JP6417818B2 - 滅菌済コーティング膜 - Google Patents
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Description
[1] (1)放射線分解性ポリマーと、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する工程;
(2)基体を乾燥させ、コーティング膜を形成する工程;及び、
(3)基体を放射線による滅菌に付す工程、
を含み、かつ工程(1)〜(3)が順次実施される製法により形成される、滅菌済コーティング膜;
(式中、
Ta、Tb、Ua1、Ua2、Ub1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Qa及びQbは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、An−は、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し、mは、0乃至6の整数を表す)
で表される繰り返し単位を含む、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の滅菌済コーティング膜;
(2)基体を乾燥させ、コーティング膜を形成する工程;及び、
(3)基体を放射線による滅菌に付す工程、
を含み、かつ工程(1)〜(3)が順次実施される、滅菌済コーティング膜の製法;
一般に、基体にコーティング膜形成用組成物を塗布し、コーティング膜を形成し、乾燥させた後、基体上に形成したコーティング膜に残る不純物や未反応モノマー等を除去するため、滅菌前に基体を洗浄工程に付す。本発明者らは、かかる洗浄工程を行わずに、乾燥工程と滅菌工程とを連続的に実施することにより、あるいは滅菌前のコーティング膜の厚みを所定の膜厚に維持することにより、基体上に形成したコーティング膜に残る不純物や未反応モノマー等が、滅菌工程で照射される放射線(γ線)によって発生するラジカル(e・)やパーオキサイド(ROO・)をトラップし、滅菌済コーティング膜の分解・劣化が抑制されることを見出した。したがって、本発明の滅菌済コーティング膜及びその製法によれば、放射線照射により分解・劣化を受けやすい、放射線分解性ポリマーを含むコーティング材料を用いながらも、放射線照射による滅菌を含み、且つ塗布・乾燥・滅菌・洗浄工程の順次実施という極めて簡便な方法により、その機能(例えば、生体物質付着抑制能)を損なうことなく滅菌済コーティング膜を提供することができる。
本発明は、(1)放射線分解性ポリマーと、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する工程;
(2)基体を乾燥させ、コーティング膜を形成する工程;及び、
(3)基体を放射線による滅菌に付す工程、
を含み、かつ工程(1)〜(3)が順次実施される製法により形成される、滅菌済コーティング膜に関する。
本発明の滅菌済コーティング膜を形成するため、放射線分解性ポリマーと、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する。
本発明において、放射線分解性ポリマーとは、放射線照射により発生したラジカル(e・)やパーオキサイド(ROO・)等により、その主鎖や側鎖が切断され得るポリマーを指す。なお本発明において、放射線は、滅菌に使用されうる放射線を指し、例えば、γ線、X線、電子線を意味し、具体的にはγ線又はX線を意味し、特にはγ線を意味する。
そのような放射線分解性ポリマーを構成成分として有するコーティング膜でも、本発明に係る工程を経ることにより、例えば生体物質の付着抑制能を有する、滅菌済コーティング膜が得られる。
なお、本発明において、他に特に断りのない限り、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。例えば(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を意味する。
[ここで、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素原子又は有機基(例えば、炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基等)である]
で表される基を意味し、ホスホン酸及びそのエステル構造は、下記式:
[ここで、R14及びR15は、互いに独立して、水素原子又は有機基(例えば、炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基等)である]
で表される基を意味する。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルホスホン酸等を挙げることができる。
を挙げることができる。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)等を挙げることができる。
[ここで、R16、R17及びR18は、互いに独立して、水素原子又は有機基(例えば、メチル基、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基等)である]
で表される基を意味する。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。さらに、そのような構造を有するモノマー又はポリマーは、例えば、特開2010−169604号公報等に開示されている。
[ここで、R22は、有機基(例えば、炭素原子数1乃至10の有機基、好ましくは、1個以上のヒドロキシ基を有する炭素原子数1乃至10のアルキル基等)である]
で表される基を意味する。そのような構造を有するポリマーとして、特開2014−48278号公報等に開示された共重合体を挙げることができる。
(式中、
Ta、Tb、Ua1、Ua2、Ub1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Qa及びQbは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、An−は、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し、mは、0乃至6の整数を表す)
で表される繰り返し単位を含むポリマー(以下、放射線分解性ポリマー(I)と称す)である。
本発明において、「無機酸イオン」とは、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン又はホウ酸イオンを意味する。
で表される化合物を含むモノマー混合物を、溶媒中にて反応(重合)させることにより得られる。
上記放射線分解性ポリマー(I)中における第3成分、例えば、上記式(C)又は(D)で表される2官能性モノマーから誘導される架橋構造の割合は、0モル%乃至50モル%である。
式(B)で表される化合物の、上記放射線分解性ポリマー(I)を形成するモノマー全体に対する割合は、上記式(A)の割合を差し引いた残部全てでも良いし、上記式(A)と上記第3成分との合計割合を差し引いた残部であってもよい。また、式(B)で表される化合物は、2種以上であってもよい。
本発明に係るコーティング膜形成用組成物は、所望の放射線分解性ポリマーを、所望の溶媒にて所定の濃度に希釈することにより調製してもよい。
そのようにして得られるコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する。基体としては、ガラス、金属含有化合物若しくは半金属含有化合物、活性炭又は樹脂を挙げることができる。金属含有化合物若しくは半金属含有化合物は、例えば基本成分が金属酸化物で、高温での熱処理によって焼き固めた焼結体であるセラミックス、シリコンのような半導体、金属酸化物若しくは半金属酸化物(シリコン酸化物、アルミナ等)、金属炭化物若しくは半金属炭化物、金属窒化物若しくは半金属窒化物(シリコン窒化物等)、金属ホウ化物若しくは半金属ホウ化物などの無機化合物の成形体など無機固体材料、アルミニウム、ニッケルチタン、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)が挙げられる。
上記のコーティング膜形成用組成物を基体の表面の少なくとも一部に塗布する。塗布方法としては特に制限は無く、通常のスピンコート、ディップコート、溶媒キャスト法等の塗布法が用いられる。
次いで、コーティング膜形成用組成物が塗布された基体を乾燥させ、コーティング膜を形成する。乾燥工程は、大気下又は真空下にて、温度−200℃乃至200℃の範囲内で行なう。乾燥工程により、上記コーティング膜形成用組成物中の溶媒が除去され、放射線分解性ポリマーが基体へ固着する。例えば、放射線分解性ポリマー(I)を用いた場合、ポリマーの式(a1)及び式(b1)同士がイオン結合を形成して基体へ完全に固着する。
次いで、コーティング膜が形成された基体を放射線による滅菌に付す。本発明において放射線による滅菌とは、γ線、X線、又は電子線の照射による滅菌方法を意味し、好ましくはγ線又はX線、より好ましくはγ線の照射による滅菌方法を意味する。放射線による滅菌は、被滅菌物(コーティング膜が形成された基体)を容器に密封した最終梱包形態で滅菌処理ができ、また常温で滅菌処理することができるため、加熱法(例えば、高圧蒸気法、乾熱法)による滅菌のように高温処理によって引き起こされる材質変化や破損の心配がなく、また、ガス法(例えば、酸化エチレンガス法)による滅菌のように有毒ガス等の有害残留物の心配もなく安全な滅菌方法である。さらに、放射線による滅菌は、滅菌工程の管理が容易で、多量の製品を連続に同一の条件で滅菌処理が出来る等の優れた点が多い。
さらに本発明は、(1)放射線分解性ポリマーと、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する工程;
(2)基体を乾燥させ、コーティング膜を形成する工程;及び、
(3)基体を放射線による滅菌に付す工程、
を含み、かつ工程(1)〜(3)が順次実施される、滅菌済コーティング膜の製法に関する。また、本発明の製法は、好ましくは、工程(2)の後で、かつ工程(3)の前に、基体を洗浄する工程を含まず、さらに好ましくは、そして工程(3)の後で、基体を洗浄する工程を含む。放射線分解性ポリマー、溶媒及び基体等の具体例や、各工程の具体的な態様は、上記のとおりである。
限定されない。
下記合成例に示す重量平均分子量はGel Filtration Chromatography(以下、GFCと略称する)による測定結果である。測定条件等は次のとおりである。
(測定条件)
・装置:Prominence(島津製作所製)
・GFCカラム:TSKgel GMPWXL (7.8mmI.D.×30cm)×2本
・流速:1.0 ml/min
・溶離液:イオン性水溶液
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・注入濃度:ポリマー固形分0.1質量%
・注入量:100 uL
・検量線:三次近似曲線
・標準試料:ポリエチレンオキサイド(Agilent社製)×10種
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gに純水12.40gを加え十分に溶解した。次いで、エタノール12.40g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル4.12g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.10gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水471.13g、エタノール37.20gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約2質量%の放射線分解性ポリマー含有ワニス506.05gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約810,000であった。
半導体評価用の市販のシリコンウエハをそのまま用いた。
バーコート法により作成された、市販のポリエーテルスルホン(PES)のフィルム(約0.1mm)を約1cm角にカットしたものをPESフィルムとした。
Au蒸着された水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン株式会社製)を用いて10分間洗浄し、直後に1−デカンチオール(東京化成工業(株)製)0.1012gをエタノール100mlに溶解した溶液中に24時間浸漬した。エタノールでセンサー表面を洗浄後自然乾燥し、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)(Aldrich社製)1.00gを1,1,2,2−テトラクロロエタン99.00gに溶解したワニスをスピンコーターにて3500rpm/30secで膜センサー側にスピンコートし、205℃/1min乾燥することでQCMセンサー(PES)とした。
上記合成例1で得られた放射線分解性ポリマー体含有ワニス1.00gに、純水5.10g、エタノール0.57gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成組成物を調製した。得られたコーティング膜形成組成物中に、上記PESフィルム又はシリコンウェハをディップし、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたPESフィルム又はシリコンウェハを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ65Åであった。
また、上記コーティング膜形成組成物を3500rpm/30secでQCMセンサー(PES)にスピンコートし、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、表面処理済みQCMセンサー(PES)とした。
上記合成例1で得られた放射線分解性ポリマー含有ワニス1.00gに、純水5.10g、エタノール0.57gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成組成物を調製した。得られたコーティング膜形成組成物中に、上記PESフィルム又はシリコンウェハをディップし、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ313Åであった。
コーティング膜調製例2によってコーティング済みのPESフィルム、シリコンウェハを遮光・防湿・酸素バリヤー性を持つアルミ/PETラミネートフィルムからなるチャック付ガス不透過性包装容器(製品名;ラミジップAL−22、生産日本社製)に入れ、大気雰囲気下で密封し、約24時間以上放置してからガンマ線を15kGy照射し滅菌を行った。
その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたコーティング済みのPESフィルム、シリコンウェハを得た。
コーティング膜調製例1によってコーティング済みのPESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを遮光・防湿・酸素バリヤー性を持つアルミ/PETラミネートフィルムからなるチャック付ガス不透過性包装容器(製品名;ラミジップAL−22、生産日本社製)に入れ、大気雰囲気下で密封し、約24時間以上放置してからガンマ線を15kGy照射し滅菌を行った。
その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたコーティング済みのPESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを得た。
コーティングをしなかったPESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを遮光・防湿・酸素バリヤー性を持つアルミ/PETラミネートフィルムからなるチャック付ガス不透過性包装容器(製品名;ラミジップAL−22、生産日本社製)に入れ、大気雰囲気下で密封した。
その後、表面に付着している不純物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、PESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを得た。
コーティング膜調製例1によってコーティング済みのPESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを遮光・防湿・酸素バリヤー性を持つアルミ/PETラミネートフィルムからなるチャック付ガス不透過性包装容器(製品名;ラミジップAL−22、生産日本社製)に入れ、大気雰囲気下で密封した。
その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたコーティング済みのPESフィルム、QCMセンサー(PES)、シリコンウェハを得た。
(血小板溶液の調製)
3.8質量%クエン酸ナトリウム溶液0.5mLに対して、健康なボランティアより採血した血液4.5mLを混和した後、遠心分離にて[冷却遠心機5900((株)久保田製作所製)、1000rpm/10分、室温]上層の多血小板血漿(PRP)を回収した。引き続き、下層について遠心分離を行い(上記遠心機、3500rpm/10分、室温)、上層の乏血小板血漿(PPP)を回収した。多項目自動赤血球分析装置(XT−2000i、シスメックス(株)製)にてPRPの血小板数を計測後、PPPを用いてPRPの血小板濃度が30×104cells/μLになるように調製した。
各実施例、比較例及び参考例のPESフィルム又はシリコンウェハを24穴平底マイクロプレート(コーニング社製)に配置した。これらの基板を配置したプレートのウェル内に、上記血小板濃度に調製したPRP溶液300μLを添加した。5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃で24時間、CO2インキュベーター内にて静置した。所定の静置時間が経過した後、プレート内のPRPを除き、PBS3mLにて5回洗浄した。その後、2.5体積%グルタルアルデヒドのPBS溶液2mLを添加し、4℃で一昼夜静置後、グルタルアルデヒドのPBS溶液を除き、超純水(Milli−Q水)3mLで5回洗浄した。さらに、70%エタノール水(v/v)1mLで3回洗浄し、風乾した。
上記血小板付着実験を行った各実施例、比較例及び参考例のPESフィルム又はシリコンウェハに、イオンスパッター(E−1030、(株)日立ハイテクノロジーズ製)にてPt−Pdを1分間蒸着した。その後、電子顕微鏡(S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)にて血小板の付着を1,000倍で観察した。電子顕微鏡にてガラス基板の中心部から半径2mm以内5箇所の血小板付着数を計測した。各箇所の計測値を平均することで血小板付着数とした。その結果を下記表1に示す。
各実施例、比較例及び参考例によって表面処理されたPESセンサーを散逸型水晶振動子マイクロバランスQCM−D(E4、Q−Sense社製)に取り付け、周波数の変化が1時間で1Hz以下となる安定したベースラインを確立するまでPBSを流した。次に、安定したベースラインの周波数を0Hzとして約10分間PBSを流した。引き続き、フィブリノゲン、ヒト血漿由来(和光純薬工業(株)社製)又はフィブロネクチン、ヒト血漿由来(シグマ・アルドリッチ社製)をPBSで100μg/mlに希釈した溶液を約30分流し、その後再びPBSを約20分流した後の11次オーバートーンの吸着誘起周波数のシフト(Δf)を読み取った。分析のためにQ−Tools(Q−Sense社製)を使用して、吸着誘起周波数のシフト(Δf)を、Sauerbrey式で説明される吸着誘起周波数のシフト(Δf)を単位面積当たりの質量(ng/cm2)と換算したものを生体物質の付着量として表1に示す。
Claims (8)
- (1)放射線分解性ポリマーと、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を基体に塗布する工程;
(2)基体を−200℃乃至180℃で乾燥させ、コーティング膜を形成する工程;及び、
(3)基体を線量10〜20kGyの放射線による滅菌に付す工程、
を含み、かつ工程(1)〜(3)が順次実施される、生体物質の付着抑制能を有する滅菌済コーティング膜の製法であって、
放射線分解性ポリマーが、(メタ)アクリル酸及びそのエステル;酢酸ビニル;ビニルピロリドン;エチレン;ビニルアルコール;並びにそれらの親水性の官能性誘導体からなる群より選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和モノマーの重合体であり、
工程(2)の後で、かつ工程(3)の前に、基体を洗浄する工程を含まず、かつ工程(3)に付す前のコーティング膜厚が、500〜50Åの範囲にある、製法。 - 放射線分解性ポリマーが、(メタ)アクリル酸及びそのエステル;並びにそれらの親水性の官能性誘導体からなる群より選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和モノマーの重合体である、請求項1に記載の製法。
- 親水性の官能性誘導体の親水性官能性基が、リン酸、ホスホン酸及びそれらのエステル構造;ベタイン構造;アミド構造;アルキレングリコール残基;アミノ基;並びにスルフィニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の製法。
- 親水性の官能性誘導体の親水性官能性基が、リン酸、ホスホン酸及びそれらのエステル構造;並びにベタイン構造からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2又は3に記載の製法。
- ベタイン構造が、第4級アンモニウム型の陽イオン構造と、酸性の陰イオン構造との両性中心を持つ化合物の一価又は二価の基を意味する、請求項3又は4に記載の製法。
- 放射線分解性ポリマーが、下記式(a1)及び式(b1):
(式中、
Ta、Tb、Ua1、Ua2、Ub1、Ub2及びUb3は、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基で置換されていてもよい炭素原子数1乃至5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Qa及びQbは、それぞれ独立して、単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖又は分岐アルキレン基を表し、An−は、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表し、mは、0乃至6の整数を表す)
で表される繰り返し単位を含む、請求項1に記載の製法。
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