JP2005227472A - 偏光板、液晶表示素子、及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

偏光板、液晶表示素子、及びそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大画面の液晶表示装置でも表示画像が明るくて鮮明であり、耐久性が良好な液晶表示素子を提供すること、及び耐久性に優れた薄くて軽量化された液晶表示素子を提供すること、さらには、耐久性良好な表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】液晶セルの上側と下側に偏光板を配置し、偏光板は偏光素子の上側と下側に保護フィルムを配置し、下側の偏光板に輝度向上フィルムが付設された液晶表示素子において、上側偏光板の上側保護フィルムが、透明支持体と、低屈折率層を有する反射防止膜とを具備し、上記低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする液晶表示素子及びそれを用いた液晶表示装置。

Description

本発明は、偏光板を用いた液晶表示素子、及びこれらを用いた液晶表示装置に関し、更に詳細には、表示画像の画像鮮明性が良好で視認性に優れ、且つ高い輝度を達成しうる液晶表示素子、並びに液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)における液晶パネルには、その画像形成方式から液晶パネルの最表面を形成するガラス基板に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光板が液晶パネルの液晶セル表面に貼着されている。
液晶セルは、通常、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基盤および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いにより様々な表示モードが提案されており、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)等、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)等が提案されている。
LCDは、薄型・軽量・低消費電力の特徴を生かして、高度情報・通信時代に必須のフラットパネルディスプレイとして多用され、その用途を年々拡大している。特に、モニターやテレビなどの大型LCD化の伸びが顕著となっている。このような状況下で、近年LCDに要求される特性は、高輝度化、広視野角化、高速応答、高精細化などがあげられる。
このようなディスプレイの表示品位を向上させるために、液晶パネルの最表面には偏光板の他に、様々な光学層が用いられるようになってきている。例えば、位相差板(1/2波長板、1/4波長板などのλ板も含む)、光学補償フィルムや輝度向上フィルムなどが用いられている。特に、偏光素子と保護層からなる偏光板に、更に位相差板が積層されている楕円偏光板または円偏光板、偏光素子と保護層からなる偏光板に、更に光学補償フィルムが積層されている偏光板、あるいは、偏光素子と保護層からなる偏光板に、更に輝度向上フィルムが積層されている偏光板等が実用に供されている。
偏光素子と保護層からなる偏光板に、輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイド(下側)に設けられて使用され、LCDの画像表示画面の明るさを向上できる(非特許文献1)。
一方、液晶セルの視認側(上側)の偏光板の視認側保護フィルム上には、防眩処理及び/又は低反射処理がほどこされたものが提案されている。(特許文献1)
特開2003−149634号公報 (株)矢野経済研究所、「2003年版、高機能フィルム市場の展望と戦略」p.91(2003年刊行)
液晶表示装置の高視野角化、高速応答化と並び、明るくて高精細なフルカラー画像に対する要求が非常に高い。特に、表示装置の20インチ以上の大画面では輝度ムラの無い高輝度の鮮明画像が強く望まれるようになり、さらには供される偏光板の耐久性への要求及び低コスト化が望まれている。
特に、前記のような種々の液晶表示装置に対応できる光学特性に優れた耐久性良好な液晶表示素子が強く望まれている。
一方、上記したような表示画面の大型化やモバイル化の進展に対して、液晶表示装置の薄型・軽量化が一層求められている。
従来の液晶表示装置ではこれらの近年要求されている性能をすべて満足することができないため、これらの要求されている性能をすべて満足しうる液晶表示素子の開発が要望されている。
従って、本発明の目的は、大画面の液晶表示装置でも外光の写りこみやギラツキが無く表示画像が明るくて鮮明であり、耐久性が良好な液晶表示素子を提供することである。
また、本発明の他の目的は、耐久性に優れた薄くて軽量化された液晶表示素子を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、輝度向上フィルムを偏光素子の片側に配置した偏光板及び反射防止膜を偏光素子の片側に塗設した偏光板を備えた、耐久性良好な表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消すべく、輝度向上フィルムを配置した偏光板と反射防止膜を塗設した偏光板とを備えた液晶表示素子について鋭意検討した結果、反射防止膜を特定の粒径及び屈折率を有する無機微粒子を用いることにより上記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記構成の液晶表示素子、該液晶表示素子を用いた液晶表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
1. 2枚のセル基板から形成される液晶セルの上側と下側に各々偏光板を配置してなり、該偏光板は偏光素子と、偏光素子の上側と下側に各々保護フィルムを配置してなり、且つ下側偏光板に輝度向上フィルムが付設された液晶表示素子において、
該上側偏光板の上側保護フィルムが、透明支持体と、該透明支持体上に設けられ、該保護フィルムの最上層を構成し且つ該透明支持体の屈折率よりも低屈折率の低屈折率層を有する反射防止膜とを具備してなり、
上記低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする液晶表示素子。
2. 上記低屈折率層が、上記無機微粒子と、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物と、硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする上記1記載の液晶表示素子。
一般式[A] : (R10)α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
3. 上記反射防止膜が、上記低屈折率層と上記透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の高屈折率層を少なくとも1つ有することを特徴とする上記1又は2記載の液晶表示素子。
4. 上記反射防止膜が、上記低屈折率層と透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の防眩性層を少なくとも1つ有することを特徴とする上記1又は2記載の液晶表示素子。
5. 上記上側偏光板が、最上面側から上記反射防止膜、上記透明支持体、偏光素子、透明支持体をこの順で有し、該偏光板が積層一体化されていることを特徴とする上記1〜4の何れかに記載の液晶表示素子。
6. 上記上側偏光板が、さらに、上記液晶セルと隣接する側に光学補償フィルムを具備することを特徴とする上記1〜5の何れかに記載の液晶表示素子。
7. 上記下側偏光板が、液晶セルと隣接する面から、光学補償フィルム、偏光素子、保護フィルム及び輝度向上フィルムを順次積層されてなることを特徴とする上記1〜6の何れかに記載の液晶表示素子。
8. 上記透明支持体が、下記式(1)及び(2)を同時に満足する範囲にあるセルロースアシレートと、オクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤と、平均一次粒径3〜100nmの微粒子とを各々少なくとも1種含有してなる、膜厚が20〜120μmのセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする上記1〜7の何れかに記載の液晶表示素子。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
(式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
9. 上記反射防止膜が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする上記1〜8の何れかに記載の液晶表示素子。
10. 上記反射防止膜が、耐候性試験前後における該フィルムの波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする上記1〜8の何れかに記載の液晶表示素子。
11. 上記1〜10のいずれかに記載の液晶表示素子が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
12. 更に、バックライトを備えた上記11記載の液晶表示装置。
本発明の液晶表示素子は、明るくて、画像ボケや画像ムラが無く且つ輝度ムラの無い鮮明な表示画像が得られるものである。
また、本発明の液晶表示素子は、反射防止膜を偏光素子に直接積層した場合、薄層化と軽量化とが可能となり、表示装置の薄型化、軽量化及び低コスト化が達成できるものであり、また、特定の反射防止膜を有するので耐候性が良好で、表示装置の長寿命化が可能なものである。
さらに、光学補償フィルムを液晶セル側に積層した場合には、広視野角化され、特に大サイズの表示装置で効果的となり、さらに、光学補償膜を偏光素子の保護フィルム上に直接設けるので更なる薄層化と軽量化とが可能となり、表示装置の薄型化、軽量化及び低コスト化が達成できる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶表示素子を備えてなるので、明るくて、画像ボケや画像ムラが無く且つ輝度ムラの無い鮮明な表示画像が得られるものである。
以下、本発明の液晶表示素子についてさらに詳細に説明する。
本発明の液晶表示素子は、2枚のセル基板から形成される液晶セルの上側と下側に各々偏光板を配置してなり、該偏光板は偏光素子と、偏光素子の上側と下側に各々保護フィルムを配置してなり、且つ下側の偏光板に輝度向上フィルムが付設されてなる。
そして、本発明の液晶表示素子は、上側偏光板の上側保護フィルムが、透明支持体と、該透明支持体上に設けられ、該保護フィルムの最上層を構成し且つ該透明支持体の屈折率よりも低屈折率の低屈折率層を有する反射防止膜とを具備してなり、該低屈折率層は、特定の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする。
〔液晶セル〕
液晶セル形成用のセル基板としては、通常この用途に用いられるガラス板やプラスチック板を用いることができ、液晶表示素子を薄型化する観点から、厚さ0.5mm以下のものが好ましい。
ここで、プラスチック板としては、透明性と機械的強度を有していれば特に限定されず、従来公知のものを全て使用できる。プラスチック板を形成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリジアリルフタレート、ポリイソボニルメタクリレート等の熱硬化性樹脂などを挙げることができる。かかる樹脂は、1種又は2種以上を用いることができ、他成分との共重合体や混合物として用いることもできる。
[偏光板]
本発明において、偏光板は、偏光素子と保護フィルムとからなる。具体的にはたとえば、二色性物質含有のポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光素子の両側に、適宜の接着層を介して保護フィルムにおける透明支持体を積層したものからなる。
[偏光素子]
上記偏光素子としては、例えば、ポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコールなどの従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理や延伸処理や架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施してなり、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光素子の厚さは、1〜30μmが好ましく、特に8〜25μmが好ましい。
偏光素子の両側に設ける保護フィルムとしては、通常下記の透明支持体が用いられるが、本発明においては、後述する特定のセルロースアシレートフィルムであることが好ましい。また、上側偏光板の上側保護フィルムは、透明支持体と該透明支持体上に設けられた反射防止膜とからなる。
〔透明支持体〕
上記透明支持体としては、適宜な透明フィルムを用いることができる。保護フィルムが透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルム等が好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、例えば、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型の樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合せて使用できる。なお偏光素子の両側の透明支持体は、その表裏で異なるポリマー等からなる透明支持体を用いてもよい。
透明支持体の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、20〜120μmであることがより好ましく、20〜100μmであることがさらに好ましい。特に好ましくは20〜80μmである。
透明支持体は、偏光素子の保護フィルムとして使用するために、フィルムの疎水性/親水性のバランス、偏光素子のビニルアルコール系膜との貼合性やフィルム面内全体の光学特性の均一性が重要であり、セルロースエステル系樹脂フィルムが好ましく挙げられる。特に、セルロースの脂肪酸エステル(セルロースアシレート)フィルムが好ましく、さらにはセルロースアシレート、可塑剤および微粒子を含有するフィルムであるのが好ましい。以下に透明支持体の原料としてのセルロースアシレートについて説明する。
(セルロースアシレートフィルム)
上記透明支持体として用いられるセルロースアシレートフィルムの原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等があり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの総炭素数2〜22のカルボン酸エステルのことである。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、あるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、オレオイル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、より好ましいアシル基は、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、ドデカノイル、オクタデカノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行 発明協会)p.9に詳細に記載されている。
上記セルロースアシレートとしては、セルロースの水酸基への置換度が下記式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。
また、SAの置換度(SA')はより好ましくは1.4〜3.0であり、特には2.3〜2.9である。
更に、下記式(3)を同時に満足することが好ましい。
式(3) : 0≦SB”≦1.2
ここで、SB”はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3又は4のアシル基を表す。
さらにSB”はその28%以上が6位水酸基の置換基であるのが好ましく、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSA'とSB”の置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85以上であり、特には0.90以上であるセルロースアシレートフィルムも好ましいものとして挙げることができる。これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
尚、置換度はセルロース中の水酸基に結合した脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTM-D817-91、ASTM-D817-96に準拠して測定することができる。
又、水酸基へのアシル基の置換の状態は、13C NMR法によって測定される。
上記セルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に前記の式(1)及び(2)を満足するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、全ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。セルロースアシレートは単独若しくは2種類以上の併用であっても良い。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
該セルロースアシレートの数平均分子量Mnは、好ましくは7〜25×104の範囲、より好ましくは、8〜15×104の範囲にあることが望ましい。また、該セルロースアシレートの質量平均分子量Mwとの比、Mw/Mnは、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定でき、これを用いて上記MnおよびMwを算出し、Mw/Mnを計算することができる。
本発明において用いられる上記セルロースアシレートフィルムは、上述の式(1)及び(2)を満足する範囲にあるセルロースアシレート、可塑剤(特に好ましくは後述するオクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤、及び微粒子(特に好ましくは後述する平均1次粒径3〜100nmの微粒子)を各々少なくとも1種含有してなるフィルムが好ましく用いられる。
次に、可塑剤及び微粒子について説明する。
「可塑剤」
上記可塑剤は、セルロースアシレートフィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために添加される成分である。
本発明で好ましく用いられる可塑剤は、沸点が200℃以上で、25℃で液体であるか、または融点が25〜250℃である固体であることが好ましい。更に好ましくは沸点が250℃以上で、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である可塑剤が挙げられる。可塑剤が液体の場合は、その精製は通常減圧蒸留によって実施され、高真空ほど好ましく、本発明では、特に、200℃における蒸気圧が1333Pa以下の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧667Pa以下、更に好ましくは133〜1Paの化合物が好ましい。
これらの好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にあるリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)等が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。これらの好ましい可塑剤は25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
以上の例示した化合物の中でもトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレートが好ましい。
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなくその利用方法あるいはその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
更には本発明では、オクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤が好ましく用いられる。logP値が10を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じる場合があり、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させる場合があるので、上記範囲内のものが好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし8であり、特に好ましい範囲は2ないし7である。
オクタノール/水分配係数(logP値)の測定は、JIS 日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール/水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、中でもCrippen's fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステル及び又はポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン又はポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂或はノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの可塑剤は単独若しくは2種類以上を混合して用いても良い。可塑剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。
「微粒子」
上記透明支持体形成用の上記セルロースアシレートフィルムに好ましく用いられる微粒子は、フィルムの機械的強度と寸法安定性の向上、及び耐湿性を向上させるために添加されるもので、疎水性であるのが好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、1〜100nmであり、より好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは3〜80nmであり、特に好ましくは5〜60nmであり、最も好ましくは、5〜50nmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を測定し、平均粒径を求めることができる。
微粒子の見掛け比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。
微粒子の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して0.005〜2質量部、特に0.01〜1.0質量部とするのが好ましい。
微粒子の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであり、セルロースアシレートフィルムのヘイズ上昇を抑制できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。
上記微粒子は、表面処理されているのが、ドープ中及び製膜後のフィルム中での凝集が抑制されて微粒子として安定に分散されるので、好ましい。
表面処理は、微粒子の表面を有機化合物で処理するなどして行われ、その際用いることができる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることが出来る。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。
微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロール等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げれる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載のカップリング化合物が挙げられる。
表面処理に際しては、上述した化合物を2種類以上併用することもできる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
本発明で使用される微粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
(微粒子分散)
本発明に好ましく供される微粒子は、製膜後のフィルム中に均一に分散されることが好ましい。
そこで、上記微粒子は、以下のような態様等で微粒子分散物を調整した後にドープ液に導入されることが好ましい。
(1)溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、ドープ液に加えて撹拌する。
(2)溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
(3)溶剤に少量のセルロースアシレートを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
更に、微粒子分散物の調整には、微粒子とともに分散剤を用いて湿式分散することが好ましい。
(分散剤)
上記微粒子を安定した所定の微粒子として用いるため、分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する低分子化合物、または高分子化合物であることが好ましい。
上記極性基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、−P(=O)(R1)(OH)基、−O−P(=O)(R1)(OH)基、アミド基(−CONHR2、−SO2NHR2)、環状酸無水物含有基、アミノ基、四級アンモニウム基等が挙げられる。
ここで、R1は炭素数1〜18の炭化水素基を表す(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基等)。R2は、水素原子又は前記R1と同一の内容を表す。
上記極性基において、解離性プロトンを有する基はその塩であってもよい。また、上記アミノ基は、一級アミノ基、二級アミノ基又は三級アミノ基のいずれでもよい。三級アミノ基であることが好ましい。また、四級アンモニウム基も同様に好ましい。すなわち極性基は、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、炭素原子数が1〜18の脂肪族基(上記R1の基と同一の内容のもの等)であることが好ましい。又、三級アミノ基は、窒素原子を含有する環形成のアミノ基(例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリジン環等)であってもよく、更に四級アンモニウム基はこれら環状アミノ基の四級アモニウム基であってもよい。特に炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオン、PF6イオン、SbF6イオン、BF4イオン、B(R3)4イオン(R3は、炭化水素基を表し、例えばブチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ブチルフェニル基等)、スルホン酸イオン等が好ましい。
本発明に係る分散剤の極性基としては、pKaが7以下のアニオン性基或はこれらの解離基の塩が好ましい。特に、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、又はこれらの解離基の塩が好ましい。
具体的には、下記の一般式(B)、(C)に示される化合物が挙げられる。
一般式(B) : (R4−B1−O)β−P(=O)−(OM1γ
一般式(C) : R5−B2−X
式(B)及び(C)中、R4とR5は炭素数4〜40の置換、無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基及びアリール基を表わし、M1は水素原子、アルカリ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンである。また、B1、B2は2価の連結基を表わし、Xはカルボン酸(又はその塩)、スルフォン酸(又はその塩)、硫酸エステル(又はその塩)を表わす。βは1、2の整数であり、γは(3−β)の整数を表わす。
4とR5の好ましい例としては、炭素数4〜40の置換、無置換のアルキル基(例えば、ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、ドコサニル、ミリシル、など)、炭素数4〜40の置換、無置換のアルケニル基(例えば、2−ヘキセニル、9−デセニル、オレイルなど)、炭素数4〜40の置換、無置換のアリル基(例えば、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ブチルフェニル、ジブチルフェニル、トリ−ブチルフェニル、イソペンチルフェニル、オクチルフェニル、イソオクチルフェニル、イソノニルフェニル、ジイソノニルフェニル、ドデシルフェニル、イソペンタデシルフェニル、など)などを表わす。
1、B2の2価の連結基について記述する。炭素数1〜10のアルキレン、ポリ(重合度1〜50)オキシエチレン、ポリ(重合度1〜50)オキシプロピレン、ポリ(重合度1〜50)オキシグリセリン、でありこれらの混合したものでも良い。これらで好ましい連結基は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ポリ(重合度1〜25)オキシエチレン、ポリ(重合度1〜25)オキシプロピレン、ポリ(重合度1〜15)オキシグリセリンである。
Xは、カルボン酸(又はその塩)、スルフォン酸(又はその塩)、硫酸エステル(又はその塩)である。塩としては好ましくはNa、K、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム及びトリエタノールアンモニウムである。
本発明に用いられる分散剤は、上記した極性基を含有する高分子分散剤であることが好ましい。
高分子分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、GPC法で測定されたポリスチレン換算値として、1×103以上であることが好ましい。より好ましいMwは2×103〜1×106であり、更に好ましくは3×103〜1×105、特に好ましくは5×103〜8×104である。
この範囲のものが、微粒子が微粒子として分散されやすく、かつ凝集物や沈殿物を生じない安定な分散物が得られる。
高分子分散剤中の極性基は、高分子鎖の重合体主鎖の末端或いは重合体形成単位の側鎖置換基(以降、側鎖と略称する場合もある)として含有される。極性基は重合体主鎖の末端及び/または側鎖に結合していることが好ましい。
極性基含有の重合体成分の具体例としては、例えば特開平11−153703号公報明細書中の段落番号[0024]〜[0041]記載の内容等が挙げられる。
また、側鎖に極性基を有する高分子分散剤において、極性基含有の重合単位の組成は、全重合単位のうちの0.5〜90質量%の範囲であり、好ましくは1〜80質量%、特に好ましくは5〜60質量%である。
好ましくは分散剤全重合単位のうちの1〜70質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。
本発明に係る分散剤は、極性基含有の重合成分を含有する重合成分以外の他の重合成分との共重合体であってもよい。この他の重合成分としては、極性基含有の重合成分に相当するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定はされず、分散安定性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択されうる。好ましい例としては、メタアクリレート類、アクリレート類、カルボン酸ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、スチレン及びその誘導体類、アクリロニトリル等が挙げられる。
分散剤中の他の重合成分の割合は、全重合体成分中の5〜99.5質量%が好ましく、より好ましくは30〜85質量%である。
本発明の好ましい分散剤の重合形態は特に制限はなく、ブロック共重合体またはランダム共重合体の何れであっても良い。
分散剤の使用量は、微粒子100質量部に対して、1〜100質量部の範囲であることが好ましく、3〜50質量部の範囲であることがより好ましく、5〜40質量部であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(分散媒体)
本発明において、微粒子の湿式分散に供する分散媒体は、後述するドープに用いる有機溶媒から適宜選択して用いることができる。好ましくは、低級アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)が挙げられる。これらの溶媒以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
分散媒体は、微粒子及び分散剤を含む全分散用組成物が3〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、5〜30質量%が好ましい。この範囲において、分散が容易に進行し、得られる分散物は作業性良好な粘度の範囲となる。
(微粒子の超微粒子化)
上記微粒子は、平均粒子径100nm以下の微粒子分散物とすることにより、該組成物の液の安定性が向上し、このドープ組成物から製膜されたセルロースアシレートフィルムは、微粒子が硬フィルム中で超微粒子状態で均一に分散されて存在し、光学特性が均一で透明なフィルムが達成される。フィルム中で存在する微粒子の大きさは、平均粒径5〜100nmの範囲が好ましく、特に10〜80nmが最も好ましい。
更には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。これにより、光学的欠陥のないヘイズ値の小さい透光性良好なフィルムであり、フィルム表面が粗大な凹凸を生じない特定の微細な凹凸形状(後述)を形成できる。
上記微粒子を上記の範囲の粗大粒子を含まない超微粒子の大きさに湿式分散するには、メディアレス分散若しくはメディア分散のいずれでも良い。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型など従来公知のものがあり利用できる。高圧分散装置は、例えば管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.8MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.6MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/hr以上に達するものが好ましい。高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
メディア分散湿式分散用の分散機としては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル、ダイノミル等が含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。具体的には、生産性と微細化/単分散化等の分散性能の観点で、スーパーアペックスミル(アペックス社製)が好適に用いられる。
上記分散機と共に用いるメディアとしては、その平均粒径が0.5mm未満であり、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.05〜0.2mmである。
また、湿式分散に用いられるメディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましい。
分散物中の微粒子の一次粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。
特に、本発明における湿式分散物中の分散微粒子は、分散時において微粒子の比表面積を過度に大きくしないために微粒子を一次粒径以上に実質的に維持することが好ましい。
更には、湿式分散物中の分散微粒子中には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。
ここで、一次粒径以上に維持するためには、使用するビーズを上記の範囲内のビーズ径とすることで分散時のビーズによる破壊力を抑制し、微粒子の破壊を抑制しながら、微分散性と分散微粒子の単分散性を向上させることができると推測される。また、更なるビーズの小径化によりベッセル内にある総ビーズ数を多くすることができて衝突確率を増加させ、分散時間を短縮することが可能となると推測される。分散時間を短縮すると、その分更に粒子の破壊を抑制でき、耐候性をより向上させることができると推測される。
また、メディア分散の周速としては、分散微粒子を微分散化できる範囲内で周速が低いほうが好ましい。周速が低い方が分散時のメディアによる破壊力を抑制することができ、微粒子の破壊を抑制しながら、微分散性と分散微粒子の単分散性を向上させることができると推測される。
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ0.1〜25μmが好ましい。精密濾過は濾過粒子サイズを変えながら繰り返し行うことも好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、かつ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
[他の添加剤]
(紫外線防止剤)
上記セルロースアシレートフィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或は偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線防止剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。
紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
本発明において、紫外線吸収剤の使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
(他の添加剤)
更に、本発明のセルロースアシレート組成物には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤(例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性コントロール剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開平2001−194522号公報に記載のものが使用できる。
これらの添加剤の添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、セルロースアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
「溶媒」
次に、本発明のセルロースアシレートを溶解する有機溶媒について記述する。
用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールまたは沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。使用する有機溶媒は具体的には、例えば特開2002−146043号公報 段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号公報 段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれかの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
「ドープの調整」
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。前記したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については前記の公技番号2001−1745号p.22−25に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に前記の公技番号 2001−1745号p.25に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率が特定の範囲であることが好ましい。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用い、測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度n*(Pa・sec)及び−5℃の貯蔵弾性率G'(Pa)を求める。試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始する。本発明では、40℃での粘度が1〜300Pa・secであり、かつ−5℃での動的貯蔵弾性率が1万〜100万Paである。より好ましくは、40℃での粘度が1〜200Pa・secであり、かつ−5℃での動的貯蔵弾性率が3万〜50万Paである。
「セルロースアシレートフィルムの製造方法」
次に、上記セルロースアシレート溶液を用いた透明支持体としてのセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。上記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルローストリアセテートフィルム製造に供するドラム方法若しくはバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
以下、バンド法を例として製膜の工程を説明する。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、前記の公技番号2001−1745号p.25−30に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
[セルロースアシレートフィルムの特性]
(フィルム表面の性状)
支持体として用いるセルロースアシレートフィルムが特定の表面形状を有するのが好ましい。以下、セルロースアシレートフィルムの表面形状について説明する。
前記セルロースアシレートフィルムの反射防止層を設ける側の表面は、JIS B0601−1994に基づくフィルムの表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であり、好ましくは算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.08μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.1μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であり、更に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.0002〜0.015μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002 〜0.05μm、且つ最大高さ(Ry)が0.05μm以下であり、特に好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.010μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.025μm、且つ最大高さ(Ry)が0.04μm以下である。
上記の範囲内において、塗布ムラの無い均一な塗布面状で、且つ支持体と塗布膜の密着性が良好な反射防止層が設けられる。
表面の凹と凸の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により評価することが出来る。
また、上記セルロースアシレートフィルムにおける視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数は、1m2当たり1個以下であるのが、均一で鮮明なフィルムを得率よく生産できる等の点から好ましい。
この光学的な欠陥は、偏光顕微鏡を用い、クロスニコル下でフィルムの遅相軸を偏光子の吸収軸と平行にして観察することができる。輝点として見える欠点を円形に面積近似し、その直径が100μm以上のものを数える。100μm以上の輝点は、肉眼で容易に観測できる。
即ち、上記セルロースアシレートフィルムは、その表面が、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、且つ視覚的な大きさが100μm以上である光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であるのが好ましい。
(他方の表面形状)
また、上記支持体の反射防止層側と反対側の表面の算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)が、反射防止層側表面の算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ(Ry)の3倍以下であることが好ましい。更に好ましくは1〜2倍であり、特に好ましくは1〜1.5倍である。このような範囲において、フィルムの透明性、ロール形態での耐接着性等が良好となる。
以上のような表面形状としたフィルムとすることで、光学的な欠陥や輝度向上のムラ等の表示画像の不均一さが著しく軽減される。
本発明に用いる透明支持体の動摩擦係数は0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。動摩擦係数が大きいと搬送ロールとの間で強く擦られる結果支持体から発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学フィルムとしての点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えてしまう。動摩擦係数は5mmφの鋼球を用いる鋼球法により測定することができる。
又、本発明に用いる透明支持体の表面抵抗率は、1.2x1012Ω/□以下であることが好ましく、1.0x1012Ω/□以下であることがより好ましく、0.8x1012Ω/□以以下であることが特に好ましい。表面抵抗率を本発明の範囲内とすることにより透明支持体や光学フィルムへの異物の付着が抑えられる。
(フィルムの光学的特性)
上記セルロースアシレートフィルムは、光透過率が90%以上、ヘイズが1%以下であることが好ましい。より好ましくは、光透過率が92%以上、ヘイズが0〜0.5%であることが好ましい。
ヘイズ値は、JIS−K−7105に準じヘ−ズメーター(例えば、日本電色工業(株)製MODEL 1001DP、村上色彩技術研究所製HR−100等)を用いて測定できる。
セルロースアシレートフィルムの屈折率は1.45〜1.50の範囲が好ましい。
(フィルムの力学特性)
(フィルムの機械的特性)
本発明に用いる透明支持体の幅方向のカール値は−10/m〜+10/mであることが好ましい。長尺で広幅の透明支持体(具体的には、長さ100〜5000m及び幅0.7〜150mの長尺品)に対し行う際に、透明支持体の幅方向のカール値が前述の範囲内にあると、フィルムのハンドリングの支障や、フィルムの切断が起きることが無く、また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触することからくる発塵や、フィルム上への異物付着が少なくなり、本発明の偏光板の点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがなく、好ましい。又、偏光素子貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができて好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制でき、好ましい。さらに、0.01〜1.0%以下であることがより好ましい。
これは、前述の溶液流延製膜方法による成膜時の残留溶剤量を少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
セルロースアシレートフィルムの引き裂き強度は、そのJISK7128−2:1998の引裂き試験方法(エルメンドルフ引裂き法)に基づく引裂き強度が、2g以上であるのが、前記の膜厚においても膜の強度が充分に保持できる点で好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更に好ましくは6〜25gである。また60μm換算では、8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。
具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
また、引掻き強度は2g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は、円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
(フィルムの吸湿膨張係数)
上記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、偏光板保護フィルムの耐久性が良好となり、或は光学補償フィルムの支持体に用いた場合の光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下式により算出する。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用する。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
作製したセルロースアシレートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、本発明の可塑剤或は微粒子等を添加することにより可能となる。分子中にバルキーで疎水性を有する多環式脂環式構造の可塑剤が有効に作用すると思われる。又、セルロースアシレートフィルム中の残留溶剤量が少なくして自由体積を小さくすることが挙げられる。具体的には、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.00.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
(フィルムの透湿度及び含水量)
上記セルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208、B条件(温度40℃、湿度90%RH)において、2〜150g/m2・24hであることが好ましい。10〜120g/m2・24hであることがより好ましく、10〜100g/m2・24hであることが特に好ましい。この範囲において、偏光板の保護フィルムとして液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすことがなく、また、2g/m2・24h以上とすることにより、偏光素子の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられることがなく、接着不良を生じることがなくなる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができる。
本発明の偏光板の支持体として構成されるセルロースアシレートフィルムの含水量は、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、30℃85%RH下で0.3〜12g/m2であることが好ましい。0.5〜5g/m2であることがより好ましい。12g/m2より大きいとレターデーションの湿度変化による依存性も大きくなりすぎてしまい好ましくない。
[上側偏光板]
液晶表示装置に用いた場合に視認者側に位置する上側の偏光板について説明する。上側の偏光板は、偏光素子の視認者側に上記透明支持体と反射防止膜が積層されてなる反射防止機能付きの偏光板である。さらに該偏光素子の反射防止膜と反対側(液晶セル側)の透明支持体上に、光学補償フィルムを積層してなるのが好ましい。
このような偏光板は、上記透明支持体上に反射防止膜を積層したものを偏光板にそれぞれの透明支持体同士で貼り合わせたもの、或は偏光板の支持体上に直接に反射防止膜を設けたものの何れの態様でもよい。好ましくは、後者(即ち、「反射防止膜/透明支持体/偏光素子/透明支持体」の構成)の積層一体化された偏光板であり、これにより偏光板の薄層化、軽量化並びにコストの低減が可能となる。
(反射防止膜)
上記反射防止膜は、透明支持体の屈折率よりも低屈折率の低屈折率層を最上層に有する。そして、該低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有して成る。
<反射防止膜の層構成>
本発明に係る反射防止膜は、透明支持体上に少なくとも該透明支持体よりも低屈折率の上記の低屈折率層を設けてなり、好ましくは、該透明支持体よりも高屈折率の高屈折率層と該低屈折率層とを透明支持体上に二層以上積層してなる多層型反射防止膜である。また、高屈折率層が高屈折率の防眩性層である構成も好ましく採用することができる。
2層積層から成る反射防止膜は、透明支持体、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成を有する。透明支持体、高屈折率層および低屈折率層は以下の関係を満足する屈折率を有する。なお、本明細書において、2層積層、3層積層などと言うときは、積層の数のなかに透明支持体は含まれない。
高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と高屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、ハードコート層は、高屈折率ハードコート層であってもよいし、或いは防眩性高屈折率ハードコート層であってもよい。
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。
少なくとも3層積層から成る反射防止膜は、例えば透明支持体、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の3層積層構造を有する。透明支持体、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率層はハードコート層、即ち中屈折率ハードコート層であってもよい。
このような3層構成の反射防止膜は、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層のそれぞれの層の光学膜厚、すなわち屈折率と膜厚の積が設計波長λに対してλ/4前後、またはその倍数であることが好ましいことが特開昭59-50401号公報に記載されている。
更には、特に設計波長λに対して中屈折率層が下式(I)を、高屈折率層が下式(II)を、低屈折率層が下式(III)をそれぞれ満足することが好ましい。
式(I)
(lλ/4)×0.80<n1d1<(lλ/4)×1.00
式(II)
(mλ/4)×0.75<n2d2<(mλ/4)×0.95
式(III)
(nλ/4)×0.95<n3d3<(nλ/4)×1.05
(但し、式中、lは1であり、n1は中屈折率層の屈折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)であり、mは2であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)であり、nは1であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である)。設計波長は400〜680nmの範囲が好ましく、より好ましくは450〜600nmの範囲であり、さらに好ましくは500〜550nmである。
更に、例えばトリアセチルセルロース(屈折率:1.48)からなるような屈折率が1.45〜1.55の透明支持体に対しては、n1は1.60〜1.65、n2は1.85〜1.95、n3は1.35〜1.45の屈折率であることが特に好ましく、ポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.66)からなるような屈折率が1.55〜1.70の透明支持体に対しては、 n1は1.65〜1.75、n2は1.85〜2.05、n3は1.35〜1.45の屈折率であることが特に好ましい。
上記のような屈折率を有する中屈折率層や高屈折率層の素材が選択できない場合には、設定屈折率よりも高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層を複数層組み合わせた良く知られた等価膜の原理を用いて、実質的に設定屈折率の中屈折率層あるいは高屈折率層と光学的に等価な層を形成できるので、本発明の反射率特性を実現するためにも用いることができる。上記の「少なくとも3層積層から成る反射防止膜」とは、このような等価膜を用いた4層、5層の反射防止膜も含むものである。
これにより、反射防止膜の反射光の色味がニュートラルとなり、表示装置の表示画像の視認性が優れたものとなる。
<低屈折率層>
以下、まず、本発明において必須の層である低屈折率層について説明する。
低屈折率層は、反射防止性を付与する目的で、反射防止膜の最外層に設けられる。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.31〜1.48である。
低屈折率層の屈折率は、式(IV)を満すことが好ましい。
式(IV) (pλ/4)×0.7<n4d4<(pλ/4)×1.3
式中、pは正の奇数(一般に1)であり、n4は低屈折率層の屈折率であり、そして、d4は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは可視光線の波長であり、450〜650(nm)の範囲の値である。
なお、上記式(IV)を満たすとは、上記波長の範囲において式(IV)を満たすp(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明の低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築される。
そして、該低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%、且つ屈折率1.17〜1.40である中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有して成ることを特徴とする。
上記平均粒径が、30%〜100%の範囲であると、膜の強度が十分に発現されて、好ましい。
また、屈折率が1.17〜1.40の範囲であると、無機粒子を用いた低屈折率層の屈折率の調整が容易となり、それにより膜の強度が著しく向上され、好ましい。
「硬化膜形成用素材」
更に、上記低屈折率層は、低屈折率を実現し、且つ表面への滑り性付与が有効で耐擦傷性を大きく向上させる手段として、従来公知のシリコーンの導入及び/又はフッ素の導入された硬化膜形成用素材を適宜適用することが好ましい。特に、含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、本発明における低屈折率層は、熱硬化性並びに光または放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され硬化した含フッ素ポリマーにより構成されているのが好ましい。
そのため、本発明においては、上記低屈折率層は、上記無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、及び硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であるのが好ましい。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
また、上記の硬化性組成物が、更に、ラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物及び重合開始剤を含有するのが好ましい。
以下、上記硬化性組成物について説明する。
「中空構造の無機微粒子」
上記低屈折率層はその屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることを特徴とする。中空の無機微粒子は屈折率が1.17〜1.40、好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。
この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記式(V)で表される空隙率w(%)は以下の通り計算される。
式(V) : w=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度が弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満とはできない。
該低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下であり、好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上100nm以下であり、好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなうことができる。
上記無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の粒子が好ましい。特に好ましくは二酸化珪素(シリカ)粒子である。
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。
[小サイズ粒径の無機微粒子]
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下、「小サイズ粒径の無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径の無機微粒子(以下、この本発明の必須の無機微粒子を「大サイズ粒径の無機微粒子」と称すこともある)と併用することが好ましい。この小サイズ粒径の無機微粒子は中空構造をもたないものでよい。
小サイズ粒径の無機微粒子は、大サイズ粒径の無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径の無機微粒子の保持剤として寄与することができ、好ましい。また、原料コストの点でも好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子の使用量は、大サイズ粒径の無機微粒子(中空構造の無機微粒子)100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、より好ましくは10〜80質量部である。
具体的な化合物としては、前記の中空構造の無機微粒子で例示したと同様のものが挙げられる。特に好ましくは、ケイ素の酸化物が挙げられる。
[無機微粒子の分散物]
上記した中空構造の無機微粒子、及び小サイズ粒径の無機微粒子のいずれの無機微粒子も、分散液中あるいは硬化性組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として硬化性組成物溶液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
上記無機微粒子の配合割合は、上記低屈折率層全組成物100質量部に対して5〜90質量部とするのが膜の透明性、膜の強度等の点から好ましく、20〜60質量部とするのがさらに好ましい。又、中空構造の無機微粒子と他の粒子を配合する場合は、全粒子中の中空構造の無機微粒子は5〜95質量部が好ましく、より好ましくは10〜90質量部、特に好ましくは30〜80質量部である。
「含フッ素ポリマー」
前述の通り、本発明における低屈折率層は、熱硬化性並びに光または放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され硬化した含フッ素ポリマーにより構成されているのが好ましい。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が低屈折率層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報 段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報 段落番号[0019]〜[0030]、同2001−40284号公報 段落番号[0027]〜[0028]等の記載の化合物等が挙げられる。
上記含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性若しくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、それ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。すなわち、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体、すなわち、架橋性もしくは重合性の官能基である硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーが好ましく、さらにその他のモノマーが共重合された含フッ素ポリマーを用いてもよい。
架橋性若しくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでも良い。
架橋性の官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有する化合物は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
重合性の官能基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基が挙げられる。
好ましくは、ラジカル重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等)が挙げられる。
其の他の繰り返し構造単位としては、溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分により形成される繰り返し構造単位が好ましく、このような構造単位をポリマー全体中50質量%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることが好ましい。
シリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製等)等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋又は重合反応は、最外層を形成するための硬化性組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
この際、用いることのできる重合開始剤は後述する。
紫外線照射により重合反応を行なう場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
共重合してもよいその他のモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
又、低屈折率層としては、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化して形成されるゾルゲル硬化膜も好ましく用いられる。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
併用する触媒としては、従来公知の化合物が挙げられ、上記文献中に記載のものが好ましく挙げられる。
本発明で特に有用な硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体が挙げられる。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる共重合体の好ましい態様として前記一般式1で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005227472
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、*−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。但し、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい態様として下記一般式2で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005227472
一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが挙げられる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。但し、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005227472
Figure 2005227472
Figure 2005227472
Figure 2005227472
Figure 2005227472
本発明に好ましく用いられる共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている方法が挙げられる。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
<オルガノシラン化合物>
次に、上記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物について説明する。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
前記一般式〔A〕において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
αは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式〔A〕で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式〔A−1〕で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 2005227472
前記一般式〔A−1〕において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*-COO-**、*-CONH-**又は*-O-**を表し、単結合、*-COO-**および*-CONH-**が好ましく、単結合および*-COO-**が更に好ましく、*-COO-**が特に好ましい。*は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式〔A〕と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式〔A〕と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式〔A〕、一般式〔A−1〕の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式〔A〕、一般式〔A−1〕で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2005227472
Figure 2005227472
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。中でも、無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
「多官能重合性化合物」
前述したように、上記硬化性組成物には、更に多官能重合性化合物を添加することもできる。
多官能重合性化合物としては、ラジカル重合性官能基及び/またはカチオン重合性官能基のいずれでも2個以上重合性基を含有してよい。ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性基を有するラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性多官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、アルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)の例として、例えば、特開2001−139663号公報明細書段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルの例としては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号等))、更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
これらラジカル重合性多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
次に、カチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」または「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。
上記エポキシ化合物としては脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチルエポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報 段落番号〔0084〕〜〔0086〕記載の化合物、特開平10−158385号公報 段落番号〔0044〕〜〔0046〕記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、上記のエポキシ環がチオエポキシ環となる化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としてはオキセタニル基を含有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、ビニルエーテル化合物としては例えばプロペニル化合物(Journal of PolymerScience:Part A:Polymer Chemistry,Vol.32,2895(1994)記載等)、アルコキシアレン化合物(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.33,2493(1995)記載等)、ビニル化合物(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,1015(1996)、特開2002−29162号等記載)、イソプロペニル化合物(Journal ofPolymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,2051(1996)記載等)等を挙げることができる。
2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、多官能重合性化合物は、上記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号明細書中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕記載の化合物、特開2000−191737号明細書中の段落番号〔0015〕記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらの限定されるものではない。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
上記多官能重合性化合物の配合量は、前記含フッ素ポリマー100質量部に対して、0.1〜20質量部とするのが好ましい。
「重合開始剤」
また、上記硬化性組成物には、重合開始剤を混合して用いるのが好ましい。用いることができる重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
本発明の重合開始剤は、光及び/又は熱照射により、ラジカル若しくは酸を発生する化合物であることが好ましい。本発明において用いられる光重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
又、酸発生剤として、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
又、光カチオン重合開始剤を用いることも好ましく、オニウム化合物等が挙げられる。オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記重合開始剤の配合量は、前記多官能重合性化合物100質量部に対して、0.1〜30質量部とするのが好ましい。好ましくは、1〜20質量部である。
「その他の添加剤」
また、上記低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加されていることが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164b、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく、用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されない。
又、低屈折率層は、ミクロボイドを内包してもよい。具体的には、例えば特開平9−222502号公報、同9−288201、同11−6902号公報等に記載の内容が挙げられる。
また、本発明においては、有機微粒子を用いることもでき、該有機微粒子としては、例えば、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の化合物等があげられ、その形状は、上述の無機微粒子と同じである。
低屈折率層の厚さは0.03〜0.2μmが好ましく、0.05〜0.15μmがより好ましい。
「低屈折率層の性状」
上記低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下であることが好ましい。更に好ましくは15〜25.8mN/mである。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
上記低屈折率層が、含フッ素化合物を含有する熱硬化性並びに光または放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性含フッ素化合物を含有する含フッ素ポリマーによる硬化膜であることにより防汚性の効果が発現され、好ましい。
特に、最外層となる低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることで膜表面全体がムラ無く安定した特性を示し、好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を偏光板保護フィルム面上に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出出来る。
又、最表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
又、低屈折率層表面の動摩擦係数は、0.25以下であることが好ましく、0.05〜0.25であることがより好ましい。更に好ましくは0.03〜0.15である。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K6902に従うテーバー試験での摩耗量は小さいほど好ましい。
[高屈折率層および中屈折率層]
上記反射防止膜が、多層型の態様をとる場合、一般に、低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、前記の高屈折率層、中屈折率層)と共に用いられることが好ましい。
上記高屈折率層は、高屈折率の無機微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する従来公知の硬化膜が挙げられる。
高屈折率の無機微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物の微粒子が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。
好ましい高屈折率無機微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn,La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物或は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分をさす。本発明で好ましいのはTi、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。本発明で使用される無機微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。
特に好ましくは、Co、Zr、Alから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以降、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。特に、好ましい元素はCoである。Tiに対する、Co、Al、Zrの総含有量は、Tiに対し0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co、Al、Zrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部、あるいはまた、表面に存在する。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。これらの特定の金属元素は、酸化物として存在しても良い。
又、他の好ましい無機微粒子として、チタン元素と酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)との複合酸化物の粒子で、かつ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、該酸化物の屈折率が1.95以上となる金属酸化物の金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
ドープした金属イオンは、金属イオン、金属原子の何れのもので存在してもよく、複合酸化物の表面から内部まで適宜に存在する。表面と内部との両方に存在することが好ましい。
このことにより、本発明の特定の酸化物或は特定の複酸化物の無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80を有する。好ましくは、2.10〜2.80であり、更に好ましくは2.20〜2.80である。又、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層の耐候性を著しく改良することができる。
上記した特定の金属元素或は金属イオンをドープする方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特開平5−330825号公報、同11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号公報等に記載の方法、イオン注入法(例えば、権田俊一、石川順三、上条栄治編「イオンビーム応用技術」((株)シ−エムシー、1989年刊行、青木 康、表面科学、Vol.18,(5)、p.262、1998、安保正一等、表面科学、Vol.20(2)、p.60、1999等記載)等に従って製造できる。
これらの無機化合物粒子は、平均粒径で1から100nmであることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、分散液中での安定性に乏しく、好ましくない。100nm以上では、バインダとの屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(特開2001−166104号公報等)等が好ましい
又、分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、分散剤とともに湿式分散して超微粒子化することが好ましい。例えばアニオン性基含有化合物、重合性基含有のアニオン性化合物等の分散剤が好ましい。例えば、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等に記載の化合物が挙げられる。
マトリックスを形成するためのマトリックスバインダーとしては、熱可塑性皮膜(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素環、脂環式環状基を有するポリマー、またはフッ素以外のハロゲン、硫黄・窒素・リン等のヘテロ元素を有するポリマー);皮膜組成物(例、メラミン皮膜、フェノール皮膜、またはエポキシ皮膜などを硬化剤とする皮膜組成物);ウレタン形成性組成物(例、脂環式または芳香族イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ)、ラジカル及び/又はカチオン重合性の多官能性重合性組成物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合及び又はカチオン重合性基を導入することにより、重合反応硬化を可能にした変性皮膜またはプレポリマーを含む組成物)、或は加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物などを挙げることができる。これらの皮膜形成性組成物のいずれを用いてもよいが、高い皮膜形成性を有する材料が好ましい。
ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
これらの被膜形成用組成物は、重合性化合物とともに重合開始剤、増感剤、有機金属化合物とともに縮合反応用触媒を併用することが好ましい。具体的には、上記の文献中に記載の各化合物が挙げられる。又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20であり、3層積層からなる反射防止膜の場合には<反射防止膜の層構成>において前記した式を満たすことが好ましい。高屈折率層の厚さは、0.005〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがさらに好ましい。高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な高屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。3層積層からなる反射防止膜の場合には<反射防止膜の層構成>において前記した式を満たすことが好ましい。中屈折率層の厚さは、0.005〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがさらに好ましい。
高屈折率層に無機微粒子とマトリックスバインダーを用い、中屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率を低めに調節して形成することが特に好ましい。中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、高屈折率層は、防眩性を付与して防眩性層とすることもできる。この場合、被膜形成用組成物に、[アンチグレア機能]において後述する、防眩層用粒子を後述する使用量で用いる方法、或はエンボス加工等により凹凸を賦形する方法等が好ましい。
[反射防止膜の他の層]
上記反射防止膜には、さらに、ハードコート層、プライマー層、前方散乱層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
[ハードコート層]
ハードコート層は、反射防止膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性化合物が有する硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が300nm以下の無機微粒子を含有することが好ましい。より好ましくは10〜150nmである。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等記載のものが挙げられる。
前記したように、高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、さらに後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
[前方散乱層]
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等に記載のものが挙げられる。
[反射防止膜の各層の形成]
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点で特にグラビア法が好ましい。2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載の方法が挙げられる
[アンチグレア機能(防眩性)]
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜40%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
防眩性は表面の平均表面粗さ(Ra)と相関している。表面の凹凸は100cm2の面積の中からランダムに1mm2を取り出し、取り出した表面の1mm2の面積当たりに対し、平均表面粗さ(Ra)が0.01〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μm、特に好ましくは0.07〜0.2μmである。
平均表面粗さ(Ra)に関しては、テクノコンパクトシリーズ?(表面粗さの測定・評価法,著者;奈良次郎,発行所;(株)総合技術センター)に記載されている。
本発明に用いる反射防止膜の表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。
例えば、低屈折率層中に微粒子を使用し、それにより膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜5μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報等)、低屈折率層を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法[例えば、エンボス加工方法(例、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等)、剥離紙転写方法(例、特登3332534号公報等)、粒子スプレー転写方法(例、特開平6−87632号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のいずれかの層に粒子を含有させて防眩層を形成する場合、該防眩層に用いる防眩層用粒子としては、平均粒径が0.2〜10μmの粒子が好ましい。ここでいう平均粒径は、二次粒子(粒子が凝集していない場合は一次粒子)の質量平均径である。
防眩層用粒子としては、無機微粒子と有機粒子が挙げられる。無機微粒子の具体例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウムなどの粒子が挙げられる。二酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
有機粒子としては樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子の具体例としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂から作製される粒子などが挙げられる。好ましくは、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子であり、特に好ましくはポリメチルメタクリレート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子である。
凹凸を形成するために防眩層に用いる防眩層用粒子としては、樹脂粒子であるほうが好ましい。
粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜7.0μm、更に好ましくは1.0〜5.0μm、特に好ましくは1.5〜4.0μmである。
粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。
粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%相当粒径
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%相当粒径
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%相当粒径
また、粒子の屈折率は特に限定されないが、防眩層の屈折率とほぼ同じである(屈折率差で0.005以内)か、0.02以上異なっていることが好ましい。
粒子の屈折率と、防眩層の屈折率をほぼ同じにすることで、反射防止膜を画像表示面に装着したときのコントラストが改良される。
粒子の屈折率と防眩層の屈折率の間に屈折率の差を付けることで、反射防止膜を液晶表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、視野角特性など)が改良される。
粒子の屈折率と防眩層の屈折率の間に屈折率の差を付ける場合、0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
防眩層用粒子の使用量は、防眩性を付与した層の固形分中10〜75%となる量とするのが好ましい。
防眩性を付与する粒子は、反射防止膜において構築されたいずれかの層に含有させることができ、好ましくはハードコート層、低屈折率層、高屈折率層であり、特に好ましくはハードコート層、高屈折率層である。複数の層に添加してもよい。
「反射防止膜の特性」
(光学特性)
上記反射防止膜は、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値(すなわち平均反射率)が2.5%以下が好ましく、1.8%以下がより好ましく、さらに好ましくは1.4%以下である。
上記の5度入射における鏡面反射率は、サンプルの法線方向+5度から入射した光に対する法線方向−5度で反射した光の強度の割合であり、背景の鏡面反射による映り込みの尺度になる。防眩性機能をもつ反射防止膜として適用する場合には、防眩性付与のために設けた表面凹凸に起因する散乱光の分だけ、法線方向−5度で反射した光の強度は弱くなる。従って、鏡面反射率は防眩性と反射防止性の両方の寄与を反映する測定法といえる。
反射防止膜の5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値が2.5%を越えると、背景の映り込みが気になり、表示装置の表面フィルムに適用したときの視認性が低下する為、好ましくない。
波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味が、CIE1976L***色空間のL*、a*、b*値がそれぞれ3≦L*≦20、−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内とすることで、従来の多層反射防止膜で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L*≦10、0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa*>7では赤味が強く、a*<−7ではシアン味が強くなり、好ましくない。またb*<−7では青味が強く、b*>0では黄味が強くなり好ましくない。
本発明において、上記のL*、a*、及びb*の各値が表示画像の全面において一定であることが好ましく、特に各値の面内における変化率が15%未満であることが好ましい。面内における変化率は、面内における各値の最大値から最小値を減じた値の、最大値の絶対値に対する百分率を意味する。更に好ましくは10%以下である。この範囲において、反射防止性能にムラのない視認性良好となる。
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価することができる。
これらは、透明支持体の膜厚の変動幅を制御する(具体的には、±3.5以内とする)こと、反射防止膜の各塗設層の膜厚のムラを低減して反射防止膜を形成すること等で、反射防止膜フィルムの膜厚ムラに起因する反射光の色味ムラが大幅に低減される。
更には反射光の色味がよりニュートラルであり、且つ耐候性に優れることを特徴とする。
反射光の色味は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めることができ、L***色度図上で中心点からの距離ΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。
又、上記反射防止膜は、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。
また、このような色味を有する場合に、耐光性試験前後における反射防止膜の波長380〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であるのが好ましい。
この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、表示画像の品位が良好と成り、好ましい。
上記反射防止膜は、これらの光学特性及び膜の機械的特性が耐候性試験後も実質的に問題とならない範囲の変化に抑制されていることが特徴である。特に耐候性試験後に上記特性の変化が抑制されていることが特徴である。
ここで、耐候性試験とは、JISK5600−7−7:1999に基づく耐候性試験であり、サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)、湿度50%、処理時間150時間)による耐候性試験を意味する。
このようなニュートラルな色味の反射光を有し、且つ低反射率を有する反射防止膜は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率のバランスを最適化することで得られる。
<上側偏光板の形成>
上記上側偏光板は、その上側(視認側)が、偏光素子と、反射防止膜の透明支持体側の面を貼り合わせてなるのが好ましい。上側偏光板の下側の保護フィルムとしては、前記透明支持体、好ましくは前記セルロースアシレートフィルムが好ましくこれと貼り合わせてなるのが好ましい。偏光素子は、一般的にポリビニルアルコールを主成分としており、偏光素子との接着性を改良するために、透明支持体表面を親水化することが好ましい。
反射防止膜の透明支持体の親水化の手法としては、(1)予め親水化処理した支持体の一方の面に上記の反射防止膜を構成する各層(以下、反射防止層とも称する。)を塗設する手法、(2)支持体の一方の面に上記の反射防止層を塗設した後、偏光素子と貼り合わせる側を親水化処理する手法、の2つが考えられるが、(1)は反射防止層を塗設するべき面まで親水化され、支持体と反射防止層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が好ましい。以下、反射防止膜の透明支持体の親水化処理を説明するが、上側偏光板の下側の保護フィルムとしての透明支持体も同じ処理方法を用いて親水化できる。
[親水化処理]
支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ鹸化処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、前記の公技番号2001−1745号p.30−32に詳細に記載されている。
[鹸化処理]
これらの中でも特に好ましくは、セルロースアシレートフィルム表面をアルカリ鹸化処理で表面処理することが有効である。
(1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止膜を適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0mol/Lの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。好ましいアルカリ液の液温は20〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ま好ましい。
鹸化処理することにより、支持体の反射防止層を有する主面と反対の主面が親水化される。偏光素子の保護フィルムは、通常、支持体の親水化された表面を偏光素子と接着させて使用する。
鹸化処理は、反射防止膜を有する側とは反対側の支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光素子との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に反射防止膜面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止膜の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がセルロースアシレートフィルムであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜45度となる。この範囲で、反射防止膜の受けるダメージに実害が無く、且つ偏光素子との接着性を保持でき、好ましい。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止膜を有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開02/46809号パンフレットに記載の内容が挙げられる。
このように構成された偏光板を用いることにより、物理強度、耐候性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、コスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
[光学補償フィルム]
また、本発明の視認側偏光板は、反射防止膜を設けた偏光板の反対側の支持体上に光学補償フィルムを設けて成ることが好ましい。これにより、液晶表示装置の表示画像の広視野角が可能となる。
光学補償フィルムとしては、たとえば、高分子フィルムを一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、支持フィルム上に複屈折を示す液晶性材料からなる光学的異方性層を有する液晶配向フィルムなどがあげられる。光学補償フィルムの厚さは特に制限されないが、5〜100μm程度が一般的である。これら光学補償フィルムのなかでも支持体フィルム上に光学的異方性層を有する液晶配向フィルムが好ましい。
前記複屈折性フィルムとなる高分子フィルムの素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
「液晶配向フィルム」
上記光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態に関しては、IDW'00、FMC7−2、p.411〜414に記載されている。
「液晶化合物」
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものがあげられる。
ディスコティック液晶の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック液晶は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物質が前記化合物である必要はなく、例えば、低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載のものが挙げられる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3乃至10μm)する場合がある。
[配向膜]
配向膜は、液晶化合物分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常用いられるが、液晶化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光素子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例としては、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
これらの変性ポリビニルアルコール化合物及び架橋剤等の配向膜形成用組成物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報等に記載のもの等が挙げられる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。
配向膜は、支持体上又は配向膜の下塗り層を設ける方法が挙げられる。支持体上に直接設ける場合は、前記の表面親水化処理が挙げられる。
又、下塗り層としては、例えば特開平7−333433号公報記載の下塗り層、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容内容が挙げられる。
配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層の液晶分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
[液晶化合物からなる光学異方性層を塗設する支持体]
該支持体は、高透過率なプラスティックフィルムであれば特に制限はないが、偏光板の保護フィルムであるセルロースアシレートを用いることが好ましい。すなわち、偏光板の保護フィルムの上に直接配向膜(前述のとおり必ずしも必須は無い)と光学異方性層が形成されていることが好ましい。
光学異方性層を塗設する支持体は、それ自身が光学的に重要な役割を果たすため、支持体のReレターデーション値を0〜200nm、そして、Rthレターデーション値が0〜400nmに調節される事が好ましい。
支持体のセルロースアシレートフィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの吸収極大を与える波長(λmax)が400nmより短波長にある紫外線を吸収する化合物をレターデーション調整剤として含有することが好ましい。このような化合物の例として、フェニルサリチル酸類、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収化合物を挙げることができる。又、少なくとも2つの芳香族環を有する芳香族化合物(例えば特開2000−111914号公報等)、トリフェニレン化合物(例えば特開2000−275434号公報等)、棒状化合物(例えば特開2002−363343号公報、同2003−35821号公報等)、円盤状化合物(1,3,5−トリアジン骨格、ポルフィリン骨格を分子に含有の化合物等:例えば特開2001−166144号公報等)等が好ましい。これらの化合物類は、可視光領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
なお、支持体フィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0乃至0.002であることが好ましい。また、フィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、乃至0.04であることが好ましい。
レターデーション値(Re)は、下記式(VI)に従って算出する。
式(VI) : レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率である。
式(VII)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(VII)は、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率である。nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率である。nzは、フィルムの厚み方向の屈折率である。dは、単位をnmとするフィルムの厚さである。
光学補償フィルムに用いるセルロースアシレートフィルムの厚さは20〜200μmであることが好ましく、30〜120μmであることがより好ましい。
光学補償フィルムを偏光素子の保護フィルムとして用いる場合、すなわち透明支持体上に光学異方性層を形成してから偏光素子と張り合わせる場合には、偏光素子と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
前述のように、視認側偏光板の構成は、「反射防止膜/透明支持体/偏光素子/透明支持体」の積層フィルム、更には「反射防止膜/透明支持体/偏光素子/光学補償フィルム(透明支持体/(配向膜)/光学異方性層)」の積層フィルムとなり、薄膜化、軽量化並びにコスト低減が一層図られる。上側偏光板の上側保護フィルムを反射防止膜が、上側偏光板の下側保護フィルムを光学異方性層を塗設する支持体が兼ねることにより、物理強度、耐候性に優れ、反射防止機能を有し、視認性に優れた、薄くて軽い偏光板を得ることができる。
[下側偏光板]
本発明の液晶セルの下側偏光板(バックライト側偏光板)は、液晶セルと隣接する面と反対側の保護フィルム(透明支持体)側(バックライト側/下側)に輝度向上フィルムを設ける。更に好ましくは、液晶セルと隣接する側の保護フィルム上に、光学補償フィルムを付設してなる態様、すなわち「光学補償フィルム/偏光板/輝度向上フィルム」の態様が挙げられる。
ここで、偏光板、光学補償フィルムは、上記の視認側偏光板(上側偏光板)で記載と同様の内容のものである。
(輝度向上フィルム)
本発明で用いる輝度向上フィルムとしては、自然光を、透過する光と、反射光とに分離する性質を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、自然光を、直線偏光として透過する光と、再利用の可能な円偏光からなる反射光とに分離する性質を有するものや、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する性質を有するもの等が挙げられる。
輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光素子を通して光を入射した場合には、偏光素子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光はほとんど偏光素子に吸収されてしまい、偏光素子を透過してこない。すなわち、用いた偏光素子の特性にもよっても異なるが、およそ50%の光が偏光素子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光素子に吸収される様な偏光方向を有する光を偏光素子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上板に再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光素子を通過し得るような偏光方向になった偏光を輝度向上フィルムは、透過させ、偏光素子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムとしては、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、或はコレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもののような、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものが挙げられる。
前記した所定偏光軸の直線偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光素子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその透過円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。その位相差板としてλ/4板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。具体的には、例えば特開2003−227933号公報等に記載の内容が挙げられる。
例えば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き輝度向上フィルムとして3M社製の「D−BEF」等、或はコレステリック液晶層(特にコレステリック液晶ポリマー)の配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものが、日東電工社製「PCF」、Merck社製「Transmax」等が市販されている。
本発明の液晶表示素子は、上述のように液晶セルの上側に上述した上側の偏光板が、また下側に上述した下側偏光板が配されて形成されており、物理強度、耐候性に優れ、反射防止機能を有し、明るく視認性に優れた、薄くて軽量であると共にコスト低減が図られる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明の液晶表示素子が配置されてなる。
本発明の液晶表示装置は従来公知の何れの構成も用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」((株)シーエムシー、1999年刊)、「フラットパネルディスプレイの新展開」((株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊)、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」(富士キメラ総研(株)、2003年刊)等に記載されているものが挙げられる。
本発明の液晶表示素子が付設された本発明の液晶表示装置としては、バックライトを備えたものが好ましく、具体的には、TNモード、VAモード、IPSモード、OCBモードおよび半透過ECBモードが好ましい。
また、本発明の偏光板は、付設する液晶表示装置表示画像の大きさが20インチ以上であっても、コントラストが良好で広い視野角を有し、かつ色相変化及び外光の移りこみ防止を実現でき、好ましい。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置がが液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
(IPSモード液晶表示装置)
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レタデーションΔn・dは0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。尚、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズヤファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
(その他液晶モード)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で本発明の偏光板を供することが出来る。
(表示装置)
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じて照明システム等の構成部品を適宜に組み合わせて駆動回路を組込むことなどにより形成される。本発明においては、本発明による液晶表示素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。
液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、導光板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に本発明を実施例及び比較例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
<支持体の作製>
(微粒子分散物(RL−1)の調整)
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.2mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径55nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−1)を調製した。
得られた微粒子分散物の粒度分布を測定したところ、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
ここで体積平均粒径は、『粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)』で測定した。
・微粒子分散物(RL−1)組成
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R812」(メチル基変性体、
一次粒径7nm:日本アエロジル(株)) 2.00質量部
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
2.00質量部
下記の分散剤(DP−1) 0.25質量部
メチレンクロライド 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
Figure 2005227472
(セルロースアシレート溶液(A−1)の調整)
下記の組成からなる混合物を攪拌溶解して、セルロースアシレート溶液(A−1)を調整した。
・セルロースアシレート溶液(A−1)組成
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
89.3質量部
トリフェニルホスフェート(logP5.60) 7.1質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(logP7.28)
3.6質量部
下記のUV剤:UV−1 0.5質量部
下記のUV剤:UV−2 0.7質量部
下記のUV剤:UV−3 0.8質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部


Figure 2005227472
(ドープの調製)
セルロースアシレート溶液(A−1)474質量部に、微粒子分散物(RL−1)15.3質量部を攪拌しながら添加し、添加終了後充分に攪拌した後、更に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
(溶液流延方法)
上述のようにセルロースアシレート溶液を調製する工程を行い、得られたドープを、バンド流延機を用いて流延して、セルロースアシレート溶液からセルロースアシレートフィルムを製膜する工程を行った。
金属支持体(流延バンド)としては、ステンレススチールからなり、幅2m、長さ56m(面積112m2)からなるものを用いた。該金属支持体の算術平均粗さ(Ra)は0.006μmで、最大高さ(Ry)は0.06μmであり、また十点平均粗さ(Rz)は0.009μmであった。算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)の各測定は、JIS B 0601に規定によった。
流延されたドープは、流延直後の1秒間は風速0.5m/s以下で乾燥し、それ以降は風速15m/sで乾燥した。乾燥風の温度は50℃であった。
流延バンドから剥ぎ取った時のフィルムの残留溶剤量は230質量%であり、フィルムの温度は−6℃であった。流延から剥ぎ取りまでの間における平均乾燥速度は744質量%/分であった。また、剥ぎ取り時点でのドープのゲル化温度は約10℃であった。
金属支持体上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥風の温度を120℃とした。このときのフィルムの幅方向の温度分布は5℃以下であり、乾燥の平均風速は5m/s、伝熱係数の平均値は25kcal/m2・Hr・℃であり、フィルムの幅方向分布はいずれも5%以内であった。また乾燥ゾーン中におけるピンテンター担持部分は遮風装置により乾燥熱風が直接当らないようにした。
次に、セルロースアシレートフィルムを延伸する工程を行った。すなわち、残留溶剤量が15質量%のフィルムの状態で、130℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外して巻き取りを行った。剥ぎ取りより巻取りまでの間で蒸発した溶剤は初期の溶剤量の97質量%であった。乾燥したフィルムは、さらにローラーで搬送しつつ乾燥させる乾燥工程において145℃の乾燥風により乾燥した後、湿度、温度を調整して巻取り時の残留溶剤量0.35質量%、水分量0.8質量%で巻き取り、透明支持体としてのセルロースアシレートフィルム(CA−1)(長さ3500m、幅1300mm、厚み80μm)を製造した。膜厚の変動幅は±2.4%であった。幅方向のカール値は0.2/mであった。
(フィルム表面の凹凸形状)
得られたセルロースアシレートフィルムCA−1試料のバンド側面の表面形状を測定した。その結果を表1に示す。又、以下の光学特性や力学的特性についても評価したその結果も併せて表1に示す。
(フィルムの光学特性)
・ヘイズ
ヘイズはヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。フィルム1サンプルにつき、5点を測定し、その平均値を採用した。
(力学的特性の評価方法)
・カール
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985、Method−A)に従い測定した。ポリマーフィルムを、幅方向に35mm、長手方向に2mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。そして同様に、ポリマーフィルムを、幅方向に2mm、長手方向に35mmの大きさに切り取った後、カール板に設置する。これを温度25℃、相対湿度65%の環境下に1時間調湿後カール値を読みとる。幅方向、長手方向の二方向で測定し、両者のうちの大きい値をカール値とした。カール値は、曲率半径(m)の逆数で表す。
・引き裂き強度
フィルムを幅65mm×長さ50mmに切断してサンプルを作製する。このサンプルを温度30℃、相対湿度85%の室内で2時間以上調湿し、ISO6383/2−1983の規格に従い、東洋精機製作所製軽荷重引裂強度試験器を用いて、引き裂きに要する荷重(g)を求めた。
(フィルムの性状)
・光学的欠陥
1300mm幅のサンプル5mをクロスニコルに2枚に偏光板を配置して、この間に試料をおいて目視観察により輝度欠陥を評価した。大きさが100μm以上の輝点の数を計測し、1メートル当たりの換算値として表した。
・透湿度
JIS規格JIS Z0208、A条件(25℃/90%RH)で測定した。
Figure 2005227472
<反射防止膜(AF−1)の作製>
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液Aの調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129、石原産業(株)製)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤38.6質量部、およびシクロヘキサノン704.3質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン微粒子分散液Aを調製した。
Figure 2005227472
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液A 88.9質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)58.4質量部、光重合開始剤(イルガキュア907)3.1質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン482.4質量部、及びシクロヘキサノン1869.8質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌して得られた溶液を、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液Aを調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液A:586.8質量部に、DPHA:47.9質量部、イルガキュア907:4.0質量部、カヤキュア−DETX:1.3質量部、メチルエチルケトン455.8質量部、およびシクロヘキサノン1427.8質量部を添加して攪拌して溶液を得た。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
DPHA、1.4質量部、下記構造の含フッ素樹脂(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール18質量%)20.0質量部、反応性シリコーンRMS−033(Gelest(株)製)0.7質量部、下記内容のゾル液a:6.2質量部、及びイルガキュア907:0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌して溶液を得た。得られた溶液を孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2005227472
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(反射防止膜(AF−1)の作製)
上記のロール形態のセルロースアシレートフィルム上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は100℃、2分間とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件はいずれも90℃、1分の後、100℃、1分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
上記の高屈折率層上に、上記低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層(AL−1)を形成し、反射防止膜(AF−1)を作成した。
[比較例1−1]〜[比較例1−3]
実施例1の反射防止膜(AF−1)において、低屈折率層の中空粒子を、実施例1の中空シリカと屈折率がほぼ同じになるように平均粒径及びシェル厚を変えて作製し、それぞれ下記表2に示すように代えた他は実施例1と同様にして、比較例1−1〜1−3の反射防止膜(AFR1)〜(AFR3)を作製した。
Figure 2005227472
(反射防止膜の評価)
実施例1および比較例1−1〜1−3の反射防止フィルムについて以下の評価を行った。結果を表3に示す。尚、ヘイズはセルロースアシレートフィルムにおける評価と同様に行った。
(1)鉛筆硬度
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて以下の基準に従い評価した。
○:n=5の評価において傷が全く認められない
△:n=5の評価において傷が1または2つ
×:n=5の評価において傷が3つ以上
(2)表面エネルギー
表面の耐汚染性(指紋付着性)の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、前記に記載の方法により測定した。
(3)動摩擦係数
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(4)密着性
反射防止膜を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。各反射防止膜の光拡散層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(5)スチルウール擦り耐性
前記露光前後の反射防止膜において、#0000のスチルウールに500g/cm2の荷重をかけ、60往復したときの傷の状態を観察して、以下の3段階で評価した。
A:傷が全く付かない。
B:少し傷が付くが見えにくい。
C:顕著に傷が付く。
(6)色味の均一性
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。
各値は上記の測定点の中央値とし、変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を%表示した。
下記の4段階評価を行った。
○:変化率が10%以下
△:変化率が10%を越える乃至20%未満
×:変化率が21%以上
(7)耐候性
サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)、湿度50%)を用いて、露光時間200時間の各水準の耐候性試験を行った。
(反射率測定、反射光スペクトル)
耐候性試験前後の試料について、傾斜角5°の入射光の反射スペクトルを鏡面反射率の測定方法と同様にして測定し、更に波長380nm〜780nmの波長領域における反射率とCIE色度図反射光の色味を計算することにより、耐候性試験前後の平均反射率変化と色味変化を求め、下記の4段階評価を行った。
(反射光の色味変化ΔE)
◎:ΔEが5以下、
○:ΔEが5〜10、
△:ΔEが10〜15、
×:ΔEが15以上
(8)「鮮明性」
試料をクロスニコルス配置した2枚の偏光板の間に挟み、透過光のムラを目視で観察し官能評価を行った。
○ :全く発生しない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
△ :弱く発生する(10人が評価し、1〜5人が認識するレベル)
× :強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
Figure 2005227472
本発明品である実施例1は、低反射率で膜の力学特性に優れていた。又表示画像の鮮明性及び色味がニュートラルに近くその均一性も良好であった。更に耐候性試験後の特性も良好であった。比較例1−1は、密着性、擦り耐性、画像の鮮明性が低下した。比較例1−2は、膜強度、画像の鮮明性及び色味が低下した。比較例1−3は、密着性、膜強度、画像描画性(鮮明性、色味)並びに耐候性のいずれもが不十分となった。
(反射防止性偏光板(上側偏光板))
上記の反射防止膜(AF−1)の反射防止層の反対側のセルロースアシレートフィルム表面を、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、および288水質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液を塗布して15秒間鹸化処理した。
鹸化処理した支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光素子を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光素子の一方の面に上記反射防止膜(偏光板用表面保護フィルム、AF−1)の鹸化処理したセルロースアシレート面を貼り合わせた。さらに、偏光素子のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(CA−1)を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(光学補償機能付反射防止性偏光板(視認側偏光板/上側偏光板))
ディスコティック構造単位の円盤面が支持体面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルム A 12B、富士写真フィルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を上記のアルカリ鹸化処理と同様の条件で鹸化処理した。
上記の反射防止性偏光板の反射防止層とは反対側のセルロースアシレートフィルムの表面を同様にしてアルカリ鹸化処理した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム及び反射防止性偏光板の各鹸化処理したセルロースアシレートフィルム面を貼り合わせた。
以上の様にして、上側偏光板(SHB−1)を作製した。
(下側偏光板)
上側偏光板で作成した偏光素子と同じ偏光素子にその両面の保護フィルムとして、セルロースアシレートフィルム(CA−1)の片面を上記と同様にしてアルカリ鹸化処理した面にポリビニル系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板を作製した。
次に、作製した偏光板の片面に、25μm厚の光拡散粘着材を貼り合わせた。光拡散粘着材はアクリル系粘着材(屈折率1.47)にシリカ粒子(粒径4μm、屈折率1.44)を50質量%添加し成膜した物でヘイズ88相当品である。次いで、輝度向上フィルム:PCF400(基材は50μm厚PETフィルム、全体厚みは約53μm;日東電工社製)を貼り合わせた。次いで、集光フィルムを蒸着薄膜にて作製した。TiO2 /SiO2 積層枚数15層である。集光フィルムは冷陰極管の輝線スペクトル435、545、610nmに対応し、それぞれを±45度の正面へ集光する特性を有していた。
この偏光板の輝度向上フィルムを設けたのとは反対側のセルロースアシレートフィルム(CA−1)面側の表面、及び光学補償フィルム:ワイドビューフィルム A 12Bの支持体側表面を、上記のアルカリ溶液の塗布鹸化処理で表面処理した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、各鹸化処理した面を貼り合わせた。
以上の様にして、下側偏光板(BHB−1)を作製した。
<液晶表示素子及び液晶表示装置>
(TNモード液晶表示装置)
TNモードで20インチの液晶表示装置:TH−20TA3型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB−1)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。又、またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介して上記のバックライト側偏光板(BHB−1)を貼り付けて、液晶表示素子を得た。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
<液晶表示装置の描画性能>
上記の液晶表示装置について、以下の内容の画像描画性を評価した。その結果を表4に示す。
また、視認側の偏光板偏光板(SHB−1)のAF−1をそれぞれAFR−1、AFR−2、AFR−3にした以外は上述の例と同様にしてそれぞれ視認側偏光板SHB−R1〜SHB−R3を得、これ以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子および液晶表示装置を得た。これを比較例として実施例1と同様に評価した。
(描画画像ムラ)
測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の描画ムラを目視で観察した。
○ :全く発生しない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
△ :弱く発生する(10人が評価し、1〜5人が認識するレベル)
× :強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
(外光写り込み)
外光の映り込みの評価を蛍光灯を用いて行い、目視にて下記4段階評価を行った。
◎:映り込みの変化はあるが全く気にならない
○:映り込みの変化はあるが殆ど気にならない
△:映り込みの変化は気になるが、許容できる
×:映り込みの変化が気になる
(黒表示の色味評価)
液晶表示装置について、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の色味変化を目視で観察した。
◎:全く認められない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
○:僅かに認められる(10人が評価し、1〜2人が認識するレベル)
△:弱く認められる(10人が評価し、3〜5人が認識するレベル)
×:強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
(輝度向上性)
輝度計((株)トプコン製、BM−7)を用いて、正面方向の輝度(cd/m2)を測定した。比較用の試料として、実施例の輝度向上フィルムを用いなかった場合の輝度を測定し、これを基準にして輝度向上比を求めて、下記段階評価を行った。
A:輝度向上比が1.5を越える
B:輝度向上比が1.25以上から1.5未満
C:輝度向上比が1.25未満
又、輝度の均一性を、斜め視覚方向(角度45度)のムラの有無を目視で評価した。
(コントラスト、及び視野角)
液晶表示装置の液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べた。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
(色味変化)
(コントラスト、視野角)の評価方法と同様の装置を用いて、視野角が正面から60度の範囲内における色調の変化の度合いを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
実施例1及び比較例1−1〜1−3の各表示装置について、実施例1と同様にして描画画像の画像品位を評価した。その結果を表4に記載した。
Figure 2005227472
本発明の実施例1は、表示画像の描画性のいずれもが良好であり、輝度ムラの無い、輝度が向上した明るい画像を表示した。比較例1−1は、外光写りこみが低下し、コントラスト性が不十分であった。比較例1−2及び比較例1−3は、画像ムラや外光写りこみ、コントラスト性、色味変化性等が低下した。又、輝度のムラが発生し描画画像の均一性が不十分となった。
以上の様に、本発明のみが明るい鮮明な表示画像を描画できる良好なものであった。
実施例2〜3
実施例1において、視認側偏光板(SHB−1)の反射防止膜の低屈折率層(LL−1)の代わりに下記内容の低屈折率層を用いた他は、実施例1と同様にして視認側偏光板(SHB−2)〜(SHB−3)を作製した。次に、これらの各偏光板(SHB−2及び3)を実施例1と同様にして液晶表示装置に付設した。
得られた偏光板及び表示装置の特性を、実施例1と同様にして評価した。結果を表5に示す。
<低屈折率層>
(低屈折率層(AL−2))
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)130質量部、シリカゾル(シリカ、MEK−ST、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)5質量部、中空シリカ(CS60−IPA、平均粒径60nm、シェル層厚10nm、屈折率 1.31、イソプロパノール20質量%分散液、触媒化成(株)製)15質量部、上記のゾル液a 6質量部、メチルエチルケトン50質量部、およびシクロヘキサノン60質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液を用いて、実施例1の塗布条件と同様にして膜厚100nmの低屈折率層(AL−2)を形成し、更に反射防止性偏光板を作製した。
得られた反射防止性偏光板の反射防止膜の表面は、表面エネルギーが21mN/m、動摩擦係数が0.12であった。
(低屈折率層(AL−3))
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)150質量部、DHPMA:3.5質量部、シリカゾルMEK−ST:5質量部、中空シリカCS60−IPA:15質量部、上記のゾル液a 6質量部、反応性シリコンX22−164C:3質量部、メチルエチルケトン50質量部、およびシクロヘキサノン60質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液を用いて、実施例1の塗布条件と同様にして膜厚100nmの低屈折率層(AL−3)を形成し、更に反射防止性偏光板を作製した。
得られた反射防止性偏光板の反射防止膜の表面は、表面エネルギーが20mN/m、動摩擦係数が0.11であった。
(光学補償機能付反射防止性偏光板(視認側偏光板/上側偏光板))
実施例1の視認側偏光板(SHB−1)における反射防止性偏光板の代わりに、上記の各反射防止性偏光板を用いた他は、実施例1と同様にして視認側偏光板(SHB−2)及び(SHB−3)を作製した。
<OCBモード液晶表示装置>
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。作製したベンド配向セルを挟むように、偏光板(SHB−2)或は(SHB−3)を、光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、セルの視認側に貼り付けた。またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介してバックライト側偏光板(BHB−1)を貼り付けて、本発明の液晶表示素子を得た。視認側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
Figure 2005227472
実施例2及び3について、実施例1と同様にして各性能を調べた。両者ともに、実施例1と同等の良好な性能を示した。
[実施例4]
<反射防止膜(AF−4))の作製>
フジタックTD80UL(富士写真フィルム(株)製)上に、ペルノックスC−4456−S7(ATOを分散したハードコート剤(固形分45%):日本ペルノックス(株)製 商品名)を塗工、乾燥後、紫外線を照射して硬化し、厚み1μmの導電性層を形成した。このフィルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であった。
尚、表面抵抗率は、試料を(25℃/65%RH)の条件下に1時間放置した後、同条件下で三菱化学製 抵抗率計MCP−HT260を用いて測定した。
(防眩性ハードコート層用塗布液)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物:PETA(日本火薬(株)製)50質量部、硬化開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー184 )を2質量部、第1の透光性微粒子としては、アクリル−スチレンビーズ(綜研化学製、粒径3.5μm、屈折率1.55)を5質量部、第2の透光性微粒子としては、スチレンビーズ(綜研化学製、粒径3.5μm、屈折率1.60)を5.2質量部、シランカップリング剤KBM−5103(信越化学工業製)を10質量部、下記の含フッ素樹脂(PF−2)を0.03質量部、これらをトルエン50 質量部と混合して塗工液として調整したものを、上記の導電層付きセルロースアシレートフィルムをロール形態で巻き出してその上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗工、溶剤乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ防眩性ハードコート層を作製した。
Figure 2005227472
上記の防眩性層上に、前記低屈折率層(AL−1)用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、本発明の反射防止膜(AF−4)を作製した。
得られた反射防止膜の平均反射率は2.3%、ヘイズは43%であった。
又、機械的特性、耐久性に関わる実施例1記載の性能について、実施例1と同様にして評価した結果は、実施例1の反射防止膜と同等の良好なものであった。
<防眩性機能付反射防止性偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製した。上記のフィルム(AF−4)の支持体側を実施例1記載と同様にアルカリ水溶液で鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、AF−4の透明基材フィルム(セルロースアシレート)面が偏光素子側となるように偏光素子の片側に貼り付けた。
(光学補償フィルムの作製)
(支持体の作製)
(微粒子分散物(RL−2)の調整)
下記の組成からなる微粒子分散物、微粒子化分散助剤及びビーズ径0.3mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径65nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−2)を調製した。
得られた分散物の分散粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定した。また、分散物の粒度分布を測定した(レーザー解析・散乱粒子径分布測定装置LA−920.堀場製作所製)結果、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
・微粒子分散物(RL−2)組成
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL972」メチル基変性体、
一次粒径16nm:日本アエロジル(株)) 2.20質量部
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/
プロピオネート比1/0.4)
2.00質量部
モノドデシルフォスフェート 0.22質量部
(微粒子化分散助剤)
ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08質量部
酢酸メチル 71.0質量部
メタノール 6.2質量部
アセトン 6.1質量部
エタノール 6.1質量部
1−ブタノール 6.1質量部
下記のセルロースアシレート溶液(A−2)組成に示す成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
・セルロースアシレート溶液(A−2)組成
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/
プロピオネート比1/0.4) 100質量部
トリフェニルホスフェート 7.5質量部
下記構造の可塑剤(logP1.88 ) 4.2質量部
下記構造のUV剤:UV−4 1.0質量部
下記構造のUV剤:UV−5 1.0質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
Figure 2005227472
(レターデーション調整剤溶液)
下記のレターデーション調整剤16質量部、酢酸メチル74.4質量部、メタノール6.4質量部、アセトン6.4質量部、エタノール6.4質量部及びi−ブタノール6.4質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
Figure 2005227472
セルロースアシレート溶液475質量部にレターデーション調整剤溶液36質量部及び無機微粒子分散物(RL−2)14.8質量部を混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
これを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行った後、回転ドラム流延機を用いてドープを流延した。
ドラムはハードクロム鍍金を施しその表面は算術平均粗さ(Ra)が0.010μm、十点平均粗さ(Rz)は0.016μmとした、直径200mm、幅2500mmのものを用いた。
流延方法は実施例1記載のバンド流延と同様の条件で行った。ドラム面上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が50質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、残留溶剤量が40質量%のフィルムをテンターを用いて幅方向に17%延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。この後、130℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA−2)を、厚さ78μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。得られた長尺ロールのセルロースアシレートフィルム(CA−2)の膜厚変動幅は 2.8%で、カール値は0.5/mであり、フィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.003μm、Rz:0.075μm、Ry:0.084μm、Sm:0.20μm
得られたセルロースアシレートフィルム(CA−2)の波長590nmにおけるレターデーション値(Re)は100nm、レターデーション値(Rth)は50nmであった。
(鹸化処理)
セルロースアシレートフィルム(CA−2)上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)をロッドコーターを用いて塗布量12cc/m2で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に15秒滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて純水を3cc/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
アルカリ溶液(S−1)組成
水酸化カリウム 8.55質量部
水 23.235質量部
イソプロパノール 54.20質量部
界面活性剤(K−1:C1429O(CH2CH2O)2OH) 1.0質量部
プロピレングリコール 13.0質量部
消泡剤サーフィノールDF110D(日信化学工業(株)製)
0.015質量部
得られたフィルム表面の水との接触角は37度、表面エネルギー63mN/mであった。
(配向膜の形成)
この表面処理したフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をロッドーコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
配向膜塗布液
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
クエン酸 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
Figure 2005227472
(配向膜面のラビング処理)
次に、環境条件(25℃/45%RH)のもとに、フィルムの長手方向に配向膜面に、市販のラビング布を貼り付けたラビングロールで搬送方向に対し平行にラビング処理を実施した。
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記構造のディスコティック液晶性化合物(DA)41.01質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45質量部、下記構造のフッ素系界面活性剤(F−1)0.40質量部を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液と塗布液とし、これを、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、膜厚2.0μmの光学異方性層を形成し、光学補償フィルム(WV−1)を作製した。
Figure 2005227472
<光学補償機能付反射防止性偏光板(視認側偏光板)>
(視認側偏光板(SHB−4)の作製)
液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルム(WV−1)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、WV−1の透明フィルム支持体が、上記の反射防止膜(AF−4)の偏光素子側となるように反対側に貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB−4)を作製した。
(下側偏光板(BHB−2)の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製した。トリアセチルセルロースフィルムのフジタックTD80ULに鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光素子の両側に貼り付けた。この偏光板の片面に、輝度上昇フィルム「Vikuiti」BEF−RP90/24(住友スリーエム(株)製)を、アクリレート系接着剤を用いて貼り付けた。このようにして下側偏光板(BHB−2)を作製した。
<液晶表示装置>
IPSモードで20インチの液晶表示装置:W20−lc3000型(日立製作所(株)製)に設けられている光学フィルムの代わりに本発明の偏光板(SHB−4)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、視認側に一枚貼り付けた。又、下側には本発明の偏光板(BHB−2)を偏光素子保護フィルムが液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して下側に一枚貼り付けた。
<液晶表示装置の描画性能>
実施例4の表示装置について、実施例1と同様にして描画画像の画像品位を評価した。その結果は、実施例1とほぼ同等の良好な性能を示した。
実施例5
<反射防止膜>
実施例1に記載のセルロースアシレートフィルム(CA−1)上に、、日本ペルノックス(株)製のペルトロンC−4456−S7((固形分45%)ATO分散ハードコート剤、商品名)を塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して、厚み1μmの帯電防止層を形成した。
上記の帯電防止層上に、実施例1の反射防止膜で用いた多層型反射防止膜(ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層)を実施例1と同様にして順次塗設して反射防止膜(AF−5)を作製した。
<光学補償フィルム>
(支持体)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
置換度2.78(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート 7.6質量部
下記構造の可塑剤(logP2.54) 4.0質量部
UV剤:UV−1 1.0質量部
UV剤:UV−2 1.0質量部
微粒子分散物(RL−2)(固形分量として) 0.15質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
Figure 2005227472
(レターデーション調整剤溶液)
下記のレターデーション調整剤17質量部、酢酸メチル74.4質量部、メタノール6.4質量部、アセトン6.4質量部、エタノール6.4質量部及びi−ブタノール6.4質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション調整剤溶液を調製した。
Figure 2005227472
セルロースアシレート溶液464質量部にレターデーション調整剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
バンド流延方法により、実施例1記載と同様のして製膜し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA−3)を、厚さ100μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。
得られたセルロースアシレートフィルム(CA−3)の波長590nmにおけるレターデーション値(Re)は51nm、レターデーション値(Rth)は94nmであった。
(光学補償フィルムの作製)
上記の支持体(CA−3)上に、実施例4と同様にして光学異方性層を設けて光学補償フィルム(WV−2)を作製した。
<光学補償機能付反射防止性偏光板(視認側偏光板)(SHB−5)の作製>
反射防止膜(AF−5)の支持体側表面、及び液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルム(WV−2)の支持体側表面を各々ケン化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で用いた偏光素子の一方には、AF−5の支持体側と、他方にはWV−2の支持体側とをそれぞれ貼り付けた。このようにして視認側偏光板(SHB−5)を作製した。
<下側偏光板(BHB−3)の作製>
実施例1の下側偏光板(BHB−1)において、光学補償フィルムを上記の光学補償フィルム(WV−2)に代えた他は実施例1と同様にして下側偏光板(BHB−3)を作製した。
<液晶表示装置>
VAモードで22インチの液晶表示装置:TH22−LH10型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB−5)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。他方、下側偏光板の代わりに本発明の偏光板(BHB−3)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して一枚貼り付けた。
得られた偏光板、表示装置の各性能について、実施例1と同様にして評価した。それらの結果は、実施例1と同様に良好なものであった。

Claims (12)

  1. 2枚のセル基板から形成される液晶セルの上側と下側に各々偏光板を配置してなり、該偏光板は偏光素子と、偏光素子の上側と下側に各々保護フィルムを配置してなり、且つ下側偏光板に輝度向上フィルムが付設された液晶表示素子において、
    該上側偏光板の上側保護フィルムが、透明支持体と、該透明支持体上に設けられ、該保護フィルムの最上層を構成し且つ該透明支持体の屈折率よりも低屈折率の低屈折率層を有する反射防止膜とを具備してなり、
    上記低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 上記低屈折率層が、上記無機微粒子と、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物と、硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
    一般式[A] : (R10α−Si(X)4-α
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
  3. 上記反射防止膜が、上記低屈折率層と上記透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の高屈折率層を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子。
  4. 上記反射防止膜が、上記低屈折率層と透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の防眩性層を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子。
  5. 上記上側偏光板が、最上面側から上記反射防止膜、上記透明支持体、偏光素子、透明支持体をこの順で有し、該偏光板が積層一体化されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液晶表示素子。
  6. 上記上側偏光板が、さらに、上記液晶セルと隣接する側に光学補償フィルムを具備することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液晶表示素子。
  7. 上記下側偏光板が、液晶セルと隣接する面から、光学補償フィルム、偏光素子、保護フィルム及び輝度向上フィルムを順次積層されてなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液晶表示素子。
  8. 上記透明支持体が、下記式(1)及び(2)を同時に満足する範囲にあるセルロースアシレートと、オクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤と、平均一次粒径3〜100nmの微粒子とを各々少なくとも1種含有してなる、膜厚が20〜120μmのセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液晶表示素子。
    式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
    式(2) : 0≦SA'≦3.0
    (式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
  9. 上記反射防止膜が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の液晶表示素子。
  10. 上記反射防止膜が、耐候性試験前後における該フィルムの波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の液晶表示素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の液晶表示素子が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  12. 更に、バックライトを備えた請求項11記載の液晶表示装置。
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