実施例1に係る移動間仕切装置につき、図1から図11を参照して説明する。以下、図2の紙面手前側及び図4の紙面右側を移動間仕切装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
間仕切パネル1は、例えば、オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の建物内の室内を所定の区画に仕切るために用いられるものであり、図1,図2に示されるように、本実施例では、複数の間仕切パネル1,1,…,1Aを組み合わせて移動間仕切装置10を構成している。
移動間仕切装置10は、室内空間の天井Rに設けられるレール3(誘導路)に沿って移動可能な一対の吊支部材9,9(図3参照)により上端が吊支される複数の間仕切パネル1,1,…と、側部閉塞装置2を有する最後尾の間仕切パネル1Aと、から主に構成され、間仕切パネル1,1,…,1Aをレール3に沿って図1において右側の側壁W’に設けられる移動規制端部S’側に所定の位置まで手動で順次移動させることによって、間仕切パネル1,1,…,1Aを一列に連接させ、後述する上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床Fに向けて押し付けられるとともに、側部閉塞装置2の側部閉塞部材20(図2参照)が側壁Wに設けられる移動規制端部Sに押し付けられることにより、天井Rから床Fに亘って室内空間を仕切ることができるようになっている。
尚、移動規制端部S,S’とは、移動間仕切装置10を構成する間仕切パネル1,1,…,1Aの内、先頭の間仕切パネル1、または、最後尾の間仕切パネル1Aの側部閉塞部材20が当接し、先頭の間仕切パネル1、または、最後尾の間仕切パネル1Aの側部閉塞部材20の移動を規制する端部を構成する所定の側壁や支柱等のことである。
また、図1に示されるように、レール3には、収納レール3a,3aが直交連結されており、収納レール3a,3aは、間仕切パネル1,1Aに固定された一対の吊支部材9,9と略同一寸法離間して配置されている。これにより、間仕切パネル1,1,…,1Aを前後方向(連接方向に直交する方向)に並べて収納可能となっている。
次に、最後尾の間仕切パネル1Aについて説明する。尚、他の間仕切パネル1の構成については、最後尾の間仕切パネル1Aの構成と略同一態様であるため、重複する説明については省略する。
図3に示されるように、最後尾の間仕切パネル1Aは、前後に間隔をおいて対向配置される一対のガラスパネル4,4(パネル部材)と、ガラスパネル4,4を一体に保持する枠部材5(上部フレーム6、縦フレーム7,7A及び下部フレーム8)と、上部フレーム6または下部フレーム8に収納される上部閉塞部材11または下部閉塞部材12と、上部閉塞部材11または下部閉塞部材12に収納される上角部閉塞部材31及び下角部閉塞部材32と、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退移動させる上部進退機構65または下部進退機構85(図5参照)と、縦フレーム7Aに取付けられる側部閉塞装置2と、から主に構成される二重ガラスパネル構造を成し、パネル材として透明のガラスパネル4,4が使用されることにより、間仕切パネル1,1,…,1Aによって仕切られる室内空間の開放感を演出することができるとともに、強度や遮音性に優れている。尚、本実施例では、ガラスパネル4,4と枠部材5とが一体化されてパネル本体50(図5参照)を構成している。
次に、ガラスパネル4,4の構造について説明する。図4に示されるように、ガラスパネル4は、2枚の透明な板ガラス41,41を重合して強化された合わせガラスとなっている。尚、板ガラス41,41は、透明度の高いポリカーボネートやアクリル樹脂製を使用してもよい。
図3に示されるように、前方のガラスパネル4には貫通孔4bが形成されており、貫通孔4bは、後述する側部閉塞装置2のアクセス部C(後述する六角ボルト頭部)に位置合わせされている。
次に、枠部材5の構造について説明する。図3に示されるように、枠部材5は、ガラスパネル4,4の上端部に沿って取付けられる上部フレーム6と、上端部が上部フレーム6の左右両端部に連結される一対の縦フレーム7,7Aと、ガラスパネル4,4の下端部に沿って取付けられ、左右両端部が一対の縦フレーム7,7Aの下端部に連結される下部フレーム8と、から主に構成され、一対のガラスパネル4,4の上下左右端に沿って配置される、いわゆる四方枠形状を成している。
図4に示されるように、上部フレーム6は、長手方向に沿って設けられる上部チャンネル部62を備えており、上部チャンネル部62には、上部閉塞部材11及び上部進退機構65(図5参照)が収納されている。また、下部フレーム8は、上部フレーム6を上下に反転した形状と略同一形状であり、下部フレーム8の下部チャンネル部82には、下部閉塞部材12及び下部進退機構85(図5参照)が収納されている。
図3に戻って、最後尾の間仕切パネル1Aの右側の縦フレーム7は、ガラスパネル4,4の上下方向に延びる芯部材71と、該間仕切パネル1Aの上下方向に延び芯部材71を被覆する被覆部材70と、から主に構成され、芯部材71の上端部が上部フレーム6に、芯部材71の下端部が下部フレーム8に、それぞれ一対のネジで固定される。最後尾の間仕切パネル1Aの左側の縦フレーム7Aは、ガラスパネル4,4の上下方向に亘って延びる芯部材71Aと、上面視コ字状に形成され芯部材71Aを覆うカバー部材72と、から主に構成され、芯部材71Aの上端部が上部フレーム6に、芯部材71Aの下端部が下部フレーム8に、それぞれ一対のネジで固定される。尚、他の間仕切パネル1は、縦フレーム7,7が対向配置されている。
ここで、ガラスパネル4,4と縦フレーム7,7Aとの固定について説明する。ガラスパネル4,4の内面と、縦フレーム7の被覆部材70の側面とを透明な両面テープで貼付するとともに、前方のガラスパネル4の内面と、縦フレーム7Aのカバー部材72の側面とを透明な両面テープで貼付する。このようにしてガラスパネル4,4と縦フレーム7,7Aとが固着されている。
また、図3に示されるように、カバー部材72の前方の側板部には、前方のガラスパネル4の貫通孔4bと位置合わせされて貫通孔72fが形成されており、ガラスパネル4,4と縦フレーム7,7Aとが固着され、貫通孔72fと貫通孔4bとが連通することで、アクセス部C(操作部)にアクセス可能なアクセス孔Hが形成される。尚、直接の図示は省略するが、アクセス部Cの操作を行うとき以外は、アクセス孔Hにキャップが装着され、アクセス部Cの保護がなされている。
次に、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12について説明する。図4,図5に示されるように、上部閉塞部材11は、上部フレーム6と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て下向きコ字形状を成している。下部閉塞部材12は、上部閉塞部材11を上下反転した形状と略同一形状であるため、その説明を省略する。
図7,図9,図10に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は、上部フレーム6の上部チャンネル部62及び下部フレーム8の下部チャンネル部82に収納された状態において、パネル本体50よりも右側(間仕切り位置への進行方向)に右端部がそれぞれ突出している。また、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は、隣接する間仕切パネル1の左側端部に押圧されることにより、上部進退機構65または下部進退機構85によってレール3及び床Fに対して進退移動するようになっている。尚、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる上部進退機構65または下部進退機構85は、捻りコイルバネ、または捻りコイルバネ及びリンク部材を組み合わせたリンク機構等により構成されている。
次に、側部閉塞装置2について説明する。図5,図6に示されるように、側部閉塞装置2は、カバー部材72内の収納部72dに収納される側部閉塞部材20と、縦フレーム7Aの芯部材71Aに固定されるベース杆23と、側部閉塞部材20とベース杆23との間に介在し当該側部閉塞部材20を支持する上下一対の重量支持機構35,35と、ベース杆23に固定され側部閉塞部材20を左方向に押動または右方向に引動させる側部進退機構25と、から主に構成されており、側部進退機構25の進退動作に応じて側部閉塞部材20は進退するようになっている。
図5,図6を参照し、側部閉塞部材20は、ガラスパネル4,4の上下方向に亘って延び芯部材71A側(右側)に開口する上面視コ字状に形成された本体部材21のコ字状底部に支持杆22が固定されており(図7(b)参照)、上面視移動規制端部S側(左側)に開口するカバー部材72の内部に連接方向(左右方向)に移動可能に収納されている。また、支持杆22には側部進退機構25及び各重量支持機構35,35が連結されている。
図5,図6を参照し、支持杆22は、上下方向に長尺な角パイプ状の部材であり(図7(b)参照)、支持杆22には、取付片22a,22aが上部及び下部それぞれに溶接固定されており、取付片22aには重量支持機構35が回動可能に取付けられている。
また、図7(b)に示されるように、支持杆22の前後の側面部には、上面視柄杓形状に形成された二つの段付き板材22b,22bが、前後方向に延びる各短板部を芯部材71A側で対向配置させた状態で固定されており、二つの段付き板材22b,22bに囲まれた空間内を後述する側部進退機構25の押引体26が左右方向に移動可能かつ芯部材71A側への移動は短板部である規制部により規制可能となっている。
図5,図6に戻って、ベース杆23は、上下方向に長尺なC字チャンネル杆状の部材であり、上下方向に亘って形成されたスリットが移動規制端部S側(左側)に向けて配置された状態で、ボルトナットにより芯部材71Aに固定されている。
また、ベース杆23の左側面部には、上下方向略中央部に上下方向に離間した第1取付片23a,23a(図5参照)と、第1取付片23a,23aよりも上端部側または下端部側に位置した第2取付片23b,23bと、第2取付片23b,23bそれぞれの下方にてベース杆23の板状の支持板23c,23cとが溶接固定されており、第1取付片23a,23aには側部進退機構25が、第2取付片23b,23bには重量支持機構35,35が、それぞれ回動可能に軸支され、支持板23c,23cには重量支持機構35,35のローラ38,38(図6参照)が押圧されている。
また、図7(a)に示されるように、ベース杆23の第1取付片23aには、ピン状の第1ストッパ98aと第2ストッパ98b(規制手段)とが溶接固定されており、後述する側部進退機構25のレバー27が当接することで当該レバー27の回動を規制する。
次いで、重量支持機構35,35について下方の重量支持機構35を例に説明し、以降の説明において特に断らない限り、上方の重量支持機構35の説明については省略する。図6に示されるように、重量支持機構35は、長尺の第1リンク部36と、短尺の第2リンク部37と、から構成され、第2リンク部37の一端部37aは、第1リンク部36の長尺方向略中央部に回動可能に軸支され、横向き略入字状を成している。また、第2リンク部37の他端部37bは、ベース杆23の第2取付片23bに回動可能に軸支されている。
第1リンク部36の一端部36aには、回動可能に軸支されたローラ38が設けられている。ローラ38は、ベース杆23の支持板23cに押圧されており、第1リンク部36の傾きに応じて支持板23cに押圧されながら回転し、上方または下方に移動可能となっている。また、第1リンク部36の他端部36bは、支持杆22の取付片22aに回動可能に軸支されている。
このように、側部閉塞部材20とベース杆23とは重量支持機構35によって連結されている。また、重量支持機構35は、側部閉塞部材20の移動を略水平方向へ案内可能である。さらに、重量支持機構35,35は上下に離間して配置されていることから、側部閉塞部材20を精度よく水平方向へ案内できる。
次いで、図5~図7を用いて、側部進退機構25について説明をする。図5,図6に示されるように、側部進退機構25は、ベース杆23に回動可能に軸支される上下一対のレバー27,27(回動体)と、該レバー27に回動可能に取付けられる板状の長尺部材であるアーム体28,28と、該アーム体28,28それぞれが回動可能に取付けられる上下方向に長尺な押引体26と、レバー27,27それぞれに回動可能に軸支される上下方向に長尺なパイプ状のリンク部材29と、押引体26と支持杆22との間に介在する複数の緩衝部材33,33,…と、から主に構成されている。尚、本実施例における押引手段は、押引体26と、アーム体28,28と、から構成されている。
図5を参照して、押引体26は、支持杆22よりも短尺な角パイプ状の部材(図7(b)参照)の上部と下部から芯部材71A側にそれぞれ突出した軸部に略矩形状の取付部26a,26aが連結されて構成されており、取付部26a,26aにはアーム体28,28が回動可能に取付けられている。
図7(a)に示されるように、レバー27は、正面視略鈍角三角形状に形成されており、鈍角に形成された第1角部27aを前後方向に貫通する貫通孔と、ベース杆23の第1取付片23aを前後方向に貫通する貫通孔と、に挿通された六角ボルトにナットが螺着されることで、第1取付片23aに回動可能に軸支されている。また、六角ボルトの頭部は、レバー27に対して相対的に回動しないように当該レバー27に固定されており、下方のレバー27の六角ボルトの頭部は、アクセス孔Hを介して前方のガラスパネル4に露出するアクセス部Cである。
また、第1角部27aから最も離間した第2角部27bと、アーム体28の一端部28aとがそれぞれ回動可能に軸支されている。さらに、上方のレバー27の第3角部27cはリンク部材29の上端部29a(図5参照)に、下方のレバー27の第3角部27cはリンク部材29の下端部29bに、それぞれ回動可能に軸支されることでリンク部材29を介して連結されており、レバー27,27はリンク部材29によって連動して回動する。
また、上方のアーム体28の他端部28bは押引体26の上方の取付部26a(図5参照)に、下方のアーム体28の他端部28bは押引体26の下方の取付部26aに、それぞれ回動可能に取付けられている。
尚、以降の説明において、図6~図9に示されるように、レバー27の第1角部27aの軸支部分を第1軸支部P1(回動中心)、第2角部27bの軸支部分を第2軸支部P2(接続部分)、アーム体28の他端部28bの軸支部分を第3軸支部P3、第3角部27cの軸支部分を第4軸支部P4とする。
図5~図7に示されるように、第1軸支部P1と第3軸支部P3とは、略同一の高さ位置に配置されている。
また、リンク部材29は、移動規制端部S側の側端部がベース杆23のスリットを通じて当該移動規制端部S側に進出した状態でベース杆23の空隙に挿嵌されており、リンク部材29がレバー27,27の回動に応じて上下方向に移動する際にスリットを形成するベース杆23の側端部と当接することで移動の案内がなされる。これによって、リンク部材29の上下方向への移動が安定する。
図7(b)に示されるように、緩衝部材33は、左右方向に付勢するコイル状の圧縮バネ33a(付勢手段)と、該圧縮バネ33aに軸通されるボルト形状の軸芯33bと、から構成されており、軸芯33bの一端部が押引体26の支持杆22側の側端部に螺着されている。一方、軸芯33bの他端部は、支持杆22の押引体26側の側端部を左右方向に貫通する貫通孔22cに挿通されており、軸芯33bは、該貫通孔22cを通じて左右方向へ移動可能となっている。
また、押引体26は、圧縮バネ33aの付勢力やアーム体28による引動により、押引体26が芯部材71A側に移動しても段付き板材22b,22bの規制部に接触するため、貫通孔22cから軸芯33bから脱落することがなく、支持杆22から離脱することが防止されている。このようにして、側部進退機構25は、側部閉塞部材20とベース杆23との間に連結されている。
次に、図7~図11を用いて、最後尾の間仕切パネル1Aによる間仕切パネル1,1,…,1Aと移動規制端部S、天井R及び床Fとの隙間の閉塞動作について説明する。尚、以降の説明において、特に断らない限り、下方に位置する、レバー27、アーム体28及び押引体26の取付部26aを例に説明する。先ず、図10(a)に示されるように、側部閉塞装置2の側部閉塞部材20が収納状態にある最後尾の間仕切パネル1Aを隣接する間仕切パネル1と移動規制端部Sとの間へと移動する。このとき、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は隣接する間仕切パネル1の左側端部に当接しており、連接された間仕切パネル1,1,…,1Aと移動規制端部Sとの間には、最後尾の間仕切パネル1Aと移動規制端部Sとの隙間G1と、最後尾の間仕切パネル1Aとこれに隣接する間仕切パネル1Aとの隙間G2とが形成されている。
また、側部閉塞部材20の収納状態において、図7(a)に示されるように、第2軸支部P2が第1軸支部P1の略垂直下方に位置している。このとき、レバー27の第1角部27aと第3角部27cとの間の側端部27d(図7(a)参照)が、第1ストッパ98a(図7(a)参照)に当接しているため、レバー27の反時計回り方向への回動が規制されている。一方、レバー27とアーム体28とは、第2軸支部P2で谷折りに屈折して正面視略V字状を成し、本実施例において第1軸支部P1から第3軸支部P3までの左右方向の寸法が最短となっている。押引体26及び側部閉塞部材20もレバー27側に配置されているため、側部閉塞部材20はカバー部材72内の収納部72dに収納された状態となっている(図6(a)参照)。
また、側部閉塞部材20の収納状態において、アクセス部Cに取付けたハンドル(図示略)を操作して下方のレバー27を時計回り方向に回動させると、リンク部材29を介して上方のレバー27も時計回り方向に回動され、各第2軸支部P2,P2が時計回り方向へ回動して、第3軸支部P3が移動規制端部S側へと移動し、谷折りに屈折するレバー27とアーム体28とが拡開していく。このとき、側部閉塞部材20は、重量支持機構35,35によって側部閉塞部材20の重量W1が支持されながら、略水平方向へ案内されるため、第3軸支部P3はレバー27の回動に応じて略水平方向へ移動する。これにより、側部閉塞部材20は押引体26に押動され、図10(b)に示されるように、側部閉塞部材20は移動し、その側端部が移動規制端部Sに当接して、隙間G1が閉塞される。
このとき、重量支持機構35,35によって、側部閉塞部材20の重量W1をベース杆23(図6参照)に主に負荷させることができるので、側部進退機構25のレバー27を軽い力で回動操作可能となっている。
また、側部進退機構25は、平行リンクを形成していることから、側部進退機構25による側部閉塞部材20の押動または引動の際に、押引体26に対して略均等に力を作用させることができるとともに、押引体26(第3軸支部P3,P3)を第1軸支部P1,P1に対して略平行に移動させることができる。
図10(b)に示される状態から、ハンドルを操作してアクセス部Cの回動を続けると、側部閉塞部材20の移動規制端部S側への移動は、該移動規制端部Sによって規制されていることから、パネル本体50側が隣接する間仕切パネル1側へと移動する。これに伴い、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12それぞれの側端部が隣接する間仕切パネル1の左側端部に押圧されることから、図11(a)に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12が天井Rまたは床Fに向かって進出し、当接する。
図11(a)に示される状態から、ハンドルを操作してアクセス部Cの回動を続けると、パネル本体50が移動し、谷折りに屈折するレバー27とアーム体28との拡開が進み直線状を成した後、屈折方向が山折りに反転して、ハンドルの回動角度が略90度に達することで、図11(b)に示されるように、隙間G2が閉塞される。以下、詳細に説明する。
アクセス部Cが時計回り方向へ回動されると、第2軸支部P2は、第1軸支部P1を中心として時計回り方向へ回動し、第1軸支部P1及び第3軸支部P3と略同一高さ位置に移動することで、第1軸支部P1、第3軸支部P3と共に略直線を成す(図8(a)を参照)。このとき、第1軸支部P1から第3軸支部P3までの左右方向の寸法が最長となり(押引体26と、アーム体28と(押引手段)の最大ストローク)、緩衝部材33の圧縮バネ33aが最も圧縮された状態となる(図8(b)参照)。また、押引体26と、アーム体28と(押引手段)の最大ストロークにおいて、第1軸支部P1、第2軸支部P2及び第3軸支部P3は、所謂デッドセンターに沿って並んでいる。
この状態からさらにアクセス部Cが回動されると、第2軸支部P2がデッドセンターを越えて、第2軸支部P2は僅かに右側(ベース杆23側)かつ上側へ移動し、レバー27とアーム体28とは、山折りに屈折して正面視略下向きV字状を成し、押引体26とアーム体28とは、最大ストロークを越えて後退し始める。また、圧縮バネ33aは圧縮されていく状態から伸長していく状態へと移行する。尚、第2軸支部P2がデッドセンターをわずかに越える角度がハンドルの回動角度略90度となるように構成されている。
アクセス部Cを介してハンドルから与えられる操作力と圧縮バネ33aの伸長による付勢力により、回動するレバー27は、時計回り方向へ回動し、レバー27の第1角部27aと第2角部27bとの間の側端部27eが第2ストッパ98bに当接することで、回動が規制されるため、押引体26とアーム体28の後退も規制される。この規制状態では、側部閉塞部材20は、圧縮バネ33aからの付勢力を受けることによって、移動規制端部Sに安定して押し付け続けられることから、連接された間仕切パネル1,1,…,1Aと移動規制端部Sとの隙間G1,G2(図10(a)参照)を安定して閉塞できる。また、レバー27、アーム体28に外力が作用しない限り屈折方向は反転しないことから、隙間G1,G2を閉塞した位置で保持される。
また、圧縮バネ33aは、上下方向に複数配設されていることから、隙間G1,G2を閉塞した際に、上下方向において略均等圧で側部閉塞部材20と移動規制端部Sとが密接されるため、密接状態が安定する。
また、第2軸支部P2がデッドセンターを越えることでレバー27に作用する圧縮バネ33aの付勢力によって、レバー27の側端部27eが確実に第2ストッパ98bへと押し付けられることから、隙間G1,G2を確実に閉塞できるとともに、隙間G1,G2を閉塞した際に、レバー27の側端部27eと第2ストッパ98bの接触による打音が発生し易くなっている。これにより、音で隙間G1,G2が密接されたことを知ることができる。また、第2軸支部P2がデッドセンターを越えた際に、ハンドルによる直接的な回動操作に必要な力が圧縮バネ33aの付勢力によって軽減されるため、回動操作の終了を事前に察知しやすい。
また、レバー27の最大回動角度は、略90度であることから、回動操作をする際に力をかけやすい角度範囲であるとともに、レバー27とアーム体28とによる十分なストロークを得られる。
また、例えば移動規制端部Sが垂直方向よりも僅かに傾斜しているような状態であっても、緩衝部材33の圧縮バネ33a(図5参照)が圧縮され当該側部閉塞部材20の側端部は傾動するため、確実に側部閉塞部材20を移動規制端部Sに沿って押圧させることができる。
また、逆の手順を行うことで、第2軸支部P2を基点として山折りに屈折していた屈折方向(図9(a)参照)が、第2軸支部P2を基点として谷折りに屈折するように反転して(図7(a)参照)、に示されるように、押引体26がレバー27側へと移動する。これに伴って、押引体26によって支持杆22の段付き板材22b,22bの規制部が引動され、側部閉塞部材20はカバー部材72の収納部72d内へと後退し収納状態となる(図6(a)参照)。
また、側部閉塞部材20を後退させる際に、第2軸支部P2が下方へ移動することから、レバー27の回動操作に必要な力が小さい。
また、レバー27の側端部27dが第1ストッパ98aに当接することで打音が発生するため、音で側部閉塞部材20が収納状態となったことを把握することができる。
以上説明してきたように、本実施例の移動間仕切装置10は、押引体26と側部閉塞部材20との間には、圧縮バネ33aが介在されていることから、圧縮バネ33aからの付勢力を押引体26がレバー27のアクセス部C側へと受けるとともに、圧縮バネ33aからの付勢力を側部閉塞部材20が移動規制端部S側へと受ける構造を、簡単に得ることができる。
また、側部閉塞装置2が一対のガラスパネル4,4の間に配設されることで美観性がよく、アクセス部Cがガラスパネル4,4に露出していることからアクセスが容易であるため、操作性が良い。
また、枠部材5が上部フレーム6、一対の縦フレーム7,7A及び下部フレーム8が一体に連結されて構成されることにより、枠部材5の構造強度を確保しながら、上部フレーム6、一対の縦フレーム7,7A及び下部フレーム8によって囲まれる領域における、ガラスパネル4,4のパネル面の領域が相対的に大きくなり、ガラスパネル4,4のパネル面の領域を広くとることで見栄えが良く、且つ視認性が良くなるので室内空間に開放感を演出することができる。
次に、実施例2に係る移動間仕切装置につき、図12を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
実施例2における移動間仕切装置について説明する。図12に示されるように、本実施例において、側部閉塞部材20は、支持杆22に取付部126aが直接取付けられている。また、側部閉塞部材20と対向配置された移動規制端部S1は、床Fから天井Rに亘って移動不能に固定された本体T1と、上下方向に複数配置された圧縮バネ133aを介して本体T1に連結された可動壁T2と、から構成されている。可動壁T2は、本体T1側へ押される等の外力が作用していない際には、複数の圧縮バネ133aの付勢力によって本体T1から離間しているとともに、本体T1に対して略平行に配置されており(図12(a)参照)、本体T1側へ押される等の外力が作用することで、圧縮バネ133aを圧縮しながら本体T1側へ移動可能となっている(図12(b),(c)参照)。尚、本実施例の押引手段は、取付部126aとアーム体28とによって構成されている。
連接された間仕切パネル1,1,…,1Aと移動規制端部S1との隙間G1,G2を閉塞する際には、前記実施例1と同様に、アクセス部Cに取付けたハンドル(図示略)を操作して下方のレバー27を時計回り方向へ略90度回動させる。以降、詳細に説明する。
取付部126aと、アーム体28とによって押動される側部閉塞部材20は、可動壁T2に面当接して、図12(b)に示されるように、取付部126aと、アーム体28とが最大ストロークに達することで、本体T1側へと最も押込まれた状態となる。これに伴い、複数の圧縮バネ133aそれぞれが最も圧縮された状態となる。
さらにアクセス部Cが回動されて第2軸支部P2がデッドセンターを越えると、取付部126aと、アーム体28とは、最大ストロークを越えて後退し始める。これに伴い、可動壁T2は、圧縮バネ133aの付勢力によって側部閉塞部材20の本体部材21に面当接した状態のままレバー27側へと移動し始める。一方、取付部126a、アーム体28は、圧縮バネ133aの付勢力を受ける側部閉塞部材20を介して、レバー27の第1軸支部P1側へと圧縮バネ133aの付勢力を受ける。
図12(c)に示されるように、レバー27の側端部27eが第2ストッパ98bに当接してレバー27の回動が規制されると、取付部126a及びアーム体28の後退も規制される。その一方で、可動壁T2は、圧縮バネ133aからの付勢力を受けることによって、安定して側部閉塞部材20の本体部材21に押し付け続けられることから、隙間G1,G2(10(a)参照)を安定して閉塞できる。また、レバー27、アーム体28に外力が作用しない限り屈折方向は反転しないことから、隙間G1,G2を閉塞した位置で保持される。
尚、移動規制端部S1が、複数の圧縮バネ133aを備える態様として説明したが、これに限らず、側部閉塞装置2を備える間仕切パネル1Aに隣接する間仕切パネル1が複数の圧縮バネ133aを備えていてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、側部閉塞装置2を有する間仕切パネル1Aは、最後尾である態様として説明したが、これに限らず、先頭や間仕切パネル1,1の間等、その配置は適宜変更されてもよい。また、他の間仕切パネルに関しては、本実施例における最後尾の間仕切パネル1Aの構成と略同一態様であることに限らず、例えば、梯子状の枠体にパネル部材が貼り付けられたものでもよく、適宜選択されればよい。
側部閉塞装置2は、最後尾の間仕切パネル1Aのガラスパネル4,4の間に配置されている態様として説明したが、これに限らず、側壁Wに沿って室内側や、側壁W内に配置され、最後尾の間仕切パネルに向けて側部閉塞部材を進退移動させる態様であってもよい。
レバー27は、鈍角三角形状に形成されている態様として説明したが、これに限らず、第1軸支部P1が第2軸支部P2及び第3軸支部P3によって挟まれるように配置されているのであれば、略円状や他の多角形状に形成されていてもよい。
また、側部進退機構25は、側部閉塞部材20が収納状態である際に、レバー27とアーム体28とが正面視略V字状を成しており、レバー27を時計回り方向へ回動させることで側部閉塞部材20を進出させることができる態様として説明したが、レバー27とアーム体28とが正面視略下向きV字状を成していてもよく、この態様であればレバー27を反時計回り方向へ回動させることで側部閉塞部材20を進出させることができる。さらに、アーム体28,28と押引体26との間に回動可能に軸支された別のアーム体が介在されていてもよい。すなわち、押引手段を含めて側部進退機構25の構造については、適宜変更されてもよい。
側部進退機構25は、押引体26、レバー27,27、アーム体28,28、及びリンク部材29により平行リンクを成しているとして説明したが、これに限らず、レバー27、アーム体28だけで構成されていてもよく、限定されるものではない。このことから、押引手段はアーム体28だけであってもよい。また、レバー27とアーム体28とは、回動可能に軸支されている態様として説明したが、これに限らず、カムの回動に応じてアーム体が連接方向に進退動作するカム機構であってもよい。
また、レバー27を略90度回動させることで側部閉塞部材20を進出状態とすることができる態様として説明したが、これに限らず、90度未満であってもよく、180度を超えていてもよく、限定されるものではない。しかしながら、回動操作に必要な角度を把握しやすいように、360度未満であることが好ましい。
また、規制手段について、第2ストッパ98bである態様として説明したが、これに限らず、リンク部材29が六角ボルトの胴部やベース杆23に当接する、アーム体が当接するピンを別途設ける等、レバー27の回動を直接的または間接的に規制できるものであればよく、限定されるものではない。
複数の緩衝部材33及び複数の圧縮バネ133aの配置については、側部閉塞部材20の本体部材21を移動規制端部Sに、または、移動規制端部S1を側部閉塞部材20の本体部材21に安定して押し付け続けられる態様であればよいため、所定間隔置きに配置されていてもよく、上端部と下端部に集中するように配置されていてもよく、適宜変更されればよい。
また、付勢手段は、緩衝部材33の圧縮バネ33aや圧縮バネ133aである態様として説明したが、これに限らず、板バネ、ねじりばね、ベローズ、磁石、電磁石等であってもよく、限定されるものではない。
また、ガラスパネル4,4が前後に2枚設けられる間仕切パネル1について説明したが、これに限らず、間仕切パネルは、ガラスパネルが1枚または3枚以上の複数設けられるものであってもよい。
パネル部材は、ガラスパネル4,4である態様として説明したが、これに限らず、木板や不透明に着色された樹脂製の板等、不透明のものが適宜使用されてもよい。また、各ガラスパネルの左右方向の寸法は適宜変更されてもよく、その構成が限定されるものではない。