図1〜図11は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、車載用電子機器1は、車両のインストルメントパネル2やインストルメントコンソールなどの車両内装部材に取り付けられるメインユニット3と、このメインユニット3の筐体4の正面部5に設けられたパネルディスプレイ6とを有する。尚、メインユニット3は少なくとも一部を前記インストルメントパネル2に内蔵して取り付けられる。
前記メインユニット3の筐体4の下部には、CDやDVDなどのディスクプレーヤ7とSDカード読み取り装置8とが内蔵され、右側にディスクプレーヤ7が配置され、左側にSDカード読み取り装置8が配置されている。
尚、前記SDカード読み取り装置8に換えてMD(ミニディスク・マイクロディスク)プレーヤを配置してもよい。
そして、前記ディスクプレーヤ7及びSDカード読み取り装置8が、記憶媒体たるディスク9及びSDカード10の読み出し手段であり、前記メインユニット3の筐体4の正面部5が、前記パネルディスプレイ6を支持する合わせ面である。また、前記正面部5及びパネルディスプレイ6は上下方向より左右方向が長い長方形形状をなす。
前記メインユニット3の筐体4の正面部5には、前記ディスクプレーヤ7のディスク用排出口11及び前記SDカード読み取り装置8のカード用排出口12が設けられ、これら排出口11,12は、前記ディスク9及び前記SDカード10の挿入及び取り出しができるように構成されている。
前記パネルディスプレイ6は、枠体15の正面中央にタッチパネル16を備えたディスプレイ部17を有し、このディスプレイ部17は、液晶ディスプレイなどからなり、表示機能とタッチ操作による入力機能を有する。また、前記枠体15の正面には、車載用電子機器1を操作する複数のスイッチ18が配置されている。
前記スイッチ18は前記枠体15の正面下部及び正面右側に複数配置されている。また、前記枠体15には、前記パネルディスプレイ6を移動して前記排出口11の前側を開くためのオープン用のスイッチを設けても良いが、この例では後述するようにフリック操作を用いることにより省略できるため設けられていない。
前記メインユニット3は、ディスプレイ部17の表示,タッチパネル16への入力や前記スイッチ18の操作,前記ディスクプレーヤ7及びSDカード読み取り装置8の状態などにより車載用電子機器1を制御する制御手段19を備える。
前記パネルディスプレイ6は移動機構21によって前記メインユニット3に対して移動する。前記移動機構21は、前記筐体4の正面の左右と前記パネルディスプレイ6の後面の左右との間に、案内取付部材たる縦方向のレール機構(図示せず)を設け、これら左右のレール機構により前記パネルディスプレイ6がメインユニット3に対して昇降可能に取り付けられている。
図2に示すように、前記移動機構21は、前記パネルディスプレイ6の背面に縦方向のラック22を設け、このラック22に歯合する駆動ギヤ23を筐体4に設け、この駆動ギヤ23を回転駆動させる駆動手段たるモータ(図示せず)が、筐体4に内蔵されている。
前記移動機構21により、パネルディスプレイ6が正面部5に沿って移動する。この場合、前記パネルディスプレイ6は、前記排出口11,12の前面を塞ぐ下方位置(初期位置)と、前記排出口11,12が露出する上方位置(移動位置)との間で昇降する。尚、前記下方位置では、前記パネルディスプレイ6の下面が筐体4の下面と同一位置となる。尚、この例では、パネルディスプレイ6の下方位置が一側位置であり、パネルディスプレイ6上方位置が他側位置である。
この例では、排出口11,12はメインユニット3の上下一端側の下端側に配置されているから、排出口11,12を開閉するためのパネルディスプレイ6の上下移動のストロークが短く済む。尚、排出口11,12は、記憶媒体の厚さ方向を上下方向として、左右方向に長く形成され、左右に並んでいる。
このように排出口11,12がメインユニット3の合わせ面たる正面部5の上下方向端部である下端部に配設されているから、パネルディスプレイ6のスライドにおいて、排出口11を排出可能にするためのストロークを短くできると共に、車載用電子機器1を車内に取付けるために必要なスペースを最小限に抑えることができる。
次に、前記制御手段19による車載用電子機器1の駆動及び表示処理の制御について、ディスプレイ部17の表示切換え及び記憶媒体の排出に伴うパネルディスプレイ6の移動を中心として、図8〜図11を参照して説明する。
図3に示すパネルディスプレイ6の下方位置で、図4に示すように、使用者がディスプレイ部17の下端側に指Fでタッチし、タッチしたまま上方に移動した後、指Fを離すフリック操作を行うことにより、パネルディスプレイ6が上方移動を開始し、図5に示すように、パネルディスプレイ6が上方位置で止ることにより、排出口11,12から記憶媒体が排出可能となる。次に、図6に示すように、上方位置のパネルディスプレイ6のディスプレイ部17に、アイコンである排出操作部33が表示され、排出操作部33を指Fでタッチすると、ディスクプレーヤ7による記憶媒体の排出動作が行われ、排出口11,12から記憶媒体を排出又は挿入した後、図7に示すように、パネルディスプレイ6の上方位置で、ディスプレイ部17の上端側に指Fでタッチし、タッチしたまま下方に移動した後、指Fを離すフリック操作を行うことにより、パネルディスプレイ6が下方移動を開始し、これらの間に、通常表示のディスプレイ部17には、後述する割込み表示イベントが発生すると、割込み表示が優先して表示される。
具体的には、図8に示すように、パネルディスプレイ6が排出口11を塞ぐ下方位置において、パネルディスプレイ6がナビゲーション画面などの通常表示を行っている状態(ステップ101)で、前記通常表示の少なくとも一部を切換える割込み(割込み表示イベント)があるかを判断し(ステップ102)、割込みがあると(ステップ102にて「YES」)、パネルディスプレイ6の通常表示が割込み表示(ステップ103)に切り換わり、この割込み表示が終了したかどうかを判断し(ステップ104)、割込み表示が終了すると(ステップ104にて「YES」)、下方位置での通常表示(ステップ101)に戻る。
尚、割込み表示を行う前記割込みとしては、上記背景技術で説明したものと共に、ハンズフリー電話の着呼時の報知画面表示や通話時の通話時間等の表示や、ETC(Electronic Toll Collection System)の料金収受情報、例えば料金所通過時の課金確認画面の表示や、トランスミッションギヤのバックギヤへのシフトを検出してリアカメラの画像を表示するなどが例示される。
例えば、前記リアカメラの画像の表示の場合では、トランスミッションギヤのバックギヤからバックギヤ以外へのシフトの切換えを検出することにより割込み表示の終了を検出し(ステップ104にて「YES」)、ステップ103の割込み表示から下方位置での通常表示(ステップ101)に切り換えるように制御される。
尚、前記課金確認画面などでは、車載用電子機器1の設定により、5秒,10秒,15秒,20秒・・・などと表示時間が決まっているから、前記設定された表示時間から、割込み表示の終了を検出するようにしてもよい。
また、割込み表示は、通常表示を全面的に切り換える方式や、通常表示の一部に表示する方式を用いることができる。尚、この実施例では、パネルディスプレイ6が下方位置では、排出口11,12が該パネルディスプレイ6により塞がれた状態となり、パネルディスプレイ6が上方位置では、排出口11,12の前側が開いた状態となり、この状態で記憶媒体が前記排出口11,12から排出可能となる。
このようにパネルディスプレイ6の下方位置は、排出口11,12を閉める位置であり、パネルディスプレイ6の上方位置は、排出口11,12を開く位置である。
下方位置で通常表示(ステップ101)の状態で、割込みがあるかを判断し(ステップ102)、割込みが無いと(ステップ102にて「NO」)と、フリック操作の初めの動作である下側領域31にタッチされたかを判断する(ステップ105)。この場合、以下のように、フリック操作中に割込みが無く、フリック操作が完了したことを条件として、パネルディスプレイ6が下方位置から上方に移動し、上方位置で停止するように制御される。尚、ステップ105における指Fのタッチとしては、下側領域31のみに指Fをタッチしても良いし、下側領域31の一部と該下側領域31に隣り合う上の領域とに跨って指Fをタッチしても良く、後述する上側領域32も同様である。
この例では、上方がパネルディスプレイ6のスライド方向の他側、パネルディスプレイ6の下方がスライド方向の一側であり、上側領域32が他側領域であり、下側領域31が一側領域である。また、少なくとも実施例で説明するフリック操作によって、ディスプレイ部17の画面がスクロールすることはない。
この上方へ移動するためのフリック操作は、図4に示すように、ディスプレイ部17の下側領域31を指Fでタッチし、タッチしたまま下側領域31から上側に向かって縦方向に移動して下側領域31の外の領域(上側領域32と下側領域31の間の領域)で指Fを離す操作である。この場合、下側領域31はディスプレイ部17の下縁に沿って略一定の高さ幅Wを有する領域であり、前記高さ幅Wは、15mm以上、ディスプレイ部17の高さHの1/4以下が好ましい。尚、前記15mmは成人の指Fの幅に略対応する。
また、排出口11,12を開閉するためのパネルディスプレイ6の上下移動のストロークは、前記高さHの1/2未満、好ましくは前記高さHの1/3以下であり、前記ストロークの下限は排出口11,12の上下幅以上である。
また、車載用電子機器1において、下側領域31及び上側領域32の前記高さ幅Wなどを任意に設定することができる。この場合、図1に示したように高さ幅Wが一定で帯状をなす下側領域31及び上側領域32以外でも、それら下側領域31及び上側領域32を、ディスプレイ部17の左右方向一側より左右方向他側が高くなるように左右方向で高さ幅Wが変化する形状に設定することもできる。
割込みがないと(ステップ102にて「NO」)、下側領域31にタッチが有るか判断し(ステップ105)、タッチが無いと(ステップ105にて「NO」)、ステップ102の前に戻り、割込みがないことを条件としてタッチが有るまでステップ102とステップ105を繰り返し、タッチが有ると(ステップ105にて「YES」)、フリック操作が完了するまでに割込みが有るかを判断する(ステップ106)。尚、フリック操作の完了は、タッチしたまま下側領域31の上側に向かって縦方向に移動してディスプレイ部17から指Fを離すことを検出して判断する(ステップ107)。また、フリック操作はタッチパネル16により検出される。
下側領域31にタッチがあると(ステップ105にて「YES」)、割込みが有るかを判断し(ステップ106)、割込みがないと(ステップ106にて「NO」)、フリック操作が完了したかを判断し(ステップ107)、フリック操作が完了していると(ステップ107にて「YES」)、パネルディスプレイ6が上方移動を開始(ステップ110)するように制御される。
このようにフリック操作は、パネルディスプレイ6のスライド方向である上側と反対側の端部である下側領域31を基点としてなされ、下側領域31からパネルディスプレイ6の移動方向と同じ上側に指Fを移動するから、直感的に操作をすることができる。
一方、ステップ105で下側領域31にタッチがあっても、このタッチ後、ステップ107でフリック操作の完了が確認される前に、割込みがあると(ステップ106にて「YES」)、割込み表示(ステップ103)に移行し、この割込み表示が終了したかどうかを判断し(ステップ104)、割込み表示が終了すると(ステップ104にて「YES」)、下方位置での通常表示(ステップ101)に戻る。
尚、ステップ105の判断で下側領域31に指Fのタッチがあり、ステップ106の判断で割込みが無いと(「NO」)、フリック操作が完了したかを判断し(ステップ107)、フリック操作が完了していなければ(ステップ107にて「NO」)、下側領域31にタッチした後、所定時間が経過したかを判断し(ステップ108)、所定時間が経過していないと(ステップ108にて「NO」)、ステップ106の前に戻って繰り返す。尚、この場合の所定時間は数秒以下、例えば5秒以下である。
ステップ107からステップ106に戻ることを繰り返しても、割込みが無く(ステップ106にて「NO」)、フリック操作が完了せず(ステップ107にて「NO」)、所定時間が経過すると(ステップ108にて「YES」)、ステップ102の前に戻る。
このようにステップ102の前に戻るのは、下側領域31に指Fをタッチしただけで、指Fを離して下側領域31の上側に指Fを移動しなかったり、上側への指Fの移動量が設定値に達しなかったりした場合や、下側領域31に指Fをタッチした後、フリック操作の完了までにステップ108の所定時間を超えた場合などである。
このように下側領域31に指Fをタッチしてフリック操作を開始しても、フリック操作が完了する前に割込みがあると、パネルディスプレイ6は移動しないで、割込み表示(ステップ103)を優先する。
図9に示すように、パネルディスプレイ6が上方移動を開始し(ステップ110)、上方位置で停止する前に、割込みがあるか判断し(ステップ111)、割込みがないと(ステップ111にて「NO」)、パネルディスプレイ6が上方位置にあるか判断し(ステップ112)、上方位置にあると(ステップ112にて「YES」)、上方位置での通常表示を、図6に示すように、エジェクトボタンのアイコンである排出操作部33の表示(ステップ113)に切り換える。そして、前記排出操作部33にタッチすると、このタッチをタッチパネル16が検出し、ディスクプレーヤ7によりディスク9を排出する動作が行われる。
一方、割込みが無くても、移動中でパネルディスプレイ6が上方位置に達していないと(ステップ112にて「NO」)、ステップ111の前に戻って上方位置に達するまでステップ111とステップ112を繰り返す。即ち、この例では、パネルディスプレイ6が上方位置にあることを条件に、画面を切り換えてエジェクトボタンである排出操作部33を表示する。また、後述するように、パネルディスプレイ6が上方移動を開始し(ステップ110)、割込み表示(ステップ114)に切り換え、割込み表示の状態でパネルディスプレイ6が上方位置に達しても、割込み表示が終了するまで、排出操作部33は表示されない。
パネルディスプレイ6が上方移動を開始し(ステップ110)、移動中に割込みが有るか判断し(ステップ111)、割込みが有ると(ステップ111にて「YES」)、通常表示から割込み表示(ステップ114)に切換え、割込み表示が終わったか判断し(ステップ115)、割込み表示が終了すると(ステップ115にて「YES」)、パネルディスプレイ6が上方位置にあるかを判断し(ステップ116)、パネルディスプレイ6が上方位置にあると(ステップ116にて「YES」)、ステップ113の前に移行し、排出操作部33を表示(ステップ113)する。
一方、ステップ115の後、パネルディスプレイ6が上方位置にあるかを判断し(ステップ116)、移動中で上方位置に達していないと(ステップ116にて「NO」)、通常表示(ステップ117)に切り換え、ステップ111の前に移行する。そして、ステップ116及びステップ112のように、パネルディスプレイ6が上方位置であることを条件として、排出操作部33が表示されるから、下方位置又は移動中に排出操作部33が表示されることがなく、下方位置又は移動中に誤って排出操作部33を操作することが無い。
尚、この例の割込み表示として、通常表示を全面的に切り換える方式や、通常表示の一部に割込んで表示する方式を用いることができるから、例えば、ステップ117などの通常表示とは、その前の割込み表示(ステップ114など)が全面的な表示であれば、割込み表示が通常表示に切り換わるものであり、その前の割込み表示(ステップ114など)が通常表示の一部に割込んで表示がされていれば、割込み表示が消えて通常表示のみとなるものである。
また、パネルディスプレイ6が上方移動を開始し、上方位置に達するまでの移動時間は、数秒程度と僅かであり、前記移動時間に比べて割込み表示の時間が長い場合が多いから、ステップ116とステップ117を省略し、ステップ115で割込みが終了したら(ステップ115にて「YES」)、ステップ113に移行するように制御してもよく、前記移動時間に比べて割込み表示の時間が長い場合、割込み表示が終わる前にパネルディスプレイ6は上方位置に達しており、この上方位置で割込み表示が終わってから、排出操作部33が表示される。このように排出操作部33の表示より割込み表示が優先して表示される。
パネルディスプレイ6が上方位置で排出操作部33を表示(ステップ120)した状態で、排出操作部33へのタッチの前に、割込みがあるかを判断し(ステップ120)、割込みが無いと(ステップ120にて「NO」)、排出操作部33にタッチされたかを判断する(ステップ121)。排出操作部33にタッチが無ければ(ステップ121にて「NO」)、ステップ120の前に戻り、割込みがないことを条件として、排出操作部33にタッチが有るまでステップ120とステップ121を繰り返す。
パネルディスプレイ6に排出操作部33を表示(ステップ113)した後、割込み前にタッチが有ると(ステップ121にて「YES」)、ディスクプレーヤ7により排出口11からディスク9の排出が開始され(ステップ122)、上方位置で通常表示(ステップ201)に切り換わる。
尚、この例のディスクプレーヤ7による排出は、ディスクプレーヤ7が排出口11からディスク9の一部を排出して保持し、このディスク9を使用者が取り出す方式を採用し、また、ディスク9の挿入は、このディスク9を使用者が排出口11に所定量だけ挿入すると、そのディスク9をディスクプレーヤ7が内部に引き込む方式を採用しているから、ディスク9が取り出されことを検出して排出が完了したと判断する。また、ディスク9が取り出されてから数秒である所定待機時間が経過することにより、排出が完了したと判断してもよく、ディスクプレーヤ7の排出及び挿入方式により排出及び挿入を適宜判断するように構成すればよい。
一方、ステップ120で割込みが有ると(ステップ120にて「YES」)、排出操作部33の表示を割込み表示(ステップ123)に切り換えた後、割込み表示が終わったか判断し(ステップ124)、割込み表示が終了すると(ステップ124にて「YES」)、ステップ113の前に戻り、排出操作部33の表示(ステップ113)に切り換える。
尚、図6に示すように、排出操作部33を表示する場合、ディスプレイ部17には排出操作部33が表示され、余白に通常画面は表示されないが、排出操作部33の表示(ステップ113)が割込み表示(ステップ123)に切り換わる場合、通常表示の一部に表示する方式の割込み表示の場合は、通常表示と共に、この通常表示の一部に割込み表示が表れ、余白部分が無くなる。
このようにパネルディスプレイ6を移動させることによりディスク9を排出口11から排出する車載用電子機器1であって、パネルディスプレイ6は使用者によりフリック操作されることにより正面部5に沿って上下にスライドし、パネルディスプレイ6がスライドすることにより、排出口11の前が開いてディスク9が排出口11から排出可能となる。
また、パネルディスプレイ6は、スライドを停止するとディスク9の排出を指示するための排出操作部33を表示し、この排出操作部33へのタッチを検出すると(ステップ121にて「YES」)、ディスクプレーヤ7はディスク9の少なくとも一部が排出する動作を行う。
図10に示すように、パネルディスプレイ6が上方位置で通常表示(ステップ201)の状態で、割込みがあるかを判断し(ステップ202)、割込みがあると(ステップ202にて「YES」)、パネルディスプレイ6の通常表示が割込み表示(ステップ203)に切り換わり、この割込み表示が終了したかどうかを判断し(ステップ204)、割込み表示が終了すると(ステップ204にて「YES」)、ステップ201の前に戻り、パネルディスプレイ6が上方位置で通常表示となる。尚、使用者は、排出口11へのディスク9の挿入が完了した後、後述するフリック操作を行う。
パネルディスプレイ6が上方位置で通常表示(ステップ201)の状態で、割込みがあるかを判断し(ステップ202)、割込みが無いと(ステップ202にて「NO」)、ディスク9の排出又は挿入が完了したかを判断し(ステップ205)、ディスク9の排出又は挿入が完了していたら(ステップ205にて「YES」)、上方位置におけるフリック操作の初めの動作である上側領域32に指Fがタッチされたかを判断する(ステップ206)。この場合、パネルディスプレイ6を上方位置から下方に移動し、下方位置で停止する操作のためにフリック操作が行われる。
尚、ステップ205は、ディスク9の一部が排出口11から飛び出した状態で、パネルディスプレイ6が降下してディスク9に接触することを防止するために設けられているから、ステップ201からステップ210の下方移動を開始する前での間において、ステップ205の判断を行うようにステップ205の順番を変えてもよい。
また、ディスクプレーヤ7内にディスク9が無い場合、排出操作部33をタッチして排出動作が行われても、実際にはディスク9は排出されないが、排出された状態であるから、ステップ205においては、排出が完了したと(ステップ205にて「YES」)判断される。尚、ディスクプレーヤ7が内部のディスク9の有無を検出可能であれば、ディスク9が無い場合は、排出操作部33にタッチが有っても、ディスクプレーヤ7が排出動作を行わないようにしてもよい。
図7に示すように、パネルディスプレイ6を下方へ移動するためのフリック操作は、ディスプレイ部17の上側領域32に指Fをタッチし、タッチしたまま下側領域31の下側に向かって縦方向に移動して下側領域31の下の領域(上側領域32と下側領域31の間の領域)で指Fを離す操作である。この場合、上側領域32はディスプレイ部17の上縁に沿って略一定の高さ幅Wを有する領域であり、前記高さ幅Wは、15mm以上、ディスプレイ部17の高さHの1/4以下が好ましい。尚、前記15mmは成人の指Fの幅に略対応する。
割込みがなく(ステップ202にて「NO」)、ディスク9の排出又は挿入が完了していると(ステップ205にて「YES」)、上側領域32にタッチが有るか判断し(ステップ206)、タッチが無いと(ステップ206にて「NO」)、ステップ202の前に戻り、割込みがないことを条件として上側領域32にタッチが有るまでステップ202,ステップ205及びステップ206を繰り返し、タッチが有ると(ステップ206にて「YES」)、フリック操作が完了するまでに割込みが有るかを判断する(ステップ207)。尚、フリック操作の完了は、タッチしたまま上側領域32から下側に向かって縦方向に移動して指Fを離すことを検出して判断する(ステップ208)。
上側領域32にタッチがあると(ステップ206にて「YES」)、割込みが有るかを判断し(ステップ207)、タッチ後、所定時間が経過したかを判断し(ステップ208)、所定時間内に割込みがないと(ステップ208にて「YES」)、フリック操作が完了したかを判断し(ステップ208)、フリック操作が完了していると(ステップ208にて「YES」)、パネルディスプレイ6が下方移動を開始(ステップ210)するように制御される。
このようにフリック操作は、パネルディスプレイ6のスライド方向である下側と反対側の端部である上側領域32を基点としてなされ、上側領域32からパネルディスプレイ6の移動方向と同じ下側に指Fを移動するから、直感的に操作をすることができる。
一方、ステップ206で上側領域32にタッチがあっても、このタッチ後、ステップ209でフリック操作の完了が確認される前に、割込みがあるか判断し(ステップ207)、割込みがあると(ステップ207にて「YES」)、割込み表示(ステップ203)に移行し、この割込み表示が終了したかどうかを判断し(ステップ204)、割込み表示が終了すると(ステップ204にて「YES」)、上方位置での通常表示(ステップ201)に戻る。
尚、ステップ206の判断で上側領域32に指Fのタッチがあり、ステップ207の判断で割込みが無いと(「NO」)、フリック操作が完了したかを判断し(ステップ208)、フリック操作が完了していなければ(ステップ208にて「NO」)、上側領域32にタッチした後、所定時間が経過したかを判断し(ステップ209)、所定時間が経過していないと(ステップ209にて「NO」)、ステップ207の前に戻って繰り返す。尚、この場合の所定時間は数秒以下、例えば5秒以下である。
ステップ208からステップ207に戻ることを繰り返しても、割込みが無く(ステップ207にて「NO」)、フリック操作が完了せず(ステップ208にて「NO」)、所定時間が経過すると(ステップ209にて「YES」)、ステップ202の前に戻る。
このようにステップ202の前に戻るのは、上側領域32に指Fをタッチしただけで、指Fを離して上側領域32の下側に指Fを移動しなかったり、下側への指Fの移動量が設定値に達しなかったりした場合や、上側領域32に指Fをタッチした後、フリック操作の完了までにステップ209の所定時間を超えた場合などである。
このように上側領域32に指Fをタッチしてフリック操作を開始しても、フリック操作が完了する前に割込みがあると、パネルディスプレイ6は移動しないで、割込み表示(ステップ203)を優先する。
図11に示すように、パネルディスプレイ6が下方移動を開始し(ステップ210)、下方位置で停止する前に、割込みがあるか判断し(ステップ211)、割込みがないと(ステップ211にて「NO」)、パネルディスプレイ6が下方位置にあるか判断し(ステップ212)、パネルディスプレイ6が下方位置にあると(ステップ212にて「YES」)、画面を切り換えることなく、下方位置で通常表示(ステップ201)の状態になる。
パネルディスプレイ6が下方移動を開始し(ステップ210)、移動中に割込みが有るか判断し(ステップ211)、割込みが有ると(ステップ211にて「YES」)、通常表示から割込み表示(ステップ213)に切り換え、割込み表示が終わったか判断し(ステップ214)、割込み表示が終了すると(ステップ214にて「YES」)、パネルディスプレイ6が下方位置にあるか判断し(ステップ215)、パネルディスプレイ6が下方位置にあると(ステップ215にて「YES」)、下方位置で通常表示(ステップ201)に切り換える。
この場合、割込み表示(ステップ213)に切り換え、割込み表示の状態でパネルディスプレイ6が下方位置に達しても、割込み表示が終了するまで、通常表示に切り換わらない。即ち、割込み表示が終わる(ステップ214にて「YES」)前に、パネルディスプレイ6が下方位置に達している場合もある。
尚、パネルディスプレイ6が下方移動を開始し、下方位置に達するまでの移動時間は、数秒程度と僅かであり、前記移動時間に比べて割込み表示の時間が長い場合が多いから、ステップ215とステップ216を省略し、ステップ214で割込みが終了したら(ステップ214にて「YES」)、ステップ101に移行するように制御してもよく、前記移動時間に比べて割込み表示の時間が長い場合、割込み表示が終わる前にパネルディスプレイ6は下方位置に達しており、この下方位置で割込み表示が終わってから、通常表示(ステップ101)に切り換わる。このように通常表示より割込み表示を優先して表示する。
一方、パネルディスプレイ6が下方位置にあるかを判断し(ステップ215)、移動中で下方位置に達していないと(ステップ215にて「NO」)、通常表示(ステップ216)に切り換え、ステップ211の前に移行する。
このように本実施例では、請求項1に対応して、メインユニット3と、パネルディスプレイ6とを有し、パネルディスプレイ6がメインユニット3との合わせ面たる正面部5で支持されており、メインユニット3には、記憶媒体たるディスク9の読み出し手段たるディスクプレーヤ7と、ディスク9の排出口11とが設けられ、パネルディスプレイ6を移動させることによりディスク9を排出口11から排出可能な車載用電子機器1であって、通常表示のパネルディスプレイ6は、割込み表示イベントが発生すると、この割込み表示イベントに係る割込み表示を表示し、パネルディスプレイ6はフリック操作されることにより正面部5に沿ってスライドし、通常表示のパネルディスプレイ6にタッチしてフリック操作を開始し、このフリック操作が完了する前に割込み表示イベントが発生すると、パネルディスプレイ6はスライドすることなく割込み表示を表示するから、フリック操作によってパネルディスプレイ6がスライドすることにより、ディスク9の排出が可能になる。また、フリック操作を開始し、フリック操作が完了する前に割込みがあると割込み表示モードに切り換えるから、優先して割込み表示を見ることができる。
このように本実施例では、請求項2に対応して、パネルディスプレイ6は、スライドを停止すると記憶媒体たるディスク9の排出を指示するための排出操作部33を表示し、排出操作部33へのタッチを検出すると、ディスク9の排出動作を行うから、パネルディスプレイ6がスライドを停止すると、パネルディスプレイ6に排出操作部33が表示され、この排出操作部33をタッチすることにより、ディスク9の排出動作が行われ、ディスク9が排出される。
このように本実施例では、請求項3に対応して、フリック操作は、パネルディスプレイ6のスライド方向と反対側の端部を基点として、該パネルディスプレイ6のスライド方向になされるから、フリック操作と同じ方向にパネルディスプレイ6がスライドするため、直感的にフリック操作を行うことができ、誤操作を防ぐことができる。
このように本実施例では、請求項4に対応して、排出口11がメインユニット3の合わせ面たる正面部5のパネルディスプレイ6のスライド方向と反対側の端部に配設されているから、パネルディスプレイ6のスライドにおいて、排出口11を排出可能にするためのストロークを短くできると共に、省スペース化を図ることができる。
以下、制御手段19の制御による実施例上の効果として、パネルディスプレイ6が停止して通常表示のモードにおいて、フリック操作を開始し、フリック操作が完了する前に割込みがあると割込み表示モードに切り換えるから、優先して割込み表示を見ることができる。
また、排出操作部33が表示された後、排出操作部33をタッチする前に割込みがあると割込み表示モードに切り換えるから、優先して割込み表示を見ることができる。
さらに、排出操作部33をタッチする前に割込みがあると割込み表示モードに切り換え、割込み表示が終了すると(ステップ124にて「YES」)、排出操作部33が自動的に表示されるから、記憶媒体の排出作業を容易に行うことができる。
また、記憶媒体が挿入されている状態で、排出操作部33をタッチすると、記憶媒体の排出を開始(ステップ122)すると共に、通常表示(ステップ201)となるから、記憶媒体の排出又は挿入時にも通常表示を見ることができる。
また、以下、実施例上の効果として、制御手段19により、パネルディスプレイ6の移動は、フリック操作中に割込みが無く、フリック操作が完了したことを条件として、パネルディスプレイ6が、下方位置及び上方位置から上方及び下方に移動し、上方位置及び下方位置で停止するように制御され、割込み表示を優先し、フリック操作の途中でも割込み表示に切り換えられると共に、上方位置又は下方位置で割込み表示中にパネルディスプレイ6が移動を開始することがなく、割込み表示の情報を確認することができる。
また、フリック操作が完了するまでに割込みが有るかを判断するから、下側領域31に指Fをタッチしただけで、指Fを離して下側領域31の上側に指Fを移動しなかったり、上側への指Fの移動量が設定値に達しなかったりした場合や、下側領域31に指Fをタッチした後、フリック操作の完了までにステップ108の所定時間を超えた場合などにパネルディスプレイ6が移動することがない。
また、パネルディスプレイ6が上方移動を開始し(ステップ110)、割込み表示(ステップ114)に切り換え、割込み表示の状態でパネルディスプレイ6が上方位置に達しても、割込み表示が終了するまで、排出操作部33は表示されないから、割込み表示が不用意に切り換わることなく、割込み表示を最後まで見ることができる。さらに、排出操作部33は上方位置に達するまで表示されないから、パネルディスプレイ6の移動中に誤まってディスク9が排出されることが無い。
また、排出操作部33が上方位置で表示されても、タッチするまでに割込みが有ると、割込み表示となり、割込み表示が終わるまで排出操作部33が表示されないから、割込み表示を最後まで見ることができる。さらに、パネルディスプレイ6を移動操作するためのスイッチ及び記録媒体を排出操作するスイットを省略できる。