JP2020173992A - 硫化物固体電解質、硫化物固体電解質の製造方法、電極体および全固体電池 - Google Patents

硫化物固体電解質、硫化物固体電解質の製造方法、電極体および全固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることが可能な硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示においては、Li元素、P元素およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、テトラヒドロフランを含有し、BET比表面積が8.3m2/g以上である、硫化物固体電解質を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図3

Description

本開示は、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることが可能な硫化物固体電解質に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に代えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れる。
リチウム固体電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。例えば、特許文献1には、メカニカルミリングにより生成した前駆体をN−メチルホルムアミドに溶解した後乾燥させることで製造される硫化物固体電解質が開示されている。また、特許文献2には、ジメトキシエタン中で、LiSとPを混合した後乾燥させることで製造される硫化物固体電解質が開示されている。また、特許文献3には、リチウム硫化物を含むスラリーを低温環境かつ真空状態で乾燥させた後、高温で結晶化させる硫化物固体電解質の製造方法が開示されている。
特開2014−191899号公報 特開2015−232965号公報 特開2018−080100号公報
全固体電池に用いられる電極体(正極活物質層、負極活物質)においてはイオン輸送効率が良好であることが求められる。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることが可能な硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。
本開示においては、Li元素、P元素およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、テトラヒドロフランを含有し、BET比表面積が8.3m/g以上である、硫化物固体電解質を提供する。
本開示によれば、所定のBET比表面積を有することから、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることが可能な硫化物固体電解質とすることができる。さらに、硫化物固体電解質はテトラヒドロフランを含有する。硫化物固体電解質を合成する際にテトラヒドロフランを用い、所定の条件で合成することにより、BET比表面積が高い硫化物固体電解質を得ることができる。
上記開示において、上記BET比表面積が13.1m/g以上であってもよい。
上記開示において、ラマン分光測定により得られる、PS 3−由来のピークaの強度をIaとし、テトラヒドロフラン由来のピークbの強度をIbとした場合に、上記Iaに対する上記Ibの割合(Ib/Ia)が0.0055≦Ib/Ia<0.266を満たしていてもよい。
上記開示において、上記硫化物固体電解質は非晶質であってもよい。
上記開示において、上記硫化物固体電解質は結晶質であってもよい。
また、本開示においては、上述した硫化物固体電解質を製造する硫化物固体電解質の製造方法であって、上記硫化物固体電解質の構成成分を含有する原料組成物とテトラヒドロフランとを混合して前駆体を得る前駆体調製工程と、上記前駆体に含まれる上記テトラヒドロフランを揮発させる第一焼成工程と、を有する、硫化物固体電解質の製造方法を提供する。
本開示によれば、第一焼成工程を有しているため、テトラヒドロフランを含有し、所定のBET比表面積を有する硫化物固体電解質を製造することができる。
上記開示において、上記第一焼成工程における焼成温度が、上記硫化物固体電解質の結晶化温度未満の温度であり、上記硫化物固体電解質が、非晶質であってもよい。
上記開示において、上記第一焼成工程における焼成温度が、100℃以下であってもよい。
上記開示において、上記製造方法は、上記第一焼成工程の後に、上記硫化物固体電解質の結晶性を向上させる第二焼成工程をさらに有し、上記第二焼成工程における焼成温度が、上記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度であり、上記硫化物固体電解質が、結晶質であってもよい。
上記開示において、上記第二焼成工程における焼成温度が、140℃以上であってもよい。
また、本開示においては、全固体電池に用いられる、活物質および硫化物固体電解質層を含有する電極体であって、テトラヒドロフランをさらに含有し、上記電極体内の上記硫化物固体電解質の体積比率をε、上記硫化物固体電解質のイオン伝導度をσSE、上記電極体のイオン伝導度をσeleとした場合に、ε×σSE/σeleから求められるイオン屈曲度が4.5以下である、電極体を提供する。
本開示によれば、イオン屈曲度が低いことから、イオン輸送効率が良好な電極体とすることができる。
また、本開示においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有する全固体電池であって、上記正極活物質層および上記負極活物質層の少なくとも一方が、上述した電極体である、全固体電池を提供する。
本開示によれば、上述した電極体を有しているため、イオン輸送効率が良好な全固体電池とすることができる。
本開示における硫化物固体電解質は、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることができるという効果を奏する。
本開示における硫化物固体電解質の製造方法の一例を示すフロー図である。 本開示における電極体の一例を示す概略断面図である。 本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。 実施例1、2、5、6および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対するXRD測定の結果である。 実施例1、2および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対するラマン分光測定の結果である。 実施例1および比較例1で得られた硫化物固体電解質のSEM画像である。 実施例1で得られた硫化物固体電解質の断面SEM画像である。 BET比表面積とイオン屈曲度との関係を示すグラフである。 焼成温度(熱処理温度)とBET比表面積との関係を示すグラフである。 圧粉成型時のプレス圧毎の正極の断面SEM画像である。
以下、本開示における硫化物固体電解質、硫化物固体電解質の製造方法、電極体および全固体電池について、詳細に説明する。
A.硫化物固体電解質
本開示における硫化物固体電解質は、Li元素、P元素およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、テトラヒドロフランを含有し、BET比表面積が8.3m/g以上である。
本開示によれば、所定のBET比表面積を有することから、イオン輸送効率が良好な電極体を得ることが可能な硫化物固体電解質とすることができる。さらに、硫化物固体電解質はテトラヒドロフランを含有する。硫化物固体電解質を合成する際にテトラヒドロフランを用い、所定の条件で合成することにより、BET比表面積が高い硫化物固体電解質を得ることができる。すなわち、テトラヒドロフランは製造時に添加された溶媒の残存物である。また、本開示における硫化物固体電解質はBET比表面積が大きい、ポーラスな物質である。このような硫化物固体電解質を電極体に用いると、プレスにより孔が潰されることで、硫化物固体電解質と活物質との界面接触が良好となると推察される。また、テトラヒドロフランにより硫化物固体電解質が湿潤することで、高充填が可能になると推察される。その結果、電極体におけるイオン屈曲度を低くすることができ、イオン輸送効率が良好になると推察される。イオン屈曲度の詳細については、後述する。
ここで、特許文献2には硫化物固体電解質の製造において溶媒としてテトラヒドロフランを用いることができる旨開示されている。しかしながら、特許文献2は、「残留する有機溶媒を完全に留去した」と記載しており、硫化物固体電解質が溶媒(テトラヒドロフラン)を含有する思想は一切記載も示唆もしていない。
本開示における硫化物固体電解質は、Li元素、P元素およびS元素を含有する。また、O元素およびハロゲン元素(例えばF元素、Cl元素、Br元素、I元素)の少なくとも一種を含有していてもよい。硫化物固体電解質は、Li元素、P元素およびS元素を含有するイオン伝導体を含有することが好ましい。イオン伝導体は、O元素をさらに含有していてもよい。また、硫化物固体電解質は、イオン伝導体に加えて、LiX(Xはハロゲン元素)を含有していてもよい。
本開示におけるイオン伝導体は、PS 3−構造を主体として含有することが好ましい。Liイオン伝導性が高いからである。イオン伝導体における全てのアニオン構造体に対するPS 3−構造の割合は、例えば50mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。また、PS 3−構造におけるS元素は、O元素に置換されていてもよい。また、硫化物固体電解質が、イオン伝導体およびLiX(Xはハロゲン元素)を含有する場合、硫化物固体電解質に含まれるLiXの割合は、例えば5mol%以上、35mol%以下である。硫化物固体電解質は、上記Xとして、一種のハロゲン元素を含有していてもよく、二種以上のハロゲン元素を含有していてもよい。
本開示における硫化物固体電解質は、結晶質であってもよく、非晶質(アモルファス)であってもよい。なお、本開示における「非晶質」とは、X線回折(XRD)測定において、硫化物固体電解質のピークが観察されないこと、すなわち、結晶としての周期性が観察されず、いわゆるハローパターンが観察されることをいう。一方、「結晶質」とは、XRD測定において、硫化物固体電解質のピークが観察されることをいう。硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば、120℃以上、200℃以下である。なお、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)は、示差熱分析(DTA)により求めることができる。
また、硫化物固体電解質の形状としては、例えば角柱状が挙げられる。硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であっても、5μm以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折散乱法による粒度分布測定の結果から求めることができる。また、イオン伝導度は高いことが好ましい。25℃におけるイオン伝導度は、例えば1×10−4S/cm以上であり、1×10−3S/cm以上であってもよい。
硫化物固体電解質のBET比表面積は、8.3m/g以上であり、13.1m/g以上であってもよく、27.5m/g以上であってもよい。一方で、硫化物固体電解質のBET比表面積は、例えば50m/g以下であり、40m/g以下であってもよく、37.1m/g以下であってもよく、28.7m/g以下であってもよい。BET比表面積は、例えば、細孔分布測定装置を用いてBET法から算出することができる。BET比表面積は、後述する硫化物固体電解質の製造方法において、テトラヒドロフランの添加量および焼成条件を変更することで調整することができる。
本開示における硫化物固体電解質はテトラヒドロフランを含有する。テトラヒドロフランの有無は、例えばX線回折(XRD)測定およびラマン分光測定により確認することができる。また、テトラヒドロフランの含有量は、硫化物固体電解質がPS 3−構造を有する場合、ラマン分光法により得られたPS 3−構造に由来する410cm−1付近のピークaの強度Iaに対する、テトラヒドロフランに由来する2850cm−1〜3050cm−1のピークbの強度Ibの割合(Ib/Ia)で求めることができる。本開示における硫化物固体電解質では、Ib/Iaは、例えば0.0055以上であり、0.043以上であってもよく、0.1以上であってもよい。一方、Ib/Iaは、例えば0.266未満であり、0.2以下であってもよく、0.15以下であってもよい。テトラヒドロフランの量が少なすぎると、所望のBET比表面積が得られない恐れがある。一方で、テトラヒドロフランの量が多すぎると硫化物固体電解質が凝集する恐れがある。テトラヒドロフランの量は、後述する硫化物固体電解質の製造方法において、焼成条件を変更することで調整することができる。
B.硫化物固体電解質の製造方法
図1は、本開示における硫化物固体電解質の製造方法の一例を示すフロー図である。
本開示における硫化物固体電解質の製造方法は、硫化物固体電解質の構成成分を含有する原料組成物とテトラヒドロフランとを混合して前駆体を得る前駆体調製工程と、前駆体に含まれるテトラヒドロフランを揮発させる第一焼成工程とを有する。また、必要に応じて、第一焼成工程の後に、硫化物固体電解質の結晶性を向上させる第二焼成工程をさらに有していてもよい。
本開示によれば、第一焼成工程を有しているため、テトラヒドロフランを含有し、所定のBET比表面積を有する硫化物固体電解質を製造することができる。
1.前駆体調製工程
本開示における前駆体調製工程は、上述した硫化物固体電解質の構成成分を含有する原料組成物とテトラヒドロフランとを混合して前駆体を得る工程である。
原料組成物は、構成成分としてLi元素、P元素およびS元素を含有し、O元素およびハロゲン元素(例えばF元素、Cl元素、Br元素、I元素)の他の元素を含有していてもよい。Li元素を含有する化合物は、例えば、Liの硫化物およびLiの酸化物を挙げることができる。Liの硫化物としては、具体的にはLiSを挙げることができる。Liの酸化物としては、具体的にはLiOを挙げることができる。また、P元素を含有する化合物は、例えば、Pの単体、Pの酸化物、Pの硫化物等を挙げることができる。Pの硫化物としては、具体的にはPを挙げることができる。Pの酸化物としては、具体的にはPを挙げることができる。S元素を含有する化合物は、特に限定されるものではなく、単体であってもよく、硫化物であってもよい。硫化物としては、上述した元素を含有する硫化物を挙げることができる。これらの化合物を任意の割合で混合することで原料組成物を準備することができる。原料組成物がLiSおよびPを含有する場合、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、例えば70mol%以上であり、72mol%以上であってもよく、74mol%以上であってもよい。一方、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、例えば80mol%以下であり、78mol%以下であってもよく、76mol%以上であってもよい。
テトラヒドロフランは特に限定されず、例えば市販品を用いることができる。テトラヒドロフランの添加量は、原料組成物に対して重量比で、例えば20倍以上の量であり、30倍以上の量であってもよい。一方で、テトラヒドロフランの量は、原料組成物に対して重量比で、例えば50倍以下の量であり、40倍以下の量であってもよい。
原料組成物とテトラヒドロフランとの混合方法は特に限定されず、例えばビーカー等のガラス容器内でスターラー等を用いて撹拌する方法を挙げることができる。撹拌温度は特に限定されないが、例えば25℃以上であり、30℃以上であってもよく、35℃以上であってもよい。一方で、撹拌温度は、例えば50℃以下であり、40℃以下であってもよい。また、撹拌時間は特に限定されないが、例えば48時間以上であってもよく、60時間以上であってもよく、72時間以上であってもよい。一方で、撹拌時間は、例えば120時間以下であってもよく、108時間以下であってもよく、96時間以下であってもよく、84時間以下であってもよい。
2.第一焼成工程
第一焼成工程は、前駆体に含まれるテトラヒドロフランを揮発させる工程である。
第一焼成工程においては、焼成により、前駆体からテトラヒドロフランを揮発させる。第一焼成工程における焼成温度は、テトラヒドロフランを揮発させることができる温度であれば特に限定されない。焼成温度は、例えば、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)未満であってもよく、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)以上であってもよい。前者の場合、非晶質の硫化物固体電解質が得られ、後者の場合、結晶質の硫化物固体電解質が得られる。
第一焼成工程において、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)未満の温度で焼成を行う場合、その焼成温度は、例えば、(T−10℃)以下であり、(T−20℃)以下であってもよい。一方、第一焼成工程において、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)以上の温度で焼成を行う場合、その焼成温度は、例えば、Tであってもよく、Tより大きくてもよい。後者の場合、焼成温度は、例えば、(T+10℃)以上、(T+50℃)以下である。具体的な第一焼成工程の焼成温度は、例えば300℃以下であり、200℃以下であってもよく、140℃以下であってもよく、120℃以下であってもよく、100℃以下であってもよい。一方で、第一焼成工程における焼成温度は、例えば60℃以上であり、70℃以上であってもよく、80℃以上であってもよい。
第一焼成工程における焼成時間は、例えば1時間以上であり、12時間以上であってもよく、24時間以上であってもよい。一方、第一焼成工程における焼成時間は、例えば60時間以下であり、48時間以下であり、36時間以下であってもよい。
第一焼成工程における焼成は、開放系で行われることが好ましい。開放系とは、前駆体から不可逆的にテトラヒドロフランが揮発可能な系をいう。例えば、大気圧開放系、減圧開放系が挙げられる。減圧開放系としては、例えば、真空引きが挙げられる。
また、第一焼成工程の前に、前駆体を乾燥する乾燥処理を行ってもよい。乾燥温度は、例えば10℃以上、60℃以下である。また、乾燥雰囲気は、例えば、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が挙げられる。
3.第二焼成工程
本開示においては、第一焼成工程の後に、硫化物固体電解質の結晶性を向上させる第二焼成工程を行ってもよい。これにより、結晶質の硫化物固体電解質が得られる。
第二焼成工程における焼成温度は、硫化物固体電解質の結晶化温度(T)以上の温度である。第二焼成工程における焼成温度は、例えば、Tであってもよく、Tより大きくてもよい。後者の場合、焼成温度は、例えば、(T+10℃)以上、(T+50℃)以下である。具体的な第二焼成工程の焼成温度は、例えば140℃以上であり、180℃以上であってもよい。一方で第二焼成工程の焼成温度は、例えば300℃以下であり、200℃以下であってもよい。第一焼成工程の焼成温度と第二焼成工程の焼成温度とは、同じ温度であってもよく、異なる温度であってもよい。後者の場合、その温度差は、例えば10℃以上である。
第二焼成工程の時間は、例えば6時間以上であり、8時間以上であってもよい。一方で第二焼成工程の時間は、12時間以下であり、10時間以下であってもよい。第二焼成工程における焼成は、閉鎖系で行われることが好ましい。また、第二焼成工程における焼成は、減圧雰囲気で行われることが好ましい。
4.硫化物固体電解質
上述した各工程により得られる硫化物固体電解質については、上記「A.硫化物固体電解質」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
C.電極体
図2は、本開示における電極体の一例を示す概略断面図である。図2に示される電極体10は、全固体電池に用いられ、活物質1および硫化物固体電解質2を含有する。さらに、電極体10は、テトラヒドロフラン(図示せず)をさらに含有する。また、電極体10内の硫化物固体電解質2の体積比率をε、硫化物固体電解質2のイオン伝導度をσSE、電極体10のイオン伝導度をσeleとした場合に、ε×σSE/σeleから求められるイオン屈曲度が4.5以下である。
本開示によれば、イオン屈曲度が低いことから、イオン輸送効率が良好な電極体とすることができる。また、通常は、電極体に含まれる硫化物固体電解質がテトラヒドロフランを含有する。硫化物固体電解質を合成する際にテトラヒドロフランを用い、所定の条件で合成することにより、BET比表面積が高い硫化物固体電解質を得ることができる。そのような硫化物固体電解質を用いることで、イオン輸送効率が良好な電極体とすることができる。
本開示におけるイオン屈曲度は、4.5以下であり、4.0以下であってもよく、3.5以下であってもよい。イオン屈曲度は、以下のように定義される指標である。ここで、電極体のイオン伝導は、その固体電解質固有のイオン伝導に対して、電極体内でイオンが屈曲するだけ遅くなる。そのため、電極体の実効的なイオン伝導度Keffは、以下の式で表すことができる。
eff=ε×K/τ
ここで、εは電極体における硫化物固体電解質の体積比率であり、Kは硫化物固体電解質のイオン伝導度であり、τはイオン屈曲度である。そのため、イオン屈曲度τは、以下の式で表すことができる。
τ=ε×K/Keff
すなわち、τが小さいほど、電極体の実効的なイオン伝導度Keffが高いことを意味する。Kは、硫化物固体電解質のイオン伝導度σSEを測定することにより求めることができる。Keffは、電極体のイオン伝導度σeleを測定することにより求めることができる。
本開示における電極体は、活物質と、硫化物固体電解質とを含有する。電極体は、導電材およびバインダーの少なくとも一方をさらに含有していてもよい。電極体に含まれる硫化物固体電解質は、上記「A.硫化物固体電解質」に記載した硫化物固体電解質が圧縮されたものであることが好ましい。
活物質は、正極活物質であってもよく、負極活物質であってもよい。正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO等のオリビン型活物質が挙げられる。正極活物質の形状は、例えば、粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質が粒子状である場合、正極活物質は一次粒子でも二次粒子でもよい。また、正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。
一方、負極活物質としては、例えば、金属活物質およびカーボン活物質が挙げられる。金属活物質としては、例えば、In、Al、Si、Sn等が挙げられる。一方、カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボンが挙げられる。また、例えばチタン酸リチウム(LiTi12)等の金属酸化物を用いることもできる。負極活物質の形状は、例えば、粒子状、薄膜状等にすることができる。負極活物質が粒子状である場合、負極活物質は一次粒子でも二次粒子でもよい。また、負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。
また、本開示における電極体は、必要に応じて導電材およびバインダーを有していてもよい。導電材としては、炭素材料が挙げられる。バインダーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系バインダー、ブチレンゴム(BR)等のゴム系バインダーが挙げられる。
電極体の厚さは特に限定されないが、例えば0.1μm以上、1000μm以下である。
本開示における電極体の製造方法は特に限定されない。電極体の製造方法としては、例えば、上記「A.硫化物固体電解質」に記載した硫化物固体電解質と、活物質と、分散媒とを混合した後乾燥させて電極合材を調製する調製工程と、上記電極合材をプレスするプレス工程と、を有する方法が挙げられる。
硫化物固体電解質および活物質については、上述した通りである。また、分散媒としては、例えばヘプタン等の有機溶媒が挙げられる。混合および乾燥は特に限定されず従来公知の方法で行うことができる。プレス工程も特に限定されないが、例えば、100MPa以上、600MPa以下の圧力で一軸プレスする方法が挙げられる。
D.全固体電池
図3は、本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。図3に示される全固体電池20は、正極活物質層11と、負極活物質層12と、正極活物質11および負極活物質層12の間に形成された固体電解質層13と、正極活物質層11の集電を行う正極集電体14と、負極活物質層14の集電を行う負極集電体15と、を有する。さらに、正極活物質層11および負極活物質層12の少なくとも一方が、上述した電極体である。
本開示によれば、上述した電極体を用いることで、イオン輸送効率が良好な全固体電池とすることができる。
1.正極活物質層および負極活物質層
正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方は、上記「B.電極体」に記載された電極体である。正極活物質層のみが上述した電極体であってもよく、負極活物質層のみが上述した電極体であってもよい。また、正極活物質層および負極活物質層の両方が上述した電極体であってもよい。
2.正極集電体および負極集電体
正極集電体および負極集電体は、それぞれ正極活物質層および負極活物質層の電子を集電する機能を有する。正極集電体および負極集電体は特に限定されず、全固体電池に用いられる従来公知の正極集電体および負極集電体とすることができる。正極集電体としては、例えばAlおよびSUS等が挙げられる。負極集電体としては、例えばCuおよびNi等が挙げられる。なお、正極集電体および負極集電体の厚さ、形状については、電池の用途に応じて適宜選択することができる。
3.固体電解質層
固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。また、固体電解質層は、固体電解質を少なくとも含有し、必要に応じて、バインダーをさらに含有していてもよい。
固体電解質は特に限定されず、全固体電池に用いられる従来公知の固体電解質を用いることができるが、上述した電極体に含まれる硫化物固体電解質と同様であることが好ましい。バインダーは、上記「B.電極体」に記載した内容と同様である。
固体電解質層の厚さは特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
4.全固体電池
本開示における全固体電池は、全固体リチウムイオン電池であることが好ましい。また、本開示における全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、後者が好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、二次電池には、二次電池の一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。また、全固体電池は、発電要素を一つのみ有していてもよく、二以上有していてもよい。後者の場合、複数の発電要素は、並列接続されていてもよく、直列接続されていてもよい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(硫化物固体電解質の作製)
LiSおよびPを、LiS:P=75:25のモル比となるように秤量して原料組成物を得た。この原料組成物と、原料組成物に対して重量比で20倍となるテトラヒドロフランとをガラス製の容器に入れて25℃で72時間撹拌した後、沈殿した粉末を硫化物固体電解質の前駆体として回収した。回収した前駆体を、アルゴン雰囲気下25℃で乾燥させた後、大気圧下(開放系)100℃で1時間焼成(第一焼成)を行った。得られた焼成体を石英管に真空封入し、この石英管をマッフル炉内で、140℃で12時間焼成(第二焼成)を行い、硫化物固体電解質を作製した。
(正極合材の作製)
酸化物活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)と、上記硫化物固体電解質と、導電材(VGCF)とを、ヘプタンに投入して超音波ホモジナイザーにより撹拌した後、乾燥させることで正極合材を作製した。なお、酸化物活物質と硫化物固体電解質は、酸化物活物質:硫化物固体電解質=40:60の体積比率とし、導電材は2体積%とした。
(正極の作製)
上記正極合材100mgを、直径11.28mmの円筒に投入し、一軸プレス機を用いて600MPaの圧力をかけてペレット成型し、正極を作製した。
[実施例2]
実施例1と同様にして第一焼成を行った。第一焼成で得られた焼成体を、検体乾燥機を用いて、140℃で12時間真空引き(第二焼成)を行い、硫化物固体電解質を作製した。得られた硫化物固体電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[実施例3]
第一の焼成における焼成温度を80℃、焼成時間を2時間に変更し、第二の焼成を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[実施例4]
第二の焼成における焼成温度を300℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[実施例5]
第一焼成として、真空引きしながら80℃で48時間焼成し、第二焼成を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[実施例6]
第一焼成として、大気圧下(開放系)80℃で12時間焼成し、第二焼成を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[比較例1]
LiSおよびPを、LiS:P=75:25のモル比となるように秤量して混合粉末を得た。得られた混合粉末に対して、遊星型ボールミルを用いて、600rpm、24時間の条件でメカニカルミリングを行った。その後、アルゴン雰囲気下550℃で焼成することで、硫化物固体電解質を作製した。得られた硫化物固体電解質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[比較例2]
第一焼成を行わず、かつ、第二焼成において真空引きを行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして硫化物固体電解質および正極を作製した。
[評価]
(X線回折測定)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。代表的な結果を図4に示す。図4に示すように、実施例1、2および比較例1では、β―LiPSのピークを確認でき、結晶質であることが確認された。一方、比較例2では、β―LiPSのピークは確認できなかった。第一焼成を行わず、真空引きをしない第二焼成のみを行ったため、テトラヒドロフランが大量に残存した状態のピーク形状であると考えられる。また、実施例5、6では、ハローピークが確認され、硫化物固体電解質がアモルファスであることが確認された。また、図示しないが、実施例3も実施例5、6と同様にアモルファスであることが確認された。
(ラマン分光測定)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対して、ラマン分光測定を行った。代表的な結果を図5に示す。図5に示すように、実施例1、2および比較例2では、2850cm−1〜3050cm−1のテトラヒドロフランに由来するピークが確認された。特に、比較例2では大量のテトラヒドロフランを含有していることが確認された。また、410cm−1付近のPS 3−に由来するピークaの強度Iaと、2850cm−1〜3050cm−1のテトラヒドロフランに由来するピークbの強度Ibとを求め、Ib/Iaを算出した。その結果を表1に示す。
(SEM観察)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対して、SEM(走査型電子顕微鏡)による観察を行った。図6(a)に示すように、実施例1で得られた硫化物固体電解質は、約5μm〜20μmのサイズを有する角柱構造を有することが確認された。一方、図6(b)に示すように、比較例1で得られた硫化物固体電解質は、実施例1とは異なり、角柱形状を有していないことが確認された。
また、実施例1で得られた硫化物固体電解質を樹脂で封止して切断し、断面観察を行った。その結果を図7に示す。図7に示すように、実施例1で得られた硫化物固体電解質は、多孔質構造を有することが確認された。硫化物固体電解質の作製時に、THFが揮発する際に、このような多孔質構造が形成されていると推測される。
(BET比表面積の測定)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた硫化物固体電解質に対して、BET比表面積の測定を行った。具体的には、細孔分布測定装置を用い、BET法から算出して確認した。その結果を表1に示す。
(充填率の測定)
実施例1〜2、4および比較例1で得られた硫化物固体電解質に対して、プレス時の充填率を測定した。具体的には、100mgの硫化物固体電解質を600MPaの圧力で一軸プレスしてペレットを成型した後、ペレットの高さを測定して体積を算出した。そして、真密度より求められる体積を上記算出した体積で除することで、プレス時の充填率を求めた。その結果を表1に示す。
(イオン屈曲度の測定)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた正極に対してイオン屈曲度を測定した。まず、固体電解質の伝導度σSEを求めた。具体的には、作製した硫化物固体電解質100mgを600MPaで一軸プレスして得られるペレットに対して、インピーダンス測定を行った。得られたナイキスト線図の半円の抵抗値と、ペレットの厚さからσSEを算出した。
次いで、電極体の伝導度σeleを求めた。具体的には、作製した正極の上下を硫化物固体電解質で挟み、さらにその上下をLi箔で挟み、試料とした。その試料に対して、インピーダンス測定を行った。得られたナイキスト線図の半円の抵抗値と、正極の厚さとに基づいて、σeleを算出した。硫化物固体電解質の体積比率εは、各実施例および各比較例で用いた硫化物固体電解質の体積比率から求めた。ε、σSEおよびσeleから、イオン屈曲度(τ)を下式から算出した。その結果を図8および表1に示す。
イオン屈曲度(τ)=ε×σSE/σele
図8および表1に示すように、テトラヒドロフランを含有し、BET比表面積が8.3m/g以上である実施例1〜6ではイオン屈曲度が4.5以下であった。一方、比較例1、2では、イオン屈曲度が8.8以上であった。特に、BET比表面積が8.3m/g以上になることで、イオン屈曲度が急激に低下することが確認された。また、充填率についても、実施例1、2、4は、比較例1よりも高くなった。各実施例で得られた硫化物固体電解質は、多孔質構造を有することから、充填率が高くなったと考えられる。さらに、各実施例で得られた硫化物固体電解質は、少量のTHFを含有することから湿潤状態であるといえる。そのため、充填率が高くなった可能性もある。
[参考例1〜7]
第一の焼成における焼成温度(熱処理温度)と、得られる硫化物固体電解質のBET比表面積との関係を調べた。その結果を図9および表2に示す。なお、図9および表2における参考例3、5は、それぞれ、上述した実施例3、1に該当する。
図9および表2に示すように、焼成温度(熱処理温度)を変更するとBET比表面積に影響が出ることが確認された。特に、80℃でBET比表面積が最大となり、80℃より温度を高くするとBET比表面積が小さくなる傾向が確認された。これは80℃付近でテトラヒドロフランが一気に揮発することでポーラス化してBET比表面積が大きくなったと推察される。また、80℃より高い場合はポーラス構造が焼き固められて潰れるため、BET比表面積が低下したと推察される。このように、単純に焼成温度を増加しても、BET比表面積の向上は確認されなかった。
[参考例8]
圧粉成型時のプレス圧を100MPa、200MPa、400MPaに変更したこと以外は実施例1と同様に正極を作製し、各正極の断面SEM画像を取得した。実施例1の正極の断面SEM画像とともに、図10に示す。
図10に示すように、プレス圧が200MPaにおいて硫化物固体電解質が砕けて100nm〜200nmの微粒子となることで、100MPaよりも高充填されることが確認された。そして、プレス圧が600MPaでほぼ隙間なく充填されていた。このように、本開示における電極体では、最初から粒子径の小さい硫化物固体電解質を用いるのではなく、硫化物固体電解質がプレス圧により微粒子化することで高充填が実現されていると推察される。
1…活物質
2…硫化物固体電解質
10…電極体
11…正極活物質層
12…負極活物質層
13…固体電解質層
14…正極集電体
15…負極集電体
20…全固体電池

Claims (12)

  1. Li元素、P元素およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、
    テトラヒドロフランを含有し、
    BET比表面積が8.3m/g以上である、硫化物固体電解質。
  2. 前記BET比表面積が13.1m/g以上である、請求項1に記載の硫化物固体電解質。
  3. ラマン分光測定により得られる、PS 3−由来のピークaの強度をIaとし、テトラヒドロフラン由来のピークbの強度をIbとした場合に、前記Iaに対する前記Ibの割合(Ib/Ia)が0.0055≦Ib/Ia<0.266を満たす、請求項1または請求項2に記載の硫化物固体電解質。
  4. 前記硫化物固体電解質が、非晶質である、請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  5. 前記硫化物固体電解質が、結晶質である、請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質を製造する硫化物固体電解質の製造方法であって、
    前記硫化物固体電解質の構成成分を含有する原料組成物とテトラヒドロフランとを混合して前駆体を得る前駆体調製工程と、
    前記前駆体に含まれる前記テトラヒドロフランを揮発させる第一焼成工程と、
    を有する、硫化物固体電解質の製造方法。
  7. 前記第一焼成工程における焼成温度は、前記硫化物固体電解質の結晶化温度未満の温度であり、
    前記硫化物固体電解質が、非晶質である、請求項6に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  8. 前記第一焼成工程における焼成温度が、100℃以下である、請求項7に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  9. 前記第一焼成工程の後に、前記硫化物固体電解質の結晶性を向上させる第二焼成工程をさらに有し、
    前記第二焼成工程における焼成温度が、前記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度であり、
    前記硫化物固体電解質が、結晶質である、請求項6に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  10. 前記第二焼成工程における焼成温度が、140℃以上である、請求項9に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  11. 全固体電池に用いられる、活物質および硫化物固体電解質を含有する電極体であって、
    テトラヒドロフランをさらに含有し、
    前記電極体内の前記硫化物固体電解質の体積比率をε、前記硫化物固体電解質のイオン伝導度をσSE、前記電極体のイオン伝導度をσeleとした場合に、ε×σSE/σeleから求められるイオン屈曲度が4.5以下である、電極体。
  12. 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有する全固体電池であって、
    前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、請求項11に記載の電極体である、全固体電池。
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