制御し、ウェブからの有機溶媒の蒸発を効率的に行えるように、流延用支持体上の剥離位置における温度を上記の温度範囲に設定することが好ましい。支持体温度を制御するには、伝熱効率のよい伝熱方法を使用するのがよく、例えば、液体による裏面伝熱方法が好ましい。
【0114】
輻射熱や熱風等による伝熱方法は支持体温度のコントロールが難しく、好ましい方法とはいえないが、ベルト(支持体)マシンにおいて、移送するベルトが下側に来た所の温度制御には、緩やかな風でベルト温度を調節することが出来る。
【0115】
支持体の温度は、加熱手段を分割することによって、部分的に支持体温度を変えることが出来、流延用支持体の流延位置、乾燥部、剥離位置等異なる温度とすることが出来る。
【0116】
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)として、残留溶媒が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。
【0117】
それには、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。又、ドープ中に金属塩を加える方法もある。
【0118】
支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることも出来る。
【0119】
残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量を決められる。支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常196〜245N/mで剥離が行われるが、剥離の際にシワが入り易い場合、190N/m以下で剥離することが好ましく、更には、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは、最低張力〜100N/mで剥離することである。剥離張力が低いほど面内リターデーションRoが低く保てるため好ましい。面内リターデーションRoは20nm未満であることが好ましく、更には、10nm未満、次いで、5nm未満であることが好ましいが、最も好ましくは0〜1nmである。
【0120】
本発明において、面内リターデーションRoは自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。又、膜厚方向のリターデーション値Rtは0〜300nmのものが得られ、更に好ましくは0〜150nm、より好ましくは0〜70nmのものが用途に応じて好ましく得られる。
【0121】
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx−ny)/2−nz)×d
本発明のセルロースエステルフィルムは、遅相軸方向と製膜方向とのなす角度θ(ラジアン)と面内方向のレターデーションRoが下記の関係にあり、特に偏光板用保護フィルム等の光学フィルムとして好ましく用いられる。
【0122】
P≦1−sin(2θ)sin(πRo/λ)
P=0.9999
nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの膜厚(nm)である。θはフィルム面内の遅相軸方向と製膜方向(フィルムの直尺方向)とのなす角度(ラジアン)、λは上記nx、ny、nz、θを求める三次元屈折率測定の際の光の波長590nm、πは円周率である。
【0123】
《乾燥工程》
ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/又はクリップ又はピンでウェブの両端を保持して搬送するテンター装置を用いて巾保持しながら、ウェブを乾燥する工程である。乾燥工程における搬送張力も可能な範囲で低めに維持することがRoが低く維持できるため好ましく、190N/m以下であることが好ましい。更に好ましくは170N/m以下であることが好ましく、更に好ましくは140N/m以下であることが好ましく、100〜130N/mであることが特に好ましい。特に、フィルム中の残留溶媒量が少なくとも5質量%以下となるまで上記搬送張力以下に維持することが効果的である。
【0124】
乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥温度は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
【0125】
流延用支持体面から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってウェブは巾方向に収縮しようとする。高温度で急激に乾燥するほど収縮が大きくなる。
【0126】
この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。
【0127】
この観点から、例えば、特開昭62−46625号に示されているような乾燥全工程或いは一部の工程を、巾方向にクリップ又はピンでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
【0128】
このとき幅手方向の延伸倍率は0%〜100%であることが好ましく、偏光板保護フィルムとして用いる場合は5%〜20%が更に好ましく、8%〜15%が最も好ましく、位相差フィルムとして用いる場合は10%〜40%が更に好ましく、20%〜30%が最も好ましい。延伸倍率によってRoをコントロールすることが可能で、延伸倍率が高い方が出来上がったフィルムの平面性に優れるため好ましい。
【0129】
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、且つ、ウェブの残留溶媒量が10質量%以下になるまでテンターをかけながら乾燥を行うことが好ましく、更に好ましくは5質量%以下である。
【0130】
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も好ましい。乾燥温度の低い方が紫外線吸収剤、可塑剤などの蒸散が少なく、工程汚染に優れ、乾燥温度の高い方がフィルムの平面性に優れる。
【0131】
又、フィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を0.5質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0〜0.01質量%以下とすることである。
【0132】
フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、上記のようなピンテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
【0133】
溶液流延製膜法を通しての流延直後から乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。
【0134】
ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
【0135】
《巻き取り工程》
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからセルロースエステルフィルムとして巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。
【0136】
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
【0137】
膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度等をコントロールするのがよい。
【0138】
又、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
【0139】
セルロースエステルフィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常5〜500μmの範囲にあり、更に10〜250μmの範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムとしては10〜120μmの範囲が用いられる。本発明のセルロースエステルフィルムは特に、10〜60μmの膜厚の薄いフィルムでありながら、透湿性とともに寸法安定にも優れる。
【0140】
本発明における透湿度とは、JIS Z 0208に記載の方法で測定された値で定義する。透湿度は20〜250g/m・24時間であることが好ましいが、特に20〜200g/m・24時間であることが好ましい。透湿性が、250g/m・24時間を超えた場合では偏光板の耐久性が著しく低下し、逆に20g/m・24時間未満では、偏光板製造時の接着剤に使われている水等の溶媒が乾燥しにくくなり、乾燥時間が長くなるため好ましくない。より好ましくは25〜200g/m・24時間である。
【0141】
又、本発明のセルロースエステルフィルムでは80℃、90%RHにおける質量変化を少なくすることで、寸法安定性を更に改善することができる。
【0142】
本発明のセルロースエステルフィルムでは80℃、90%RHで48時間加熱処理した前後での質量変化率が±2%以内とすることがより好ましく、これによって、透湿度が改善された薄膜フィルムでありながら、寸法変化率も優れたセルロースエステルフィルムを得ることができる。
【0143】
本発明のセルロースエステルフィルムは、80℃、90%RH雰囲気下で48時間加熱処理した際の寸法変化率はMD方向(フィルムの製膜方向)、TD方向(フィルムの幅手方向)共に±0.5%以内であることが好ましく、更に±0.3%以内であることが好ましく、更に±0.1%以内であることが好ましく、更に±0.05%以内であることが好ましい。
【0144】
本発明でいう寸法変化率とは、温度や湿度の条件が過酷な状況でのフィルム縦方向及び横方向の寸法変化を表す特性値である。具体的には加熱条件、加湿条件、熱湿条件にフィルムを置いて強制劣化としての、縦、横の寸法変化を測定する。例えば、測定しようとするフィルム試料について、幅手方向150mm×長手方向120mmサイズに断裁し、該フィルム表面に、幅手方向及び長手方向それぞれに100mm間隔で2ヶ所、カミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付ける。該フィルムを23℃、55%RHの環境下で24時間以上調湿し、工場顕微鏡で処理前の幅手方向及び長手方向のそれぞれの印間距離L1を測定する。次に、該試料を電気恒温槽中で、高温高湿処理(条件;80℃、90%RHの環境下で48時間放置をする)する。再び、該試料を23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、工場顕微鏡で処理後の幅手方向及び長手方向のそれぞれの印間距離L2を測定する。この処理前後の変化率を次式によって求める。
【0145】
寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100
式中、L1は処理前の印間距離、L2は処理後の印間距離を表す。
【0146】
即ち、付す印の位置をフィルムの長手方向、幅手方向に付けることによって所望の寸法変化率測定を行うことができるのである。
【0147】
105℃で5時間処理したときの寸法変化率は、MD方向、TD方向共に±0.5%以内であることが好ましく、更に±0.3%以内であることが好ましく、更に±0.1%以内であることが好ましく、更に±0.05%以内であることが好ましい。
【0148】
本発明のセルロースエステルフィルムは抗張力がMD方向(巻き取り方向)、TD方向(幅方向)共に90〜170N/mmであることが好ましく、特に120〜160N/mmであることが好ましい。
【0149】
含水率としては0.1〜5%が好ましく、0.3〜4%がより好ましく、0.5〜2%であることが更に好ましい。
【0150】
本発明のセルロースエステルフィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、更に好ましくは92%以上であり、更に好ましくは93%以上である。又、ヘイズは0.5%以下であることが好ましく、特に0.1%以下であることが好ましく、0%であることが更に好ましい。
【0151】
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、カール値は絶対値が小さい方が好ましく、変形方向は、+方向でも、−方向でもよい。カール値の絶対値は30以下であることが好ましく、更に好ましくは20以下であり、10以下であることが特に好ましい。尚、カール値は、曲率半径(1/m)で表される。
【0152】
以下に本発明のセルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法による製造方法について、図を用いて更に詳細に説明する。
【0153】
図5はフィルムの溶液流延製膜法の好ましい一例を示す模式図である。図5(a)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥する場合の模式図である。図5(b)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥し、その後テンター搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図5(c)は流延後、テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロール搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図5(d)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥し、その後テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロール搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。
【0154】
尚、本発明において、テンター搬送・乾燥工程及びロール搬送・乾燥工程を含む工程とは、支持体から剥離されたフィルムを乾燥して巻き取る迄の工程のどこかに、フィルムの乾燥伸縮率を調整するテンター搬送・乾燥工程及びロール搬送・乾燥工程を有する工程をいう。テンター搬送・乾燥工程とはテンター搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行い、乾燥伸縮率を調整する工程を言い、ロール搬送・乾燥工程とはロール搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行い、乾燥伸縮率を調整する工程をいう。
【0155】
図5において、1はエンドレスで走行する支持体を示す。支持体としては鏡面帯状金属が使用されている。2はセルロースエステル樹脂を溶媒に溶解したドープを、支持体1に流延するダイスを示す。3は支持体1に流延されたドープが固化したフィルムを剥離する剥離点を示し、4は剥離されたフィルムを示す。5はテンター搬送・乾燥工程を示し、51は排気口を示し、52は乾燥風取り入れ口を示す。尚、排気口51と乾燥風取り入れ口52は逆であっても良い。6は張力カット手段を示す。張力カット手段としてはニップロール、サクションロール等が挙げられる。尚、張力カット手段は各工程間に設けてもかまわない。
【0156】
8はロール搬送・乾燥工程を示し、81は乾燥箱を示し、82は排気口を示し、83は乾燥風取り入れ口を示す。尚、排気口82と乾燥風取り入れ口83は逆であっても良い。84は上部搬送用ロールを示し、85は下部搬送用ロールを示す。該搬送用ロール84、85は上下で一組で、複数組から構成されている。7は巻き取られたロール状のフィルム(セルロースエステルフィルム原反)を示す。
【0157】
図5(d)で示される工程において、5のテンター搬送・乾燥工程前のロール搬送・乾燥工程を第1ロール搬送・乾燥工程と呼び、5のテンター搬送・乾燥工程後のロール搬送・乾燥工程を第2ロール搬送・乾燥工程と呼ぶ。尚、図5(a)〜(d)では示されていない冷却工程を、巻き取る前に必要に応じて設けても良い。
【0158】
本発明においては、上述した何れの溶液流延製膜法による形態でセルロースエステルフィルムを製造しても構わない。
【0159】
このようにして作製された本発明に係るセルロースエステルフィルム原反は、具体的には、前記のように、フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下であり、100m〜5000m程度の長尺のセルロースエステルフィルムを巻芯に巻き取ったものであるが、これらの長尺フィルムは前記に記載の、長尺フィルムの幅方向の両端に凹凸を付与(エンボス加工)して端部を嵩高くするいわゆるナーリング加工が施されている。ここで、ナーリング加工について説明する。
【0160】
《ナーリング加工》
ナーリング加工は長尺状フィルムを巻き取り前に、巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルム加工幅の端部に(エンボス加工により)微小の連続した凹凸からなる一定の幅に文様をつけるもので、これにより巻き取ったフィルム同士が完全に接着して、或いは、部分的に接着してフィルムの表面の状態に影響を与え、故障を引き起こすのを防ぐ役割を果たす。
【0161】
エンボス加工の幅は5〜40mmが好ましく、より好ましくは7〜15mmである。フィルム端部から0〜50mmの部分にエンボス加工が施されていることが好ましく、エンボスの形態は問わないが、一ヶ所に加工するエンボスの条数は、一条でも二条でもそれ以上であってもかまわない。両端部になされていることが特に好ましい。また、エンボス高さは、下記のように定義される。
【0162】
エンボス高さ(a:μm)のフィルム膜厚(d:μm)に対する比率X(%)=(a/d)×100
本発明においては、X=1〜25%の範囲であることが好ましく、5%〜20%が更に好ましく、10%〜15%が特に好ましい。
【0163】
具体的には、エンボス加工の凹凸の高さは1〜40μmであることが好ましく、更に2〜35μmであることが好ましく、7〜30μmであることが特に好ましい。
【0164】
エンボス加工は高すぎると巻き乱れや、ロール端部の盛り上がりなど、フィルム端部にひずみを与えてしまうため好ましくない。又、低すぎると配向の乱れを抑制する効果に乏しくなる。樹脂フィルム厚みの1〜25%の範囲で高さを調節することが好ましい。
【0165】
エンボス加工の各条の突起として観察される部分のエンボス加工部全体に対する面積の割合が、15〜50%程度が好ましく、これらの各条に含まれる突起が不連続なものである場合にはその数は1cmあたり10〜30個程度であるのが好ましい。
【0166】
エンボス加工は、前記フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい(前記図5においては省略されている)。エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上でフィルムに刻印の刻まれたエンボスリングを押し当てることで、加工できる。加工は常温でも可能であるが、Tg+20℃以上、融点(Tm)+30℃以下で加工するのが好ましい。
【0167】
本発明のセルロースエステルフィルム原反は、最終的にナーリング加工されたセルロースエステルフィルムが、前記巻芯にロール状に巻かれたものであり、通常、この形態でセルロースエステルフィルム原反として、例えば倉庫中において、フィルムロール自体が接地しないように(接地するとフィルムロール自体の荷重がかかるため変形を引きおこす)して、前記架台上に載置されて保管される、或いは同様に架台上に置かれた状態で、船、鉄道、トラック等により輸送される等取り扱いがされ、また、提供される。
【0168】
このようなセルロースエステルフィルム原反から加工され得られる、セルロースエステルフィルムは、平面の均一性、良好な透湿性、寸法安定性等から液晶表示用部材、詳しくは偏光板用保護フィルムに用いられるのが好ましい。特に、透湿度と寸法安定性に対してともに厳しい要求のある偏光板用保護フィルム等の光学フィルムにおいて、本発明に係わるセルロースエステルフィルムは好ましく用いられる。
【0169】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムから、偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、光学フィルム或いはセルロースエステルフィルムをアルカリケン化処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
【0170】
セルロースエステルフィルムにはハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができる。これらの機能層は塗布或いは蒸着、スパッタ、プラズマCVD、大気圧プラズマ処理等の方法で設けることができる。
【0171】
このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面又は両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
【0172】
本発明に係わるセルロースエステルフィルム原反は、広幅化、薄膜化に対応し、前記故障のない保存性に優れたセルロースエステルフィルム原反となるためこれから加工される光学フィルムは平面性、等方性に優れ、故障による欠陥が少なく、特に反射防止用フィルム或いは光学補償フィルムの基材として使用したときに、塗布性、加工性、光学的等方性に効果を発揮することができる。
【0173】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0174】
実施例1
(巻芯の作製)
表1に示した形状で、FW法により、巻芯A−1〜A−10、比較−A1〜A4を作製した。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。巻芯は、基材層、第一ワインディング層、第二ワインディング層を、それぞれガラス、カーボン繊維およびマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いたプリプレグ樹脂層を巻回して巻芯母材形成した。この形成された巻芯母材について、各層のガラス繊維、カーボン繊維の比率、巻数を調整し巻芯仕上がりの弾性率が表1に示す値になるように調整した。また芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、巻芯の両端部、中央部がそれぞれ表1に示す円周長になるように、また、中央部の平坦な部分の比率(%)が、表1の様になる様に各巻芯について調整した。この時の巻芯の表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。
【0175】
【表1】
Figure 2005022766
【0176】
(巻芯の円周長)
尚、巻芯の円周長については、0.1mmの精度の帯状スケール(JIS1級)を使用し、巻芯の中央部分と両端部の円周長を測定した。
【0177】
(巻芯の弾性率)
巻芯の弾性率については、巻芯を、支点間距離が1250mmになるようにして支えたのち、巻芯中央に荷重をかけ、荷重−たわみ比より求めた。
【0178】
(表面粗さ)
表面粗さRa値は、JIS B 0601に準じ、東京精密(株)の表面粗さ計サーフコム111Aを使用して、カットオフ0.25mmにて中心線平均粗さを3点測定し、その平均値を表面粗さとした。
【0179】
〈試料1〜10、比較試料1〜4の作製〉
(酸化珪素分散液)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は122ppmであった。
【0180】
液濁度は、T−2600DA(東京電色工業(株)社製)を使用して測定した。
【0181】
(インライン添加液Aの作製)
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール 10質量部
リンター綿から合成されたセルローストリアセテート 4質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
【0182】
これに酸化珪素分散液20質量部を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−20Nで濾過し、添加液を調製した。
【0183】
(ドープ液Aの調製)
リンター綿から合成されたセルローストリアセテート 85質量部
木材パルプから合成されたセルローストリアセテート 15質量部
多価アルコールエステル(化合物例16) 4.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.0質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
【0184】
製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液Aを濾過した。また、インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液Aを濾過した。濾過したドープ液A100質量部に対して濾過したインライン添加液Aを3.0質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度33℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力127Newton/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルローストリアセテートフィルムを1650mm幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に10%延伸しながら、120℃の乾燥温度で、乾燥させ、その後、110℃、115℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1430mm幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻き取り初期張力220N/m、テーパー40%で巻芯A−1に巻き取った。このときのセルローストリアセテートフィルムの膜厚はそれぞれ40μm、巻数は4500mであった。また、同じセルローストリアセテートフィルムを、巻芯として前記表1の巻芯A−2から10また比較−A1〜A4に同様に巻き取り、セルローストリアセテートフィルム原反試料2〜10、比較試料1〜4を得た。
【0185】
作製したフィルム原反試料を下記に示す測定方法に従って評価した。結果を表2に示す。
【0186】
(馬の背故障)
巻き取ったフィルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、図4に示すような保存方法で、25℃、50%RHの条件下で30日間保存した。その後、箱から取り出し、ポリエチレンシートを開け、フィルム原反試料の中央部分が両端に比べて、低くなっている距離を測定した。値が0に近い程良好で、小さい値である程、馬の背故障は悪い。
【0187】
(巻始めのシワ)
巻芯に原反フィルムを巻き取る作業を10回行い、巻始めでシワが発生して不良となった回数をカウントした。
【0188】
【表2】
Figure 2005022766
【0189】
表2より明らかなように、本発明のセルロースエステルフィルム原反は、比較セルロースエステルフィルム原反に対して、馬の背故障に優れ、巻始めのシワも無く、生産性に優れていることが分かる。
【0190】
実施例2
(巻芯の作製)
表3に示す形状で、前記同様にFW法による巻芯B−1〜B−5、比較−B1〜B2を作製した。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165mm、長さ1550mmであった。この巻芯母材としては、前記同様エポキシ樹脂をマトリクス樹脂として用いて、巻芯仕上がりの熱膨張係数が表3に示す値になるように、ガラス繊維、カーボン繊維の比率、熱処理温度、熱処理時間を調整した。また、巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaを0.3μmに仕上げた。
【0191】
(巻芯の熱膨張係数)
巻芯を水平より5°傾けたL字型定盤上に置き、60℃に加熱した試験巻芯を徐冷し、温度変化に対する巻芯外径変位をダイヤルゲージにて測定した。
【0192】
【表3】
Figure 2005022766
【0193】
実施例1の巻芯A−1を上記巻芯B−1〜B−5、比較−B1〜B2にかえた以外は同様にして、セルローストリアセテートフィルム原反試料101〜105、比較試料101〜102を作製した。
【0194】
作製した試料を、下記に示す測定方法に従って評価した。結果を表4に示す。
(馬の背故障)
実施例1と同様に評価した。
【0195】
(凸状故障)
巻き取ったフィルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、図4に示すような保存方法で、40℃、80%RHの条件下で14日間保存した。その後、箱から取り出し、ポリエチレンシートを開け、フィルム試料を2000m繰り出した後のフィルム原反試料一巻き分の表面において観察される凸状故障の数を目視で数えた。
【0196】
【表4】
Figure 2005022766
【0197】
実施例3
表5に示す形状で、FW法による巻芯C−1〜C−3、比較−C1を作製した。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いて、巻芯仕上がりの弾性率と熱膨張係数が表5に示す値になるように、ガラス繊維、カーボン繊維の比率、巻数、熱処理温度、熱処理時間を調整した。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表5に示す円周長になるように調整した。この時の巻芯の表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。
【0198】
【表5】
Figure 2005022766
【0199】
実施例1の巻芯A−1を上記巻芯C−1〜C−3、比較−C1にかえた以外は同様にして、セルローストリアセテートフィルム原反試料201〜203、比較試料201を作製した。
【0200】
作製したフィルム原反試料について、馬の背故障および凸状故障を実施例2と同様に評価した。結果を表6に示す。
【0201】
【表6】
Figure 2005022766
【0202】
実施例4
実施例1〜3で作製したセルローストリアセテートフィルム原反試料をポリエチレンシートで2重に包み、図4に示すような保存方法で、25℃、50%RHの条件下で30日間、この後、40℃、80%RHの条件下で14日間保存した。その後、それぞれポリエチレンシートを外して、それぞれの原反試料から巻き出したセルローストリアセテートフィルム上に下記方法で防眩層を形成した。これを、50℃の2mol/LのNaOH水溶液に90秒間浸漬して、アルカリ処理(鹸化)した後、水洗・乾燥させた。この防眩層の上に、下記の手順で金属酸化物層(反射防止層)を形成し、反射防止フィルムを得た。
【0203】
〈防眩層の形成〉
セルローストリアセテートフィルムの一方の面に、下記に従って防眩層(紫外線硬化樹脂層)を形成した。
【0204】
(防眩層)
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂(ユニデック17−806、大日本イン
キ(株)製) 100部
平均粒子径3.5μmの球状架橋ポリスチレン微粒子 5部
平均粒子径16nmの合成シリカ微粒子 7部
コロネートL(ポリイソシアネート化合物、日本ポリウレタン(株)製)1部
光重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製) 3部
を溶媒(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合して揮発分濃度50質量%の均質な分散液を調製した。
【0205】
これを上記フィルム上にダイコートし、90℃で2分間乾燥させた後、110mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ膜厚3μmの防眩層を形成した。
【0206】
〈金属酸化物層(反射防止層)の形成〉
特開2002−228803に記載された回転するロール電極および固定電極からなるプラズマ放電処理装置と同様の装置を用いて、前記防眩層(紫外線硬化樹脂層)を設けたそれぞれのフィルム上に、第1酸化チタン層(屈折率2.15、平均膜厚15nm)、第1酸化珪素層(屈折率1.46、平均膜厚33nm)、第2酸化チタン層(屈折率2.15、平均膜厚119nm)、第2酸化珪素層(屈折率1.46、平均膜厚86nm)を順に形成し、反射防止フィルムをそれぞれ作製した。プラズマ放電処理処理装置の電源は、パール工業製高周波電源を使用し、連続周波数を2MHzとし、放電電極に対し4W/cmの電力を供給した。ロール電極は、ドライブを用いてセルロースエステルフィルムの搬送に同期して回転させた。
【0207】
なお、電極間隙は2mm、反応ガスの圧力は大気圧+1kPaとして行った。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。
【0208】
〈酸化チタン層(高屈折率層)形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.4体積%
反応ガス(水素ガス) 0.3体積%
反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積%
〈酸化珪素層(低屈折率層)形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.4体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.3体積%
反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
(反射防止フィルムの評価)
得られた反射防止フィルムについて、下記のようにして反射率を測定したところ、比較のセルロースエステルフィルム原反試料から作製した反射防止フィルムは、幅手方向、長手方向とも、反射率のバラツキが多く、問題であったのに対して、本発明のセルロースエステルフィルム原反試料を有する反射防止フィルムは、幅手方向、長手方向とも、反射率のバラツキがなく、良好であった。
【0209】
尚、反射率は、分光光度計(日立製作所製U−4000型)を用い、反射防止層が塗布されていない側の面を粗面化した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、裏面での光の反射を防止して5度の正反射の条件にて450〜650nmにおける各反射スペクトルを測定した。
【0210】
上記結果から、明らかなように、本発明のセルロースエステルフィルム原反試料は、反射防止加工の塗布性、加工性にも優れていることが分かる。
【0211】
【発明の効果】
長期間保管しても馬の背故障や凸状故障などの変形故障が発生しない生産性に優れた光学フィルム原反及びその保存、輸送方法を得ることが出来た。特に1350mm幅以上の広幅、かつ、薄膜の光学フィルムにおいてその効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】FW法による繊維強化樹脂製の巻芯の一例を示す図である。
【図2】両端部の円周長よりも中央部尾円周長が長い巻芯の一例を示す模式断面図である。
【図3】一般的に用いられる巻芯の模式断面図である。
【図4】セルロースエステルフィルム原反の保管或いは輸送時の状態を示す図である。
【図5】フィルムの溶液流延製膜法の好ましい一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 鏡面帯状金属流延支持体
2 ダイス
3 フィルム剥離点
4 剥離されたフィルム
5 テンター搬送・乾燥工程
6 張力カット手段
7 巻き取られたロール状のフィルム
8 ロール搬送・乾燥工程
51,82 排気口
52,83 乾燥風取入れ口
81 乾燥箱
84 上部搬送用ロール
85 下部搬送用ロール
10 巻芯本体
11 成形芯金
12 基材層
13 繊維
14 第一ワインディング層
15 第二ワインディング層
16 コーティング層
17 支え板
18 架台
20 セルロースエステルフィルム原反

Claims (11)

  1. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  2. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯は、両端部の円周長より中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長いことを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  3. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、かつ、該巻芯は、両端部の円周長よりも中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長いことを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  4. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  5. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、かつ、
    熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  6. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、
    該巻芯は、両端部の円周長より中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長く、かつ、
    該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  7. フィルム幅が1350mm以上で、膜厚が25μm以上80μm以下で、両端部にエンボス加工を有するセルロースエステルフィルムが巻芯に巻かれているセルロースエステルフィルム原反において、
    該巻芯の弾性率が20GPa以上40GPa以下の範囲であり、
    該巻芯は、両端部の円周長よりも中央部の円周長の方が0.5mm以上10mm以下の範囲で長く、かつ、
    該巻芯の熱膨張係数が1×10−7/℃以上2×10−5/℃以下であることを特徴とするセルロースエステルフィルム原反。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反を保管することを特徴とするセルロースエステルフィルム原反の保管方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反を輸送することを特徴とするセルロースエステルフィルム原反の輸送方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反に、表面加工を施したことを特徴とする光学フィルム。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム原反から加工されたセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板。
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