JPWO2017047680A1 - 共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
グリシジル基含有共重合体とアジド安息香酸の高分子反応を用いることで、工業スケールにおいても安定に供給可能な方法で光反応性アジド基を有する共重合体を合成可能であることを見出し、本発明を完成した。
Description
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2015-183258号優先権を請求する。
〔1〕下記の式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体。
〔3〕2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位とを有する、前項〔1〕に記載の共重合体。
〔4〕2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位と、メタクリル酸ブチルに基づく構成単位とを有する、前項〔2〕に記載の共重合体。
〔5〕2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位と、メタクリル酸ステアリルに基づく構成単位とを有する、前項〔2〕に記載の共重合体。
〔6〕式(4)で示される2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと、式(5)で示されるメタクリル酸グリシジルを重合してなる共重合体前駆体、又は式(4)で示される2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと、式(5)で示されるメタクリル酸グリシジルと、式(6)で示されるメタクリル酸エステル(nは3〜17)を重合してなる共重合体前駆体と、
式(7)で示されるアジド安息香酸を反応させることを特徴とする前項〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の共重合体の製造方法。
〔8〕前項〔7〕に記載の表面処理剤を、基材表面にコーティングした後、該基材表面に光照射して、該基材表面に架橋体を形成することを特徴とする架橋体の形成方法。
〔9〕前項〔7〕に記載の表面処理剤をコーティングされた基材表面に、光照射して形成された架橋体。
〔10〕以下を含む架橋体:
(1)前項〔7〕に記載の表面処理剤;及び
(2)(1)に記載の表面処理剤が表面にコーティングされており、さらに該コーティング表面に光照射を受けている基材。
〔11〕前項〔9〕又は前項〔10〕に記載の架橋体を含む医療用具。
また、本発明の製造方法を用いることで、メタクリル酸グリシジルとアジド安息香酸を用いて同様な骨格を有する単量体を合成する際に併発するメタクリル酸グリシジルのオレフィンとアジド安息香酸のアジド基との1,3−双極子付加反応による副反応が実質的になく、アジドフェニル基を定量的に導入することができるので、光反応性アジド基含有共重合体を工業スケールにおいても安定に供給することができる。
さらに、本発明の共重合体を基材にコーティングし、さらに該基材に光照射を行うことで、該基材を生体適合性に改変した生体適合性材料を提供することができる。
本発明の共重合体は、下記式(1)で表される構造を有し、ホスホリルコリン構成単位、光反応性構成単位からなる共重合体、又は下記式(3)で表される構造を有し、ホスホリルコリン構成単位、光反応性構成単位、および疎水性構成単位からなる共重合体である。
例えば、式(1)で表される構造を有する2元共重合体においては、下記の式(4)で示される2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCと略す場合がある)と、式(5)で示されるメタクリル酸グリシジル(以下、GMAと略す場合がある)とを重合した後、式(7)で示されるアジド安息香酸(以下、ABAと略す場合がある)を反応させることで得られる。
また、式(3)で表される構造を有する3元共重合体においては、上記重合反応に式(6)で示されるメタクリル酸エステル(nは3〜17)を加えればよい。
本発明の対象の架橋体の形成方法は、本発明の共重合体または本発明の表面処理剤を基材表面にコーティングした後、該基材表面(コーティングした表面)に光照射して、該基材表面に架橋体を形成することを特徴とする。
本発明の対象の架橋体は、本発明の架橋体の形成方法により得られる、または、本発明の共重合体または本発明の表面処理剤に光照射して得られる。
本発明の対象の医療用具は、本発明の架橋体を含む。
本発明の共重合体は、ホスホリルコリン(PC)基含有単量体に基づく構成単位(参照:式(8))を共重合体構造中に含む。共重合体構造中、ホスホリルコリン基は、生体膜の主成分であるリン脂質と同様の構造を有する極性基である。ホスホリルコリン基を共重合体中に導入することで、蛋白質吸着抑制、細胞接着抑制、抗血栓性、親水性などの生体適合性を共重合体に付与することができる。
さらに、該共重合体を基材表面上で光処理等することで基材に生体適合性を付与できる。
前記PC基含有単量体としては、2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(参照:式(4))が挙げられる。
本発明の共重合体は、光反応性アジドフェニル基を含有する構成単位(参照:式(9))を共重合体構造中に含む。アジドフェニル基は、光照射により反応性に富むニトレンを生成し、基材あるいは共重合体から水素原子を引き抜くことで結合し得るものである。該アジドフェニル基を含有する構成単位としては、式(5)に示されるGMAを重合後、GMAのグリシジル基に式(7)に示されるABAを反応させることで、アジドフェニル基を含有するGMA単量体に基づく構成単位(以下、GMA-Azと略す場合がある)を得ることができる。
本発明の共重合体は、疎水性基含有単量体に基づく構成単位(参照:式(10))を共重合体構造中に含む。疎水性基は、疎水性基材表面への物理吸着により、当該共重合体の塗布性を向上させることができる。
式(3)中、a、bおよびcは、式(8)、(9)および(10)の3つの構成単位の構成比、すなわち対応する単量体のモル比率を表す。
また、当該構成単位の構成比を表すa、bおよびcの比は、任意に調製可能であり、水性媒体に可溶な共重合体であればよい。
MPC―GMA-Az
MPC―GMA-Az―メタクリル酸ブチル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸ヘキシル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸2−エチルヘキシル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸デシル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸ドデシル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸トリデシル
MPC―GMA-Az―メタクリル酸ステアリル(ステアリルメタクリレート)
式(1)で表される構造を有する2元共重合体においては、式(4)で示されるMPCと、式(5)で示されるGMAとを重合した後、式(7)で示されるABAを反応させることで得られる。
また、式(3)で表される構造を有する3元共重合体においては、上記重合反応に式(6)で示されるメタクリル酸エステル(nは3〜17)を加えればよい。
以下に詳しく説明する。
式(4)で示されるMPCと、式(5)で示されるGMAを、MPCとGMAの合計量に対して、MPCをモル比率で0.75〜0.99、GMAをモル比率で0.01〜0.25の割合で含む単量体組成物を重合させて、下記式(11)に示される共重合体前駆体を得た後、式(7)で示されるABAを反応させることにより式(1)に示される2元共重合体を得ることができる。
式(3)に示される3元共重合体を得るには、上記2元共重合体の重合反応系中に式(6)で示されるメタクリル酸エステル(nは3〜17)を加えればよい。例えば、式(4)で示されるMPCと、式(5)で示されるGMAと、式(6:n=3)で示されるメタクリル酸ブチル(以下、BMAと略す場合がある)を、MPC、GMAおよびBMAの合計量に対して、MPCをモル比率で0.30〜0.90、GMAをモル比率で0.01〜0.20、BMAをモル比率で0.01〜0.69の割合で含む単量体組成物を重合させて、下記式(12)に示される共重合体前駆体を得た後、式(7)で示されるABAを反応させることにより式(3)に示される3元共重合体を得ることができる。
得られる重合体の精製等の観点から、溶液重合が好ましい。これらの重合反応により、式(1)あるいは(3)で示される構成単位を有する共重合体が得られる。なお、式(1)あるいは(3)の共重合体は、上記の通り、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、あるいは、ランダム部とブロック部が混在する共重合体であってもよい。また、交互共重合体部が存在してもよい。
加えて、式(1)で表される構造を有する2元共重合体においては、a/(a+b)=0.75〜0.99、好ましくは0.80〜0.99、b/(a+b)=0.01〜0.25、好ましくは0.01〜0.20を満たすものである。
また、aが100質量部に対して、bが1〜34重量部であっても良い。
また、aが100質量部に対して、bが1〜69重量部、cが0.5〜264重量部であっても良い。
本発明の共重合体を精製する場合、その精製は、再沈殿法、透析法、限外濾過法等の一般的な精製方法により行うことができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−アミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1−((1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ)ホルムアミド、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミヂン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル)等が挙げられる。
過硫酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応時の温度は、使用する重合開始剤や溶媒の種類によって、また所望の分子量によって適宜適した温度を選択すればよいが、40〜100℃の範囲が好ましい。
該反応促進剤は、単独で用いても混合物で用いてもよい。
本発明の共重合体で基材上に架橋体を形成する場合、本発明の共重合体を溶解可能な適当な溶媒、例えば、水、生理食塩水、各種緩衝液(リン酸緩衝液や炭酸緩衝液など)、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、もしくはこれらを混合したものに溶解し、本発明の共重合体を含む溶媒を目的の基材上に塗布すればよい。さらに好ましくは共重合体を0.01 mg/cm2以上存在させるのがよい。
架橋体を基材表面上に形成させるための光照射時間は、特に限定されないが、10秒〜2時間照射すればよい。より好ましくは、1分間〜30分間照射すればよく、さらに好ましくは、1分間〜15分間照射すればよい。
ここで用いられる基材としては、プロトンを引き抜くことができるものが好ましく、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリウレタンなどの各種プラスチック素材がよい。さらに、これら基材の形状は、その使用目的に応じた形状を有する。例えば、チューブ状、板状、シャーレ形状、多数の穴を持つ形状、精密な流路が形成された形状といった形状を持つ。
従って、本発明の共重合体から形成された架橋体を基材表面に形成させることにより、生体適合性を該基材に付与することができる。一般的に、ホスホリルコリン基が示す生体適合性は血液適合性であり、これは基材表面に蛋白質や細胞が吸着・接着しないことを特長としている。
そして、これらの性質を利用することで、架橋体の薬物の徐放担体や細胞の足場、表面修飾材料や、止血剤等の創傷治癒促進剤などの医療用具への展開が可能である。
本発明は、式(1)又は式(3)で表される構造を有し重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体を表面処理剤の製造としての使用も対象とする。
本発明は、式(1)又は式(3)で表される構造を有し重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体を表面処理剤としての使用も対象とする。
本発明は、式(1)又は式(3)で表される構造を有し重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体を使用する表面処理方法も対象とする。
<重量平均分量の測定>
〔実施例の共重合体〕
得られた共重合体5mgを、pH7.4の20mMリン酸緩衝液1gへ溶解し、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分子量を測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:RI−8020、DP−8020、SD−8022、AS−8020(以上東ソー(株)製)、865−CO(日本分光(株)製)、カラム:Shodex OHpak SB−802.5HQ、OHPak SB−802.5M HQ(昭和電工(株)製)、移動相:pH7.4の20mMリン酸緩衝液、標準物質:ポリエチレングリコール、検出:視差屈折率計、重量平均分子量(Mw)の算出:分子量計プログラム(SC−8020用GPCプログラム)、流速:0.5ml/分、カラム温度:45℃、試料溶液注入量:10μL、測定時間:30分間。
得られた共重合体5mgを、0.1mol/L硫酸ナトリウム水溶液1gへ溶解し、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分量を測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:RI−8020、DP−8020、SD−8022、AS−8020(以上東ソー(株)製)、865−CO(日本分光(株)製)、カラム:Shodex OHpak(昭和電工(株)製)、移動相:0.1mol/L硫酸ナトリウム水溶液、標準物質:プルラン、検出:視差屈折率計、重量平均分子量(Mw)の算出:分子量計プログラム(SC−8020用GPCプログラム)、流速:1.0ml/分、カラム温度:40℃、試料溶液注入量:100μL、測定時間:30分間。
〔合成例1〕
2−メタクリロイルオキシエチル−2−トリメチルアンモニオエチルホスフェート(MPC)39.8064g(0.135mol)、メタクリル酸グリシジル(GMA)0.1936g(1.36mmol)をn−プロパノール(nPA)154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 0.3328g(2.04mmol)を溶解させて80℃に昇温後、トリエチルアミン(TEA)0.0275g(0.272mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2122cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1236cm−1(P=O)、1085cm−1(−OPOCH2−)、968cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 39.0112g(0.132mol)、GMA 0.9888g(6.95mmol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 1.7007g(0.0104mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.1407g(1.39mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1238cm−1(P=O)、1086cm−1(−OPOCH2−)、968cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 35.7016g(0.121mol)、GMA 4.2984g(0.0302mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 7.3902g(0.0453mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.6112g(6.04mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2−C)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1236cm−1(P=O)、1085cm−1(−OPOCH2−)、967cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 18.8349g(0.0638mol)、GMA 1.5118g(0.0106mol)、BMA 19.6533g(0.138mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いてこの重合液にABA 2.5939g(0.0159mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.2145g(2.12mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1240cm−1(P=O)、1087cm−1(−OPOCH2−)、967cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 30.2787g(0.103mol)、GMA 2.4303g(0.0171mol)、BMA 7.2910g(0.0513mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 4.1845g(0.0256mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.3461g(3.42mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2122cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1234cm−1(P=O)、1086cm−1(−OPOCH2 −)、968cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 35.7016g(0.121mol)、GMA 4.0835g(0.0287mol)、BMA 0.2149g(1.51mmol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 7.0232g(0.0431mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.5808g(5.74mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2956cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1242cm−1(P=O)、1087cm−1(−OPOCH2−)、968cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 35.7016g(0.121mol)、GMA 2.1492g(0.0151mol)、BMA 2.1492g(0.0151mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 3.6951g(0.0223mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.3056g(3.02mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2122cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1240cm−1(P=O)、1087cm−1(−OPOCH2−)、968cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 35.7016g(0.121mol)、GMA 0.2149g(1.51mmol)、BMA 4.0835g(0.0287mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 0.3698g(2.27mmol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.0306g(0.302mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1238cm−1(P=O)、1086cm−1(−OPOCH2−)、967cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 33.2355g(0.113mol)、GMA 2.0007g(0.0141mol)、メタクリル酸ステアリル(以下、SMAと略す場合がある) 4.7638g(0.0141mol)をnPA 154.1390gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの10wt%nPA溶液を5.8610g(3.57mmol)加えて4時間重合反応後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させ、共重合体を得た。続いて重合液にABA 3.4504g(0.0212mol)を溶解させて80℃に昇温後、TEA 0.2854g(2.82mmol)を加えて48時間反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、1H NMR、IR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C、−C(O)−O−CH2−(CH 2 )16−CH3)、3.40-3.65 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.65-3.85 ppm (−C(O)−O−CH2−CH(CH 2 OH)−O−C(O)−)3.85-4.10 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3、−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−)、4.10-4.80 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −(CH2)16−、−C(O)−O−CH 2 −CH2−、−C(O)−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−C(O)−、−C(O)−O−CH 2 −CH(CH2OH)−O−C(O)−、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)、7.10-7.35 ppm(ArH)、7.90-8.25ppm(ArH)
(IR)
2958cm−1(−CH)、2124cm−1(−N3)、1725cm−1(C=O)、1240cm−1(P=O)、1087cm−1(−OPOCH2−)、967cm−1(−N+(CH3)3)
MPC 40.0000g(0.136mol)をnPA 155.1124gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、65℃でAIBNの10wt%nPA溶液を4.8876g(2.98mmol)加えて、6時間重合反応させることで単量体仕込み組成からなる共重合体が得られた。反応終了後、ジエチルエーテルで沈殿精製した。得られた共重合体について、合成例1と同様に各測定を行った。1H NMR、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.45 ppm(−CH 3 )、1.45-2.60 ppm(−CH 2 −C−)、3.20-3.40 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.60-3.80 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3)、4.00-4.15 ppm(−P−O−CH 2 −)、4.15-4.40 ppm(−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)
以上の結果より、式(8)で示されるMPC単量体に基づく構成単位のモル比率が1.00で、重量平均分子量が188,000の共重合体であることを確認した。
〔比較合成例2〕
(1H NMR)
0.70-1.60 ppm(−CH 3 )、1.60-2.60 ppm(−CH 2 −C−、−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH3)、3.15-3.40 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.60-3.80 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3)、3.80-4.15 ppm(−P−O−CH 2 −、−C(O)−O−CH 2 −CH2−)、4.15-4.40 ppm(−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)
MPC18.2000g(0.0616mol)、アミノエチルメタクリレート(AEMA)1.2000g(7.25mmol)を80.0gイオン交換水に溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4つ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃で2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(V−50)を0.1492g(0.550mmol)加えて8時間重合反応させることで単量体仕込み組成からなる共重合体が得られた。反応終了後、透析精製した。得られた共重合体の化学構造について、1H NMRにより確認した。また、重量平均分子量の測定結果を以下および表1に示す。
(1H NMR)
0.70-1.45 ppm(−CH 3 )、1.45-2.60 ppm(−CH 2 −C−)、3.20-3.40 ppm(−N+(CH 3 )3)、3.20-3.50 ppm(−CH 2 −NH2)、3.60-3.80 ppm(−CH 2 −N+(CH3)3)、4.00-4.15 ppm(−P−O−CH 2 −)、4.15-4.40 ppm(−C(O)−O−CH 2 −、−O−CH 2 −CH 2 −O−P−)
合成例1の共重合体をエタノールに0.5wt%となるように溶解し、ポリスチレン製96ウェルプレート(ワトソン社製)のウェル底面に対して、0.06 mg/cm2となるように共重合体被膜を形成させた後に、DNA−FIX((株)アトー科学機器製)を用いて254 nmの光を7分間照射した。光照射後、エタノールを200 μL/well加え、室温にて2時間静置した。その後、エタノールを除去し、新たなエタノールを200 μL/well加え、未反応の共重合体を除去するための洗浄工程を3回行った。エタノールによる洗浄後、リン酸緩衝液で24000倍希釈した西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ標識IgG(BioRad社製)を100 μL/well加え、室温にて1時間静置した。1時間後、ウェル内のHRP標識IgG溶液を除去し、0.05%Tween20の入ったリン酸緩衝液を200 μL/well加え、除去する洗浄工程を4回繰り返した。洗浄後に、ペルオキシダーゼ用発色液(KPL社製)を100 μL/well加え、室温にて10分間反応させた。10分後に2N硫酸を50 μL/well加えることで反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにて450 nmの吸光度を測定することでウェル内に吸着したペルオキシダーゼ(蛋白質)を検出した。
合成例1の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.24 mg/cm2となるように調製し、実施例1−1−1と同様の実験を行った。
<実施例1−1−3>
合成例1の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.36 mg/cm2となるように調製し、実施例1−1−1と同様の実験を行った。
合成例2、3、4、5、6、7、8および9の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.06、0.24、または0.36 mg/cm2となるように調整し、実施例1−1−1と同様の実験を行った。
比較合成例1、比較合成例2および比較合成例3の重合体を用い、ウェル内の共重合体量が0.06、0.24、または0.36 mg/cm2となるように調製し、実施例1−1−1と同様の実験を行った。
<比較例1−4>
共重合体被膜のないポリスチレン製96ウェルプレート(ワトソン社製)を用いて実施例1−1−1と同様の実験を行った。
共重合体被膜のないウェル(比較例1−4)の吸光度を蛋白質吸着率100%として、実施例1−1−1〜1−9−3と比較例1−1−1〜1−3−3の蛋白質吸着率を算出した(蛋白質吸着率=(測定値÷比較例1−4の吸光度)×100)。表2に吸光度と蛋白質吸着率を示した。
表2から明らかなように、合成例1〜9の共重合体の架橋体を基材表面に形成させ、光を照射することにより、蛋白質(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ標識IgG)の吸着を抑制する基材表面を形成できたことを確認した。
一方、比較合成例1(疎水性構成単位と光反応性構成単位を有しない重合体)、比較合成例2(光反応性構成単位を有しない共重合体)および比較合成例3(疎水性構成単位と光反応性構成単位を有しないが、アミノ基のある構成単位を有する共重合体)においては、光照射により、基材表面に共重合体架橋体が形成されないために、蛋白質が吸着してしまう結果となった。
さらに、本発明の表面処理剤は、従来の光反応性アジド基を有する単量体(重合体)とは異なり、酸塩化物やハロゲン溶媒を使用することなく基板表面に架橋体を形成することができた。
合成例1の共重合体をエタノールに0.5wt%となるように溶解し、ポリスチレン製の24ウェルプレート(Nunc社製)のウェル底面に対して、0.01 mg/cm2となるように共重合体被膜を形成させた後に、DNA−FIX((株)アトー科学機器製)を用いて254 nmの光を7分間照射した。光照射後、エタノールを400 μL/well加え、室温にて15時間静置した。その後、エタノールを除去し、新しいエタノールを400 μL/well加え、未反応の共重合体を除去するための洗浄工程を3回行った。その後、クリーンベンチ内にて、滅菌済みのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(以下、D−PBSとする)を400 μL/wellを加え、エタノールを除去するための洗浄工程を3回行った。
合成例1の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.10 mg/cm2となるように調製し、実施例2−1−1と同様の実験を行った。
<実施例2−1−3>
合成例1の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.25 mg/cm2となるように調製し、実施例2−1−1と同様の実験を行った。
<実施例2−1−4>
合成例1の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.50 mg/cm2となるように調製し、実施例2−1−1と同様の実験を行った。
合成例2、3、4、5、6、7、8および9の共重合体を用い、ウェル底面の共重合体が0.01、0.10、0.25または0.50 mg/cm2となるように調整し、実施例2−1−1と同様の実験を行った。
<比較例2−1−1〜2−3−4>
比較合成例1、比較合成例2と比較合成例3の重合体を用い、ウェル内の共重合体量が0.01、0.10、0.25または0.05 mg/cm2となるように調製し、実施例2−1−1と同様の実験を行った。
<比較例2−4>
共重合体被膜のないポリスチレン製24ウェルプレート(Nunc社製)を用いて実施例2−1−1と同様の実験を行った。
表3から明らかなように、合成例1〜9の共重合体の架橋体を基材表面に形成させ、光を照射することにより、マウス胎児由来繊維芽細胞の接着を抑制する基材表面を形成できたことを確認した。
以上の結果より、本発明の表面処理剤は、基材表面への塗布と光照射により、基材表面に生体適合性(細胞が接着できない性能)を付与できることを確認した。
Claims (11)
- 下記の式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体。
- 下記の式(3)で表される構造を有し、重量平均分子量が20,000〜500,000である共重合体。
- 2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位とを有する、請求項1に記載の共重合体。
- 2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位と、メタクリル酸ブチルに基づく構成単位とを有する、請求項2に記載の共重合体。
- 2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成単位と、アジドフェニル基を含有するメタクリル酸グリシジルに基づく構成単位と、メタクリル酸ステアリルに基づく構成単位とを有する、請求項2に記載の共重合体。
- 式(4)で示される2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと、式(5)で示されるメタクリル酸グリシジルを重合してなる共重合体前駆体と、又は式(4)で示される2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと、式(5)で示されるメタクリル酸グリシジルと、式(6)で示されるメタクリル酸エステル(nは3〜17)を重合してなる共重合体前駆体と、
式(7)で示されるアジド安息香酸を反応させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合体を含む表面処理剤。
- 請求項7に記載の表面処理剤を、基材表面にコーティングした後、該基材表面に光照射して、該基材表面に架橋体を形成することを特徴とする架橋体の形成方法。
- 請求項7に記載の表面処理剤をコーティングされた基材表面に、光照射して形成された架橋体。
- 以下を含む架橋体:
(1)請求項7に記載の表面処理剤;及び
(2)(1)に記載の表面処理剤が表面にコーティングされており、さらに該コーティング表面に光照射を受けている基材。
- 請求項9又は請求項10に記載の架橋体を含む医療用具。
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