JP6867849B2 - 紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紙の製造方法に関し、詳しくは、パルプスラリーを抄紙する紙の製造方法に関する。
従来より、紙に耐水性を付与するため、また、水の浸透や、インクにじみの抑制というサイズ効果の発現のため、サイズ剤が知られている。このようなサイズ剤は、例えば、抄紙前のパルプスラリーに添加される。
また、サイズ剤をパルプスラリーに添加する場合、パルプに対するサイズ剤の定着率を向上させるため、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物を添加することも、よく知られている。さらに、中性紙の製造においては、パルプスラリーに炭酸カルシウムを添加することも知られている。
より具体的には、紙の製造において、10%の胡粉(炭酸カルシウム)を充填したパルプスラリーに、ロジン系のサイズ剤とアルミニウム化合物とのプレミックスを添加することが、提案されており、また、そのプレミックスに、カチオン性およびアニオン性のポリアクリルアミドなどを添加することが、提案されている(特許文献1参照。)。
一方、このようなロジン系のサイズ剤とアルミニウム化合物とのプレミックスは、混合により凝集などの不具合を生じる場合がある。
そこで、サイズ剤およびアルミニウム化合物を、予め混合してプレミックスを調製するのではなく、それらが互いに衝突するように滞留することなく混合し、その混合物をパルプスラリーに添加し(添加工程)、その後、パルプスラリーを抄紙する(抄紙工程)紙の製造方法が、提案されている(特許文献2参照)。
このような紙の製造方法では、通常、アニオン性を有するサイズ剤と、アルミニウム化合物に由来するアルミニウムカチオンとがイオン結合し、サイズ効果を発現している。
特開平2−6680号公報 特開2017−008463号公報
一方、パルプスラリー中にカルシウムカチオンが存在する場合には、サイズ剤とアルミニウムカチオンとのイオン結合に代わり、サイズ剤とカルシウムカチオンとがイオン結合する場合があり、その結果、サイズ効果を十分に得られない場合がある。
また、上記の場合に限定されず、例えば、パルプスラリーの電気伝導度が比較的高い(2000μS/cm以上)場合などにも、サイズ剤とアルミニウムカチオンとのイオン結合が阻害され、サイズ効果を十分に得られない場合がある。
そこで、サイズ剤とアルミニウムカチオンとのイオン結合を維持するため、カチオン性の添加剤を添加することが検討される。
ところが、特許文献2に記載の方法において、添加剤として、特許文献1に記載のカチオン性のポリアクリルアミドを添加すると、そのカチオン性基の種類によっては、サイズ効果を十分に得られない場合がある。
本発明は、優れたサイズ効果を発現することができる紙の製造方法である。
本発明[1]は、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを混合する混合工程と、パルプスラリーに、前記混合工程で得られた混合物を添加する添加工程と、前記添加工程の後、パルプスラリーを抄紙する抄紙工程と
を備え、前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくともいずれか1種を有する、紙の製造方法を含んでいる。
Figure 0006867849
Figure 0006867849
(上記式(1)〜(2)中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、Xは、アニオンを示す。)
また、本発明[2]は、前記パルプスラリーが、炭酸カルシウムを含有する、上記[1]に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[3]は、前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)で示されるユニットを有する、上記[1]または[2]に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[4]は、上記式(1)において、R1が水素原子を示す、上記[3]に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[5]は、前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が200,000以上3,000,000以下である、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[6]は、前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの総量に対して、上記式(1)〜(2)で示される前記ユニットの含有量が、1モル%以上60モル%以下である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[7]は、前記ロジン系サイズ剤が、ロジンエステル類を含有する、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[8]は、前記混合工程では、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、互いに衝突するように、滞留することなく混合される、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の紙の製造方法を含んでいる。
また、本発明[9]は、前記添加工程において、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合時間が、1秒以上30秒以下である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の紙の製造方法を含んでいる。
本発明の紙の製造方法では、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくともいずれか1種を有している。そして、本発明の紙の製造方法では、まず、そのカチオン性基含有アクリルアミドポリマーと、ロジン系サイズ剤と、アルミニウム化合物とを混合し、次いで、その混合物を、パルプスラリーに添加し、抄紙する。
そのため、パルプスラリー中の環境条件(カルシウムカチオン濃度、電気伝導度など)によって、ロジン系サイズ剤とアルミニウムカチオンとのイオン結合が阻害される場合にも、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーにより、その阻害作用を抑制できる。
その結果、本発明の紙の製造方法では、ロジン系サイズ剤とアルミニウムカチオンとをイオン結合させ、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
図1は、本発明の紙の製造方法の一実施形態が採用される混合添加装置の要部概略図である。
本発明の紙の製造方法では、まず、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを混合する(混合工程)。
ロジン系サイズ剤は、ロジン系樹脂が溶媒に溶解されてなる溶液(ロジン系樹脂の溶液)、または、ロジン系樹脂が分散媒に分散されてなる分散液(ロジン系樹脂の分散液、エマルション)として調製され、好ましくは、ロジン系樹脂の分散液として調製される。
ロジン系サイズ剤を用いることにより、経時的なサイズ性の低下を抑制し、また、紙の摩擦係数の低下を抑制し、さらに、ハンドリング性および防汚性の向上を図ることができる。
すなわち、紙の製造において、公知のケテンダイマー系サイズ剤を用いると、経時的なサイズ性の低下や、紙の摩擦係数の低下を惹起する場合がある。また、公知のアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤を用いると、ハンドリング性の低下を惹起する場合や、抄造機に汚れを生じる場合がある。これらに対して、ロジン系サイズ剤を用いると、経時的なサイズ性の低下を抑制し、また、紙の摩擦係数の低下を抑制することができる。さらに、ハンドリング性および防汚性の向上を図ることができる。
ロジン系サイズ剤(以下、単にサイズ剤と称する場合がある。)において、ロジン系樹脂(以下、単に樹脂と称する場合がある。)としては、例えば、ロジン類、ロジン誘導体などが挙げられる。
ロジン類は、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジンであり、また、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、あるいは、その他の化学的に修飾されたロジン、またはこれらの精製物を含む概念である。
また、ロジン誘導体としては、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、あるいは、ロジン変性フェノール類、ロジン類や不飽和カルボン酸で変性したロジン類のカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類などが挙げられる。
ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類と多価アルコールとを、公知のエステル化法により反応させることによって、得ることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタンなどの3価アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの4価アルコール、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコールなどが挙げられる。これら多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。多価アルコールとして、好ましくは、3価アルコール、より好ましくは、グリセリンが挙げられる。
ロジン類と多価アルコール類との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、多価アルコールの水酸基のモル比(OH/COOH)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール類との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
ロジンエステル類の酸価は、通常、0mgKOH/g以上であり、例えば、150mgKOH/g以下、好ましくは、100mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以下である。
不飽和カルボン酸変性ロジン類は、例えば、上記したロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を公知の方法により反応させることによって、得ることができる。
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、および、その酸無水物などが挙げられ、具体的には、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらα,β−不飽和カルボン酸類は、単独使用または2種類以上併用することができる。α,β−不飽和カルボン酸類として、好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。
ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との配合割合は、ロジン類1モルに対して、α,β−不飽和カルボン酸類が、例えば、1モル以下である。また、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との反応では、反応温度が、例えば、150〜300℃であり、反応時間が、例えば、1〜24時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
不飽和カルボン酸変性ロジン類の酸価は、例えば、100mgKOH/g以上、好ましくは、150mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、400mgKOH/g以下である。
不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類は、例えば、上記したロジン類に、上記した多価アルコール類、および、上記したα,β−不飽和カルボン酸類を順次または同時に反応させることにより、得ることができる。
上記成分を順次反応させる場合は、まず、ロジン類と多価アルコールとを反応させ、その後、α,β−不飽和カルボン酸類を反応させるか、または、まず、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とを反応させ、その後、多価アルコールを反応させる。ロジン類と多価アルコールとのエステル化反応や、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類との変性反応における反応条件は、上記と同様とすることができる。
また、ロジン誘導体としては、さらに、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
ロジンのアミド化合物は、例えば、上記したロジン類と、アミド化剤とを反応させることによって、得ることができる。
アミド化剤としては、例えば、1級および/または2級ポリアミン化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
1級および/または2級ポリアミン化合物は、1分子中に1級および/または2級アミノ基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との縮合反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリアミン化合物として、具体的には、例えば、エチレンジアミン、N−エチルアミノエチルアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エ−テル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミンなどの鎖状ジアミン類、例えば、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)−プロパン、ホモピペラジンなどの環状ジアミン類、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどのポリアミン類、さらには、これらのハロゲン化水素酸塩などが挙げられる。
これら1級および/または2級ポリアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオキサゾリン化合物は、1分子中にポリオキサゾリン環を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などが挙げられる。
これらポリオキサゾリン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する化合物であって、ロジン類に含有されるカルボキシル基との付加縮合脱炭酸反応により、ロジンをアミド化することができる。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)、4,4’−トルイジンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)など)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどのジイソシアネート、さらには、これらの誘導体(例えば、多量体、ポリオール付加体など)などが挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらアミド化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン類とアミド化剤との配合割合は、ロジン類のカルボキシル基に対する、アミド化剤の活性基(1級および/または2級アミノ基、ポリオキサゾリン環、イソシアネート基)のモル比(OH/活性基)が、例えば、0.2〜1.2である。また、ロジン類と多価アルコール類との反応では、反応温度が、例えば、120〜300℃であり、反応時間が、例えば、2〜30時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
ロジンのアミン塩は、ロジン類に含有されるカルボキシル基を、3級アミン化合物で中和することにより、得ることができる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−4アルキルアミン、例えば、モルホリンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。
これら3級アミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらロジン系樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ロジン系樹脂として、サイズ性の向上を図る観点から、好ましくは、ロジンエステル類が挙げられる。すなわち、ロジン系サイズ剤は、好ましくは、ロジンエステル類を含有する。
ロジン系樹脂として、とりわけ好ましくは、ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の併用が挙げられる。
ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類が併用される場合、それらの割合は、ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の総量100質量部に対して、ロジンエステル類が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。また、不飽和カルボン酸変性ロジン類が、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
ロジンエステル類および不飽和カルボン酸変性ロジン類の割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
そして、上記の樹脂が、溶媒に溶解、または、分散媒に分散されることにより、サイズ剤が得られる。
樹脂の溶液または分散液において、溶媒または分散媒としては、例えば、水、アルコール類、グリコール類などが挙げられる。これら溶液または分散液は、単独使用または2種類以上併用することができる。溶液または分散液として、好ましくは、水が挙げられる。
また、サイズ剤は、好ましくは、分散液として調製される。すなわち、上記分散媒に上記樹脂を分散させることにより、樹脂の分散液としてサイズ剤を得ることができる。
より具体的には、樹脂の分散液は、例えば、溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法、転相乳化法、あるいはその他の公知の乳化法により製造される。
乳化法は、特に制限されないが、例えば、特開2008−303269の段落番号[0024]〜[0025]に記載の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、溶剤型乳化法では、まず、樹脂を、例えば、メチレンクロライドなどの塩素系炭化水素溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、メチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、その他、樹脂を溶解可能な溶剤などの有機溶剤に溶解させ、樹脂溶液を得る。
次いで、別途、分散剤(乳化剤(後述))および水を混合および溶解させた分散液を用意し、その分散液と上記の樹脂溶液とを予備混合して、粗粒子の水性エマルション(予備乳化物)を調製する。その後、得られた水性エマルションを、各種ミキサー、コロイドミル、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いて微細乳化した後、常圧または減圧下で加熱しながら、有機溶剤を除去する。
また、無溶剤乳化法では、例えば、常圧または加圧下で、溶融した樹脂と分散液とを予備混合し、粗粒子の水性エマルションを調製した後、各種乳化機を用いて上記と同様に微細乳化させる。
また、転相乳化法では、常圧または加圧下で樹脂を加熱溶融した後、撹拌しながら分散液を徐々に加えることにより、まず、油中水型エマルションを得た後、その水中油型エマルションに相反転させる。なお、この方法は、溶剤法、無溶剤法いずれの方法でも採用することができる。
上記の方法において、分散剤(乳化剤)としては、特に制限されないが、例えば、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤、両性分散剤、合成高分子系分散剤などが挙げられる。
アニオン性分散剤としては、例えば、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられ、金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
カチオン性分散剤としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
ノニオン性分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。
両性分散剤としては、例えば、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとアルキルアミンまたはジアミンとの生成縮合物の硫酸化、あるいはスルホン酸化付加物などが挙げられる。
合成高分子系分散剤としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、 (メタ)アクリル酸エステル類、アクリルアミド、酢酸ビニル、カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸など)、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの重合性モノマーを、2種以上重合させて得られる重合体を、水に分散または可溶化させた水分散性重合体や、例えば、スチレン類と、アクリル酸またはメタクリル酸のアミノアルキルエステルとを共重合反応させ、カチオン化処理した水分散性または水溶性重合体などが挙げられ、具体的には、スチレン、水性(メタ)アクリル酸エステル、水性(メタ)アクリルアミドなどを共重合させて得られる水性アクリルポリマー(好ましくは、水性スチレン−アクリルポリマー)が挙げられる。
また、分散剤として、保護コロイド剤を用いることもできる。
保護コロイド剤としては、例えば、カチオン性保護コロイド剤、アニオン性保護コロイド剤などが挙げられる。
アニオン性保護コロイド剤としては、例えば、アニオン変性澱粉、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、アニオン変性多糖類、アニオン変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
カチオン性保護コロイド剤としては、例えば、カチオン変性澱粉、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ジシアンジアミド樹脂、ポリアミノポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、アルキレンポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリ(ジアリルアミン)−エピクロルヒドリン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド樹脂などが挙げられる。
これら分散剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
分散剤として、サイズ性の観点から、好ましくは、アニオン性分散剤、合成高分子系分散剤、アニオン性保護コロイド剤、カチオン性保護コロイド剤が挙げられ、より好ましくは、合成高分子系分散剤、アニオン性保護コロイド剤が挙げられる。
また、合成高分子系分散剤として、好ましくは、水性スチレン−アクリルポリマーが挙げられ、より好ましくは、水性スチレン−(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、さらに好ましくは、原料(重合性モノマー)としてカルボン酸を含有する水性スチレン−アクリルポリマーが挙げられる。
原料(重合性モノマー)としてカルボン酸を含有する水性アクリルポリマーの酸価は、例えば、150mgKOH/g以上、好ましくは、200mgKOH/g以上、より好ましくは、250mgKOH/g以上、さらに好ましくは、300mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、450mgKOH/g以下、より好ましくは、400mgKOH/g以下である。
水性スチレン−アクリルポリマーの酸価が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
樹脂と分散剤との配合割合は、特に制限されないが、例えば、樹脂100質量部に対して、分散剤が、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、得られるサイズ剤(樹脂の溶液または分散液)の固形分濃度(樹脂および分散剤の総濃度)は、例えば、30質量%以上、好ましくは、35質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。
また、サイズ剤(樹脂の溶液または分散液)を、さらに、希釈して用いることもできる。このような場合、サイズ剤の固形分濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
サイズ剤の固形分濃度が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、樹脂の分散液が得られる場合、その平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上、より好ましくは、0.3μm以上であり、例えば、1.0μm以下、好ましくは、0.5μm以下である。
なお、平均粒子径は、粒度分布計などにより測定することができる。
アルミニウム化合物は、サイズ剤を紙に定着させるための定着剤であって、例えば、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などの水溶性アルミニウム化合物が挙げられる。
これらアルミニウム化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルミニウム化合物として、取扱性、入手容易性およびコスト性の観点から、好ましくは、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)が挙げられる。
また、アルミニウム化合物は、好ましくは、アルミニウム化合物が溶媒に溶解されてなる溶液(アルミニウム化合物の溶液)、または、アルミニウム化合物が分散媒に分散されてなる分散液(アルミニウム化合物の分散液)として、調製される。
アルミニウム化合物の溶液または分散液において、溶媒または分散媒としては、例えば、水、アルコール類などが挙げられ、好ましくは、水が挙げられる。
アルミニウム化合物の溶液または分散液は、アルミニウム化合物と、溶媒または分散媒とを公知の方法で混合することにより、得ることができる。
アルミニウム化合物の溶液または分散液において、アルミニウム化合物の濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
アルミニウム化合物の濃度が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、下記式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくともいずれか1種を有している。なお、下記式(1)〜(2)で示されるユニットは、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーを構成する2価の構成単位である。
Figure 0006867849
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(上記式(1)〜(2)中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、Xは、アニオンを示す。)
上記式(1)において、R1は、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示す。R1として、好ましくは、水素原子、メチル基が挙げられ、より好ましくは、水素原子が挙げられる。
なお、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)で示されるユニットを複数有する場合、それらのR1は、互いに同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(2)において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示す。R2およびR3として、好ましくは、水素原子、メチル基が挙げられ、より好ましくは、水素原子が挙げられる。
また、上記式(2)において、Xは、アニオンを示す。アニオンは、上記式(2)のアンモニウムカチオンに対するカウンターアニオンであって、例えば、フッ素アニオン(F)、塩素アニオン(Cl)、臭素アニオン(Br)、ヨウ素アニオン(I)などのハロゲンアニオンや、例えば、メチル硫酸アニオン(CH)などの有機アニオンなどが挙げられる。Xとして、サイズ性の向上を図る観点から、好ましくは、ハロゲンアニオンが挙げられ、より好ましくは、塩素アニオン(Cl)が挙げられる。
なお、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(2)で示されるユニットを複数有する場合、それらのR2、R3およびXは、互いに同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、上記式(1)で示されるユニットおよび上記式(2)で示されるユニットの、少なくともいずれか一種を有していればよく、上記式(1)で示されるユニットおよび上記式(2)で示されるユニットの両方を有していてもよい。また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、上記式(1)で示されるユニットおよび/または上記式(2)で示されるユニットを、複数有することもできる。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーとして、サイズ性の向上を図る観点から、好ましくは、上記式(1)で示されるユニットを有することが挙げられ、より好ましくは、上記式(1)で示されるユニットを有し、かつ、上記式(2)で示されるユニットを有さないことが挙げられる。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーにおいて、上記式(1)〜(2)で示されるユニットの含有量は、特に制限されず、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの総量に対して、通常、0.5モル%以上、好ましくは、1モル%以上、より好ましくは、5モル%以上であり、例えば、70モル%以下、好ましくは、60モル%以下、より好ましくは、50モル%以下である。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーにおける上記式(1)〜(2)で示されるユニットの含有量が上記範囲であれば、サイズ剤の粒子表面にカルシウムイオンが吸着することを抑制できるため、サイズ性の向上を図ることができる。
なお、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーにおける上記式(1)〜(2)で示されるユニットの含有量は、重合成分(後述)の仕込み量から算出することができる。
そして、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、例えば、上記式(1)〜(2)で示されるユニットを形成するためのカチオン性重合性化合物を少なくとも含有する重合成分の重合体として得ることができる。
カチオン性重合性化合物は、上記式(1)〜(2)で示されるユニットを形成するためのモノマーであって、例えば、上記式(1)で示されるユニットを形成するためのジアリルアミン化合物、上記式(2)で示されるユニットを形成するためのジアリルアンモニウム化合物などが挙げられる。
ジアリルアミン化合物は、第2級または第3級のアミノ基と、アミノ基の窒素原子に直接結合される2つのアリル基(−CHCH=CH)とを有する化合物であって、例えば、ジアリルアミンなどの第2級ジアリルアミンモノマー(第2級アミノ基を有するモノマー)、例えば、N−メチルジアリルアミン、N−エチルジアリルアミン、N−ベンジルジアリルアミンなどの第3級ジアリルアミンモノマー(第3級アミノ基を有するモノマー)が挙げられる。また、ジアリルアミン化合物としては、これらの塩(具体的には、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩や、例えば、酢酸塩などの有機酸塩など)も挙げられる。
これらジアリルアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ジアリルアンモニウム化合物は、アンモニウム基と、アンモニウム基の窒素原子に直接結合される2つのアリル基(−CHCH=CH)とを有する化合物であって、例えば、第3級ジアリルアミンモノマーを4級化した4級化物(4級化塩)が挙げられる。
第3級ジアリルアミンモノマーの4級化物としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジアリルジメチルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモニウムブロマイド、ジアリルジエチルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルジエチルアンモニウム、ジアリルメチルエチルアンモニウムクロライド、ジアリルメチルエチルアンモニウムブロマイド、ジアリルメチルエチルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルメチルエチルアンモニウム、ジアリルメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアリルメチルベンジルアンモニウムブロマイド、ジアリルメチルベンジルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルメチルベンジルアンモニウム、ジアリルエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアリルエチルベンジルアンモニウムブロマイド、ジアリルエチルベンジルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルエチルベンジルアンモニウム、ジアリルジベンジルアンモニウムクロライド、ジアリルジベンジルアンモニウムブロマイド、ジアリルジベンジルアンモニウムヨーダイド、メチル硫酸ジアリルジベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
これらジアリルアンモニウム化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
これらカチオン性重合性化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、カチオン性重合性化合物が2種類以上併用される場合、その併用割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、カチオン性重合性化合物としてジアリルアミン化合物が用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、上記式(1)で示されるユニットを含有する。
より具体的には、カチオン性重合性化合物として第2級ジアリルアミンモノマーが用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)においてR1が水素原子であるユニット(水素原子を1つ有するユニット)を、含有する。
また、カチオン性重合性化合物として第2級ジアリルアミンモノマーの塩が用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(2)においてR2およびR3がいずれも水素原子であるユニット(水素原子を2つ有するユニット)を、含有する。
また、カチオン性重合性化合物として第3級ジアリルアミンモノマーが用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)においてR1がメチル基、エチル基またはベンジル基であるユニット(水素原子を有しないユニット)を、含有する。
また、カチオン性重合性化合物として第3級ジアリルアミンモノマーの塩が用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(2)においてR2およびR3のいずれか一方がメチル基、エチル基またはベンジル基であり、他方が水素原子であるユニット(水素原子を1つ有するユニット)を、含有する。
また、カチオン性重合性化合物としてジアリルアンモニウム化合物(第3級ジアリルアミンモノマーの4級化物)が用いられる場合、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、上記式(2)においてR2およびR3の両方がメチル基、エチル基またはベンジル基であるユニット(水素原子を有しないユニット)を、含有する。
サイズ性の向上を図る観点から、好ましくは、上記式(1)〜(2)で示されるユニット中の水素原子が多いことが挙げられる。上記式(1)〜(2)で示されるユニット中の水素原子が多いと、サイズ剤とセルロースとの反応性の向上を図ることができ、サイズ剤の定着性の向上を図ることができるため、サイズ性の向上を図ることができる。
そのため、カチオン性重合性化合物として、好ましくは、第2級ジアリルアミンモノマー、第2級ジアリルアミンモノマーの塩、第3級ジアリルアミンモノマーの塩が挙げられ、より好ましくは、第2級ジアリルアミンモノマーの塩が挙げられる。
また、重合成分は、任意成分として、(メタ)アクリルアミドを含有することができる。好ましくは、重合成分は、(メタ)アクリルアミドを含有する。
(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドであって、単独使用または2種類併用することができる。すなわち、重合成分は、アクリルアミドおよびメタクリルアミドのいずれか一方のみを含有していてもよく、それら両方を含有していてもよい。重合成分は、好ましくは、アクリルアミドおよびメタクリルアミドのうち、アクリルアミドのみを含有する。
重合成分が(メタ)アクリルアミドを含有する場合、その含有割合は、重合成分におけるカチオン性重合性化合物(および、必要により配合される、その他の重合性モノマー(後述))の残部でよく、具体的には、重合成分の総モルに対して、例えば、30モル%以上、好ましくは、40モル%以上、より好ましくは、50モル%以上であり、例えば、99.5モル%以下、好ましくは、99モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。
また、このような場合、カチオン性重合性化合物の含有割合は、重合成分の総モルに対して、例えば、0.5モル%以上、好ましくは、1モル%以上、より好ましくは、10モル%以上であり、例えば、70モル%以下、好ましくは、60モル%以下、より好ましくは、50モル%以下である。
また、重合成分は、カチオン性重合性化合物および(メタ)アクリルアミドの他、任意成分として、さらに、その他の重合性モノマーを含有することができる。
その他の重合性モノマーとしては、例えば、公知の重合性モノマーが挙げられ、具体的には、公知のアニオン性重合性モノマー(イタコン酸など)、公知のノニオン共重合性モノマー、公知の第3級アミノ系モノマー(第3級ジアリルアミンモノマーを除く。)、公知の第4級アンモニウム系モノマー(第3級ジアリルアミンモノマーの4級化物を除く。)、公知の架橋性モノマーなどが挙げられる。これらは単独使用または2種類以上併用することができる。その他の重合性モノマーが含有される場合、その含有割合は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、適宜設定される。
好ましくは、重合成分は、その他の重合性モノマーを含有しない。具体的には、重合成分は、好ましくは、カチオン性重合性化合物および(メタ)アクリルアミドからなる。
そして、これら重合成分を重合させるには、例えば、所定の反応容器に、重合成分、重合開始剤および溶剤を仕込み、反応させる。なお、この方法では、重合成分は、一括投入してもよいが、複数回に分けて分割投入してもよい。また、重合開始剤の一部または全部を反応容器中に滴下しながら、反応を進行させることもできる。
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられ、具体的には、パーオキサイド系化合物、スルフィド類、スルフィン類、スルフィン酸類などが挙げられ、さらに好ましくは、パーオキサイド系化合物が挙げられる。なお、パーオキサイド系化合物は、還元剤と併用し、レドックス系重合開始剤として使用してもよい。
パーオキサイド系化合物としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物などが挙げられ、好ましくは、無機過酸化物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、カプリエルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビパレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキシジカーボネート、s−ブチルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサエノート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−エチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなどの臭素酸塩、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウム、過ホウ素酸アンモニウムなどの過ホウ素酸塩、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウムなどの過炭酸塩、過リン酸ナトリウム、過リン酸カリウム、過リン酸アンモニウムなどの過リン酸塩などが挙げられ、好ましくは、過硫酸塩が挙げられ、より好ましくは、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられ、さらに好ましくは、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
これら重合開始剤は、単独使用または、2種類以上併用することができる。
また、重合開始剤としては、アゾ系化合物を用いることもできる。
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩などが挙げられる。
重合開始剤として、好ましくは、無機過酸化物が挙げられ、より好ましくは、過硫酸塩が挙げられ、さらに好ましくは、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
重合開始剤として過硫酸塩を用いることによって、すなわち、重合成分を過硫酸塩の存在下において重合させることによって、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの粘度を低く維持することができ、取扱い性の向上を図ることができる。
重合開始剤の配合割合は、重合成分の総量100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
溶剤としては、例えば、水、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどの1価アルコール系溶剤、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステルエーテル系溶剤のような、水と混和可能な溶剤が挙げられ、好ましくは、水が挙げられる。なお、溶剤として水道水が用いられる場合には、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)を適宜の割合で配合し、金属を除去することもできる。
これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、溶剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、この方法では、上記の重合成分、重合開始剤および溶剤とともに、さらに、連鎖移動剤を適宜配合することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、例えば、メルカプト類(例えば、メルカプトエタノール、チオ尿素、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、チオ乳酸、アミノエタンチオール、チオグリセロール、チオリンゴ酸など)などが挙げられる。
これら連鎖移動剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
これらの連鎖移動剤の配合割合は、重合成分の総モル数に対して、例えば、0.05モル%以上、好ましくは、0.1モル%以上であり、例えば、10モル%以下、好ましくは、5モル%以下である。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの製造における重合条件は、重合成分、重合開始剤、溶剤などの種類によって異なるが、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、95℃以下である。
また、重合時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、12時間以下である。なお、重合反応は、公知の重合停止剤(例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど)の添加によって、停止される。
重合時における反応溶液のpHは、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、例えば、6以下、好ましくは、5以下である。なお、pHは、塩酸、硫酸、リン酸などの公知の酸を添加することにより調整することができる。
そして、このような反応によって、カチオン性重合性化合物が上記式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくとも1種を形成する。これにより、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの溶液が得られる。
また、この方法では、上記の重合により得られる溶液に上記の溶剤を添加し、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの溶液の濃度を調製することもできる。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの溶液において、その濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの重量平均分子量は、例えば、100,000以上、好ましくは、200,000以上、より好ましくは、1,000,000以上であり、例えば、5,000,000以下、好ましくは、3,000,000以下、より好ましくは、2,500,000以下である。
カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が上記範囲であれば、そのカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを紙の製造に用いた場合に、サイズ性の向上を図ることができる。
なお、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの重量平均分子量は、例えば、重合成分の種類、配合量、反応条件などによって、適宜調整することができる。
また、重量平均分子量は、後述する実施例に準拠して、ポリエチレンオキサイド換算分子量として測定される。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの粘度(不揮発分(固形分)15質量%(25℃))は、例えば、10mP・s以上、好ましくは、500mP・s以上、より好ましくは、1000mP・s以上であり、また、例えば、50000mP・s以下、好ましくは、20000mP・s以下、より好ましくは、10000mP・s以下である。
なお、粘度の測定方法は、後述する実施例に準拠する。
そして、混合工程では、上記サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを混合する。
混合において、アルミニウム化合物の固形分の質量割合は、サイズ剤の固形分の質量(樹脂および分散剤の総質量)に対して、例えば、0.1倍以上、好ましくは、0.5倍以上、より好ましくは、1倍以上であり、例えば、20倍以下、好ましくは、10倍以下、より好ましくは、5倍以下である。
サイズ剤とアルミニウム化合物との質量割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの固形分の質量割合は、サイズ剤の固形分の質量(樹脂および分散剤の総質量)に対して、例えば、0.01倍以上、好ましくは、0.05倍以上、より好ましくは、0.1倍以上であり、例えば、5倍以下、好ましくは、2.5倍以下、より好ましくは、1倍以下である。
サイズ剤とカチオン性基含有アクリルアミドポリマーとの質量割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの固形分の質量割合は、アルミニウム化合物の固形分の質量に対して、例えば、0.005倍以上、好ましくは、0.01倍以上、より好ましくは、0.05倍以上であり、例えば、50倍以下、好ましくは、10倍以下、より好ましくは、5倍以下である。
アルミニウム化合物とカチオン性基含有アクリルアミドポリマーとの質量割合が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、この方法では、好ましくは、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを、それらが互いに衝突(接触)するように混合する。
混合工程における混合時間は、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの3成分の全てが互いに衝突(接触)してからパルプスラリー(後述)に添加されるまでの時間であり、例えば、0.1秒以上、好ましくは、0.5秒以上、より好ましくは、1秒以上、さらに好ましくは、3秒以上であり、例えば、50秒以下、好ましくは、40秒以下、より好ましくは、30秒以下、さらに好ましくは、20秒以下、とりわけ好ましくは、10秒以下である。
混合時間が上記範囲であれば、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、混合工程において、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーは、好ましくは、滞留することなく混合される。
なお、本発明において、滞留しない状態とは、流体が上流から下流に向かって不可逆的に流れ、所定範囲に留まらない状態を示す。また、本発明において、滞留する状態とは、例えば、流体が所定の領域を循環する状態や、例えば、流体が所定の領域に貯留される状態など、流体が所定範囲に留まる状態を示す。
ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、滞留することなく混合され、その混合物が後述するパルプスラリーに添加されることにより、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを滞留することなく混合させるには、例えば、図1に示されるように、ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを、それぞれ別の配管中に流し、それらを合流させる。
つまり、サイズ剤が流れる第1の流れと、アルミニウム化合物が流れる第2の流れと、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが流れる第3の流れとを合流させ、それらが混合した流れを生じさせる。
そして、詳しくは後述するが、混合した流れと、パルプスラリーが流れる第4の流れとを、さらに合流させることにより、サイズ剤およびアルミニウム化合物の混合物を、パルプスラリーに添加する。
より具体的には、図1において、混合添加装置1は、サイズ剤を輸送するための第1輸送管2と、アルミニウム化合物を輸送するための第2輸送管3と、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーを輸送するための第3輸送管4と、パルプスラリー(後述)を輸送するためのパルプスラリー輸送管5とを備えている。
第1輸送管2は、円管形状を有するストレート管からなり、上流側端部が、サイズ剤を貯留するサイズ剤タンク(図示せず)に接続され、また、下流側端部が、パルプスラリー輸送管5に対して略直角となるように、接続されている。
第2輸送管3は、円管形状を有するストレート管からなり、上流側端部が、アルミニウム化合物を貯留するアルミニウム化合物タンク(図示せず)に接続され、また、下流側端部が、第1輸送管2の流れ方向途中部分において、第1輸送管2に対して略直角となるように、接続されている。
第3輸送管4は、円管形状を有するストレート管からなり、上流側端部が、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーを貯留するカチオン性基含有アクリルアミドポリマータンク(図示せず)に接続され、また、下流側端部が、第2輸送管3の下流側端部と対向するように、第1輸送管2と第2輸送管3との接続部分において、第1輸送管2に対して略直角となるように、接続されている。
パルプスラリー輸送管5は、円管形状を有するストレート管からなり、製紙プラントにおいて、紙の原料であるパルプスラリーを、後述する抄紙工程へ向けて輸送するために、設けられている。
このような混合添加装置1では、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合時間が、上記した範囲となり、また、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合割合が上記した範囲となるように、第1輸送管2のサイズ、第2輸送管3のサイズ、第3輸送管4のサイズ、第1輸送管2に対する第2輸送管3および第3輸送管4の接続位置、サイズ剤の流量、アルミニウム化合物の流量、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの流量などが、それぞれ設計される。
より具体的には、第1輸送管2の開口断面積は、例えば、0.8cm以上であり、例えば、80cm以下である。
また、第2輸送管3の開口断面積は、例えば、0.8cm以上であり、例えば、80cm以下である。
また、第3輸送管4の開口断面積は、例えば、0.8cm以上であり、例えば、80cm以下である。
そして、第2輸送管3の開口断面積に対する、第1輸送管2の開口断面積の比率(第1輸送管2の開口断面積/第2輸送管3の開口断面積)は、例えば、1.0以上であり、例えば、100以下である。
また、第3輸送管4の開口断面積に対する、第1輸送管2の開口断面積の比率(第1輸送管2の開口断面積/第3輸送管4の開口断面積)は、例えば、1.0以上であり、例えば、100以下である。
また、サイズ剤の流量は、例えば、0.1L/min以上、好ましくは、1.0L/min以上であり、例えば、7000L/min以下、好ましくは、700L/min以下である。
また、アルミニウム化合物の流量は、例えば、0.1L/min以上、好ましくは、1.0L/min以上であり、例えば、70000L/min以下、好ましくは、7000L/min以下である。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの流量は、例えば、0.05L/min以上、好ましくは、0.5L/min以上であり、例えば、87500L/min以下、好ましくは、8750L/min以下である。
また、アルミニウム化合物の流量に対するサイズ剤の流量の比率(サイズ剤の流量/アルミニウム化合物の流量)は、例えば、0.001以上、好ましくは、0.01以上であり、例えば、400以下、好ましくは、40以下である。
また、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの流量に対するサイズ剤の流量の比率(サイズ剤の流量/カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの流量)は、例えば、0.001以上、好ましくは、0.1以上であり、例えば、250以下、好ましくは、25以下である。
そして、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物の流量は、例えば、0.2L/min以上、好ましくは、2.0L/min以上であり、例えば、77000L/min以下、好ましくは、7700L/min以下である。
また、第1輸送管2と、第2輸送管3および第3輸送管4との接続部分から、パルプスラリー輸送管5までの長さ(図1の破線矢印L参照)が、例えば、0.2m以上、好ましくは、0.5m以上であり、例えば、10m以下、好ましくは、5m以下である。
そして、このような混合添加装置1では、第1輸送管2にサイズ剤が供給されるとともに、第2輸送管3にアルミニウム化合物が供給され、さらに、第3輸送管4にカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが供給される。
これにより、第1輸送管2と、第2輸送管3および第3輸送管4との接続部分に向けて、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが輸送される。
そして、第1輸送管2と、第2輸送管3および第3輸送管4との接続部分およびその下流側において、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、互いに衝突するように、滞留することなく混合される。
このようにして得られたサイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物は、第1輸送管2を通過し、パルプスラリー輸送管5に供給され、抄紙前のパルプスラリーに添加される。
パルプスラリーとしては、特に制限されず、酸性紙用パルプスラリー、中性紙用パルプスラリーなどの公知のパルプスラリーが挙げられ、好ましくは、中性紙用パルプスラリーが挙げられる。
具体的には、パルプスラリーを構成するパルプ繊維としては、製紙用に通常使用される公知のパルプ繊維が挙げられ、より具体的には、例えば、針葉樹パルプ(NBKP)、広葉樹パルプ(LBKP)などの木材パルプ、例えば、脱墨パルプ(DIP)、例えば、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラ等のなど木材パルプ、例えば、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維などが挙げられる。これらパルプ繊維は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、パルプスラリーは、公知の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、填料(炭酸カルシウムなど)、染料、紙力増強剤(ポリアクリルアミド系紙力増強剤など)、歩留り向上剤(ポリアクリルアミド系歩留り向上剤など)、消泡剤などが挙げられる。これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、中性紙用パルプスラリーは、好ましくは、填料として、炭酸カルシウムを含有する。
パルプスラリーが炭酸カルシウムを含有する場合、その含有割合は、パルプスラリー中のパルプ総量(絶乾重量基準)に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、2.0質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
また、パルプスラリーのカルシウムイオン濃度は、例えば、100ppm以上、好ましくは、500ppm以上であり、例えば、10000ppm以下、好ましくは、5000ppm以下である。
また、パルプスラリーの電気伝導度は、例えば、100μS/cm以上、好ましくは、500μS/cm以上であり、例えば、5000μS/cm以下、好ましくは、3000μS/cm以下である。
このようなパルプスラリーに対する、上記混合物(サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物)の添加量は、パルプスラリーの流量、および、混合物の流量を設定することにより、適宜調整される。
パルプスラリーに対するサイズ剤およびアルミニウム化合物の添加量は、パルプスラリー中のパルプ質量に対して、サイズ剤(固形分)が、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、1.0質量%以下、好ましくは、0.5質量%以下である。また、アルミニウム化合物(固形分)が、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。また、パルプスラリーに対するカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの添加量(固形分)は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、例えば、5質量%以下、好ましくは、2.5質量%以下である。
サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの添加量が上記範囲であれば、サイズ性に優れる紙を得ることができる。
なお、パルプスラリーに、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物を添加する場合、混合物中のサイズ剤とアルミニウム化合物との含有割合によっては、いずれかの成分の添加量のみが上記範囲内となり、他の成分の添加量が上記範囲外(すなわち、上記範囲未満)となる場合がある。
そのような場合、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物とは別途、サイズ剤、アルミニウム化合物および/またはカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを、パルプスラリーに添加することができる。
この場合、サイズ剤、アルミニウム化合物および/またはカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの添加量は、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの総添加量(すなわち、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物の添加量と、別途添加されるサイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの添加量との合計)が上記範囲となるように、適宜設定される。また、添加のタイミングは、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物が添加される前でもよく、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物の添加後でもよく、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合物の添加と同時でもよい。
次いで、この方法では、上記の添加工程の後、パルプスラリーを抄紙する(抄紙工程)。
抄紙の方法としては、特に制限されず、例えば、円網抄紙、長網抄紙、短網抄紙、ツインワイヤー抄紙などの連続抄紙法、例えば、手漉抄紙などのバッチ式抄紙法など、公知の方法を採用することができ、これにより、紙を得ることができる。
そして、このような紙の製造方法では、サイズ剤およびアルミニウム化合物が、滞留することなく混合され、その混合物がパルプスラリーに添加されるため、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
具体的には、上記の紙の製造方法では、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくともいずれか1種を有している。そして、本発明の紙の製造方法では、まず、そのカチオン性基含有アクリルアミドポリマーと、ロジン系サイズ剤と、アルミニウム化合物とを混合し、次いで、その混合物を、パルプスラリーに添加し、抄紙する。
そのため、パルプスラリー中の環境条件(カルシウムカチオン濃度、電気伝導度など)によって、ロジン系サイズ剤とアルミニウムカチオンとのイオン結合が阻害される場合にも、カチオン性基含有アクリルアミドポリマーにより、その阻害作用を抑制できる。
その結果、上記の紙の製造方法では、ロジン系サイズ剤とアルミニウムカチオンとをイオン結合させ、紙に優れたサイズ性を付与することができる。
また、上記の紙は、上記の紙の製造方法により得られるため、優れたサイズ性を有する。
そのため、上記の方法により得られた紙は、例えば、電子写真用紙、インクジェット用紙、印刷用紙、筆記用紙、図画用紙、新聞紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、板紙、厚紙などとして、好適に用いることができる。
なお、混合添加装置1は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、適宜変更することができる。
なお、図示しないが、第1輸送管2、第2輸送管3、第3輸送管4およびパルプスラリー輸送管5の接続方法は、上記に限定されず、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、種々変更することができる。また、混合添加装置1には、スタティックミキサーなどの静的混合器を介在させることもできる。
また、混合添加装置1の他、漏斗状の混合添加器具、噴射式の吐出器具などを用いて、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを混合することもできる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<重量平均分子量測定>
サンプルを3%酢酸水溶液に溶解させ、試料粘度を1.0g/Lとして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、得られたクロマトグラム(チャート)から、ポリエチレンオキサイド換算分子量として、サンプルの重量平均分子量(Mw)を算出した。測定装置及び測定条件を以下に示す。
装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
使用カラム:C−MBHMW+C−MBLMW(Malvern社製)
検出器:Viscotek TDA 305(Malvern社製)
溶離液:3%酢酸水溶液
カラム流速:1.0mL/min
測定温度:40℃
分子量マーカー:標準ポリエチレングリコール
<粘度測定>
粘度はJIS Z 8803(2011年)に準拠して測定した。
<ロジン系樹脂>
製造例1(マレイン酸変性ロジンの製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、窒素ガス導入下でトール油ロジン(酸価170mgKOH/g)1000部を仕込んで165℃まで昇温した後、無水マレイン酸100部を添加した。そして、200℃まで昇温し、2時間反応させることにより、マレイン酸変性ロジンを得た。
得られたマレイン酸変性ロジンの酸価は235mgKOH/g、軟化点は118℃(環球法)であった。
製造例2(ロジンエステルの製造)
上記製造例1と同様の四つ口フラスコに、窒素ガス導入下でトール油ロジン(酸価170mgKOH/g)887部を仕込んで、180℃まで昇温した後、グリセリン83部を添加した。そして、250℃まで昇温し、6時間エステル化反応させることにより、ロジンエステル(グリセリンエステル)を得た。
得られたロジンエステル(グリセリンエステル)の酸価は35mgKOH/g以下、軟化点は85℃(環球法)であった。
製造例3(混合ロジン系樹脂の製造)
製造例2のロジンエステル30部と、製造例1のマレイン酸変性ロジン70部とを混合し、ロジン系樹脂の混合物(以下、混合ロジン系樹脂)を得た。
<分散剤(乳化剤)>
作製例1(分散剤Aの合成)
メタクリル酸30部、アクリル酸n−ブチル30部、スチレン40部、および、連鎖移動剤としてN−ドデシルメルカプタン3部を混合して、重合性モノマーの混合物を用意した。
また、これとは別に、過硫酸カリウム4を水100部に溶解して、重合開始剤水溶液を用意した。
そして、撹拌機、温度計、還流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、水390部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名ネオペレックスG−25 花王株式会社製)14部とを入れ、88℃まで加熱撹拌した。
上記フラスコ内に、重合性モノマーの混合物と、重合開始剤水溶液とを、別々に8時間かけて連続的に注入し、温度を90℃までに保って重合させ、注入終了後30分間熟成した。
次いで、95℃に加熱し、重合を完結させた後、75℃まで冷却した。
その後、20%水酸化ナトリウム水溶液75部を加えて中和し、水で希釈して、固形分濃度20.1%、粘度が21mPa・s(25℃)、酸価が234mgKOH/gの水性(メタ)アクリル酸エステルのアルカリ塩水溶液を得た。これを分散剤Aとした。
作製例2(分散剤Bの合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器、分水器および窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール1100部、水980部、88%スチレンスルホン酸ナトリウム溶液53部、スチレン46部、イソブチルメタクリレート111部、アクリル酸139部、50%アクリルアミド溶液1170部、および、連鎖移動剤としてのn−オクチルメルカプタン13部を仕込み、窒素ガス置換雰囲気下で撹拌し、60℃に昇温した。
さらに、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル8.5部を加え、80℃まで昇温し、5時間熟成保持した。
その後、イオン交換水860部を加え、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後、イオン交換水を220部加え、固形分濃度30%、粘度500mPa・sの水性(メタ)アクリルアミドの水溶液を得た。これを分散剤Bとした。
<ロジン系サイズ剤(ロジン系樹脂のエマルション)>
調製例1(ロジン系サイズ剤Aの調製)
製造例3で得られた混合ロジン系樹脂200部を、トルエン200部に溶解し、そこに、作製例1で得られた分散剤A60部、および、イオン交換水164部を添加し、40℃においてホモミキサーで混合し、粗製エマルションを得た。
次いで、粗製エマルションをピストン型高圧乳化機(300kg/cm)に2回通し、微細エマルションを得た。
その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、ロジン系サイズ剤Aを得た。
得られたロジン系サイズ剤Aの固形分濃度は50.1%、平均粒子径は0.37μmであった。
調製例2(ロジン系サイズ剤Bの調製)
作製例1で得られた分散剤A60部に代えて、作製例2で得られた分散剤Bを40部用い、また、分散剤とともに添加するイオン交換水の量を、144部に変更した以外は、調製例1と同じ方法で、ロジン系サイズ剤Bを得た。
得られたロジン系サイズ剤Bの固形分濃度は50.3%、平均粒子径は0.36μmであった。
<カチオン性基含有アクリルアミドポリマー>
合成例1
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに水277.3部を入れ、20%希硫酸にてpH4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、ジメチルアミノエチルメタクリレート7.1部(0.045mol)と50%アクリルアミド(AM)95.4部(0.671mol)と1%過硫酸アンモニウム水溶液100部とを別々に取り分け、70℃で3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.3%、粘度が5500mPa・s(25℃)、平均分子量250万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例2
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン(DA)18.3部(0.188mol)と水371.5部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム3.2部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド107.0部(0.753mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.2%、粘度が2450mPa・s(25℃)、平均分子量190万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例3
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにメチルジアリルアミン(MDAA)17.3部(0.155mol)と水370.0部を入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム2.7部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド109.9部(0.773mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.5%、粘度が3000mPa・s(25℃)、平均分子量200万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例4
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに60%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)38.3部(0.237mol)と水359.7部を入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム2.0部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド100.0部を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.4%、粘度が2200mPa・s(25℃)、平均分子量150万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例5
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン1.2部(0.012mol)と水354.3部を入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム3.1部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド141.4部(0.994mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.1%、粘度が6650mPa・s(25℃)、平均分子量260万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例6
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン3.1部(0.032mol)と水356.2部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム3.0部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド137.7部(0.968mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.1%、粘度が5100mPa・s(25℃)、平均分子量210万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例7
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン37.7部(0.384mol)と水388.6部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム1.2部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド72.8部(0.512mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.5%、粘度が1350mPa・s(25℃)、平均分子量95万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例8
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン40.5部(0.417mol)と水391.2部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム0.7部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド67.7部(0.476mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.5%、粘度が1800mPa・s(25℃)、平均分子量120万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例9
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン18.0部(0.186mol)と水372.2部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム4.2部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド105.5部(0.742mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.3%、粘度が40mPa・s(25℃)、平均分子量15万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例10
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン18.7部(0.192mol)と水370.3部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム1.6部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド109.4部(0.769mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.1%、粘度が50mPa・s(25℃)、平均分子量20万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例11
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン18.0部(0.186mol)と水372.2部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム4.2部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド105.5部(0.742mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.2%、粘度が5800mPa・s(25℃)、平均分子量290万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例12
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン18.7部(0.192mol)と水370.3部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム1.6部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド109.4部(0.769mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.3%、粘度が7700mPa・s(25℃)、平均分子量350万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例13
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン13.2部(0.136mol)とジメチルアミノエチルメタクリレート7.1部(0.045mol)と水373.4部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム3.1部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド103.1部(0.725mol)を3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.1%、粘度が2700mPa・s(25℃)、平均分子量200万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
合成例14
撹拌機、温度計、環流冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコにジアリルアミン13.2部(0.135mol)と水372.6部とを入れ、20%希硫酸にてpHを4.0に調整した。フラスコ内に窒素ガスを導入して反応系内の酸素を除去した後、60℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム3.1部を添加した。その後、70℃で50%アクリルアミド104.8部(0.738mol)とイタコン酸(IA)6.0部(0.046mol)とを3時間かけて滴下し、70℃で2時間反応させた。反応を完結させた後冷却し、固形分15.2%、粘度が2200mPa・s(25℃)、平均分子量145万のカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを得た。
<紙の製造>
実施例1〜15および比較例1
70%広葉樹パルプ(LBKP)と、30%針葉樹パルプ(NBKP)との混合シートを用いて、40℃で3%のパルプスラリーを調製した。
次いで、パルプスラリーに、対パルプ13%(絶乾重量基準)の炭酸カルシウムを添加した。
次いで、パルプスラリーに、対パルプ2.1%(絶乾重量基準)の硫酸アルミニウムを添加した。
次いで、パルプスラリーに、対パルプ0.1%(絶乾重量基準)の紙力増強剤(両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ハーマイドEX−288、ハリマ化成製)を添加した。
次いで、対パルプ0.3%(絶乾重量基準)の各調製例で得られたロジン系サイズ剤と、対パルプ0.9%(絶乾重量基準)の硫酸アルミニウムと、対パルプ0.075%(絶乾重量基準)の各合成例で得られたカチオン性基含有アクリルアミドポリマーとを、表2に示す組み合わせで、表2に示す時間、滞留しないように混合し、パルプスラリーに添加した。
次いで、パルプスラリーに、対パルプ0.02%(絶乾重量基準)の歩留り向上剤(ポリアクリルアミド系歩留り向上剤、ハイモロックNR−12MLH ハイモ社製)を添加した。
その後、スラリーを1%まで希釈した。パルプスラリーのpHは7.5であった。
次いで、得られたパルプスラリーを均一に撹拌し、抄紙装置(TAPPIスタンダード・シートマシーン 熊谷理機工業社製)を用いて抄紙した。具体的には、坪量64±1g/cmを目標とし、5kg/cmの圧力下で1分間脱水した後、ドラムドライヤーで105℃にて3分間乾燥させた。
これにより、紙を得た。
<評価>
各実施例および各比較例において得られた紙を23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、以下の方法で、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122(1976年)を測定した。
すなわち、5cm四方の紙試験片を作製し、刷子で塩化第二鉄溶液を紙表面に塗ると同時に、チオシアン酸アンモニウム溶液の上に浮かべ、ストップウォッチによりチオシアン酸アンモニウムと塩化第二鉄が接触するまでの秒数を測定した。
得られる秒数は、紙の裏面から染みこんだ水が、表面に到達するまでの時間を測定したものであり、数値が大きいほどサイズ効果が良好であることを示す。
Figure 0006867849
Figure 0006867849
なお、表中の略号の詳細を下記する。
AM:アクリルアミド
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DAA:ジアリルアミン
MDAA:メチルジアリルアミン
DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド
IA:イタコン酸

Claims (8)

  1. ロジン系サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーを混合する混合工程と、
    パルプスラリーに、前記混合工程で得られた混合物を添加する添加工程と、
    前記添加工程の後、パルプスラリーを抄紙する抄紙工程と
    を備え、
    前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、式(1)〜(2)で示されるユニットの少なくともいずれか1種を有し、
    前記添加工程において、サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーの混合時間が、1秒以上30秒以下である
    ことを特徴とする、紙の製造方法。
    Figure 0006867849

    Figure 0006867849

    (上記式(1)〜(2)中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基を示し、Xは、アニオンを示す。)
  2. 前記パルプスラリーが、炭酸カルシウムを含有する、請求項1に記載の紙の製造方法。
  3. 前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、上記式(1)で示されるユニットを有する
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の紙の製造方法。
  4. 上記式(1)において、R1が水素原子を示す
    ことを特徴とする、請求項3に記載の紙の製造方法。
  5. 前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が200,000以上3,000,000以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙の製造方法。
  6. 前記カチオン性基含有アクリルアミドポリマーの総量に対して、上記式(1)〜(2)で示される前記ユニットの含有量が、1モル%以上60モル%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙の製造方法。
  7. 前記ロジン系サイズ剤が、ロジンエステル類を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙の製造方法。
  8. 前記混合工程では、
    サイズ剤、アルミニウム化合物およびカチオン性基含有アクリルアミドポリマーが、互いに衝突するように、滞留することなく混合される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の紙の製造方法。
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