本発明の紙の製造方法では、まず、サイズ剤およびアルミニウム化合物を互いに衝突するように混合し、その混合物をパルプスラリー(後述)に添加する(添加工程)。
サイズ剤は、樹脂が溶媒に溶解されてなる溶液(樹脂の溶液)、または、樹脂が分散媒に分散されてなる分散液(樹脂の分散液、エマルション)として調製され、好ましくは、樹脂の分散液として調製される。
サイズ剤において、樹脂としては、例えば、ロジン類、ロジン誘導体などのロジン系樹脂が挙げられる。
ロジン類は、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジンであり、また、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、あるいは、その他の化学的に修飾されたロジン、またはこれらの精製物を含む概念である。
また、ロジン誘導体としては、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、あるいは、ロジン変性フェノール類、ロジン類や不飽和カルボン酸で変性したロジン類のカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類などが挙げられる。
ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類と多価アルコールとを、公知のエステル化法により反応させることによって、得ることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタンなどの3価アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの4価アルコール、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコールなどが挙げられる。これら多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。多価アルコールとして、好ましくは、3価アルコール、より好ましくは、グリセリンが挙げられる。
ロジン類と多価アルコール類との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、多価アルコールの水酸基のモル比(OH/COOH)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール類との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
ロジンエステル類の酸価は、通常、0mgKOH/g以上であり、例えば、150mgKOH/g以下、好ましくは、100mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以下である。
不飽和カルボン酸変性ロジン類は、例えば、上記したロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を公知の方法により反応させることによって、得ることができる。
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、および、その酸無水物などが挙げられ、具体的には、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらα,β−不飽和カルボン酸類は、単独使用または2種類以上併用することができる。α,β−不飽和カルボン酸類として、好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。
ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との配合割合は、ロジン類1モルに対して、α,β−不飽和カルボン酸類が、例えば、1モル以下である。また、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、1〜24時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
不飽和カルボン酸変性ロジン類の酸価は、例えば、100mgKOH/g以上、好ましくは、150mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、400mgKOH/g以下である。
不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類に、上記した多価アルコール類、および、上記したα,β−不飽和カルボン酸類を順次または同時に反応させることにより、得ることができる。
上記成分を順次反応させる場合は、まず、ロジン類と多価アルコールとを反応させ、その後、α,β−不飽和カルボン酸類を反応させるか、または、まず、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とを反応させ、その後、多価アルコールを反応させる。ロジン類と多価アルコールとのエステル化反応や、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との変性反応における反応条件は、上記と同様とすることができる。
また、ロジン誘導体としては、さらに、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
ロジンのアミド化合物は、例えば、上記したロジン類と、アミド化剤とを反応させることによって、得ることができる。
アミド化剤としては、例えば、1級および/または2級ポリアミン化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
1級および/または2級ポリアミン化合物は、1分子中に1級および/または2級アミノ基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との縮合反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリアミン化合物として、具体的には、例えば、エチレンジアミン、N−エチルアミノエチルアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミンなどの鎖状ジアミン類、例えば、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)−プロパン、ホモピペラジンなどの環状ジアミン類、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどのポリアミン類、さらには、これらのハロゲン化水素酸塩などが挙げられる。
これら1級および/または2級ポリアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオキサゾリン化合物は、1分子中にポリオキサゾリン環を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。
これらポリオキサゾリン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加縮合脱炭酸反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)、4,4’−トルイジンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)など)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどのジイソシアネート、さらには、これらの誘導体(例えば、多量体、ポリオール付加体など)などが挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらアミド化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン類とアミド化剤との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、アミド化剤の活性基(1級および/または2級アミノ基、ポリオキサゾリン環、イソシアネート基)のモル比(OH/活性基)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール類との反応では、反応温度が、例えば、120〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
ロジンのアミン塩は、ロジン類に含有されるカルボキシル基を、3級アミン化合物で中和することにより、得ることができる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−4アルキルアミン、例えば、モルホリンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。
これら3級アミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらロジン系樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン系樹脂として、好ましくは、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類が挙げられ、さらに好ましくは、ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の併用が挙げられる。
ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類が併用される場合、それらの割合は、ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の総量100質量部に対して、ロジンエステル類が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。また、不飽和カルボン酸変性ロジン類が、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
なお、樹脂としては、上記したロジン系樹脂に限定されず、サイズ剤として公知の樹脂が挙げられる。サイズ性の向上を図る観点から、好ましくは、ロジン系樹脂が挙げられる。
そして、上記の樹脂が、溶媒に溶解、または、分散媒に分散されることにより、サイズ剤が得られる。例えば、ロジン系樹脂が、溶媒に溶解、または、分散媒に分散されることにより、ロジン系サイズ剤が得られる。
樹脂の溶液または分散液において、溶媒または分散媒としては、例えば、水、アルコール類、グリコール類などが挙げられる。これら溶液または分散液は、単独使用または2種類以上併用することができる。溶液または分散液として、好ましくは、水が挙げられる。
また、サイズ剤は、好ましくは、分散液として調製される。すなわち、上記分散媒に上記樹脂を分散させることにより、樹脂の分散液としてサイズ剤を得ることができる。
より具体的には、樹脂の分散液は、例えば、溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法、転相乳化法、あるいはその他の公知の乳化法により製造される。
乳化法は、特に制限されないが、例えば、特開2008−303269の段落番号[0024]〜[0025]に記載の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、溶剤型乳化法では、まず、樹脂を、例えば、メチレンクロライドなどの塩素系炭化水素溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、メチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、その他、樹脂を溶解可能な溶剤などの有機溶剤に溶解させ、樹脂溶液を得る。
次いで、別途、分散剤(乳化剤(後述))および水を混合および溶解させた分散液を用意し、その分散液と上記の樹脂溶液とを予備混合して、粗粒子の水性エマルション(予備乳化物)を調製する。その後、得られた水性エマルションを、各種ミキサー、コロイドミル、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いて微細乳化した後、常圧または減圧下で加熱しながら、有機溶剤を除去する。
また、無溶剤乳化法では、例えば、常圧または加圧下で、溶融した樹脂と分散液とを予備混合し、粗粒子の水性エマルションを調製した後、各種乳化機を用いて上記と同様に微細乳化させる。
また、転相乳化法では、常圧または加圧下で樹脂を加熱溶融した後、撹拌しながら分散液を徐々に加えることにより、まず、油中水型エマルションを得た後、その水中油型エマルションに相反転させる。なお、この方法は、溶剤法、無溶剤法いずれの方法でも採用することができる。
上記の方法において、分散剤(乳化剤)としては、特に制限されないが、例えば、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤、両性分散剤、合成高分子系分散剤などが挙げられる。
アニオン性分散剤としては、例えば、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられ、金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
カチオン性分散剤としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
ノニオン性分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。
両性分散剤としては、例えば、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとアルキルアミンまたはジアミンとの生成縮合物の硫酸化、あるいはスルホン酸化付加物などが挙げられる。
合成高分子系分散剤としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、 (メタ)アクリル酸エステル類、アクリルアミド、酢酸ビニル、カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸など)、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの重合性モノマーを、2種以上重合させて得られる重合体を、水に分散または可溶化させた水分散性重合体や、例えば、スチレン類と、アクリル酸またはメタクリル酸のアミノアルキルエステルとを共重合反応させ、カチオン化処理した水分散性または水溶性重合体などが挙げられ、具体的には、スチレン、水性(メタ)アクリル酸エステル、水性(メタ)アクリルアミドなどを共重合させて得られる水性アクリルポリマー(好ましくは、水性スチレン−アクリルポリマー)が挙げられる。
また、分散剤として、保護コロイド剤を用いることもできる。
保護コロイド剤としては、例えば、カチオン性保護コロイド剤、アニオン性保護コロイド剤などが挙げられる。
アニオン性保護コロイド剤としては、例えば、アニオン変性澱粉、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、アニオン変性多糖類、アニオン変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
カチオン性保護コロイド剤としては、例えば、カチオン変性澱粉、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ジシアンジアミド樹脂、ポリアミノポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、アルキレンポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリ(ジアリルアミン)−エピクロルヒドリン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド樹脂などが挙げられる。
これら分散剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分散剤として、サイズ性の観点から、好ましくは、アニオン性分散剤、合成高分子系分散剤、アニオン性保護コロイド剤、カチオン性保護コロイド剤が挙げられ、より好ましくは、合成高分子系分散剤、アニオン性保護コロイド剤が挙げられる。
また、合成高分子系分散剤として、好ましくは、水性スチレン−アクリルポリマーが挙げられ、より好ましくは、水性スチレン−(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、さらに好ましくは、原料(重合性モノマー)としてカルボン酸を含有する水性スチレン−アクリルポリマーが挙げられる。
原料(重合性モノマー)としてカルボン酸を含有する水性アクリルポリマーの酸価は、例えば、150mgKOH/g以上、好ましくは、200mgKOH/g以上、より好ましくは、250mgKOH/g以上、さらに好ましくは、300mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、450mgKOH/g以下、より好ましくは、400mgKOH/g以下である。
水性スチレン−アクリルポリマーの酸価が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
樹脂と分散剤との配合割合は、特に制限されないが、例えば、樹脂100質量部に対して、分散剤が、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、得られるサイズ剤(樹脂の溶液または分散液)の固形分濃度(樹脂および分散剤の総濃度)は、例えば、30質量%以上、好ましくは、35質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。
また、サイズ剤(樹脂の溶液または分散液)を、さらに、希釈して用いることもできる。このような場合、サイズ剤の固形分濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
サイズ剤の固形分濃度が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、樹脂の分散液が得られる場合、その平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上、より好ましくは、0.3μm以上であり、例えば、1.0μm以下、好ましくは、0.5μm以下である。
なお、平均粒子径は、粒度分布計などにより測定することができる。
アルミニウム化合物は、サイズ剤を紙に定着させるための定着剤であって、例えば、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などの水溶性アルミニウム化合物が挙げられる。
これらアルミニウム化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルミニウム化合物として、取扱性、入手容易性およびコスト性の観点から、好ましくは、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)が挙げられる。
また、アルミニウム化合物は、好ましくは、アルミニウム化合物が溶媒に溶解されてなる溶液(アルミニウム化合物の溶液)、または、アルミニウム化合物が分散媒に分散されてなる分散液(アルミニウム化合物の分散液)として、調製される。
アルミニウム化合物の溶液または分散液において、溶媒または分散媒としては、例えば、水、アルコール類などが挙げられ、好ましくは、水が挙げられる。
アルミニウム化合物の溶液または分散液は、アルミニウム化合物と、溶媒または分散媒とを公知の方法で混合することにより、得ることができる。
アルミニウム化合物の溶液または分散液において、アルミニウム化合物の濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
アルミニウム化合物の濃度が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
そして、添加工程では、まず、上記サイズ剤と上記アルミニウム化合物とを混合する。
サイズ剤とアルミニウム化合物との混合において、アルミニウム化合物の固形分の質量割合は、サイズ剤の固形分の質量(樹脂および分散剤の総質量)に対して、例えば、0.1倍以上、好ましくは、0.5倍以上、より好ましくは、1倍以上であり、例えば、20倍以下、好ましくは、10倍以下、より好ましくは、5倍以下である。
サイズ剤とアルミニウム化合物との質量割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間は、サイズ剤およびアルミニウム化合物が衝突(接触)してからパルプスラリー(後述)に添加されるまでの時間であり、例えば、0.1秒以上、好ましくは、0.5秒以上、より好ましくは、1秒以上、さらに好ましくは、3秒以上であり、例えば、50秒以下、好ましくは、40秒以下、より好ましくは、30秒以下、さらに好ましくは、20秒以下、とりわけ好ましくは、10秒以下である。
サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、この添加工程において、サイズ剤およびアルミニウム化合物は、滞留することなく混合される。
なお、本発明において、滞留しない状態とは、流体が上流から下流に向かって不可逆的に流れ、所定範囲に留まらない状態を示す。また、本発明において、滞留する状態とは、例えば、流体が所定の領域を循環する状態や、例えば、流体が所定の領域に貯留される状態など、流体が所定範囲に留まる状態を示す。
サイズ剤およびアルミニウム化合物が、滞留することなく混合され、その混合物が後述するパルプスラリーに添加されることにより、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
サイズ剤およびアルミニウム化合物を滞留することなく混合させるには、例えば、図1に示されるように、サイズ剤とアルミニウム化合物とを、それぞれ別の配管中に流し、それらを合流させる。
つまり、サイズ剤が流れる第1の流れと、アルミニウム化合物が流れる第2の流れとを合流させ、それらが混合した流れを生じさせる。
そして、詳しくは後述するが、混合した流れと、パルプスラリーが流れる第3の流れとを、さらに合流させることにより、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物を、パルプスラリーに添加する。
より具体的には、図1Aにおいて、混合添加装置1は、サイズ剤を輸送するための第1輸送管2と、アルミニウム化合物を輸送するためのアルミニウム輸送管3と、パルプスラリー(後述)を輸送するためのパルプスラリー輸送管4とを備えている。
第1輸送管2は、円管形状を有するストレート管からなり、上流側端部が、サイズ剤を貯留するサイズ剤タンク(図示せず)に接続され、また、下流側端部が、パルプスラリー輸送管4に対して略直角となるように、接続されている。
第2輸送管3は、円管形状を有するストレート管からなり、上流側端部が、アルミニウム化合物を貯留するアルミニウム化合物タンク(図示せず)に接続され、また、下流側端部が、第1輸送管2の流れ方向途中部分において、第1輸送管2に対して略直角となるように、接続されている。
パルプスラリー輸送管4は、円管形状を有するストレート管からなり、製紙プラントにおいて、紙の原料であるパルプスラリーを、後述する抄紙工程へ向けて輸送するために、設けられている。
このような混合添加装置1では、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間が、上記した範囲となり、また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合割合が上記した範囲となるように、第1輸送管2のサイズ、第2輸送管3のサイズ、第1輸送管2に対する第2輸送管3の接続位置、サイズ剤の流量、アルミニウム化合物の流量などが、それぞれ設計される。
より具体的には、第1輸送管2の開口断面積は、例えば、0.8cm2以上であり、例えば、80cm2以下である。
また、第2輸送管3の開口断面積は、例えば、0.8cm2以上であり、例えば、80cm2以下である。
そして、第2輸送管3の開口断面積に対する、第1輸送管2の開口断面積の比率(第1輸送管2の開口断面積/第2輸送管3の開口断面積)は、例えば、1.0以上であり、例えば、100以下である。
また、サイズ剤の流量は、例えば、0.1L/min以上、好ましくは、1.0L/min以上であり、例えば、7000L/min以下、好ましくは、700L/min以下である。
また、アルミニウム化合物の流量は、例えば、0.1L/min以上、好ましくは、1.0L/min以上であり、例えば、70000L/min以下、好ましくは、7000L/min以下である。
また、アルミニウム化合物の流量に対するサイズ剤の流量の比率(サイズ剤の流量/アルミニウム化合物の流量)は、例えば、0.001以上、好ましくは、0.01以上であり、例えば、400以下、好ましくは、40以下である。
そして、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の流量は、例えば、0.2L/min以上、好ましくは、2.0L/min以上であり、例えば、77000L/min以下、好ましくは、7700L/min以下である。
また、第1輸送管2および第2輸送管3の接続部分から、パルプスラリー輸送管4までの長さ(図1Aの矢印L参照)が、例えば、0.2m以上、好ましくは、0.5m以上であり、例えば、10m以下、好ましくは、5m以下である。
そして、このような混合添加装置1では、第1輸送管2にサイズ剤が供給されるとともに、第2輸送管3にアルミニウム化合物が供給される。
これにより、第1輸送管2と第2輸送管3との接続部分に向けて、サイズ剤およびアルミニウム化合物が輸送される。そして、第1輸送管2と第2輸送管3との接続部分およびその下流側において、サイズ剤とアルミニウム化合物とが、互いに衝突するように、滞留することなく混合される。
このようにして得られたサイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物は、第1輸送管2を通過し、パルプスラリー輸送管4に供給され、抄紙前のパルプスラリーに添加される。
パルプスラリーとしては、特に制限されず、公知のパルプスラリーが用いられる。
具体的には、パルプスラリーを構成するパルプ繊維としては、製紙用に通常使用される公知のパルプ繊維が挙げられ、より具体的には、例えば、針葉樹パルプ(NBKP)、広葉樹パルプ(LBKP)などの木材パルプ、例えば、脱墨パルプ(DIP)、例えば、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラ等のなど木材パルプ、例えば、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などが挙げられる。これらパルプ繊維は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、パルプスラリーは、公知の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、填料、染料、紙力増強剤(ポリアクリルアミド系紙力増強剤など)、歩留り向上剤(ポリアクリルアミド系歩留り向上剤など)、消泡剤などが挙げられる。これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このようなパルプスラリーに対する、上記混合物(サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物)の添加量は、パルプスラリーの流量、および、混合物の流量を設定することにより、適宜調整される。
パルプスラリーに対するサイズ剤およびアルミニウム化合物の添加量は、パルプスラリー中のパルプ質量に対して、サイズ剤(固形分)が、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、1.0質量%以下、好ましくは、0.5質量%以下である。また、アルミニウム化合物(固形分)が、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。
サイズ剤およびアルミニウム化合物の添加量が上記範囲であれば、サイズ性に優れる紙を得ることができる。
なお、パルプスラリーに、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物を添加する場合、混合物中のサイズ剤とアルミニウム化合物との含有割合によっては、サイズ剤またはアルミニウム化合物のいずれか一方の添加量のみが上記範囲内となり、他方の添加量が上記範囲外(すなわち、上記範囲未満)となる場合がある。
そのような場合、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物とは別途、サイズ剤またはアルミニウム化合物を、パルプスラリーに添加することができる。サイズ剤またはアルミニウム化合物の添加量は、サイズ剤およびアルミニウム化合物の両方の総添加量(すなわち、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の添加量と、別途添加されるサイズ剤またはアルミニウム化合物の添加量との合計)が上記範囲となるように、適宜設定される。また、添加のタイミングは、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物が添加される前でもよく、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の添加後でもよく、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の添加と同時でもよい。
次いで、この方法では、上記の添加工程の後、パルプスラリーを抄紙する(抄紙工程)。
抄紙の方法としては、特に制限されず、例えば、円網抄紙、長網抄紙、短網抄紙、ツインワイヤー抄紙などの連続抄紙法、例えば、手漉抄紙などのバッチ式抄紙法など、公知の方法を採用することができ、これにより、紙を得ることができる。
そして、このような紙の製造方法では、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、滞留することなく混合され、その混合物がパルプスラリーに添加されるため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、上記の紙は、上記の紙の製造方法により得られるため、優れたサイズ性を有する。
なお、混合添加装置1は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、適宜変更することができる。
例えば、上記した説明では、第1輸送管2に対して第2輸送管3が略直角となるように、第1輸送管2および第2輸送管3を接続したが、例えば、第1輸送管2に対して第2輸送管3が非直角となるように、第1輸送管2および第2輸送管3aを接続することもできる(図1Aの破線および2点鎖線参照)。
このような場合、好ましくは、サイズ剤の流れ方向と、アルミニウム化合物の流れ方向とが互いに逆らわないように、換言すれば、サイズ剤の流れに対して、アルミニウム化合物が逆流しないように、第1輸送管2に対して第2輸送管3aを接続する(図1Aの破線参照)。
つまり、図1Bに示すように、第2輸送管3a中のアルミニウム化合物の流れベクトルVaを、第1輸送管2中のサイズ剤の流れベクトルに対して垂直なベクトル成分Va1と、サイズ剤の流れベクトルに対して平行なベクトル成分Va2とに分解したとき、サイズ剤の流れベクトルVsと逆方向のベクトル成分が生じないように、換言すれば、サイズ剤の上流方向へ向かうベクトル成分が生じないように、第1輸送管2および第2輸送管3aが接続される。
より具体的には、第2輸送管3a中のアルミニウム化合物の流れベクトルVaを、第1輸送管2中のサイズ剤の流れベクトルに対して垂直なベクトル成分Va1と、サイズ剤の流れベクトルに対して平行なベクトル成分Va2とに分解したとき、ベクトル成分Va1のみが生じるか、または、ベクトル成分Va1とベクトル成分Va2とが生じる場合、ベクトル成分Va2がベクトル成分Vsと同一方向となるように、第1輸送管2および第2輸送管3aが接続される。
これにより、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、第1輸送管2および第2輸送管3の接続部分およびその下流側において、滞留することなく混合される。
なお、例えば、アルミニウム化合物の流れ方向が、サイズ剤の流れ方向に対して逆らうように、第1輸送管2に対して第2輸送管3bを接続することもできる(図1Aの2点鎖線参照)。
しかし、このような場合、図1Bに示すように、第2輸送管3b中のアルミニウム化合物の流れベクトルVbを、第1輸送管2中のサイズ剤の流れベクトルに対して垂直なベクトル成分Vb1と、サイズ剤の流れベクトルに対して平行なベクトル成分Vb2とに分解したとき、ベクトル成分Vb2が、サイズ剤の流れベクトルsとは逆方向となるように、換言すれば、サイズ剤の上流方向へ向かうベクトル成分が生じるように、第1輸送管2および第2輸送管3bが接続される。
このような場合には、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、第1輸送管2および第2輸送管3bの接続部分およびその近傍において滞留する場合があるため、好ましくない。
また、上記した説明では、パルプスラリー輸送管4に対して第1輸送管2が略直角となるように、パルプスラリー輸送管4および第1輸送管2を接続したが、上記した第1輸送管2および第2輸送管3の接続と同様、パルプスラリー輸送管4に対して第1輸送管2がが非直角となるように、パルプスラリー輸送管4および第1輸送管2を接続することもできる(図示せず)。
このような場合、好ましくは、パルプスラリーの流れ方向と、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の流れ方向とが互いに逆らわないように、換言すれば、パルプスラリーの流れに対して、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物が逆流しないように、パルプスラリー輸送管4に対して第1輸送管2を接続する。
つまり、詳しくは図示しないが、第2輸送管3中のサイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の流れベクトルを、パルプスラリー輸送管4中のパルプスラリーの流れベクトルに対して垂直なベクトル成分と、パルプスラリーの流れベクトルに対して平行なベクトル成分とに分解したとき、パルプスラリーの流れベクトルと逆方向のベクトル成分が生じないように、換言すれば、パルプスラリーの上流方向へ向かうベクトル成分が生じないように、パルプスラリー輸送管4および第1輸送管2が接続される。
より具体的には、第2輸送管3中のサイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物の流れベクトルを、パルプスラリー輸送管4中のパルプスラリーの流れベクトルに対して垂直なベクトル成分と、パルプスラリーの流れベクトルに対して平行なベクトル成分とに分解したとき、パルプスラリーの流れベクトルに対して垂直なベクトル成分のみが生じるか、または、パルプスラリーの流れベクトルに対して垂直なベクトル成分と、パルプスラリーの流れベクトルに対して平行なベクトル成分とが生じる場合、パルプスラリーの流れベクトルに対して平行なベクトル成分が、パルプスラリーの流れベクトルと同一方向となるように、パルプスラリー輸送管4および第1輸送管2が接続される。
これにより、パルプスラリーと、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物とが、パルプスラリー輸送管4および第1輸送管2の接続部分およびその下流側において、滞留することなく混合される。
また、上記した説明では、第1輸送管2の途中部分に第2輸送管3の下流側端部を接続し、第1輸送管2内においてサイズ剤およびアルミニウム化合物を混合しているが、例えば、第1輸送管2の下流側端部を、第2輸送管3の途中部分に接続し、また、第2輸送管3の下流側端部を、パルプスラリー輸送管4に接続することもできる。
このような場合、第2輸送管3内においてサイズ剤およびアルミニウム化合物が混合され、その混合物が、第2輸送管3の下流側端部から、パルプスラリー輸送管4に供給される。
また、このような場合も、上記と同様、好ましくは、第1輸送管2が、第2輸送管3に対して略直角となるように、接続される。
また、混合添加装置1においては、例えば、図2に示されるように、第1輸送管2および第2輸送管3の接続部分よりも下流側の第1輸送管2に、スタティックミキサーなどの静的混合器5を介在させることもできる。
このような場合にも、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間が、上記した範囲となり、また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合割合が上記した範囲となるように、第1輸送管2のサイズ、第2輸送管3のサイズ、第1輸送管2に対する第2輸送管3の接続位置、静的混合装置5のサイズ、サイズ剤の流量、アルミニウム化合物の流量などが、それぞれ設計される。
このような方法でも、サイズ剤およびアルミニウム化合物を、互いに衝突するように、滞留することなく混合し、その混合物をパルプスラリーに添加することができる。そのため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、例えば、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合では、図3に示されるように、漏斗状の混合添加器具を用いることもできる。
より具体的には、図3において、混合添加器具6は、漏斗状に形成されており、鉛直方向に添って延びる管部8と、管部8の鉛直方向上側において、管部8から連続するように接続される逆円錐部7とを備えている。このような混合添加器具6は、通常、パルプスラリー(図示せず)の鉛直方向上側に配置される。
そして、この混合添加器具6では、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、逆円錐部7に同時に供給される。このような場合、サイズ剤およびアルミニウム化合物は、重力に従って逆円錐部7から管部8に輸送され、管部8において互いに衝突するように、滞留することなく混合される。
その後、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物は、重力に従って管部8を通過し、鉛直方向下方のパルプスラリー(図示せず)に添加される。
なお、混合添加器具6では、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間(すなわち、サイズ剤およびアルミニウム化合物が衝突してから、パルプスラリーに添加されるまでの時間)が、上記した混合時間の範囲となり、また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合割合が上記した混合割合の範囲となるように、管部8のサイズ、サイズ剤の供給量、アルミニウム化合物の供給量などが、それぞれ設計される。
例えば、管部8の鉛直方向上端部から、パルプスラリーの液面までの長さ(図3の矢印L参照)が、例えば、0.05m以上、好ましくは、0.1m以上であり、例えば、3m以下、好ましくは、1m以下である。
このような方法でも、サイズ剤およびアルミニウム化合物を、互いに衝突するように、滞留することなく混合し、その混合物をパルプスラリーに添加することができる。そのため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合では、例えば、図4に示されるように、サイズ剤およびアルミニウム化合物を吐出しながら混合させる装置を用いることもできる。
より具体的には、図3において、吐出混合添加装置11は、サイズ剤を吐出可能とする第1吐出器12と、アルミニウム化合物を吐出可能とする第2吐出器13とを備えている。
第1吐出器12および第2吐出器13としては、サイズ剤およびアルミニウム化合物を吐出可能であれば、特に制限されず、公知の噴射ノズルなどが挙げられる。
また、第1吐出器12の吐出口、および、第2吐出器13の吐出口は、第1吐出器12から吐出されるサイズ剤の軌道線(図4の破線矢印参照)と、第2吐出器13から吐出されるアルミニウム化合物の吐出の軌道線(図4の破線矢印参照)とが、互いに交わるように、鉛直方向に対して所定の角度で配置されている。
このような吐出混合添加装置11は、通常、パルプスラリー(図示せず)の鉛直方向上方に配置される。
そして、この吐出混合添加装置11では、第1吐出器12からサイズ剤が吐出されるとともに、第2吐出器13からアルミニウム化合物が吐出される。これにより、第1吐出器12から吐出されるサイズ剤の軌道線(図4の破線矢印参照)と、第2吐出器13から吐出されるアルミニウム化合物の吐出の軌道線(図4の破線矢印参照)との交点において、サイズ剤およびアルミニウム化合物は、互いに衝突するように、滞留することなく混合される。
その後、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物は、重力に従って落下し、鉛直方向下方のパルプスラリー(図示せず)に添加される。
なお、吐出混合添加装置11では、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合時間(すなわち、サイズ剤およびアルミニウム化合物が衝突してから、パルプスラリーに添加されるまでの時間)が、上記した範囲となり、また、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合割合が上記した範囲となるように、サイズ剤の吐出量および吐出速度、アルミニウム化合物の吐出量および吐出速度などが、それぞれ設計される。
例えば、サイズ剤およびアルミニウム化合物の衝突位置(吐出の軌道線の交点)から、パルプスラリーの液面までの長さ(図4の矢印L参照)が、例えば、0.1m以上、好ましくは、0.2m以上であり、例えば、0.6m以下、好ましくは、0.3m以下である。
このような方法でも、サイズ剤およびアルミニウム化合物を、互いに衝突するように、滞留することなく混合し、その混合物をパルプスラリーに添加することができる。そのため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
上記した方法中、工業的には、好ましくは、図1および図2の形態、より好ましくは、図1の形態が挙げられる。すなわち、好ましくは、サイズ剤が流れる第1の流れと、アルミニウム化合物が流れる第2の流れとを合流させ、それらが混合した流れを生じさせる。そして、混合した流れと、パルプスラリーが流れる第3の流れとを、さらに合流させることにより、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物を、パルプスラリーに添加する。
これらに対して、従来の紙の製造方法のように、サイズ剤およびアルミニウム化合物が混合されない場合や、混合時においてサイズ剤およびアルミニウム化合物が滞留する場合には、上記の優れた効果を奏することができない。
より具体的には、例えば、図5に示されるように、パルプスラリー輸送管4に対して、サイズ剤を輸送するための第1輸送管2と、アルミニウム化合物を輸送するためのアルミニウム輸送管3とが、別々に接続される場合には、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、互いに直接衝突するように混合されず、別々にパルプスラリーに添加される。そのため、このような方法では、上記の優れた効果を奏することができない。
また、図6に示されるように、パルプスラリーの輸送ライン14の途中において、アルミニウム化合物を添加するための第1添加槽15と、サイズ剤を添加するための第2添加槽16とを、それぞれ別々に設ける場合にも、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、互いに衝突するように混合されず、別々にパルプスラリーに添加される。そのため、上記の優れた効果を奏することができない。
また、図7に示されるように、アルミニウム化合物とサイズ剤とが、1つの添加槽17に添加される場合であっても、アルミニウム化合物とサイズ剤とが、互いに衝突しないように同時または順次添加される場合には、上記の優れた効果を奏することができない。
さらに、図8に示されるように、公知のミキサーや撹拌装置などの動的混合装置20を用いて、サイズ剤およびアルミニウム化合物を混合する場合には、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、混合時において滞留される。そのため、混合物が凝集および破壊され、上記の優れた効果を奏することができない。
これらに対して、本発明の紙の製造方法では、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、互いに衝突するよう、かつ、滞留することなく混合され、その混合物がパルプスラリーに添加されるため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、得られる紙は、上記の紙の製造方法により得られるため、優れたサイズ性を有する。
そのため、上記の方法により得られた紙は、例えば、電子写真用紙、インクジェット用紙、印刷用紙、筆記用紙、図画用紙、新聞紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、板紙、厚紙などとして、好適に用いることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<ロジン系樹脂>
製造例1(マレイン酸変性ロジンの製造)
攪拌機、温度計、環流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、窒素ガス導入下でトール油ロジン(酸価170mgKOH/g)1000部を仕込んで165℃まで昇温した後、無水マレイン酸100部を添加した。そして、200℃まで昇温し、2時間反応させることにより、マレイン酸変性ロジンを得た。
得られたマレイン酸変性ロジンの酸価は235mgKOH/g、軟化点は118℃(環球法)であった。
製造例2(ロジンエステルの製造)
上記製造例1と同様の四つ口フラスコに、窒素ガス導入下でトール油ロジン(酸価170mgKOH/g)887部を仕込んで、180℃まで昇温した後、グリセリン83部を添加した。そして、250℃まで昇温し、6時間エステル化反応させることにより、ロジンエステル(グリセリンエステル)を得た。
得られたロジンエステル(グリセリンエステル)の酸価は35mgKOH/g以下、軟化点は85℃(環球法)であった。
製造例3(混合ロジン系樹脂の製造)
製造例2のロジンエステル30部と、製造例1のマレイン酸変性ロジン70部とを混合し、ロジン系樹脂の混合物(以下、混合ロジン系樹脂)を得た。
<分散剤(乳化剤)の合成>
合成例1(分散剤Aの合成)
メタクリル酸30部、アクリル酸n−ブチル30部、スチレン40部、および、連鎖移動剤としてN−ドデシルメルカプタン3部を混合して、重合性モノマーの混合物を用意した。
また、これとは別に、過硫酸カリウム4を水100部に溶解して、重合開始剤水溶液を用意した。
そして、攪拌機、温度計、環流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、水390部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名ネオペレックスG−25 花王株式会社製)14部とを入れ、88℃まで加熱撹拌した。
上記フラスコ内に、重合性モノマーの混合物と、重合開始剤水溶液とを、別々に8時間かけて連続的に注入し、温度を90℃までに保って重合させ、注入終了後30分間熟成した。
次いで、95℃に加熱し、重合を完結させた後、75℃まで冷却した。
その後、20%水酸化ナトリウム水溶液75部を加えて中和し、水で希釈して、固形分濃度20.1%、粘度が21mPa・s(25℃)、酸価が234mgKOH/gの水性(メタ)アクリル酸エステルのアルカリ塩水溶液を得た。これを分散剤Aとした。
合成例2(分散剤Bの合成)
メタクリル酸20部、アクリル酸5部、メタクリル酸シクロヘキシル50部、スチレン25部、および、連鎖移動剤としてN−ドデシルメルカプタン3部を混合して、重合性モノマーの混合物を用意し、また、中和における20%水酸化ナトリウム水溶液の配合量を60部とした以外は、合成例1と同じ方法で、固形分濃度20.3%、粘度が125mPa・s(25℃)、酸価が169mgKOH/gの水性(メタ)アクリル酸エステルBのアルカリ塩水溶液を得た。これを分散剤Bとした。
合成例3(分散剤Cの合成)
メタクリル酸40部、アクリル酸10部、アクリル酸n−ブチル15部、スチレン30部、および、連鎖移動剤としてN−ドデシルメルカプタン3部を混合して、重合性モノマーの混合物を用意し、また、中和における20%水酸化ナトリウム水溶液の配合量を145部とした以外は、合成例1と同じ方法で、固形分濃度20.4%、粘度が20mPa・s(25℃)、酸価が338mgKOH/gの水性(メタ)アクリル酸エステルのアルカリ塩水溶液を得た。これを分散剤Cとした。
合成例4(分散剤Dの合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール1100部、水980部、88%スチレンスルホン酸ナトリウム溶液53部、スチレン46部、イソブチルメタクリレート111部、アクリル酸139部、50%アクリルアミド溶液1170部、および、連鎖移動剤としてのn−オクチルメルカプタン13部を仕込み、窒素ガス置換雰囲気下で攪拌し、60℃に昇温した。
さらに、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル8.5部を加え、80℃まで昇温し、5時間熟成保持した。
その後、イオン交換水860部を加え、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後、イオン交換水を220部加え、固形分濃度30%、粘度500mPa・sの水性(メタ)アクリルアミドの水溶液を得た。これを分散剤Dとした。
<ロジン系サイズ剤(ロジン系樹脂のエマルション)の調製>
調製例1(ロジン系サイズ剤Aの調製)
製造例3で得られた混合ロジン系樹脂200部を、160℃に加熱溶融し、そこに、合成例1で得られた分散剤A60部を30分かけて添加した。得られた油中水型エマルションに、80℃に加熱したイオン交換水164部を1時間かけて添加し、水中油型エマルションに相反転させた後、40℃冷却して微細エマルション(ロジン系サイズ剤A)を得た。
得られたロジン系サイズ剤Aの固形分濃度は50.1%、平均粒子径(レーザー回折式粒子径分布測定装置LA−960(HORIBA製作所製)以下同様)は0.37μmであった。
調製例2(ロジン系サイズ剤Bの調製)
合成例1で得られた分散剤Aに代えて、合成例2で得られた分散剤Bを用いた以外は、調製例1と同じ方法で、ロジン系サイズ剤Bを得た。
得られたロジン系サイズ剤Bの固形分濃度は50.3%、平均粒子径は0.45μmであった。
調製例3(ロジン系サイズ剤Cの調製)
合成例1で得られた分散剤Aに代えて、合成例3で得られた分散剤Cを用いた以外は、調製例1と同じ方法で、ロジン系サイズ剤Cを得た。
得られたロジン系サイズ剤Cの固形分濃度50.5%、平均粒子径は0.35μmであった。
調製例4(ロジン系サイズ剤Dの調製)
合成例1で得られた分散剤Aに代えて、合成例3で得られた分散剤Dを用いた以外は、調製例1と同じ方法で、ロジン系サイズ剤Dを得た。
得られたロジン系サイズ剤Dの固形分濃度は50.3%、平均粒子径は0.36μmであった。
調製例5(ロジン系サイズ剤Eの調製)
製造例3で得られた混合ロジン系樹脂200部を、トルエン200部に溶解し、そこに、20%に希釈したハイテノールNF−13(アニオン性分散剤、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製)40部、および、イオン交換水176部を添加し、40℃においてホモミキサーで混合し、粗製エマルションを得た。
次いで、粗製エマルションをピストン型高圧乳化機(300kg/cm2)に2回通し、微細エマルションを得た。
その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、ロジン系サイズ剤Eを得た。
得られたロジン系サイズ剤Eの固形分濃度は50.1%、平均粒子径は0.29μmであった。
調製例6(ロジン系サイズ剤Fの調製)
カゼイン(保護コロイド剤)11.2部を水100部に分散させ、得られた分散液のpHを、25%アンモニア水を用いて、6.0に調整した。
次いで、カゼイン分散液を80℃において30分クッキング処理した後、冷却し、固形分10%のカゼイン溶液を得た。
次いで、製造例3で得られた混合ロジン系樹脂200部を、トルエン200部に溶解し、そこに、上記の10%カゼイン溶液112部、および、イオン交換水216部を添加し、40℃においてホモミキサーで混合し、粗製エマルションを得た。
次いで、粗製エマルションをピストン型高圧乳化機(300kg/cm2)に2回通し、微細エマルションを得た。
その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、ロジン系サイズ剤Fを得た。
得られたロジン系サイズ剤Fの固形分濃度は40.3%、平均粒子径は0.51μmであった。
調製例7(ロジン系サイズ剤Gの調製)
製造例3で得られた混合ロジン系樹脂200部を、トルエン200部に溶解し、そこに、20%に希釈したポリアミドポリアミノエピクロロヒドリン樹脂(カチオン性保護コロイド剤、Callaway4063、Kemira製)90部、および、イオン交換水333部を添加し、40℃においてホモミキサーで混合し、粗製エマルションを得た。
次いで、粗製エマルションをピストン型高圧乳化機(300kg/cm2)に2回通し、微細エマルションを得た。
その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、ロジン系サイズ剤Gを得た。
得られたロジン系サイズ剤Gの固形分濃度は35.2%、平均粒子径は0.68μmであった。
各調製例で用いられたサイズ剤、分散剤およびその質量比について、表1に示す。
<紙の製造>
実施例1〜14
調製例1で得られたロジン系サイズ剤Aを、表2に記載の固形分濃度となるように、水で希釈した。また、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)を、表2に記載のアルミニウム化合物濃度となるように、水で希釈し、硫酸バンドの分散液を得た。
70%広葉樹パルプ(LBKP)と、30%針葉樹パルプ(NBKP)との混合シートを用いて、40℃で3%のパルプスラリーを調製した。
次いで、パルプスラリーに水酸化ナトリウムを添加し、pHを7.0に調整した。
次いで、対パルプ濃度が表2のA欄に記載の濃度(絶乾重量基準)となるように硫酸アルミニウムを添加した。
次いで、対パルプ0.1%(絶乾重量基準)の紙力増強剤(両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ハーマイドK−123、ハリマ化成製)を添加した。
次いで、上記の希釈したロジン系サイズ剤と、硫酸バンドの分散液とを、表2に記載の固形分比率となるように、図3に示す装置によって、滞留しないように混合し、表2の混合時間後に、その混合液をパルプスラリーに添加した。
このとき、ロジン系サイズ剤の添加量は、対パルプ濃度が0.2%(絶乾重量基準)となる量であり、また、硫酸バンドの添加量は、対パルプ濃度が表2のB欄に記載の濃度(絶乾重量基準)となる量であった。
次いで、対パルプ0.02%(絶乾重量基準)の歩留り向上剤(ポリアクリルアミド系歩留り向上剤、ハイモロックNR−12MLH ハイモ社製)を添加し、このスラリーを1%まで希釈した。パルプスラリーのpHは6.0であった。
次いで、得られたパルプスラリーを均一に攪拌し、抄紙装置(TAPPIスタンダード・シートマシーン 熊谷理機工業社製)を用いて抄紙した。具体的には、坪量64±1g/cm2を目標とし、5kg/cm2の圧力下で1分間脱水した後、ドラムドライヤーで105℃にて3分間乾燥させた。
これにより、紙を得た。
比較例1
ロジン系サイズ剤Aと、硫酸バンドの分散液とを、図6に示す装置によって、混合することなく、順次添加した以外は、実施例1と同様にして抄紙し、紙を得た。
比較例2
ロジン系サイズ剤Aと、硫酸バンドの分散液とを、図7に示す装置によって、混合することなく、同時に添加した以外は、実施例1と同様にして抄紙し、紙を得た。
比較例3
ロジン系サイズ剤Aと、硫酸バンドの分散液とを、図8に示すミキサーを用いて滞留するように混合した以外は、実施例1と同様にして抄紙し、紙を得た。
実施例15〜20
調製例1で得られたロジン系サイズ剤Aに代えて、表3に記載のロジン系サイズ剤B〜Gを用いた以外は、実施例1と同様にして抄紙し、紙を得た。
<評価>
各実施例および各比較例において得られた紙を23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、以下の方法で、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122(1976年)を測定した。
すなわち、5cm四方の紙試験片を作製し、刷子で塩化第二鉄溶液を紙表面に塗ると同時に、チオシアン酸アンモニウム溶液の上に浮かべ、ストップウォッチによりチオシアン酸アンモニウムと塩化第二鉄が接触するまでの秒数を測定した。
得られる秒数は、紙の裏面から染みこんだ水が、表面に到達するまでの時間を測定したものであり、数値が大きいほどサイズ効果が良好であることを示す。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
ハイテノールNF−13:アニオン性分散剤、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製
Callaway4063:カチオン性保護コロイド剤、Kemira製