JP6959885B2 - 非水電解質二次電池用のポリマーゲル電解質および非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
上記知見に基づく本発明の一実施形態は、フッ化ビニリデンに由来する第1の構成単位と、分子内の置換可能な水素がすべてフッ素で置換された架橋性モノマーに由来する第2の構成単位と、を有するフッ化ビニリデン共重合体(フッ化ビニリデン共重合体(A))と、非水電解液と、を有するポリマーゲル電解質に関する。
フッ化ビニリデン共重合体(A)は、フッ化ビニリデンに由来する第1の構成単位と、分子内の置換可能な水素がすべてフッ素で置換された架橋性モノマーに由来する第2の構成単位と、を有する共重合体である。フッ化ビニリデン共重合体(A)は、上記第1の構成単位または第2の構成単位以外の、他の構成単位を有してもよい。
第1の構成単位は、フッ化ビニリデンに由来する構成単位である。
第2の構成単位は、分子内の置換可能な水素がすべてフッ素で置換された架橋性モノマーに由来する構成単位である。架橋性モノマーは、1種のみ使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
CF2=CFOCF=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)2OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)5OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)6OCF=CF2
CF2=CFOCF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFO(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)3OCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFOCF2CF=CF2
CF2=CFO(CF2)2CF=CF2
CF2=CFO(CF2)3CF=CF2
これらのうち、反応性の高さからは、CF2=CFO−Rf1−OCF=CF2で示されるパーフルオロジビニルエーテルが好ましい。
フッ化ビニリデン共重合体(A)は、上述した第1の構成単位と第2の構成単位以外の他の構成単位を有してもよい。フッ化ビニリデン共重合体(A)は、これらの構成単位を有するとき、1種のみを有してもよいし、複数種を有してもよい。
フッ化ビニリデン共重合体(A)の重量平均分子量は、特に限定されないものの、15万以上250万以下とすることができ、20万以上200万以下であることが好ましく、30万以上150万以下であることがより好ましい。15万未満では、ゲル形成が困難となり、一方で、非水電解液への溶解性を十分に確保するためには、フッ化ビニリデン共重合体(A)の上記平均分子量は250万以下であることが好ましい。
フッ化ビニリデン共重合体(A)は、フッ化ビニリデンと架橋性モノマーを、乳化重合法および懸濁重合法を含む公知の重合方法で共重合させて、合成することができる。
乳化重合法では、上述した各モノマーが難溶である液性媒体、上記各モノマー、および乳化剤を混合して得られる混合液に、さらに上記液性媒体に溶解性の重合開始剤を加えて、上記モノマーを重合させる。
懸濁重合法は、油溶性の重合開始剤を上記各モノマーに溶解させて得られるモノマー分散液を、懸濁剤、連鎖移動剤、安定剤および分散剤などを含む水中で機械的に攪拌しつつ加温することにより、上記モノマーを懸濁および分散させつつ、懸濁したモノマーによる液滴の中で重合反応を生じさせる。懸濁重合法では、典型的には、上記モノマーによる液滴のそれぞれの内部でのみ重合反応が生じ、上記モノマーによる液滴のそれぞれが重合体の微粒子となるため、得られる重合体の微粒子の粒径および粒径分布などを制御しやすい。
上記非水電解液は、リチウム原子およびナトリウム原子などを含む電解質が非水溶媒に溶解されてなる電解液である。これらの電解質は、1種のみ使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
上記ポリマーゲル電解質は、フッ化ビニリデン共重合体(A)と上記非水電解液とを混合し、その後、ポリマーゲル電解質の形状に成形して、製造することができる。フッ化ビニリデン共重合体(A)は、架橋しているにもかかわらず上記非水電解液への溶解性が十分に高いため、混合後に電子線を照射するなどの架橋工程を経ずに、ポリマーゲル電解質を製造することができる。
上記ポリマーゲル電解質は、公知の正極および負極の間に配置して、非水電解質二次電池とすることができる。
1−1.フッ化ビニリデン共重合体A−1
オートクレーブに、0.2質量部のリン酸水素ナトリウム(Na2HPO4)および330質量部の水を仕込み、脱気した後、1質量部のパーフルオロオクタン酸(PFOA)アンモニウム塩および0.25質量部のエチルアセテートを投入し、その後さらに、28.4質量部のフッ化ビニリデン(VDF)および8質量部のヘキサフルオロプロピレン(HFP)を投入した。これを撹拌下で80℃に昇温した後、0.06質量部の過硫酸アンモニウム(APS)を投入して重合を開始させた。このときの初期圧は3.5MPaだった。オートクレーブ中の圧力が2.5MPaまで低下した時点で、0.3質量部の架橋性モノマーである1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−ビス[(トリフルオロビニル)オキシ]エタンを投入し、さらに、圧力が維持されるように63.3質量部のVDFを連続的に投入した。その後、圧力が1.5MPaまで低下したところで重合反応を低下させ、乾燥させて、VDF、HFPおよび架橋性モノマーの共重合体である粉末状のフッ化ビニリデン共重合体A−1を得た。
圧力低下後に添加した架橋性モノマーの量を1質量部とし、その後添加したVDFの量を変更して重合反応に用いられたVDFの量を91質量部とした以外はフッ化ビニリデン共重合体A−1の合成と同様の操作を行い、VDF、HFPおよび架橋性モノマーの共重合体である粉末状のフッ化ビニリデン共重合体A−2を得た。
圧力低下後に添加した架橋性モノマーの量を3質量部とし、その後添加したVDFの量を変更して重合反応に用いられたVDFの量を89質量部とした以外はフッ化ビニリデン共重合体A−1の合成と同様の操作を行い、VDF、HFPおよび架橋性モノマーの共重合体である粉末状のフッ化ビニリデン共重合体A−3を得た。
圧力低下後に添加した架橋性モノマーの量を5質量部とし、その後添加したVDFの量を変更して重合反応に用いられたVDFの量を87質量部とした以外はフッ化ビニリデン共重合体A−1の合成と同様の操作を行い、VDF、HFPおよび架橋性モノマーの共重合体である粉末状のフッ化ビニリデン共重合体A−4を得た。
圧力低下後に架橋性モノマーを添加せず、代わりに、重合反応に用いられたVDFの量を92質量部とした以外はフッ化ビニリデン共重合体A−1の合成と同様の操作を行い、VDFおよびHFPの共重合体である粉末状のフッ化ビニリデン共重合体A−5を得た。
2−1.ポリマー濃度が15質量%のポリマーゲル電解質
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを質量比が3:2となる量で混合して得られた非水溶媒に、1mol/Lの濃度となる量の六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させて、非水電解液を調製した。
上記ポリマーゲル電解質の作製において、非水電解液およびフッ化ビニリデン共重合体A−1〜フッ化ビニリデン共重合体A−5のいずれかの量を変更して、フッ化ビニリデン共重合体A−1〜フッ化ビニリデン共重合体A−5のいずれかの濃度が20質量%である円形状のフィルムであるポリマーゲル電解質を得た。
3−1.ポリマーゲルの保液性
上記得られたポリマーゲル電解質のそれぞれを適当な大きさに切り出し試験片とした。これらの試験片の質量を測定し、加圧前質量とした。その後、それぞれの試験片を30kPaで20分間加圧した。加圧除去後、それぞれの試験片の表面に浸み出した液体成分(非水電解液)を拭き取って、試験片の質量を測定し、加圧後質量とした。加圧前質量に対する加圧後質量の割合(加圧後質量/加圧前質量)を算出し、それぞれのポリマーゲル電解質の保液性(%)とした。
溶解性は、フッ化ビニリデン共重合体を非水電解液に添加し加熱撹拌して作製したポリマー溶液の透視度により評価した。プロピレンカーボネート/ジメチルカーボネート(1/1)溶媒に、濃度が10質量%となる量のフッ化ビニリデン共重合体を加えて70℃で30分間加熱撹拌し、混合液を調製した。フッ化ビニリデン共重合体の溶解性が低いとき、未溶解物の沈降または未溶解物の分散による溶液の濁りが観察される。透視度の測定はJIS K0102の透視度の試験に準じて行った。但し測定器具としては長さ300mm、径10mmのガラス管を用い、室温で行った。透視度が10度以上で溶解していると判断した。なお、未溶解のフッ化ビニリデン共重合体(A)が底面に沈降・堆積した場合は、透視度0度とした。
Claims (7)
- フッ化ビニリデンに由来する第1の構成単位と、架橋性モノマーに由来する第2の構成単位と、を有する、フッ化ビニリデン共重合体と、
非水電解液と、
を有し、
前記フッ化ビニリデン共重合体は、
前記第2の構成単位が、分子内の置換可能な水素がすべてフッ素で置換された架橋性モノマーに由来する構成単位であり、かつ、
前記フッ化ビニリデン共重合体の全質量に対する前記第2の構成単位の含有量が、0.1質量%以上5質量%未満である共重合体である、
ポリマーゲル電解質。 - 前記フッ化ビニリデン共重合体は、前記第2の構成単位が、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたビニル基、および、RR’C=CR’’−CO−で表される官能基(ただし、R、R’およびR’’は、独立して、フッ素原子、または、炭素数1以上5以下の直鎖状または分岐鎖状のパーフルオロアルキル基を示す。)からなる群から選択される複数の重合性官能基を有する架橋性モノマーに由来する構成単位であるフッ化ビニリデン共重合体である、請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
- 前記フッ化ビニリデン共重合体は、前記第2の構成単位が、複数の重合性官能基がヘテロ原子を含む連結基で互いに接続された構造を有する架橋性モノマーに由来する構成単位であるフッ化ビニリデン共重合体である、請求項1または2に記載のポリマーゲル電解質。
- 前記フッ化ビニリデン共重合体は、非水電解液に対して10質量%添加して調製した混合液の透視度が10度以上であるフッ化ビニリデン共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーゲル電解質。
- 前記非水電解液は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびメチルエチルカーボネートからなる群から選択される非水溶媒に電解質が溶解されてなる電解液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーゲル電解質。
- 前記非水電解液は、LiPF6、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiCl、LiBr、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、およびLiC(CF3SO2)3からなる群から選択される電解質が非水溶媒に溶解されてなる電解液である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマーゲル電解質。
- 正極と、
負極と、
前記正極と負極との間に配置された請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマーゲル電解質と、
を有する非水電解質二次電池。
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