実施例に係る間仕切パネルにつき、図1から図8を参照して説明する。以下、図1の紙面手前側及び図3の紙面右側を移動間仕切装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
間仕切パネル1は、例えば、オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の建物内の室内を所定の区画に仕切るために用いられるものであり、図1に示されるように、本実施例では、複数の間仕切パネル1,1,…を組み合わせて移動間仕切装置10を構成している。
移動間仕切装置10は、室内空間の天井面Rに設けられるレール3に沿って移動可能な一対の吊支部材9,9により上端が吊支される複数の間仕切パネル1,1,…から主に構成され、間仕切パネル1,1,…をレール3に沿って所定の位置まで手動で順次移動させ、間仕切パネル1,1,…を左右方向(進行方向)に一列に連接させることができるとともに、後述する上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに向けて押し付けられることにより天井面Rから床面Fに亘って室内空間を仕切ることができるようになっている。
図2(a)及び図2(b)に示されるように、間仕切パネル1は、前後に間隔をおいて対向配置される一対のガラスパネル4,4(透光パネル部材)と、ガラスパネル4,4を一体に保持する枠部材5(上部フレーム6、縦フレーム7,7及び下部フレーム8)と、上部フレーム6及び下部フレーム8(枠部材5の上下端部)に収納される上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12と、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる進退機構13,13(図5参照)と、から主に構成される二重ガラスパネル構造を成し、パネル材として透明のガラスパネル4が使用されることにより、間仕切パネル1によって仕切られる室内空間の開放感を演出することができるとともに、強度や遮音性に優れている。尚、本実施例では、ガラスパネル4,4と枠部材5とが一体化されてパネル本体20を構成している。
図3を用いて、先ずガラスパネル4の構造について説明する。ガラスパネル4は、2枚の透明な板ガラス41,41を重合して強化された合わせガラスとなっている。尚、板ガラス41,41は、透明度の高いポリカーボネートやアクリル樹脂製を使用してもよい。
次いで、枠部材5の構造について説明する。図2(a)及び図2(b)に示されるように、枠部材5は、ガラスパネル4,4の上端部に沿って取付けられる上部フレーム6と、上端部が上部フレーム6の左右両端部に接続される一対の縦フレーム7,7と、ガラスパネル4,4の下端部に沿って取付けられ、左右両端部が一対の縦フレーム7,7の下端部に接続される下部フレーム8と、から主に構成され、一対のガラスパネル4,4の上下左右端に沿って配置される、いわゆる四方枠形状を成している。
図3に示されるように、上部フレーム6は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部61,61と、上面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる上部チャンネル部62と、を備えている。凹溝部61は、側方から見て下向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の上端部を上方から嵌合している。上部チャンネル部62は、側方から見て上向きコ字状を成し、上部閉塞部材11を収容している。
下部フレーム8は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部81,81と、下面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる下部チャンネル部82と、を備えている。凹溝部81は、側方から見て上向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の下端部を下方から嵌合している。下部チャンネル部82は、側方から見て下向きコ字状を成し、下部閉塞部材12を収容している。
図2(a)及び図2(b)に示されるように、縦フレーム7は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、ガラスパネル4,4の間に配設されている。この縦フレーム7の左右両側には、側部カバー部材76が取付けられている。隣接した間仕切パネル1,1が左右方向に連設される際には、側部カバー部材76同士が直接接触するため、ガラスパネル4,4の両側端面を保護できるようになっている。また、側部カバー部材76にはゴム等の弾性部材(図示略)が設けられており、隣接した間仕切パネル1,1が左右方向に連設される際には、該弾性部材が圧接されるため、隣接する間仕切パネル1,1間における密閉性及び遮音性が高められている。
次に、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12について説明する。図2〜図4に示されるように、上部閉塞部材11は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上部フレーム6と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て下向きコ字形状を成している。下部閉塞部材12は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下部フレーム8と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て上向きコ字形状を成している。
図5に示されるように、上部閉塞部材11は、上部フレーム6の上部チャンネル部62に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している(図1参照)。尚、下部閉塞部材12も同様に、下部チャンネル部82に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している(図1参照)。
図3及び図4に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は、レール3及び床面Fに対して進退動作するようになっている。また、上部閉塞部材11の上面側の前後及び下部閉塞部材12の下面側の前後には、長手方向に沿って延びるゴム製等のシール部材14が固着されており、特に図4に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに近づく方向に延出した状態にあっては、シール部材14がそれぞれ上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12とレール3の下面及び床面Fとの間で圧接され、密閉性及び遮音性が高められる。
次に、進退機構13の構造について説明する。尚、上下の進退機構13は、上下対称をなす略同一構成であるため、ここでは、上方側の進退機構13について説明し、下方側の進退機構13の説明を省略する。
図5に示されるように、進退機構13は、上部チャンネル部62と上部閉塞部材11との間に配設される第1の捻りコイルバネ15,15と、第2の捻りコイルバネ16,16と、を備えている。詳しくは、第1の捻りコイルバネ15,15は、上部チャンネル部62と上部閉塞部材11との間の左右両側に配設されており、第2の捻りコイルバネ16,16は、第1の捻りコイルバネ15,15の間に離間して配置されている。また、上部閉塞部材11の上壁部11aには上下に開口する貫通孔が形成されており、第1の捻りコイルバネ15,15及び第2の捻りコイルバネ16,16の一部は、前記貫通孔内に配置されている。これにより、上部チャンネル部62と上部閉塞部材11とを上下方向に近付けて配置できる。
第1の捻りコイルバネ15について説明する。図6に示されるように、第1の捻りコイルバネ15は、リング状の下端部15a及び上端部15bと、下端部15aと上端部15bとの間に複数に巻かれた螺旋状のコイル部15c,15dと、下端部15aとコイル部15cとを連結する直線部15eと、コイル部15c,15d間を連結する直線部15fと、上端部15bとコイル部15dとを連結する直線部15gと、から構成されている。
リング状を成す下端部15a、上端部15b、及びコイル部15c,15dは、各中心軸が前後方向に平行に位置しており、左右方向にそれぞれ重畳しないようになっている。また、コイル部15c,15dは、中心軸を中心とした巻方向が正面から見て反時計回り(巻方向が同一)となっている。つまり、コイル部15c,15dの中心軸を中心とした屈曲許容方向が同一となっている。尚、本実施例におけるコイル部15c,15dの巻き数及び内径はほぼ同一となっている。さらに尚、本実施例でいうコイル部の屈曲とは、コイル部に連結された2つの直線部同士が互いに近づくことであり、例えばコイル部15cの屈曲とは、該コイル部15cの中心軸を中心として、直線部15eが正面から見て時計回りに、直線部15fが正面から見て反時計回りに相対的に回動して近づくことである。
図5に戻って、第1の捻りコイルバネ15の下端部15aは、上部チャンネル部62の底面部62aに固定された取付片17から前後方向に延びる軸部17aに挿通され、該軸部17aに対して回動自在に軸支されている。また、第1の捻りコイルバネ15の上端部15bは、上部閉塞部材11の上壁部11aの下面に固定された取付片18から前後方向に延びる軸部18aに挿通されており、上端部15bと隣接するコイル部15dは、取付片18において軸部18aの右方から前後方向に延びる軸部18bに挿通されているため、上端部15bは軸部18aに対して回動不能となっている。
上部閉塞部材11が左側に突出した状態(以下、上部閉塞部材11の収納状態という)にあっては、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dは上端部15bと略水平方向に並んで配設されている。
次に、第2の捻りコイルバネ16について説明する。図7に示されるように、第2の捻りコイルバネ16は、リング状の下端部16a及び上端部16bと、下端部16aと上端部16bとの間に複数に巻かれた螺旋状のコイル部16cと、下端部16aとコイル部16cとを連結する直線部16eと、上端部16bとコイル部16cとを連結する直線部16gと、から構成されている。
リング状を成す下端部16a、上端部16b、及びコイル部16cは、各中心軸が前後方向に平行に位置しており、左右方向にそれぞれ重畳しないようになっている。また、コイル部16cは、中心軸を中心とした巻方向が正面から見て反時計回りとなっている。
図5に戻って、第2の捻りコイルバネ16の下端部16aは、上部チャンネル部62の底面部62aに固定された取付片17’から前後方向に延びる軸部17a’に挿通され、該軸部17a’に対して回動自在に軸支されている。また、第2の捻りコイルバネ16の上端部16bは、上部閉塞部材11の上壁部11aの下面に固定された取付片18’から前後方向に延びる軸部18a’に挿通され、該軸部18a’に対して回動自在に軸支されている。また、上部閉塞部材11の収納状態にあっては、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cは上端部16bと略水平方向に並んで配設されている。
尚、上部閉塞部材11の収納状態にあっては、上部閉塞部材11が上部チャンネル部62の底面部62aに載置されており、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とに上部閉塞部材11の重量がかからないため、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とに付勢力が発生していない状態(自然状態)となっている。
次に、上部閉塞部材11の閉塞動作について説明する。尚、ここでは、上部閉塞部材11の左端側のみを図示して説明し、上部閉塞部材11の右端側の図示及び説明を省略する。
図8(a)に示されるように、間仕切パネル1を左方向に移動させると、パネル本体20の左側に突出する上部閉塞部材11の左端部が先行する間仕切パネル1’に接触する。尚、図8(a)は、上部閉塞部材11の左端部が先行する間仕切パネル1’に接触した直後、すなわち上部閉塞部材11にパネル本体20側(右側)に押し込まれる力が働いていない状態を示している。
次いで、図8(b)に示されるように、図8(a)の状態からパネル本体20を左側に移動させると、上部閉塞部材11がパネル本体20側に押し込まれる。上部閉塞部材11がパネル本体20側に押し込まれると、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とが、下端部15aと下端部16aとをそれぞれ回動中心として回動し、上部閉塞部材11が持ち上げられ、該上部閉塞部材11がレール3に接触する。詳しくは、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、進行方向に2つずつ設けられているため、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がそれぞれ平行リンクとして機能して上部閉塞部材11を平行な状態のまま上昇させるようになっている。
このとき、第1の捻りコイルバネ15の上端部15bは、軸部18aに対して回動不能となっているため、上部閉塞部材11がパネル本体20側に押し込まれたときからコイル部15dが屈曲して付勢力が発生するとともに、第2の捻りコイルバネ16の下端部16a及び上端部16bは、軸部17a’,18a’に対して回動自在に軸支されているため、コイル部16cはほとんど屈曲されずに回動する。
また、このとき、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、略水平方向(上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向)に強く働くようになっている。
図8(c)に示されるように、図8(b)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、軸部18a,18bと軸部17aとが左右方向に近接し、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cが屈曲し、コイル部15dの屈曲が解消される。また、軸部17a’と軸部18a’とが左右方向に近接し、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cが屈曲する。すなわち、1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16を屈曲させながら、上部閉塞部材11とパネル本体20とが左右方向に相対移動するようになる。
このときには、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cの中心軸と、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cの中心軸と、が軸部17a,17a’の直上に位置しており、コイル部15c及びコイル部16cを中心として、それぞれの上端部15b側及び上端部16b側を上方へ持ち上げるように作用するため、図8(b)の状態よりも上下方向への付勢力が強く働くようになっている。
尚、図8(c)の状態にあっても、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にも働いているが、図8(b)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。さらに尚、軸部18a’は軸部17a’よりも左側に位置しているため、第2の捻りコイルバネ16の付勢力も上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向に若干働いている。
また、図8(d)に示されるように、図8(c)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とがさらに屈曲され、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cの中心軸と、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cの中心軸と、が軸部17a,17a’の直上を越えて右側に移動する。したがって、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の付勢力は、図8(c)の状態よりも上下方向に強く働くようになっている。
尚、図8(d)の状態にあっても、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にも働いているが、図8(c)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。さらに尚、軸部18a’は軸部17a’よりも左側に位置しているため、第2の捻りコイルバネ16の付勢力も上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向に若干働くが、図8(c)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。
また、図8(e)に示されるように、図8(d)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、パネル本体20が間仕切パネル1’に接触する。このときには、軸部18a’,18bが軸部17a,17a’の直上を越えて右側に位置するとともに、軸部18aは、軸部17aの直上よりも左側に位置している。すなわち、第2の捻りコイルバネ16は死点を越えるが、第1の捻りコイルバネ15は死点を越えていない。
つまり、図8(e)の状態にあっては、第2の捻りコイルバネ16の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向に作用し、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向には作用しないが、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向以外に、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にもわずかに作用している。
これによれば、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16による付勢力は、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向よりもパネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向に大きく働くため、パネル本体20が隣接する間仕切パネル1’に押し付けられた状態で上部閉塞部材11がレール3に圧接された間仕切パネル1の閉塞状態が保持される。
また、上部閉塞部材11の閉塞解除動作は、間仕切パネル1を右方向に移動させることにより行われる。この上部閉塞部材11の閉塞解除動作時における第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との動作態様は、上述した上部閉塞部材11の閉塞動作時における第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との動作態様と逆になる(図8(e)、図8(d)、図8(c)、図8(b)、図8(a)の順となる)。
以上、説明したように、本実施例の間仕切パネル1は、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる進退機構13,13を備え、進退機構13は、一端がパネル本体20に取付けられ、他端が上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12に取付けられ、前記一端と前記他端との間にコイル部15c,15dが設けられた第1の捻りコイルバネ15及び前記一端と前記他端との間にコイル部16cが設けられた第2の捻りコイルバネ16により構成されており、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、所定のストロークの間で互いに異なる態様を現す。
具体的には、上部閉塞部材11が収容状態からパネル本体20側に押し込まれた状態から上部閉塞部材がレール3に接触するまでのストロークにあっては、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向に働き、第2の捻りコイルバネ16の付勢力は上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にはほとんど発生しない。これによれば、第1の捻りコイルバネ15のみで進退機構13を構成する場合に比べて、上部閉塞部材11をパネル本体20側に押し込む際にかかる力を小さくできるとともに、第2の捻りコイルバネ16のみで進退機構13を構成する場合に比べて、上部閉塞部材11の閉塞動作を安定させることができる。
また、上部閉塞部材11の閉塞状態にあっては、第2の捻りコイルバネ16の付勢力はパネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向に作用し、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向には作用しないが、第1の捻りコイルバネ15の付勢力はパネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向以外に、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にもわずかに作用している。これによれば、第1の捻りコイルバネ15のみで進退機構13を構成する場合に比べて、上部閉塞部材11をレール3に押し付ける力を向上させることができるとともに、第2の捻りコイルバネ16のみで進退機構13を構成する場合に比べて、間仕切パネル1の閉塞状態の解除を行いやすい。
すなわち、上部閉塞部材11が収納状態から閉塞状態となるまでのストローク間において、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との付勢力が、異なるベクトル(方向及び絶対値)となっているため、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との付勢力で互いに補完し合うことで上部閉塞部材11の動作を安定させることができ、上下方向の狭い範囲で上部閉塞部材11のレール3への押し付けや、上部閉塞部材11の進行方向に突出した状態への復帰を好適に行うことができる。
つまり、リジッドなリンク部材等を用いる必要がなく、上部閉塞部材11をレール3に向けて押し付けたときに、各コイル部15c,15d,16cの屈曲により上下寸法が小さくなる第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の収容空間を用意すればよいため、進退機構13における第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくすることができる。
これにより、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16を収容する上部チャンネル部62及び下部チャンネル部82の上下寸法をコンパクトにすることができるとともに、上部チャンネル部62及び下部チャンネル部82を天井面R及び床面Fに近付けて配置することが可能であるため、ガラスパネル4の可視領域を大きく確保することができ、美観に優れた間仕切パネル1を構成することができる。
尚、本実施例では、進退機構13が第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の2種類からなる形態を例示したが、3種類以上の複数の捻りコイルバネから構成されていてもよい。さらに尚、本実施例では、上部閉塞部材11が収納状態から閉塞状態となるまでのストローク間において、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との付勢力が、常に異なるベクトルとなっている形態を例示したが、所定のストローク間において一部同一のベクトルに付勢力が働くようになっていてもよい。
また、進退機構13は、コイル部15c,15dを長手方向に複数有する第1の捻りコイルバネ15と、コイル部16cを長手方向に1つ有する第2の捻りコイルバネ16と、を備えるため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれ、第2の捻りコイルバネ16が回動してその付勢力が上下方向に働くときに、回動した第1の捻りコイルバネ15の付勢力の一部は略水平方向に働くため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12のレール3及び床面Fへの押し付けや、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12のパネル本体20の進行方向に突出した状態への復帰を好適に行うことができる。
また、複数のコイル部15c,15dで第1の捻りコイルバネ15が屈曲可能であるため、第1の捻りコイルバネ15の変形動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくでき、さらに間仕切パネル1の閉塞状態にあっては、コイル部15dを中心とした付勢力もほぼ上下方向に働くため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12をレール3及び床面Fに向けて押し付けた際において上下方向に大きな付勢力を働かせることができる。
また、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに向けて押し付けられたときに、第2の捻りコイルバネ16の上下方向の付勢力が、第1の捻りコイルバネ15の上下方向の付勢力よりも大となっている。これによれば、第2の捻りコイルバネ16を上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12をレール3及び床面Fに押し付ける主の部材(平行リンク)として用い、第1の捻りコイルバネ16を上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12のレール3及び床面Fへの押し付けや、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12をパネル本体20の進行方向に突出した状態に復帰させるための補助部材として取り扱うことができるため、進退機構13の設計が容易となる。例えば、第1の捻りコイルバネ16のコイル部の巻き数やその内径、またはコイル部の数などを変更するだけで、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の動作を好適にすることができる。
また、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とが進行方向に2つずつ設けられているため、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がそれぞれ平行リンクとして機能して上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を平行な状態のまま上昇/下降させることができる。
尚、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との少なくとも一方がパネル本体20の進行方向に複数設けられていれば、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との他方は1つであってもよい。
また、第1の捻りコイルバネ15の一方の端部は、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12に対して回動不能となっているため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれたときからコイル部15dが屈曲して付勢力が発生するため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれたときから第1の捻りコイルバネ15の付勢力を確実に働かせることができるので、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の進退動作を安定して行うことができるとともに、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の進退動作を高い即応性で安定して行うことができ、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに接触したときから上下方向に付勢力を働かせることができる。
尚、本実施例では、第1の捻りコイルバネ15の上端部15bが上部閉塞部材11に対して回動不能に取付けられる形態を例示したが、これに限られず、第1の捻りコイルバネ15の下端部15a(他方の端部)がパネル本体20に対して回動不能に取付けられていてもよいし、第1の捻りコイルバネ15の両端部が閉塞部材及びパネル本体に回動不能に取付けられていてもよい。
さらに尚、本実施例では、第1の捻りコイルバネ15の少なくとも一方の端部が閉塞部材またはパネル本体に対して回動不能に取付けられている形態を例示したが、第2の捻りコイルバネ16の少なくとも一方の端部が閉塞部材またはパネル本体に対して回動不能に取付けられていてもよい。
また、パネル本体20の下部に設けられる第1の捻りコイルバネ15は、パネル本体20の上部に設けられる第1の捻りコイルバネ15と上下対称をなす略同一構成であるため、同様の効果を発揮する。尚、パネル本体20の下部に設けられる第1の捻りコイルバネ15は、下部閉塞部材12の収納状態において、下部閉塞部材12の重量がかかることにより、下部閉塞部材12を持ち上げる方向に第1の捻りコイルバネ15の付勢力が発生するため、下部閉塞部材12の収納状態を維持できる。
また、間仕切パネル1の閉塞状態において、第2の捻りコイルバネ16は死点を越えるが、第1の捻りコイルバネ15は死点を越えていないため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向以外に、上部閉塞部材11を左側に押し戻す方向にも作用する。これによれば、間仕切パネル1の閉塞状態において、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がともに死点を越える場合に比べて、間仕切パネル1の閉塞状態の解除を行いやすい。
また、第1の捻りコイルバネ15は、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12が進行方向に突出した状態(上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の収納状態)において、コイル部15c,15dが回動不能に取付けられている上端部15b及び下端部15aと略水平方向に並んで配設されているため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の収納状態における第1の捻りコイルバネ15の上下寸法を小さくでき、上部チャンネル部62及び下部チャンネル部82の上下寸法をコンパクトにすることができる。
また、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dの中心軸を中心とした屈曲許容方向が同一となっているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力を安定して働かせることができる。
また、コイル部15dは、軸部18bに対して回動自在に挿通されているため、第1の捻りコイルバネ15を安定して屈曲させることができる。
また、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dは、左右方向にそれぞれ重畳しないように中心軸方向にずれて配置されている。これによれば、第1の捻りコイルバネ15が屈曲してもコイル部15c,15d同士が干渉しないため、第1の捻りコイルバネ15を大きく屈曲させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16を併用して上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を動作させる形態を例示したが、第1の捻りコイルバネ15または第2の捻りコイルバネ16の1種類を用いて上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を動作させてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15が2つのコイル部15c,15dを有する形態を例示したが、捻りコイルバネは、長手方向に3つ以上のコイル部を有していてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15がパネル本体20の進行方向に2つ設けられる形態を例示したが、3つ以上設けられていてもよい。尚、前記実施例では、第2の捻りコイルバネ16がパネル本体20の進行方向に2つ設けられる形態を例示したが、1つまたは3つ以上設けられていてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15におけるコイル部15c,15dの巻き数及び内径がほぼ同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各コイル部の巻き数及び内径を変えて、各コイル部が異なる態様で屈曲するようにしてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15におけるコイル部15c,15dの巻方向が同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各コイル部の巻方向を変えて、各コイル部の屈曲許容方向が異なるようにしてもよい。
また、前記実施例では、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれたとき、または下部閉塞部材12の重量がかかったときに、第1の捻りコイルバネ15の付勢力が発生する形態を例示したが、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dの少なくとも一方を予め屈曲させた状態で上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12とパネル本体20との間に設置して、常に第1の捻りコイルバネ15に付勢力を発生させ、前記実施例よりも上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の即応性や下部閉塞部材12の持ち上げ力などを向上させてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15の上端部15bが上部閉塞部材11に回動不能に固定されていることで、上部閉塞部材11の左端部がパネル本体20よりも左側に突出した収容状態に戻るように構成されている形態を例示したが、捻りコイルバネとは別に閉塞部材を収容状態に戻す手段(例えば、引きバネ等)を設けてもよい。
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15の上端部15bがリング状に形成されて軸部18aに挿入され、上端部15bと隣接するコイル部15dが軸部18bに挿通されているため、上端部15bは軸部18a(上部閉塞部材11)に対して回動不能となっている形態を例示したが、第1の捻りコイルバネの一方の端部が閉塞部材またはパネル本体に対して回動不能に取付けられていればよく、例えば、第1の捻りコイルバネの一方の端部をリング状に形成せず、ネジや溶接などにより閉塞部材またはパネル本体に固着してもよい。