JP2023148930A - 親水化処理剤および親水化物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】水媒体への溶出性が低く、初期水濡れ性の高い生体適合性被膜を形成することができる親水化処理剤を提供すること。【解決手段】メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメントと、式(1)に記載のホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメントとを有するブロック共重合体を含有する親水化処理剤。【化1】TIFF2023148930000013.tif30134(上記式(1)中、R1は水素原子あるいはメチル基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、初期水濡れ性の高い生体適合性被膜を形成する非水溶性のブロック共重合体を含有してなる親水化処理剤、および当該親水化処理剤から形成される親水化被膜を有する親水化物品に関する。
細胞膜を構成するリン脂質と同じ極性基を有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと略す場合がある)に基づく構成単位を含む重合体は、血液適合性に代表される優れた生体親和性を有するために、医療器具の表面処理剤として広く用いられている。具体的には、人工心臓、人工肺、人工血管、コンタクトレンズ等の各種医療機器への表面処理剤に応用されている(非特許文献1)。このような表面処理剤として用いられているホスホリルコリン基含有重合体の多くは、重合体を基材表面に対して物理吸着させることで基材表面を生体親和性表面に改質するために用いられる。被膜層の溶出を防ぐために、生体適合性を示す範囲において、ホスホリルコリン基含有重合体の共重合組成や分子量が設計されている(特許文献1)。
特開平3-39309号公報
石原一彦,「医療の森:明日への展望(2):医療用新素材『MPCポリマー』」,MMJthe Mainichi Medical Journal誌,2010年,第6巻,第2号、p68-70
上記特許文献1記載の非水溶性のホスホリルコリン基含有ランダム重合体は、高い生体適合性を有しているものの、水媒体への溶出性を下げるために疎水性モノマーの含有量が多く、さらに分子量も高く設計されている。また、当該重合体はランダム共重合体である。そのために、前記重合体で形成された被膜は初期水濡れ性が低く、初期水濡れ性が必要とされる分野においては使用されていなかった。
本発明の課題は、水媒体への溶出性が低く、初期水濡れ性の高い生体適合性被膜を形成することができる親水化処理剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位と、ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位とを有するブロック共重合体を含有してなる親水化処理剤が上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕~〔2〕である。
〔1〕メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメントと、式(1)に記載のホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメントとを有するブロック共重合体を含有する親水化処理剤。
Figure 2023148930000001
(上記式(1)中、Rは水素原子あるいはメチル基を示す。)
〔2〕基材上に、〔1〕に記載の親水化処理剤から形成される親水化被膜を有することを特徴とする親水化物品。
本発明の親水化処理剤は、水媒体への溶出性が低く、初期水濡れ性の高い生体適合性被膜を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
〔ブロック共重合体(P)〕
本発明の親水化処理剤は、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)からなる疎水性セグメントと、ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)からなる親水性セグメントとを有するブロック共重合体(P)を含有してなる。
ブロック共重合体(P)中のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)のにより、非水溶性のブロック共重合体とすることができる。さらに、構成単位(A)の含有量、分子量、アルキル基の種類当によって水媒体への溶出性等を微調整してもよい。ブロック共重合体(P)は、構成単位(A)を含むことにより、疎水性モノマーの比率を低くしても水媒体への溶出性を低くすることができる。また、ブロック共重合体(P)は、下記疎水性セグメントおよび親水性セグメントを有するブロック共重合体であるため、ブロック共重合体(P)から形成された被膜の初期水濡れ性を高めることができる。
〔アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメント〕
ブロック共重合体(P)は、アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメントを共重合体構造中に含む。アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)が有するアルキル基は、基材表面との疎水性相互作用によりブロック共重合体(P)を基材表面に吸着させることができる。そのため、アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を共重合体(P)中に導入することで、共重合体(P)を基材表面に疎水性相互作用により吸着させ、基材を表面処理することができる。アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)は下記式(2)で表され、より具体的には下記式(2’)で表される単量体の重合によって得られる。
Figure 2023148930000002
Figure 2023148930000003
上記式(2)及び式(2’)中、Rはメチル基、tert-ブチル基、またはイソボルニル基を示す。
ブロック共重合体(P)におけるアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を構成する代表的な単量体としては、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、好ましくはメチルメタクリレートおよびイソボルニルメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの単量体に基づくブロック共重合体(P)を親水化処理剤に用いることで、水媒体への溶出性が低く、初期水濡れ性の高い生体適合性被膜を得ることができる。また、アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメントは、本発明の効果を著しく低下させない範囲において、上記以外の単量体を含んでいてもよい。
疎水性セグメントにおけるアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)の含有量は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制する観点から、疎水性セグメントの全質量に対して60~100質量%であり、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
ブロック共重合体(P)におけるアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)の含有量は、水への溶解性を低下させ、基材表面への密着性を向上させる観点から、ブロック共重合体(P)の全質量に対して、好ましくは5~90質量%であり、より好ましくは30~60質量%、さらに好ましくは40~50質量%である。構成単位(A)の含有量をより多くすることで、ブロック共重合体(P)を非水溶性とすることができ、構成単位(A)の含有量をより少なくすることで、ブロック共重合体(P)に生体適合性を付与しやすくすることができる。
疎水性セグメントの重量平均分子量は、水への溶解性を低下させ、基材への吸着量を向上させる観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上である。疎水性セグメントの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、200,000以下、好ましくは、20,000以下とすることができる。なお、ブロック共重合体(P)が複数個の疎水性セグメントを有する場合、上記疎水性セグメントの重量平均分子量は、すべての疎水性セグメントの重量平均分子量の合計値である。
〔ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメント〕
ブロック共重合体(P)は、ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメントを共重合体構造中に含む。ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制することができる。ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)は下記式(3)で表され、より具体的には式(3’)で表される単量体の重合によって得られる。
Figure 2023148930000004
Figure 2023148930000005
上記式(3)及び式(3’)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。
ブロック共重合体(P)におけるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)の代表的な単量体としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。また、ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメントは、所望の親水性を示す範囲において、上記以外の単量体を含んでいてもよい。
親水性セグメントにおけるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)の含有量は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制する観点から、親水性セグメントの全質量に対して60~100質量%であり、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%であり、最も好ましくは、100質量%である。
ブロック共重合体(P)におけるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)の含有量は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制する観点から、ブロック共重合体(P)の全質量に対して、好ましくは10~95質量%であり、より好ましくは40~70質量%、さらに好ましくは50~60質量%である。
また、ブロック共重合体(P)におけるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)の含有量は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制する観点から、ブロック共重合体(P)を構成擦る単量体の全モル数に対して、好ましくは10~95モル%であり、より好ましくは15~60モル%、さらに好ましくは20~40モル%である。
親水性セグメントの重量平均分子量は、基材表面の親水性を向上させ、かつ生体成分の吸着を抑制する観点から、5,000以上、好ましくは10,000以上である。親水性セグメントの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、500,000以下、好ましくは、20,000以下とすることができる。なお、ブロック共重合体(P)が複数個の親水性セグメントを有する場合、上記親水性セグメントの重量平均分子量は、すべての親水性セグメントの重量平均分子量の合計値である。
ブロック共重合体(P)は、本発明の効果を著しく低下させない範囲において、アルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメント、ホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメント以外の構成単位を含有することができる。
ブロック共重合体(P)の重量平均分子量は、好ましくは10,000~1,000,000の範囲であり、より好ましくは10,000~700,000であり、さらに好ましくは30,000~70,000である。重量平均分子量をより高くすると、ポリマーの精製がより容易であり、高すぎない範囲にすると、製造時の粘性が高くなりすぎず、取り扱いが容易である。また、ブロック共重合体(P)は、重量平均分子量を低くしても水媒体への溶出性が低いため、重量平均分子量の調整の幅が広く、親水化処理剤の組成等の設計をより柔軟に行うことを可能とする。
〔ブロック共重合体の製造方法〕
本発明において使用される各ブロックの製造方法は、とくに制限されず、公知の方法により製造することができるが、例えば精密ラジカル重合により製造される。精密ラジカル重合法としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)法、ヨウ素移動ラジカル重合法、ニトロキシ媒介重合(NMP)法、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法、可逆的連鎖移動触媒重合(RTCP)法等が挙げられる。
2種類のブロックからなるブロック共重合体の場合、例えば、第1のブロックを重合する工程と、第2のブロックを重合する工程を組み合わせることによりブロック共重合体を得ることができる。具体的には、第1のブロックを重合した後に、第1のブロック重合体をマクロ開始剤とし、第2のブロックを重合することにより、ブロック共重合体を得ることができる。第2のブロックを重合する際、第1の重合体は、単離精製したものを用いてもよいし、第1の重合体を単離精製せずに、第1の重合体の重合途中あるいは完結時に、第1の重合体の重合液に第2の単量体を添加することにより、ブロック共重合体を得ることもできる。
〔親水化処理剤〕
本発明の親水化処理剤は、ブロック共重合体(P)を含有し、ブロック共重合体(P)が溶解可能な適当な溶媒、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、もしくはこれらを混合したものを含んでいてもよい。
本発明の表面処理剤は、ブロック共重合体(P)を含有してなる。本発明の表面処理剤中のブロック共重合体(P)の含有量は、表面処理剤の全質量に対して、好ましくは0.01~20質量%の範囲である。ブロック共重合体(P)の濃度が0.01質量%以上であれば、基材表面に十分にブロック共重合体を固定化しやすい。また、20質量%以下であれば基材表面に均一な厚さのブロック共重合体の被膜(親水化被膜)を形成させやすい。
本発明の表面処理剤は、ブロック共重合体(P)以外に初期水濡れ性や生体成分の吸着抑制能に悪影響を与えない範囲において、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムやベンザルコニウム塩化物等)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、モノオレイン酸ソルビタン、スクワラン、ラウリル硫酸ナトリウム等)、ブロック共重合体(P)以外の親水性共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等)、湿潤剤(例えば、濃グリセリン、メチルセルロース、ヒアルロン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単独重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸n-ブチル共重合体、流動パラフィン等)、アミノ酸(例えば、インドメタシン、デキサメタゾン等)、血液抗凝固剤(例えば、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、アセチルサリチル酸、ウロキナーゼ、ワーファリン等)、抗がん剤(例えば、タキソール、ロイスタチン、アドリアシン、ブレオマイシン、イマチニブ等)、抗生物質(例えば、カナマイシン、ストレプトマイシン、ポリミキシンB等)、吸収促進剤(例えば、カプリン酸ナトリウム等)、安定化剤(例えば、クエン酸カルシウム、天然ビタミンE,ヒト血清アルブミンやデキストラン等)、放射線吸収剤(例えば、バリウム、銀、スズ、白金、金、ジルコニウム等)の金属、およびこれら金属を含む硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の化合物)および上記以外の各種化合物が配合されてもよい。
本発明の表面処理剤の基材への表面処理方法はとくに限定されない。例えば、スピンコート法、スプレーコート法、キャストコート法、ディップコート法、ロールコート法、フローコート法などを用いることが可能である。
本発明に用いる基材としては、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ナイロン、シリコーン、セルロース、酢酸セルロース、ポリスルホン、フッ素樹脂などの各種プラスチック素材が挙げられる。
プラスチック素材の他には、金属材料としては、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、スズ、チタン、あるいはニッケル-チタン合金、ニッケル-コバルト合金、コバルト-クロム合金、亜鉛-タングステン合金等の各種合金などが挙げられる。
また、基材の形状としてはとくに限定されるものではないが、具体的には、膜(フィルム)状、プレート状、粒子状、多孔状、ゲル状、さらには、試験管状、バイアル瓶形状、チューブ形状およびフラスコ形状等を例示することができる。
本発明の親水化処理剤により形成された親水化被膜を有する親水化物品は、例えば、ウェルの微細な培養容器やマイクロ流路デバイスをはじめとした初期水濡れ性と高い生体適合性が求められる用途に使用することができる。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。なお、合成例における重量平均分子量の測定は、以下に示す方法に従って実施した。
1.共重合体の合成
<ブロック共重合体(P)の重量平均分子量>
カラム:TSKgel SuperAW4000、5000、6000直列(東ソー製)、移動相:10 mM トリフルオロ酢酸ナトリウムを含むトリフルオロエタノール、標準物質:ポリメチルメタクリレート(PMMA)(アジレント・テクノロジー製)、検出:示差屈折計、重量平均分子量(M)の算出:分子量計プログラム(SC-8020用GPCプログラム)、流速:0.3mL/分、カラム温度:40℃、試料溶液注入量:100μL、測定時間:60分間
<比較例5の共重合体の重量平均分子量>
カラム:PLgel 5μm MIXED-C×2直列(アジレント・テクノロジー製)、移動相:0.5質量%臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(6/4(体積比))混合溶媒、標準物質:ポリメチルメタクリレート(PMMA)(アジレント・テクノロジー製)、検出:示差屈折計、重量平均分子量(M)の算出:分子量計プログラム(SC-8020用GPCプログラム)、流速:1.0mL/分、カラム温度:40℃、試料溶液注入量:100μL、測定時間:30分間
〔実施例1の共重合体の合成例〕
(工程1)
メチルメタクリレート(MMA) 10.00 g(0.10 mol)、ベンゾジチオ酸2-シアノ-2-プロピル(CPDB) 0.0922 g(0.33 mmol)をトルエン 18.22 gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4ツ口ナスフラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でアゾイソブチロニトリル(AIBN)の0.34wt%トルエン溶液 5.0171 g(0.10 mmol)加えて反応を開始した。MMAが50%転化されたことを確認後、反応溶液に空気を吹き込みながら氷冷し、重合を終了した。次いで、メタノールへの沈殿精製によりMMAブロックを有する重合体を得た。
(工程2)
工程1で得られた重合体 1.00gを2-メタクリロイルオキシエチル-2-トリエチルアンモニオエチルホスフェート(MPC) 6.88 g(0.023 mol)をエトキシエタノール(EtOEtOH)/N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒(EtOEtOH/DMF=6:4(重量比)) 29.52 gに溶解し、温度計と冷却管を付けた300mLの4ツ口ナスフラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でAIBNの0.34wt%TFEtOH溶液 2.0068 g(0.041 mmol)を加えて24時間反応させた後、反応溶液に空気を吹き込みながら氷冷し、重合を終了した。次いで、アセトンへの沈殿精製によりMMA及びMPCを有するブロック共重合体P1を得た。
〔実施例2~6の共重合体の合成例〕
MMAとMPCの仕込み組成を表1~表3に示すように変更し、合成例1と同様の手順でブロック共重合体P2~P6を合成した。
〔実施例7~9の共重合体の合成例〕
実施例1におけるMMAをtert-ブチルメタクリレート(tBMA)、イソボルニルメタクリレート(IbMA)に変更し、さらに、仕込み組成を表1~表3に示すように変更し、実施例1と同様の手順でブロック共重合体P7~P9を合成した。
〔比較例1の共重合体の合成例〕
MMA 1.27 g(0.013 mol)、MPC 8.73 g(0.030 mol)、CPDB 0.0221 g(0.10 mmol)をエタノール 18.30 gに溶解し、温度計と冷却管を付けた50mLの3ツ口ナスフラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、60℃でアゾイソブチロニトリル(AIBN)の0.16wt%トルエン溶液 5.0082 g(0.050 mmol)加えて24時間反応させた後、反応溶液に空気を吹き込みながら氷冷し、重合を終了した。次いで、アセトンへの沈殿精製によりMMAとMPCを有する共重合体P10を得た。
〔比較例2~4の共重合体の合成例〕
比較例2におけるMMAをIbMA、tBMAに変更、あるいはMPCのみを用い、さらに、仕込み組成を表4~表5に示すように変更し、比較例1と同様の手順で共重合体P11~P13を合成した。
〔比較例5の共重合体の合成例〕
MPC 23.50 g(0.080mol)、メタクリル酸n-ブチル(nBMA)26.50 g(0.186mol)(MPC/nBMA=3/7(モル比))をエタノール75.00 gに溶解し、温度計、攪拌機および還流冷却管を付けた200mLの4ツ口フラスコに入れて30分間窒素を吹き込んだ。その後、55℃でアゾビスイソブチロニトリル 0.41 gを加えて24時間反応させた。H NMRにおける各単量体の二重結合のピークの消失から、各単量体の定量的な反応を確認した。反応後、アセトンを用いて沈殿精製し、共重合体P14を得た。
〔比較例7~9の共重合体の合成例〕
合成例1におけるMMAをBMAに変更、さらに仕込み組成を表6に示すように変更し、合成例1と同様の手順で共重合体P15~P17を合成した。
2.共重合体の評価
<表面処理剤を塗布した初期水濡れ性の評価>
(基板プレート)
縦10mm、横150mm、厚さ2mmからなるポリスチレン基板を準備し、エタノールに浸漬して30分間超音波洗浄し、乾燥したものを基板プレートとした。
(実施例1)
合成例1で得られたブロック共重合体P1を用いて、共重合体濃度0.5質量%のエタノール溶液を調製した。基板プレートを該エタノール溶液に30秒浸漬し、軽く振って余剰の該溶液を除去後、50℃の乾燥機で乾燥させた。乾燥後、液滴法により3秒後の接触角(小さいほど初期水濡れ性が高い)を動的接触角測定器(協和界面科学社、製品名:Dropmaster500)を用いて測定して、洗浄前の接触角とした。測定後、水に浸漬し、37℃恒温器で12時間静置後抜き取り、再度50度乾燥機で乾燥させた。乾燥後、液滴法により3秒後の接触角を測定して、洗浄後の接触角とした。それぞれの接触角について5回測定の平均値を評価に用いた。接触角が小さいほど、水濡れ性が高いことを示す。
(実施例2~9)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P2~P9を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
(比較例1~5)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P10~P14を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
(比較例6)
実施例1で共重合体P1の代わりに水を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
(比較例7~9)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P15~P17を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
<表面処理剤を塗布した蛋白質吸着抑制能の評価>
実施例1で得た共重合体P1をエタノールに、その濃度が0.5質量%となるように溶解して、表面処理剤溶液1を調製した。
表面処理剤溶液1を200μL/ウェル加え、アスピレート後、50℃乾燥機で3時間乾燥させた。DULBECCO’S PHOSPHATE BUFFERED SALINE(-)(以下、PBSとする)を200μL/ウェル加え、37℃恒温器で12時間静置後、アスピレートし、さらに、PBSを200μL/ウェル加え、除去する操作を3回実施した。PBSで12000倍希釈したHRP標識IgG(BioRad社製)を100μL/ウェル加え、室温にて1時間静置した。ウェル内のHRP標識IgG溶液を除去し、0.05%Tween20の入ったPBSを200μL/ウェル加え、除去する洗浄工程を4回繰り返した。洗浄後に、HRP用発色液(KPL社製)を100μL/ウェル加え、室温にて10分間反応させ、10分後に2N硫酸を50μL/ウェル加えることで反応を停止させ、マイクロプレートリーダー(Molecular Device社製)を用いて450nmの吸光度を測定することでウェル内に吸着したタンパク質を検出した。吸光度は5回測定の平均値を用いた。吸光度が小さいほどタンパク質の吸着が抑制されていることを示す。
蛋白質吸着抑制効果は、実施例1の吸光度と下記の比較例6の吸光度とから下記式で算出する相対的な蛋白質吸着率により評価した。すなわち、実施例1のプレートへの蛋白質吸着率を、比較例6のプレートへの蛋白質吸着率を100%としたときの相対吸着率で評価した。
(実施例1の吸光度)/(比較例6の吸光度)×100 (%)
(実施例2~9)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P2~P9を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
(比較例1~5、7~9)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P10~P14を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
(比較例6)
表面処理剤溶液の代わりに、共重合体を溶解していないPBSを用いた以外は実施例と同様にして免疫測定反応を行い、実施例1と同様に吸光度を測定した。結果を表に示す。比較例6のタンパク質吸着率を100%とする。
(比較例7~9)
実施例1で共重合体P1の代わりに共重合体P15~P17を用いた以外、同様の操作で実験を行った。
結果を表1~表6に示す。
Figure 2023148930000006
Figure 2023148930000007
Figure 2023148930000008
Figure 2023148930000009
Figure 2023148930000010
Figure 2023148930000011
表1~表3から明らかなように、実施例1~9の共重合体の被膜を基材表面に形成させることで、接触角は比較例6(未処理の基板プレート)と比較して小さい値を示し、初期水濡れ性が改善されたことが確認された。また、水への浸漬洗浄後においても、接触角は浸漬洗浄前と同等の値を示したことから、水への浸漬洗浄により共重合体の被膜が溶出することなく、残存していることが確認された。
一方、表4~表5から明らかなように、比較例1~5では、浸漬洗浄後において、比較例6(未処理の基板プレート)と近い値を示したことから、水への浸漬洗浄により共重合体の被膜が溶出し、水濡れ性が維持されないことが確認された。また、比較例5では、評価に使用した共重合体の分子量が大きく、非水溶性であるために浸漬洗浄前後において接触角に変化はみられなかったが、いずれの接触角も115°前後となり、実施例と比較して初期水濡れ性が低い結果となった。
また、表6から明らかなように、比較例7~9では、初期水濡れ性が低く、かつ疎水性セグメントのガラス転移温度が低いため乾燥時に基材表面に疎水性セグメントが偏析しやすく、水濡れ性が維持されない傾向が見られた。
これらの結果より、本発明の医療機器用表面処理剤は、水への溶出性が低く、初期水濡れ性の高い生体親和性被膜を形成できることが確認された。
また、表1~表3から明らかなように、実施例1~9の共重合体の被膜を基材表面に形成させることで、PBSを用いた浸漬洗浄後においても、蛋白質(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ標識IgG)の吸着を抑制する基材表面を形成できたことを確認した。
また、表4~表5から明らかなように、比較例1~4においては、水溶性の重合体であるため、PBSを用いた浸漬洗浄工程により共重合体が洗い流されてしまい、蛋白質が吸着してしまう結果となった。
以上の結果より、本発明の表面処理剤は、基材表面への共重合体の吸着層の形成により、基材表面に生体適合性(蛋白質が吸着できない性能)を付与できることを確認した。
水への溶出が低く、初期水濡れ性の高い生体親和性被膜を形成する表面処理剤を提供する。

Claims (2)

  1. メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種のアルキル基含有メタクリレートに基づく構成単位(A)を含む疎水性セグメントと、式(1)に記載のホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートに基づく構成単位(B)を含む親水性セグメントとを有するブロック共重合体を含有する、親水化処理剤。
    Figure 2023148930000012
    (上記式(1)中、Rは水素原子あるいはメチル基を示す。)
  2. 基材上に、請求項1に記載の親水化処理剤から形成される親水化被膜を有する、親水化物品。

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