JP6964344B2 - 表面処理剤、表面処理方法、表面処理基材、及び表面処理基材の製造方法 - Google Patents

表面処理剤、表面処理方法、表面処理基材、及び表面処理基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理用ポリマーに関する。詳しくは、本発明は、防汚性、潤滑性、防曇性および自己浄化(セルフクリーニング)機能を高めるために基材表面に固定可能であり、安定したコーティング状態を保持する表面処理用ポリマー、表面処理剤、及び基材表面への修飾法に関する。
基材表面への汚れの付着を防止する技術は、種々提案されている。例えば、コンタクトレンズ、メガネレンズなどの医療機具や、歯科矯正材料、反射防止膜、光学フィルター、光学レンズ、鏡等の光学部材は、人が使用することによって、その表面に指紋、皮脂、汗等に含まれるタンパク質、脂質、あるいは化粧品などの汚れが付着し、機能を低下させる。しかも、汚れの除去が煩雑であるため、効果的な汚れ防止処理を施すことが望まれている。
基材表面への汚れの付着を防止する技術として、例えば、基材の表面を親水化する方法が知られている。様々な部材の基材として汎用されるガラスや金属等の無機材料の多くは、その表面が疎水性又は弱い親水性を示す。このような無機材料基材の表面が親水化されると、基材表面に吸着した汚れを水洗により簡単に除去して防汚性を発揮し得る。
表面の親水化方法として、従来から、基材の表面を酸化チタン等の光触媒材料で改質し、光触媒の光励起に応じて表面を高度に親水化する技術が知られている。この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の部材に適用することにより優れた防汚性を付与できることが報告されている(特許文献1)。しかし、このような酸化チタンによる表面改質では、酸化チタン自身が有する光触媒機能により、酸化チタンを基材に固定するバインダーを分解してしまう場合があり、耐久性に課題があった。
この他、表面を親水化する方法として、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等がある。これらの方法は、高度に親水化されるものの、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持することができない。また、一般的な親水性材料は、構造内にイオン性基を有するため、かえってタンパク質などの汚れを吸着してしまい、表面における汚れ吸着抑制効果が十分ではない。このように、従来の親水化処理では防汚性と耐久性とに優れた防汚性部材を得ることは困難であった。
親水性を有しつつ汚れの吸着を抑制する方法として、両性イオン構造を有するポリマーを利用した基材の表面処理方法も知られている。例えば、側鎖にホスホリルコリン基を有するモノマーユニット、側鎖に疎水性基を有するモノマーユニット、及び側鎖にアジド基を有するモノマーユニットを有するポリマーを用いた方法(特許文献2)、あるいは、側鎖にホスホリルコリン基を有するモノマーユニット、側鎖に疎水性基を有するモノマーユニット、及び側鎖に第三級アミンを有するモノマーユニットを有するポリマーを用いた方法(特許文献3)などが知られている。さらに、多くの用途を目的とした表面処理ポリマーの作製が試みられている(非特許文献1、2)しかし、これらの表面処理ポリマーは主に物理的相互作用により基材を表面処理するものであり、基材により強固に結合しうる材料が求められている。
表面処理ポリマーを基材表面に化学的に固定する方法も試みられている。例えば、側鎖にホスホリルコリン基を有するモノマーユニット、側鎖にシラン反応性基を有するモノマーユニットを有するポリマーが報告されている(特許文献4)。また、例えば、Silvermanらはシラン化合物の加水分解耐性が低いこと、また、TiO2上に形成されたSAMを評価し、シランカップリング剤と比較してホスホン酸の方が約4 倍高密度であることを報告している(非特許文献3)。これらのポリマーは、合成中に系内に微量に存在する水分により加水分解が進行して架橋反応を引き起こす可能性が高く、反応制御が困難であり、しかも合成後も長期保存が難しいなどの課題があった。
国際公開第1996/029375号パンフレット 特許第5598891号 国際公開第2013/118736号パンフレット 特開2011−257570号公報
K.Fukazawa, K.Ishihara Synthesis of photoreactive phospholipid polymers for use in versatile surface modification of various materials to obtain extreme wettability. ACS Applied Materials and Interfaces, 5(15), 6832-6683 (2013). K.Fukazawa, K.Ishihara Simple surface treatment using amphiphilic phospholipid polymers to obtain wetting and lubricity on polydimethylsiloxane-based substratesColloids and Surfaces B: Biointerfaces 97(1) 70-75 (2012). B. M. Silverman, K. A. Wieghaus, J. Schwartz, Comparative properties of siloxane vs phosphonate monolayers on a key titanium alloy, Langmuir, 21 (1), 225 (2005).
親水性及び防汚性を有し、かつ良好な耐久性を有するポリマー材料が依然として求められている。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ポリマー中の側鎖にホスホン酸基を導入することで、基材表面へ固定可能な表面処理用ポリマーを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 次式(1):
Figure 0006964344
(式中、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表し;R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基を表し;Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基を表し;m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し;Xを含む構造単位及びXを含む構造単位はランダムな順序で結合している。)
で示されるポリマー化合物。
[2] 式(1)で示される化合物が次式(2):
Figure 0006964344
(式中、Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基を表し、a及びbは、それぞれ独立して2以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、各モノマーユニットはランダムな順序で結合している。)
で示される構造を有するポリマーである、[1]に記載の化合物。
[3] a/(a+b)の値が0.30〜0.99である、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4] 基材の表面を親水化することができるものである、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の化合物を含む、表面処理剤。
[6] 水溶液の形態である、[5]に記載の処理剤。
[7] [5]又は[6]に記載の処理剤を基材の表面に塗布する工程を含む、基材の表面処理方法。
[8] 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物を含有する親水性コーティング層と、を有する、表面処理基材。
[9] [1]〜[4]のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
水系溶媒中レドックス重合開始剤を用いて重合することを特徴とする、方法。
[10] 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に化学的に固定化された親水性コーティング層とを有する表面処理基材の製造方法であって、
前記基材にプラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程、及び
前記基材上に[5]又は[6]に記載の処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む、方法。
[11] 前記基材をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理する工程をさらに含む、[10]に記載の方法。
[12] 前記基材が、ガラス基材、シリコン基材、金属基材、金属酸化物基材、シリコーンゴム基材、シリコーンハイドロゲル基材、及びセラミックス基材からなる群から選択される、[10]又は[11]に記載の方法。
[13] シランカップリング剤又はチタンカップリング剤の少なくとも一つをさらに含む、[5]又は[6]に記載の表面処理剤。
[14] 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に親水性コーティング層とを有する表面処理基材の製造方法であって、
前記基材に、プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程、及び
前記基材上に[13]に記載の処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む、方法。
本発明により、表面処理用ポリマー、その製造方法、これを用いた表面処理方法、表面処理基材が提供される。本発明は、以下の一以上の効果を有する。
(1)本発明の表面処理ポリマーは、基材表面に存在するシラノール基又はチタノール基の少なくとも一つとの脱水縮合反応により基材表面へ化学的に固定可能であり、基材表面に安定的に結合することができる。
(2)本発明の表面処理ポリマーは、防汚性、潤滑性(低摩擦性)、防曇性、及び自己浄化機能(セルフクリーニング)の少なくとも一つを基材表面に付与することができる。
(3)本発明の表面処理ポリマーは、水系溶媒中レドックス重合開始剤を用いた重合反応により沈殿やゲル化を生じることなく、多様な組成で合成することができる。
(4)本発明の表面処理ポリマーは、多様な表面に対して固定されうる。
未処理シリコン基材のXPSチャートを示す図である。 PMPh6の処理剤(MPC:Phosmer=90:10(モル比)の水溶液)でコーティング処理したシリコン基材のXPSチャートを示す図である。 未処理シリコーンゴム基材のXPSチャートを示す図である。 PMPh6の処理剤(MPC:Phosmer=90:10(モル比)の水溶液)でコーティング処理したシリコーンゴム基材のXPSチャートを示す図である。 未処理シリコーンハイドロゲル基材(AIR OPTIX)のXPSチャートを示す図である。 PMPh6の処理剤(MPC:Phosmer=90:10(モル比)の水溶液)でコーティング処理したシリコーンハイドロゲル(AIR OPTIX)のXPSチャートを示す図である。 接触角の測定装置を示す図である。 接触角の測定原理を示す図である。 PMPh6、PMPh7、又はPMPh8の処理剤でコーティング処理したガラス基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のシリコン基材及びPMPh6、PMPh7、又はPMPh8の処理剤でコーティング処理したシリコン基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のチタン基材及びPMPh6の処理剤でコーティング処理したチタン基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のステンレス(SUS304)基材、及び、シランカップリング剤処理後にPMPh6、PMPh7、又はPMPh8の処理剤でコーティング処理したステンレス(SUS304)基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のステンレス(SUS304)基材、及び、シランカップリング剤処理を行うことなくPMPh w9又はPMPh w11の処理剤でコーティング処理したステンレス(SUS304)基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のステンレス(SUS316L)基材、及び、シランカップリング剤処理を行うことなくPMPh w9又はPMPh w11の処理剤でコーティング処理したステンレス(SUS316L)基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のシリコーンハイドロゲル基材(メダリスト(ボシュロム)、AIR OPTIX(アルコン)、プレミオ(メニコン))、及びPMPh6の処理剤でコーティング処理したシリコーンハイドロゲル基材(メダリスト(ボシュロム)、AIR OPTIX(アルコン)、プレミオ(メニコン))の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理のアルミニウム(Al1050)基材、及び、シランカップリング剤処理を行うことなくPMPh w9又はPMPh w11の処理剤でコーティング処理したアルミニウム(Al1050)基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理の金属銅(C1100)基材、及び、シランカップリング剤処理を行うことなくPMPh w9又はPMPh w11の処理剤でコーティング処理した金属銅(C1100)基材の接触角を測定した結果を示す図である。 未処理ガラス基材およびPMPh6でコーティング処理したガラス基材に対するインク塗布後およびその後の水洗浄後の写真を示す図である。 未処理シリコン基材およびPMPh6でコーティング処理したシリコン基材に対するインク塗布後およびその後の水洗浄後の写真を示す図である。 未処理チタン基材およびPMPh6でコーティング処理したチタン基材に対するインク塗布後およびその後の水洗浄後の写真を示す図である。 未処理ステンレス基材およびPMPh6でコーティング処理したステンレス基材に対するインク塗布後およびその後の水洗浄後の写真を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願である特願2016-136189号(2016年7月8日出願)の特許請求の範囲、明細書、および図面の開示内容を包含する。
1.ポリマー化合物
本発明のポリマー化合物は、側鎖にホスホリルコリン基を含むユニット、及び側鎖にホスホン酸基を含むユニットを有する二元系ポリマー化合物である。
本発明のポリマー化合物の側鎖に含まれるホスホン酸基(PA基)は、基材表面への化学結合による固定を可能とし、表面コーティングの安定性・耐久性を向上させることができる。具体的には、ホスホン基は、基材表面のホスホン酸基と相互作用可能な官能基(例えば、シラノール基、チタノール基)と脱水縮合反応することにより、基材表面に化学的結合により強固かつ安定的に固定され得る。
本発明のポリマー化合物の側鎖に含まれるホスホリルコリン基(PC基)は両性イオン構造を有する。このためPC基がポリマーに含有されることにより、当該ポリマーは、親水性(ぬれ性)に優れるとともに各種分子に対する非特異的吸着を効果的に抑制することができる。これにより、防汚効果、潤滑特性効果、摩擦低減効果、および自己浄化(セルフクリーニング)効果を発揮させることができる。また、ホスホリルコリン基(PC基)は、生体膜の主成分であるリン脂質(ホスファチジルコリン)の極性基と同様の構造を有する極性基である。したがって、PC基の導入により、生体膜の表面が有する極めて良好な生体適合性、特に生体分子の非吸着性、及び非活性化特性が付与されうる。
本発明のポリマーは、限定はされないが、例えば、下記式(1)で示される構造を有するポリマーが好ましく挙げられる。
Figure 0006964344
式(1)中、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表し;R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基を表し;Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基を表し;m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し;Xを含む構造単位及びXを含む構造単位はランダムな順序で結合している。
式(1)において、X及びXは、それぞれ独立して、重合した状態の重合性原子団を表すものであればよく、限定はされないが、具体的には、例えば、ビニル系モノマー残基、アセチレン系モノマー残基、エステル系モノマー残基、アミド系モノマー残基、エーテル系モノマー残基及びウレタン系モノマー残基等が好ましく、これらの中でも、ビニル系モノマー残基がより好ましい。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基を表す。好ましくは、−C(O)−、−C(O)O−又は−O−で示される基、より好ましくは−C(O)O−で示される基である。
及びRにおけるフェニル基の置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、水酸基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、シリル基、メタンスルホニル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C2−7アシル基又はC2−7アルコキシカルボニル基などを挙げることができる。
及びRは同一であっても、異なっていてもよい。重合反応性の点では同一であることが好ましく、特に好ましくは両方が−C(O)O−で示される基である。
式(1)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜3(C1−3)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。重合溶媒への溶解性の点で好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
mは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜12の整数、より好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2である。
nは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜12の整数、より好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは1である。
式(1)において、X1を含む構造単位の具体例としては、限定はされないが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、N−(2−メタクリルアミド)エチルホスホリルコリン、4−メタクリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−メタクリロイルオキシデシルシルホスホリルコリン、ω−メタクリロイルジオキシエチレンホスホリルコリン及び4−スチリルオキシブチルホスホリルコリン等に由来する構造単位が好ましく挙げられる。これらの中でも、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来する構造単位が特に好ましい。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)およびその他のホスホリルコリン系化合物(モノマー化合物)は、市販品を使用してもよいし、常法に基づいて容易に調製することもできる。
式(1)において、Xを含む構造単位の具体例としては、限定はされないが、例えば、下記式(b1)又は(b2)で表されるモノマー化合物に由来する構造単位が好ましく挙げられる。
Figure 0006964344
上記式(b1)又は(b2)中、nは1以上の整数を表し、好ましくは1〜12の整数、より好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは1である。
さらに好ましくは、重合溶媒への溶解性の点で式(b1)の化合物であり、特に、nが1である化合物が好ましい。
を含む構造単位を構成しうるモノマー化合物は、当業者の技術水準に基づき、常法により行うことができる。また、ユニケミカル(株)製のホスマーM、ホスマーPP(上記式(b2)においてn=5〜6の化合物)、ホスマーPE(上記式(b1)においてn=4〜5の化合物)、ホスマーM(上記式(b1)においてn=1の化合物)、共栄社化学(株)製のP−1M(上記式(b1)においてn=1の化合物)等の市販品を使用することができる。
式(1)で示されるポリマー構造において、X1を含む構造単位とX2を含む構造単位とは、ランダムな順序で結合したランダムポリマーであってもよいし、ブロックポリマーであってもよい。
また、X1を含む構造単位及び/又はXを含む構造単位は一種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(1)で示される構造を有するポリマーの具体例としては、限定はされないが、下記一般式(2)で示される構造を有するポリマーが好ましく挙げられる。
Figure 0006964344
式(2)中、Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基を表し、a及びbは、それぞれ独立して2以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、各モノマーユニットはランダムな順序で結合している。
式(2)において、ホスホリルコリン基を含む側鎖を有する構造単位(「MPCユニット」ともいう)と、ホスホン酸基を含む側鎖を有する構成単位(「PAユニット」ともいう)とは、式(1)と同様、ランダムな順序で結合していてもよく、限定はされない。
式(2)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜3(C1−3)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。重合溶媒への溶解性の点で好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
式(2)において、nは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜12の整数、より好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは1である。
上記式(1)又は(2)で示されるポリマーにおいては、a及びbは、特に限定はされず、それぞれ独立して、2以上の整数であればよい。ここで、a/(a+b)の値は0.10〜0.99であることが好ましく、より好ましくは0.30〜0.99、さらに好ましくは0.60〜0.95である。
上記式(1)及び(2)で示されるポリマーの重量平均分子量は、限定はされないが、例えば、15,000〜600,000が好ましい。ポリマーの重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定するこができる。
上記式(1)又は(2)で示される構造を有するポリマーは、必要に応じ、他のモノマー由来の構造単位を含むものであってもよい。通常、他のモノマー由来の構造単位の割合は、ポリマーを構成する全構造単位(100モル%)に対して、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以下である。
2.ポリマー化合物の製造方法
式(1)又は(2)で示されるポリマーの合成は、基本的には、当業者の技術水準に基づき、常法により行うことができる。例えば、MPCユニットを構成するモノマー及びPAユニットを構成するモノマーを含む単量体を、重合開始剤を用いてラジカル重合する方法が挙げられる。ラジカル重合としては、レドックス重合開始剤を用いた方法(方法1)又はラジカル重合開始剤を用いた方法(方法2)が挙げられる。
(方法1)
式(1)又は(2)で示されるポリマー化合物は、レドックス重合開始剤を用いたレドックス重合、より好ましくは溶液重合により合成されることが好ましい。本願発明者らは、驚くべきことに、MPCユニットを構成するモノマー及びPAユニットを構成するモノマーを含む単量体を、水性溶媒中、レドックス重合開始剤を用いて重合することにより、ゲル化及び沈殿を抑止しつつ、多様な組成のポリマー化合物が得られることを見出した。本方法によれば、重合物の沈殿やゲル化を抑制することができ、これにより基材表面に化学的結合により固定可能で、高分子量(例えば、重量平均分子量15,000〜600,000)の共重合体を得ることができる。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(溶離液:リン酸バッファー、ポリエチレングリコール標準、UV(210nm)及び屈折率による検出)により測定することができる。
本発明で得られるポリマー化合物は水溶性でありレドックス重合後に得られるポリマー化合物の水溶液を用いてそのまま基材へのコーティング(表面処理)を行ってもよい。これにより、凍結乾燥を省略することができ、省エネルギー及び省コストとなる。
また、レドックス重合反応は室温(約10℃〜約35℃)でも可能である。室温での反応は、加熱等の必要が無く、製造コストを低減できる点で好ましい。
また、水溶液重合及び水溶液によるコーティングは揮発性有機化合物(VOC)の問題を回避できる。
水性溶媒としては、水又は水とイソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類などの有機溶媒との混合溶媒が挙げられ、MPCポリマーが水/アルコール溶媒において不溶となる可能性があるため、アルコールの含有率が70体積%以下の水/アルコール溶媒又は水がより好ましく、特に水を単独で用いることが好ましい(例えば、Y. Kiritoshi and K. Ishihara, “Preparation of cross-linked biocompatible poly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine) gel and its strange swelling behavior in water/ethanol mixture.” J. Biomater. Sci. Polymer Edn, 13, 213-224 (2002);Y. Kiritoshi and K. Ishihara, “Molecular recognition of alcohol by volume phase transition of cross-linked poly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine) gel.” Sci. Technol. Adv. Mater, 4, 93-98 (2003)を参照)。
レドックス重合反応には、酸化剤と還元剤(重合促進剤)とを組み合わせたレドックス重合開始剤を使用する。水溶性のレドックス重合開始剤が好ましい。酸化剤の例として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。これらの中でも、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムが好ましく、特に好ましくは水溶性の高い過硫酸アンモニウムである。還元剤として既知の還元剤が使用できる。例えば、鉄、銅、銀、セリウム、コバルト、ニッケルなどの金属イオン、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、水溶性チオ硫酸塩、亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム)などが挙げられ、好ましくはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などのアミン化合物である。アミンが存在することでホスホン酸基を有するPAユニットを構成するモノマーが中和され、塩構造を形成することによりゲル化が一層抑制され得ると推定される。好ましくは、還元剤としてアミンを用いた場合には、重合後にポリマー水溶液に酸(例えばリン酸)を添加して酸性にし、ポリマー化合物を脱塩することが望ましい。脱塩によりコーティング性が向上するためである。好ましい一形態は、重合後に得たポリマー水溶液にリン酸等を加えて酸性にして、限外ろ過を行う。これにより、ポリマー化合物の脱塩によりコーティング性が良好となることに加え、PAユニットから脱塩したジアミンがリン酸と塩形成し、これを容易に除去することができる。
中でも好ましくは、過硫酸アンモニウムとN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンとの組み合わせである。
レドックス系重合開始剤における、酸化剤の使用量は、重合に用いる単量体の全重量(100重量部)に対して、0.0001〜3重量部が好ましく、0.001〜2重量部がより好ましく、0.05〜1重量部が特に好ましい。還元剤の使用量は、重合に用いる単量体の全重量(100重量部)に対して、0.001〜15重量部が好ましく、0.01〜15重量部がより好ましい。
レドックス重合反応の重合温度については特に制限されないが、例えば0℃〜100℃が好ましく、10℃〜90℃がより好ましく、20〜40℃が最も好ましい。重合温度がこの範囲であると、重合速度が適切で制御しやすく、重合体の生産性と安定性が優れる。当該レドックス重合反応は室温(約10℃〜約35℃)でも可能である。室温での反応は、加熱等の必要が無く、製造コストを低減できる点で好ましい。
当該反応は水性溶媒中で行われるが、その際の単量体の水溶液濃度としては特に制限されない。反応時間は特に制限されないが、例えば、1〜6時間である。
(方法2)
本発明のポリマー化合物は、特定条件でラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合により合成することができる。具体的には、有機溶媒中での溶液重合が好ましい。
重合に用いられるラジカル重合開始剤は、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ系開始剤や、ベンゾイルパーオキサイド、tーブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウムのようなペルオキシド系開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量はモノマーの重合性や必要とする重合体の分子量に応じて調節することが可能であるが、単量体の全重量(100重量部)に対して、0.001〜3重量部が好ましく、0.01〜1重量部がより好ましい。
ラジカル重合に使用する溶媒としては、例えば、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等の有機溶媒、これらの混合溶媒を使用することができる。好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒である。
一方、ラジカル重合に使用する溶媒として水や含水有機溶媒などの水系溶媒を用いることは好ましくない。水系溶媒中のラジカル重合では、通常、PAユニットのホスホン酸基間の架橋反応が進行し、これにより、ポリマー化合物がミクロゲルを形成して、ゲル化が起こる。したがって、ゲル化が生じた場合のポリマー生成物は、基材表面との反応部位であるホスホン酸基が減少及び/又は消失しており、処理剤として用いる場合に基材への固定が不十分又は困難となる場合がある。
本方法(2)により重合を行う場合、PAユニット(Xを含む構造単位)の含有比率が大きくなると、沈殿を生じ、高分子量体を得ることが難しくなる場合がある。例えば、アルコール系溶媒中のラジカル重合は沈殿を生じる場合が多い。かかる観点から、本方法(2)を用いる場合は、PAユニットの比率が5モル%以下(すなわち、a/(a+b)=0.95〜0.99)とすることが好ましい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、通常30〜100℃の範囲である。
上記方法1又は方法2などにより重合後、得られたポリマーの溶液を必要に応じて精製する。精製方法は特に制限されず、例えば限外濾過により行えばよい。特に、レドックス重合(上記方法1)における還元剤としてアミンを用いた場合には、重合後のポリマー水溶液に酸(例えばリン酸)を添加して酸性にし、限外ろ過を行うことで、ジアミンがPAユニットから脱塩して、リン酸と塩形成し、容易に除去することができ、好ましい。精製後の溶液をそのまま基材の表面処理に用いてもよいし、凍結乾燥処理を行ってもよい。凍結乾燥後のポリマー化合物は水溶性であり、水に溶解させて表面処理剤として使用することができる。
なお、上述のように、レドックス重合開始剤を用いた方法(方法1)では重合物の沈殿やゲル化が抑制され、かつ、得られるポリマー化合物は水溶性であるため、重合後の水溶液を用いてそのまま基材へのコーティング(表面処理)を行ってもよい。本方法1は、室温で実施することができ、一般に加熱を伴うラジカル重合開始剤を用いた方法(方法2)に比べて、製造コスト面でも有利である。
一方、ラジカル重合開始剤を用いた方法(方法2)において、水系溶媒を用いた場合には、ゲル化が生じる場合がある。一旦ゲル化したものはこれを大量の水に溶解させた場合であってもミクロゲル状態を形成するため、基材表面への固定が不十分又は困難となる。有機系溶媒を用いた場合には、ゲル化を抑制することができるものの、PAユニット(Xを含む構造単位)の含有比率が大きくなるにつれて沈殿を生じやすい。このような沈殿を生じたものは精製及び凍結乾燥をしたのちに水に溶解させて、水溶液コーティングに用いることが可能である。しかし、沈殿が生じた場合には、未反応モノマー又はオリゴマーを取り込む可能性があり、精製が困難であったり、収率が低下する場合があり、上記方法1のレドックス重合開始剤を用いた方法で製造されたポリマーに比べて好ましくない。
3.表面処理剤
本発明の表面処理剤は、上記ポリマー化合物を含むものであり、基材の表面を親水化することができるものである。表面処理剤は、後述するように、基材の表面に塗布することにより表面処理を行うことができるものである。
本発明の表面処理剤は、上記ポリマー化合物以外に、一般的に基材の表面処理剤の成分として用いられる任意の他の成分(例えば、各種溶媒、pH調整剤等)を含むものであってもよく、限定はされない。溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が好ましく挙げられ、特に好ましくは水である。
pH調整剤としては、特に制限されず、公知のpH調整剤を使用でき、なかでも無機塩が好ましい。pH調整剤としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩;などが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸水素二ナトリウム2水和物、又はリン酸水素二ナトリウム12水和物が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基類;硫酸、塩酸、硝酸等の酸類;等を併用してもよい。
本発明の表面処理剤は、通常、溶液形態であることが好ましく、水溶液形態であることがさらに好ましい。
前記二元系ポリマーの濃度は、例えば、0.05重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。ポリマーの均一な溶液が得られる限りポリマーの濃度の上限は特に制限されないが、例えば溶液の粘性を考慮し、5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましい。
本発明の処理剤を溶液として使用する場合のpHは、例えば3〜11であり、好ましくは3〜7である。
4.表面処理
本発明の表面処理方法は、対象基材である基材の表面を親水化する方法であり、具体的には、上述した本発明の表面処理剤を基材の表面に塗布する工程(塗布工程)を含む方法である。これにより、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に親水性コーティング層とを有する表面処理基材が得られる。
基材表面に表面処理剤を塗布する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート法、バーコート法、スプレー処理法、浸漬処理法等による方法が挙げられ、中でも表面処理剤中に基材を浸漬させることによる浸漬処理法が好ましい。浸漬時間は特に制限されないが、通常10〜60分である。表面処理剤の塗布後乾燥させることにより、基材上に親水性コーティング層が形成される。乾燥条件は特に制限されず、通常60〜120℃において60〜180分間である。
親水性コーティング層の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜決定すればよい。通常、親水性コーティング層は、基材表面と化学結合を介して固定された上記ポリマー化合物の一層分から形成されている。親水性コーティング層の厚さは、例えば、30〜100nmが好ましい。親水性コーティング層の厚さは表面処理剤としてのポリマー化合物の構造(例えば、式(1)及び(2)中のn)の制御により制御することができる。
本発明の表面処理方法の対象基材となる基材としては、限定はされない。例えば、ガラス基材、シリコン基材、金属基材(合金を含む)、金属酸化物基材、シリコーンゴム基材、シリコーンハイドロゲル基材、及びセラミックス基材が挙げられる。
基材の形状は、特に限定はされず、例えば、板状、ビーズ状及び繊維状の形状のほか、板状の基材に設けられた穴や溝なども挙げられる。
また、基材の用途としては、限定はされないが、例えば、歯科材料、歯科用器具、各種医療用デバイス、コンタクトレンズ、人工臓器、バイオチップ、バイオセンサー、酸素富加膜及び細胞保存器具等の医療器具、自動車フロントガラス、船底塗料等が挙げられる。歯科材料としては、例えば、有床義歯、架工義歯、インプラント義歯及びクラウン等の歯科用補綴物、歯科矯正材、義歯裏装材が好ましく挙げられる。
表面処理剤の塗布の前に、表面処理剤と基材との接着性を向上させる目的で、表面活性化処理を行うことが好ましい。表面活性化処理方法としては、例えば、プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、過酸化水素水/フェントン反応溶液処理等が挙げられる。
特に、シリコン基材、ガラス基材、シリコーンゴム基材などのシロキサン結合を含む基材表面は、上記処理を行うことによりシラノール基が活性化し、後述するホスホン酸残基との化学結合を形成が促進されて、密着性、固定力が向上し得る。
上記表面活性化処理の中でも好ましくは、酸素プラズマ処理である。酸素プラズマ処理により、基材表面に水酸基やカルボキシ基が生成されるため、表面の親水性が向上し、これにより、親水性であるポリマー化合物の基材への接着効果を高めることができる。
(基材表面への固定)
本発明の表面処理剤は、基材に物理的相互作用により物理的に固定されていてもよいが、化学的結合を介して化学的に固定されていることが好ましい。
本発明のポリマー化合物は、Xを含む構造単位(PAユニット)の側鎖にホスホン基(−P(=O)(OH))を有する。当該ホスホン基が基材表面のホスホン酸基と相互作用可能な官能基と脱水縮合反応することにより、基材表面にポリマー化合物が化学的に固定され得る。
ホスホン酸基と相互作用可能な官能基としては、特に制限されないが、例えばシラノール基(Si−OH)、チタノール基(Ti−OH)、Zr−OH基が挙げられる。これらとホスホン酸基が反応することにより、ホスホン酸基のリン原子(P)とシラノール基(Si−OH)又はチタノール基(Ti−OH)又はZr−OH基のシリコン原子(Si)又はチタン原子(Ti)又はジルコニウム原子(Zr)とが酸素原子(O)を介して結合する。
表面にホスホン酸基と相互作用可能な官能基を含む基材としては、例えば、ガラス基材、シリコン基材、チタン基材、ジルコニウム基材、シリコーンゴム基材、シリコーンハイドロゲル基材、ニチノール(NiTi合金)基材等が挙げられる。シリコーンゴム基材としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等の各種シリコーンゴムが使用でき、置換シリコーン、変性シリコーンを含む。上記で列挙した基材のほか、ホスホン酸基と相互作用可能な官能基を表面に有するものであれば、後述するシランカップ剤又はチタンカップリング剤を用いた処理を行うことなく、本発明のポリマー化合物との脱水縮合反応により、基材表面にポリマー化合物が固定されうる。
したがって、これらの基材について
(1)必要に応じて、プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程;及び
(2)基材上に上記の表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む方法により表面処理することができる。当該表面処理により、基材上に親水性コーティング層を形成することができ、これにより、基材上の少なくとも一方の面に親水性コーティング層を有する表面処理基材が製造される。
シリコーンゴム基材又はシリコーンハイドロゲル基材については、上記表面活性化処理方法の中でも、表面処理剤の塗布前に、基材上に酸素プラズマ処理を施すことが好ましい。これにより、基材の表面に効果的にシラノール基(Si−OH)を導入することができる。酸素プラズマ処理の条件は特に制限されず、表面に活性な水酸基が導入される条件であればよい。一例をあげると、放電出力は20〜60Wが好ましく、酸素流量は20〜40ml/minOが好ましい。また、酸素プラズマ処理を行うときの温度や処理時間も特に限定されるものではないが、処理時間は1〜5分であることが好ましい。
すなわち、これらの基材について
(1)酸素プラズマ処理を施す工程;及び
(2)基材上に上記の表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む方法により表面処理することができる。当該表面処理により、従来必要であったシランカップリング剤やチタンカップリング剤の処理を行うことなく、シリコーンゴム基材又はシリコーンハイドロゲル基材上に親水性コーティング層を形成することができ、これにより、基材上の少なくとも一方の面に親水性コーティング層を有する表面処理基材が製造される。
一実施形態において、表面にホスホン酸基と化学的に相互作用可能な官能基を含まない、または、ホスホン酸基と化学的に相互作用しにくい基材は、表面処理剤を塗布する前に、基材表面の少なくとも一部に、ホスホン酸基と相互作用可能な官能基を導入することが好ましい。これにより、当該基材に対しても効果的に表面処理剤を化学的に固定することができる。
具体的な方法としては、基材をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理する方法が挙げられる。例えば、常法にてシランカップリング剤又はチタンカップリング剤を基板に塗布すればよい。当該方法により、基材表面がガラス化され、シラノール基(Si−OH)、チタノール基(Ti−OH)を有する基板表面を得ることができる。シランカップリング剤としては、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン)などのシランアルコキシド等が挙げられる。中でも、TEOSが好ましい。チタンカップリング剤としては、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば有機チタネート等が挙げられる。チタンカップリング剤は市販品を利用することができ、例えば、マツモトファインケミカル社の「オルガチックス」シリーズなどを好ましく使用することができる。
シランカップリング剤又はチタンカップリング剤の処理を行うことができる基材としては、例えば、チタン以外の金属基材(例えば、ステンレス基材、アルミニウム基材、銅基材等)、Al、TiO、ZrO、シリコン酸化物(SiO)、Ta、マイカ、ヒドロキシアパタイト、ZnO、ITO、IGZOなどの金属酸化物基材及びセラミックス基材が挙げられる。
この他、ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂;PMMA)等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン等のポリマー基材にも適用できる。
なお、上記で例示した基材のうち、例えばステンレス基材は、表面にホスホン酸基と相互作用可能な官能基を有する組成のものも存在し、かかる場合には、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤での処理は不要であり、上述したホスホン酸基との脱水縮合反応によりポリマー化合物の表面固定が可能である。
すなわち、一実施形態において、
(1)基材をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理する工程;
(2)必要に応じて、プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程;及び
(3)基材上に上記の表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む方法により表面処理することができる。当該表面処理により、基材上に接着層(シランカップリング剤又はチタンカップリング剤を含有する層)を介して親水性コーティング層を形成することができ、これにより、基材上の少なくとも一方の面に親水性コーティング層を有する表面処理基材が製造される。
本発明者はホスホン酸基と相互作用可能な官能基を含まない基材の表面処理方法の改良を種々試みたところ、驚くべきことに、基材をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理する工程を省略した場合であっても、プラズマ処理工程の処理条件の変更(機種の変更、処理時間の変更)により、ホスホン酸基と相互作用可能な官能基を含まないと想定されていた基材が、シランカップリング剤等による前処理を経てMPCコーティング処理した基材と同等の水中接触角を示すことを見出した。
すなわち、一実施形態の方法は、
(1)プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程;及び
(2)基材上に上記の表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む。当該方法により、基材上に親水性コーティング層を形成することができ、これにより、基材上の少なくとも一方の面に親水性コーティング層を有する表面処理基材が製造される。
この他、基材(例えばホスホン酸基と相互作用可能な官能基を含まない基材)について、上記表面処理剤にシランカップリング剤及び/又はチタンカップリング剤を添加し、上記ポリマー化合物とシランカップリング剤及び/又はチタンカップリング剤とを共存させて反応させることで表面処理を行うこともできる。すなわち、
(1)必要に応じて、プラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程;及び
(2)基材上に、上記ポリマー化合物及びシランカップリング剤又はチタンカップリング剤の少なくとも一つを含む表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
を含む方法により表面処理することができる。当該表面処理により、基材上に親水性コーティング層を形成することができ、これにより、基材上の少なくとも一方の面に親水性コーティング層を有する表面処理基材が製造される。当該方法によれば、親水性コーティング層を有機・無機ハイブリッド構造で構築することができ、この際、ホスホン酸残基が酸触媒効果を発現する。すなわち、ポリマー側鎖のホスホン酸が水溶液中でプロトン解離することにより、表面処理剤の水溶液は低pH(3〜4)を示し、酸触媒として機能し得る。したがって、当該表面処理剤の水溶液とシランカップリング剤及び/又はチタンカップリング剤とを共存させることにより、シランカッブリング剤の加水分解が進行し、続いてシラノール基又はチタノール基とホスホン酸基とが脱水縮合反応することにより、3次元的な有機−無機ハイブリッド構造を基材表面に構築できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例中の「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。
実施例において使用される略語は当業者に周知の慣用的な略語である。いくつかの略語を以下に示す。
EtOH:エタノール
MeOH:メタノール
iso-PrOH:イソプロパノール
AC:アセトン
TOL:トルエン
n−:ノルマル
TEOS:テトラエトキシシラン
<MPCポリマーの合成>
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC) (C11H22NO6P Mw=295.27 CAS 67881-98-5)と、Phosmer M (acid phosphoxy ethyl methacrylate) (C6H11O6P Mw=210.12 CAS 24599-21-1)をモノマーとして用いた2元共重合体(PMPh、次式)の合成
Figure 0006964344
(使用したモノマー構造)
Figure 0006964344
1.レドックス重合開始剤を用いた重合
(PMPh 1〜PMPh 8の合成)
モノマーとして上記MPC及びPhosmer M、レドックス重合開始剤(酸化剤)として過硫酸アンモニウム(APS)、重合促進剤(還元剤)としてN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を用い、表1Aに示す配合にて、反応溶媒としての純水15mLにモノマー濃度が0.5mol/Lになるよう溶解した後、溶液を試験管に移し、アルゴンバブリングして系中の酸素を脱気した(20分)。ガスバーナーで封管して、室温下にて重合反応した(24時間)。その後開管して水600mLと混和し、限外ろ過装置(テクノオフィス・カネコ製 ゲンゴロウ)にて連続限外ろ過を行い、未反応物を除去、回収して凍結乾燥して表1Aに示す試料を得た。
Figure 0006964344
上記結果から、水系溶媒中のレドックス重合を行うことにより多様な組成(MPC:Phosmer=99:1〜30:70モル比))において、沈殿やゲルを生じることなく、透明な水溶性の共重合体が得られた。
なお、上記では共重合体の製造後、限外ろ過精製及び凍結乾燥を行っているが、得られた水溶液をそのままMPCポリマーコーティング用の表面処理剤として使用することができる。
(PMPh w9, PMPh w11の合成)
モノマーとして上記MPCモノマー及びPhosmer M、レドックス重合開始剤(酸化剤)として過硫酸アンモニウム(APS)、重合促進剤(還元剤)としてN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を用い、表1Bに示す配合にて、反応溶媒としての純水15mLにモノマー濃度が0.5mol/Lになるよう溶解した後、反応溶液を試験管に移し、アルゴンバブリングして系中の酸素を脱気した(20分)。ガスバーナーで封管して、室温下にて重合反応した(24時間)。その後開管して水600mLと混和し、さらにpH調整のためにリン酸を添加し、限外ろ過装置(テクノオフィス・カネコ製 ゲンゴロウ)にて連続限外ろ過を行い、未反応物を除去、回収して凍結乾燥して表1Bに示す試料を得た。PMPh w11では、リン酸に代わり、塩酸を用いてpH調整した。
Figure 0006964344
2.ラジカル重合開始剤を用いた重合
2−1 ラジカル重合開始剤又は低温ラジカル重合開始剤を用いた反応
(PMPh 9〜PMPh 19の合成)
モノマーとして上記MPC及びPhosmer M、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(C8H12N4 Mw=164.21 CAS 78-67-1)又は低温ラジカル重合開始剤である2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)(Mw=308.43 CAS 15545-97-8)を用い、表2に示す配合にて、反応溶媒15mLにモノマー濃度が0.5mol/Lになるように溶解した後、溶液を試験管に移し、0℃でアルゴンバブリングして系中の酸素を脱気した(20分)。ガスバーナーで封管して、AIBNを用いた場合には60℃、V-70を用いた場合は30℃に保持したオイルバスで重合反応させた(24時間)。その後開管して、水600mLと混和し、限外ろ過装置(テクノオフィス・カネコ製 ゲンゴロウ)にて連続限外ろ過を行い、未反応物と溶媒を除去し、回収して凍結乾燥して表2に示す試料を得た。
Figure 0006964344
アルコール系溶媒中でのラジカル重合では、Phosmer Mの組成が5モル%以上になると、合成中、沈殿を生じた(No.9〜18)。これは、低温ラジカル重合開始剤(V−70;30℃)を用いた場合であっても同様であった。重合中白濁又は沈殿を生じた場合には、目的の分子量に到達していない可能性が高い。一方、反応溶液として水を含有する溶媒(水溶液)を用いた場合には、ゲル化が促進された。
合成したポリマーのうち、沈殿を生じたもの(PMPh9〜18)は水に溶解し、水溶液をコーティングに使用することができる。一方、ゲル化を生じたもの(PMPh19)はさらに水に溶解させた場合であっても、ミクロゲルを生じ、水溶液コーティングに使用することができず、しかも、基材表面への固定ができない。
2−2 水溶性ラジカル重合開始剤を用いた反応
(PMPh 20〜PMPh 23の合成)
モノマーとして上記MPC及びPhosmer M、開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物 VA-057(Mw= 414.46 CAS 1041483-94-6)を用い、表3に示す配合にて、純水、NaOH水溶液(pH11.8)、又は硫酸水溶液(pH2.0) 15mLにモノマー濃度が0.5mol/Lになるよう溶解した後、溶液を試験管に移し、0℃にてアルゴンバブリングして系中の酸素を脱気した(20分間)。試験管をガスバーナーで封管して、60℃オイルバスで重合反応させた(24時間)。その後、開管して水600mLと混和し、限外ろ過装置(テクノオフィス・カネコ製 ゲンゴロウ)にて連続限外ろ過を行い、未反応物を除去した。回収して凍結乾燥して表3に示す試料を得た。
Figure 0006964344
水溶液中でのラジカル重合では、ゲル化が生じた。ゲル化はポリマーの水性分散液の安定性の向上を目的として溶媒のpHを調整した場合であっても生じた。
重合において一旦ゲル化したものは大量の水に溶解させた場合であってもミクロゲル状態を形成するため、コーティングには不適である。
<表面処理基材の製造>
1.表面処理ガラス基材サンプル(サンプル1〜3)、シリコン基材サンプル(サンプル4〜6)、チタン基材サンプル(サンプル7)の調製
(1)酸素プラズマ処理(表面活性化)
ガラス製基板(松浪硝子社製、製品名スライドグラス S1111)、20mm x 60mmに切断したシリコン製基板(フルウチ化学社製)、チタン製基板(ニラコ社製、製品名TI-453327)を中性洗剤で洗浄し、純水でリンスした後、さらにアセトンで洗浄後、室温で乾燥させた。
MPCポリマーコーティングする直前に酸素プラズマ処理(ヤマト科学PR500:25ml/minO2、50W、5min)を行い、表面を活性化させた。
(2)MPCポリマーコーティング(表面処理)
上記で得たNo.6〜8のポリマー(PMPh6〜PMPh8)を水に溶解し、表面処理液としてのPMPh水溶液(0.1wt%)を調製した。
酸素プラズマ処理直後の基材を、表面処理液中に1時間浸漬した後、取り出し一晩100℃で乾燥した。次いで、表面を水中でこすり洗いした後、超音波洗浄を5分間行い、自然乾燥して、基材両面にコーティング層(各50nm)を有するサンプルを得た。
ガラス製基板及びシリコン製基材には、PMPh6、PMPh7、又はPMPh8の表面処理液を用いてサンプルを製造した。チタン製基板には、PMPh6の表面処理液を用いてサンプルを製造した。これにより、表面処理ガラス基材サンプル(サンプル1〜3)、表面処理シリコン基材サンプル(サンプル4〜6)、表面処理チタン基材サンプル(サンプル7)を得た。
(3)XPS測定によるコーティングMPCポリマーの確認
MPCポリマーコーティングを施したサンプル(サンプル4)をXPS(X線光電子分光法)測定装置(島津製作所Kuratos)を用いて、サンプル基材表面の元素分析を行った。
MPCポリマーコーティングを施したシリコン基材サンプル表面に、未処理のシリコン基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図1〜2)。いずれもMPCポリマー由来のピークであり、シリコン基材表面でのMPCポリマーの存在を示している。
ガラス基材サンプルおよびチタン基材サンプルにおいても、シリコン基材サンプルと同様に、未処理基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図示せず)。
2.表面処理ステンレス基材サンプル(サンプル8〜10)の調製
(1)下地処理層の形成(表面ガラス化)
20×60mmに切断したSUS304基板(ニラコ社製、製品名753323)を中性洗剤で洗浄して純水でリンスした後、さらにアセトンで洗浄後、室温で乾燥させた。シランカップリング剤の一つであるテトラエトキシシラン(TEOS)(和光純薬)をゾルゲル法にてSUS304基板上にコーティングし、ステンレス表面上にガラスの薄膜層を形成した。
具体的には、モル比で、TEOS : n-ブタノール : エタノール : 純水 : リン酸 = 1 : 7 : 7 : 7 : 0.05の組成比でコーティング溶液を調製し、ディッピング法によりステンレス基板上にコーティングし、その後100℃で加熱した。これにより、ステンレス基材表面上にシラノール基を有する薄膜層を形成した。
(2)酸素プラズマ処理(表面活性化)
MPCポリマーコーティングする直前に酸素プラズマ処理(ヤマト科学PR500:25ml/minO2、50W、5min)を行い、表面を活性化させた。
(3)MPCポリマーコーティング(表面処理)
酸素プラズマ処理直後の基材を、1(2)と同様の方法にて、基材両面にNo.6〜8のポリマー(PMPh6〜PMPh8)を含有するコーティング層(各50nm)を有するサンプル(サンプル8〜10)を得た。
(4)XPS測定によるコーティングMPCポリマーの確認
MPCポリマーコーティングを施したサンプルをXPS(X線光電子分光法)測定装置(島津製作所Kuratos)を用いて、サンプル基材表面の元素分析を行った。
MPCポリマーコーティングを施したステンレス基材サンプル表面に、未処理のステンレス基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図示せず)。いずれもMPCポリマー由来のピークであり、シリコン基材表面でのMPCポリマーの存在を示している。
3.表面処理シリコーンゴム基材サンプル(サンプル11)の調製
(1)シリコーンゴム基材の作製
内側を70mm x 70mm にくりぬいたシリコーンゴム(厚さ0.5mm)をスペーサーとし、PET板(3mm x 100mm x 100mm)で挟み込んでモールドを作製した。
Sylgard(登録商標)184 シリコーン・エラストマー(東レ・ダウコーニング)の主剤及び硬化剤(10:1)の所定量をナスフラスコに取り、エバポレーターで減圧脱泡しながら混錬し、モールド内にエラストマー液を流し込み、100℃で1時間反応させた。硬化後取り出して20mm x 60mmに切断してサンプルとした。
(2)酸素プラズマ処理(表面活性化)
MPCポリマーコーティングする直前に酸素プラズマ処理(ヤマト科学PR500:25ml/minO2、50W、20s)を行い、表面を活性化させた。
(3)MPCポリマーコーティング(表面処理)
酸素プラズマ処理直後の基材を、1(2)と同様の方法にて、基材両面にNo.6のポリマー(PMPh6)を含有するコーティング層を有するサンプル(サンプル11)を得た。
(4)XPS測定によるコーティングMPCポリマーの確認
MPCポリマーコーティングを施したサンプル(サンプル11)をXPS(X線光電子分光法)測定装置(島津製作所Kuratos)を用いて、サンプル基材表面の元素分析を行った。
MPCポリマーコーティングを施したシリコーンゴム基材サンプル表面に、未処理のシリコーンゴム基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図3〜4)。いずれもMPCポリマー由来のピークであり、シリコン基材表面でのMPCポリマーの存在を示している。
4.表面処理シリコーンハイドロゲル基材サンプル(サンプル12〜14)の調製
(1)酸素プラズマ処理(表面活性化)
基材として、市販シリコーンハイドロゲルとして、メダリスト(ボシュロム社)、AIR OPTIX(アルコン社)、プレミオ(メニコン社)を用いた。
これらをそれぞれケースから取り出し、生理食塩水に置換して自然乾燥させた後、プラズマ装置(ヤマト科学 PR500)にて酸素プラズマ処理(ヤマト科学PR500:30ml/min O2、50W、1分間)を行い、表面を活性化させた。
(2)MPCポリマーコーティング(表面処理)
酸素プラズマ処理直後の基材を、1(2)と同様の方法にて、基材表面にNo.6のポリマー(PMPh6)を含有するコーティング層(50nm)を有するサンプル(サンプル12〜14)を得た。
(3)XPS測定によるコーティングMPCポリマーの確認
MPCポリマーコーティングを施したサンプル(サンプル13)をXPS(X線光電子分光法)測定装置(島津製作所Kuratos)を用いて、サンプル基材表面の元素分析を行った。
MPCポリマーコーティングを施したシリコーンハイドロゲル基材(AIR OPTIX)サンプル表面に、未処理のシリコーンゴム基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図5〜6)。いずれもMPCポリマー由来のピークであり、シリコン基材表面でのMPCポリマーの存在を示している。
他のシリコーンハイドロゲル基材サンプルにおいても、上記シリコーンハイドロゲル基材サンプルと同様に、未処理基材には存在しない133eV付近のPならびに403eV付近に4級アンモニウムNのピークを確認した(図示せず)。
5.表面処理アルミニウム基材サンプル(サンプル15〜16)、金属銅基材サンプル(サンプル17〜18)、ステンレス基材サンプル(サンプル19〜22)の調製
(1)酸素プラズマ処理(表面活性化)
25×25mmに切断したアルミニウム基板(Al1050)、金属銅基板(C1100)、SUS304基板、SUS316L基板を中性洗剤で洗浄し、純水でリンスした後、さらにアセトンで洗浄後、室温で乾燥させた。
MPCポリマーコーティングする直前に酸素プラズマ処理(ヤマト科学PR200:30ml/minO2、50W、2min)を行い、表面を活性化させた。
(2)MPCポリマーコーティング(表面処理)
上記で得たNo. w9のMPCポリマー(PMPh w9; MPC:PhosmerM=70:30(モル比);リン酸によるpH調整)を水に溶解し、表面処理液としてのPMPh w9水溶液(0.5wt%)を調製した。
また、上記で得たNo. w11のMPCポリマー(PMPh w11; MPC:PhosmerM=90:10(モル比); 塩酸によるpH調整)を水に溶解し、表面処理液としてのPMPh w11水溶液(0.5wt%)を調製した。
酸素プラズマ処理直後の基材を、PMPh w9又はPMPh w11の表面処理液中に1時間浸漬した後、取り出し一晩60℃で乾燥した。次いで、表面を水中でこすり洗いした後、自然乾燥して、基材両面にコーティング層(各50nm)を有するサンプルを得た。これにより、表面処理アルミニウム基材サンプル(サンプル15〜16)、表面処理金属銅基材サンプル(サンプル17〜18)、表面処理ステンレス基材サンプル(サンプル19〜22)を得た。
下記表4に、上記で製造した表面処理基材サンプルをまとめる。
Figure 0006964344
(評価:接触角測定)
(1)方法
水中接触角を、自作の測定装置を用いてキャプティブバブル法で測定した。
測定装置:図7に示す測定装置を組み上げ、MPCポリマーコーティングした各種表面処理基材サンプルを治具に固定し、治具をポンプで吸引して水中で保持した。マイクロシリンジから気泡を押し出してサンプル表面に吸着させ、CMOSカメラで吸着した気泡を撮影し、画像処理により水中接触角を求めた。図8中、接触角θが大きいほど、基材表面の親水性が高いことを意味する。
(2)結果
(i)表面処理ガラス基材
未処理のガラス基材では170°だったものが(図示せず)、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル1〜3)では、同様に170°前後の値を示し、大きな変化は見られなかった(図9)。
(ii)表面処理シリコン基材
未処理のシリコン基材では 158°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル4〜6)では、167°以上に向上した(図10)。
(ii)表面処理チタン基材
未処理のチタン基材では132°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル7)では、168°以上に向上した(図11)。
(iii)表面処理ステンレス基材
(a)表面処理SUS304基材(シランカップリング剤処理あり)
未処理のSUS304基材では138°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル8〜10)では、169°以上に向上した(図12A)。
(b)表面処理SUS304基材(シランカップリング剤処理なし)
未処理のSUS304基材では136°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル19〜20)では、169°に向上した(図12B)。
(c)表面処理SUS316L基材(シランカップリング剤処理なし)
未処理のSUS316L基材では142°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル21〜22)では、168°に向上した(図12C)。
(iv)表面処理シリコーンハイドロゲル基材
未処理のシリコーンハイドロゲル基材(コンタクトレンズ)に比べて、メダリスト(ボシュロム)、AIR OPTIX(アルコン)、プレミオ(メニコン)をMPCポリマー処理したサンプル(サンプル12〜14)では5°以上値が大きく向上したことから、表面の親水性が向上したことを示している(図13)。
(v)表面処理アルミニウム基材
未処理のアルミニウム基材では139°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル15〜16)では、168°に向上した(図14)。
(vi)表面処理金属銅基材
未処理の金属銅基材では131°だったものが、MPCポリマー処理したサンプル(サンプル17〜18)では、167°以上に向上した(図15)。
(評価:防汚性(セルフクリーニング効果)の確認)
(1)方法
未処理の基材及びMPCポリマーコーティングを施したサンプルに、それぞれ油性インク(朱肉)を一滴ずつ塗布して乾燥後、水中に浸漬させ、2分後、基材を取り出すことにより基材を水洗浄した。
(2)結果
インク塗布後及び水洗浄後の未処理基材及びMPCポリマーコーティングサンプル(PMPh6を使用)
の写真を図16〜19に示す。図16はガラス基材、図17はシリコン基材、図18はチタン基材、図19はステンレス基材の写真である。
図16〜19から、未処理のサンプルでは、水洗浄によってもインクの汚れは基材表面に依然として吸着していたが、MPCポリマーコーティングサンプル上では、数分の内にインクの汚れが自発的に洗い流され、基材表面にインクの吸着が全くみられなかった。

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に、次式(1):
    Figure 0006964344
    (式中、X及びXは、それぞれ独立して、ビニル系モノマー残基を表し;R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基を表し;Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基で示される基を表し;m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し;Xを含む構造単位及びXを含む構造単位はランダムな順序で結合している。)
    で示されるポリマー化合物を含有する親水性コーティング層と、を有し、
    前記ポリマー化合物は、前記ポリマー化合物に含まれるホスホン酸基と前記基材表面のホスホン酸基と相互作用可能な官能基との脱水縮合反応による化学的結合を介して化学的に固定されている、表面処理基材
  2. 式(1)で示される化合物が次式(2):
    Figure 0006964344
    (式中、Rは、水素原子又はC1〜3のアルキル基を表し、a及びbは、それぞれ独立して2以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、各モノマーユニットはランダムな順序で結合している。)
    で示される構造を有するポリマーである、請求項1に記載の表面処理基材
  3. a/(a+b)の値が0.30〜0.99である、請求項1又は2に記載の表面処理基材
  4. 前記ポリマー化合物は、基材の表面を親水化することができるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理基材
  5. 前記基材が、ガラス基材、シリコン基材、金属基材、金属酸化物基材、シリコーンゴム基材、シリコーンハイドロゲル基材、及びセラミックス基材からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理基材。
  6. 前記基材表面のホスホン酸基と相互作用可能な官能基は、シラノール基(Si−OH)、チタノール基(Ti−OH)、及びZr−OH基からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理基材。
  7. 前記親水性コーティング層の厚さは、30〜100nmの範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面処理基材。
  8. 基材の表面処理方法であって、
    前記基材にプラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程、および
    次式(1):
    Figure 0006964344
    (式中、X 及びX は、それぞれ独立して、ビニル系モノマー残基を表し;R 及びR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−C(O)−、−C(O)O−若しくは−O−で示される基を表し;R は、水素原子又はC 1〜3 のアルキル基で示される基を表し;m及びnは、それぞれ独立して、1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立して、2以上の整数を表し;X を含む構造単位及びX を含む構造単位はランダムな順序で結合している。)
    で示されるポリマー化合物を含む、表面処理剤を基材の表面に塗布する工程を含む、方法。
  9. 前記ポリマー化合物は、前記ポリマー化合物に含まれるホスホン酸基と前記基材表面のホスホン酸基と相互作用可能な官能基との脱水縮合反応による化学的結合を介して化学的に固定される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記表面処理剤は水溶液の形態である、請求項8または9に記載の方法
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の表面処理基材の製造方法であって、
    前記基材にプラズマ処理、UV/オゾン洗浄、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン水処理、及び過酸化水素水/フェントン反応溶液処理からなる群の少なくとも一つを施す工程、及び
    前記基材上に、前記式(1)で示されるポリマー化合物を含む表面処理剤を塗布し、乾燥する工程
    を含む、方法。
  12. 前記基材をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
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