JP2005156642A - 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 表示画像にギラツキ感及び外光の写りこみのない、画像鮮明性が良好で視認性に優れ、反射光の色味がニュートラルに近く画像描画性良好で、耐久性と耐候性に優れ、生産性やコスト性に優れた反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】 膜厚が30〜120μmのセルロースアシレートフィルムからなる支持体上に、光拡散層と低屈折率層とを順次積層した反射防止層を設けて成り、該セルロースアシレートフィルムが、長さ100〜5000m及び幅0.7m以上の長尺品で、その膜厚変動幅が±3%以内で且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mである原料シートから形成されたフィルムであり、光拡散層は、平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなり、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2で、透光性粒子が光拡散層全固形分中に3〜30質量%含有されている層からなる反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、それを用いた偏光板、及びこれらを用いた画像表示装置に関し、更に詳細には、保護フィルムとしての表示画像にギラツキ感及び外光の写りこみのない、画像鮮明性が良好な視認性に優れ、並びに反射光の色味がニュートラルに近いことにより画像描画性良好であり、且つ耐久性と耐候性に優れ、しかも生産性やコスト性にも優れた反射防止フィルム、それを用いた偏光板、及びこれらを用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、表面突起による光の散乱或は多層薄膜の光干渉によって、反射率を低減する機能を有しており、ディスプレイの最表面に配置される。
透明基材フィルム上に、シリカを含有する樹脂塗料を塗布して光拡散層を形成した防眩フィルムをディスプレイの前面に配置し、眩しさの原因となる外光を拡散させ、画面の眩しさを和らげることは既に行なわれている。従来の防眩フィルムには、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって光拡散層の表面に凹凸を付与したもの、塗膜の厚みよりも大きな粒径の樹脂ビーズを添加して表面に凹凸を付与したもの、または表面に凹凸を持った賦型フィルムを使用し、固化していない塗膜表面にラミネートして凹凸形状を転移させた後、賦型フィルムを剥がして得たもの等がある。
このような従来の防眩フィルムは、いずれのタイプでも、防眩層の表面形状の作用により、光拡散・防眩作用を得るようにしていて、防眩性を高めるためには前記凹凸形状を大きくする必要があるが、凹凸が大きくなると、塗膜の曇価(ヘイズ値)が上昇し、これに伴い透過鮮明度が低下するという問題点がある。
上記に類似したものとして、微粒子を層内部に分散して光分散効果を得るようにした光拡散層を有するフィルムが、例えば反射型液晶表示装置用として開示されている(非特許文献1)。ここで用いられている内部散乱効果により十分な光拡散効果を得るためには、用いている微粒子の粒径を大きくしなければならず、このため、曇価が高いものの画像の鮮明性が非常に小さいという問題点がある。
これに対し、画像の鮮明性を保ちつつ外光の写りこみ防止する方法として、光拡散層が透光性粒子と透光性樹脂との配合比、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率差、透光性粒子の粒径や、防眩層の乾燥膜厚等の制御する方法(特許文献1)、更には光拡散層中に屈折率差を有する2種類の透光性粒子と用いる方法(特許文献2)が提案されている。
一方、近年、各種の画像表示装置(LCD、PDP、CRT等)の大画面化が進むとともに、防眩性反射防止フィルムを配置した液晶表示装置が増加してきており、高価な大画面の画像表示装置を保護するため、防眩性反射防止フィルムに保護フィルムとしての、より高い視認性(表示画像にギラツキ感のないこと、外光の写りこみのないこと、画像鮮明性の高いこと等)、反射光の色味がニュートラルに近いことによるカラー画像描画性がいい事及び耐久性が強く望まれている。また、液晶表示装置(LCD)において偏光板は不可欠な光学材料である。偏光板は一般に、偏光膜が2枚の保護フィルムによって保護されている構造を有しているが、液晶表示装置の構成部材の数を減らして、生産性、製造コストを削減する観点から、偏光板の保護フィルムに反射防止機能を付与することで、耐候性や物理的保護性および反射防止性を有し、かつ生産性、コスト削減と薄手化を実現させることが望まれている。
特開2000−338310号公報 特開2000−180611号公報 照明学会研究会誌MD−96−48、p.277−282(1996年)
要するに、従来は、視認性、カラー画像描画性を有すると共に、耐久性、耐候性にも優れ、しかも生産性やコスト性にも優れた反射防止フィルムは提案されていないのが現状である。
本発明の目的は、保護フィルムとしての表示画像にギラツキ感及び外光の写りこみのない、画像鮮明性が良好な視認性に優れ、並びに反射光の色味がニュートラルに近いことにより画像描画性良好であり、且つ耐久性と耐候性に優れ、しかも生産性やコスト性にも優れた反射防止フィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、表示画像にギラツキ感及び外光の写りこみのない、画像鮮明性が良好な視認性に優れ、並びに反射光の色味がニュートラルに近いことにより画像描画性良好であり、且つ耐久性と耐候性に優れた偏光板、及びこれらを利用した画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する長尺のセルロースアシレートフィルムからなる支持体を用い、光拡散層を特定の屈折率の差を有する透光性樹脂と透光性粒子とを用いて形成してなる反射防止フィルムが上記目的を達成しうることを見出した。
すなわち、本発明の目的は下記の内容の各発明により達成された。
(1) 膜厚が30〜120μmのセルロースアシレートフィルムからなる支持体上に、光拡散層と該支持体より低屈折率の低屈折率層とを少なくとも順次積層して形成された反射防止層を設けて成る反射防止フィルムであって、該セルロースアシレートフィルムが、長さ100〜5000m及び幅0.7m以上の長尺品であって、その膜厚変動幅が±3%以内であり且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mであり、該光拡散層は、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなり、該透光性粒子と該透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、該透光性粒子が光拡散層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層からなることを特徴とする反射防止フィルム。
(2) 上記の透光性粒子は、少なくとも2種類以上の透光性粒子からなり且つ該透光性粒子のうち最も屈折率の高い粒子と最も屈折率の低い粒子との屈折率の差が0.02〜0.1であることを特徴とする(1)に記載の反射防止フィルム。
(3) 上記の反射防止層は、その最表面の、表面エネルギーが15〜25.8mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.25以下であることを特徴とする(1)〜(2)に記載の反射防止フィルム。
(4) 上記のセルロースアシレートフィルムは、その表面がJISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び表面凹凸の平均間隔(Sm)が5μm以下であり、且つ視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5) 上記のセルロースアシレートフィルムが、下記式(1)及び(2)を同時に満足する範囲にあるセルロースアシレート、オクタノール・水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤、及び平均一次粒径3〜100nm以下の微粒子を各々少なくとも1種含有するセルロースアシレートフイルムであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
(式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
(6) 上記の反射防止フィルムが、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(7) 上記の反射防止フィルムにおいて、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(8) 上記の反射防止フィルムの最表面が、算術平均粗さRaが0.02〜1.0μm、凹凸の平均間隔Smが5乃至80μm、およびRa/十点平均粗さRzが0.1以上である凹凸形状を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載反射防止フィルム。
(9)上記の反射防止フィルムの最表面が、凹凸の最大高さRyが2μm以下であり、かつ凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布していることを特徴とする(1)〜(8)に記載の反射防止フィルム。
(10) 上記の反射防止フィルムが、該セルロースアシレートフィルムと該光拡散層との間に導電性材料を含有する透明帯電防止層を有し、該帯電防止層の表面抵抗が2×1012Ω/□以下であり、且つ帯電防止層のヘイズが10%以下、並びに波長550nmの光の透過率が50%以上であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(11) 上記の透明帯電防止層が、3〜100nmの平均一次粒径を有する導電性無機微粒子を含有してなる硬化性樹脂層であって、その表面は、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.03μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.06μm以下であり、且つ最大高さ(Ry)が 0.09μm以下であることを特徴とする(10)記載の反射防止フィルム。
(12) 上記の低屈折率層が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造を有し、屈折率が1.17〜1.40である無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、及び硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする(1)〜(11)に記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
(13) 上記の硬化性組成物が、更に、ラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物及び重合開始剤を含有することを特徴とする(12)記載の反射防止フィルム。
(14) 上記硬化性組成物が、平均粒径1〜100nmのSiの酸化物超微粒子を含有することを特徴とする(12)又は(13)記載の反射防止フィルム。
(15) 偏光膜の少なくとも一方の保護フィルムが、(1)〜(14)のいずれかに記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
(16) 偏光膜の一方の保護フィルムとして(1)〜(14)のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光膜のもう一方の保護フィルムとして光学異方性のある光学補償フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
(17) (1)〜(14)のいずれかに記載の反射防止フィルム、或は(15)または(16)記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
本発明で支持体として用いられるセルロースアシレートフィルムは、長さ100〜5000m及び幅0.7m以上の長尺ロール形態で膜厚の変動幅が±3%以内であり、幅方向のカールが−7/m〜+7/mである。更には該フィルムの反射防止層塗設側の表面がJISB0601−1994に基づく表面凹凸が特定の凹凸形状を形成することが好ましい。
これらにより、長尺のロール形態であっても反射防止層を塗布面状にムラの無い均一な膜を塗設することが出来ると共に支持体との密着性が充分に保持され、作成された反射防止フィルムの光学的欠陥の抑制と膜厚の変動幅が制御されることにより反射防止フィルムの反射光の色味ムラが低減できることを見出した。
更には、セルロースアシレートフィルムが、特定のセルロースアシレートを主成分としてこれに特定のlogP値の可塑剤及び分散性良好となる微粒子を少なくとも各1種類を含有することからなり、より好ましくは溶液流延製膜方法で作製されたフィルムである。フィルムの物理的特性(カール、寸度安定性、引掻き強度、耐湿性)を向上する可塑剤及び微粒子がフィルム中に凝集・析出することなく均一に分子又は粒子分散されていることで、フィルム自身の透明性が充分に保持され且つ上記の物理特性が満足されて反射防止フィルムの上記の物理特性が良好となることを見出した。
また、本発明の反射防止フィルムは、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値がそれぞれの値が面内における変動幅が15%未満にあること、及びJISK5600−7−7:1999に基づく耐候性試験前後の反射色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることにより、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、表示画像の品位が良好となる。
このようなニュートラルな色味の反射光を有し、且つ低反射率を有する反射防止フィルムは、低屈折率層の屈折率と光拡散層の透光性樹脂の屈折率のバランスを最適化すること、後述の光拡散層の高屈折率金属酸化物超微粒子が単分散性良好で層中に均質に分散されるようにすること、反射防止フィルムの最表面の凹凸形状を上記の特定の範囲内に制御すること等により達成される。
更には、本発明の反射防止フィルムは、支持体と光拡散層の間に透明帯電防止層を設けてなるのが好ましい。特に、導電性無機微粒子含有の硬化性組成物を塗設・硬化してなることにより長尺ロール形態で生産性良く作製される。形成された帯電防止層は光学的な欠陥のない特定の微細な凹凸形状の表面を形成し、この上に設けられる塗布層は均一な面状であり且つ密着性が充分となることを見出した。
更には、反射防止層の最表面(反射防止フィルムの最表面)の表面エネルギーが26mN/m以下であり、且つ動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。好ましくは、表面エネルギー15〜25.8mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.25である。より好ましくは、表面エネルギー15〜22mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.15である。この範囲において、保護フィルムとしての防汚性が良好となる。表面エネルギーの調整は、<低屈折率層>に詳述する。
本発明の反射防止フィルムは、保護フィルムとしての表示画像にギラツキ感及び外光の写りこみのない、画像鮮明性が良好な視認性に優れ、並びに反射光の色味がニュートラルに近いことにより画像描画性良好であり、且つ耐久性と耐候性に優れており、しかも生産性に優れ、低コスト化が可能なものである。
更に、本発明の偏光板は、本発明の反射防止フィルムを具備し、高品質で高耐久性なものであり、本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を配置したものであり、耐久性に優れた表示品位の高いものである。
以下に本発明の反射防止フィルムに関して詳細に説明する。
本発明の反射防止フィルムは、セルロースアシレートフィルムからなる支持体上に、光拡散層と該支持体より低屈折率の低屈折率層とを少なくとも順次積層して形成された反射防止層を設けて成る反射防止フィルムである。
以下、支持体、反射防止層、その他の層の順に説明する。
<支持体>
本発明の支持体は、セルロースアシレートフィルムからなる。その膜厚は30乃至120μmであり、好ましくは30〜100μmであり、更に好ましくは30〜80μmである。
本発明において上記支持体として用いるセルロースアシレートフィルムは、長さ100〜5000mで幅0.7〜2mの長尺ロール形態のものであり、反射防止フィルム、偏光板保護フィルムおよび画像表示装置を薄く軽量化したり、透過率を高めてコントラストや表示輝度を改善する等の良好な光学特性が安定して得られ、長尺で幅広な支持体を皺等の問題を生じることなくハンドリング性よく取り扱うことができる。
また、膜厚の変動幅は、±3%以内であり、好ましくは±2.5%以内、更に好ましくは±1.5%以内である。この変動内において、支持体厚みの反射防止性に実質上の影響を及ぼさない良好なものとなる。
膜厚変動幅を±3%以内とするには、(1)セルロースアシレートの低分子量体(オリゴマー体)が含まれないこと、(2)該ポリマーフィルム形成用のセルロースアシレートを主成分とする組成物を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を流延する際の濃度及び粘度を調節する、(3)乾燥工程において膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節すること等が有効である。溶解工程、流延工程および乾燥工程は[セルロースアシレートフィルムの製造方法]において記載する。
本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−7/m〜+7/mであり、好ましくは−5/m〜+5/mである。後述する反射防止層の設置を長尺で広幅のセルロースアシレートフィルムに対し行う際に、フィルムの幅方向のカール値が前述の範囲内であると、フィルムのハンドリングが良好になり、フィルムの切断が起きなくなる。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵したり、フィルム上への異物付着が生じなくなり、反射防止フィルム、偏光板の点欠陥や塗布スジの頻度を許容値の範囲内とすることができる。また、カールを上述の範囲とすることで偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができる。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムの原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等があり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの総炭素数2〜22のカルボン酸エステルのことである。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、あるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、オレオイル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、より好ましいアシル基は、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、ドデカノイル、オクタデカノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行 発明協会)の9ページに詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。
また、SAの置換度(SA')はより好ましくは1.4〜3.0であり、特には2.3〜2.9である。
更に、下記式(3)を同時に満足することが好ましい。
式(3) : 0≦SB”≦1.2
ここで、SB”はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3又は4のアシル基を表す。
さらにSB”はその28%以上が6位水酸基の置換基であるのが好ましく、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSA'とSB”の置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85以上であり、特には0.90以上であるセルロースアシレートフィルムも好ましいものとして挙げることができる。これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
尚、置換度はセルロース中の水酸基に結合した脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTM−D817−91、ASTM−D817−96に準拠して測定することができる。
又、水酸基へのアシル基の置換の状態は、13C NMR法によって測定される。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に前記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、全ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。セルロースアシレートは単独若しくは2種類以上の併用であっても良い。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
該セルロースアシレートの数平均分子量Mnは、好ましくは7〜25×104範囲、より好ましくは、8〜15×104の範囲にあることが望ましい。また、該セルロースアシレートの質量平均分子量Mwとの比、Mw/Mnは、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0であることが望ましい。なお、セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定でき、これを用いて上記MnおよびMwを算出し、Mw/Mnを計算することができる。
本発明において用いられる上記セルロースアシレートフィルムは、上述の式(1)及び(2)を満足する範囲にあるセルロースアシレート、可塑剤(特に好ましくは後述するオクタノール・水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤)、及び微粒子(特に好ましくは平均1次粒径3〜100nmの微粒子)を各々少なくとも1種含有してなるフィルムが好ましく用いられる。
以下、可塑剤及び微粒子について説明する。
「可塑剤」
上記可塑剤は、セルロースアシレートフィルムに柔軟性を与える、寸法安定性の向上、耐湿性を向上させるために添加される成分である。
本発明で好ましい可塑剤は、沸点が200℃以上で25℃で液体であるか、または融点が25〜250℃である固体であることが好ましい。更に好ましくは沸点が250℃以上で25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である可塑剤が挙げられる。可塑剤が液体の場合は、その精製は通常減圧蒸留によって実施されるが高真空ほど好ましく、本発明では、特に、200℃における蒸気圧が1333Pa以下の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧667Pa以下、更に好ましくは133〜1Paの化合物が好ましい。
これらの好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にあるリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)等が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。これらの好ましい可塑剤は25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
中でもトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスクレジルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレートが好ましい。
これらは、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤もまた好ましい。これらの記載によると可塑剤だけでなくその利用方法あるいはその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
その他の可塑剤として、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
更には本発明で好ましい可塑剤は、オクタノール・水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤が好ましい。logP値が10を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フイルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアシレートフイルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし8であり、特に好ましい範囲は2ないし7である。
オクタノール・水分配係数(logP値)の測定は、JIS 日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール・水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法( J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法( J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法( J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステル及び又はポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン又はポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂或はノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの可塑剤は単独若しくは2種類以上を混合して用いても良い。可塑剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。
(微粒子)
本発明においては、フィルムの機械的強度と寸法安定性の向上、及び耐湿性を向上させるために疎水性の微粒子を含有することが好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、1〜100nmであり、より好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは3〜80nmであり、特に好ましくは5〜60nmであり、最も好ましくは、5〜50nmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を平均粒径で求められる。
微粒子の見掛け比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。
微粒子の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して0.005〜1.0質量部、特に0.01〜0.5質量部とするのが好ましい。
微粒子の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフイルムのヘイズ上昇を抑制できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。
上記微粒子は、表面処理された微粒子が好ましい。ドープ中及び製膜後のフィルム中での凝集が抑制されて微粒子として安定に分散されるのに優れる。
分散表面処理に用いる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることが出来る。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロール等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げれる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載のカップリング化合物が挙げられる。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。
本発明で使用される微粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
(微粒子分散)
本発明に好ましくは供される微粒子は、製膜後のフィルム中に均一に分散されることが好ましい。
微粒子は、以下のような態様等微粒子分散物を調整した後にドープ液に導入されることが好ましい。
(1)溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、ドープ液に加えて撹拌する。
(2)溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
(3)溶剤に少量のセルロースアシレートを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
更に、微粒子分散物の調整には、微粒子とともに分散剤を用いて湿式分散することが好ましい。
(分散剤)
上記微粒子を安定した所定の微粒子として用いるため分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する低分子化合物、または高分子化合物であることが好ましい。
上記極性基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、−P(=O)(R1)(OH)基、−O−P(=O)(R1)(OH)基、アミド基(−CONHR2、−SO2NHR2)、環状酸無水物含有基、アミノ基、四級アンモニウム基等が挙げられる。
ここで、R1は炭素数1〜18の炭化水素基を表す(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基等)。R2は、水素原子又は前記R1と同一の内容を表す。
上記極性基において、解離性プロトンを有する基はその塩であってもよい。また、上記アミノ基、四級アンモニウム基は、一級アミノ基、二級アミノ基又は三級アミノ基のいずれでもよく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、炭素原子数が1〜18の脂肪族基(上記R1の基と同一の内容のもの等)であることが好ましい。又、三級アミノ基は、窒素原子を含有する環形成のアミノ基(例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリジン環等)であってもよく、更に四級アンモニウム基はこれら環状アミノ基の四級アモニウム基であってもよい。特に炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオン、PF6イオン、SbF6イオン、BF4イオン、B(R34イオン(R3は、炭化水素基を表し、例えばブチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ブチルフェニル基等)、スルホン酸イオン等が好ましい。
本発明に係る分散剤の極性基としては、pKaが7以下のアニオン性基或はこれらの解離基の塩が好ましい。特に、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、又はこれらの解離基の塩が好ましい。
具体的には、下記の一般式(B)、(C)に示される化合物が挙げられる。
一般式(B) (R4−B1−O)β−P(=O)−(OM1γ
一般式(C) R5−B2−X
式(B)及び(C)中、R4とR5は炭素数4〜40の置換、無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリル基を表わし、M1は水素原子、アルカリ金属、アンモニア、有機アミンである。また、B1、B2は2価の連結基を表わし、Xはカルボン酸(又はその塩)、スルフォン酸(又はその塩)、硫酸エステル(又はその塩)を表わす。βは1、2の整数であり、γは(3−β)の整数を表わす。
4とR5の好ましい例としては、炭素数4〜40の置換、無置換のアルキル基(例えば、ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、ドコサニル、ミリシル、など)、炭素数4〜40の置換、無置換のアルケニル基(例えば、2−ヘキセニル、9−デセニル、オレイルなど)、炭素数4〜40の置換、無置換のアリル基(例えば、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ブチルフェニル、ジブチルフェニル、トリ−ブチルフェニル、イソペンチルフェニル、オクチルフェニル、イソオクチルフェニル、イソノニルフェニル、ジイソノニルフェニル、ドデシルフェニル、イソペンタデシルフェニル、など)などを表わす。
これらの中でも更に好ましいのは、アルキルとしては、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコサニル、アルケニルとしてはオレイル、アリル基としてはフェニル、ナフチル、トリメチルフェニル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ジブチルフェニル、トリブチルフェニル、イソオクチルフェニル、イソノニルフェニル、ジイソノニルフェニル、ドデシルフイソペンタデシルフェニルである。
1、B2の2価の連結基について記述する。炭素数1〜10のアルキレン、ポリ(重合度1〜50)オキシエチレン、ポリ(重合度1〜50)オキシプロピレン、ポリ(重合度1〜50)オキシグリセリン、でありこれらの混合したものでも良い。これらで好ましい連結基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ポリ(重合度1〜25)オキシエチレン、ポリ(重合度1〜25)オキシプロピレン、ポリ(重合度1〜15)オキシグリセリンである。
Xは、カルボン酸(又はその塩)、スルフォン酸(又はその塩)、硫酸エステル(又はその塩)である。塩としては好ましくはNa、K、アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン及びトリエタノールアミンである。
以下に、本発明の好ましい分散剤の具体例を記載するが、これらに限定されるものではない。
DP−1 R6O−P(=O)−(OM22
6:Cδ2δ+1 (δ:8〜22の整数)
2:H、Na、K、H・NH3、H・N(C253
H・N(CH2CH2OH)3
DP−2 R6(OCH2CH2εO−P(=O)−(OM22
ε:1〜10の整数
DP−3 {R6O(CH2CH2O)ε2−P(=O)−OM2
DP−4 R7−C64−O(CH2CH2O)ε−P(=O)−(OM22
7:Cζ2ζ+1(ζ:1〜22の整数)
DP−5 R7−C64−O(CH2CH2O)ε−P(=O)−(OM2)(OH)
DP−6 R6SO32
DP−7 R6OSO32
DP−9 R6COOM2
DP−9 R7−C64−O−(CH2CH2O)ε−(CH2ηSO32
η:1〜10の整数
DP−10 トリ(アルキル)ナフタレンスルフォン酸ナトリウム
アルキル:プロピル基、ブチル基、ペンチル基
DP−11 R6CON(CH3)(CH2ηSO32
DP−12 R6−C64−SO32
本発明に用いられる分散剤は、上記した極性基を含有する高分子分散剤であることが好ましい。
高分子分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、GPC法で測定されたポリスチレン換算値として、1×103以上であることが好ましい。より好ましいMwは2×103〜1×106であり、更に好ましくは3×103〜1×105、特に好ましくは5×103〜8×104である。
この範囲のものが、微粒子が微粒子として分散されやすく、かつ凝集物や沈殿物を生じない安定な分散物が得られる。
高分子分散剤中の極性基は、高分子鎖の重合体主鎖の末端或いは重合体形成単位の側鎖置換基(以降、側鎖と略称する場合もある)として含有される。極性基は重合体主鎖の末端及び/または側鎖に結合していることが好ましくい。
側鎖に極性基を導入する方法としては、例えば極性基含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−ホスホノオキシエチル(メタ)アクリレート、2,3ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−N,Nジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメルアンモニウム・PF6イオン塩、水酸基含有不飽和化合物と環状酸無水物(マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、フタル酸無水物等)との付加物等)を重合させる方法、高分子反応の利用を利用する方法(例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基等と酸無水物、ハロゲン置換酸化合物との反応、イソシアナート基、カルボキシ基等と水酸基、アミノ基等を含有の酸化合物との反応等)等によって合成できる。
極性基含有の重合体成分の具体例としては、例えば特開平11−153703号公報明細書中の段落番号[0024]〜[0041]記載の内容等が挙げられる。
また、側鎖に極性基を有する高分子分散剤において、極性基含有の重合単位の組成は、全重合単位のうちの0.5〜90質量%の範囲であり、好ましくは1〜80質量%、特に好ましくは5〜60質量%である。
一方、末端に極性基を導入する手法としては、極性基含有の連鎖移動剤(例えばチオグリコール酸等)の存在下で重合反応を行なう手法、極性基含有の重合開始剤(例えば和光純薬工業性V−501)を用いて重合反応を行なう手法、或いはハロゲン原子、水酸基、アミノ基等の反応性基を含有の連鎖移動剤や重合開始剤で重合反応後に高分子反応により導入する手法等によって合成できる。
好ましくは分散剤全重合単位のうちの1〜70質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。
本発明に係る分散剤は、極性基含有の重合成分を含有する重合成分以外の他の重合成分との共重合体であってもよい。この他の重合成分としては、極性基含有の重合成分に相当するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定はされないが、分散安定性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メタアクリレート類、アクリレート類、カルボン酸ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、スチレン及びその誘導体類、アクリロニトリル等が挙げられる。
分散剤中の他の重合性成分の割合は、全重合体成分中の5〜99.5質量%が好ましく、より好ましくは30〜85質量%である。
本発明の好ましい分散剤の重合形態は特に制限はなく、ブロック共重合体またはランダム共重合体の何れであっても良い。
更には、アニオン性基含有の重合成分を含有する重合体ブロック(ブロックA)とアニオン性基含有の重合成分を含有しない重合体ブロック(ブロックB)から構成されるAB型ブロック、ABA型ブロック、又はグラフト型のブロック共重合体が好ましい。このように分散剤がブロック共重合体であることにより、無機微粒子の分散性とその分散物の安定性(分散安定性)の向上、及びドープ組成物を製膜した場合の膜中での分散せいが良好となり、膜中での凝集化の無いフィルム表面の凹凸形状が所定の状態に制御される。
上記のようなブロック共重合体は、従来公知のリビング重合反応法によって製造することができる。イオン重合反応(例えば、有機金属化合物(例えばアルキルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルキルマグネシウムハライド類等)、ヨウ化水素/ヨウ素系等)、ポルフィリン金属錯体を触媒とする光重合反応、グループ移動重合反応、ジチオカーバメント基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を開始剤として光照射下に重合反応等の公知のいわゆるリビング重合反応、でAB型、ABA型ブロック共重合体を合成できる。
これらは、例えば、P.Lutz、P.Masson etal、Polym.Bull.12.79(1984)、B.C.Anderson、G.D.Andrews etal、Macromolecules、14、1601(1981)、右手浩−、畑田耕一、高分子加工、36、366(1987)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46、189(1989)、M.Kuroki、T.Aida、J.Am.Chem.Soc.109、4737(1987)、D.Y.Sogah、W.R.Hertler etal、Macromolecules、20、1473(1987)、大津隆行、高分子、37,248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Polym.Rep.Jap.37.3508(1988)等に記載の合成方法に従って合成することができる。
また、一官能性マクロモノマーを用いてラジカル重合反応してグラフト型共重合体を合成する方法(一官能性マクロモノマーの合成方法は、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」、30, 232(1985) 、上田明、永井進「化学と工業」、60、57(1986)、P. F. Rempp & E. Franta, Advances in Polymer Science 、58、1(1984)等の文献等に記載の方法に従う)、アゾビス高分子開始剤を用いてラジカル重合反応してAB型ブロック共重合体を合成する方法(上田明、永井進「化学と工業」、60、57(1986)等)等で合成することができる。
分散剤の使用量は、微粒子100質量部に対して、1〜100質量部の範囲であることが好ましく、3〜50質量部の範囲であることがより好ましく、5〜40質量部であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(分散媒体)
本発明において、微粒子の湿式分散に供する分散媒体は、後述するドープに用いる有機溶媒から適宜選択して用いることができる。好ましくは、低級アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)が挙げられる。これらの溶媒以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
分散媒体は、微粒子及び分散剤を含む全分散用組成物が3〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、5〜30質量%が好ましい。この範囲において、分散が容易に進行し、得られる分散物は作業性良好な粘度の範囲となる。
(微粒子の超微粒子化)
上記微粒子は、平均粒子径100nm以下の微粒子分散物とすることにより、該組成物の液の安定性が向上し、このドープ組成物から製膜されたセルロースアシレートフィルムは、微粒子が硬フィルム中で超微粒子状態で均一に分散されて存在し、光学特性が均一で透明なフィルムが達成される。フィルム中で存在する微粒子の大きさは、平均粒径5〜100nmの範囲が好ましく、特に10〜80nmが最も好ましい。
更には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。これにより、光学的欠陥のないヘイズ値の小さい透光性良好なフィルムであり、且つ表面が上記した特定の凹凸形状を形成できる。
上記微粒子を上記の範囲の粗大粒子を含まない超微粒子の大きさに湿式分散するには、メディアレス分散若しくはメディア分散のいずれでも良い。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型など従来公知のものがあり利用できる。高圧分散装置は、例えば管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.8MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.6MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/hr以上に達するものが好ましい。高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
メディア分散湿式分散用の分散機としては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル、ダイノミル等が含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。具体的には、生産性と微細化/単分散化等の分散性能の観点で、スーパーアペックスミル(アペックス社製)が好適に用いられる。
上記分散機と共に用いるメディアとしては、その平均粒径が0.5mm未満であり、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.05〜0.2mmである。
また、湿式分散に用いられるメディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましい。
分散物中の微粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。
特に、本発明における湿式分散物中の分散微粒子は、分散時において微粒子の比表面積を過度に大きくしないために微粒子を一次粒径以上に実質的に維持することが好ましい。
更には、湿式分散物中の分散微粒子中には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。
ここで、一次粒径以上に維持するためには、使用するビーズを上記の範囲内のビーズ径とすることで分散時のビーズによる破壊力を抑制し、微粒子の破壊を抑制しながら、微分散性と分散微粒子の単分散性を向上させることができると推測される。また、更なるビーズの小径化によりベッセル内にある総ビーズ数を多くすることができて衝突確率を増加させ、分散時間を短縮することが可能となると推測される。分散時間を短縮すると、その分、更に粒子の破壊を抑制でき、耐候性をより向上させることができると推測される。
また、メディア分散の周速としては、分散微粒子を微分散化できる範囲内で周速が低いほうが好ましい。周速が低い方が分散時のメディアによる破壊力を抑制することができ、微粒子の破壊を抑制しながら、微分散性と分散微粒子の単分散性を向上させることができると推測される。
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ0.1〜25μmが好ましい。精密濾過は濾過粒子サイズを変えながら繰り返し行うことも好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、かつ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
[他の添加剤]
(紫外線防止剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或は偏光板、画像表示装置の液晶化合物、有機EL化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線防止剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。
例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
紫外線吸収剤としての具体例を下記に列記するが、本発明はこれらに限定されない。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−(2′−ヒドロキシ−4′−へキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン2′−エチルへキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−2−アクリレート等が挙げられる。
また、特開平6−148430号公報に記載の紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来る。
また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して0.0001〜1.0質量部が好ましく、0.001〜0.1質量部が更に好ましい。
又、上記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物であってもよい。
特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
本発明において、紫外線吸収剤の使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
セルロースアシレートフィルムでは、異物や擦り傷などの表面欠陥のない高品質な特性が求められる。上記要望に対して、分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を用いることで、表面欠陥の少ないセルロースアシレートフィルムが得られるので好ましい。紫外線吸収の分配係数は、10.1以上がさらに好ましく、10.3以上が最も好ましい。分配係数は、以下の式で定義されるオクタノールと水との分配率を表す。
分配係数=Log(Po/w)但し、Po/w=So/Sw
式中、Soは25℃におけるn−オクタノール中での紫外線吸収剤の溶解度、Swは25℃における純水中での紫外線吸収剤の溶解度を表す。
(他の添加剤)
更に、本発明のセルロースアシレート組成物には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤(例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性コントロール剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤の添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、セルロールアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの製造方法]
本発明では、支持体として用いるセルロースアシレートフィルムは、溶液流延方法(ソルベントキャスト法)により製造することが好ましく、該溶液流延方法では、上記セルロースアシレート等を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造される。
(溶液調製工程)
溶液流延方法において用いる有機溶媒としては、通常溶液流延方法に用いられる有機溶媒であれば特に制限されず、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。具体的には、低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3〜12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。さらに、有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。前記有機溶媒が2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の上述の好ましい炭素数の範囲内であればよい。
具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745号p12−16に詳細に記載されている化合物が挙げられる。
特に、本発明では、前記有機溶媒として、2種類以上の有機溶媒を混合した混合溶媒を用いることが好ましく、特に好ましくは、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコール類または沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。
とくに、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比で混合してなる、酢酸エステル、ケトン類及びアルコール類の混合溶媒を用いることが、セルロースアシレートの溶解性の点から好ましい。
この混合溶媒中アルコール類の配合割合は、好ましくは全溶剤中2vol%以上40vol%以下、より好ましくは3vol%以上30vol%以下、さらに好ましくは5vol%以上20vol%以下である。
上記アルコール類は炭素原子数が1以上8以下のモノアルコールまたはジアルコールあるいは炭素原子数が2以上10以下のフルオロアルコールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールが挙げられる。これらは単独で添加しても、あるいは2種以上混合して添加しても良い。
特に、ハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系、特に塩素原子を含まない実質的に非塩素系の溶剤(以下、単に「非塩素系溶媒」という)が好ましい態様として挙げられる。
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明に使用する非塩素系溶媒は、例えば特開2002−146043号公報段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号公報段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
上記非塩素系溶媒としては、炭素原子数3以上12以下のエーテル、ケトン、エステルから選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と、アルコールとの混合溶媒であって、前溶媒中のアルコールの含有割合が2〜40質量%である混合溶媒が好ましい。
上記混合溶媒には、炭素原子数が5以上10以下の芳香族あるいは脂肪族の炭化水素を0vol%以上10vol%以下添加しても良い。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンが含まれる。
また、上記ドープには、上記有機溶媒以外に、フルオロアルコールを全有機溶媒量の10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有させることもフィルムの透明性を向上させたり、溶解性を早めたりする上で好ましい。該フルオロアルコールとしては例えば、特開平8−143709号公報段落番号[0020]、同11−60807号公報段落番号[0037]等に記載の化合物が挙げられる。これらのフルオロアルコールは一種又は二種以上使用してもよい。
本発明においては、上記ドープを調製する際に、容器内に窒素ガスなどの不活性ガスを充満させてもよい。
また、ドープの製膜直前の粘度は、製膜の際、流延可能な範囲であればよく、通常10ps・s〜2000ps・sの範囲に調製されることが好ましく、特に30ps・s〜400ps・sが好ましい。
上記ドープの調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよく、冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301公報、特開昭61−106628公報、特開昭58−127737公報、特開平9−95544公報、特開平10−95854公報、特開平10−45950公報、特開2000−53784公報、特開平11−322946公報、さらに特開平11−322947公報、特開平2−276830公報、特開2000−273239公報、特開平11−71463公報、特開平04−259511公報、特開2000−273184公報、特開平11−323017公報、特開平11−302388公報などに記載のドープの調製法が挙げられ、これらの公報に記載されている支持体の原料ポリマーの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜これらの技術を適用できる。さらに、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いた場合のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液の濃縮と濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号p.25に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解させる場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
更に、上記ドープに上記可塑剤、上記微粒子、及び必要に応じてレターデーション調製剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を含有させる。
(微粒子の添加混合方法)
微粒子をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、前記したような粗大な粒子が存在しないこと、および凝集や析出などが生じないように分散されて存在することが重要であり、これらを満たすことが出来れば、特に方法は限定されずいずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができる。
上記微粒子は上記のドープ調整とは前記のように別に分散液を調製した後にドープに混合分散する方法が好ましい。
上記した微粒子以外の添加剤は、例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。これらの添加剤の混合は、添加物それ自身を添加してもよいが、予め溶媒やバインダー(好ましくはセルロースアシレート)を用いて溶解しておいたり、場合により分散して安定化した溶液として用いることも好ましい態様である。
(製膜工程)
次に、本発明において、ドープを用いたフィルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルロースアシレートフィルム製造に供するドラム方法若しくはバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
製膜の工程を説明すると、溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜に一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。調製されたドープは精密濾過により凝集物、異物を除去することが重要である。具体的には、濾過のフィルターは、ドープ液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルタが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は15kgf/cm2 以下、より好ましくは10kgf/cm2 以下、更には2kgf/cm2 以下で濾過することが好ましい。
また、精密濾過のために、順次フィルターの孔径を小さくして濾過を数回行うことも好ましい。
精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが、例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
調製したドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも称する)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。
流延工程でもちいる金属支持体は、その表面が算術平均粗さ(Ra)が0.015μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.01μmで、十点平均粗さ(Rz)が 0.001 〜0.02μmである。更に好ましくは、(Ra)/(Rz)比が0.15以上である。このように、金属支持体の表面粗さを所定の範囲とすることで、金属支持体からウエブを容易に均一剥離し、且つ製膜後のフィルムの表面形状を本発明の範囲内に制御できる。
これらの各製造工程(流延(共流延を含む)、乾燥、剥離、延伸などに分類される)については、前記の公技番号2001−1745号p.25−30に詳細に記載されている工程が好ましい。流延工程では1種類のドープを単層流延してもよいし、それぞれ異なるポリマーを溶解してなる2種類以上のドープを同時及び/又は逐次共流延しても良い。
特に、上記したような組成物からなるドープからフィルムに製膜する工程において、添加した化合物が凝集や偏在することなく行われるには、乾燥工程が重要である。
支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側の裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。
支持体上に流延したドープを乾燥させてセルロースアシレートフィルムを得るセルロースアシレートフィルムの乾燥工程における乾燥温度は5〜250℃、特に20〜180℃が好ましい。さらに残留溶媒を除去するために、30〜160℃で乾燥され、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることが好ましく用いられている。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。最終仕上がりフイルムの残留溶媒量は1.5質量%以下、好ましくは0.01〜1.0質量%であることが、寸度安定性が良好なフイルムを得る上で好ましい。なお本発明においては、剥離剤で更に剥離時間を短縮でき、かつ剥離時の抵抗が低くなることで、面状(剥離時の横方向のムラ、ゲル状ブツの剥げ残りに起因するブツなど)の悪化がないセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
具体的には、ドープの流延から剥ぎ取りまでの平均乾燥速度を、好ましくは300質量%/分を超え、かつ1000質量%/分以下とし、さらに好ましくは400質量%/分を超え、かつ900質量%/分以下とし、もっとも好ましくは500質量%/分を超え、かつ800質量%/分以下とするのが望ましい。
平均乾燥速度が300質量%/分以下であると、高速でフィルムを剥ぎ取ることができず、結果的に生産性が悪くなる場合があり、また、1000質量%/分を超えると、乾燥風による風ムラが発生し、フィルムの平面性及び表面の形状にムラが生じる場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
平均乾燥速度とは、流延ドープの溶剤含有量の変化量を時間で割った値である。
平均乾燥速度を調整するには、乾燥風の温度、風量、溶剤ガスの濃度、流延支持体の表面温度、流延するドープの温度、流延するドープのウェット厚み、流延するドープの溶剤組成等を適宜調整することにより行うことができる。
(剥離工程)
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。金属支持体上でのウェブの乾燥が条件の強弱、金属支持体の長さ等により剥離残留溶媒量を決められる。
該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましい。更には10〜120質量%とすることが好ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易くなってしまう。
本発明においては、剥離残留溶媒量は下記の式で表わすことが出来る。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
支持体から剥離後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフイルムは巾方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフイルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程或いは一部の工程を幅方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)が好ましい。
(乾燥及び延伸工程)
剥離後、一般には、ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。より好ましくは40〜180℃である。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
最終的には、仕上げのセルロースアシレートフィルムにおける残留溶剤量が、1.5質量%以下の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
(延伸処理工程)
流延工程では流延方向(縦方向)等の一方向のみの1軸延伸、或いは流延方向及び他の方向(横方向)の2軸延伸等が行われることが好ましい。
作製されたセルロースアシレートフィルムは、フィルムの機械的強度、更には光学特性(レターデーション値)を調整することができる。延伸倍率は、3乃至100%であることが好ましい。
下記(1)及び/又は(2)の延伸方法を採用した場合には、フィルムの平面性、膜の強度、光学特性等を所定の範囲内に調整できる。
(1)3乃至40%、より好ましくは7乃至38%、さらに好ましくは15乃至35%の延伸倍率で幅方向に延伸する。これに引き続き、長手方向に0.4%以上5%以下、より好ましくは0.7%以上4%以下、さらに好ましくは1%以上3.5%以下膨張させながら20〜160℃で処理する。
(2)延伸中に表裏に温度差を付与する。流延時に基板(バンドあるいはドラム)に接触していた面の温度を、その反対面より2℃以上20℃以下、より好ましくは3℃以上15℃以下、より好ましくは4℃以上12℃以下高くする。
このような方法により、延伸工程でのフィルム内に添加した添加剤(可塑剤、超微粒子、紫外線吸収剤等)の偏在化が解消されることで、得られてフィルムの光学特性が均質化されるとともに機械的特性が向上する。
さらにドープは、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延してもよい。
上述のように、本発明においては、上記支持体が、セルロースアシレートフイルムであって、該セルロースアシレートフイルムが、セルロースアシレートを実質的に非塩素系の溶剤に溶解してセルロースアシレート溶液を調製する溶液調製工程、セルロースアシレート溶液からセルロースアシレートフイルムを製膜する製膜工程、及び、セルロースアシレートフイルムを延伸する延伸工程により製造されたフィルムであるのが、好ましい。
セルロースアシレートフイルムの膜厚変動幅を±3%以内とするには、(1)該セルロースアシレートフィルムを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を流延する際の濃度及び粘度を調節する、(2)乾燥工程において膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節することが有効である。
[セルロースアシレートフィルムの特性(表面形状)]
そして、本発明の反射防止フィルムは、支持体として用いるセルロースアシレートフィルムが特定の表面形状を有するのが好ましい。以下、セルロースアシレートフィルムの表面形状について説明する。
前記セルロースアシレートフィルムの反射防止層を設ける側の表面は、JIS B0601−1994に基づくフィルムの表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であり、好ましくは算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.08μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.1μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であり、更に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.0002〜0.015μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002 〜0.05μm、且つ最大高さ(Ry)が0.05μm以下であり、特に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.010μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.025μm、且つ最大高さ(Ry)が0.04μm以下である。
上記の範囲内において、塗布ムラの無い均一な塗布面状で、且つ支持体と塗布膜の密着性が良好な反射防止層が設けられる。
更には、微細な表面凹凸形態において、算術平均粗さ(Ra)と十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上であるのが好ましく、且つJISB0601−1994に基づくフィルム表面凹凸の平均間隔(Sm)が 5μm以下であることが好ましい。ここで、RaとRzの関係は表面の凹凸の均一性を示すものである。さらに好ましくは、(Ra/Rz)比が0.15以上、特に好ましくは0.17以上、平均間隔(Sm)が0.001〜1μmである。
表面の凹と凸の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により評価することが出来る。
また、上記セルロースアシレートフィルムにおける視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数は、1m2当たり1個以下であるのが、均一で鮮明なフィルムを得率よく生産できる等の点から好ましい。
この光学的な欠陥は、偏光顕微鏡を用い、クロスニコル下でフィルムの遅相軸を偏光子の吸収軸と平行にして観察することができる。輝点として見える欠点を円形に面積近似し、その直径が100μm以上のものを数える。100μm以上の輝点は、肉眼で容易に観測できる。
すなわち、上記セルロースアシレートフィルムは、その表面が、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び表面凹凸の平均間隔(Sm)が5μm以下であり、且つ視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であるのが好ましい。
(他方の表面形状)
また、上記支持体の反射防止層側と反対側の表面の算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が、反射防止層側表面の算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)の3倍以下であることが好ましい。更に好ましくは1〜2倍であり、特に好ましくは1〜1.5倍である。このような範囲において、フィルムの透明性、ロール形態での耐接着性等が良好となる。
[フィルムの光学的特性]
上記セルロースアシレートフィルムは、450〜650nmの波長領域における光透過率が90%以上、ヘイズが1%以下であることが好ましい。より好ましくは、光透過率が92%以上、ヘイズが0〜0.5%であることが好ましい。
ヘイズ値は、JIS−K−7105に準じヘ−ズメーター(例えば、日本電色工業(株)製MODEL 1001DP、村上色彩技術研究所製HR−100等)を用いて測定できる。
セルロースアシレートフィルムの屈折率は1.45〜1.51の範囲が好ましい。
[フィルムの力学特性]
(引裂き強度)
上記セルロースアシレートフィルムは、そのJISK7128−2:1998の引裂き試験方法(エルメンドルフ引裂き法)に基づく引裂き強度が、2g以上であるのが、前記の膜厚においても膜の強度が充分に保持できる点で好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更に好ましくは6〜25gである。また60μm換算では、8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。
具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
(引掻き強度)
また、引掻き強度は2g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は、円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明に用いる支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。該残留溶剤量が0.01〜1.0質量%であることがより好ましい。
これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時に残留溶剤量を少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
具体的には、セルロースアシレートフイルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
[フィルムの透湿度及び含水量]
本発明に用いるセルロースアシレートフイルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208、B条件(温度40℃、湿度90%RH)において、2〜150g/m2・24hである。10〜120g/m2・24hであることがより好ましく、10〜100g/m2・24hであることが特に好ましい。150g/m2・24h以下とすることにより、光学補償フィルムや偏光板の保護フィルムとして液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすことがなく、また、2g/m2・24h以上とすることにより、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフイルムにより接着剤の乾燥が妨げられることがなく、接着不良を生じることがなくなる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)p.285−294:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
セルロースアシレートフイルムの含水量は、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、30℃85%RH下で0.3〜12g/m2であることが好ましい。0.5〜5g/m2であることがより好ましい。12g/m2より大きいとレターデーションの湿度変化による依存性も大きくなりすぎてしまい好ましくない。
<反射防止フィルム>
本発明の反射防止フィルムは、上記のセルロースアシレートフィルムの支持体上に光拡散層及び該支持体より低屈折率の低屈折率層を少なくとも順次積層して成る反射防止層を設けてなることを特徴とする。
更に本発明の反射防止フィルムは、波長380nm〜680nmにおける平均反射率が2.5%以下であり、ヘイズが10〜40%であることが好ましい。より好ましくは、平均反射率が1.8%以下、ヘイズが10〜35%である。
反射防止フィルムの光学特性をこのような範囲に特定することで、画面が白っぽく見えたり画像表示のボケを生じたりすることのない画像鮮明性と、視角変化による、コントラスト低下および色相変化等が充分に抑えられた、外光の写り込みや画面のギラツキの無い、反射防止性に優れた、画像表示品位が良好なものとすることができる。
平均反射率は380〜780nmの波長領域において、入射角5度における出射角−5度の鏡面反射率を分光光度測定装置で測定し、450〜650nmの平均反射率を算出する。5度入射における鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した光に対する法線方向−5度で反射した光の強度の割合であり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。
[光拡散層]
本発明における光拡散層は、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなり、該透光性粒子と該透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、該透光性粒子が光拡散層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層からなることを特徴とする。
(透光性粒子)
本発明の透光性粒子は平均粒子径が0.5〜5.0μmの単分散性粒子であり、好ましくは1.5〜3.5μmである。透光性粒子は、有機化合物の粒子であっても無機化合物の粒子であっても良い。平均粒子径が0.5μm未満であると、光拡散層中に用いる該粒子の使用量を非常に大きくしないと光拡散効果が得られず、そのために該層の膜強度が低下してしまう。5.0μmを超えると、光拡散層の表面形状が粗くなりヘイズが低下してしまう。
粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなりヘイズ価の設計が容易となる。
透光性粒子としては、透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものであれば特に限定されない。例えば、有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が挙げられる。
無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が挙げられる。
透光性粒子と透光性樹脂との間の屈折率差は0.02〜0.20であり、0.04〜0.10であることが特に好ましい。その差が0.20を超えると、フィルムが白濁し、0.02未満であると十分な光拡散効果をえることができない。透光性粒子の透光性樹脂に対する添加量も屈折率同様、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、透光性粒子の含有量は、光拡散層全固形分中3〜30質量%であり、5〜20質量%であることが特に好ましい。
透光性粒子としては、異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。2種類以上の透光性粒子を用いる場合には、複数種類の粒子の混合による屈折率制御を効果的に発揮するために、最も屈折率の高い透光性粒子と最も屈折率の低い透光性粒子との間の屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。またより大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与する透光性粒子より小さな粒子径で、透光性樹脂の屈折率と異なる透光性粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記のような透光性粒子を添加する場合には、透光性樹脂中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、光拡散層の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して光拡散層の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
<透光性樹脂>
前記光拡散層を形成する透光性樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、(1)電離放射線硬化型樹脂、(2)電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、(3)熱硬化型樹脂の3種類が好適に使用される。
また、光拡散層の厚さは、通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに2μm〜10μmが好ましい。
透光性樹脂の屈折率は、好ましくは1.51〜2.00であり、より好ましくは1.51〜1.90であり、更に好ましくは1.51〜1.85であり、特に好ましくは1.51〜1.80である。なお、透光性樹脂の屈折率は、透光性粒子を含まずに測定した値である。
(1)電離放射線硬化型樹脂としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能性化合物の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)などのモノマー、オリゴマー又はプレポリマー等が挙げられる。これらの化合物は単独でも2種類以上を併用しても良い。
上記の多官能性化合物としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィンなどを混合して使用することができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
(2)電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤とを混合したものは、上記電離放射線硬化型樹脂100質量部に熱可塑性樹脂3〜100質量部及び溶剤3〜500質量部を混合したもの挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、セノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
具体的には、上記熱可塑性樹脂としては、通常用いられるもののいずれも使用してよいが、支持体として用いるセルロースアシレートフィルムに対しての密着性の観点から、また塗膜を形成した際の透明性の観点から、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が好ましい。
また、上記溶剤としては、後述する光拡散層形成用組成物で用いられる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
(3)熱硬化型樹脂としては、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
熱硬化型樹脂には、必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物(硬化剤、硬化促進剤)を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載の化合物が挙げられる。これらの硬化剤は用いる熱硬化型樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部用いることが好ましい。
透光性樹脂には、更に、高屈折率を有するモノマーおよび/または高屈折率を有する金属酸化物超微粒子等を添加混合することができる。
高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。
高屈折率を有する金属酸化物超微粒子は、屈折率が1.70〜2.80、一次粒子の平均粒径が3〜150nmのものが好ましい。屈折率が1.70未満の粒子では、皮膜の屈折率を高める効果が小さく、屈折率が2.80を越える粒子は着色している場合があるため好ましくない。また、一次粒子の平均粒径が150nmを越える粒子では光拡散層を形成したときのヘイズ値が高くなり、光拡散層の透明性を損なう場合があり、3nm未満では高い屈折率の保持の点で好ましくない。本発明で、より好ましい金属酸化物超微粒子は屈折率が1.80〜2.80で、一次粒子の平均粒径が3〜100nmの粒子であり、更に好ましくは屈折率が1.80〜2.80で、一次粒子の平均粒径が5〜80nmの粒子である。
好ましい高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としては、Ti、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn,La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物或は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分をさす。本発明で好ましいのはTi、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。本発明で使用される金属酸化物超微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。
具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これらの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。
上記金属酸化物超微粒子は、表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物及び/又は有機化合物を用いて該粒子表面の改質を実施し、金属酸化物超微粒子表面の濡れ性を調整し有機溶媒中での微粒子化、光拡散層形成用組成物中での分散性や分散安定性を向上する。粒子表面に物理化学的な吸着させる無機化合物としては、例えば、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、コバルトを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例としては、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤が挙げられる。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該金属酸化物超微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。
金属酸化物超微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げられる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば特開2002−9908号公報同2001−310423号公報明細書中の段落番号「0011」〜「0015」記載の化合物等が挙げられる。
高屈折率を有するモノマーおよび/または金属酸化物超微粒子の添加量は、透光性樹脂100質量部に対して10〜90質量部が好ましく、20〜80質量部が更に好ましい。
また前記光拡散層は、界面結合剤として、下記一般式[A]で表される(メタ)アクリロイル基含有オルガノシランを含有することが好ましい。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
式中、R10は(メタ)アクリロイル基を含む、脂肪族基もしくはアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。
脂肪族基としては、好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜30の脂肪族基、具体的には、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のものである。
アリール基としては好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数6〜14のアリール基、具体的にはフェニル、ナフチル、アントラニル等の基が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
上記の脂肪族基もしくはアリール基は、(メタ)アクリロイル基以外の他の置換基を有してもよい。特に制限はないが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、アミド基、アルカンスルホニル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
前記のアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基もしくはアリール基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
Xで表される加水分解可能な基としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OR9基、OCOR9基を表す。但し、R9は置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を表す。好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
界面結合剤の添加により本発明の反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させることができ好ましい。界面結合剤として具体的には、例えばKBM−5103およびKBM−503(共に信越化学工業製)等の市販品が好ましい化合物として挙げられる。
界面結合剤の添加量は、光拡散層形成用組成物全固形分100質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
更に、前記光拡散層に界面活性剤を添加すると本発明の反射防止フィルムの面状均一性を向上させることができ好ましい。界面活性剤としては、例えば炭素数6〜12のパーフルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート共重合体、炭素数6〜12のパーフルオロビニルエーテル共重合体等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、光拡散層形成用組成物全固形分100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
次に、上記支持体上に光拡散層を形成する過程について説明する。
本発明において、光拡散層は、上述の透明性樹脂、透明性粒子及び必要に応じて用いられる各種添加剤を塗布溶媒に溶解・分散してなる光拡散層形成用組成物を上記支持体上に塗布・乾燥して形成される。
塗布溶媒は、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独での2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが挙げられる。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられる。
光拡散層は、上記支持体上に上記光拡散層形成用組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し該第1の透光性粒子及び第2の透光性粒子による透光性樹脂表面の凹凸形状が充分に形成されるまで放置、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。
特に、マイクログラビアコート法による塗布方法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至含フッ素ポリマーを含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
更には、塗布された組成物に光照射を行い、透光性樹脂を硬化させることが、迅速硬化することから好ましい。又、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。乾燥は室温付近の低温で送風乾燥してもよく、加熱して乾燥してもよい。加熱する場合の温度は、40〜180℃であり、80〜150℃が好ましい。乾燥時間は0.5〜60分が好ましい。
光照射の光源は電子線、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよい。例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50 〜1000KeV 、好ましくは100 〜300KeV のエネルギーを有する電子線等が挙げられ、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
ここで、図1に本発明において好ましい実施形態としての光拡散層を示して説明する。
図1は、本発明の反射防止フィルムの好ましい1実施例を示す拡大断面図である。
図1に示す反射防止フィルム10は、支持体12と、支持体12上に形成された光拡散層18と、光拡散層18上に形成された低屈折率層19とからなる。そして、光拡散層18は、透光性樹脂14中に2種類の異なる透光性粒子16,46が分散されてなる。
このようにすると、第1の透光性粒子及び第2の透光性粒子による凹凸が形成された光拡散層とすることができる。
なお、図1では、透光性粒子により凹凸が形成されたものを示したが、凹凸が形成されない光拡散層の表面に賦型加工或いは鏡面加工を施して表面凹凸を形成しても良い。
<低屈折率層>
低屈折率層は、反射防止性を付与する目的で、支持体上に光拡散層を設けた側の最外層に設けられる。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.31〜1.48である。低屈折率層の屈折率は、上記支持体の屈折率よりも低く作製する。
低屈折率層の屈折率は、下記数式(III)を満すことが好ましい。
数式(III)
(mλ/4)×0.7<n1d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数(一般に1)であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、450〜650(nm)の範囲の値である。
なお、上記数式(III)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(III)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層を設置する方法としては、従来公知のいずれの方法でもよいが、蒸着、スパッタ、CVDおよび塗布による方法が好ましく用いられる。塗布法にはゾル−ゲル法、および下記に示す硬化法があげられる。
本発明の低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適宜適用できる。すなわち、含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、本発明における低屈折率層は、熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成された硬化した含フッ素樹脂により構成されているのが好ましい。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が低屈折率層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、同2001−40284号号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]等の記載の化合物等が挙げられる。
そして、本発明においては、上記低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造を有し、屈折率が1.17〜1.40である無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、及び硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であるのが好ましい。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
また、上記の硬化性組成物が、更に、ラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物及び重合開始剤を含有するのが好ましい。
更に、上記硬化性組成物が、平均粒径1〜100nmのSiの酸化物超微粒子を含有するのが好ましい。
以下、上記硬化性組成物について説明する。
「含フッ素ポリマー」
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性若しくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、それ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。すなわち、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体、すなわち、架橋性もしくは重合性の官能基である硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーが好ましく、さらにその他のモノマーが共重合された含フッ素ポリマーを用いてもよい。
架橋性若しくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでも良い。
架橋性の官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有する化合物は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
重合性の官能基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基が挙げられる。
好ましくは、ラジカル重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等)が挙げられる。
其の他の繰り返し構造単位としては、溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分により形成される繰り返し構造単位が好ましく、このような構造単位をポリマー全体中50質量%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることが好ましい。
シリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製等)等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋又は重合反応は、最外層を形成するための硬化性組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
この際、重合開始剤、増感剤等として、前記光拡散層用のものと同様のものが用いられる。
共重合してもよいその他のモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
又、低屈折率層としては、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化して形成されるゾルゲル硬化膜も好ましく用いられる。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
併用する触媒としては、従来公知の化合物が挙げられ、上記文献中に記載のものが好ましく挙げられる。
本発明で特に有用な硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体が挙げられる。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる共重合体の好ましい態様として前記一般式1で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005156642
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、*−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。但し、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい態様として下記一般式2で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005156642
一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが挙げられる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。但し、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005156642
Figure 2005156642
Figure 2005156642
Figure 2005156642
Figure 2005156642
本発明に好ましく用いられる共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている方法が挙げられる。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
「無機微粒子」
上記硬化性組成物に用いられる無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の低屈折率化合物からなる粒子が好ましい。特に好ましくは二酸化珪素(シリカ)粒子である。無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmである。無機微粒子は、より微細に分散されていることが好ましい。
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。
特に、低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましく、中空の無機微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(IV)で表される空隙率w(%)は以下の通り計算される。
数式(IV)
w=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
該低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にあることが好ましい。より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなうことができる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(「小サイズ粒径の無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径の無機微粒子(「大サイズ粒径の無機微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子は、大サイズ粒径の無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径の無機微粒子の保持剤として寄与することができ、好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは硬化性組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として硬化性組成物溶液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物について説明する。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
前記一般式〔A〕において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
αは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式〔A〕で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式4で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 2005156642
前記一般式4において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*-COO-**、*-CONH-**又は*-O-**を表し、単結合、*-COO-**および*-CONH-**が好ましく、単結合および*-COO-**が更に好ましく、*-COO-**が特に好ましい。*は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式〔A〕と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式〔A〕と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式〔A〕、一般式4の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式〔A〕、一般式4で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2005156642
Figure 2005156642
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。中でも、無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
多官能重合性化合物としては、多官能モノマーや多官能オリゴマーが挙げられ、これらが有する官能基としては、ラジカル重合性、カチオン重合性から選ばれる何れの官能基でもよい。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマー例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、アルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)、例えば、特開2001−139663号公報明細書段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルは、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号等))、更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
これらラジカル重合性の多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
次に、カチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」または「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。該化合物の分子量は3000以下であり、好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。上記エポキシ化合物としては脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチルエポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号明細書中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕記載の化合物、特開平10−158385号明細書中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の多官能性化合物は、上記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号明細書中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕記載の化合物、特開2000−191737号明細書中の段落番号〔0015〕記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらの限定されるものではない。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
上記多官能重合性化合物の配合量は、前記含フッ素ポリマー100質量部に対して、0.1〜50質量部とするのが好ましい。
上記硬化性組成物に用いることができる重合開始剤としては、前記光拡散層で記載の重合開始剤と同様のものなどが挙げられる。上記重合開始剤の配合量は、前記多官能性化合物100質量部に対して、0.5〜20質量部とするのが好ましい。
又、本発明の低屈折率層は、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164b、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく、用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されない。
又、低屈折率層は、ミクロボイドを内包してもよい。具体的には、例えば特開平9−222502号公報、同9−288201、同11−6902号公報等に記載の内容が挙げられる。
また、本発明においては、有機微粒子を用いることもでき、該有機微粒子としては、例えば、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の化合物等があげられ、その形状は、上述の無機微粒子と同じである。
低屈折率層の厚さは0.03〜0.2μmが好ましく、0.05〜0.15μmがより好ましい。
本発明の低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下であることが好ましい。更に好ましくは15〜25.8mN/mである。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
本発明の低屈折率層が、含フッ素化合物を含有する熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物を含有する含フッ素硬化樹脂膜であることにより発現される。
特に、最外層となる低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることで膜表面全体がムラ無く安定した特性を示す。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を偏光板保護膜面上に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出出来る。
又、最表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
又、低屈折率層表面の動摩擦係数は、0.25以下であることが好ましく、0.05〜0.25であることがより好ましい。更に好ましくは0.03〜0.15である。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K6902に従うテーバー試験での摩耗量は小さいほど好ましい。
<反射防止フィルムの他の層>
さらに、本発明の反射防止フィルムは透明帯電防止層、ハードコート層、プライマー層、電磁遮蔽層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
[透明帯電防止層]
本発明においては、上記支持体と上記光拡散層との間に導電性材料を含有する透明帯電防止層を有するのがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。なお、液晶モードがIPSモード、VAモードの表示装置に設ける視認側の偏光板の外側表面エネルギーに対する保護には、透明帯電防止層として導電層を設けることが好ましい。
透明帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、導電性高分子の硬化膜を形成する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。透明帯電防止層は、基材フイルムに直接又は基材フィルムとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、透明帯電防止層を反射防止フィルムの一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。塗工方法は、特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。
透明帯電防止層としては、従来公知の帯電防止層を適宜調整して用いることができる。透明帯電防止層としては、例えば、(株)東レリサーチセンンター調査部門編集「透明導電膜の現状と展望」((株)東レリサーチセンンター、1997年刊行)、豊田 豊監修「透明導電膜の新展開」((株)シーエムシー、1999年刊行)等に記載の内容が挙げられる。
透明帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。
また、透明帯電防止層の表面抵抗は、2×1012Ω/□以下であるのが好ましく、105〜1012Ω/□であることがより好ましく、105〜109Ω/□であることがさらに好ましく、105〜108Ω/□であることが最も好ましい。透明帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
透明帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、透明帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の透明帯電防止層は、強度が優れており、具体的な透明帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
透明帯電防止層は、導電性無機微粒子を含有してなる硬化性樹脂層であるのが好ましい。
(透明帯電防止層の導電性無機微粒子)
上記導電性無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gである。
導電性無機微粒子としては、例えば、「透明導電膜の現状と展望」第3章〜第4章、技術情報協会編集「導電性フィラーの開発と応用」(技術情報協会、1997年刊行)等に記載の無機化合物が挙げられる。
例えば、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが挙げられる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機微粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が挙げられる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
透明帯電防止層に用いる導電性無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、3〜100nmであることがより好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される透明帯電防止層中の導電性無機微粒子の平均粒径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機微粒子の平均粒径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機微粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナおよびシリカが挙げられる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。二種類以上の導電性無機微粒子を帯電防止層内で併用してもよい。
透明帯電防止層中の導電性無機微粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
(透明帯電防止層のバインダー)
透明帯電防止層は、架橋しているポリマーをバインダー、すなわち硬化性樹脂として用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有することが好ましい。アニオン性基は、導電性無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、透明帯電防止層を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例としては、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が挙げられる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
これらのポリマーの主鎖は、従来公知のいずれの方法によっても得ることができる。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなり、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合しており、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合しており、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有し、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させてもよい。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)し、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、好ましい。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位は、アミノ基または四級アンモニウム基を、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させて得ることができる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
上記バインダーに対して、例えば特開2003−39586号公報に記載の下記の反応性有機珪素化合物(1)〜(3)を併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、バインダーと反応性有機珪素化合物の合計量全体中に10〜100質量%の範囲で使用される。特に下記の(3)の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分として透明帯電防止層を形成することが可能である。
(1)珪素アルコキシド
11 pSi(OR12qで表せる化合物であり、ここでR11、R12は炭素数1〜10のアルキル基を表し、p及びqはそれぞれp+q=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(2)シランカップリング剤
例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(3)電離放射線硬化性珪素化合物
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
(透明帯電防止層の表面の形状)
本発明で設けられる透明帯電防止層の表面が、光学的に影響を与えない大きさの微細な表面凹凸形態を形成し、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.03μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.06μm以下であるのが好ましく、且つ最大高さ(Ry)が 0.09μm以下であるのが好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.03μmで、十点平均粗さ(Rz)が 0.001〜0.06μmの範囲であることがより好ましい。更に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.015μmで、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.05μmの範囲であり、且つ最大高さ(Ry)が0.05μm以下である。特に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.010μmで、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.025μmの範囲であり、且つ最大高さ(Ry)が0.04μm以下である。
更には、上記の光学的に影響を与えない大きさの微細な表面凹凸形態において、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.15以上、且つJISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の平均間隔(Sm)が0.002〜1μmであることが好ましい。ここで、RaとRzの関係は表面の凹凸の均一性を示すものである。好ましくは、(Ra/Rz)比が0.17以上、平均間隔(Sm)が0.01〜0.8μmである。
表面の凹凸形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
透明帯電防止層表面全体の表面凹凸の形状と分布を特定の範囲とすることで、長尺フィルムに連続して上層を設けた時にでも膜全面がムラなく均一にアンカリング効果が十分に行われて密着が保たれる。又、長期間を保存した後でも密着性が変化無く保持される。
本発明の導電性硬化膜上に塗設した上層(光拡散層)との密着性は、JISK−6902に基づくテーバー磨耗試験における磨耗量が、50mg以下となる。具体的には、荷重1Kgで500回転後の磨耗量である。好ましくは40mg以下である。この範囲において、反射防止層としての耐擦傷性が十分に保持される。
[ハードコート層]
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理的強度を付与するために、支持体表面、特に、支持体と前記光拡散層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性化合物の硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましい。また、加水分解性官能基含有の有機金属化合物を用いることも好ましく、特に有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、光拡散層で例示したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
又、ハードコート層は、上記した導電性微粒子を含有し、導電性のハードコート層である態様も好ましい。
ハードコート層の厚さは、0.2〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<反射防止フィルムの特性>
[反射防止フィルムの表面形状]
本発明の反射防止フィルムの最表面は、JIS B 0601−1994に基づく該層の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.02〜1.0μm、表面凹凸の平均間隔(Sm)が 5〜80μmであり、かつ十点平均粗さ(Rz)と算術平均粗さ(Ra)の比(Ra/Rz)が0.1以上である凹凸形状を有することが、反射防止フィルムの全面において均一な反射防止性を有する等の点で好ましい。更には、表面凹凸の最大高さ(Ry)が2μm以下であることが、反射防止フィルムの透明性と防眩性を損なわない点で好ましい。更には凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下にあるのが好ましい。
好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05〜0.8μm、表面凹凸の平均間隔(Sm)が5〜70μmであり、(Ra)と(Rz)の比(Ra/Rz)が0.15以上、並びに最大高さ(Ry)が0.05〜1.5μm、傾斜角が0.25〜15度から成る。特に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.04〜0.5μmで、表面凹凸の平均間隔(Sm)が10〜70μmであり、(Ra)と(Rz)の比(Ra/Rz)が0.17以上、並びに最大高さ(Ry)が0.1〜1.0μm、傾斜角が0.25〜10度である。
ここで、RaとRzの関係は表面の凹凸の均一性を示すものである。
また、凹凸プロファイルの傾斜角は小さい方が好ましい。不規則な凹凸プロファイルの傾斜角は一義でなく分布をもって存在するが、小さい傾斜角の頻度が高くなると防眩性が得られず、大きい傾斜角の頻度が高くなると防眩フイルムが白味をおびてくることがある。
膜表面の凹と凸の形状は、(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型もしくは、(株)RYOKA SYSTEM社製の「マイクロマップ」機により評価することが出来る。
傾斜角度を測定する方法を図2を参照して詳細に述べる。図2に示すように、基材上の3点A、B、Cから鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わった点をA’、B’、C’とする。三角形A’B’C’面の法線D−D’が、基材から鉛直上向きに伸ばした垂線O−O’と為す角度θを傾斜角度とする。測定面積は基材上で0.25平方ミリメートル以上が好ましく、この面を基材上で三角形に分割して測定し、求めた傾斜角度を平均して表面の平均傾斜角度を求める。
測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えぱ対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.85平方ミクロン単位であり、測定範囲は0.48平方ミリである。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができる。これにより傾斜角度が10゜以上の割合を容易に求めることができる。
本発明において、傾斜角度が10゜以上の割合は2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。これにより、防眩性と黒色が黒色に見えることを両立できる。
(光学特性)
本発明の反射防止フィルムは、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値(すなわち平均反射率)が2.5%以下であり、1.8%以下が好ましく、より好ましくは1.4%以下である。
上記の5度入射における鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した光に対する法線方向−5度で反射した光の強度の割合であり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。防眩性機能をもつ反射防止フィルムとして適用する場合には、防眩性付与のために設けた表面凹凸に起因する散乱光の分だけ、法線方向−5度で反射した光の強度は弱くなる。従って、鏡面反射率は防眩性と反射防止性の両方の寄与を反映する測定法といえる。
反射防止フィルムの5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値が2.5%を越えると、背景の映り込みが気になり、表示装置の表面フィルムに適用したときの視認性が低下する為、好ましくない。
波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味が、CIE1976L***色空間のL*、a*、b*値がそれぞれ3≦L*≦20、−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内とすることで、従来の多層反射防止フィルムで問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L*≦10、0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa*>7では赤味が強く、a*<−7ではシアン味が強くなり、好ましくない。またb*<−7では青味が強く、b*>0では黄味が強くなり好ましくない。
本発明において、上記のL*、a*、及びb*の各値が表示画像の全面において一定であることが好ましく、特に各値の面内における変化率が15%未満であることが好ましい。更に好ましくは10%以下である。この範囲において、反射防止性能にムラのない視認性良好となる。
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価することができる。
これらは、セルロースアシレート支持体の膜厚の変動幅を上記内に抑制されたこと、該支持体自身の色味及びその変動幅が上記の範囲内に抑制されたこと、反射防止層塗設表面の凹凸形状を均一化されたフィルム表面に膜厚のムラを低減して反射防止層が形成されること等で、反射防止フィルムの膜厚ムラに起因する反射光の色味ムラが大幅に低減される。
更には反射光の色味がよりニュートラルであり、且つ耐候性に優れることを特徴とする。
反射光の色味は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めることができ、L***色度図上で中心点からの距離ΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。
又、本発明の反射防止フィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。
また、このような色味を有する場合に、耐光性試験前後における反射防止フィルムの波長380〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であるのが好ましい。
この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、表示画像の品位が良好と成り、好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、これらの光学特性及び膜の機械的特性が耐候性試験後も実質的に問題とならない範囲の変化に抑制されていることが特徴である。特に耐候性試験後に上記特性の変化が抑制されていることが特徴である。
本発明の耐候性試験とは、JISK5600−7−7:1999に基づく耐候性試験であり、サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)、湿度50%、処理時間150時間)による耐候性試験を意味する。
このようなニュートラルな色味の反射光を有し、且つ低反射率を有する反射防止フィルムは、低屈折率層の屈折率と光拡散層の透光性樹脂の屈折率のバランスを最適化することで得られる。
(導電性)
本発明の反射防止フィルムは、上記および後の液晶モードに関わらず以下のような導電性を有することが好ましい。
即ち、トリアセチルセルロース(TAC)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)のいずれかに対して常温常湿で測定した垂直剥離帯電が−200pc(ピコクーロン)/cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であることが好ましい。より好ましくは−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2でる。ここで、単位のpc(ピコクーロン)は、10-12クーロンである。
さらに好ましくは、常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2でるあり、最も好ましくは0pc/cm2である。
垂直剥離帯電の測定方法は以下の通りである。
測定サンプルはあらかじめ測定温度湿度の環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は測定サンプルを置く台と相手のフイルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドに帯電量を測定するエレクトロメーターがつながっている。測定する反射防止フイルムを台に乗せ、ヘッドにTACあるいはPETを装着する。測定部分を除電したのち、ヘッドを測定サンプルに圧着させ剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と5回目の剥離時の帯電の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電とする。
相手フイルムや測定サンプルの種類によってプラスに帯電する場合とマイナスに帯電する場合があるが、問題となるのは絶対値の大きさである。
また、一般的に低湿度の環境下の方が帯電の絶対値は大きくなる。本発明の反射防止フィルムはこの絶対値も小さいため、偏光板の保護フィルムとして好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、常温常湿及び常温10%RHでの垂直剥離帯電の絶対値を上記の範囲にすることにより、防塵性に優れ、好ましい。
垂直剥離帯電の値を上記の範囲とするには、反射防止フィルム表面の各種元素の割合を調節することによって行うことができる。
TN、OCB等の液晶モードの液晶表示装置の視認側の偏光板として、本発明の反射防止フィルムを用いる場合には、保護フィルムの表面抵抗値は、1×1011Ω/□以上とすることが好ましい。垂直剥離帯電の絶対値を小さくすることで防塵性を保持したまま、画像表示品位を低下させない。表面抵抗値の測定方法はJISに記載されている円電極法である。即ち、電圧印加後、1分後の電流値を読み、表面抵抗値(SR)を求める。
<反射防止フィルムにおける反射防止層の反対側の面について>
本発明の反射防止フィルムを、偏光板に用いる場合には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化して、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することが好ましい。
親水化の手法としては、(1)予め親水化処理した支持体の一方の面に上記の各層(例、光拡散層、低屈折率層、ハードコート層等)を塗設する手法、(2)支持体の一方の面に上記の各層(例、光拡散層、低屈折率層、ハードコート層等)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を親水化処理する手法、の2つが考えられるが、(1)は光拡散層を塗設するべき面まで親水化され、支持体と光拡散層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が好ましい。
[親水化処理]
支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ鹸化処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、前記の公技番号2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。
[鹸化処理]
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
(1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フイルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フイルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。好ましいアルカリ液の液温は20〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、支持体の光拡散層を有する主面と反対の主面が親水化される。 偏光膜の保護フィルムは、通常、支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、光拡散層を有する側とは反対側の支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に光拡散層を有する主面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がセルロースアシレートフィルムであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜45度となる。この範囲で、反射防止フィルムの受けるダメージに実害が無く、且つ偏光膜との接着性を保持でき、好ましい。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止フィルムへのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止フィルムを有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フイルム(偏光板用保護フイルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フイルムを有する。該反射防止フィルムは、光拡散層を有する側とは反対側の支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が20度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光膜の保護フイルムとして用いることにより、物理強度、耐候性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、前述の通り、上記の反射防止フイルムを用いる。他方の保護膜は、通常のセルロースアシレートフイルムを用いてもよい。
すなわち、本発明の偏光板は、(1)偏光膜の少なくとも一方の保護フィルムとして上述の本発明の反射防止フィルムを用いたもの、及び(2)偏光膜の一方の保護フィルムとして上述の本発明の反射防止フィルムを用い、もう一方の保護フィルムとして光学異方性のある光学補償フィルムを用いたものである。
液晶性化合物からなる光学異方性層を支持体上に設けてなる光学補償フィルムを偏光膜側に用いることが好ましい。反射防止フィルムと偏光膜、偏光膜と光学補償フィルムの積層に際しては周知の粘着剤、接着剤(例えばポリビニルアルコール系)を用いたり、その前に前述の鹸化処理等を行ってもよい。
偏光膜には、一般に、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルム(反射防止フィルムを含む。以下同じ)は、通常、水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。一般に保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
偏光板の透湿性は、保護フィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100乃至1000g/m2・24hrsである事が好ましく、300乃至700g/m2・24hrsである事が更に好ましい。
保護フィルムの厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整する事が出来る。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
保護フィルムの自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することが出来る。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
保護フィルムの親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることが出来る。
上記透湿性を独立に制御することにより、偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
[液晶化合物からなる光学異方性層のある光学補償フィルム]
上記光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態に関しては、IDW'00、FMC7−2、p.411〜414に記載されている。
[液晶性化合物]
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものがあげられる。
ディスコティック液晶の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック液晶は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物質が前記化合物である必要はなく、例えば、低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載のものが挙げられる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3乃至10μm)する場合がある。
[配向膜]
配向膜は、液晶分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常用いられるが、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例としては、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
これらの変性ポリビニルアルコール化合物及び架橋剤等の配向膜形成用組成物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報等に記載のもの等が挙げられる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。
配向膜は、支持体上又は配向膜の下塗り層を設ける方法が挙げられる。支持体上に直接設ける場合は、前記の表面親水化処理が挙げられる。
又、下塗り層としては、例えば特開平7−333433号公報記載の下塗り層、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容内容が挙げられる。
配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
[液晶化合物からなる光学異方性層を塗設する支持体]
該支持体は、高透過率なプラスティックフィルムであれば特に制限はないが、偏光板の保護フィルムであるセルロースアシレートを用いることが好ましい。
光学異方性層を塗設する支持体は、それ自身が光学的に重要な役割を果たすため、支持体のReレターデーション値を0〜200nm、そして、Rthレターデーション値が0〜400nmに調節される事が好ましい。
支持体のセルロースアシレートフィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの吸収極大を与える波長(λmax)が400nmより短波長にある紫外線を吸収する化合物をレターデーション調整剤として含有することが好ましい。このような化合物の例として、フェニルサリチル酸類、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収化合物を挙げることができる。又、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物(例えば特開2000−111914号公報等)、トリフェニレン化合物(例えば特開2000−275434号公報等)、棒状化合物(例えば特開2002−363343号公報、同2003−35821号公報等)円盤状化合物(1,3,5−トリアジン骨格、ポルフィリン骨格を分子に含有の化合物等:例えば特開2001−166144号公報等)等が好ましい。これらの化合物類は、可視光領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
なお、支持体フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00乃至0.002であることが好ましい。また、フイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001乃至0.04であることが好ましい。
レターデーション値(Re)は、下記数式(V)に従って算出する。
数式(V) レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率である。
数式(VI)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
数式(VI)は、フイルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。nyは、フイルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。nzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。dは、単位をnmとするフイルムの厚さである。
更には、光学補償フィルムに用いるセルロースアシレートフイルムは、その吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。
吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0 )の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下記の数式(VII)により算出する。
数式(VII)
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
セルロースアシレートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。
セルロースアシレートフイルムに添加する上記した添加剤或は種々の目的に応じて添加できる添加剤(例えば、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)及び赤外吸収剤等が挙げられる。)は、固体でもよく油状物でもよい。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらの詳細は、前記の公技番号 2001−1745号技法の16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されないが、ポリマーフィルム全組成物中、0.001〜25質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
光学補償フィルムに用いるセルロースアシレートフィルムの厚さは30〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましい。
<画像表示装置>
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止フィルムは、反射防止フィルムの支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
本発明の反射防止フィルム、及び、本発明の偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
又、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
すなわち、本発明の液晶表示装置は、上述の本発明の反射防止フィルム又は上述の本発明の偏光板を配置してなる。
以下に本発明を実施例及び比較例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
<支持体の作製>
(微粒子分散物(RL−1)の調整)
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.2mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径55nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−1)を調製した。
得られた微粒子分散物の粒度分布を測定したところ、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
ここで体積平均粒径は、『粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)』で測定した。
・微粒子分散物(RL−1)組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R812」(メチル基変性体、
一次粒径7nm:日本アエロジル(株)) 2.00質量部
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
2.00質量部
下記の分散剤(DP−1) 0.25質量部
メチレンクロライド 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2005156642
(セルロースアシレート溶液(A−1)の調整)
下記の組成からなる混合物を攪拌溶解して、セルロースアシレート溶液(A−1)を調整した。
・セルロースアシレート溶液(A−1)組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
89.3質量部
トリフェニルホスフェート(logP5.60 ) 7.1質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(logP7.28 ) 3.6質量部
下記のUV剤:UV−1 0.5質量部
下記のUV剤:UV−2 0.7質量部
下記のUV剤:UV−3 0.8質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2005156642
(ドープの調製)
セルロースアシレート溶液(A−1)474質量部に、微粒子分散物(RL−1)15.3質量部を攪拌しながら添加し、添加終了後充分に攪拌した後、更に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
(溶液流延方法)
上述のようにセルロースアシレート溶液を調製する工程を行い、得られたドープを、バンド流延機を用いて流延して、セルロースアシレート溶液からセルロースアシレートフィルムを製膜する工程を行った。
金属支持体(流延バンド)としては、ステンレススチールからなり、幅2m、長さ56m(面積112m2)からなるものを用いた。該金属支持体の算術平均粗さ(Ra)は0.006μmで、最大高さ(Ry)は0.06μmであり、また十点平均粗さ(Rz)は0.009μmであった。算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)の各測定は、JIS B 0601に規定によった。
流延されたドープは、流延直後の1秒間は風速0.5m/s以下で乾燥し、それ以降は風速15m/sで乾燥した。乾燥風の温度は50℃であった。
流延バンドから剥ぎ取った時のフィルムの残留溶剤量は230質量%であり、フィルムの温度は−6℃であった。流延から剥ぎ取りまでの間における平均乾燥速度は744質量%/分であった。また、剥ぎ取り時点でのドープのゲル化温度は約10℃であった。
金属支持体上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥風の温度を120℃とした。このときのフィルムの幅方向の温度分布は5℃以下であり、乾燥の平均風速は5m/s、伝熱係数の平均値は25kcal/m2・Hr・℃であり、フィルムの幅方向分布はいずれも5%以内であった。また乾燥ゾーン中におけるピンテンター担持部分は遮風装置により乾燥熱風が直接当らないようにした。
次に、セルロースアシレートフィルムを延伸する工程を行った。すなわち、残留溶剤量が15質量%のフイルムの状態で、130℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外して巻き取りを行った。剥ぎ取りより巻取りまでの間で蒸発した溶剤は初期の溶剤量の97質量%であった。乾燥したフィルムは、さらにローラーで搬送しつつ乾燥させる乾燥工程において145℃の乾燥風により乾燥した後、湿度、温度を調整して巻取り時の残留溶剤量0.35質量%、水分量0.8質量%で巻き取り、透明支持体としてのセルロースアシレートフィルム(CA1−1)(長さ3500m、幅1300mm、厚み80μm)を製造した。
[比較例1−1〜1−2]
(比較例1−1)
実施例1において、流延製膜での乾燥風の平均風速25m/分、温度60℃及び延伸条件を代えて下記表1のカール値となるようにして膜厚79μmのセルロースアシレートフィルム(CAR1−1)を作製した。
(比較例1−2)
実施例1において、微粒子分散物(RL−1)の分散において分散条件を代えて分散物中の分散粒子の平均粒子径が200nmの分散物を調整した。この時の分散物の500nm以上の粒子は20体積%であった。この分散物を用いた他は、実施例1と同様にして膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CAR1−2)を作製した。
Figure 2005156642
(膜厚変動幅)
変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を%表示した。
(フィルム表面の凹凸形状)
得られたセルロースアシレートフィルムCA1−1、及びCAR1−1〜CAR1−2の各試料のバンド側面の表面形状を測定した。その結果を表1に示す。又、以下の光学特性や力学的特性についても評価したその結果も併せて表1に示す。
(フィルムの光学特性)
・ヘイズ
ヘイズはヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。フイルム1サンプルにつき、5点を測定し、その平均値を採用した
(力学的特性の評価方法)
・カール
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985、Method−A)に従い測定した。ポリマーフイルムを、幅方向に35mm、長手方向に2mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後、幅カール値を読みとる。カール値は、曲率半径(m)の逆数で表す。
・引き裂き強度
フイルムを幅65mm×長さ50mmに切断してサンプルを作製する。このサンプルを温度30℃、相対湿度85%の室内で2時間以上調湿し、ISO6383/2−1983の規格に従い、東洋精機製作所製軽荷重引裂強度試験器を用いて、引き裂きに要する荷重(g)を求めた。
(フィルムの性状)
・光学的欠陥
1300mm幅のサンプル5mをクロスニコルに2枚に偏光板を配置して、この間に試料をおいて目視観察により輝度欠陥を評価した。大きさが100μm以上の輝点の数を計測し、1メートル当たりの換算値として表した。
<反射防止フィルムの作製>
(光拡散層(HKF−01)の作製)
光拡散層を構成する透光性樹脂は、紫外線硬化型樹脂(日本化薬製PETA、屈折率1.51)を50質量部とし、硬化開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー184 )を2質量部、第1の透光性微粒子としては、アクリル−スチレンビーズ(総研化学製、粒径3.5μm、屈折率1.55)を5質量部、第2の透光性微粒子としては、スチレンビーズ(総研化学製、粒径3.5μm、屈折率1.60)を5.2質量部、シランカップリング剤KBM−5103(信越化学工業製)を10質量部、下記のフッ素系ポリマー(f1)を0.03質量部、これらをトルエン50 質量部と混合して塗工液として調整したものを、上記のセルロースアシレートフィルム(CA1−1)をロール形態で巻き出してその上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散層(HKF−01)を作製した。
Figure 2005156642
JIS−K−7105に準じ村上色彩技術研究所製HR−100を用いて、HKF−01のヘイズ(曇価)を測定した。結果を表2に示す。
(反射防止フィルム(HK−01)の作製)
上記の光拡散層上に、下記硬化性組成物塗布液(LL−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、本発明の反射防止フィルム(HK−01)を作製した。
・硬化性組成物塗布液(LL−1)
下記構造の含フッ素ポリマー(FP−1)をメチルイソブチルケトンに30質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバガイギー社製)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液LL−1を調製した。
Figure 2005156642
[比較例1−1]〜[比較例1−2]
実施例1の反射防止フィルム(HK−01)において、セルロースアシレート支持体(CA1−1)の代わりに、比較用支持体(CAR1−1)〜(CAR1−2)を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム(HFR1)〜(HFR2)を各々作製した。
[比較例1−3]〜[比較例1−4]
実施例1の反射防止フィルム(HK−01)において、光拡散層全固形分中の透光性微粒子の配合比(質量比)を表2記載の様にそれぞれ代えて、反射防止フィルムのヘイズ値が表2のヘイズとなるように調整して、比較例1−3〜1−4の光拡散フィルム(HKFR1)〜(HKFR4)を作製し、これらを用いてそれぞれ反射防止フィルム(HFR3)(HFR4)を得た。
Figure 2005156642
(反射防止フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。(1)の結果を表2に、その他の結果を表3に示す。
(1)表面形状の評価
得られた各フィルム表面の形状は、JIS B 0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)、および表面凹凸の平均間隔(Sm)を(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型により評価した。但し、Ra、RzおよびRyは測定長4μm、Smの測定長は20μmとした。表面凹凸の均一性は、(Ra/Rz)の比により算出した。凹凸プロファイルの傾斜角度分布は、Surface Explore SX−520 システム(菱化システム(株)製、干渉顕微鏡(ニコン製 MM-40/60シリーズ 対物レンズ:二光束干渉対物レンズ、ハロゲンランプ使用、CCDカメラ:640×480))のマイクロマップソフトを用いて測定した値である。表面形状に関する物性を表2に示した。
(2)ヘイズ
得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。
ヘイズは上記の測定点の中央値とした。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて以下の内容で目視評価した。
○:n=5の評価において傷が全く認められない
△:n=5の評価において傷が1または2つ
×:n=5の評価において傷が3つ以上
(4)表面エネルギー
表面の耐汚染性(指紋付着性)の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、前記に記載の方法により測定した。反射防止フィルム(HK−01)を形成する低屈折率層用の硬化性組成物塗布液(LL−1)から形成されるフィルム表面の表面エネルギーは、25mN/mであった。
(5)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。反射防止フィルム(HK−01)を形成する低屈折率層用の硬化性組成物塗布液(LL−1)から形成されるフィルム表面の動摩擦係数は、0.12であった。
(6)密着性評価
反射防止フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。各反射防止フィルムの光拡散層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(7)スチルウール擦り耐性の評価
前記露光前後の反射防止フィルムにおいて、#0000のスチルウールに500g/cm2の荷重をかけ、60往復したときの傷の状態を観察して、以下の3段階で評価した。
A:傷が全く付かない。
B:少し傷が付くが見えにくい。
C:顕著に傷が付く。
(8)ゴミ付着防止性(防塵性)
測定フィルムを硝子板に貼り、除電した後、東レ(株)のトレシーを用いて往復10回擦り、その後微細な発泡スチロールの粉を擬似ゴミとし、フィルム全体にかけた後フィルムを立て、疑似ゴミの落下の様子を観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:擬似ゴミがほとんど全て落下する。
○:擬似ゴミが80%以上落下する。
△:擬似ゴミが50%以上落下する。
×:擬似ゴミが50%以上フィルム表面に残存している。
(9)反射防止性評価
(防眩性)
作成した反射防止フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(6500cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎:蛍光灯の輪郭が全くわからない
○:蛍光灯の輪郭がわずかにわかる
△:蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる
×:蛍光灯がほとんどぼけない
(ギラツキ評価)
作製した防眩性フィルムを、133ppi(133pixels/inch)に模したセル上、距離1mmの位置にフィルムを乗せ、ギラツキ(防眩性フィルムの表面凹凸が起因の輝度バラツキ)の程度を、以下の基準で目視評価した。
◎:全く〜ほとんどギラツキが見られない
○:わずかにギラツキがある
△:少しギラツキがある
×:ギラツキがはっきり認識できる
(鮮明性)
作製した反射防止フィルムを、フォント10の大きさのMS明朝文字の印刷物の上に重ねあわせて、正面から目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:文字のボケが見られない。
○:文字のボケが僅かにわかる
△:文字のボケが少しある。
×:文字のボケが著しい
(10)色味の均一性の評価
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。
各値は上記の測定点の中央値とし、変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を%表示し、下記の基準で評価した。
○:面内での変化率が10%以下となる
△:面内での変化率が10%以上から15%未満となる
×:面内での変化率が15%以上となる
(11)耐候性の評価
サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)、湿度50%)を用いて、露光時間200時間の各水準の耐候性試験を行った。
(反射率測定、反射光スペクトル)
耐候性試験前後の試料について、傾斜角5°の入射光の反射スペクトルを鏡面反射率の測定方法と同様にして測定し、更に波長380nm〜780nmの波長領域における反射率とCIE色度図反射光の色味を計算することにより、耐候性試験前後の平均反射率変化と色味変化を求め、下記の4段階評価を行った。
(反射光の色味変化ΔE)
◎:ΔEが5以下、
○:ΔEが5〜10、
△:ΔEが10〜15、
×:ΔEが15以上
Figure 2005156642
実施例1は塗布膜の密着性・擦り耐性が良好で反射防止フィルム最表面の防塵性が良好であった。又、反射防止性能(防眩性、ギラツキ感)が良好で且つ画像の鮮明性及び色味が均一でニュ−トラルに近くいものであった。更に、耐候試験後も性能に低下は見られなかった。
比較用の支持体からなる比較例1−1及び1−2は塗布膜の耐久性が低下し、反射防止性と鮮明性及び色味の均一性も低下した。
又、光拡散層全固形分中の透光性微粒子の配合比(質量比)が本発明の範囲外の比較例1−3は反射防止性に劣り、比較例1−4は画像鮮明性が低下した。
以上のように、本発明の反射防止フィルムは、反射防止膜の強度が充分なこと、フィルムの防塵性が良好なこと、反射防止性と画像鮮明性が共に良好となること、耐久性に優れることが見出された。
[実施例2]
<支持体の作製>
(微粒子分散物(RL−2)の調整)
下記の組成からなる微粒子分散物、微粒子化分散助剤及びビーズ径0.3mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径65nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−2)を調製した。
得られた分散物の分散粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定した。また、分散物の粒度分布を測定した(レーザー解析・散乱粒子径分布測定装置LA−920.堀場製作所製)結果、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
・微粒子分散物(RL−2)組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL972」メチル基変性体、
一次粒径16nm:日本アエロジル(株)) 2.20質量部
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/
プロピオネート比1/0.4)
2.00質量部
モノドデシルフォスフェート 0.22質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(微粒子化分散助剤)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08質量部
酢酸メチル 71.0質量部
メタノール 6.2質量部
アセトン 6.1質量部
エタノール 6.1質量部
1−ブタノール 6.1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のセルロースアシレート溶液(A−2)組成に示す成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
・セルロースアシレート溶液(A−2)組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/
プロピオネート比1/0.4) 100質量部
トリフェニルホスフェート 7.5質量部
下記構造の可塑剤(logP1.88 ) 4.2質量部
下記構造のUV剤:UV−4 1.0質量部
下記構造のUV剤:UV−5 1.0質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
─────────────────────────────────────
Figure 2005156642
セルロースアシレート溶液(A−2)464質量部に無機微粒子分散物(RL−2)14.8質量部を攪拌しながらを混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。これを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行った後、回転ドラム流延機を用いてドープを流延した。
ドラムはハードクロム鍍金を施しその表面は算術平均粗さ(Ra)が0.010μm、十点平均粗さ(Rz)は0.016μmとした、直径200mm、幅2500mmのものを用いた。
流延方法は実施例1記載のバンド流延と同様の条件で行った。ドラム面上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が50質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、残留溶剤量が40質量%のフィルムをテンターを用いて幅方向に17%延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。この後、130℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA−2)を、厚さ78μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。得られた長尺ロールのセルロースアシレートフィルム(CA−2)の膜厚変動幅は 2.8%で、カール値は0.5/mであり、フィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.003μm、
Rz:0.075μm、
Ry:0.084μm、
Sm:0.20μm
<反射防止フィルムの作製>
上記のセルロースアシレートフィルム(CA−2)上に、シントロン4456−S7(ATOを分散したハードコート剤(固形分45%):神東塗料(株)製 商品名)を塗工、乾燥後、紫外線を照射して硬化し、厚み1μmの導電性層を形成した。このフイルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であった。
尚、表面抵抗率は、試料を(25℃/65%RH)の条件下に1時間放置した後、同条件下で三菱化学製 抵抗率計MCP−HT260を用いて測定した。
この上に下記のようにして光拡散層(HKF−02)を作製した。
(光拡散層(HKF−02)の作製)
光拡散層を構成する透光性樹脂は、シリカ分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7404の無機微粒子および溶剤組成変更品、JSR(株)製、屈折率1.64)を100部、硬化開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー184)を6質量部、シランカップリング剤KBM−5103(信越化学工業製)を6質量部、前記のフッ素系ポリマー(f1)を0.04質量部、これらをエアディスパで攪拌しながら混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)溶液に溶解した後、塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
この溶液に透光性微粒子として、スチレンビーズ(綜研化学製、粒径3μm、屈折率1.61)を5質量部、およびスチレンビーズ(総研化学製、粒径5μm、屈折率1.61)を 5.3質量部、これらを混合してメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(3/7質量比)により固形分30%になるように調整したものを、上記の導電層を設けたセルロースアシレートフィルム上に、乾燥膜厚4.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ光拡散フィルム(HKF−02)を作製した。(HKF−02)のヘイズは、34%であった。
更に実施例1の反射防止フィルム作製と同様にして、下記内容の低屈折率層用塗布液(LL−2)を膜厚85nmとなるように塗布し、反射防止フィルム(HK−02)を作製した。
得られた反射防止フィルムの表面形状は、以下の通りであった。
Ra:0.20μm、
Rz:0.98μm、
Sm:60.5μm、
Ry:1.27μm
凹凸プロファイルに傾斜角:傾斜角15度以内のものが100%
・低屈折率層用塗布液(LL−2)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)130質量部、シリカゾル(シリカ、MEK−ST、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)5質量部、中空シリカ(CS60−IPA、平均粒径60nm、シェル層厚10nm、屈折率1.31、イソプロパノール20質量%分散液、触媒化成(株)製)15質量部、下記のゾル液a 6質量部、メチルエチルケトン50質量部、およびシクロヘキサノン60質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LL−2)を調製した。
(ゾル液a)
攪拌機、還流冷却機を備えた反応機、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製、KBM−5103)を100部、ジイソプロピルアルミニウムアセテート(ホープ試薬製、ケロープ)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600で、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。またガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(反射防止フィルムの特性)
反射防止フィルム(HK−02)について、実施例1と同様にして各性能を評価した。その結果を後記の表6に示す。
[実施例3]
<支持体の作製>
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記表4に示す組成のセルロースアセテート原液溶液(ドープ液)を調製した。溶解はミキシングタンクに原料を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解した。
Figure 2005156642
Figure 2005156642
得られた各ドープを50℃にて、絶対ろ過精度0.01mmのフィルター(東洋濾紙(株)製、#63)および絶対ろ過精度0.0025mmのフィルター(ポール社製、FH025)にてろ過した。
3層共流延ダイを用いて、ろ過したドープを内層用ドープが内側に外層用ドープが両外側になるように配置して実施例1と同様のバンド流延機を用いて重層流延した。ドープをゲル化させ、70℃で3分、120℃で5分乾燥した後にフイルムをバンドから剥離し、130℃で60秒間乾燥し、セルロースアセテートフイルムを製造した。内層厚み58μm、両外層厚みが6μmとなるようにドープ吐出量を調整して製膜した。
得られたフイルムを、テンターを用いて延伸倍率16%で横延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持し、長さ3000m、幅1.2mの巻きロール形態の透明支持体としてのセルロースアシレートフイルム(CA−3)を作製した。得られたロールフィルムの膜厚は80μmで、その変動幅は 2.1%であり、カール値は0.4/mであった。
フィルム表面の凹凸形状は、以下の通りであった。
Ra:0.003μm、
Rz:0.084μm、
Ry:0.124μm、
Sm:0.56μm
<反射防止フィルムの作製>
(透明帯電防止層を有する反射防止フィルム)
上記のセルロスアシレートフィルム(CA−3)上に、下記の透明帯電防止層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、120℃で10分間加熱して塗布層を硬化させ、厚さ2μmの透明帯電防止層を形成した。このフイルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であり、このフィルムのヘイズは2.5%、波長550nmでの透過率は92%であった。又、透明帯電防止層側のフィルム表面の凹凸形状は、以下の通りであった。
Ra:0.005μm、
Rz:0.014μm、
Ry:0.0.03μm、
Sm:0.18μm
(導電性無機微粒子分散物の調整)
ITO(錫含有酸化インジウム、比表面積:40m2 /g、粉体比抵抗:0.1Ω・cm、平均一次粒径20nm)20質量部、下記構造の分散剤6質量部、およびシクロヘキサノン74質量部を、粒径0.2mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した後に200メッシュのナイロン布でビーズを濾別した。得られた分散物の分散粒子の平均径は30nmで、100nm以上の粒子は0%であった。
Figure 2005156642
(透明帯電防止層用塗布液の調製)
エチルセルソルブ82質量部、テトラエトキシシラン22質量部、メチルトリエトキシシラン20質量部、およびγ−メタクロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン58質量部を加え、液温を5〜10℃に保ち、攪拌しながら0.01規定の塩酸37質量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、シリル化合物の部分加水分解物を得た。つぎに上記の導電性無機微粒子分散物224質量部を添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌した。この分散物にイルガキュア907(商品名)を固形分に対して5質量%、アルミニウムアセチルアセトネート2.6質量部、過塩素酸アンモニウム0.5質量部を加えて十分に攪拌した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して透明帯電防止層用塗布液を調製した。
(光拡散層(HKF−03)用塗布液の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)15質量部と、トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート(M−309、大阪有機化学工業(株)製)24質量部、下記のフッ素系ポリマー(f2)0.03質量部を混合し、更にメチルイソブチルケトン10質量部、メチルエチルケトン6質量部で希釈した。更に、重合開始剤イルガキュア184(チバファインケミカルズ(株))を2質量部添加し、混合攪拌した。 この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
さらにこの溶液に平均一次粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SXS−350H、綜研化学(株)製、屈折率1.61)の30質量%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を9質量部加え、次いで、平均一次粒径5μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SXS−500H、綜研化学(株)製、屈折率1.61)の30質量%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散した分散液を12質量部加えた。最後に、オルガノシランのゾル組成物aを1.2質量部を加えた。この混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散層(HKF−03)用の塗布液を調製した。
Figure 2005156642
上記のセルロースアシレートフィルム(CA−3)をロール形態で巻き出して、上記光拡散層(HKF−03)用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ4.3μmの光拡散層を形成した。
(2)低屈折率層の塗設
該光拡散層を塗設したセルロースアシレートフイルムを再び巻き出して、下記硬化性組成物塗布液(LL−3)を、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
・硬化性組成物塗布液(LL−3)
熱架橋性含フッ素ポリマー:JN−7228、15質量部、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学社製)1.4質量部、ゾル液a 0.4質量部、メチルエチルケトン3質量部、およびシクロヘキサノ0.6質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、硬化性組成物塗布液(LL−3)を調製した。
(反射防止フィルムの特性)
得られた反射防止フィルム(HK−03)のフィルム表面の形状は以下の通りであった。
Ra:0.18μm、
Rz:1.05μm、
Sm:60.5μm、
Ry:1.27μm
凹凸プロファイルに傾斜角:傾斜角15度以内が100%
次に、実施例1と同様にして各性能を評価した。その結果を表5に示す。
Figure 2005156642
実施例2及び3ともに、実施例1と同等の性能を示し良好であった。
[実施例4]
(偏光板用保護フィルムの作製)
実施例1,実施例2、および実施例3で作製した反射防止フィルムにおいて、本発明の反射防止層を有する側とは反対側の支持体の表面を、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、および288水質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液を塗布して鹸化処理した。
鹸化処理した支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用の保護フィルムとしての反射防止フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000g、ヨウ素7g、ヨウ化カリウム105gからなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に表6に示す組み合わせで、本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したセルロースサシレートフィルム面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム:TD−80UFを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
Figure 2005156642
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板(SHB−1〜SHB−3)を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、または、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。
[実施例5]
(偏光板の作製)
ディスコティック構造単位の円盤面が支持体面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルム A 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例4と同様の条件で鹸化処理した。
実施例4で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、表7に示す組み合わせで、反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したセルロースアシレートフィルム面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
Figure 2005156642
<液晶表示装置>
(TNモード液晶表示装置)
TNモードで20インチの液晶表示装置:TH−20TA3型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB−4)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。又、またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介して下記のバックライト側偏光板(BHB)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
バックライト側偏光板(BHB):実施例4と同様にして偏光膜を作製しこれを鹸化処理したセルロースアシレートフィルム:TD80UFにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。他の片面の偏光膜上に、上記の鹸化処理した光学補償フィルムを貼り合わせてバックライト側偏光板(BHB)を作製した。
(OCBモード液晶表示装置)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。作製したベンド配向セルを挟むように、偏光板(SHB−4)を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、セルの視認側に貼り付けた。またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB)を貼り付けた。視認側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードで22インチの液晶表示装置:TH22−LH10型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB−5)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。
(IPSモード液晶表示装置)
IPSモードで20インチの液晶表示装置:W20−lc3000型(日立製作所(株)製)に設けられている視認側の保護フィルムの代わりに本発明の偏光板(SHB−6)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、視認側に一枚貼り付けた。
<液晶表示装置の描画性能>
上記の各液晶表示装置について、以下の内容の画像描画性を評価した。その結果を表8に示す。
尚、対応する各比較例は、視認側偏光板の最表面側に本発明の反射防止フィルムを設けていない偏光板を付設したものを用いた。
(描画画像のムラ評価)
測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の描画ムラを目視で観察した。
○ :全く発生しない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
△ :弱く発生する(10人が評価し、1〜5人が認識するレベル)
× :強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
(外光の写り込み評価)
外光の映り込みの評価を蛍光灯を用いて行い、目視にて下記4段階評価を行った。
◎:映り込みの変化はあるが全く気にならない
○:映り込みの変化はあるが殆ど気にならない
△:映り込みの変化は気になるが、許容できる
×:映り込みの変化が気になる
(コントラスト、及び視野角)
液晶表示装置の液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べた。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
(色味変化)
(コントラスト、視野角)の評価方法と同様の装置を用いて、視野角が正面から60度の範囲内における
色調の変化の度合いを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
Figure 2005156642
TNモードの表示装置の実施例5−1は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例5−R1に比べて、外光写りこみの解消のみならず、上下のコントラスト、視野角、色味変化性が著しく向上して良好な視認性が得られた。
OCBモードの表示装置の実施例5−2は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例5−R2に比べて外光写りこみの解消のみならず、上下のコントラスト、色味変化性が著しく向上して良好な視認性が得られた。
VAモードの表示装置の実施例5−3は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例5−R3に比べて、外光写りこみの解消のみならず、斜め方向からのコントラストが実用上に問題の無い性能に達し、且つ色味変化性が解消されて視認性が向上した。
IPSモードの表示装置の実施例5−4は、本発明の偏光板保護フィルムの無い比較例5−R4に比べて、外光写りこみの解消のみならず、コントラストの黒表示時の漏れ光が実用上に問題の無い視認性に改善された。
以上のように、本発明の反射防止フィルムを設けた偏光板を付設の液晶表示装置は、描画画像の視認性が極めて良好となった。
[実施例6]
実施例1〜3の試料(反射防止フィルムHK−01〜HK−03)を、各々、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、いずれも視認性の高い表示装置が得られた。
[実施例7]
実施例4の各視認側偏光板(SHB−1〜SHB−3)を用いて、偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
図1は、本発明の反射防止フィルムの一実施形態を示す拡大断面図である。 傾斜角度の測定方法を示す模式図である。
符号の説明
10 反射防止フィルム
12 支持体
14 透光性樹脂
16 第1の透光性粒子
46 第2の透光性粒子
18 光拡散層
19 低屈折率層
A、B、C : 基材面に仮定した面積が0.5乃至2平方ミクロンである三角形の頂点
A’、B’、C’ : 3点A、B、Cから鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が防眩性反射防止フィルムの表面と交わった点
D−D’ : 三角形A’B’C’面の法線
O−O’ : 基材から鉛直上向きに伸ばした垂線
θ : 法線D’が、垂線O’と為す角度。傾斜角度。

Claims (17)

  1. 膜厚が30〜120μmのセルロースアシレートフィルムからなる支持体上に、光拡散層と該支持体より低屈折率の低屈折率層とを少なくとも順次積層して形成された反射防止層を設けて成る反射防止フィルムであって、
    該セルロースアシレートフィルムが、長さ100〜5000m及び幅0.7m以上の長尺品であって、その膜厚変動幅が±3%以内であり且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mであり、
    該光拡散層は、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなり、該透光性粒子と該透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、該透光性粒子が光拡散層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層からなることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 上記の透光性粒子は、少なくとも2種類以上の透光性粒子からなり且つ該透光性粒子のうち最も屈折率の高い粒子と最も屈折率の低い粒子との屈折率の差が0.02〜0.1であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 上記の反射防止層は、その最表面の、表面エネルギーが15〜25.8mN/mであり、且つ動摩擦係数が0.05〜0.25以下であることを特徴とする請求項1〜2に記載の反射防止フィルム。
  4. 上記のセルロースアシレートフィルムは、その表面がJISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び表面凹凸の平均間隔(Sm)が5μm以下であり、且つ視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 上記のセルロースアシレートフィルムが、下記式(1)及び(2)を同時に満足する範囲にあるセルロースアシレート、オクタノール・水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤、及び平均一次粒径3〜100nmの微粒子を各々少なくとも1種含有するセルロースアシレートフイルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
    式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
    式(2) : 0≦SA'≦3.0
    (式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
  6. 上記の反射防止フィルムが、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 上記の反射防止フィルムにおいて、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 上記の反射防止フィルムの最表面が、算術平均粗さRaが0.02〜1.0μm、凹凸の平均間隔Smが5乃至80μm、およびRa/十点平均粗さRzが0.1以上である凹凸形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載反射防止フィルム。
  9. 上記の反射防止フィルムの最表面が、凹凸の最大高さRyが2μm以下であり、かつ凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布していることを特徴とする請求項1〜8に記載の反射防止フィルム。
  10. 上記の反射防止フィルムが、上記支持体と上記光拡散層との間に導電性材料を含有する透明帯電防止層を有し、該透明帯電防止層の表面抵抗が2×1012Ω/□以下であり、且つ透明帯電防止層のヘイズが10%以下、並びに波長550nmの光の透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  11. 上記の透明帯電防止層が、3〜100nmの平均一次粒径を有する導電性無機微粒子を含有してなる硬化性樹脂層であって、その表面は、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.03μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.06μm以下であり、且つ最大高さ(Ry)が 0.09μm以下であることを特徴とする請求項10記載の反射防止フィルム。
  12. 上記の低屈折率層が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造を有し、屈折率が1.17〜1.40である無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、及び硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする請求項1〜11に記載の反射防止フィルム。
    一般式[A]
    (R10α−Si(X)4-α
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
  13. 上記の硬化性組成物が、更に、ラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物及び重合開始剤を含有することを特徴とする請求項12記載の反射防止フィルム。
  14. 上記硬化性組成物が、平均粒径1〜100nmのSiの酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項12又は13記載の反射防止フィルム。
  15. 偏光膜の少なくとも一方の保護フィルムが請求項1〜14のいずれかに記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
  16. 偏光膜の一方の保護フィルムとして請求項1〜14のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光膜のもう一方の保護フィルムとして光学異方性のある光学補償フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  17. 請求項1〜14のいずれかに記載の反射防止フィルム、或は請求項15または16記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
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