JP6962260B2 - 硫化物固体電解質粒子の製造方法 - Google Patents

硫化物固体電解質粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は硫化物固体電解質粒子の製造方法に関する。
硫化物固体電解質は、高いLiイオン伝導度を有することから、全固体リチウムイオン電池の電極や固体電解質層の材料として用いられている。
例えば、特許文献1には、リン片形状を有する硫化物固体電解質が開示されている。リン片形状を有する硫化物固体電解質を用いることにより、固体電解質層を薄膜化が可能である旨記載されている。
特許文献2には、平均粒径が0.1〜10μmである硫化物系固体電解質微粒子及びその製造方法が記載されている。
特開2012−129150号公報 特開2008−004459号公報
硫化物固体電解質は、メカニカルミリング法により粉砕し微粒子化する場合に、粉砕エネルギーが強いと扁平形状となる特性を有する。このような性質を利用することで、特許文献1では、リン片形状を有する硫化物固体電解質を製造している。
しかしながら、本研究者らは、扁平形状の硫化物固体電解質粒子を負極や正極の材料として用いると、電極中で導電材や電極活物質が扁平形状の硫化物固体電解質粒子表面に偏在し、容量維持率などに影響を及ぼす場合があることを知見した。扁平形状の硫化物固体電解質粒子は、球状の硫化物固体電解質粒子と比較して、体積あたりの表面積が大きくなることが原因であると考えられる。そのため、扁平形状の硫化物固体電解質粒子と球状の硫化物固体電解質粒子を作り分ける技術が求められていた。
しかし、上述のように硫化物固体電解質は粉砕エネルギーが強いと扁平化してしまうため、球状の硫化物固体電解質粒子を得るためには弱い粉砕エネルギーで粉砕する必要があるが、弱い粉砕エネルギーで微細な球状の硫化物固体電解質粒子を得るためには長い時間をかけて粉砕する必要が生じるため、効率よく球状の硫化物固体電解質粒子を製造することができなかった。
本開示は、上記実情を鑑みなされたものであって、効率よく微細な球状の硫化物固体電解質粒子を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本開示の硫化物固体電解質粒子の製造方法は、
硫化物固体電解質材料を準備する工程と、
前記硫化物固体電解質材料を、メカニカルミリング法で破砕して、扁平形状の粒子を得る第一粉砕工程と、
前記扁平形状の粒子を、メカニカルミリング法で破砕して、球状の硫化物固体電解質粒子を得る第二粉砕工程と、を備え、
前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))を1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たすことを特徴とする。
本開示の製造方法において、前記第一粉砕工程で得られる扁平形状の粗粒子の個数平均粒子径(D50)が2.0μm以下であり、前記第二粉砕工程で得られる硫化物固体電解質粒子の個数平均粒子径(D50)が1.0μm以下であってもよい。
本開示の製造方法において、前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーAが3.0×10−7〜1.0×10−5(J)の範囲であり、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーBが1.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲であってもよい。
本開示の製造方法において、前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーAが3.0×10−7〜1.0×10−5(J)の範囲であり、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーBが1.0×10−8〜3.5×10−7(J)の範囲であり、且つ、当該第二粉砕工程における粉砕温度が40℃以上であってもよい。
本開示によれば、効率よく微細な球状の硫化物固体電解質粒子を得ることができる製造方法を提供することができる。
25℃におけるメディア1個あたりのエネルギーと得られる硫化物固体電解質粒子の値Xとの関係を示すグラフである。 実施例1、実施例2、及び、比較例1の製造方法の合計粉砕時間と粒子径との関係を示すグラフである。 実施例1、実施例2、及び、比較例1の製造方法の合計粉砕時間とBET比表面積との関係を示すグラフである。 実施例1の製造方法の各工程終了後の硫化物固体電解質のSEM観察画像である。 比較例1の製造方法の各粉砕時間の硫化物固体電解質のSEM観察画像である。
本開示の硫化物固体電解質粒子の製造方法は、
硫化物固体電解質材料を準備する工程と、
前記硫化物固体電解質材料を、メカニカルミリング法で破砕して、扁平形状の粒子を得る第一粉砕工程と、
前記扁平形状の粒子を、メカニカルミリング法で破砕して、球状の硫化物固体電解質粒子を得る第二粉砕工程と、を備え、
前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))を1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たすことを特徴とする。
上述のように、硫化物固体電解質は、メカニカルミリング法を用いて、強い粉砕エネルギーで微細化すると扁平形状になるという素材特性を有するため、体積あたりの表面積が小さい球状の硫化物固体電解質微粒子を得るためには、弱い粉砕エネルギーで長時間かけて粉砕する必要があった。
本開示の製造方法では、メカニカルミリング法による粉砕工程を2段階に分けて、第一工程で、硫化物固体電解質の粒子が扁平形状となるような強いエネルギーで粉砕し、第二工程で、弱いエネルギーで扁平形状の粒子を粉砕して球状の微粒子を得ることで、従来よりも短時間で、効率よく硫化物固体電解質の球状微粒子を得ることが可能となった。
以下、本開示の製造方法及び本開示の製造方法により得られる硫化物固体電解質粒子に分けて説明する。
1.硫化物固体電解質粒子の製造方法
(1)硫化物固体電解質材料の準備工程
本開示の製造方法では、目的とする硫化物固体電解質粒子を製造するために、硫化物固体電解質の材料を準備する。上述のように、硫化物固体電解質は展延性を有するため、強い運動エネルギーで粉砕すると、扁平な形状となる特徴がある。
本開示の製造方法に用いられる硫化物固体電解質材料は、特に限定されるものではないが、通常は、伝導するイオンとなる金属元素(M)と、硫黄(S)とを含有するものである。上記Mとしては、例えばLi、Na、K、Mg、Ca等を挙げることができ、中でもLiが好ましい。全固体リチウム電池に有用な硫化物固体電解質材料とすることができるからである。特に、本開示の硫化物固体電解質材料は、Li、A(Aは、P、Si、Ge、Al、Bからなる群から選択される少なくとも一種である)、Sを含有することが好ましい。上記Aは、P(リン)であることが好ましい。さらに、本開示の硫化物固体電解質材料は、Cl、Br、I等のハロゲンを含有していても良い。ハロゲンを含有することにより、イオン伝導性が向上するからである。また、本開示の硫化物固体電解質材料はOを含有していても良い。
前記伝導するイオンとなる金属元素(M)がLiである硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiAO(ただし、x、yは正の数。Aは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材料を意味し、他の記載についても同様である。
また、本開示の硫化物固体電解質材料が、LiSおよびPを含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、例えば70mol%〜80mol%の範囲内であることが好ましく、72mol%〜78mol%の範囲内であることがより好ましく、74mol%〜76mol%の範囲内であることがさらに好ましい。オルト組成またはその近傍の組成を有する硫化物固体電解質材料とすることができ、化学的安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本開示においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当する。LiS−P系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。なお、上記原料組成物におけるPの代わりに、AlまたはBを用いる場合も、好ましい範囲は同様である。LiS−Al系ではLiAlSがオルト組成に該当し、LiS−B系ではLiBSがオルト組成に該当する。
また、本開示の硫化物固体電解質材料が、LiSおよびSiSを含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiSおよびSiSの合計に対するLiSの割合は、例えば60mol%〜72mol%の範囲内であることが好ましく、62mol%〜70mol%の範囲内であることがより好ましく、64mol%〜68mol%の範囲内であることがさらに好ましい。オルト組成またはその近傍の組成を有する硫化物固体電解質材料とすることができ、化学的安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。LiS−SiS系ではLiSiSがオルト組成に該当する。LiS−SiS系の硫化物固体電解質材料の場合、オルト組成を得るLiSおよびSiSの割合は、モル基準で、LiS:SiS=66.6:33.3である。なお、上記原料組成物におけるSiSの代わりに、GeSを用いる場合も、好ましい範囲は同様である。LiS−GeS系ではLiGeSがオルト組成に該当する。
また、本開示の硫化物固体電解質材料が、LiX(X=Cl、Br、I)を含有する原料組成物を用いてなるものである場合、LiXの割合は、例えば1mol%〜60mol%の範囲内であることが好ましく、5mol%〜50mol%の範囲内であることがより好ましく、10mol%〜40mol%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、本開示の硫化物固体電解質材料は、硫化物ガラスであっても良く、結晶化硫化物ガラスであっても良く、結晶質材料であっても良い。
本開示の製造方法では、このように準備した粗大、及び/又は、不均一な塊の状態である上記硫化物固体電解質材料を、以下の粉砕工程で微細化する。
(2)第一粉砕工程
本開示の製造方法の第一粉砕工程では、上述のように準備した硫化物固体電解質材料を、メカニカルミリング法で破砕して、扁平形状の粒子を得る。
メカニカルミリング法とは、固体に対して、ボールなどのメディアを用いる装置によって、攪拌することで、微細化する方法をいう。本開示の製造方法の第一粉砕工程では、上述のように準備した硫化物固体電解質材料とメディアを混合して、攪拌する方法であれば、乾式粉砕しても、湿式粉砕してもよいが、上述のように、硫化物固体電解質は展延性があり、メディアであるボールや容器の外壁等に付着しやすいため、湿式で粉砕することが好ましい。
本開示において、扁平形状とは、例えば、球体が押しつぶされた形状を示す。
扁平形状であるか否かを判断する指標に特に制限はなく、例えば、硫化物固体電解質粒子のメディアン径と電子顕微鏡で観察される平均短径を測定して、メディアン径が平均短径の3倍以上であることを扁平形状であることの指標としてもよいし、メディアン径が平均短径の5倍以上であることを扁平形状であることの指標としてもよいし、メディアン径が平均短径の8.7倍以上であることを扁平形状であることの指標としてもよい。
また、前記固体電解質粒子の下記式(1)より求められる値Xを扁平形状であることの指標としてもよい。
式(1) X=BET比表面積(m/g)×メディアン径;D50(μm)×密度(g/cm
本開示において、メディアン径とは、粒子の粒径を小さい順に並べた場合に、粒子の累積体積が全体積の半分(50%)となる径である。
値Xは、粒子の形状を表すパラメータであり、粒子の形状が真球である場合には、値Xは6.0となる。ここで、本開示において形状とは、粒子表面の細かな凸凹や内部に存在する開気孔なども含む形状を意味するものである。
例えば、値Xが25以上であることを扁平形状であることの指標としてもよいし、値Xが30以上であることを扁平形状であることの指標としてもよいし、値Xが40以上であることを扁平形状であることの指標としてもよい。
本開示の製造方法において、後述する第二粉砕工程で、効率的に目的とする球形で微細な硫化物固体電解質粒子を得ることができるため、第一粉砕工程で得られる扁平形状の粗粒子のメディアン径(D50)を2.0μm以下とすることが好ましい。
本開示の製造方法では、第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、後述する第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たすように粉砕する。
第一粉砕工程で、比較的強いエネルギーで粉砕することによって、扁平形状ではあるが、粒子径の小さい硫化物固体電解質粒子を短時間で得ることができる。
メディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))を求めるために用いられるパラメータであるmは、以下の計算式から得ることができる。
m=メディアの密度×メディア1個あたりの体積(cm
なお、上記式中メディア1個あたりの体積は以下の計算式により得ることができる。
メディア1個あたりの体積(cm)=4/3×π×(メディア半径(cm))
また、メディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))を求めるために用いられるパラメータであるvは、以下の計算式から得ることができる。
v=粉砕装置の周速
なお、遊星ボールミルを使用する場合にvは、以下の計算式から得ることができる。
v=d×π×R×α/1000/60
d:遊星ボールミルポットの内径[mm]
R:台盤回転数[rpm]
α:自公回転比[−]
このように得られるm及びvを1/2(mv)に代入して求められるメディア1個当たりの運動エネルギーは、メディア1個当たりの運動エネルギーの最大値を示すものであり、本開示の製造方法において、第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーAが3.0×10−7〜1.0×10−5(J)の範囲であることが好ましく、1.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲であることがより好ましい。
図1に特定のメディアン径となるまで25℃で粉砕した場合の、メディア1個当たりの運動エネルギーと値Xの関係を示す。図1に示すように、25℃においては、メディア1個当たりの運動エネルギーが1.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲では値Xは約6〜10の範囲であり、球状を保つが、3.0×10−7〜1.0×10−5(J)の範囲では値Xは約40〜68の範囲であり、扁平形状になることがわかる。
(3)第二粉砕工程
本開示の製造方法の第二粉砕工程では、第一粉砕工程で得られた扁平形状の硫化物固体電解質粒子をメカニカルミリング法で破砕して、微細、且つ、球状の硫化物固体電解質粒子を得る。本開示の製造方法の第二粉砕工程でも、第一工程と同様に、乾式粉砕しても、湿式粉砕してもよいが、湿式で粉砕することが好ましい。
本開示において、球状の粒子とは、真球に近い形状の粒子であることを示す。球状であるか否かを判断する指標にも特に制限はなく、例えば、硫化物固体電解質粒子のメディアン径と電子顕微鏡で観察される平均短径を測定して、メディアン径が平均短径の8倍以下であることを球状であることの指標としてもよいし、メディアン径が平均短径の3倍以下であることを球状であることの指標としてもよいし、メディアン径が平均短径の2.3倍以下であることを球状であることの指標としてもよい。
また、前記固体電解質粒子の上記式(1)より求められる値Xを球状であることの指標としてもよい。例えば、値Xが35以下であることを球状であることの指標としてもよいし、値Xが30以下であることを球状であることの指標としてもよいし、値Xが23以下であることを球状であることの指標としてもよい。
本開示の製造方法において、第二粉砕工程で得られる球状の硫化物固体電解質粒子のメディアン径(D50)を1.0μm以下とすることが好ましい。
本開示の製造方法では、前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たすように粉砕する。
第二粉砕工程で、比較的弱いエネルギーで粉砕することによって、第一粉砕工程で得られた扁平形状の粒子を、球状の硫化物固体電解質粒子とすることができる。
球状の硫化物固体電解質粒子を得るため図1に示すように、本開示の製造方法において、第二粉砕工程を加温することなく室温で実施する場合にはメディア1個当たりの運動エネルギーBを1.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲とすることが好ましく、4.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲とすることがより好ましい。
また、第二粉砕工程において、粉砕温度を40℃以上で実施することによって、メディア1個当たりの運動エネルギーBを1.0×10−8〜3.5×10−7(J)の範囲とすることができるため好ましい。
2.本開示の製造方法で得られる硫化物固体電解質粒子
本開示の製造方法で得られる硫化物個体電解質粒子は、粒子径が小さく、また、球状であるため、同一の粒子径を有する粒子の中では比表面積が小さい。そのため、例えば、電池材料として用いることによって、固体電池の電極中で、粒子が小さいという特性から硫化物固体電解質粒子同士の接点を多くすることが可能になり、また、比表面積が小さいという特性から、導電材や電極活物質などが、過度に硫化物固体電解質表面に偏在することを抑制することができる。
中でも、負極活物質としてSiの単体などに代表される合金系活物質を用いた負極では、充放電反応により負極活物質が膨張・収縮を繰り返すため、比表面積が大きい硫化物固体電解質粒子を用いると、導電材の密度が薄い部分で電子伝導パスが切れて、容量維持率が悪化するという問題が生じる。
そのため、本開示の製造方法で得られる比表面積が小さい硫化物固体電解質粒子は、特に負極活物質として合金系活物質を用いた固体電池に適している。
1.硫化物固体電解質の製造
A.メディア1個あたりの粉砕エネルギーの影響に関する検討
[実施例1]
(1)硫化物固体電解質材料の準備工程
15LiBr−10LiI−75(75LiS−25P)の組成で表される硫化物固体電解質材料を準備した。
(2)第一粉砕工程
Arガス雰囲気下、室温で、上記15LiBr−10LiI−75(75LiS−25P)の組成で表される硫化物固体電解質材料50g、ZrOボール(直径0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di−n−ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で1時間、湿式メカニカルミリングによる第一粉砕工程を行うことで硫化物電解質粒子のスラリーを得た。
(3)第二粉砕工程
第一粉砕工程で得られた硫化物電解質粒子のスラリーを、Arガス雰囲気下で、ジルコニア製のポットに投入し、密閉した。このジルコニア製のポットを遊星ボールミル(商品名:P−7、フリッチュ社製)にセットし、台盤回転数200rpmの条件で1時間、室温で湿式メカニカルミリングによる第二粉砕工程を行うことで実施例1の硫化物電解質粒子が含まれるスラリーを得た。
得られたスラリーはポットプレートを用いて、210℃で3時間乾燥することにより、溶媒を除去した。乾燥後さらに、210℃で3時間の熱処理することにより、実施例1の硫化物固体電解質粒子を得た。
[実施例2]
実施例1において、第一粉砕工程の湿式メカニカルミリングの時間を2時間としたこと以外は、実施例1と同様に、実施例2の硫化物固体電解質粒子を得た。
[比較例1]
実施例1において、第一粉砕工程の湿式メカニカルミリングの時間を4時間としたこと、及び、第二粉砕工程を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様に、比較例1の硫化物固体電解質粒子を得た。
[比較例2]
実施例1において、第一粉砕工程を実施しなかったこと、及び、第二粉砕工程において台盤回転数150rpmの条件で10時間湿式メカニカルミリングを行ったこと以外は、実施例1と同様に、比較例2の硫化物固体電解質粒子を得た。
B.第二粉砕工程の温度の影響に関する検討
[実施例3]
実施例1において、第一粉砕工程で得られたビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンク中の硫化物電解質粒子のスラリーに対して、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)をそのまま用いて、40℃、周速3m/s、3時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例1と同様に、実施例3の硫化物固体電解質粒子を得た。
[実施例4]
実施例3において、50℃、周速3m/s、2時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、実施例4の硫化物固体電解質粒子を得た。
[実施例5]
実施例3において、第一粉砕工程の処理時間を2時間としたこと、及び、50℃、周速3m/s、3時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、実施例5の硫化物固体電解質粒子を得た。
[実施例6]
実施例3において、第一粉砕工程の処理時間を4時間としたこと、及び、50℃、周速3m/s、4時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、実施例6の硫化物固体電解質粒子を得た。
[比較例3]
実施例3において、25℃、周速3m/s、3時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、比較例3の硫化物固体電解質粒子を得た。
[比較例4]
実施例3において、50℃、周速5m/s、3時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、比較例4の硫化物固体電解質粒子を得た。
[比較例5]
実施例3において、50℃、周速7m/s、3時間の条件で第二粉砕工程を実施したこと以外は、実施例3と同様に、比較例5の硫化物固体電解質粒子を得た。
2.リチウムイオン二次電池の製造
(1)負極合材の作製
1.で得られた実施例1〜6、及び、比較例1〜5の硫化物固体電解質粒子、負極活物質原料である平均粒子径が5μmのSi単体粒子、導電材であるVGCF、及び、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、負極合材用原料を調製した。
このように準備した負極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるCu箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の負極合材に対して、事前プレスを行うことで、負極合材を作製した。
(2)正極合材の作製
固体電解質原料である平均粒径が0.8μmであるLiBr及びLiIを含むLiS−P系非晶質固体電解質、正極活物質原料である平均粒子径が6μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粒子、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液、並びに、導電材であるVGCFをポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間浸振とう理することで、正極合材用原料を調製した。
このように準備した正極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるAl箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の正極合材に対して、事前プレスを行うことで、正極合材を作製した。
(3)固体電解質材料部の作製
固体電解質原料である平均粒径が2.5μmであるLiBr及びLiIを含むLiS−P系非晶質固体電解質6.0g、並びに、結着剤であるブチレンゴム系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液0.05g、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、固体電解質材料部用ペーストを調製した。
このように準備した固体電解質材料部用ペーストを、アプリケーターを使用するブレード法により、基盤であるAl箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥することにより固体電解質材料部を得た。同様の方法で固体電解質材料部を合計3枚準備した。
(4)電池部材の作製
(1)及び(3)で得られた負極合材と固体電解質材料部が接するように、負極合材と固体電解質材料部を積層した。この集電体―負極合材―固体電解質材料部―アルミニウム箔積層体に対して、緻密化を目的として、ロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。固体電解質材料部の基盤として使用したアルミニウム箔を剥がして、集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体を得た。
(2)及び(3)で得られた正極合材と固体電解質材料部が接するように、正極合材と固体電解質材料部を積層した。この集電体―正極合材―固体電解質材料部―アルミニウム箔積層体に対して、緻密化を目的として、ロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。固体電解質材料部の基盤として使用したアルミニウム箔を剥がして、集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体を得た。
治具を用いて、上述のように緻密化された集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体は直径13.00mmに、緻密化された集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体は直径11.28mmに打ち抜いた。
打ち抜かれた集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体に、固体電解質材料部同士が接するように(3)で準備した固体電解質材料部を更に積層後、(3)で準備した固体電解質材料部から基盤として使用したアルミニウム箔を剥離した。
この固体電解質材料部が転写された集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体の中央部に集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体が位置し、且つ、固体電解質材料部同士が接触するように重ね合わせた状態で、130℃で200MPaの圧力を1分間印加し、集電体を有する電池部材を得た。
(4)全固体リチウムイオン二次電池の作製
上述のように得られた電池部材に対して、3時間率(1/3C)で所定の電圧まで定電圧−定電流で通電し、全固体リチウム二次電池を得た(終止電流1/100C)。
3.硫化物固体電解質粒子の評価
(1)BET比表面積、メディアン径、及び密度の測定
硫化物固体電解質のBET比表面積(m/g)は、比表面積測定装置(商品名:NOVAe2000、カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製)を用いて測定した。
硫化物固体電解質のメディアン径;D50(μm)は、動的光散乱(DLS)式粒子径分布測定装置(商品名:ナノトラックウェーブ、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
硫化物固体電解質の密度(g/cm)は、比重測定装置(商品名:AUW120D SMK−401、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
(2)電子顕微鏡観察
硫化物固体電解質に対し、SEM観察を行った。
SEM観察では、第一粉砕工程後及び第二粉砕工程後の硫化物電解質粒子の個数平均短径の算出を行った。
(3)サイクル特性の評価
実施例1〜6及び比較例1〜5の硫化物固体電解質粒子を用いて作製した全固体リチウムイオン二次電池に対して、定電流―定電圧放電を行った。
まず、上述のように得られた全固体リチウムイオン二次電池を放電した(終止電流1/100C)。放電後の電池に対して、3時間率(1/3C)で、所定の電圧まで定電圧−定電流の条件で充電後、定電流―定電圧放電条件で放電し、1サイクル目の放電容量を測定した。
同一条件で、充放電サイクルを5サイクル繰り返し、5サイクル目の放電容量を測定した。
5サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除することにより、5サイクル目における容量維持率を算出した。
表1に実施例1、実施例2、比較例1、及び、比較例2の製造条件、表2に実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の製造方法で得られた硫化物固体電解質粒子及びこれらの硫化物固体電解質粒子を用いて作製した全固体リチウムイオン二次電池の評価結果とまとめて示す。
また、表3に実施例3〜6、比較例1、及び、比較例3〜5の製造条件、表4に実施例3〜6、比較例1、及び、比較例3〜5の製造方法で得られた硫化物固体電解質粒子及びこれらの硫化物固体電解質粒子を用いて作製した全固体リチウムイオン二次電池の評価結果とまとめて示す。
なお、表2、表4において全固体リチウムイオン二次電池の評価結果は、比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の5サイクル目容量維持率を100%とした場合の5サイクル目比容量維持率として示す。
Figure 0006962260
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表1及び表2に示すように、メディア1個あたりの運動エネルギーが1.0×10−5と強い粉砕エネルギーで、単一条件で4時間粉砕した比較例1の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子は、メディアン径は0.7μmと十分に小さいものの、扁平形状であるため、BET表面積が28m/gと大きかった。
比較例1では、図2、及び図3に示すように、粉砕時間の経過と共に単純に粒子径が減少し、BET比表面積が増大している。また、図5に示すように、比較例1では、全ての過程で、硫化物固体電解質が扁平形状であることが確認された。
また、表1及び表2に示すように、メディア1個あたりの運動エネルギーが1.2×10−7(J)と弱い粉砕エネルギーで、単一条件で粉砕した比較例2の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子は、メディアン径は0.7μmと十分に小さく球状であるものの、合計粉砕時間が10時間必要であり、効率よく固体電解質粒子を得ることができなかった。
これに対し、表1及び表2並びに図2に示すように、メディア1個あたりのエネルギーA(以下、単に、「運動エネルギーA」と称する。)が1.0×10−5(J)と強い粉砕エネルギーで1時間粉砕する第一粉砕工程の後に、メディア1個あたりの運動エネルギーB(以下、単に、「運動エネルギーB」と称する。)が1.2×10−7(J)と弱い粉砕エネルギーで1時間粉砕する第二粉砕工程を実施した、実施例1の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子は、合計粉砕時間が比較例1の半分、比較例2の1/5であるにもかかわらず、メディアン径は0.7μmと十分に小さかった。また、球状であるため、BET表面積が13m/gと小さかった。
また、表1及び表2並びに図2に示すように、運動エネルギーAが1.0×10−5(J)と強い粉砕エネルギーで2時間粉砕する第一粉砕工程の後に、運動エネルギーBが1.2×10−7(J)と弱い粉砕エネルギーで1時間粉砕する第二粉砕工程を実施した、実施例2の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子も、合計粉砕時間が比較例1より1時間、比較例2より7時間短いにもかかわらず、メディアン径は0.7μmと十分に小さかった。また、球状であるため、BET表面積が12m/gと小さかった。
図2に示すように、実施例1及び実施例2の製造方法では、粉砕時間の経過と共に単純に粒子径が減少しているが、図3に示すように、BET比表面積は、第二粉砕工程に入ると同時に減少し始めることが確認できる。図4に示すように、実施例1では、第一粉砕工程後には、硫化物固体電解質が扁平形状であること、第二粉砕工程後には球状であることが確認された。
また、表2に示すように、Si単体を負極活物質として使用した場合に負極合材の材料として球状である実施例1、実施例2、及び、比較例2の硫化物固体電解質を使用して製造した全固体リチウムイオン電池では、扁平形状である比較例1の硫化物固体電解質を使用した全固体電池より、容量維持率が高かった。
扁平形状である比較例1の硫化物固体電解質は比表面積が大きいため、導電材が固体電解質粒子に付着しやすくなり、負極中に導電材の密度が低い部分が生じる。そのため、放電により負極全体の体積が膨張・収縮する過程で、導電材の密度が低い部分における電子伝導パスが徐々に切断されたと考えられる。
これに対し、球状である実施例1、実施例2、及び、比較例2の硫化物固体電解質は比表面積が小さいため、導電材が固体電解質粒子に付着しにくく、負極中に導電材が均一に分布するため、充放電に伴い負極全体の体積が膨張・収縮しても電子伝導パスが切断されなかったためであると考えられる。
次に、第二粉砕工程の温度の影響について検討すると、表3及び表4に示すように運動エネルギーAを1.0×10−5(J)として1時間粉砕する第一粉砕工程の後に、25℃で運動エネルギーBを3.5×10−7(J)として3時間粉砕する第二粉砕工程を実施した、比較例3の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子は、扁平形状であるため、BET表面積が24m/gと大きかった。
第一粉砕工程の運動エネルギーAより第二粉砕工程の運動エネルギーBは小さいものの、図1に示すように、運動エネルギーBが、1.6×10−7(J)を超えるため高すぎることが原因であると考えられる。
これに対し、表3及び表4に示すように、比較例3と同様に運動エネルギーAを1.0×10−5(J)として1時間粉砕する第一粉砕工程の後に、運動エネルギーBを3.5×10−7(J)として3時間粉砕する第二粉砕工程を実施し、第二粉砕工程の温度を40℃に変更した、実施例3の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子は、メディアン径は0.83μmと十分に小さく、また、球状であるため、BET表面積が12m/gと小さかった。
また、比較例3と同様に運動エネルギーAを1.0×10−5(J)として1時間粉砕する第一粉砕工程の後に、運動エネルギーBを3.5×10−7(J)として2時間粉砕する第二粉砕工程を実施し、第二粉砕工程の温度を50℃に変更した、実施例4の製造方法で得られた硫化物個体電解質粒子も、メディアン径は0.80μmと十分に小さく、また、球状であるため、BET表面積が10m/gと小さかった。
第二粉砕工程における運動エネルギーBを3.5×10−7(J)とすると、25℃の条件では扁平形状となるが、40℃以上であれば球状になるためであると考えられる。
この点、第二粉砕工程の運動エネルギーBを、1.0×10−6(J)とした比較例4、及び、2.0×10−6(J)とした比較例5では、第二粉砕工程の温度を50℃に設定しても、得られる硫化物固体電解質粒子は扁平で、BET表面積が63.5m/g以上と大きかった。そのため、第二粉砕工程の運動エネルギーBが1.0×10−6(J)以上と大きすぎる場合には、温度を40℃以上としたとしても、球状の硫化物固体電解質は得ることができないと考えられる。
なお、実施例5及び6の結果より、第一粉砕工程、及び、第二粉砕工程の粉砕時間は、得られる硫化物固体電解質の形状に大きな影響を与えないと考えられた。
以上より、硫化物固体電解質材料を準備する工程と、前記硫化物固体電解質材料を、メカニカルミリング法で破砕して、扁平形状の粒子を得る第一粉砕工程と、前記扁平形状の粒子を、メカニカルミリング法で破砕して、球状の硫化物固体電解質粒子を得る第二粉砕工程と、を備え、前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たす本開示の製造方法によれば、小粒径であり球状の硫化物固体電解質粒子を効率よく得られることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 硫化物固体電解質粒子の製造方法であって、
    硫化物固体電解質材料を準備する工程と、
    前記硫化物固体電解質材料を、メカニカルミリング法で破砕して、扁平形状の粒子を得る第一粉砕工程と、
    前記扁平形状の粒子を、メカニカルミリング法で破砕して、球状の硫化物固体電解質粒子を得る第二粉砕工程と、を備え、
    前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をA(J)、前記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギー(1/2(mv))をB(J)と表した場合に、A(J)>B(J)の関係を満たし、
    前記第一粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーAが3.0×10 −7 〜1.0×10 −5 (J)の範囲であり、
    前記扁平形状とは、下記式(1)より求められる値Xが40以上であり、
    前記球状とは、下記式(1)より求められる値Xが35以下であることを特徴とする、硫化物固体電解質粒子の製造方法。
    式(1) X=BET比表面積(m /g)×メディアン径;D50(μm)×密度(g/cm
  2. 前記第一粉砕工程で得られる扁平形状の粗粒子のメディアン径(D50)が2.0μm以下であり、前記第二粉砕工程で得られる硫化物固体電解質粒子のメディアン径(D50)が1.0μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の硫化物固体電解質粒子の製造方法。
  3. 記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーBが1.0×10−8〜1.6×10−7(J)の範囲であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の硫化物固体電解質粒子の製造方法。
  4. 記第二粉砕工程におけるメディア1個当たりの運動エネルギーBが1.0×10−8〜3.5×10−7(J)の範囲であり、且つ、当該第二粉砕工程における粉砕温度が40℃以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の硫化物固体電解質粒子の製造方法。
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