JP6970882B2 - 製紙用サイズ剤の製造方法及び製紙用サイズ剤 - Google Patents

製紙用サイズ剤の製造方法及び製紙用サイズ剤 Download PDF

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Description

本発明は特定のアミド基を有する縮合物と特定の(メタ)アクリルアミド系共重合体とを含有する製紙用サイズ剤の製造方法、および製紙用サイズ剤に関する。
紙にサイズ性を付与するのに用いられるサイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、スチレン−マレイン酸系サイズ剤、あるいは、スチレン−アクリル系サイズ剤などが良く知られている。
しかしながら、近年、紙の製造工程においては(i)安価填料である炭酸カルシウム利用による抄紙pHの上昇、(ii)古紙使用比率のアップ、(iii)抄紙排水低減のための抄紙系クローズド化により、前記した従来のサイズ剤では効果が発現し難い、あるいは抄紙系の汚れが問題となっている。また、溶存カルシウムイオンの等増加による抄紙用水の硬度上昇により、エマルションサイズ剤粒子の凝集や、パルプ繊維へのサイズ剤の定着不良によるサイズ効果の低下が問題となっている。
これら問題を解決するべく、中性域のpHで適用可能であり、サイズ効果の立ち上り現象がなく、機械的安定性、希釈分散安定性を有するサイズ剤として、特定多価カルボン酸と特定脂肪族アルコールまたはアミンの脱水縮合物及び(メタ)アクリルアミド共重合体を有するエマルションサイズ剤が報告されている(特許文献1)。しかしながらこのエマルションサイズ剤は、近年の抄紙用水硬度への対応を十分に解決するには至っていない。
特定多価カルボン酸と特定脂肪族アルコールまたはアミンの脱水縮合物及び、分散剤からなる紙用サイズ剤が報告されている(特許文献2、3)。しかしながら、いずれも近年の抄紙用水硬度への対応を解決できていない。
特許第6057091号 特開平5−339896号 特開昭61−70094号
上記の(i)〜(iii)が進んだ抄造条件下でも抄紙系内で希釈安定性及びサイズ性に優れ、機械的安定性が良好な製紙用サイズ剤が求められている。本発明は、これら課題を解決した製紙用サイズ剤を提供することを目的とする。
本願発明者らは、前記した課題に鑑みて鋭意検討した結果、特定のアミドを有する縮合物及び特定の(メタ)アクリルアミド系共重合体を含有する製紙用サイズ剤が優れたサイズ効果を発揮し、硬水希釈安定性・機械的安定性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、
(1)縮合物(A)と(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)とを含有する製紙用サイズ剤の製造方法であって、
前記縮合物(A)が、
3〜4価カルボン酸(a1)と、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)とを縮合反応して得られるものであり、
かつ、前記(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
(メタ)アクリルアミド(b1)、カルボキシル基含有単量体(b2)、スルホ基含有単量体(b3)、疎水性単量体(b4)を炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)の存在下に重合して得られるものである
ことを特徴とする製紙用サイズ剤の製造方法、
(2)(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
(メタ)アクリルアミド(b1) 40〜90モル%
カルボキシル基含有単量体(b2) 2〜34モル%
スルホ基含有単量体(b3) 1〜13モル%
疎水性単量体(b4) 2〜30モル%
で重合させることを特徴とする前記(1)に記載の製紙用サイズ剤の製造方法、
(3)炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)が、(b1)〜(b4)の単量体の総モル和に対して0.1〜3.0モル%使用することを特徴とする、前記(2)に記載の製紙用サイズ剤の製造方法、
(4)縮合物(A)と(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)とを含有する製紙用サイズ剤であって、
前記縮合物(A)が、
3〜4価カルボン酸(a1)と、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)の縮合物であり、
かつ、前記(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
(メタ)アクリルアミド(b1)
カルボキシル基含有単量体(b2)
スルホ基含有単量体(b3)
疎水性単量体(b4)
から成る単量体成分の共重合物であって、炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)の存在下で重合させてなることを特徴とする製紙用サイズ剤、
(5)(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
(メタ)アクリルアミド(b1) 40〜90モル%
カルボキシル基含有単量体(b2) 2〜34モル%
スルホ基含有単量体(b3) 1〜13モル%
疎水性単量体(b4) 2〜30モル%
から成る単量体成分の共重合物であることを特徴とする前記(4)に記載の製紙用サイズ剤、
(6)炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)が、(b1)〜(b4)の単量体の総モル和に対して0.1〜3.0モル%含有することを特徴とする、前記(5)に記載の製紙用サイズ剤、
である。
本発明の製造方法によれば、前記(i)〜(iii)による抄紙用水の硬度上昇においても、抄紙系内で希釈安定性及びサイズ性に優れ、機械的安定性が良好な製紙用サイズ剤を提供できる。
本発明の製紙用サイズ剤は、3〜4価カルボン酸(a1)と、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)とを縮合反応して得られる縮合物(A)を、(メタ)アクリルアミド(b1)、カルボキシル基含有単量体(b2)、スルホ基含有単量体(b3)、疎水性単量体(b4)を炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)の存在下に重合して得られる(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を分散剤として、水に分散させることで得られる。
縮合物(A)を構成する3〜4価カルボン酸(a1)としては、3価又は4価のカルボン酸であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、クエン酸、トリカルバリル酸、t−アコニット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。これらの3価又は4価のカルボン酸のカルボキシル基が酸無水物及び又は酸クロライド物、エステル、アミドとなっていてもよい。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。成分(a1)としては、比較的安価である点からクエン酸が好ましい。
炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)としては、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミンであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。アミンとしては第1級アミン又は第2級アミンであることが好ましい。第1級アミンとしては、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、硬化牛脂アルキルアミン等が、第2級アミンとしては、例えば、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジベヘニルアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。成分(a2)としては、サイズ性向上の点から、ジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミンが好ましい。
前記成分(a1)と前記成分(a2)の使用量は、成分(a1)のカルボキシル基1当量に対して、成分(a2)のアミノ基が0.3〜0.8当量であることが好ましい。未反応のカルボキシル基は、カルボキシル基のまま存在していてもよく、カルボキシル基塩を形成していてもよい。カルボキシル基塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩などが挙げられる。
縮合物(A)は、成分(a1)と成分(a2)を通常のアミド化する反応条件で縮合させることができる。例えば、各成分の沸点を考慮して、常圧又は減圧下に110〜180℃で1〜24時間攪拌しながら縮合させればよい。必要に応じて、公知の塩基性又は酸性の触媒や溶剤を用いてもよい。例えば、脱水縮合の場合、酸化ジ−n−ブチルスズ、リン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。また、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤を用いることで共沸脱水して反応を進めてもよい。
このようにして得られた縮合物(A)の融点は100℃以下であることが分散の点から好ましく、30℃以上であることが保存安定性の点から好ましい。
(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を構成する(メタ)アクリルアミド(b1)は、アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミドであり、使用量は(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を構成する単量体の総モル和の40〜90モル%が好ましく、45〜85モル%がさらに好ましい。成分(b1)の使用量が40〜90モル%にあることで、得られる製紙用サイズ剤の分散性や硬水希釈安定性、機械的安定性が優れたものとなる。
カルボキシル基含有単量体(b2)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸あるいはそれらの塩を使用することができる。塩としては特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。これらの中ではイタコン酸又はその塩が好ましい。成分(b2)の使用量は、(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を構成する単量体の総モル和の2〜34モル%の範囲で使用する。成分(b2)の使用量が2モル%〜34モル%にあることで、得られる製紙用サイズ剤の分散性や保存安定性、硬水希釈安定性、機械的安定性が優れたものになる。
スルホ基含有単量体(b3)としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、(メタ)アリルスルホン酸等のスルホン酸系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルの硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルの硫酸エステル等の硫酸エステル系単量体、さらにはこれらの塩が挙げられる。塩としては特に限定されず、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン塩などが挙げられる。これらは一種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中ではスチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸又はその塩が好ましい。成分(b3)の使用量は、(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を構成する単量体の総モル和の1モル%以上であれば、得られる製紙用サイズ剤の硬水希釈安定性が優れたものになるが、コスト面を考慮して1〜13モル%の範囲で使用することが好ましい。
疎水性単量体(b4)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン及び、これらの芳香環に炭素数1〜4のアルキル基を有するスチレン類、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、炭素数6〜22のα−オレフィン類等があげられる。これらの中でも、特に炭素数1から12の(メタ)アクリル酸エステルが分散性の点で好ましい。成分(b4)の使用量は、(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を構成する単量体の総モル和の2〜30モル%が好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。成分(b4)の使用量が2〜30モル%にあることで、得られる製紙用サイズ剤の分散性や保存安定性、硬水希釈安定性に優れたものとなる。
炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)としては、カプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、メルカプトプロピオン酸n-オクチル等のメルカプトプロピオン酸エステル類、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸n-オクチル等のチオグリコール酸エステル類、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、チオフェノール、ナフタレンチオール、トルエンチオール、トリメチロールプロパン−トリス(β−チオプロピオネート)等のメルカプタン類があげられる。これらの中でも、メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、メルカプトプロピオン酸n-オクチル、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ステアリルメルカプタンが好ましい。化合物(b5)のようなメルカプタン系化合物は、一般的にポリマーの末端に導入されると考えられている。メルカプタン系化合物(b5)を使用することにより、疎水的な長鎖アルキル基末端を有するポリマーが生成する。この疎水的なポリマー末端が、同様に疎水的なアルキル基を有する縮合物(A)と(メタ )アクリルアミド系共重合体(B)の親和性を向上させ、分散性や保存安定性、硬水希釈安定性、機械的安定性に優れたものとなると考えられる。
成分(b5)の使用量は、(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の(b1)〜(b4)の単量体の総モル和に対して0.1〜3.0モル%であることで、得られる製紙用サイズ剤の分散性や保存安定性が優れたものとなる。
また、本発明の(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の製造に用いられる単量体として、必要により成分b1の一部を20モル%以下の範囲でメチレンビスアクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、ジビニルベンゼン等の多官能芳香族単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類およびその4級化物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類およびその4級化物、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等のヒドロキシル基含有モノマー、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレンモノアルキル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシアルキレングリセリン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン基含有モノマー等を使用しても良い。
(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の製造方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の各種公知の方法を採用でき、前記単量体を共重合させることにより得られる。溶液重合による場合には、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルイソブチルケトン等の溶媒を使用できる。乳化重合方法で使用する乳化剤としては特に制限はされず各種アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、反応性界面活性剤を使用できる。また、前記重合で使用する重合開始剤としては特に限定はされず、過硫酸塩類、過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤などの各種のものを使用できる。
本発明の製紙用サイズ剤における(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の含有量は、特に限定されないが、縮合物(A)に対し、固形分換算で通常5〜40質量%が分散性の点から好ましい。
縮合物(A)を(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)で水に分散させる方法としては、高圧乳化法、転相乳化法のいずれも採用することができる。高圧乳化法による場合は、分散相を形成する縮合物(A)を溶融させるかあるいは可溶な有機溶剤に溶解させ、ついでこれに(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)を前記使用割合で添加すると同時に温水を混合し、高圧乳化機を使用して乳化した後、そのままで、あるいは溶媒を留去することにより水性分散液を得ることができる。また、転相乳化法による場合は、固形分である縮合物(A)と(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)とを十分混練したのち溶融下、攪拌しながら徐々に温水を滴下し、相反転させることにより溶媒及び特殊な乳化装置を使用することなく水性分散液を得ることができる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製紙用サイズ剤の粒子径及び硬水希釈安定性、機械的安定性、保存安定性は次の方法により測定した。
[平均粒子径]
製紙用サイズ剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラックベル製)で測定した。サンプル約0.01〜0.1gをサンプルコンディショナーに入れ、循環させながら測定を行った。粒子の全体積の累積分布を求め、体積の累積分布が50%となる粒子径(D50)を測定し、平均粒子径とした。平均粒子径が大きい程、分散性が不良である事を示す。
[硬水希釈安定性]
硬水希釈安定性は、製紙用サイズ剤を硬度3000ppmの硬水を用いて固形分1%となるように希釈し、40℃で15時間保持後、分散状態を顕微鏡観察した。評価は、○:分散している、△:一部凝集している、×:凝集している、とした。
[機械的安定性]
機械的安定性は、製紙用サイズ剤50gをマーロン法安定度試験において、20kg/cmの荷重下、温度25℃、回転速度1000rpmで5分間攪拌した後、生成した凝集物を325メッシュ金網でろ過し、下式に従い算出した。この値が大きいほど、粕発生量が多いこととなり、機械的安定性が不良である事を示す。
機械的安定性(%)=(凝集物の絶乾質量/試料サイズ剤の絶乾質量)×100
[保存安定性]
保存安定性は、製紙用サイズ剤を40℃で25日間保存後、330メッシュでろ過した際のろ過残渣の発生量(対製品質量%)で評価した。
◎:1質量%未満、○:1質量%以上〜2.5質量%未満、△:2.5質量%以上〜5質量%未満、×:5質量%以上
[縮合物(A)の製造例]
製造例1
溶融したジ硬化牛脂アルキルアミン(商品名「リポミン2HT」ライオン(株)製)303質量部(0.6モル)にクエン酸無水和物58質量部(0.3モル)を投入し、140〜160℃で15時間、脱水縮合反応を続け、ワックス状脱水縮合物(A1)を得た。縮合物A1の融点59℃、酸価51mgKOH/gであった。
[(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の製造例]
製造例2
1L容器の4つ口フラスコに攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置にイオン交換水128.78質量部、イソプロピルアルコール258.09質量部、濃度50質量%のアクリルアミド水溶液202.54質量部(81モル%)、イタコン酸4.58質量部(2モル%)、純度88質量%のスチレンスルホン酸ナトリウム28.85質量部(7モル%)、2−エチルヘキシルアクリレート3.24質量部(1モル%)、シクロヘキシルメタクリレート26.63質量部(9モル%)、n−ドデシルメルカプタン1.78質量部(重合成分の総モル数に対し0.5モル%)を仕込み、この混合液を攪拌しながら窒素ガス下で60℃まで昇温した。過硫酸アンモニウム(APS)3.61質量部(重合成分の総モル数に対し0.9モル%)を加え、80℃まで昇温し、3時間保持した。次いでイソプロピルアルコールの留去を行い、イオン交換水を加えて固形分25%の(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)の水溶液(B1)を得た。B1の粘度は7300mPa・sであった。
製造例3〜27、比較製造例1〜4
製造例2において用いた成分(b1)〜(b5)及びその他の種類や割合を表1に示す通りに変更した以外は同様の方法で行い、(メタ)アクリルアミド系共重合体水溶液(B2〜B26、RB1〜RB4)を得た。
Figure 0006970882
表中、AAmはアクリルアミド、IAはイタコン酸、SMASはメタリルスルホン酸ナトリウム、AMPSは2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、NaSSはスチレンスルホン酸ナトリウム、2EHAはアクリル酸2−エチルヘキシル、CHMAはメタクリル酸シクロヘキシル、NDMはn−ドデシルメルカプタン、NOMはn−オクチルメルカプタン、2EH3MPは2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、S3MPはステアリル−3−メルカプトプロピオネート、6EGAはヘキサエチレングリコールジアクリレート、METは2−メルカプトエタノールを表す。また、表中の単位は全てmol%であり、成分b1〜b4及びその他の6EGAが合計100mol%、成分b5及びその他のMETは、成分b1〜b4及びその他の6EGA全量に対するmol%である。
[製紙用サイズ剤の調製]
実施例1
製造例1で得られた縮合物A1(120質量部)を加熱溶融し、次いで製造例2で得られた(メタ)アクリルアミド系共重合体B1(120質量部)と温水(70℃)260質量部と混合し、高圧乳化機を使用して分散することにより固形分濃度25%に調整した製紙用サイズ剤C1を得た。
実施例2〜28、比較例1〜3
実施例1において用いた(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)、及び(A)/(B)比率を表2に示す通りに変更した以外は同様の方法で行い、固形分濃度25%の製紙用サイズ剤C2〜C28及び比較用の製紙用サイズ剤RC1〜RC4を調製した。
[製紙用サイズ剤のサイズ性能評価]
カナディアンスタンダードフリーネスが330cm、紙中灰分が15質量%になるように調整した段ボール古紙パルプを用い、製紙用サイズ剤(C1〜C28、RC1〜RC4)を対パルプ乾燥質量で0.20質量%添加し、電導度200mS/mの用水で0.8%に希釈した後、NR12MLS(高分子歩留まり剤、ハイモ社製)を対パルプ乾燥質量で0.03質量%添加した。このパルプスラリーを用いて、ノーブルアンドウッド製シートマシンで坪量80g/mとなるよう手抄きを行い、ドラムドライヤーにて100℃、80秒の条件で乾燥した。得られた紙を23℃、50%RHの恒温恒湿室中で24時間調湿した後、120秒のコブ(Cobb)サイズ度を測定した。結果を表2に示す。120秒コブ(Cobb):JIS P−8140に準拠する。数値が小さいほど、サイズ効果に優れることを示す。
Figure 0006970882
表中、サイズ度は120秒コブ(Cobb)サイズ度(g/cm)の値を記載。
本発明の製紙用サイズ剤の製造方法により得られる製紙用サイズ剤C1〜C28は、本発明の製紙用サイズ剤の製造方法ではない方法で得られた製紙用サイズ剤RC1〜RC4と比較して、製紙用サイズ剤の物性(平均粒子径、保存安定性、硬水希釈安定性、機械的安定性)において優れることが分かる。
また、(メタ)アクリルアミド系共重合体を構成する単量体成分の割合を特定した本発明の製紙用サイズ剤は、分散性・硬水希釈安定性・機械的安定性・サイズ度に優れることが分かる。

Claims (6)

  1. 縮合物(A)と(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)とを含有する製紙用サイズ剤の製造方法であって、
    前記縮合物(A)が、
    3〜4価カルボン酸(a1)と、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)とを縮合反応して得られるものであり、
    かつ、前記(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
    (メタ)アクリルアミド(b1)、カルボキシル基含有単量体(b2)、スルホ基含有単量体(b3)、疎水性単量体(b4)を炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)の存在下に重合して得られるものである
    ことを特徴とする製紙用サイズ剤の製造方法。
  2. (メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
    (メタ)アクリルアミド(b1) 40〜90モル%
    カルボキシル基含有単量体(b2) 2〜34モル%
    スルホ基含有単量体(b3) 1〜13モル%
    疎水性単量体(b4) 2〜30モル%
    で重合させることを特徴とする請求項1に記載の製紙用サイズ剤の製造方法。
  3. 炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)が、(b1)〜(b4)の単量体の総モル和に対して0.1〜3.0モル%使用することを特徴とする、請求項2に記載の製紙用サイズ剤の製造方法。
  4. 縮合物(A)と(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)とを含有する製紙用サイズ剤であって、
    前記縮合物(A)が、
    3〜4価カルボン酸(a1)と、炭素数が6〜22のアルキル基及び/又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(a2)の縮合物であり、
    かつ、前記(メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
    (メタ)アクリルアミド(b1)
    カルボキシル基含有単量体(b2)
    スルホ基含有単量体(b3)
    疎水性単量体(b4)
    から成る単量体成分の共重合物であって、炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)の存在下で重合させてなることを特徴とする製紙用サイズ剤。
  5. (メタ)アクリルアミド系共重合体(B)が、
    (メタ)アクリルアミド(b1) 40〜90モル%
    カルボキシル基含有単量体(b2) 2〜34モル%
    スルホ基含有単量体(b3) 1〜13モル%
    疎水性単量体(b4) 2〜30モル%
    から成る単量体成分の共重合物であることを特徴とする請求項4に記載の製紙用サイズ剤。
  6. 炭素数6〜18を有するメルカプタン化合物(b5)が、(b1)〜(b4)の単量体の総モル和に対して0.1〜3.0モル%含有することを特徴とする、請求項5に記載の製紙用サイズ剤。
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