JP6960615B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本開示は非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の正極材料の一つであるリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)は、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)と比べて、高容量であること、ニッケルがコバルトよりも安価であり、安定して入手可能であることなどの利点を有しているため、次世代の正極材料として期待されている。しかし、リチウムニッケル複合酸化物は概して、リチウムコバルト複合酸化物と比べて耐久性が劣るため、リチウムニッケル複合酸化物の耐久性を改良する試みが行われている。
特許文献1には、リチウムニッケル複合酸化物の一次粒子及び前記一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、一次粒子の表面にW及びLiを含む微粒子を有し、当該リチウムニッケル複合酸化物のc軸長さが特定の範囲にあり、二次粒子の断面観察において計測される空隙率が、0.5〜4%である、非水系電解質二次電池用正極活物質に関する発明が記載されている。
国際公開第2015/163273号
ところで、リチウムイオン二次電池の用途として、蓄電分野がある。蓄電分野に利用されるリチウムイオン二次電池には一層の耐久性能が要求されるため、従来のNi含有量の高いリチウムニッケル複合酸化物よりも耐久性がより向上した非水電解質二次電池が求められている。
本開示は、Ni含有量の高いリチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質を正極に備え、耐久性がより向上した非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本開示に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、非水電解質二次電池に用いられる正極活物質であって、正極活物質は、層状岩塩構造を有するリチウムニッケル複合酸化物とケイ素とを含み、一次粒子が凝集した二次粒子である。リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム以外の金属の総量に対して80モル%以上のニッケルを含み、ケイ素の含有量は、正極活物質の総量に対して0.6質量%以下であり、正極活物質の空隙率は、0%以上1%以下であることを特徴とする。
本開示によれば、Ni含有量の高いリチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質を正極に備え、耐久性がより向上した非水電解質二次電池を作製することができる。
図1は、実施例1において作製した正極活物質のSIM画像を示す図である。 図2は、実施例2において作製した正極活物質のSIM画像を示す図である。 図3は、比較例1において作製した正極活物質のSIM画像を示す図である。 図4は、比較例2において作製した正極活物質のSIM画像を示す図である。 図5は、比較例3において作製した正極活物質のSIM画像を示す図である。 図6は、一次粒子の平均粒径の計測方法を示す図である。
非水電解質二次電池の耐久性を改善する方法として、正極活物質と非水電解質とが接触する面積を減らすことを目的として、正極活物質内の空隙を極力低減させることが考えられる。しかしながら、一般的な製造方法で製造される場合、リチウムニッケル複合酸化物を含む正極活物質は、粒径の小さい一次粒子が凝集して形成される二次粒子で構成される。そのため、一次粒子どうしの接合部(粒界)に空隙が生じてしまい、正極活物質内の空隙を低減させることが困難なことがある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、正極活物質に、Ni含有比率の高いリチウムニッケル複合酸化物とともにケイ素を含有させることによって、空隙率が低減した正極活物質を作製することができ、それにより、耐久性がより一層向上した非水電解質二次電池を製造できることを見出した。
以下、本開示の実施形態の一例について詳説する。
本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池(以下単に「二次電池」ともいう)は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。正極と負極との間には、セパレータを設けることが好適である。非水電解質二次電池は、例えば、正極及び負極がセパレータを介して巻回されてなる巻回型の電極体と、非水電解質とが外装体に収容された構造を有する。或いは、巻回型の電極体の代わりに、正極及び負極がセパレータを介して積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。また、非水電解質二次電池の形態としては、特に限定されず、円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネート型などが例示できる。
[正極]
正極は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極活物質層は、正極活物質の他に、導電材及び結着剤を含むことが好適である。導電材は、正極活物質層の電気伝導性を高めるために用いられる。
導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。導電材の含有率は、正極活物質層の総質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
結着剤は、正極活物質及び導電材間の良好な接触状態を維持し、且つ正極集電体表面に対する正極活物質等の結着性を高めるために用いられる。結着剤には、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、又はこれらの2種以上の混合物等が用いられる。結着剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)等の増粘剤と併用されてもよい。これらは、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。結着剤の含有率は、正極活物質層の総質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
本実施形態に係る二次電池に含まれる正極は、例えば、正極活物質、導電材及び結着剤等を含むスラリーを正極集電体の一方の面又は両面に塗布し、塗膜を乾燥した後、乾燥塗膜を圧縮(圧延)して正極活物質層を形成することにより、作製することができる。
[正極活物質]
以下、正極活物質について詳説する。
本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池に用いられる正極活物質(単に「正極活物質」ともいう)は、リチウムニッケル複合酸化物とケイ素とを含む。また、正極活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されており、層状岩塩構造を有する。
正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物を主成分として含む。ここで「主成分として含む」とは、正極活物質の総量に対するリチウムニッケル複合酸化物の含有量が、例えば90質量%以上、好ましくは99質量%以上であることである。
リチウムニッケル複合酸化物は、少なくともリチウム(Li)とニッケル(Ni)とを含み、ニッケルをリチウム以外の金属の総量に対して80モル%以上含む。以下、本開示に係る正極活物質が含むリチウムニッケル複合酸化物を、単に「複合酸化物」とも記載する。複合酸化物におけるリチウムの含有量は、例えば、リチウム以外の金属の総量に対して90モル%以上1.05モル%以下であることが好ましい。この範囲でリチウムを含有することにより、非水電解質二次電池の充放電容量を向上できるためである。
複合酸化物は、上記の通り、リチウム以外の金属の総量に対して80モル%以上のニッケルを含有する。複合酸化物がこの範囲でニッケルを含有することにより、非水電解質二次電池の基礎的な耐久性が向上するためである。複合酸化物は、リチウム以外の金属の総量に対して85モル%以上95モル%以下のニッケルを含有することが好ましい。
複合酸化物は、例えば、一般式LiNiで表すことができる。式中、Mはリチウム及びニッケル以外の金属元素を表し、x、y及びzはそれぞれ、0.90≦x≦1.05、0.8≦y≦1、0≦z≦0.2、及びy+z=1を満たす。
上記一般式における金属元素Mは、例えば、遷移金属元素、アルカリ土類金属元素、第12族〜第14族元素から選ばれる少なくとも1種以上の金属元素が挙げられる。金属元素Mの具体例としては、例えば、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、及び鉄(Fe)等が挙げられる。
複合酸化物は、非水電解質二次電池の耐久性の観点から、コバルトを含有することが好ましく、例えば、リチウム以外の金属(上記一般式におけるNi及びM)の総量に対して3モル%以上15モル%以下の量でコバルトを含有することがより好ましい。
複合酸化物は、アルミニウムを含有することが好ましく、例えば、リチウム以外の金属(上記一般式におけるNi及びM)の総量に対して1モル%以上5モル%以下の量でアルミニウムを含有することが好ましい。複合酸化物がアルミニウムを含有することにより、非水電解質二次電池の耐久性を向上できるためである。また、5モル%以下の量でアルミニウムを含有することにより、非水電解質二次電池の充放電容量を向上できるためである。
複合酸化物は、マンガン(Mn)を含有しないことが好ましい。複合酸化物がマンガンを含有すると二次電池の耐久性が低下することがあるためである。
上記一般式で表される複合酸化物は、必ずしも、ニッケル及び金属元素Mの総量と酸素原子とのモル比が厳密に1:2であるものに限定されない。例えば、当該モル比が1:1.9以上1:2.1以下である場合であっても、上記一般式で表される複合酸化物に含まれるものとして取り扱うことができる。
正極活物質は、正極活物質の総量(リチウムニッケル複合酸化物とケイ素の総量)に対して0.6質量%以下の量のケイ素(Si)を含有する。正極活物質に含有されているケイ素は、いずれの形態で含まれていてもよいが、複合酸化物と固溶していることが好ましい。ケイ素が複合酸化物と固溶している場合、珪素と酸素の結合が強化され、結晶格子を強くすることができ、耐久性が向上するためである。ケイ素と固溶している複合酸化物は、上記一般式LiNiで表され、Mがケイ素を含む化合物に相当する。
正極活物質に含有されているケイ素は、一次粒子どうしの接合部(粒界)にケイ素の化合物として存在していてもよい。このときのケイ素化合物としては、例えば、SiO及びSiO等のケイ素酸化物やリチウムと珪素の酸化物であるケイ酸リチウムが挙げられる。
本実施形態に係る正極活物質は、ケイ素を上記範囲で含有することにより、二次電池の耐久性を向上させることができる。これは、充放電の際、結晶格子が伸縮して一次粒子の体積が変化して、二次粒子の内部にから応力が生じ、結果として、正極活物質のひびや割れ等が発生するところ、正極活物質にケイ素が存在することにより、複合酸化物の一次粒子の粒径が小さくなり、充放電時の二次粒子の内部における応力が緩和され、正極活物質のひびや割れ等が抑制されるためと考えられる。
正極活物質は、ケイ素を含有する限り上記の二次電池の耐久性向上の効果を有すると考えられるため、正極活物質におけるケイ素の含有量の下限は特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質の総量に対して0.01質量%以上含むことで結晶格子が強化されるため好ましい。
また、本実施形態に係る正極活物質においては、ケイ素の含有量が正極活物質の総量に対して0.6質量%以下である。ケイ素の含有量が上記の範囲を超えると、二次電池の耐久性が低下するためである。その理由は明らかではないがニッケルとリチウムがイオン交換し、層状岩塩構造を不安定化させることが推察される。正極活物質におけるケイ素の含有量は、上記の観点から、正極活物質の総量に対して0.2質量%以下であることがより好ましい。
正極活物質として用いられる複合酸化物の組成は、ICP発光分光分析装置(例えば、Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」等)を用いて測定することができる。
正極活物質の構造について詳述する。正極活物質は、層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造は、リチウム以外の金属層とリチウム層とが酸素原子の層を挟んで交互に積層された結晶構造である。層状岩塩構造としては、例えば、空間群R−3mに属する結晶構造が挙げられる。そのような層状岩塩構造を有する化合物としては、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)及びニッケルコバルト酸リチウム(LiCoO)等が挙げられ、上記一般式で表される複合酸化物も層状結晶構造を有すると考えられる。
正極活物質が層状岩塩構造を有することは、粉末X線回折法に基づく公知の方法で解析することができる。例えば、正極活物質のX線回折パターンにおいて、回折角(2θ)=36.6°付近及び44.4°付近に出現する層状岩塩構造の(101)面及び(104)面の回折ピークを検出することによって、層状岩塩構造の存在が確認される。
正極活物質は、上記のリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子が凝集して形成された二次粒子で構成されている。二次粒子の粒径は、例えば、1μm以上20μm以下であることが好ましい。二次粒子の粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)または走査イオン顕微鏡(SIM)を用いて観察した二次粒子を無作為に100個抽出し、各粒子の長径及び短径の長さの平均値を各粒子の粒径として、100個の粒子の粒径を平均した値とすることができる。
正極活物質は、1%以下の空隙率を有する。正極活物質の「空隙率」は、正極活物質の断面観察により測定され、正極活物質の内部において一次粒子が存在していない空隙部分の存在比率である。正極活物質における空隙率が多過ぎると、空隙に浸潤した非水電解液が正極界面で副反応を起こした結果、二次粒子の内部にかさ高い堆積物を生成する。これにより、二次粒子にひびや割れ等が生じ、二次電池の耐久性が低下すると考えられる。
それに対して本実施形態に係る正極活物質は、内部空隙が少なく、一次粒子が密に凝集した二次粒子であるため、二次電池での使用の際に、非水電解液が二次粒子の内部に浸潤することを防ぐことができる。これにより、二次粒子の内部におけるかさ高い堆積物の生成を抑え、二次粒子におけるひびや割れ等の発生を抑制し、二次電池の耐久性を向上させることができると考えられる。上記の観点から、正極活物質の空隙率は、より0%に近いことが好ましく、例えば0.2%以下、更には0.05%以下であることが好ましい。正極活物質の空隙率は0%、即ち検出限界以下であってもよい。
正極活物質の空隙率を正極活物質の断面観察により測定する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。まず、正極活物質と熱硬化性樹脂とを混合し、当該樹脂を硬化させて機械研磨した後、7mm角で厚さ1mm程度の薄片を作製する。
その後、クロスセクションポリッシャー(CP)法による仕上げ断面加工を行い、研磨面を走査イオン顕微鏡(SIM)で倍率1千〜1万倍の条件で観察する。図1〜図6に、正極活物質の断面のSIMによる観察画像の具体例を示す。得られた断面画像から、解析ソフト(例えば商品名「Image−Pro PLUS」(Media Cybernetics社製)等)を用いて正極活物質の空隙率を計算する。より具体的には、二次粒子内部の空隙部分と空隙部分以外の部分とを色分けしてそれぞれの面積を求め、正極活物質の全体に対する空隙部分の面積比として、正極活物質の空隙率が求められる。
本実施形態に係る正極活物質として用いられる複合酸化物は、例えば、水酸化リチウム等のリチウム含有化合物、ニッケルと、上記一般式のMで表されるようなリチウム及びニッケル以外の金属元素とを含有する酸化物、並びに、ケイ素含有化合物を、目的とする複合酸化物に基づく混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、合成することができる。当該混合物の焼成は、大気中又は酸素気流中で行う。焼成温度は600〜1100℃程度であり、焼成時間は、焼成温度が600〜1100℃である場合、1〜10時間程度である。
本実施形態に係る空隙率が低い正極活物質は、正極活物質にケイ素を含有させることによって実現することができるが、空隙率が低い正極活物質の作製において、短時間で焼成することもまた、重要である。その理由は明らかではないが一次粒子の粒径が小さいほど、空隙率の低い正極活物質の作製が可能になるためと推察される。
正極活物質の硬さは、一次粒子同士の密接度、及び一次粒子の強度により決定される。正極活物質の硬さは、圧縮破壊強度により評価できる。圧縮破壊強度(St)は、「日本鉱業会誌」81巻、932号、1965年12月号、1024〜1030頁に記載される数式St=2.8P/(πd)(式中、Pは粒子にかかった荷重を示し、dは粒径を示す)により算出される。圧縮破壊強度は、粒径の2乗で除するため粒径の依存度が高く、小さい粒子ほど圧縮破壊強度が大きい結果となる。ゆえに、圧縮破壊強度については、所定の粒径であるときの圧縮破壊強度として規定することが好ましい。
正極活物質は、粒径を8μm程度に規定したときの圧縮破壊強度が130MPa以上230MPa以下であることが好ましい。なお「粒径が8μm程度」とは、例えば、粒径が8μm±5%以内の範囲に含まれることをいう。当該圧縮破壊強度が130MPa未満であると、二次電池の耐久性が低下する場合があり、当該圧縮破壊強度が230MPaを超えると、正極作製時の圧縮(圧延)により正極集電体となる金属箔を損傷する場合があるためである。正極活物質の圧縮破壊強度は、例えば、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、形式名「MCT−W201」)等を用いて測定することができる。
正極活物質を構成する二次粒子は、粒径がより小さい一次粒子が多数凝集することによって形成されていることが好ましい。一次粒子の粒径が小さく、二次粒子に含まれる一次粒子の個数が多いと、二次電池において、充放電時の格子伸縮に伴う体積変化による応力を緩和でき、二次電池の耐久性が向上するためである。
正極活物質は、上記の観点から、二次粒子の直径を8μmに換算した二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数が、1万個以上であることが好ましい。当該一次粒子の平均個数が1万個未満であると、格子収縮に伴う体積変化によって、正極活物質にひび割れが生じ、耐久性が低下することがあると考えられる。また、二次粒子の直径を8μmに換算した二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数は400万個以下であることが好ましい。当該一次粒子の平均個数が400万個を超えると、一次粒子の粒径及び組成等が均一にならず、電池特性が低下することがあるためである。
一次粒子の平均粒径の計測方法を、図6を用いて説明する。図6に、走査イオン顕微鏡(SIM)による二次粒子の観察画像の模式図を示す。二次粒子の観察画像において、両端が二次粒子の表面にあり、長さが最も長くなるような線分aを引く(図6(a)参照)。線分aの長さは、二次粒子の最大粒径(直径)である。線分aを二等分する点を中心Cとする。中心Cを通り、線分aに対して45°、90°、135°の角度をなし、両端が二次粒子の表面にある3本の線分b、c及びdを引く(図6(b)参照)。線分a、b、c及びdの長さ(r、r、r、r)を計測するとともに、各線分によって横切られる一次粒子の数(n、n、n、n)を計測する。次いで、各線分について、R=r/n、R=r/n、R=r/n、R=r/nとして一次粒子1つ当たりの粒径を求める。これらのうち最大値と最小値を除いて残る2つの粒径の平均値を、計測に用いた二次粒子における一次粒子の粒径とする。任意の二次粒子10個に対して同様の方法で一次粒子の粒径を計測し、それらの平均から、一次粒子の平均粒径Rpが得られる。
二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数の算出においては、一次粒子及び二次粒子が球体であり、且つ、二次粒子の内部に含まれる空隙部分が無視できるほどに小さいとみなされる。球体の体積は直径の3乗に比例することから、二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数Nは、二次粒子の平均粒径をRsとして、N=Rs/Rpで表される。この式と、上記の方法で計測された一次粒子の平均粒径Rpとに基づいて、二次粒子の直径が8μmであるとして換算した場合における、当該二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数Nを求めることができる。
[負極]
負極は、例えば金属箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを備える。負極集電体には、アルミニウムや銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質の他に、結着剤を含むことが好適である。また、必要により導電材を含んでいてもよい。
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、リチウム、珪素、炭素、錫、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、ガリウム、リチウム合金、予めリチウムを吸蔵させた炭素、珪素、及びこれらの合金並びに混合物等を用いることができ、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素、予めリチウムを吸蔵させた炭素等の炭素材料を含むことが好ましい。結着剤としては、正極の場合と同様にPTFE等を用いることもできるが、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)又はこの変性体等を用いることが好ましい。結着剤は、CMC等の増粘剤と併用されてもよい。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。
エステル類の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等のカルボン酸エステル類などが挙げられる。
エーテル類の例としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。
非水溶媒は、上記各種溶媒の水素をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有することが好適である。特に、フッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステルが好ましく、両者を混合して用いることがより好ましい。これにより、負極はもとより正極においても良好な保護被膜が形成されてサイクル特性が向上する。フッ素化環状炭酸エステルの好適な例としては、4−フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。フッ素化鎖状エステルの好適な例としては、2,2,2−トリフルオロ酢酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル等が挙げられる。
電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO)(l,mは1以上の整数)、LiC(CF2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(p,q,rは1以上の整数)、Li[B(C](ビス(オキサレート)ホウ酸リチウム(LiBOB))、Li[B(C)F]、Li[P(C)F]、Li[P(C]、LiPO等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[セパレータ]
セパレータには、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータは、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。
以下、実施例により本開示をさらに詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質(リチウムニッケル含有複合酸化物)の作製]
Ni0.88Co0.09Al0.03(OH)の組成式で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物を共沈により得た後、NiCoAl複合酸化物を調製した。次に、LiOH及びNiCoAl複合酸化物を、Li及びLi以外の金属(Ni、Co、Al)の合計がモル比で1.03:1となる量で混合した。さらに、想定される正極活物質の組成(Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03)に対してSiが0.2質量%となる量のSiOを、当該混合物に加えた。その後、当該混合物を酸素気流中750℃で10時間焼成して、正極活物質A1を作製した。ICP発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」)を用いて正極活物質A1の組成を測定した結果、正極活物質A1は組成式Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03で表される複合酸化物であって、正極活物質A1の総量に対して0.19質量%のSiを含有していた。
正極活物質A1の結晶構造を、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、商品名「RINT2200」、線源Cu−Kα)を用いて、粉末X線回折法により解析した。測定条件は2Theta/Theta連続スキャン方式で、15°から120°までを0.02ステップで1分あたり4°の速さで測定した。測定電圧/電流は40kV/40mA、発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、モノクロ受光スリットなしとした。解析の結果、正極活物質A1の結晶構造は空間群R−3mに帰属する層状岩塩構造であった。
正極活物質A1と熱硬化性樹脂とを混合し、樹脂を硬化させた。得られた硬化物を機械研磨した後、クロスセクションポリッシャー(CP)法による仕上げ断面加工を行い。得られた研磨面をSIMで倍率1千〜1万倍の条件で観察した。図1に、正極活物質A1の断面のSIMによる観察画像を示す。図1に示す断面観察画像から明らかな通り、正極活物質A1は一次粒子が凝集して形成された二次粒子であった。また、得られた正極活物質A1の断面観察画像から、画像解析ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製)を用いて空隙部分とそれ以外の部分とを色分けすることにより、正極活物質A1の空隙率(面積比)を算出した。正極活物質A1の空隙率は0%(検出限界以下)であった。また、正極活物質A1の断面観察画像から、二次粒子の直径を8μmに換算した二次粒子に含まれる一次粒子の平均個数を、上記の方法に従って測定した結果、当該一次粒子の平均個数は13000個であった。
正極活物質A1の圧縮破壊強度(St)を測定した。圧縮破壊強度の測定は、下記の測定条件で、粒径が8μm程度(8μm±5%以内)である5個の正極活物質A1に対して行い、得られた測定値の平均を正極活物質A1の圧縮破壊強度とした。正極活物質A1の圧縮破壊強度は215MPaであった。
<測定条件>
試験温度:常温(25℃)
試験装置:微小圧縮試験機、株式会社島津製作所製、形式名「MCT−W201」
上部加圧圧子:直径50μmの平面
測定モード:圧縮試験
試験荷重:90mN
負荷速度:2.6478mN/秒
[正極の作製]
正極活物質として上記で作製された正極活物質A1を91質量部、導電材としてアセチレンブラックを7質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを2質量部の割合で混合した。当該混合物を混練機(T.K.ハイビスミックス、プライミクス株式会社製)を用いて混練し、正極合材スラリーを調製した。次いで、正極合材スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布し、塗膜を乾燥してアルミニウム箔に正極合材層を形成して、電極(正極)を作製した。
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(MEC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを、3:3:4の体積比で混合した。当該混合溶媒に対して、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.2モル/リットルの濃度となるように溶解させて、非水電解質を調製した。
[試験セルの作製]
上記正極と、リチウム金属箔からなる負極とを、セパレータを介して互いに対向するように積層し、巻回して、巻回電極体を作製した。次いで、巻回電極体及び上記非水電解質をアルミニウム製の外装体に挿入し、非水電解質二次電池(試験セルA1)を作製した。
<実施例2>
正極活物質の作製において、想定される正極活物質の組成(Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03)に対してSiが0.1質量%となる量のSiOを、LiOH及びNiCoAl複合酸化物の混合物に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質A2を作製し、非水電解質二次電池(試験セルA2)を作製した。
正極活物質A2は、組成式Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03で表され、正極活物質A2に対するSiの含有量は0.08質量%であった。また、粉末X線回折法による解析の結果、正極活物質A2の結晶構造は空間群R−3mに帰属する層状岩塩構造であった。SIMを用いた断面観察の結果、正極活物質A2は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子であり、その空隙率は0.6%であり、二次粒子(直径8μm換算)に含まれる一次粒子の平均個数は15600個であった。正極活物質A2の圧縮破壊強度は145MPaであった。
<比較例1>
正極活物質の作製において、LiOH及びNiCoAl複合酸化物の混合物にSiOを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質B1を作製し、非水電解質二次電池(試験セルB1)を作製した。
正極活物質B1は、組成式Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03で表され、正極活物質B1に対するSiの含有量は0質量%(検出限界以下)であった。また、粉末X線回折法による解析の結果、正極活物質B1の結晶構造は空間群R−3mに帰属する層状岩塩構造であった。SIMを用いた断面観察の結果、正極活物質B1は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子であり、その空隙率は1.94%であり、二次粒子(直径8μm換算)に含まれる一次粒子の平均個数は6000個であった。正極活物質B1の圧縮破壊強度は114MPaであった。
<比較例2>
正極活物質の作製において、LiOH及びNiCoAl複合酸化物の混合物にSiOを加えず、当該混合物には、想定される正極活物質の組成(Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03)に対して10質量%のKOHを加えたこと、また、焼成後の粒子表面に付着していたKOHを水洗して除去したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質B2を作製し、非水電解質二次電池(試験セルB2)を作製した。
正極活物質B2は、組成式Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03で表され、正極活物質B2に対するSiの含有量は0質量%(検出限界以下)であった。また、粉末X線回折法による解析の結果、正極活物質B2の結晶構造は空間群R−3mに帰属する層状岩塩構造であった。SIMを用いた断面観察の結果、正極活物質B2は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子であり、その空隙率は0%(検出限界以下)であり、二次粒子(直径8μm換算)に含まれる一次粒子の平均個数は4個であった。正極活物質B2の圧縮破壊強度は210MPaであった。
<比較例3>
正極活物質の作製において、想定される正極活物質の組成(Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03)に対してSiが0.7質量%となる量のSiOを、LiOH及びNiCoAl複合酸化物の混合物に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質B3を作製し、非水電解質二次電池(試験セルB3)を作製した。
正極活物質B3は、組成式Li1.03Ni0.88Co0.09Al0.03で表され、正極活物質B3に対するSiの含有量は0.69質量%であった。また、粉末X線回折法による解析の結果、正極活物質B3の結晶構造は空間群R−3mに帰属する層状岩塩構造であった。SIMを用いた断面観察の結果、正極活物質B3は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子であり、その空隙率は0%(検出限界以下)であり、二次粒子(直径8μm換算)に含まれる一次粒子の平均個数は64000個であった。正極活物質B3の圧縮破壊強度は199MPaであった。
[出力特性試験]
上記で作製した各試験セルを用いて、25℃の温度条件下、電圧が4.3Vになるまで電流値0.2Itで定電流充電を行い、次いで、電流値が0.01Itになるまで4.3Vで定電圧充電を行った。その後、放電終止電圧が2.5Vである定電流放電を、1It、0.5It、0.2It、0.1It、0.05It及び0.01Itのそれぞれの電流値でこの順に行った。このように電流値を段階的に下げて定電流放電を行うことにより、短時間で正極活物質のポテンシャルを確認した。0.05Itの電流値で定電流放電を行った回までの、試験セルから放電した容量の総量を、各試験セルの初回放電容量とした。
次いで、各試験セルに対して、下記の条件による充放電サイクルを繰り返した。充放電時の環境温度は25℃に設定した。最初に電圧が4.3Vになるまで電流値0.2Itで定電流充電を行った後、電流値が0.01It相当になるまで4.3Vで定電圧充電を行った。次いで、放電終止電圧を2.5Vとして電流値0.2Itで定電流放電を行った。充電と放電との間には20分間の休止時間をそれぞれ設けた。この充放電サイクルを1サイクルとして、10サイクルに一度初回充放電と同様の試験をし、これを4回繰り返し40サイクルさせた。20サイクル目及び40サイクル目において放電された容量の上記初回放電容量に対する割合(百分率)を容量維持率として算出し、20サイクル目及び40サイクル目の容量維持率によって、各試験セルの耐久性(サイクル特性)を評価した。
表1に、各実施例及び各比較例で作製された各正極活物質のケイ素含有量、空隙率、圧縮破壊強度、及び、二次粒子(直径8μm換算)に含まれる一次粒子の平均個数、並びに、各試験セルの容量維持率(20サイクル目及び40サイクル目)を示す。
Figure 0006960615
図1〜図5に、正極活物質A1〜A2及びB1〜B3の断面のSIMによる観察画像を示す。
表1から明らかな通り、正極活物質がケイ素を含む実施例1及び2の試験セルA1及びA2は、正極活物質がケイ素を含まない比較例1及び2の試験セルB1及びB2に対して、極めて高い容量維持率を有していた。これは、正極活物質にケイ素が存在することにより、二次粒子の内部における応力が緩和され、正極活物質におけるひびや割れ等の発生が抑制されたためと考えられる。
また、正極活物質におけるケイ素の含有量が高い比較例3では、試験セルの容量維持率が低下した。比較例3の正極活物質B3はケイ素含有量が過剰であったことにより、構造が不安定化したためと考えられる。
以上説明したように、本実施形態に係る正極活物質は、特定の範囲のケイ素を含有し、正極活物質の内部の空隙率を低く抑えることにより、顕著に優れた耐久性を有する非水電解質二次電池を作製することができる。
本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池に利用できる。

Claims (3)

  1. 非水電解質二次電池に用いられる正極活物質であって、
    前記正極活物質は、層状岩塩構造を有するリチウムニッケル複合酸化物とケイ素とを含み、一次粒子が凝集した二次粒子であり、
    前記リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム以外の金属の総量に対して85モル%以上95モル%以下のニッケルを含み、
    前記ケイ素の含有量は、前記正極活物質の総量に対して0.6質量%以下であり、
    前記正極活物質の空隙率は、0%以上1%以下であり、
    前記ケイ素は、前記リチウムニッケル複合酸化物に固溶しており、
    前記二次粒子の直径を8μmに換算した前記二次粒子に含まれる前記一次粒子の平均個数が1万個以上である、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 圧縮破壊強度が130MPa以上230MPa以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1〜のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質とを備える、非水電解質二次電池。
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